【オリジナル】Fate/unknown (231)


このスレは>>1によるFateシリーズの設定を借りた聖杯戦争のオリジナルSSです

設定がおかしい部分などもあると思いますが、指摘してくださるとありがたいです

投下速度や投下量はかなり中途半端です。

気が向いたら見て、気が向いたら適当なレスをくれると嬉しいです

また、安価などは基本ありません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387459035


『第0章』


「――――それは、別の時間の話だ、それは誰の物語でもない。」

かつて冬木の聖杯と呼ばれるものが存在した。

『願いを叶える奇跡の願望器』と呼ばれ、手にしたものは己の夢を実現できる。

それを手にしようと五回、人は血で血を洗う戦い、「聖杯戦争」をしてきた。

七人の魔術師が、七つのクラスに分かれたサーヴァントを召喚し、使役する戦争。

――――第三回目、聖杯を作った御三家の一つである「アインツベルン」がルールを破り異例のクラスでサーヴァントを呼び出す。

――――第四回目、それが原因で呼ばれるはずのないサーヴァントとクラスが呼ばれるようになり、さらに聖杯は途中で破壊された。

――――そして第五回目、前々回の異例、さらに前回中途半端な聖杯戦争の終了により、異例が起きる。

その歴史は狂ってばかりだ。この狂った歯車を修正するのは奇跡の力を頼るほかはありえない。

狂ったままでも時間は動く。狂ったままでも人は欲する。狂ったと知らずとも人は願望機を欲する。

そして、今回『第六回目』の聖杯戦争が始まろうとしている。


東京、それが今私が住んでいる日本という国の首都だ。

大勢の人で街は溢れかえり人一人いない日など存在しなかった。

それに比べて私の故郷では人がいる方が珍しいとまで言われていたくらい人を見かけなかった。

人との交流は少なく、また自給自足の生活が基本の私の故郷は真逆の街だ。

だが、二年前。私の故郷に師匠がやってきた。

いや、本名が師匠と言う名前ではないのだが、名前を呼ばれるのが嫌いなので適当な名前を付けないといけないので、魔術と武術の勉強を教えてもらっているので師匠と呼ぶことにした。

師匠は私の才能を活かして「私についてきてくれない?」と頼まれた。

師匠はどうしても叶えたい夢があるらしく、それを実現するためにはどんな犠牲もうんぬんとか言っていた。

正直、犠牲とか願いとかどうでもいいけど、外の世界を見てみたかったので二つ返事で承諾した。

師匠は「まぁ、大体三年くらいかしら……それくらいで貴女に選ばせてあげる、私に着いていくか、故郷に帰るか」と言っていたので、「三年くらいなら、あって無いようなモノだしいいですよ?」と私は言った。

それから師匠についていき、都会にある師匠の家に来てから、二年住んでいるが、まだ慣れることができていない。

そもそも、よくよく考えてみれば魔術師の自分がこんな近代的な暮らしをするほうが間違っているのだ。

真逆の世界に住んでいた私に、このハイテクな土地に慣れろという方がおかしいのだ。

だが、最近やっとパソコンとか言う未来の箱との格闘の末、ついにインターネットまで使えるようになった。

さらに銃の解体から組立も出来るようになったので、これで銃社会でも生きていけるような人間になっただろう。

魔術の腕も見違えるように上がり、そして師匠の夢である『聖杯戦争』の準備も整った……

……整ったというところでだ、私をこの街に連れてきた師匠は魔術協会に呼び出されてひと月は帰れず、師匠が旅立った直後に聖杯戦争を開始時刻が届いた。

一週間後、それが私に残された最後の準備期間であった。不運とも言えるが、とにかく間が悪かったのだ。

今年開催されるのはわかっていたが、まさか一週間後とは師匠も思わなかっただろう。

もし、本当に何かあれば、師匠は引き出しの三番目にある箱にある聖遺物で召喚しろと言われていた。

「ふむ……これかな?」

豪勢な金ピカに光った趣味の悪い箱だ。その箱の中には目玉が入っていた。

……本当に目玉なのか?枯れ果てているとも言ってもいいそれは目玉かどうかは分からないが、置き手紙で目玉と書かれているので、きっとそうなのだろう。

師匠が言うにはなんでも、どっかのお偉いさんが知恵を身に付ける代償として失った時の目玉らしい。

知恵を身に付けるのに片目差し出すとかアホかと私は思うが、あまり深くは追求しない。

私は、これの聖遺物を使ってサーヴァントを召喚して聖杯戦争に参加しろと言われた。

「……」

だがしかし、私は思う。片目を差し出して知恵を身に付けたなんて、絶対に根はアホかニワトリか何かだだ。

そんな根元がアホだかニワトリか何かもわからない物が召喚されたとしよう。

……上手くいくのか?元がアホなだけに知恵つけたとしたら、厄介なアホとして登場してくるだけじゃないのか?

そんなリスク見合う強さかどうかも私にはわからない。

そもそも、私は神話や史実などの歴史に関しては詳しくないのだ、だからどの程度凄いのかわからない。

ならば、せめて信頼できそうな自分に合うサーヴァントを呼び出したい。

戦うのは自分だ、別に聖遺物なんか使わなくたって私は召喚できる。

聖遺物を使わずに召喚した場合、マスターの性格に合った英霊が召喚されるというのを聞いた気がする。

そうと決まれば、私は聖遺物を箱にしまって魔法陣を部屋に書き始める。

すでに手の甲に痣……令呪がある私は聖杯戦争の参加資格を持っているのでいつでもサーヴァントを召喚できるのだ。

令呪の形は十字架の真ん中が渦巻いている変な模様だ。令呪がどんな意味を持っているのか分からないが、とにかく召喚をしよう。

一分も掛からずに、私は適当な魔法陣を書いて、召喚の呪文を唱える。

「閉じよ(みたせ)。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却するわ」

そう言えば、呪文を覚えるときに書物を見ていたら思ったのだが、閉じよと書いて『みたせ』と読んでいるらしいが、どういう意味なのだろうか。

「―――――Anfang」

「――――告げる。汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ」

「誓いを此処に。我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。」

……ここまでは完璧だ、問題はここからだ。

そういえば師匠はこの先の呪文に気をつけろーとか余計な詠唱は唱えるなーとか、なんとか言っていた気がするな。

おそらく、忘れやすい私のために師匠の気遣いだろう。

大丈夫、私も忘れっぽい人間じゃないってことを思い知らせてあげるわ!

書物を何度も読んだもの、一字一句忘れずに覚えているから大丈夫よ。

「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者。」

うん、確かこの呪文を師匠は言えって―――

……あれ?そうだっけ、まあいいや。

詠唱とかって多い方が強いの出そうじゃない?

「汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!!」

魔法陣からは大量の魔翌力が溢れ、そして一つの影が現れる。

本当に召喚できた、これが神話などの登場人物、歴史に名を残した存在……

詳しくは無いが、実際に見てみると何というか胸の内からこみ上げてくるものがある。

「おぉ……」

胸の内からこみ上げてくる……吐き気か何かだろうか、私はこういう経験は初めてなので、どういう表現をしたらいいか分からない。

気分が高翌揚して吐き気がするというのは何かおかしい気がする、お酒を飲むとテンションが上がって吐くとかそういう部類なのだろうか。

「……変なことを考えるのはやめよう」

目の前にいる存在は間違いなく一瞬で分かるほど強く、自分よりも高位の存在だと。

姿は黒い鎧を纏う騎士のような……だがしかし、体は間違いなく女のものだ。

すらりとしたボディライン、背は高く、全体的に見て、出ているところは出ているといった姿だった。正直羨ましい。

なんというか凄い美人さんで羨ましい、とりあえず劣等感を抑えながらもコミュニケーションを図ろう。

「……え、えーっと、初めまして?元気?」

とりあえず挨拶をしてみよう、ちゃんと言葉は通じるはず。

「……ア?」

目の前のサーヴァントは顔を上げて、私の方を見た。

長く柔らかそうな黒髪で相当な美人だがその表情にはまるで意思がなかった。

「……」

だが……吸い込まれるかのような蒼い瞳にはちゃんと意思があった。

「……うん、そうだね。私が呼び出したから私から自己紹介するね」

私は結んでいた髪を解いて、しっかりを目を見て言う。

「私の名前はエルナ、あなたのマスターよ」

そう簡単な自己紹介だけして、私は彼女に握手をしようとした、すると……

「……アー」


彼女は私を抱きしめた。

突然のことに状況が戸惑う私は、おとなしく彼女に抱きしめられていた。

女性に抱きしめられるというのは初めての感覚だ。

鎧の上からなので抱きしめられている感覚は分からないが……

エルナ(……なんだろう)

小さな笑みで優しく私を抱きしめられていると、不思議な気分になる。

抱きしめられるのも満更ではない。

そんなこんなで、十五分は彼女に抱きしめられながら過ごした。





エルナ「さて、あなたのステータスを見せてもらうわよ」

しばらくハグをしてから落ち着き、私は彼女のステータスを見ることにした。

マスターであるならばサーヴァントの能力をを見ることも出来るらしい。

エルナ(どう見ればいいんだろう)

カッ、とカッコよくポーズをつけて見てみよう。

そう言って、この前見たテレビ番組の全身タイツの五人組の真似をしながら彼女を見る。



【マスター】エルナ
【真名】ローラン
【性別】女性
【属性】混沌・狂
【ステータス】筋力A+ 耐久A 敏捷B 魔翌力C 幸運B 宝具A+++
【クラス別スキル】
狂化:C
魔翌力・幸運を除くパラメータを上昇させる。
代償として正常な思考力と言語能力を喪失している。


見れた、なんというかアッサリと見れた。

こう、色々と必要なんじゃないかと思ってた自分がアホらしかった。

……しかし、名前もわかったしこれで一安心なのだろうか?

名前はローラン、私は詳しく知らないけど、聞いたことはある。

何でも聖剣の担い手とか何とか……とにかくわからないことは調べよう。

エルナ「とりあえず、ローランさん?」

ローラン「……」

エルナ「えーっと、掃除とかしてないけど、そこのコタツにでも入ってて、私おやつ用意してくるから」

ローラン「……」

私の言葉に彼女はコクリと頷いた。

スキルに『狂化』と言うのがあったが、正常な思考力と言語能力がなくなっていると書かれているたが、それは本当みたいだ。

どうやら、私は『バーサーカー』というサーヴァントのステータスを底上げする代わりに理性を飛ばすスキルで召喚してしまったみたいだ。

師匠は敵にすると厄介だが、味方に来た方が厄介だとか言ってたけど……

ローラン「……」

あんな大人しそうな美人さんが厄介なはずがない、そんなわけがない。


確か、ここに師匠の紅茶と私のおやつが合ったはず……

台所で棚の高い場所にあるお菓子などを取るために私は近くにあった椅子の上に上がって取ろうとした

エルナ「あ、この紅茶結構高いやつだ」

……まぁいいや、師匠何故だか知らないけど金持ってるし。

エルナ「とにかく待たせちゃ悪いし、急いで紅茶を―――」

飛び降りる瞬間にバランスを崩して頭から落ちそうになるが。

ローラン「ダ……ブ?」

だがそれをローランさんが助けてくれた、無表情だが心配してくれているのは確かだ。

エルナ「ありがとう、助かったわ」

そう言うと心なしか彼女はホットしたようにして目の前で透明になって消えていった。

なるほど、あれがサーヴァントにしか出来ない霊体化という奴か……

メール欄に saga って入れた方がいいですよ
Fateとかは魔力とかよく出るからそのままだと魔翌力になってますよ


紅茶をいれ、お菓子を食べながらこたつに入り、ノートパソコンを使う。

その間ローランさんには申し訳ないが適当にみかんでも食べていてもらおう。

インターネットを開き、『Google』という検索サイトで『ローラン』とだけ書いて調べる。

エルナ「シャルルマーニュ伝説ね……」

どうやらざっと調べた結果、ヨーロッパの伝説上の人間で、絶対に壊れない聖剣を持つという。

一度理性を奪われたことがあり、それをアストルフォという人間が月まで行って取りに行って理性を取り戻したという

おそらく、これがバーサーカーで召喚された理由だろうか?

エルナ「理性ね……」

おそらく、私も彼女に理性を上げれば喋れるようになるだろう。

そうすれば戦略の幅とか広がるかもしれない。

しかし、どうやって彼女の理性を取り戻すか……

エルナ「月……そういえば、月の光を扱う魔術とかあったっけ?」

などと適当なことでも思い出して書物をあさり、理性を取り戻す方法を調べた。

>>13
ありがとうございます、方法が思い出せなくて少し困っていたので助かりました


中途半端で短いですが今日は終わりにしようと思います。

基本的には書き溜めなどはないので、思いついたときに少しでも書いていく形だと思います

では、皆様ありがとうございました。


面白かったです。次回も楽しみにしてます。


宝具に成りそうな武具や逸話的に
4次バーサーカーみたいな感じかな?

皆鯖のローランをもとにするのかオリジナルにするのか
どっちにしても楽しみです

目玉はオーディンかな?

乙です


>>16
ありがとうございます、読み手がいるとモチベが高まります

>>17
知る限りだと、四次バーサーカーと比べたら脳筋ですよ

>>18
参考にしている点もあるので、ステータスに関しては半分オリジナルが多々あると思います

>>19
そうですね、オーディンさんですね



さて、では今夜も書きためないので書けるだけ書いて終わろうと思います


―――――ロンドン、時計塔

「ジャックー!」

仕事が終わり、報告書の提出をした俺はしばらくのお暇を頂き自宅に帰ろうとしていた。

その途中、後ろから聴き慣れた声と共に抱きつかれた。

ジャック「エリー、後ろから抱きつくなと言ってるだろう?」

エリー「でも、ジャックの背中って抱きつきやすいんだもの、仕方ないじゃない」

そう言って頭をすりすりと俺の背中に押し付けてくる。

可愛げのあるアホ毛に、白いワンピース姿の彼女は季節が何であれ大抵同じ格好をしている。

通称『時間の止まった魔女』と呼ばれている彼女は、ある魔術結社で実験動物にされていた優秀な魔術師だった。

俺は仕事の途中で、ホルマリン漬けにしてあった彼女に見惚れ、生きていたので助けて俺はこの時計塔に入学させた。

彼女は元々が優秀な素質を持っていたことから、凡人が一年かけてやることを一週間で終わらせるほどの天才にまでなった。

もっとも、その能力を引き出した教師の存在もデカいのだが……


そんな俺の肩書きは『執行者』。

『封印指定』と呼ばれる稀有な能力を持った人間たちを保護……という名目下での拉致監禁のために命を張って捕獲する者。

言わば対魔術師のハンターと言ったところか、実力が認められたものしかなれない存在とも言っていい。

実力がなければ入れない世界だが、実力があったからといって入るような世界でもない。

やっていることは拉致監禁の上に、下手をすれば何十人と殺す。

魔術師とは過程で生み出される犠牲は気にしない質なのだろうが、俺はそこまで人間性を捨て切れるほど綺麗な人間ではない。

何十人と人を殺すなんて出来ればやりたくない。

女子供であれ容赦なく目的のために殺すというのは、やはり人として破綻しているとしか思えない。

だが、魔術師はそれを平然と行う。既に存在自体が破綻していると言ってもいい存在だからだ。

だからこそ、執行者なんて下らない職業も生まれてくるのも納得ができるが。


ジャック「はぁ、俺帰ってきたら執行者やめようかな……」

エリー「いいじゃない、やめて私と一緒に魔術の研究やろうよ!」

そう言ってエリーは笑顔で元気よく腕にしがみついてきた。

……うん、それも良いかもしれん。

エリー「あっ、そう言えば『プロフェッサー・カリスマ』が呼んでたよ?」

ジャック「カリスマが俺を……?」

珍しいこともあるものだ、あの『プロフェッサー・カリスマ』から呼ばれるなんて。

はて、何か俺は悪いことでもしたか?それともエリーの身に何か起きたのだろうか。

ジャック「とりあえず行ってみよう、エリーも着いていくか?」

エリー「私はカリスマからお手伝い頼まれてるから、それ終わったら行くね!」

ジャック「ああ、わかった」

そう言って、彼女は走り去っていった。

彼女の背を見送った俺は『プロフェッサー・カリスマ』の部屋に行くことにした。


ジャック「失礼します」

戸を叩き、部屋に入る。

ジャック「うわぁ」

そこには部屋の四分の一は占めるんじゃないかと思われる幾つものゲーム機とソフト。その数はざっとみるに500は超えている。

一年前に来た時は、綺麗な部屋だったのだが、一体全体どうしてこうなったのか。

エルメロイ「やっと帰ってきたかジャック」

ジャック「お久しぶりです、『プロフェッサー・カリスマ』」

エルメロイ「その名前で呼ぶなと言ったはずだ」

自分の目の前で書類を漁っている大体40代くらいの男性がいる。

その名はロード・エルメロイ二世、時計塔の優秀な講師として所属している。

本人は魔術の才能は三代目で凡俗なものだが、教師としての才能は一流。

彼の弟子は皆王冠(グランド)の階位を得なかったものはいない。

数十年前までは時計塔をどうこうする気はなかった様だが、最近になって根本から覆そうと必死になって各所を動かしたりして勢力図を変えようと必死になっている


ジャック「どうですか?」

エルメロイ「どうもこうも、やはり時計塔は腐っているよ。教育の環境こそ良くても……人がダメだ」

ため息をついた彼は書類から目を離して俺の方に目を向けた。

エルメロイ「さて、いきなりだが聞きたいことがある」

ジャック「何でしょう?」

エルメロイ「君は『聖杯戦争』に出るつもりか?」

ジャック「!」

……驚いた。もうそんなことまで知っていたのか。

エルメロイ「そろそろだと思ってな、第四回と同じ様に第五回目も中途半端に終わったからな時期的にはあっているだろうと思ったのだが」

ジャック「なんでもお見通しですね」

エルメロイ「ああ、君が五か月前に右手を負傷したときから気がついていたよ」

ジャック「俺が令呪を宿した時からか……」

五ヶ月前、俺は任務途中に突然右手に熱を感じたので見てみれば、痣が出来ていた。

不思議に思った俺は調べてみれば『令呪』と呼ばれる聖杯戦争への参加資格だとわかった。

どのタイミングなのかは分からないが、彼の洞察力などからすれば俺が隠し通していたことは無駄だったのだろう。

ジャック「なんでもお見通しですね……ええ、俺は聖杯戦争に参加しますよ」

エルメロイ「君には叶えたい夢があるのか?」

素朴な質問だ。でもこれは最も重要なことでもある。

ジャック「はい、俺はどうしても叶えたい夢があります」

エルメロイ「……そうか、ならば止めはしないが死ぬなよ」

ジャック「大丈夫ですよ、これでも執行者ですから。そう簡単に死んではたまりませんよ」

そう言って笑ってみたが、正直不安の方が大きすぎて少しぎこちない笑い方になっていただろう。

口では大丈夫といっても、やはり格上を相手にするのはかなり不安だ。

エルメロイ「では、君は聖遺物を用意していあるか?」

ジャック「いえ、まだ……」

エルメロイ「聖遺物なしで召喚するのも良いが……もしよければだが、三つの聖遺物が今ここにある」


中途半端ですが、今日はここまでとします

皆様、ありがとうございました

お疲れー

ここにさっそうとライバルがあらわれ先に選ばせてやるよって言われる流れ

>>28
ありがとうございます

>>29
ライバル「先に選ばせてやるよ!」

ジャック「なら俺は、このインドを取るぜ!」

ライバル「」

決して三竦みとは限らないのです……


毎日微量投下を心がけていきたいとか思いました
今日も気が向いた時間に気が向いただけ投下します


ジャック「聖遺物が三つも……?」

それだけの聖遺物を用意するのは容易じゃなかっただろうに……

……ダジャレじゃないぞ?

エルメロイ「もっとも、一つは最近の物、もう一つは私の物、そしてもう一つは第五回目に使われた聖遺物だ」

彼は引き出しの中から三つの箱を取り出し、そのうちの一つを開けた。

エルメロイ「まず、これは『モシン・ナガン』。とある戦争中に使われた銃だな」

見た感じ、相当使い込まれておりスコープなどは付いてはいなかった。

これが聖遺物だというのならば、おそらく最近の兵士が呼ばれるだろう。

エルメロイ「次に、これは私が第四次で使った聖遺物だ」

そこには赤い布が置いてあった。

本人の口から聞いてはいたが、これがあの『アレクサンドロス大王』の物なのか。

エルメロイ「最後が……第五次で使われたのだが、これは何の英霊かは分からない」

そこにあったのは赤いペンダントだった。

何の英霊かわからない、とはおそらくそのままの意味だろう。

聖杯戦争で起こったことを記録している限り、召喚された英霊がどんなものなのかと言うのは大体記録されているはずだが……


ジャック「そのペンダントはいったい誰が使っていたものですか?」

エルメロイ「遠坂凛……冬木のセカンドオーナーだよ」

『あの』遠坂凛が使っていた英霊か……

どこでそんなものを手に入れたのかと思ったが、彼女が呼び出したということは相当強い英霊のはずだ。

しかし、どのような英霊が呼び出されるのかは見当がつかない。

ジャック「そして、アレクサンドロス大王の……」

エルメロイ「強い英霊だよ、私の力量があればもっと上手に扱えていたはずだがね」

そう言って彼は遠い昔のことを思い出すかのような顔をしていた。

エルメロイ「彼の宝具は自分を慕う物たちを固有結界内に集める宝具だ、対人宝具しかないものならば間違いなく負けない」

ジャック「なるほど……実質、対人においては即死級とも呼べる宝具を持っているのか……」

エルメロイ「それに加えて、彼の戦車はAランク級の宝具……空も飛べることから空中戦もこなすことができる」

これだけ詳細にスペックが分かっているのならば、作戦も取りやすいだろう


ジャック「……わかりました」

エルメロイ「む?」

ジャック「この銃を貸してくれませんか?」

俺はモシン・ナガンを手に取った。

ずっしりとした重みがあり、神秘こそは感じられないが気持ちが引き締まる。

エルメロイ「良いのか?その聖遺物はおそらく『アサシン』のクラスで……」

ジャック「なら、なおさらです……俺は『外れています』から」

外れている、何を言ってるのか分からないが彼は察した。

エルメロイ「……相性の問題か、アーチャーやキャスターやアサシンが君にとってはやりやすいのか」

ジャック「正直格上相手は不安ですが、これしか取り柄がないですし……それに」

俺は手の令呪を見た。そこには剣の形をした痣が刻まれていた。

ジャック「軍人の心得というのも知りたい」

エルメロイ「……君がそう言うならいいさ」

ジャック「あ、この聖遺物を選んだ表向きな理由はアレですよ?情報を得ている人間が戦争にいる可能性もありますし」

エルメロイ「そうだな、情報は大切だ……だがペンダントで呼ばれる英雄はともかくだ」

彼はペンダントと赤い布を箱にしまい引き出しにしまう。

そして呆れたように、だがその顔は笑っていた。

エルメロイ「『あの人』は……自分から名を名乗るような奴だ、情報も糞もない」

ジャック「なるほど、それはそれで面白そうな人だ」


エリー「カリスマー」

彼が言った手伝いが終わったのか、ちょうど良くエリーが帰ってきた。

エルメロイ「だから、その名前で言うなと言っているだろう!子供に移ったらどうするのだ!」

エリー「え?もう移ってると思うよ?」

エルメロイ「クソ!あいつだけは血祭りにあげて時計塔の上からつるし上げてやる!!」

ジャック「大変なお弟子さんを持ったようですね……そう言えばお子さんは元気ですか?」

エルメロイ「ああ、これで三人目だよ」

ジャック「魔術師ってそんなポンポン産んでいいんですか……?」

エルメロイ「ダメに決まってるだろう、でも妻が……」

彼の妻は彼の弟子だそうで、やはり優秀な魔術師なようで、お子さんも優秀な才能を持っている。

そして、三か月前に三人目の子供が生まれた。

彼や妻が優秀な才能を多く残したいのか、それとも単に夫妻が今でも新婚気分だからか……

ジャック「さて……そろそろ私も行こうと思います」

エルメロイ「もう行くのか?」

ジャック「良ければ召喚に立ち会ってくれませんか?」

エルメロイ「私がか?」

ジャック「聖遺物を貸出してくれたのですから、エリーも来るかい?」

エリー「召喚……?どんな召喚?」

ジャック「一生に一度、見れるかどうか分からない世紀の奇跡の召喚だよ」


……日本、東京


「やめてよ……やめてよ!」

(かみをつかまれて、あたまをゆかにおしつけられて、けられて、なぐられて)

そんな日々が何日も何日も続く。

愛されたことはなく、憎まれたことは数え切れないほど。

生涯に「楽しい」と思ったことはない

楽だと思ったことは一度もない

常に怯えて、常に涙を流して。

きっといつか楽しい日々が来ると信じて。

(でも、ぼくは、はんげきできない)

でも僕は悪い子だから。

悪い子だから……そんな日々が来ても甘んじてはいけない。

訪れて欲しいと願ってはいけない


(ぜったいに、ゆるせない……)

僕は涙を流してはいけない。

僕は怯えてはいけない。

痛いと思ってはいけない。

逃げてはいけない。

心の奥底で自分に『制限』をかけて現実を受け止める。

(でも、たたかってはいけない)

望んではいけない。

夢を見てはいけない。

楽しさを感じてはいけない。

嬉しさを喜びをわかち合ってはいけない。

助けて欲しいと叫んではいけない。


でも、それももう終わり。

(ねむたく、なってきちゃった)

私のお腹には包丁が突き刺さっていた。

不思議と痛みはなく、ただただ眠たくなっていくだけ。

(これが、しぬって、こと……なのかな?)

死ぬのがこんなにも楽だとは思わなかった。

死ぬのがこんなにもあっけないと思わなかった。

ただ、怖いと、痛いと、やめてと叫ぶだけで、自分の産み親が包丁を刺してきた。

何とも僕は最後まで不幸なのだろうと思った。

でも、こんなに死ぬのがこんなにも楽なものなら、早く死ねば良かった。


(でも、最後に……)

最後に僕は思った。

欲しいものを欲しいと望んでみたかった。

将来の夢を見たかった。

楽しいと感じたかった。

嬉しさ、喜びをわかちあいたかった。

助けて欲しいと叫びたかった……。

「あいが、ほしい……!!」

愛情が、欲しかった。

何もかも欲しい、願いも、夢も、愛も、全部全部欲しい!

涙は手に入れた、悲鳴は出し尽くした、恐怖は生まれた時から感じている!

だから、どうか奇跡が欲しい……そう思った。


……ダメだ、もうおしまいだ。

目に映る光景はただただ黒。

もう耳は何も聞こえないし、呼吸もできない。

ああ、やっぱり僕の人生はつまらない人生だった。

僕は醜くて、卑劣で、弱い子供なんだ。

こんなことなら、もっと夢を見ておくべきだった。

少しでも憧れを持つべきだった。

いつか夢見たヒーロー、いつか夢見たお姫様、いつか夢見た王様。

どんな夢でもいい、くだらない夢を見ておくべきだった。

……最後でいいから、僕は夢を見たい。

一度だけテレビで見たことのあるヒーロー。悪者を倒して笑うヒーロー

そんなヒーローが僕を助けて、導いてくれる物語。

偉そうだけど、その姿は美しくて、かっこよくて……

……こんな夢を最後に見たい。











「ならば、この我(ワタシ)が見させてやる」









光だ。それも黄金の光。

気高く、美しく、汚れが一切ない光だ。

眩しいけど、その目を閉じたくはない。もっともっと見ていたい。

光の中には黄金の鎧を纏う一人の女性。

ああ、きっとこれが僕のヒーローなんだ。

これが僕が望んだ夢なんだ。

最後に、こんな美しい光を見ることができて、僕は幸せだった。

「何を勘違いしておるんだ、貴様は」

「え……?」

思わず声が出た、そして起き上がった。

目の前には自分の家の風景、そして音。

お腹には包丁など刺さっていない……

いや、刺さっていた痕跡はあった。

「起きたか、間に合ってよかったな、マスター」

上から声がしたので見上げてみれば、金色の髪に黄金の鎧を纏う女性がいた。

あの、夢の中で見た女性だ。


「なん……で?」

「夢などではないぞ、これが現実だ」

夢じゃない、そう言われても実感がわかない。

「ふふ、戸惑っておるな……おっと、形式だけだが一応言わせてもらうぞ」

そう言って女性は仁王立ちで言い放つ。

セイバー「この度、聖杯戦争において『セイバー』のクラスで君臨したギルガメッシュだ」

「ギルガメッシュ……?」

セイバー「ああ、貴様は我を『ギル』の愛称で呼ぶことを許可する」

「ギ、ギル……」

セイバー「ふふ、王の前だが……今は特別に無礼を許す、とにかくそのだらしない格好から着替えるんだ」

どう反応すればいいのかわからない、これが現実のなのかは分からないが、今は言うとおりに―――

「あっ!?」

セイバー「どうした?」

「母さんが帰ってくる前に早く逃げて!」

セイバー「母さん……?」

「あの人は怖いから、あなたを殺しちゃうかも知れない……!」

そうだ、あの人は平気で人を殺すかもしれない、いや殺しているような人間だ。

だから、せめてこの美しい人だけでも守らなきゃ……だが。

「ふははははは!私が殺される?くくっ」

そんな僕とは対照的にギルは顔に手を当てて爆笑していた。


セイバー「いやはや、我が殺されるというのはありえんよ」

そう言ってギルは僕の頭を撫でた。そして言い放つ。

セイバー「貴様の母親はもうこの世にはいない」

「え……?」

セイバー「貴様を殺そうと……いや、殺した際に、貴様の願いが成就され我が召喚されたあと、我があの女を殺した」

そうして気がついた、血の匂いがしたことに。

そうしてよく見てみると、腹を真ん中から切られている自分の母親の姿があった。

「……」

なんだろうか、この気持ちは。

自分の親が殺されたというのに、不思議と悔しさも憎しみもなかった。

いや、むしろ自分の手で――――

セイバー「その考えはよせ、子供がそのように考えるものではない」

後ろに居たギルはそう言い放った。

でも、動かなくなった親を見て殺してやりたい、思ったが……

「やっぱり、怖いや……」

セイバー「安心せよ、我がついている」

再び、優しくギルは僕の頭を撫でてくれた。

僕は振り返って彼女の姿を見た………

【CLASS】セイバー
【マスター】薫
【真名】ギルガメッシュ
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運A 宝具E~EX
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:A
幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

【固有スキル】
黄金律:A
身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。
大富豪でもやっていける金ピカぶり。一生金には困らない。

カリスマ:A+
大軍団を指揮・統率する才能。ここまでくると人望ではなく魔力、呪いの類である。

神性:B(A+)
最大の神霊適正を持つのだが、ギルガメッシュ本人が神を嫌っているのでランクダウンしている。

【宝具】
『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』
ランク:E~EX 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉
黄金の都へ繋がる鍵剣。
空間を繋げ、宝物庫の中にある道具を自由に取り出せるようになる。
使用者の財があればあるほど強力な宝具となるのは言うまでもない。
もっとも、マスターの特性により出せる宝具は制限されており、展開できる最大数は四つが限度である


薫「ステータス……?僕の名前もある」

セイバー「ん?そうか、我の能力を見たか……ところで、貴様の名前はなんだ」

薫「か、薫(カオル)です……」

セイバー「カオルか、そうか……カオル、一応聞いておくが『自覚』はあるか?」

薫「自覚……?」

何のことなのかわからない。

そもそも質問の意図すら掴めなかった。

セイバー「いや、分からぬのならいい……それよりも、この狭い空間を出て街に繰り出すぞ」

薫「えっ、ちょちょちょ、いきなり!?」

セイバー「当たり前だ、こんな雑種の臭いがする場所にいられるか!街に繰り出し貴様と我のことをよく話し合おうではないか」

薫「えっ!えぇぇええええええ!?」

セイバー「街に行けば何かあるであろう……そうだ、街で服も買ってやろう」

薫「お、お金はどうするの!?」

セイバー「この家の金をもってこい、増やす」

薫「ふ、増やすって……」

どこまでも自己中な人だと思った。

でも私はこの人に救われた。

薫(だから、ついて行こう……それに楽しそうだ)

最後に、私は母親の方を振り返った。

ばいばい、母さん


――――日本、東京


神父「今回の聖杯戦争のことについて教えて欲しい、か」

とある協会に一人の魔術師が来ていた。

名前を――――遠坂凛。

『冬木』の第五回目の聖杯戦争に参加していた魔術師の一人だ。

凛「いいから教えなさい、どういうことなの?」

神父「やれやれ、私も暇ではないし、詳しいことは知らないが……」

親父はそう言って、ポケットから何かの機械を取り出して椅子の上に置いた。

すると、半透明の文字が浮かび上がってきた。

神父「君はいつこの土地に?」

凛「ついさっきよ」

神父「ならば、最初から説明する必要があるようだね……ページ1を開いて」

機械に向かって喋りかけると、再び文字が浮かび上がってきた。

神父「私はこれで失礼するよ、君はそれで情報を得るといい……使い方は?」

凛「わからないわ」

神父「次へ、というだけで続きが見れる、あとは君の好きにしなさい」

そう言い残して親父は去っていった。

凛「じゃあ、遠慮なく見させてもらうわ。

中途半端てすが今日はここまでにします

しかし、書き溜めてあると投下前に見直せるのだが、一発で書くと見直したい点が見直せないな……

やっぱり書きためておくべきか


にょたギルってアレか
コンマテか何かにあった武内絵じゃない下乳の凄い奴か


女性ギルだと!?(歓喜

ところで銃の聖遺物ってまさかコンデンター?

>>51
そうですね、あの大正義下乳のアレです

>>52
女性ギルはふつくしいです

そして、銃はモシン・ナガンなのでキリツグさんは出てきませんね……アサシン切嗣登場させたかったですけど


今日はバイトに携帯の機種変更に色々あったので投下ができそうにない……

ので、中途半端なところを締めるだけ締めようと思います





『第六次極東聖杯戦争』

今回の聖杯戦争の舞台は『東京・新宿』

第五次の『冬木』の聖杯戦争の途中にシステムの中枢の異常により第六次からは別土地で行われることになった。

なお、聖杯について問題なく機能するもである。

今回の聖杯戦争のシステムに付いては、通常の聖杯戦争のシステムと何ら変わらない。


第六次監督役:東雲ハルカ




凛(あまりにも短すぎる……)

重要な点である前回の聖杯戦争の『異常』については書かれていない上に、何故大聖杯の状況を把握しているくせに聖杯戦争を行おうとしているのか。

前回の聖杯戦争はイレギュラーにイレギュラーを重ねたような聖杯戦争だった。

それにより聖杯戦争のシステムは完全に狂ったはずだ。

それこそ聖杯戦争が存続できないほどに……

それでもなお、聖杯戦争は『表向き』は機能している。

だが、肝心の器が存在していないのも気になる……いや、器はあくまでアインツベルン製でなければいけないとは限らない。

神父「どうですか?」

凛「どうもこうも、予想はしていたけど、予想以上だわ」

神父「悪い意味で?」

凛「当然でしょう……ところで、監督役はどこなの?」

神父「別の教会にいますよ、住所を書いておきましょうか?」

凛「ありがとう」


神父(……しかし、『あの』遠坂凛を見ることができるとはね)

神父(『時間の止まった魔女』の異名を持つ彼女は30年は経っているというのに未だ姿かたちは10代のままだ)

神父(そして、『封印指定』まだされている彼女が聖杯戦争に参加か……)

神父(報告すべきか?)

神父(……いや、東雲さんが処理してくれるでしょう)

スラスラと監督役である東雲ハルカがいる教会の住所を書き写して、彼女に渡した。

凛「ありがとう」

神父「いえ、私にできるのはこれくらいですから」

凛「ところで……あなた何者?」

神父「……」

正直、その質問をここで投げかけてくるとは思わなかった。

彼女が私の正体を見抜いたとすれば大したものだ。

神父「ただの神父ですよ」

凛「ただの神父が黒鍵握って魔術礼装を大量に仕込んでるのかしら」

……まさか、そこまで見抜いているとは思わなかった。

やはり、魔女の異名を持つ彼女ならではなのか、普通の魔術師が持っていないものを持っている。

執行者か……あるいは代行者か。そんなレベルの彼女を東雲さんが処理するのは難しい。

神父(なら、せめて今ここで処理すべ―――)

と、神父が行動する間に全ては終わっていた。

凛「ありがとうね、住所教えてくれて」

凛の手に握られているのは『トリプソン・コンテンダー』

神父「な……に?」

親父の腹には四つの穴が空いていた。

いつの間に打ったのかわからない、そもそもあの銃は構造上装填数が一発のはず―――

だが、その疑問も晴れぬまま、神父は息絶えた。

凛「……さて、私もさっさとサーヴァント召喚して監督役を処理しようかしら」

自分の銃をコートの中にしまい、その場を立ち去った。


補足 時間系列 聖杯戦争一週間前から

七日(エルナ)⇒六日(ジャック)⇒五日(薫)⇒四日(凛)

というふうになっています、時間が曖昧だったので補足させてもらいます

【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】バーサーカー
【真名】エルナ
【属性】中立・善
【年齢】16
とある国の少女、優秀な才能を持ち、それを見抜いたある魔術師が弟子として彼女を引き取り、
聖杯戦争に参加させる。
マイペースで敵味方を焦らせるような言動や行動をするが、上手く収めて結果的には良い方向に向かうことが多い。


【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】アサシン
【真名】ジャック
【属性】中立・善
【年齢】23
魔術協会の執行者。望んで執行者になったわけではなく辞めたいと思っているが、実は彼は一応天職でもあるんじゃないかと感じている。
正義感は強いが、どうも複雑に感じている


【真名】エリー
【属性】秩序・善
【年齢】18
見た目と精神年齢は中学生くらいの少女だが、一応18歳。
とある魔術結社で実験動物にされていたのところをジャックに助けられた。
実験のせいで外見が変わらなくなり、ジャックによれば『時間の止まった魔女』と呼ばれているらしい。


【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】セイバー
【真名】薫
【属性】秩序・善
【年齢】13
親からの虐待を受け続けていた子供。常に情緒不安定ではあるが、根は優しい人間である。
ただの少年……だが重大な秘密を背負っている。


【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】????
【真名】遠坂 凛
【属性】中立・悪
【年齢】30(ただし外見は18)
冬木のセカンドオーナー、第五次聖杯戦争の参加者でもある。
第五次のとある出来事によって『封印指定』を受け、外見が変わらなくなり、協会から狙われる身となった。
『時間の止まった魔女』と呼ばれている。


すごく簡単なマスター紹介を載せてターンエンド。

ということで今日はもう終わりです、今日といっても日を跨いでいますがね……

凛さん登場ということで、とりあえず風呂敷広げまくれるだけ広げてみようと思います。

あとは三日、二日、一日前と続いて……聖杯戦争開始ということで本編になりそうです。

では、短い上にかなり適当ですが見てくださった皆様ありがとうございました

時間の止まった魔女が二人いるのな
何かの伏線かな

トリプソン・コンテンダーってあの魔術師殺しと同じじゃなかったっけ?


不覚……毎日更新を心がけていたのに、昨日更新できなかったのをお詫びします

とりあえず聖杯戦争入る前まで手っ取り早く終わらせようと思います

>>62
いつもありがとうございます

>>63
伏線ではありますが……実は……

この先のストーリーを見ていけば魔女の違和感に気がつくかも

>>64
そうですね、ちなみに凛ちゃんの属性も悪い方向なので、
普段の凛ちゃんとは違います


――――日本・冬木市


「ははっ、大丈夫だって」

とある屋敷の前には一人の母親と、一人の叔父が一人の息子であり孫を見送ろうとしていた。

間桐家、かつては御三家と呼ばれる程の家だったが、今はもうその面影すらない。

間桐は没落し、無くなる寸前だった。

だが、数十年前に養子に迎えた優秀な才能を持つ少女を胎盤として生まれた子供のおかげで、今もその家は何とか存続できている。

間桐竜也(リュウヤ)、間桐の家に現れた突然の鬼才……間桐の魔術を瞬く間に理解し、完璧な行使を可能とした彼は様々な分野に手を出してきた。

竜也「心配性だよな、二人共」

桜「でも、あなたに何かあったら……」

竜也「ははっ、母さんは本当に俺のことを思ってくれてるんだなぁ」

母さん、と呼ばれた少女こそ間桐桜……元々は遠坂家の娘だったが事情により間桐家に養子に出された少女。

彼女は本気で自分の息子である竜也を心配しているが、その目に光はなかった。

臓硯「じゃが、お前は優秀な孫じゃ……何あったら大変だからのぅ」

そして、この今にも死にそうな爺さんこそが間桐臓硯。

聖杯戦争におけるサーヴァントシステムと令呪を生み出した人間……いや、正しくは『妖怪』と言ってもいい。

彼は500年前から生きており、人の体を捨てて蟲の体に置き換えた人ならざるものだ。


臓硯「ワシも準備が出来次第お前を援護しに行く」

竜也「うん、ありがとう爺さん……それじゃ、このままズルズル引きずるとアレだし」

竜也は手持ちのカバンを持って歩き始めた。

竜也「さっさと行くことにするよ、俺が大丈夫だって連絡は二日に一回するから心配すんなよ母さん!」

そう言って門の前まで歩いていくと、竜也は思い出したかのように。

竜也「爺さん……『取引』は本当だな?」

と、笑いながら振り返って臓硯に向かって言葉を放つ。

竜也「俺が聖杯を持ち帰ったら、爺さんは俺に不自由のない暮らしを提供してくれる……もちろん母さんにもだ」

臓硯「案ずるな、ワシは聖杯により無限の時間を手に入れる、そうすれば貴様に不自由のない暮らしの提供なぞ一瞬の出来事に過ぎない」

竜也「ははっ、期待してるよ」

そう言い残して彼は再び歩み始めた。


『しかし、訳ありの家族のくせして、表面上幸せそうだな』

霊体化して見えない体となっている竜也のサーヴァントが話しかけてくる。

竜也「ははっ、僕は少なくとも幸せさ……母さんは吹っ切れたような感じだし、爺さんはもうすぐ死ぬ」

死ぬ、と言い切ったあたり彼は臓硯がどの様な状況に陥っているのか理解しているようだった。

『死んでしまったら取引は成立しないぞ?』

竜也「あのしぶとさだ、聖杯戦争終了までは持つさ」

『確かにあの気持ち悪い爺さんなら生きるだろうな』

竜也「……僕はだた不自由のない暮らしを体験してみたいからね、アレには死んでもらっちゃ困る」

『お前は本当に心が読めない人間だよ』

警戒しているような、不思議に思っているような声でサーヴァントは言う。


竜也「未来は見えかけてるのに?」

『未来視の千里眼なんてあって無いような物だ、そもそも俺は平凡な人間だ』

サーヴァントは呆れた声で自虐を始めた。

『たまたま選ばれた仕事を全うしたら、たまたま千里眼を身につけただけだ……それ以外は英雄なんて呼べるところは何一つない』

竜也「そうだね、君自身はそんなに有名じゃない」

『なのに、この国では知名度補正が俺に対してかかるあたり、やっぱり不思議だよ……日本は』

竜也「ははっ、僕もそう思うよ」

そう言って笑った瞬間、彼は何かに気がついて立ち止まった。

竜也「しまった――――!!」

『どうした!?竜也!』

竜也「――――駅どっちだっけ」

魔術においては鬼才と呼ばれる才能を持つ彼の弱点は、驚異の方向音痴であることだった。


――――日本・東京


視界がぐにゃりと歪む、それもそうだ。

自分が起きてから二ヶ月は経つが、毎晩死の恐怖に悩まされている。

そのせいか、未だに日常生活で自分は目隠しを取ることができない。

自分は三年前、事故に遭って死の淵に立たされた。

気がつけば月日は流れており、起きてみて最初に見えたものは「線」だった。

最初は起きたばかりで目がおかしくなっているのだろうと思っていたが、数日してから病室に置いてある花にも線が見えたので、試しに指でなぞってみた結果、なぞった部分から花が枯れて落ちていった。

この時点で、自分はおかしな能力に目覚めたのだと確信した。

そうして、能力に気付いた日からずっと、寝るときには毎晩悪夢……死の恐怖を体現したような悪夢を見るようになっていた。

そうして、退院の時だ。

どうにか体力もある程度付いて、帰宅も許されることになった。

結局、目のことは先生にも話せないまま、帰宅している途中に急に手の甲が燃えるように熱くなった。

見てみると、そこには痣が出来ていた。

数分前までは何もなかったところに痣ができているのは不思議に思ったが、どうせ不思議な力がまた目覚めたのだろう、などと思ってその時点では考えるのをやめた。



そうして、家に帰った自分が最初にしたことは、目隠しを取って自分のベットの上にある布団に飛び込むことだった。

三年ぶりに帰った自分の部屋は、掃除こそされていたものの、何も変わってはいなかった。

久しぶりふかふかの布団だった、やはり落ち着ける場所は病院のベッドではなく自分の部屋だな、と実感した。

と、ゴロゴロと久しぶりに自分の布団を堪能しながら転がっているうちに、ベッドから転がり落ちた。

すると、不意に床のカーペットに目が行った。

父親が何処からか貰ってきたカーペットで、カーペットには模様は丸い円の中に花やら人やら色々な物が写っていた。

どこかの安物のはずだったのだが、そのカーペットが急に光り始めたのだ。

自分の記憶が正しければ、カーペットに光る機能なんて無かったはずだが……。

そう思ったのも束の間、カーペットから煙が吹き出て自分からだが床に押し付けられた。

何かが自分の上に乗っている、というのが分かったが誰が乗っているのかは分からなかった。

まさか母親か?などと考えている内に言葉が飛んできた。

「ん……?マスターは君か?」

と、それが自分のサーヴァントとの初めての出会いだった。


「お母さん、おかわり」

「私もいいですか?」

母「ええ、どんどん食べてくださいね」

と、三人で食卓を囲んでいる。

一人は俺、藤堂空(トウドウ ソラ)。高校三年生――――と言っても丸々三年間留年した結果、二十歳の俺は学校でも中々友人のできない異様な空気を漂わせた高校三年生だった。

そして、もうひとりは俺の母親だ。眠ってる俺を三年間面倒見てくれたいい母親だ。

そして、もうひとりが――――。

母「いやぁ、ソラちゃん女の子なのに食べっぷりがいいから私もドンドン作ちゃうわぁ!」

空「キャス……ソラ、お前はよく食べるな」

ソラ「お母さんの料理は美味しいのでついつい、食べ過ぎてしまいます」

もうひとりが俺のサーヴァントであるキャスター。

腰まで届く長い黒髪に俺と同じ学校の学生服。

日本人ではないので、かなり目立っているが、それを抜きにしても可愛いので目立つ。

元々は美人で巨乳で背の高いキャスターだが、母がいる前では俺と同じくらいの年齢になる魔術を使う。


ソラ、と言うのは真名ではないのだが『ふむ、空か……よし、私もソラという名前で現代を過ごそう』などと言い出して、何処からか制服も仕入れてきて『今家族が旅行で……一人で夜を過ごすのが小さい頃からのトラウマなんです、空君とはお付き合いさせてもらっている関係で、良ければ数日私を家においてもらえませんか……?』などと言って、堂々と居座っていた。

ソラ「ふぅ、ごちそうさまでした」

母「うんうん、お風呂も沸いているから入りなさいな!」

ソラ「ありがとうございます」

ソラが来たころは母は驚いていたが、すぐにソラは俺たち家族に馴染んだ。

空「ごちそうさまでした」

ソラ「空、後でちょっといい?」

空「ああ、わかった」

キャスターが召喚されたときは、色々と混乱して、突然聖杯戦争やら魔術やらと、色々聞くうちに非現実的な話だが『自分の目も同じようなものだ』と無茶苦茶な会解釈をして自分自身を納得させた。

自分の目のことも聞いてみると、キャスターは『生き物を殺す目』だと言った。

自分に見えている『線』は死の線だといい、それをなぞれば生きているものならば必ず殺すことができる魔眼だとか何とか。

中二病も良いところだと思ったが、自分自身に起きている出来事なので複雑な気分だ。


食事を終え、ソラは俺を部屋に呼び出した。

ソラ「さて、そろそろ聖杯戦争が始まる」

空「そうだな」

ソラ「だが、私たちは圧倒的に他に比べて遅れている」

聖杯戦争のおおまかな内容は聞いた。生き残れば願いが叶う、サーヴァントは過去に生きた人間、令呪はサーヴァントに命令できる権利など。

そして、命をかけて戦う死ぬ覚悟がなければ戦えない戦争だということもわかった。

ソラ「そこで、君を鍛えたいと思う」

自分は魔法使いでもなければ強い武術の達人などでもない。

だが、他と違うとすれば、魔眼の存在だろう。

生き物を殺す、それはサーヴァントも例外ではないらしく、一矢報うこともできるかもしれない。

ソラ「私の宝具を使い君を二日間で並に魔術師や戦士にする」

空「は、はぁ」

ソラ「安心しろ、多少スパルタではあるが問題はない」

空「……」

可愛い顔して、かなり凶悪なことを言うキャスターだが。

空(いや、顔は普通に可愛いからなんか特した気分になれるんだが……)

ソラ「とりあえず、私は風呂に入ってくるから運動しやすい格好に着替えろ」

空「あ、ああ」

だが、キャスターは考えていることが読めない。

ずっと一人で何かを考えているようだが、自分に心を開いてくれない。

それだけが懸念だった。それだけが少し残念だった。


―――東京、羽田空港

「ここが日本……」

白い髪に白いコートを来た少女が日本に降り立った。

アインツベルン、冬木の聖杯戦争における御三家の一人。

その一人が第六次の聖杯戦争に参加する……当然ことではあるが、第五次の影響と遠坂凛によって壊滅状態のはずだったアインツベルンが参加するのは珍しいことだった。

「あぁ、遠坂さん会えるかなぁ……いつの日かの復讐をしたいわぁ」

ニタニタと笑いながら自分の荷物を従者……ホムンクルスに持たせて自分はスキップで歩く。

「ねぇ、あなたも早く戦いたいでしょう?」

そう言って虚空に呟く。

一見変人にしか見えないが、言葉は確かに伝わっていた。

『ああ、僕も戦いたくてウズウズしてるよ、ミリア』

ミリア、それこそがアインツベルン家からの出された魔術師の名前だった。

ミリア「うふふ、ねぇねぇ、日本ってニンジャでサムラーイなんでしょう!」

と、従者の一人であるクロエに話しかける。

クロエ「はい、私の出身である日本はニンジャや侍がいましたよ」

クロエはホムンクルスではないたただの魔術師である。

ミリアの従者の中で唯一ホムンクルスではない、ただの人間だ。

ミリア「そう言えば、あなたもニンジャでサムラーイなんでしょう?」


クロエ「い、いえ、私は忍者でも侍でもないですよ?……似たようなものに見えるかもしれませんが」

戸惑ったようにクロエは言うと、ミリアは「つまんなーい」と言って興味をなくしたように歩き始めた。

クロエはその様子をみて少し考えて言った。

クロエ「では、少し技を調べて身につけてみようと思います」

そう言うと、ミリアはパッと笑顔になってはしゃぎ始めた。

クロエ「……」

そんな様子をクロエは微笑ましそうに見ていた。

クロエ(忍者に侍……興味はあったので調べてみますか)

などと考えていると、クロエは唐突に携帯を取り出して。

クロエ「どうしました?」

と、電話に出た。まるで掛かってくることが分かっていたかのような早さだった。

そして、要件が終わるとクロエは携帯を胸のポケットにしまってミリアに話しかける。

クロエ「最高級のホテルを貸し切って魔術工房を作成しておきました」

ミリア「あら、完成したの?早いわね……そう言えば明日だっけ?」

クロエ「はい、明日聖杯戦争が開始されます」

ミリア「そう……準備整っているのなら大丈夫よね?」

クロエ「はい!私が観光地をまとめておきました」

ミリア「流石だわ!じゃあ行きましょう!……あなたたちは私の荷物を運んでおいてね」

そうホムンクルスに命令して、彼女はクロエが用意していた車に乗り込んだ。

ミリア「うふふ、楽しみだわぁ……」

そう呟くと彼女は眠ってしまった。

クロエ「おやすみなさい、ミリアお嬢様」



――――それぞれの思いが交錯する聖杯戦争。

勝者は一人、死ぬか生きるかのバトルロワイヤル。

七人のマスターが七つのクラスに分かれたサーヴァントを操り、戦う戦争……

だが、歯車が狂ったこの戦争において、そんなものは過去のことだ。

「……ここは」

狂った歯車が、狂いながらも動き出す。

アンノウン、未知の聖杯戦争に未知のサーヴァントがやって来る。

「……そうか、俺はあの時」

このサーヴァントがどのように戦局を変えるのかはわからない。

狂った聖杯戦争に未知の存在が現れて何かが変わる可能性も低い。

だが、狂った中でも変わらないものが、たった一つ。

勝者は一人、それだけはいつの時代も変わらない。

「さて、行くか」

今、聖杯戦争が始まろうとしていた。

【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】???
【真名】間桐 竜也
【属性】混沌・善
【年齢】18
御三家の一人である間桐家から出た魔術師。
事あるごとに『ははっ』と言って笑うのが癖になっている。
あらゆる分野に手を出したエキスパート。
余談だが、彼の父親は彼の使い魔として元気に蟲としての生活を送っている。

【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】キャスター
【真名】藤堂 空
【属性】秩序・善
【年齢】20
事故で三年間昏睡状態に陥った彼が身につけた『物を殺す魔眼』を持つ少年。
なんとも不抜けた感じで、聖杯戦争に対しても実感がわかないせいで軽い気持ちでいる
それでも、戦おうとする意思はある

【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】???
【真名】ミリア
【属性】混沌・善
【年齢】18
アインツベルンから来た魔術師。
不気味な雰囲気と、ほかとは違う何かから外れた感じの人間。


【真名】クロエ
【属性】混沌・善
【年齢】16
執事の服を着た少女。
ミリアの従者として、常に傍らにいる。



……ふぅ、とりあえず今日はここまでにしよう

とか思いましたが、気が向けば聖杯戦争一日目を途中まで書きたいとか思いました。

とりあえず今日はここまでにして、気が向けば予告なし投下しようと思います。

では、皆様ありがとうございました、また明日。

乙でした 竜也父親は士郎じゃないんですねこれ


>>82
桜「はい、お父さんは蟲として元気にやってますよ」

もしかしてワカメ…
ところで主人公っている?

>>84
ワカメ……を爽やかに女っぽくしたのを想像すれば竜也さん完成です。


実は主人公という主人公が正直いないのです。
一応候補は決まっているのですが……

視点を切り替えながらの進行にしようか、一人の主人公の視点だけで進めようを悩んでいます

なるほど、群像劇として観れば良いんですね


>>87
ありがとうございます
張れるだけ張って回収を一気にしようと思います

>>87
まぁそうですね、どの様な展開になるのか、だれが生き残るのかなど予想していただいたらと思っています
主人公級が唐突に死ぬような展開を目指しています(ゲス顔)

主人公を定めなかったからどっちが勝つかわからないから良いと思うよ
ただ、それだけに書き手の力量が必要やけど

がんばれー

クロエってプリヤのあの子?

>>89
割と力量低いので、低いなりにがんばります

>>90
姿はそれを想像してもらって構わないです


――――東京・新宿

バーサーカー「はぁぁぁああああ!!」

ランサー「せいや!」

幾つも並ぶビルの上で二つの影が交差する。

ひとりは黒髪の女性。黒の刃に金の装飾がされた剣を持つバーサーカーのクラスのサーヴァントだ。

ランサー「くっ、狂化している割には随分と小回りの効いているバーサーカーだな!!」

そしてもう一人は白い鎧を纏う男性。白銀の十字槍を持つランサーのクラスを持つサーヴァント。

両者は互角に見える戦いをしているが、その現状はランサーが押されていた。

バーサーカーは本来、理性を消してステータスをあげるスキルである『狂化』を持っているが、目の前のサーヴァントは明らかに理性がなくなっている様子はない。

ランサー(バーサーカーのスキルや宝具によるものか?)

ランサーは知名度による補正、宝具による補正で何とかバーサーカーと戦えているものの、やはりバーサーカーの技の技術がそれを上回っていた。

ランサー「マスター!そっちは大丈夫か!?」

ランサーは自分のマスターに連絡を取る、自分のマスターも敵側のマスターとの戦闘している。

バーサーカーを自分が倒すのは難しいので、足止めのためにバーサーカーとは戦っているが……

竜也「ははっ、超楽しいよ!!」

などと返ってきた、何が楽しいだと思ったが、おそらくかなり苦戦しているのだろう。


エルナ「君、本当に強いね!」

竜也「そっちこそ!僕に負けないくらい強いじゃないか!」

エルナは巨大な杖を持って呪文を唱える。

すると、何も内ところから出てきた悪霊や鬼が竜也に襲いかかる。

それに対して竜也は難なく一冊の本を出して、黒い刃などで悪霊を切り裂いて対処する。

そんな戦いをお互いに五分ほど繰り返しているが、魔力をそれほど消費しているようには見えない。

エルナ「でも、泥沼ね……バーサーカー、ランサーを倒しちゃって!」

竜也「やっぱり、そうくるよね……でも、ランサーの宝具なら迎撃できるだろ!」

ランサー「無茶言うな!真名露呈してもいいのか!?」

竜也「いいじゃないか、君の真名なんて露呈したところで何の問題もないんだから」

と言って彼は『ははっ』と笑う。


竜也(とは言っても真面目にキツいんだよなー……)

正直、一日目のそれも始まってから一時間で出会った相手が自分よりも若干レベルが上の相手だった。

魔術師の強さで言えば同等(だと思いたい)が、やはりサーヴァントの強さはそうもいかない。

あちらは恐らく、大英雄などの類だが、こちらは知名度補正こそあるものの英雄自身はそれほどではない。

なので、まともに戦えば僅差で削られながらこちらが敗北するだろう。

正直、目の前の相手は正面から真っ向に戦うような相手ではない。

乱戦になれば上手く逃げ出せるのだが……

ランサー「マスター!新たなサーヴァント反応だ!」

と、嬉々として連絡してきた。

いや、なんか複雑な気分だが乱戦に持ち込んで上手く脱出するチャンスでもある。

竜也「よし、ランサーはそのままもう一人のサーヴァント巻き込んで上手く乱戦にしてくれ!」

ランサー「ああ!」

と、命令してランサーが動こうとした瞬間だった。


竜也(とは言っても真面目にキツいんだよなー……)

正直、一日目のそれも始まってから一時間で出会った相手が自分よりも若干レベルが上の相手だった。

魔術師の強さで言えば同等(だと思いたい)が、やはりサーヴァントの強さはそうもいかない。

あちらは恐らく、大英雄などの類だが、こちらは知名度補正こそあるものの英雄自身はそれほどではない。

なので、まともに戦えば僅差で削られながらこちらが敗北するだろう。

正直、目の前の相手は正面から真っ向に戦うような相手ではない。

乱戦になれば上手く逃げ出せるのだが……

ランサー「マスター!新たなサーヴァント反応だ!」

と、嬉々として連絡してきた。

いや、なんか複雑な気分だが乱戦に持ち込んで上手く脱出するチャンスでもある。

竜也「よし、ランサーはそのままもう一人のサーヴァント巻き込んで上手く乱戦にしてくれ!」

ランサー「ああ!」

と、命令してランサーが動こうとした瞬間だった。


すみません、投下できるのは今日はここまでです


赤い鎧を纏う黒と白の双剣を持つ男がバーサーカーとランサーの間に割り込んできた。

ランサー「なっ―――」

尋常じゃない速さ、ランサーのクラスでさえも凌ぐほどの速さに驚愕する。

ランサー(Aランク以上の速さ……俺と同ランクかあるいは……)

赤い鎧を纏う男はボサボサな頭をした若い少年だった。

少年「……」

バーサーカー「……へぇ、やるじゃん」

と、バーサーカーがここで初めて言葉らしい言葉を発した。

やはりこのバーサーカーは理性が無くなっていない。

バーサーカー「名乗りな、あんたはなんのクラスだ?」

ランサー「名乗り返す馬鹿がいるか……つっても、どうせセイバーかはたまたライダーか何かだろ?」

少年はゆっくりと双剣を鞘にしまい、何もない所から別の双剣を取り出す。

アンノウン「……アンノウンのクラスで現界するサーヴァントだ」

竜也(アン…‥)

エルナ(……ノウン?)


アンノウン、未知のクラスということだろうか?

突然の出来事に戸惑う二人のマスター。

竜也「―――なるほど、エキストラクラスと言う訳か」

本来のクラスとは別に存在する特別なクラス。

過去に第三次聖杯戦争で『アヴェンジャー』などというクラスが登場したという記録もあるが……

エルナ「どれどれ、ステータスは……」

と、両手で輪っかを作って覗いてみると……


【マスター】-
【クラス】アンノウン
【真名】???
【性別】男性
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷B 魔翌力B 幸運B 宝具?
【クラス別スキル】
奇跡の具現化:A
このクラスを持つ者は、その土地での知名度が高ければ高いほど、
ステータスが上昇する。


エルナ「元々ある知名度補正に加えて、さらにスキルでも補正をかける……」

なんとも厄介だ、このクラスを持つ英雄がもしその土地で有名な英雄だったら、知名度による補正で全ての能力がAランクでもおかしくないステータスになる。

だが、不可解に思ったのは知名度による補正がかかっているはずの彼の姿はステータスがまるで不自然だった。

エルナ(補正がかかっているのに全てB……彼の能力によるもの?それともスキルは持っているものの知名度が全くない英雄……)

おそらく後者の説が正しいだろうと感じたが、そこでひとつ疑問が残る。

エルナ(あのステータスを見る限り、マスターは不在……マスター不在で彼がランクBを保っていられるのかな?)

マスターの強さでサーヴァントはその力を発揮できる。

だが、マスター無しで全てのランクをBで保つことができるのか……?

エルナ「だぁぁぁああああ!!まどろこっこしいこと考えるの私は嫌いなの!」

竜也「なら、わかりやすくここはお互いにあのサーヴァントを――――」

と、竜也が素晴らしい提案をしようとすると。

エルナ「バーサーカー!必要なら令呪によるブーストも考えるから二人まとめて潰しちゃって!」

バーサーカー「いいねぇ!その思い切りの良さ!!」

エルナ「どうせ知名度もないだろう雑魚ランサーに加えて魔力供給のない雑魚サーヴァント相手なら貴女ひとりでも相手できるわ」

バーサーカー「ああ!余裕だよ!」

竜也「えぇぇぇええええええ!?」

エキストラクラスじゃなくてエクストラクラスだと思う
エキストラだったら逆に面白いが


竜也「君バカだろ!?僕がせっかく素晴らしい提案を」

エルナ「バカはお前だ!ここで雑魚一掃できるチャンスなのになんで、私が雑魚と組まなきゃいけないんだ!」

竜也(ははっ……ダメだ、完全にこいつの脳筋だ)

心の中で呆れる竜也だが、こうなっては仕方ないのでランサーにはアンノウンと協力してバーサーカーを倒すように命令する。

アンノウン「人がマスターをみつけようと必死になっている中で、なぜ俺を巻き込むのか……」

バーサーカー「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと構えな!」

と、バーサーカーが剣を振りかぶるが。

アンノウン「―――その剣は知っているぞ」

そう言って彼はバーサーカーの持つ剣と同じものを取り出した。

バーサーカー「何―――?」

バーサーカーのもつ剣、それは聖剣デュランダルと呼ばれる剣で、シャルル王から受け取った唯一無二の剣。

バーサーカー「なんで、お前が私の剣を!?」

アンノウン「逸話では、お前が死んだあともデュランダルは戦で使われ続けた……」

そう言って彼はバーサーカーの剣を剣を受け止めた。

全くの同じ剣を持つ二人が競り合っていた。

>>102
ファー、恥ずかしい間違いをしていました、指摘ありがとうございます


エルナ(デュランダルをもつものが二人……確かに、ローランが死んだあとも戦では使われ続けたって言うけど)

赤い鎧に双剣を幾つも取り出す、ローラン以外でデュランダルを持つ英雄……

エルナ(……ダメだ、神話や伝説に疎い私じゃわからない)

これだけの情報が出ているのにも関わらず、彼女は見当たる英雄を知らない。

ローランの周りや、デュランダルの経緯など全てを調べたつもりになっていたが、一から調べなおすべきかと考えていると。

エルナ(―――人?)

エルナが張った結界に誰かが入り込んだのがわかった。

おそらくは一般人、魔術師ならば安易に入ろうとはしないはず。

ならば一般人以外ありえないのだが、人払いの結界も兼ねている結界に一般人が入れるのか?

エルナ(もしかしてまた術式ミスったかな、一般人だったら結構拙いな)

エルナは才能は持っていても結界を張るのが何故か苦手という変な魔術師。

得手不得手はあるにしても、簡単な魔術でさえ失敗することのある魔術師だ。

エルナ(うーん、バーサーカーもあのサーヴァントに対してすごく興味示してるし、喧嘩売った手前いまさら撤退もカッコ悪いな、でも一般人は処理しておきたいし)


エルナ(……ランサーのステータスは)


【マスター】間桐竜也
【クラス】ランサー
【真名】???
【性別】男性
【属性】中立・善
【ステータス】筋力B 耐久D 敏捷A 魔翌力C 幸運A 宝具?
【クラス別スキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。


エルナ(典型的なランサー……でも幸運Aって結構凄いことなのかな)

などと、ランサーとアンノウン、そして自分のバーサーカーを見比べてから少し悩んだあと、彼女は大きな声で言い放った。

エルナ「バーサーカー!撤退しよう!」

バーサーカー「はぁ!?いまさら!?」

エルナ「そのサーヴァントの持っている剣はおそらく本物だけど……彼は英雄じゃない」

竜也「なっ!?」

ランサー「どういうことだ?」

エルナ「私の持つ左目の魔眼……人かどうか、英雄かどうかを見極められる程度の能力を持つ」

と、エルナは赤色に染まった左目の魔眼を見せた

エルナ「私は彼を見たとき、最初は英雄かと思ったけど……彼は赤い鎧で『自分はサーヴァントである』かのように私たちを騙して、私たちのどちらかを確実に手っ取り早く潰そうとしている、何処かの陣営の魔術師よ」


竜也「……確証こそないものの、確かにその説も捨てがたい」

ランサー「……どうするんだ、ここでバーサーカーと協力してアレを倒すか、どさくさに紛れて撤退するか」

竜也「様子見だ」

バーサーカー「だからって、どうしたんだい?アレが本物だって言うなら戦って取り返す他ないだろう?」

エルナ「おそらくアレは現代で発掘された剣よ、本物と全く同じなのも無理ないわ」

バーサーカー「……なるほど」

エルナ「アレを持っているなら、私たちの真名はバレている……当然、あなたの対策も取られているはず」

バーサーカー「だからって逃げろと?」

エルナ「あなたがアレと戦っている間に、『本命』のサーヴァントが私を襲いに来たらどうするの?」

バーサーカー「!?」

と、バーサーカーは「しまったぁ……」などと落ち込むような仕草をした。

バーサーカー「すまない、エルナ……」

エルナ「いいのよ、あなたは戦っていれば、私が付いているから」

と、優しくバーサーカーを抱きしめる。

竜也は「なんだこいつら」みたいな目をしているが二人の空間にはとても入り込めない。

これで、バーサーカーは納得させた。

ランサーの陣営も納得した。

あとはあの魔術師をどうにかしなきゃいけない……。


いや、どうにかする必要なんてない、ここは潔く……

エルナ「よーし!ここは急いで撤退よ!」

バーサーカー「ああ!」

と言って、お姫様抱っこでバーサーカーはエルナを抱き上げると、ビルの上から飛び降りて、街の中に消えていった。

竜也「……ははっ、本当に変なマスターだな。さて、僕らも……ランサー?」

ランサー「……お前なにものだ?」

ランサーは槍を構えて警戒を解かなかった。

アンノウン「そりゃ俺に言ってるのか?」

ランサー「当たり前だ、バーサーカーのマスターはお前を魔術師と言っていたが、俺にはそうは見えない」

アンノウン「当たり前だ、俺はごく普通のサーヴァントだ」

竜也「え?」

アンノウン「あのエルナとかいうマスターは本当に大したもんだよ……」

ランサー「どうでもいい、お前は戦う気があるのか?」

アンノウン「いや、ないよ……俺はマスターを探しているだけだ」

ランサー「マスターを?」


アンノウン「俺のマスターになってくれる都合のいいマスターを」

竜也「お前は単独行動のスキルがついている訳じゃないはずだ、お前が本当にサーヴァントならばわかっているはずだ」

ランサー「ここで逃がしてマスターを得手強化されるよりかはここで仕留めたほうがいい」

確かに、彼らの言っていることは正しいが……

アンノウン「俺はマスターになってくれるなら誰だっていい……ランサー、おまえこそマスターなんて枷を外したほうが強いと思うのだがな」

ランサー「……なに?」

アンノウン「ま、お前らにはわからないよ……マスターなんて、ただの『枷』にしかすぎない」

竜也「……お前は本当に何者なんだ?」

アンノウン「アンノウン、未知のサーヴァントとしか言い様がないな」

そう言って彼もバーサーカーを追うようにビルの上から飛び降りた。

残されたランサー陣営は後ろ姿をただ眺めるだけだった。

ランサー「……枷、か」

竜也「確かに、マスターというのはサーヴァントにとって枷でしかないはずだ」

ランサー「でも、その枷がなければ生きていけない」

竜也「……」

竜也は静かに考えながら自分の陣地に戻った。


バーサーカーは自分のマスターであるエルナをお姫様抱っこで抱き抱えながらビルの上を飛びながら、エルナが張った結界に向かっていた。

バーサーカー「……エルナ、あれ嘘だろ」

エルナ「え"っ」

バーサーカー「魔眼なんてお前にはないし、あれは間違いなくサーヴァントだ……鎧で云々とかも嘘だろ」

エルナ「……」

そう、全てはエルナがでっち上げたことだった。

鎧のことも、あのアンノウンも全て嘘っぱち。

それをまさかバーサーカーに見破られるとは……

バーサーカー「私を撤退させるためなのはわかっていたけどさ……」

エルナ「お、怒ってる……?」

バーサーカー「……私もお前を守ることを忘れてたから、それでチャラ……でいいか?」

エルナ「うん、ごめんね?そしてありがと、ローラン」

バーサーカー「う、うるせぇ!照れるだろ!」



すみません、予告なしで投下しましたが

今日はここまでにしようと思います。

皆さんありがとうございました。


アンノウンって題名のunknownか
そして改めてわかる、ローランの手綱を上手く握っとかないとやばい感


キャアァァァァシャベッタァァァァァァ!

ランサー癖に幸運Aだと、お前ランサーじゃないだろ

>>112
タイトル回収ですね
ローランさんは脳筋ですから……

>>113
エルナ「私が優秀ですから」ドヤァ……

>>114
ほ、補正でAになってるだけだし……(震え声)


今日は夜に投下できるかわからないので、さっさとできる分だけやろうと思います


顔を赤くしてローランは照れた素振りをする。

だが、そのローランの心情はと言うと。

ローラン(あぁ……私がお姫様抱っこしているからか、照れているエルナに『ごめんね?ありがと』何て上目遣いで言われたら当然照れるわ。アストルフォみたいに私の理性も蒸発してしまうわ……あぁ、エルナをふかふかのベッドの上に押し倒して、それから……)

などと、若干危険な考えを持っている彼女、バーサーカーは実のところアレな人ではある。

愛が重い、と言うよりは同性愛として愛が強いだけなので今のところ危険はないはずだが……

エルナ「どうかした?……怒ってる?」

バーサーカー「えっ!?いや、怒ってる訳じゃない、ちょっと興奮しているだけよ」

エルナ(そっか、さっきまで戦ってたもんね……)

バーサーカー(ヤバイ、今の『怒ってる?』とかすっっっっごい好みの言い方だった)

お互いに想像していることは違うが、会話は成り立つ不思議な空気で包まれている二人だった。

バーサーカー「あ、そういえば何で私を撤退させたんだ?」

エルナ「えーっと、私も頭に血が上ってて単純にごり押しでいけるかと思ったんだけど……余りにも無茶すぎたと思ったのが三割」

バーサーカー「まぁ、普通に宝具使えば勝てたけど」

エルナ「私の陣地に一般人が入ってきたので、急いで結界の補修しなきゃと思ったのが七割よ!」

バーサーカー「いや、それ威張って言うことじゃないでしょ……」

エルナ「どうしてか、私には結界が張るのが苦手なのよね……」

バーサーカー「じゃあ、結界じゃなくて他にもっとさ、こう……ゴーレムみたいなのとか置いて入れないようにしたら?破壊されたり細工されたら駆けつければいいわけだし」

エルナ「ローラン、あなた頭良いわね」

バーサーカー「いや、エルナが鈍―――」

エルナ「ヒャッハー!ゴーレム作りだぁ!」

バーサーカー(聞いてない、でも可愛いからいいや)

と、バーサーカーはエルナの結界までやってきた。

バーサーカー「よし、一般人のところまで連れてきたぞ」

エルナ「うん、バーサーカーはやっぱり有能ね」

来たのは高層ビルの前だった。

ここが師匠とエルナが住処としている場所だが……

バーサーカー「悪い、もうちょっと着地場所考えるべきだった」

エルナ「ん?でも私の指示したとおりに一般人の前に降り立ってくれたじゃない」

バーサーカー「まぁ、結界に入ってきた一般人の前に降り立てって言うのが命令だったけど……」

目の前には、まるで世にも奇妙なものを見たかのような目でバーサーカーたちを見ているポニーテールの女子高生が居た。

それもそうだ、何処の世界に上からお姫様抱っこで人を抱えながら、当然のように現れる人間が居るのか。

エルナ「可愛い女学生だわ……って、なんで奇妙な物を見ているかのような目をしているのよ」

バーサーカー「そりゃ、目の前の彼女は魔術の世界に入っているわけじゃ無いかもしれないし、人が空から振ってきたらビビるでしょ」

エルナ「そういうものかしら?」

バーサーカー「そういうものだ」

などと、会話をしていると女子高生は叫び声も上げずに勇気ある一言。

「えっと、誰?」

エルナ「誰と呼ばれて答える馬鹿は居ないけど、呼ばれちゃ答えるのが私、魔術師のエルナよ」

バーサーカー「サーヴァントのバーサーカーよ」

女子高生「……」

まるで不審者を見るかのような目に変わった。

エルナ(……もうちょっとカッコよく自己紹介すべきだったかしら)

バーサーカー(問題はそこじゃないぞ、本題に入ろう)

バーサーカーはエルナの言動に呆れながらも念話使って二人は会話をして本題に入ろうとする。

エルナ「ねぇ、あなたの手を見せてくれない?」

女子高生「え?あ、はい」

と、言われたとおりに女子高生は手をエルナに見せるた。

手は何の手変哲も無く、細くて綺麗な手をしていた。

エルナ「……綺麗」

バーサーカー「そうだな、だがエルナも負けてはいないわ」

エルナ「ありがとう」

エルナ(令呪はないわね……)

女子高生(えっ?なんなのこの人たち……)

仮にもこの高層ビルのすぐ近くには交番があるので叫べば誰かが着てくれるはずだから安心はしている。

だが、目の前の二人はいきなり空から現れて、私の手を見せろと言うのだ、叫ぶ余裕何て何一つない。

むしろ何者なのか気になるところではある。

女子高生(魔術師とか名乗ってたけど、マジシャンかな?)

こんな美人の二人組みマジシャンは聞いたことないが、まだ芸能界に入ったばかりの無名のマジシャンだろうか?

女子高生「お二人は……どういう?」

エルナ「どういう?」

女子高生「えーっと……関係で?」

バーサーカー「主従関係だな」

エルナ「いや、パートナーよ」

バーサーカー「人前で言うな、照れる」

女子高生「えー……」

ますます分からなくなった。

主従関係と言ったが、相方がパートナーと言いなおした。

この二人の関係は、とても親密な上司と部下の関係なのか?

エルナ「あなたこそ何者?」

女子高生「あ、私は普通の学生です」

エルナ「なるほど」

バーサーカー「納得するな……君はどうやってここまで来た?」

女子高生「え?普通にこの近くに家があるので、多少遊んでから学校帰りでいつもこの道使いますけど……」

エルナ「遊ぶ……もう十二時過ぎているのに遊ぶ……禁断の匂いがするわ」

バーサーカー「エルナが居ると会話が進まないから、少し黙ってて?」

バーサーカー(あれ?なんで私がこんな常識的な立ち位置にいるの……)

エルナ「お口ミッフィー」

と、エルナと呼ばれた少女は指で罰印を作って口にあてると喋らなくなった。

バーサーカー(可愛い……じゃなくて)

バーサーカー「率直に聞くけど、君は魔術師か?」

女子高生「え?手品なら少しくらい出来ますよ?」

少し話がかみ合っていないな、とバーサーカーは思った。

女子高生の中では魔術師=手品師だと思っているらしい。

ここは勘違いを解かなければならない。

バーサーカー「手品とかじゃなくて……こう、あれだ」

バーサーカーは何処からか自分の剣を取り出して地面に刺した。

コンクリートに当然のように刺さっている黒い剣を女子高生は信じられないような目で見ていた。

女子高生「……え?本物?」

バーサーカー「そりゃぁ、本物さ」

女子高生は思った。興味本位で関わるんじゃなかった。

さっさと叫び声をあげて助けを呼ぶべきだったと思った。

だが、目の前の女性はコンクリートにむかって簡単に剣を突き刺せるような人間なのだ。

叫び声をあげたところで無駄な気がしてきた。

そういう意味では自分の興味本位が知らぬ間に自分の命を救っていたんだと実感した。

女子高生(でも、これどうしよう……)

危機的な状況であることには変わらない。


エルナ「じゃあ魔術師でも何でもない、ただの一般人ってこと」

女子高生「は、はい」

早く終わって欲しい、心の中でそう願っていた女子高生の願いは……

エルナ「そ、じゃあ問題ないわ」

と、早くも叶ってしまった。

あまりにも突然の出来事が重なりすぎて、彼女の言葉が上手く理解できなかった。

女子高生「そ、それは帰っていいってこと?」

エルナ「まぁ、そうなんだけど……ただね?」

『やった!』と心の中で思う女子高生だが。

エルナ「ここで見た記憶は全部消えてもらうわよ?」

そう言ってエルナは女子高生の額に触れようとした。

が、女子高生は反射的にそれを避けてしまった。

エルナ「どうかしたの?」

女子高生「き、記憶を消すって……?」

エルナ「私たちのことを見られたからには記憶を消さないといけないのが決まりなのね……可愛い子で残念だけど」

何を言っているのか本当に理解できないけど、本能で『次起こる出来事は危ない』と感じていた。

どうにかして、この二人組から逃げなきゃいけない。

でも、逃げたところでバーサーカー名乗った黒い剣を持った女性に簡単に追いつかれるだろう。

どうすればいいの……?

バーサーカー「エルナ!下がれ!!」

突然バーサーカーがエルナを抱き抱えて黒い剣を振る。

すると、剣は空振りしたかのように思えたが、空中で火花を散らして何かを弾き飛ばした。

そして、私の目の前にも赤い剣が突き刺さっていた。

アンノウン「やっと見つけた……」

次に器用に赤い剣の上に着地する赤い鎧を纏う男性が現れる。

女子高生から見れば何が起きているのか全く想像つかない。

アンノウン「そこの女子学生!」

女子高生「は、はい!」

アンノウン「話は後だ、助かりたかったら俺のマスターになってもらう」

女子高生「マ、マスター……?」

戸惑いながらも目の前の赤い男に会話をしようとすると、それを邪魔するかのようにバーサーカーの声が周りに響く。

バーサーカー「アンノウン!!私のマスターを狙っての攻撃か!?」

アンノウン「当然だろう、サーヴァントを手っ取り早くやるなら、枷であるマスターを狙うべきだからね」

バーサーカー「……殺されたいのか?」

アンノウン「殺し殺される立場だろ、俺たちサーヴァントは」

その一言が合図となり目の前で激しい戦闘が始まった。

アンノウンと呼ばれた赤い男はバーサーカーと同じ黒い剣を持ち対処する。

バーサーカー「また私と同じ……!!」

アンノウン「壊れない剣なら、同様に壊れない剣で対処するのが一番だろう」

バーサーカーの力強い一撃一撃をアンノウンは簡単に受け止める。

バーサーカー(くそっ、力押しで何とかなるような相手じゃないってことか!?)

表情を変えずに一撃を受け止めるアンノウンはバーサーカーから見れば厄介な敵でしかなかった。

だが、そのアンノウンも平気ではないらしい。

バーサーカーは力押しでは駄目だというのが分かり速さで対応した。

右からの銅を狙う突き、それをアンノウンは剣の腹で受け止めるが、バーサーカーはそのまま顎を狙いに切り上げようとする。

それも剣の柄で上手く弾かれる。

だが負けじとバーサーカーは続いて左の脚を狙って斬る。

アンノウンはそれを防ごうとするが、反応していたはものの腕が動かなかった。

足に若干の切傷がつき、ここで初めてアンノウンが舌打ちをして表情が変わった。

バーサーカー「どうした?その剣を持つ以上は、レプリカでも一流でなければ許されないぞ?」

アンノウン「お前の馬鹿力が腕に響いてるんだよ……!!」

女子高生は愕然と目の前の状況を見ていた。

確実にお互い殺す気で戦っているのは目に見えていた。

ドラマや時代劇でやっているようなチャチなものではなく、本物の殺し合い……

エルナ「すごいでしょ?これ」

エルナが二人の戦いを見ながら女子高生の横に立つ。

エルナ「ねぇ、名前は?」

女子高生「真里奈……」

エルナ「マリナ?いい響きじゃない」

真里奈「……これは何なの?」

エルナ「私たちは魔術師……普通の人とは別の世界にいる人間」

真里奈「……」

黙ってエルナの言葉を聞く。

それが興味本位なのか、それとも自分の身のために黙って聞いているのかは真里奈自身もわからない。

エルナ「詳しいことは省くけどね、今私は願いを叶えるために命をかけて戦う戦争をしているの」

真里奈「命をかけて……願いを叶える?」

エルナ「そう、七人の魔術師を倒したら願いを叶えることができる殺し合い……聖杯戦争って言うの」

真里奈「聖杯戦争……」

エルナ「あなたの記憶を消しちゃうから話すのは無駄だけどね」

と、苦笑いをしながら言う。

正直、こんな場所から離れたいと思うが……

真里奈(どうしても、この先を見てみたい)

そんな気持ちが強かった。命が危険にさらされる可能性もあるのに、この先を見てみたい気持ちが大きかった。

だから記憶を消されるのは避けたかった。

真里奈「記憶を消さない方法はないの?」

エルナ「そうね」

真里奈「……」

と、真里奈が落ち込むのと同時にエルナは何かを思いついたかのように明るくなった。

エルナ「あなた、あのアンノウンのマスターになればいいんだ」

真里奈「え……?」

エルナ「マスターになれば記憶を消さずに済む、でも代償として命が落ちるかも知れない戦いに挑む」

なんともおかしな事を言っていたが、ものすごくいい考えだと思う自分はおかしいのだろう。

エルナ「もしあなたがマスターになったら私と友達になろう!」

真里奈「友達……」

エルナ「うん!記憶を消さずに済むし、何よりも私の友達一号だし!」

一号って……彼女は友達がいないのか。

真里奈(なら、あのバーサーカーと呼ばれる女性は一体……)

エルナ「どう?」


短いですが、一旦終わりです。

これから出かけるので、帰ってきた時に時間があれば続きを投下しようと思います

もしかしたら投下できないかもしれませんがご了承ください

皆様ありがとうございました


ふぅ、帰って来れたので少しでも再開します


真里奈「……」

常識的な答えとしたら、命が安全な方だろう。

マスターにならない、それが一番安全な道なのかもしれない。

記憶を消されるだけなら大丈夫だろう。

真里奈「……決めた」

だが、記憶を消されるから安全というわけではない。

むしろ『記憶を消す』というのは、別の意味合いを含んだ言葉なのかもしれない。

何をされるのかどちらもわからない、ならば興味のあるほうを選びたい。

真里奈「マスターに、なります」

真里奈(……正直、言ってて恥ずかしい)

もし、これがドッキリか何かだったら大恥をかくだろう。

エルナ「おーい!バーサーカーは戦闘やめて!アンノウンも!」

と、二人を呼びかけると律儀に二人共同時に動きを止めた。

エルナ「アンノウン、この子マスターになるってさ」

アンノウン「本当か……?」

真里奈「え、あ、はい……」

若干驚きながら彼は聞いてくるが、彼は警戒しながらエルナに『何を吹き込んだ?』と言わんばかりの目をするが。

エルナ「ん?記憶消されたくないって言うんだから、こういう道しかないよね」

と、何の疑問も持たずに笑顔で答えた。


エルナ「あ、でもマスターになったら私の友達になってもらうから!」

と、笑顔でそう付け足したが……

相方のバーサーカーは何かを言いたそうにしていたが、やがて『ヤレヤレ』と言って勝手に自己完結してしまった。

アンノウン「……君はいいのか?」

真里奈「え?……まぁ、何が起こるかわかりませんし、これも経験だと思って」

アンノウン「君は危険な人間だな」

と、呆れたような声で言われた。

少なくとも彼が私を警戒しているような言い方ではなかったので、ただたんに馬鹿だと思われているのだろう。

真里奈(それはそれでムカつく)

エルナ「あ、ここじゃ何だからウチ来る?寒いし」

と、高層ビルを指さした。

アンノウン「魔術師の住処に入るなんて……」

真里奈「あ、じゃあ……お邪魔しますね」

バーサーカー「まだ開始から二時間も経ってないのに色々ありすぎて疲れたわ」

エルナ「お風呂沸かす?」

バーサーカー「ああ、ゆっくりと湯船に浸かりたいわ」

エルナ「うん、真里奈も入る?」

真里奈「あ、じゃあ遠慮なく……」

と、アンノウンを無視してマスター候補とバーサーカー組が高層ビルへと入っていった。

アンノウン「……はぁ」

調子が狂わされた、という顔をして彼は後を追うようにビルの中へと足を踏み入れた。


―――東京、帝国ホテル 午前2時


今、自分がどんな状況に置かれているのかが理解できなかった。

ギル「おい、カオルよ……タオルはどこだ?」

薫「は、はい!ただいま!!」

僕の今までの生活は、残飯を食わされ、暴力を振るわれ、食事も録に与えられず、友達もいないようなつまらない人生だった。

それが、どうしてか、二日三日で段々と生活の基準がランクアップして、遂には……

薫「て、帝国ホテルの最上階かー……あははー……」

そもそもの発端はギルと出会ったあと、ギルは適当な不良から金を巻き上げ、さらにパチスロでそれを文字通り十倍にして、その後に競馬などで大儲けして、『少し待っておれ、はした金だが、これで何か時間を潰しているといい』と言って僕に百万円を手渡したあと何をやらかしたのかアタッシュケース一つ持って帰ってきた。

もちろん、その中には大量のお札。正直気を失いそうになった。

その後、適当に金の力を使ってホテルを転々としていると、『安宿でも構わぬが……この我に相応しい安宿に泊まるぞ』などと言い出して結果がこれだ。

ギル「まぁ、サービスは悪くないが……安宿にしては上出来だな」

と、日本トップのホテルを安宿呼ばわりと好き勝手言っている彼女に驚きが隠せない。

ギル「どうだ、カオル?」

薫「え?」

ギル「少しは楽にしたらどうだ?お前に暴力を振るうものはいない、ここには我とお前の二人だけだ」

薫「二人、だけ……」

ギル「王であるこの我を前に恐縮しているのはわかるが……我は特別にお前に気を許しているんだ」

ギルは何も着ないで、裸のまま僕を掴んで一緒にベッドの上に飛び乗った。

ギル「お前が縮こまっていては、我も楽になれぬではないか」


薫「い、いや、まず服を……」

ギル「良いではないか、別に我は気にしないぞ?」

いや、僕が気にするんです。

こんなにも美人な人が裸でいたら、さすがに見ないように自分を抑えるのは難しい。

かと言って、ガン見するのもアレだし、チラチラ見るのも何か背徳感がある。

薫「だから、服を……」

ギル「あ、ところで薫よ」

ギルは僕を抱きしめながら――――ごめんなさい、胸があたっています。

ギル「男なのか?女なのか?」

と、失礼極まりない発言が飛び出した。

薫「い、いや僕は男……だよ?」

ギル「本当か?嘘は許さぬぞ?」

と、痛い視線が突き刺さる。

ギル「そもそもだ、お前は身なりは一見女のようにも見えるし、今の姿は髪を短くしているから男にも見えるが……ほれ」

薫「……あの、なにしたの?」

そう言ってギルは僕の頭に何かをふりかけた。

液体のような物だというのは分かったが、一体何をふりかけたというのだろうか。

ギル「見ればわかる」

そう言ってギルは僕を部屋にある大きな鏡に立たせた。


薫「……誰?」

ギル「間違いなくお前だぞ、カオル」

薫「……嘘」

目の前には裸のギルと、腰まで届く髪の毛の女子……自分がいた。

ギル「やはり、女にしか見えぬな」

薫「あ、あの……」

ギル「安心しろ、我が宝物庫に入っている育毛剤だ……無駄なものばかり引き出せるな、我の宝具は」

薫「い、育毛剤……」

ギルは自分の手に持っている小瓶を見せてくれた、これが育毛剤……

と、小瓶に『種別:宝具 対人宝具 ランク:C』という表示があったが、どういう意味だろうか……

ギル「うむ、我はここ数日お前を見て思ったのだ……お前の性別はどちらなのかと」

相当失礼な話を始めたぞ。

ギル「様々な角度、視点から見てみたが、お前が男でも女にも見えるというように我の目には写った……」

拳をグッと握り締めた。なんで、この人はこんなにも暑くなっているんだろう。

ギル「我の目に見抜けぬものはないと慢心していたが……どうやらここまでのようだ」

と、握り締めた拳をパっと離した。

ギル「我は王である……だが、まさか一人の子供の性別すら見抜けぬとは思えなかった……だが無理やり服を剥がすのも我の美学に反する」

美学とは一体……


ギル「だが、これ以上は我は性別を見抜けぬとは思えぬ……だがお前の性別は気になる……!!」

そうして堂々と指をさして言い放つ。

ギル「脱げ!カオルよ!!」

薫「嫌だよ!?」

ギル「えぇーい!王の言うことも聞けぬのか貴様はー!」

薫「僕にも良いことと嫌なことがあr……ってなに僕の服に手をかけてるの?!」

ギル「王も裸だというのにお前が服を着ているのはオカシイだろう!?」

薫「あなたが勝手に来ていないだけでしょう!?と言うか剥がすのは美学に反するって――――」

ギル「そんな美学は今我が捨てた!!」

薫「な、なんだよそれって、ちょっ、ちょっ、いやー!!!!」


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


薫「……」

ギル「……」

互いに椅子に座わっているが、先ほどとは一転して気まずい雰囲気が流れていた。

ギル「……その、カオル」

薫「……」

ギル「いや、その……すまなかった」

薫「……はい」

ギル「いや、そのカオルが……『あった』のに……『無かった』とは我も思わなかった」

薫「いえ……僕ももっと早く……言うべきでした」

ギル「通りで我の目でも見抜けぬと思った……すまぬ」

薫「いえ……」

一見、何をギルは見たのかとか、何を早く言うべきだったのかとか、あったのに無かったとか……

お互いにはっきりと言う気にはなれない雰囲気が続いた。

薫「あの……何か話題を変えましょう、暗くなっていても仕方ないですし」

ギル「そうだな……うむ、そうだな」


ギル「では……お前の命に関わる話をしよう」

薫「今僕は『暗くなっても仕方ない』って言ったのになんで僕を暗くしようとするんですか!?」

ギル「いや、なに……このしんみりとした雰囲気なら言えるかな、って思ってな」

と、苦笑いで人差し指を立てて可愛く言う。

薫「もう突っ込む気すら起きないです」

ギル「ならば、我が勝手に話すから聞いておれ」

そう言ってギルは何処からか器を取り出して酒を飲み始めた。

ギル「受け取れ」

薫「あ、ありがとう……」

僕にも葡萄の香りがするジュースを受け取って飲む。

薫「……美味しい」

ギル「王の宝物庫に相応しい飲み物だからな……さて、まずは我の体のことについて話させてもらう」

ギルは手のひらから黄金の鍵のようなものを取り出した。

薫「それは……」

ギル「『王の財宝』の鍵だ」


薫「鍵……?」

ギル「ああ、この鍵は開けることによって我の宝物庫から物を取り出すことができる」

薫「じゃ、じゃあ今みたいにお酒とかジュース取り出したのも……」

ギル「この宝具のおかげだ」

薫「す、凄い……」

ギル「宝具については話したな?」

薫「う、うん」

宝具、それは英霊が持っている『奇跡を具現化』したものだとギルは言っていた。

英霊の象徴である重要な切り札だとも言っていた。

ギル「我の宝物庫にはあらゆる英雄の原典が存在する」

薫「?」

ギル「要するにだ……この世では有名な聖剣である『エクスカリバー』や『デュランダル』、メデューサを殺した『ハルペー』……」

ギルの横から小さな黄金の湖みたいな物が現れ、そこから剣が続々と出てくる。

ギル「これらは、あらゆる時代で功績を挙げたもの達が使っていた原典だ」

薫「え……?じゃあ、ほとんどの英雄がこれで?」

ギル「そういうことだ、我の宝物庫にはそういった物が数多く存在する……なんせ、我は世界の宝を手に入れた人類最古の英雄王だぞ?この程度は当然だ」

……すみません、疲れました

ので、ここで終わりにしようと思います

そろそろコミケで行くサークルとかまとめないと……

では皆様ここまでありがとうございましたー……




薫くんの性別?……まぁ、そういうことですよ、小さな設定です


安易な考えはダメですね……反省

では、前回の続きから


歴史上で名を残した英雄の武器のほとんどが、ギルの宝物庫にはあるという。

それは、宝具が幾つもあるということで……

薫(あれ?じゃあさっきの育毛剤も――――)

ギル「本来の我ならば、全ての宝具を引き出すことが可能だった」

薫「本来の……?」

ギル「今の我は全ての宝具を引き出すことができぬ」

薫「な、なんで?」

ギル「それは薫……お前の体にある」

薫「僕の……体?」

ま、まさか僕が両性だから―――

ギル「……別に先程のことではなく、もっと根本的な部分のことを言っているのだ」

薫「根本?」

ギル「人間には必ず行動するときには原理があり、それを辿っていけば起源にたどり着く」


ギル「全ての始まり、物事の方向性、人を人であると絶対的な存在」

薫「えーっと……」

ギル「簡単に説明してやる……我の起源がもしも『収集』だとしよう」

薫「収集……」

収集、つまりはものを集めるということ……

薫「あっ、それって宝物庫の……」

ギル「そう、我は生前起源に沿って行動したことにより、これだけの財を手に入れることができた」

薫「つまり、起源って人生そのもの?」

ギル「少し違う気もするが、まぁ正解だと言っておこう」

薫「でも、僕の起源がギルと同関係あるの?」

ギル「お前の起源は『制限』だ」

薫「制限?」


ギル「あらゆる物事を制限しながら行動する傾向がある」

薫「ど、どういうこと……?」

ギル「我はお前と出会ってから数日、お前を見てきた……食事、睡眠、娯楽あらゆることを見てきたがお前は自分に何かと制限をかけていた」

薫「い、いつもどおりだったよ?」

ギル「そのいつも通りこそが起源に則った行動だったのだ」

いつも通りに生活していただけだった。

それは、多少馴れない環境で遠慮しがちな部分はあったかもしれないが……

ギル「お前は寝ている時も最低限睡眠も最低限しかしない、呼吸も最低限、食事も最低限、娯楽においては何もしなかったではないか」

薫「さ、最低限って……呼吸はわからないけど……睡眠や食事は」

ギル「お前くらいの歳ならば、この時間はとっくに寝ているはずだぞ?」

時計を見てみると、気がつけば2時になっていた。

薫「気がつかなかった」

ギル「お前はいつも通りに寝て、いつも通りに起きているつもりだろうが……その実態は寝ることを『制限』している生活だ」

薫「……」


ギル「……今日の食事はどうだった?」

唐突な質問だった。

食事も制限していると言っていた。

薫「満足だったよ……多少多かったから残しちゃったけど」

ギル「そうだな、子供ならば残さず食べろと普段の我ならば言っているが……あの食事は普通の食事量よりも少なくしていた」

薫「え……?」

ギル「我が命令して、お前の食事量は普通の子供の食事量よりも半分少なくして欲しいと」

薫「……」

衝撃的だった。アレで半分程度なのか……

しかも自分は残してしまった、普通の量が出てくれば四分の一も食べられないというのか。

ギル「お前は過酷な環境で育ってきたみたいだが……普段食事をとらないので食べていなかったのかとも思ったが明らかにおかしかった」

薫「……じゃあ僕の『制限』っていうのは」

ギル「自らの生活に対しての『制限』……つまり、生きることに『制限』をしている……お前の命に関わるというのはこのことだ」

生きることに制限、否定したい部分はあるけど心当たりがいくつもある。

暴力を振るわれていた時も、泣くなと言われ泣くことを止めて。

叫ぶなと言われたら、叫ばなくなり。助けを求めることすらも自分でやめた。

あらゆることを止めて、自分の行動をどんどん制限していった。


薫「じゃあ、僕がいきつく先は……」

ギル「呼吸すらも制限し、遂には心臓の動きすらも制限できるようになるだろうな……向かう先は死だ」

突然の死の宣告……実感はわかないが、何となくで理解した。

ギル「もし、マスターになっていなければ自覚がないまま、あの小さな部屋の中で自らなぜ死んだのかも分からないまま息を引き取っただろうな」

薫「じゃあ……僕は助かることができるの……?」

ギル「我の宝物庫には、そういったものから救うための宝具がある」

薫「じゃ、じゃあ……」

ギル「ここで我の話に戻ってくる」

薫「……?」

ギル「サーヴァントはマスターによって強さが変わってくる」

薫「うん、聞いた」

ギル「お前の起源はなんだ?」

薫「え?制限だって今ギルが―――」

そう言いかけて、ギルが言いたいことを理解した。

薫「僕の『制限』がギルにも……」

ギル「そうだ、我の『王の財宝』はお前の起源である『制限』によって出せる宝具や展開できる数も制限された」


薫「つまり……僕が助かる道は」

ギル「あるぞ?」

平然と答えるギルに僕は戸惑うが、ニヤリと笑って彼は言う。

ギル「聖杯だ」

薫「せい、はい……」

ギル「そう、我が聖杯を手に入れればカオルの起源による影響を抑えることも可能だ」

薫「ほ、本当!?」

ギル「ああ、そのためには戦いに赴かなければならない」

薫「戦い……」

ギル「本来の我ならば、戦うべき相手を選ぶが……状況が状況だ、敵を見つけて片っ端から潰して我が聖杯を手に入れる」

薫「大丈夫なの……?僕のせいで力が制限されてるけど」

ギル「なに、我からしてみれば軽いハンデのようなものだ」

そう言って四つの王の財宝を展開する。

ギル「四つもあれば、そこいらの雑種に圧倒的な力の差でねじ伏せることも可能だ」

頼もしかった、でも……

薫「僕のために……聖杯を使っていいの?」

ギル「そもそも、あらゆる起源は我が宝物庫に繋がる……つまり聖杯も我のものだ」

薫「うん……ん??」

何か凄いジャイアニズム的な発想に思えたが、とりあえず納得した。


ギル「聖杯は我がどう使おうが我の勝手だ、お前は黙って我に着いてくればいい」

……女性なのになんともカッコイイのだろうか。

これが『カリスマ』と呼ばれるスキルなのだろうか?

ギル「明日の夜から動くぞ、それまでぐっすりと寝るがいい」

そう言ってギルは一粒の薬のようなものを渡してきた。

ギル「安眠の為の秘薬だ、これならば起源関係なく眠れるであろう」

そう言ってギルはベッドに飛び込んで霊体化した。

結局始終裸のままで目のやり場に困った……

薫「……じゃあ、ありがとう、おやすみなさい」

僕ベッドに入って薬を飲んで眠りに就いた。

すぐに意識の落ちた僕はぐっすりと眠ることができた……


ギル「……」

マスターであるカオルが眠ったあと、ギルガメッシュは考えていた。

ギル「あのような理由ではあったが、納得してもらえたか」

彼の言葉には嘘偽りはない。

だが、起源が『制限』であると確信して、命が危ないというのはまた別の理由であった。

マスターとサーヴァントは繋がっている。

その繋がりから彼女はカオルの過去を見ることができた。

ギル「カオル……お前の人生は実に哀れなものだ」

まともな幸せを与えられず、ただただ意味のない毎日を繰り返す日々。

彼女にとって、その程度の記憶を見せられた程度では動じないが、カオルからしてみれば苦痛な日々でしかなかった。

ギル「人並みの幸せすら手に入れられぬ……か」

ゆっくりと頭を撫でたあと、彼女は再び霊体化した。



―――エルナの家 午前三時

エルナ「……」

アンノウン「……」

バーサーカー「うへぇ……エルナァ……アハハ」

真里奈「すぅ……すぅ……」

エルナ「どうしてこうなったの?

アンノウン「俺が聞きたい」

エルナの家に入ったあと、風呂に入り、軽い食事を作ったと思ったら、バーサーカーがいきなり酒を飲み始めて、真里奈が匂いにあてられて……

エルナ「はぁ、まぁ夜も遅いし明日説明すればいいか」

アンノウン「……しかし、お前は何者なんだ?」

エルナ「随分とアバウトな質問ね」

アンノウン「彼女をマスターにする……それはもうひと組敵を増やすということだぞ?」

エルナ「そうね、でも彼女と貴方が私の味方になってくれれば話は別」

アンノウン「味方になると思うか?」

エルナ「なるわよ、聖杯戦争についての知識やいろいろなことを教えてあげれるし」

アンノウン「聖杯戦争についての知識は俺からも教えられる」

エルナ「あなたが聖杯にインプットされ――――」

アンノウン「それ以外の情報も全部知っている」


エルナ「……あなたこそ何者なの?」

アンノウン「教えられないな、教えれば聖杯戦争は確実に終わるよ」

エルナ「なら言いわ、危険なことには足を突っ込まないのが吉だしね」

と、すぐに興味を失ったエルナは引き出しから箱と小瓶を取り出した。

アンノウン「この学生は興味があるから命を投げ出す様な真似をし、この女はすぐに興味なくす……」

エルナ「女って不思議な生き物よねぇ」

アンノウン「……はぁ」

もう突っ込む気すら起きないアンノウンは箱の中身を弄るエルナをじっと見ていた。

アンノウン「……それはなんだ?」

エルナ「一つが『ただの小瓶』、もう一つが聖遺物ね」

聖遺物、と言われたそれは目玉のような形をしていた。

アンノウン「……それがバーサーカーの?」

エルナ「いや、バーサーカーがこんな目玉から出てくるわけ無いでしょ」

アンノウン「じゃあ誰の」

エルナ「オーディンとかいうオッサンのだっけ?」

アンノウン「はぁぁぁあああ!?」



急に入るバイトって辛いですよね、そういうことです

中途半端ですが、今日はこのくらいで終わりにしようと思います。

皆様、ありがとうございました

ローランも大英雄だしデュランダルも燃費とか色々と破格の宝具だけど
それでも、オーディン召喚できるのに媒体なしで召喚とかアンノウンじゃなくても驚くわな


仮にオーディンが召喚されたらオティヌス名義でクラスはランサーアーチャーキャスターのどれかかな?
メインのグングニルは投擲宝具としてよりも杖の補助宝具として使った方が
効果も使い勝手も良いと言う…アーチャー宝具の弩は「弾切れしない十連射出来るボウガン」ってしょっぱいし…

>>154
まぁ、基本的にエルナは頭弱い子ですから

>>155
多分自分ならランサーあたりで出しますね


さて、もはや土曜日の更新分ではないですが、少しだけ書いて終わろうと思います


アンノウン「お、オーディンって言ったらあのオーディンか!?」

エルナ「そりゃそうでしょ、師匠が持ってきた聖遺物よ?間違えるはずないわ」

アンノウン「じゃ、じゃあなんで……」

アンノウンはバーサーカーを指差して。

アンノウン「あんな馬鹿を呼び出しちまったんだ!?」

エルナ「馬鹿は失礼ね!少し頭が弱いだけだわ!」

アンノウン「お前にだけは言われたくないだろうな!!」

ゼハーゼハー、と全力のツッコミにアンノウンも息を切らす。

アンノウン「そ、そもそも何でローランが召喚されているんだ?お前」

エルナ「あ、やっぱり真名わかってるんだ……そもそも、知恵身につけるために目玉一つ犠牲にするとか阿呆でしょ」

アンノウン「阿呆はお前だろ、そもそも神霊をどうやって召喚するつもりだったんだ」

エルナ「召喚のシステムに関しては一ヶ月で解読できたし、多少質が劣化してもステータスカンストのオーディンくらいだったら呼び出せたかも」

アンノウン「解読って……」

エルナ「私は基本天才ですから、特に『何かを呼び出す』に関しては誰にも負ける気はしないわ」

何かを呼び出す、それは先ほど彼女とランサーのマスターとの戦闘で鬼や悪霊を呼び出していたが……

召喚などを専門にしているのだろうか?


アンノウン「そもそも、バーサーカーよりも強いサーヴァントを呼び出せたのに何故……」

エルナ「んー、なんていうか私には阿呆を御しきれる気がしなかったから……それに自分の力で勝ちたいし」

アンノウン「……ますますお前がわからない」

エルナ「私からしたらあなたの方こそ分からないわ」

エルナは引き出しからアルミの箱を取り出す。

中には針などの裁縫の道具や魔力の入った小瓶と言った魔術に使う道具が入れてあった。

エルナ「私は『大聖杯』に対してある仕掛けをしたの、サーヴァントは七騎までしか召喚できないという」

アンノウン「……どうやって」

エルナ「大聖杯を見つけて、私がそこにハッキングして……ちょっとね」

ちょっと、で済まされることではない。

むしろちょっとで大聖杯のハッキングとは聞いたことがない。

エルナ「ま、そこらへんは聞かないでおいて、教えられないことのほうが多いから……サーヴァントが全て召喚され次第私の礼装に連絡が届くようにも設定したわ」

彼女はポケットから七つの宝石を取り出した。

宝石は光り輝いている状態だった。

エルナ「ルビー、サファイア、エメラルド、トパーズ……これらはサーヴァントのクラスを色で分けてるの」

アンノウン「サーヴァントが死んだ光が無くなる」

エルナ「そういうこと」


エルナ「あなたは少なくとも、この聖杯戦争には召喚されていない」

アンノウン「……」

エルナ「イレギュラーのサーヴァントが召喚された場合、全ての宝石が黒く光る仕組みにしてあるの」

アンノウン「だが、俺の存在があるのにも関わらず黒く光らない」

エルナ「ええ、だからあなたは今回ではなく……」

アンノウン「前回、とでも言いたいのか?」

エルナ「それ以外考えられないわ」

アンノウン「……残念だが、それは違う」

アンノウンはバーサーカーが飲んでいた酒を口にする。

アンノウン「俺は『別の聖杯戦争』から呼ばれたサーヴァントだ」

エルナ「別の聖杯戦争……?」

アンノウン「ま、結果は俺の一人勝ちだがね」

エルナ(……いや、ありえない話ではないか)

聖杯が一つとは限らない。

冬木の召喚システムが別の場所で同じように行われていてもおかしくはない。

エルナ(疑っておくべきだけど、一応ここは信じておきますか)

エルナ「別の聖杯戦争……ね」

アンノウン「納得してくれたか?」


エルナ「一応ね、でも何であなたがこの聖杯戦争にサーヴァントとして参加するのか……は、置いといてあげるわ」

アンノウン「さすがに説明するのも手間だ、助かるよ」

と、アンノウンは再び酒を飲もうとするが空なことに気がついてため息をつく。

アンノウン「じゃあ、俺からも一つ聞きたい……どうして『七騎までしか召喚できない』なんて仕掛けを作った?」

エルナ「あら、そこに気がつくとは」

アンノウン「不自然すぎる、システム的に七騎までしか召喚できなくなっているはずだ」

エルナ「うんうん、確かにそうだけど……あの大聖杯なんかおかしいのよね」

アンノウン「どういうことだ?」

エルナ「おそらく14騎分のサーヴァントを召喚する準備があったのよ」

アンノウン「!」

エルナ「どういうことか知らないけどね……」

アンノウン「14騎……」

エルナ「そんなことされたら、流石に東京が更地になりかねないから仕組んだんだけどね」

アンノウン「……」


アンノウン(14騎……?それだけの魔力をどうやって……そもそも、大戦にしようとしていたのか?)

エルナ「ま、難しい話は終わり終わり!」

エルナは話しながらも黙々と作業を去っていたようだが、それが終わったようだ。

エルナの手元には綺麗な目玉が置いてあった。

エルナ「ふふ、最強の魔術礼装も完成したし、あとは真里奈ちゃんだけね」

アンノウン(……この女、真面目に化物か?)

最強の魔術礼装……それは間違いなく『オーディンの眼』だろう。

そんなものを一体どうするのか……

アンノウン(あまり考えたくないな)

エルナ「アンノウン、早く来て」

アンノウン「どうかしたのか?」

エルナ「さっさとこの子をマスターにしちゃおう」

アンノウン「……」

なんという女だ、そう感じたアンノウンは有無を言わさず真里奈というただの女子高生をマスターにした。


すみません、相当短いですがとりあえず区切りのいいところで終わりで。

明日明後日明々後日は年末などなどで忙しいのでもしかしたら来れないかもしれません。

どちらかというとコミケの方が忙しいですが。

次回はジャックことアサシン組の様子からはいろうと思います。

では、皆様ありがとうございました。良いお年を。


コミケにお正月……楽しかったです

ただ、金剛のスリーブが手に入らなかったことだけが……唯一の心残りです


さて、本題に入りますが本当は明日明後日と出かけるので、今日更新しないつもりでしたが

あまりにも書いてない期間長すぎるのもアレなので、少しでも進めようと思います


―――ジャックの住処 午前七時


ジャック「シモ、エリー、ご飯ができたぞ」

隣の部屋にむかって呼びかけると、目をこすりながら寝ぼけたエリーと霊体化していたサーヴァントが出てきた。

エリー「ふにゃぁー……」

シモ「いつも済まないな」

ジャック「なに、作る手間はかからないし食卓を囲む人間は多い方が楽しい」


シモ、と呼ばれたこの男は『アサシン』のクラスで呼ばれたサーヴァント。

名前は『シモ・ヘイヘ』、フィンランドの軍人で『白い死神』と呼ばれる異名を持つ男だ。

知名度としては、ほとんど無いはずだが史実の人間とは思えない功績をあげていることから、生きているうちに五階級特進という偉業を達成している。

はっきり言って、最初に聞いたときは魔術にも関わっていないただの軍人にそんな化け物がいるとは信じられなかった。

シモ「うむ、箸というのは慣れれば使いやすいものだな」

エリー「すごーい!私まだ扱えないのに!」

ジャック「なれるまでが大変なんだよなぁ……箸」

シモは皿の上にあるグリーンピースを器用に箸で上に弾き飛ばし、箸でキャッチして口の中に入れた。

エリー「おおー……どうやったの!?」

輝くエリーの目を見たシモはただ一言。

シモ「練習だ」


【※知らない人の参考程度に全盛期シモヘイヘの伝説コピペ】


・わずか32人のフィンランド兵なら大丈夫だろうと4000人のソ連軍を突撃させたら撃退された

・シモヘイヘがいるという林の中に足を踏み入れた1時間後に小隊が全滅した

・攻撃させたのにやけに静かだと探索してみたら赤軍兵の遺体が散らばっていた

・気をつけろと叫んだ兵士が、次の瞬間こめかみに命中して倒れていた

・スコープもない旧式モシンナガン小銃で攻撃、というか距離300m以内なら確実にヘッドショットされる

・いとも簡単に1分間に150mの距離から16発の射的に成功した

・野営中の真夜中にトイレからテントまでの10mの間にヘッドショットされ即死

・戦車と合流すれば安全だろうと駆け寄ったら、戦車長がシモヘイヘから狙撃済みだった

・赤軍の3/100がシモヘイヘに狙撃された経験者、

  しかも白い死神という伝説から「積雪期や夜間ほど危ない」

・「そんな奴いるわけがない」といって攻撃しに行った25名の小隊が

  1日で全員死体になって発見された

・「サブマシンガンなら狙撃されないから安全」と雪原に突撃した兵士が

  穴だらけの原型を止めない状態で発見された

・5階級特進で少尉となったシモヘイヘに狙撃の秘訣を尋ねると、ただ一言「練習だ」

・コラー河付近はシモヘイヘに殺される確率が150%。

  一度狙撃されて負傷すると確実に凍死する確率が50%の意味

・シモヘイヘが狙撃で殺害した数は505人、 他にサブマシンガンで倒した数は正式なものだけで200名以上

女体化ギルって一人称妾じゃなかったっけ?

あんま自信ないけど…


ジャック「ところで、収穫はどうだった?」

シモ「上々だよ、派手に戦っていたペアがいたのでしばらく様子を見ていた、映像はそこにあるぞ」

シモはそう話すと、ジャックは机の上にあるビデオカメラを取り出してテレビにつなげた。

テレビには昨晩の戦闘の様子が映し出されていた。

ジャック「……強いな」

エリー「そうだね、あの魔術師二人も相当強いよ」

シモ「何よりも、次に出てくる『アンノウン』に注目だ」

ジャック「アンノウン……?」

アンノウンという単語に戸惑いながらも見ていると、赤いモザイクのかかった何かが登場した。

シモ「ん……?」

不可解といった顔で見ていると、そこで映像は終わっていた。

シモ「……」

ジャック「撮れていないな」

シモ「故障か」

ジャックはカメラを見てみるが、特にこれといった故障は見られなかった。

ジャック「……なら、これはお前の言う『アンノウン』の仕業だろうな」

シモ「自らの姿を直接人に見せない宝具と考えていいのか?」

ジャック「そうだろうな」

>>169

マジか、知らなかった……

今更修正もあれなので、男勝りな感じもする『我』でギルは貫こうと思います


ジャック「シモ、お前の見た限りでは『アンノウン』とはどんなサーヴァントだ?」

シモ「不可解なサーヴァント、としか言えないな」

シモは紙とペンを取り出して絵を書き始めた。

ジャック「得意なのか?」

シモ「いや、見せられたものじゃないが……せめて見た目だけでもと思ってな」

ジャック「ありがとう」

そう言って完成したものが……

ジャック「……普通だな」

上手い、というには程遠いが下手というには何とも言い難いような絵だった。

シモ「次からは練習しておこう……アレの強さは見た限りではバーサーカー以上……もっとも、狂化していないバーサーカーと比べてだがな」

ジャック「特徴は?」

シモ「ランサーよりも早い印象があるな、あとアイツはバーサーカーと同じ剣を持っていた」

ジャック「バーサーカーと……」

映像をもう一度見直してバーサーカーの姿を見た。

ジャック「……二人も同じ剣を持っているとなると、真名が看破しやすいと思ったが」

シモ「いや、あの様子だとアンノウンの持つ剣は本物だが本来の持ち主じゃないように見えた」

ジャック「どういうことだ?」


シモ「俺の目で見た限りではアレとバーサーカーの口の動きを見る限りでは『お前が死んだあとも戦で使われ続けた』と言っているように見えたが……」

映像自体は仕掛けてあったものだが、シモは危険から遠ざかるために遠くにいたはずだが、口の動きが見えるとは……

シモ「どうやら、死んだあとも使われ続けた剣、だというのが分かったが……俺にはどうも思いつかない」

ジャック「それはバーサーカー達もわからない様子だったか?」

シモ「ああ、あの様子じゃあ何も知らないだろうな」

ジャック「……」

確かに、持ち主が死んだあと使われ続けたものなんていくらでもあるだろうが、マスターすらもその英霊に気がつかない……

剣がよほどマイナーなのか?いや、マイナーならなおさら分かり易いはずだ。

ジャック「だが、有名であれば逸話も多い、特定こそしやすいはず」

シモ「それが出来ないとなると……あれは本当の持ち主ではない可能性が高い、もしくは逸話にすら語られないようなマイナーな英霊だろうな」

ジャック「なら、考えられるのが手にした武器を自らの宝具として扱う宝具……」

シモ「奴は他にも四つの双剣も取り出していた……ここまで特定がすればなにか見えてくるはずだが、逆にバーサーカーのマスターが知らないのが不可解」

ジャック「現代で発掘した宝具を自らの宝具を使えば……」

シモ「どの宝具を使っても正体がバレない、か……」


ジャック「第四次のバーサーカーは手に持ったものを自らの宝具として扱う宝具を持っていたらしい」

シモ「つまり、そういうサーヴァントがいる以上はアンノウンの正体を特定するのは難しい……」

ジャック「宝具を現代で発掘している魔術師を特定したほうが早そうだな」

シモ「簡単にできるのか?」

ジャック「コネを使おう」

シモ「頼りになるな」

エリー「あ、じゃあ私が言ってくるね!」

そう言ってエリーは地下室の方に向かっていった。

シモ「いい女の子だな」

ジャック「本当は連れて来たくなかったんですけどね」

シモ「何故連れてきた?」

ジャック「断りきれなかった……は嘘ですけど、正直に言うと俺はずっと一人で戦ってきたんですけど……今回ばかりは怖くてね」

シモ「愛するものを近くに置いておきたい、そういうことか」

ジャック「遠ざけるべきなのは分かってるけど、彼女は強い……だから自然と戦力として迎え入れてしまった」

シモ「……ま、俺は構わないさ、お前の命令に従うだけだ」

ジャック「忠実だな」

シモ「それが軍人というものだ」


すっごい、短いですが準備あるので今日はここまでです

皆さんありがとうございました

盛り上がってきましたね~。乙

流石シモさん最強の鯖候補の一角やでー

>>177
ありがとうございます、もっと盛り上げられるような展開を作ってみます

>>178
逸話見る限り史実上では最強の一角だとは思いますね



スキーで腕が痛いです、はい。

休暇もいただきましたし、コミケやらスキーやらで沢山ストーリーを(頭の中で)考えたので今日からちまちま投下していきます


では、シモさんのステータスから入ります


【CLASS】アサシン
【マスター】ジャック
【真名】シモ・ヘイヘ
【性別】男性
【属性】秩序・中庸
【ステータス】筋力E 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運A 宝具B
【クラス別スキル】
気配遮断:A+
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
宝具『白い死神』使用時はランクが下がらなくなる。

【個別スキル】


【宝具】
『白い死神(ベーラヤ・スメルチ)』
ランク:B 種別:対人宝具 最大捕捉:1人
シモ・ヘイヘの逸話を純白のギリースーツとして具現化したもの。
使用者は『気配遮断:B』相当のスキルを得て、気配遮断のランクが下がらなくなる。
??????????
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すみません、若干の訂正です


【CLASS】アサシン
【マスター】ジャック
【真名】シモ・ヘイヘ
【性別】男性
【属性】秩序・中庸
【ステータス】筋力E 耐久D 敏捷D 魔力E 幸運A 宝具B
【クラス別スキル】
気配遮断:A+
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば、探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
宝具『白い死神』使用時はランクが下がらなくなる。

【個別スキル】
千里眼:C
視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。




【宝具】
『白い死神(ベーラヤ・スメルチ)』
ランク:B 種別:対人宝具 最大捕捉:1人
シモ・ヘイヘの逸話を純白のギリースーツとして具現化したもの。
使用者は『気配遮断:B』相当のスキルを得て、気配遮断のランクが下がらなくなる。
??????????
??????????


シモ「さて、上官」

上官、というのはジャックのことだろう。

彼はマスターのことを上官という。

シモ「これからの戦局をどうみる?」

ジャック「……」

戦局をどうみるか、確かに聖杯戦争は常に戦局に気を張りながら敵を理解して対策しなければ勝てない。

その上で自らの陣営の戦力もちゃんと理解しておかなければならない。

ジャック「俺が考える限りでは、前衛が俺で後衛はシモに任せる、エリーには索敵などのサポートを行ってもらう」

シモ「お前が前衛?」

疑うような言い方で前衛を張るのかと言ってきたが、確かにシモが疑うのも確かだ。

通常人間ではサーヴァントには到底勝てない、それこそ魔法使いや死徒レベルでなくては無理だ。

アサシン程度ならば代行者でも戦えるだろうが……

ジャック「安心しろ、はっきりいって勝てるとは思わないが、死ぬ気はないし策はいくらでもある」

シモ「……今は信じよう、お前の作戦だからな」


執行者、人間離れした化物ばかりだが本物の化物(サーヴァント)には勝つのは難しい。

かつて冬木の聖杯戦争に現代まで引き継がれた『宝具』を持った執行者が参加したそうだが行方不明になっているそうだ。

ジャック(おそらくは、死んだのだろう……)

そんなレベルですら負けるような戦いで気を抜く気はないが、化物と生身で真っ向から戦うのは愚か者だとも自分でも思う。

それでも、それ以外に策がなければ戦うしかない。

ジャック「事前に仕入れた情報と、今日の深夜の情報を照らしながら今日の作戦を立てていく」

シモ「動くのか?」

ジャック「ああ、あなたには今日中に頼みたいことが沢山ある」

シモ「大変な一日になりそうだ」

ジャック「勝てば報われる」

シモ「それもそうだな」

死ねば、そんな日々も全て報われずに終わる。

エリーを『呪縛』から解き放つこともできない。

ジャック(呪縛は俺が解く、俺がこの戦いを勝ち抜く)


執行者、人間離れした化物ばかりだが本物の化物(サーヴァント)には勝つのは難しい。

かつて冬木の聖杯戦争に現代まで引き継がれた『宝具』を持った執行者が参加したそうだが行方不明になっているそうだ。

ジャック(おそらくは、死んだのだろう……)

そんなレベルですら負けるような戦いで気を抜く気はないが、化物と生身で真っ向から戦うのは愚か者だとも自分でも思う。

それでも、それ以外に策がなければ戦うしかない。

ジャック「事前に仕入れた情報と、今日の深夜の情報を照らしながら今日の作戦を立てていく」

シモ「動くのか?」

ジャック「ああ、あなたには今日中に頼みたいことが沢山ある」

シモ「大変な一日になりそうだ」

ジャック「勝てば報われる」

シモ「それもそうだな」

死ねば、そんな日々も全て報われずに終わる。

エリーを『呪縛』から解き放つこともできない。

ジャック(呪縛は俺が解く、俺がこの戦いを勝ち抜く)


―――エルナの魔術工房 午前七時


真里奈「おはようございます」

エルナ「うん、おはよう」

バーサーカー「ZZz…」

アンノウン「おはよう」

真里奈「……夢じゃなかったのね」

エルナ「まぁ、そうね」

アンノウン「昨日のうちにマスターとしての契約は終わらせておいた」

真里奈「夢じゃない以上は全うしてみせますけど……何をすれば?」

エルナ「昨日……正確には今日だけど、命をかけた戦いだから、限りなく慎重にいかないといけないの」

アンノウン(昨日俺相手にゴリ押ししようとしたマスターが慎重に、ねぇ……)

エルナ「とりあえず、手の甲を見てみて」

真里奈「痣……?」

エルナ「それは『令呪』。聖杯戦争の参加権でもありサーヴァントに命令できる権利よ」


令呪、それは聖杯戦争の参加権でもありサーヴァントに絶対の命令を行うことのできる命令権。

三回までならサーヴァントに命令を行うことができ、その命令はより具体的である限り命令の効力は強くなる。

魔法に近いレベルの命令まで行使可能となり、一度使えば無くなる。

三回使えば聖杯戦争のマスターではいられなくなる。

エルナ「魔術の才能が少しでもなかったらダメだったんだけど、あなたには才能があったから大丈夫だったわ」

アンノウン「才能がなければ選ばないさ」

真里奈「じゃあ、この令呪は二回までしか使えないの?」

エルナ「実質はね、三回目は本当に非常時に使うことになるわ……それこそ自分の命の危機とかね」

真里奈「……」

エルナ「一般人で命の危機とかわからないかもしれないけど、とりあえず話進めるわよ……あなたのサーヴァントを見てみて」

真里奈「私のサーヴァント?」

アンノウン「俺のことだ」

真里奈の横には黒髪で日本人……ではなさそうだが、どこの国の人間かは分からないが顔の整った顔を持つ男がいた。

真里奈「か、カッコイイ……」

アンノウン「そりゃどうも……じゃあ、少し目を凝らして見てみろ」

真里奈「凝らして……うわ!」

【マスター】真里奈
【クラス】アンノウン
【真名】???
【性別】男性
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷B 魔翌力B 幸運B 宝具?
【クラス別スキル】
奇跡の具現化:A
このクラスを持つ者は、その土地での知名度が高ければ高いほど、
ステータスが上昇する。

【個別スキル】
専科百般:?

【宝具】


真里奈「な、何これ?」

エルナ「それはサーヴァントのステータス、能力や持ってる武器とかの情報よ」

真里奈「ゲームみたい」

エルナ「そうね、まぁかなり重要なものだから人にむやみに自分のサーヴァントの情報を流しちゃいけないわよ?」


真里奈「じゃあ、サーヴァントを見たら情報見れるってことは……」



【マスター】エルナ
【真名】ローラン
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B+ 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具A+++
【クラス別スキル】
狂化:C
魔力・幸運を除くパラメータを上昇させる。
代償として正常な思考力と言語能力を喪失している。

【個別スキル】
蛮勇:A
無謀な勇気。
同ランクの勇猛効果に加え、格闘ダメージを大幅に向上させるが、
視野が狭まり冷静さ・大局的な判断力がダウンする。


【宝具】
『?????』
ランク:A+++ 種別:対城宝具 最大捕捉:1~1000人


真里奈「バーサーカーさんの名前ってローランって言うの?」

エルナ「あら、わかっちゃった?」

真里奈「え?」

エルナ「それって普通わからないものなのよ、あなたのアンノウンだってわからないでしょ?」

真里奈「……本当だ」

エルナ「自分がわかった情報だけがステータスとして見ることができるけど、それ以外は普通見えないものなのよ」

真里奈「じゃあ何で私が……?」

と、エルナはアンノウンの方を見つめた。

アンノウン「そうだな、俺が知った情報がマスターに伝わったのだろう」

真里奈「よ、よくわからないけど……」

エルナ「ま、色々と私から説明するのも面倒だから、とにかく分からないことがあったら私に言ってね!」

真里奈「は、はぁ……」

エルナ「じゃあ、朝食作ってくるから適当にくつろいどいて」

真里奈「う、うん」


ちょっとバイトに行ってきます



では、再開します


アンノウン「……」

真里奈「……」

気まずい。、何を話したらいいかわからない状態だ。

ほぼ初対面の相手の上に、突然ファンタジーな出来事に巻き込まれたこの状況で何を話したらいいものか。

と、悩んでいるとアンノウンが先に口を開いた。

アンノウン「真里奈、っていうのか?」

真里奈「は、はい!」

アンノウン「そんな畏まらなくていい、偉くもなんともないから」

真里奈「それでも初対面ですし……」

アンノウン「それもそうか……ひとつ聞くけど、どうしてマスターになろうと思った?」

真里奈「命かかってるとか言われましたけど……実際のところただの好奇心……です」

アンノウン「好奇心……か」

うんうん、と言いながら何故か納得している。

真里奈「……おかしいですか?

アンノウン「ああ、おかしいな」

そこは肯定するところなのだろうか?

だが、自分の言ったことに間違いは無いし、自分でも変だと思っているので何も言い返せない。


アンノウン「非日常的でなおかつ、目の前で命を落とすかも知れないという戦いが行われているのに、叫び声すら上げずに逃げもしない女子高生は初めて見たよ」

真里奈「そ、それは足がすくんで怖かっただけで……」

アンノウン「それにしては興味津々だったぞ」

真里奈「興味は……ありました、だけど怖かっただけです」

アンノウン「十分おかしな人間だぞ?」

初対面でここまで『おかしい』と罵倒するなんて酷い。

アンノウン「……別に悪い意味でもないさ、俺は『勇気』があるって言ってるんだ」

真里奈「勇気……?」

アンノウン「君は無謀ではなく、興味やその場をしのぐために勇気を持って行動した……違う?」

勇気を持って行動……したかどうかなんて覚えていない。

真里奈「興味とその場をしのぐために精一杯でしたから……」

アンノウン「ま、それもそうか」

と、また自分で納得して「うんうん」と頷いた。

アンノウン「やはり、君をマスターにして正解だった」

真里奈「え?それは―――」

と、私の言葉を遮るように。

エルナ「ヒャッハー!朝食だー!!」

と、朝食を運んできた。


アンノウン「これを一人で?」

エルナ「私は魔術だけでなく家事に関しても天才ですから」

真里奈「お、おぉ……」

見た目は何処かの高級レストランの料理か何かと見間違えるくらいの料理が目の前には広がっていた。

食欲をそそる匂いが早く食べたいと体が叫んでいた。

バーサーカー「まだか!?まだ食べちゃいけないのか!?」

真里奈「うぉ!?バーサーカーさんいつの間に……」

エルナ「いいよ、挨拶してから沢山食べてね」

バーサーカー「いただきます!」

真里奈「あ、じゃあいただきます」

アンノウン「いただきます」

と、三人同時に言ってから料理を口に運ぶ。

真里奈「見た目以上……」

アンノウン「美味しいな、王国の料理でもこんな美味しい料理は出てこないぞ」

エルナ「お、アンノウンは『王国』出身かな?」

アンノウン「そういうわけじゃないさ、ただ幾つもの王国を旅した記憶があるからな、そこで食べた料理の味はだいたい覚えているだけさ」

エルナ「その中でも私の料理が一番と?」

アンノウン「保証しよう」

エルナ「やったー!これはもう中華料理しか取り柄のない師匠に料理では上だということを証明できる!!」


真里奈「師匠?」

エルナ「私には魔術の師匠がいてね、その人に色々教えてもらったんだ」

真里奈「へぇー、師匠って人は今どこにいるの?」

エルナ「なんかロンドンに呼び出されて行っちゃったみたい」

真里奈「ロンドンに?」

エルナ「ロンドンには魔術の総本部みたいなところがあるのよ」

真里奈「総本部……」

エルナ「私は行ったことないけどね」

と、エルナも作った料理に口を運び「美味しい~!」自画自賛し始めた。

真里奈「あはは……エルナさん?」

エルナ「エルナ、で呼び捨てにしていいよ」

真里奈「じゃ、じゃあエルナ……その昨日言っていた友達になろうって言うのは……何かの隠語?」

アンノウン「ぶっ」

エルナ「ぶっ」

バーサーカー「ぶっ」

と、食べている全員が小さく吹き出していた。

真里奈「汚い!てかなんで皆笑うのよ!?」


アンノウン「だって隠語ってお前、あははははは!」

バーサーカー「友達って隠語だったのか、ハハハ!」

真里奈「だって魔術とか何とか色々不思議なことあった中で友達になろうなんて言われたら普通そう思わない!?」

アンノウン「だ、だからって友達を隠語だって思うのは……くくっ、やっぱりお前をマスターにして正解だった!」

エルナ「ハハハハハ!隠語ってアハハハハ!」

と、ここで恥ずかしさが頂点に達したのか、顔を赤くして立ち上がり。

真里奈「うわー!死ね!今死ね!すぐ死ねぇ!」

アンノウン「待て待て待て!それ以上はやめろ!」

エルナ「馬鹿馬鹿馬鹿!令呪だけは使わないでね!?手が光り始めてるよ!?」

真里奈「うわ!これってどうやって止めるの!?」

エルナ「よ、よーし!私が頑張っちゃうぞー!」


……………


………




アンノウン「死ぬかと思った」

エルナ「私が何とかしていなかったら三回分の令呪でアンノウンが自殺することろだったわ」

真里奈「ご、ごめんなさい……まさか自殺とかも命令できるなんて……」

アンノウン「あれの使用用途は本来そういうものでもあるしな」

真里奈「え?」

エルナ「サーヴァントが裏切って自分を殺しにきたら令呪で命令して自殺させる、最後の一角は基本的には聖杯戦争の参加権というよりかは自分の身を敵味方例外なくサーヴァントを殺すためにあるようなものよ」

真里奈「そ、そうだったの?」

アンノウン「俺は人を裏切るような真似をするつもりはないけどな」

バーサーカー「私もありえないな、エルナは可愛いから」

エルナ「ありがとう」

不思議な関係を横で見ながら、なんとなく自分の立たされた舞台についてやっと見えてきた。

エルナ「あ、ところで友達になろうって私言ったじゃない?」

真里奈「え?うん」

エルナ「返事聞かせてよ!」


真里奈「へ、返事って言われてもなぁ……」

エルナ「ダメ……なの?」

と、上目遣いでこちらを見てくる。

真里奈(やばい、何かに目覚めそう)

バーサーカー「うわ、あのエルナ可愛い、アイツうらやま殺……やべ、鼻血が」

アンノウン「うわぁ……」

と、バーサーカーを見たアンノウンは若干ひいていた」

真里奈「私、友達になろうと言われて友達になったことないからどうにも分からないなぁ……」

エルナ「えぇ!?」

私の言ったことが驚愕だったらしく少し落ち込んでいた。

真里奈「い、いやね?友達になろうなんて初めて言われたから戸惑っただけなのよ?」

エルナ「じゃあ、マリナはどうやって友達作ってるの?」

真里奈「どうやって?うーん……適当に遊んでいて、気がついたら?」

エルナ「なるほど、じゃあ私はマリナとデートすればマリナと友達になれるのね!」

真里奈「うん……んん?」


バーサーカー「決闘だ、アンノウンのマスター!私のデュランダルの三つの奇跡をここで全て開放してくれる!」

真里奈「待って!なにか色々語弊とかがありそうな気がするから待って!」

エルナ「え?違うの?」

真里奈「えーっとね、デートって言い方はなんか違う気がするけど……そうだ、今日の夕方あたりに私と遊びに行こう!」

エルナ「おぉ!どこに行くの!?」

真里奈「えーっと……適当に決めておくわ!」

エルナ「そんな適当でいいの?」

真里奈「それが日本の女子高生ってもんよ!」

エルナ「おぉー……」

と、適当な事を口に出して並べただけだが、効果は絶大のようだ。

一人を除いて……

バーサーカー「なぜ、なぜそこをどかないアンノウン!!」

アンノウン「おい!この馬鹿の宝具をさっさと止めてくれ!」

と、隣では二つのデュランダルが鍔迫り合いを繰り広げていた。

とことん非日常なのだと思った。


真里奈「じゃ、じゃあバーサーカーさんも一緒に来ましょうよ!」

バーサーカー「なに?」

エルナ「そうね、そっちの方が面白そうだわ!」

バーサーカー「……」

バーサーカーはふたりを交互に見つめたあと。

バーサーカー「両手に花……なるほど、それは名案だな、マリナ」

アンノウン「理性の蒸発したバーサーカーがなにかしないか見張るために俺もついて行かせてもらう」

エルナ「うんうん、こうやって遊ぶ約束したりするのもしたことないから私は楽しいぞ!」

と、満面の笑みになったエルナとは対照的に真里奈は。

真里奈「しまった!?学校あるの忘れてた!」

と、残りのご飯を口に急いで入れてから立ち上がった。

真里奈「私学校あるから、あとで……三時半頃また来るね!」

エルナ「あ、うん!何だか良く分からないけどいってらっしゃーい!」

【マスター】エルナ
【真名】ローラン
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B+ 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具A+++
【クラス別スキル】
狂化:C
魔力・幸運を除くパラメータを上昇させる。
代償として正常な思考力と言語能力を喪失している。

【個別スキル】
蛮勇:A
無謀な勇気。
同ランクの勇猛効果に加え、格闘ダメージを大幅に向上させるが、
視野が狭まり冷静さ・大局的な判断力がダウンする。

【宝具】
『?????(デュランダル)』
ランク:A+++ 種別:対城宝具 最大捕捉:1~1000人
天使に授けられた持つ美しい両刃の聖剣。
?????????
デュランダルの持つ三つの奇跡を持ち、一つを解放する事に強さが増大し、能力を得ることができる。
?????????
?????????
?????????
?????????




ギャグシーンで若干宝具の情報が開放される。

ちなみにデュランダルの『+』が三つの訳は、開放された情報に書いてあるのが理由です

さて、今回はこれで終わりで、次回からは地味に続けていこうと思います

皆様ありがとうございました

おつー
デュランダル対軍宝具なのか

>>203
デュランダルは本来対人専用にしようかと思いましたが、ちょっと規格外の強さを誇ってみようかと思いまして、この結果に


さて、今日も残り数分しかありませんが、適当に進めていきます


エルナ「……行っちゃった」

バーサーカー「そう言えば、マリナは学生なのか」

エルナ「そうみたいね、学校間に合うかしら」

バーサーカー「足速そうだし、大丈夫でしょ」

エルナ「そういうものかな……じゃあ、三時まで私も暇つぶすために礼装でも作ろうかな」

机の上にある食べ終わった後の朝食の食器などを片づけて様々な書物や道具を机に並べた。

バーサーカー「お、この小瓶って」

エルナ「それはあなたの『理性』が入っていた小瓶よ」

バーサーカー「しかしぶっ飛んでるよな、バーサーカーに理性を持たせるなんて」

エルナ「そうかしら?おかげで魔力の消費を抑えられるし、いざとなれば理性をとって戦うこともできる」

バーサーカーが平気でマスターであるエルナと理性を持って話しかけられる理由。

それこそがエルナの作った『小瓶』の存在であった。

バーサーカー……ローランは伝説で理性を剥奪されたあと、親友であるアストルフォが月で理性を取ってきて鼻から注入して理性を取り戻したという。

それを知ったエルナは『月に行かなくても理性を得る方法』を考え、そして実行に移した。

それが功を奏して『理性の小瓶』と呼ばれる専用の礼装……他から見れば宝具とも言っていい存在を生み出すことができた。

通常の魔術師では不可能なことでも難なくやってのけるあたり、エルナと呼ばれる魔術師は天才としか言いようがなかった。


エルナ「満月の時に小瓶を月光にかざしたら、小瓶の中には理性が入る仕組み……勿論理性が入っているわけだからバーサーカーにこれを使用すれば、どんなバーサーカーでも理性を取り戻すことはできる優れもの」

バーサーカー「ある意味バーサーカーキラーだな」

エルナ「勿論理性を取り外すのも可能だけど……これが作れたのもあなたの結構偶然なんだよねー」

バーサーカー「私には魔術師の凄さがよくわからないが、親友の馬鹿が月まで行って取ってきた物を自宅で取り戻してくれたエルナが凄いのは私でもわかるぞ」

腕を組んで何故か誇らしげに頷くバーサーカー。

エルナ「ま、私の作る礼装はそれだけじゃないんだけどね」

そう言って四つの完成された礼装と作りかけの礼装をひとつ置いた。

バーサーカー「本当に武器を作るのが好きだな」

エルナ「自分の作ったものが他人に通用するって感覚が楽しくてさ、昨日のランサーのマスターとの対決だって楽しかったんだから」

エルナは服の中から一枚の長方形の紙を取り出した。

その紙には様々な模様と文字がいくつも書かれている札だった。

バーサーカー「それは?」

エルナ「式神の札、この国で使われている召喚方法というか、使い魔というか……」

バーサーカー「へぇー、これが使い魔なのか」

エルナ「一枚で一つの鬼や霊を呼び出して使役が可能だから結構強いのよ」

エルナはバックの中に入っている式神の札、枚数にして300以上あるものをドサドサと床にぶちまけた。

エルナ「失敗作もあるけど、呼び出すのには問題ないのよね」


バーサーカー「じゃあ、昨日戦っていたアレは式神ってやつなのか……」

エルナ「他にも、昨日完成した『眼』と、私が加工して調整した『双剣』とか色々あるけど……」

バーサーカー「あるけど?」

エルナ「いや、あんまり強力だから使おうとは思わないのよね」

バーサーカー「そうなのか?」

エルナ「どれも、現代で発掘された英雄の物を礼装として運用したものだから」

バーサーカー「それはまた、なんとも大胆な……」

エルナ「使った分の反動は必ず自分に襲いかかると思うからね……だから反動のなさそうな礼装を新しくつくろうと思って」

バーサーカー「手伝おうか?」

エルナ「ありがと、でも私一人で真剣にやりたいからバーサーカーは適当に街でも見てきたら?」

バーサーカー「そう……わかった、調査してくるわ」

少し落ち込んだバーサーカーだが、すぐに気持ちを切り替える。

そう言う気持ちの切り替えが早く、忠実なところが二人の信頼を保っているのだろう。

エルナ「ありがとね、ローラン」



――――浅草 午前九時


ミリア「美味しいわ!このダァンゴとか言うお菓子!」

クロエ「団子は古来からある日本の食べ物ですから」

ミリア「極東も舐められないわね、こんな素晴らしいものがあるなんて」

クロエ「……よろしいのですか?」

ミリア「ライダーのこと?どうせ『アレ』は貴女の『中身』のせいで使い物にならないわ」

クロエ「だからと言って、護衛を私だけにしてライダーを単独にしておくのは……あっ」

従者としては差し出がましい意見だったと気がつき、「すみません」と小さく言う。

だが、それをミリアは光の無い瞳でクロエを見ながら穏やかに言う。

ミリア「ウフフ、あなたは不安?」

クロエ「……正直に言えば、不安です」

少しだけ暗い表情を見せたが、すぐにミリアの目を見て言う。

クロエ「ですが、命に代えてもあなたを守りぬくと言うことは変わりません」

ミリア「なら大丈夫ね、あなたはサーヴァント並に強いでしょ?」

クロエ「それは流石に買いかぶりです」


すみません、今日はちょっと眠いのでこれまでにします

皆様ありがとうございました

>>210
スマン、酉外すの忘れてた……。

ひとつ質問なんだが、今はバーサーカーは狂化しているけど理性を持ってて、理性を外すことができるんだろ?
だったら、理性を外せば、
筋力B+ 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運B 
のステータスがワンランクアップするのか?

>>211

あ、狂化のステータス消すの忘れていました

理性あるときは上に書いてあるステータスで、狂化している状態だと能力があがります

>>211

あ、狂化のステータス消すの忘れていました

理性あるときは上に書いてあるステータスで、狂化している状態だと能力があがります

>>211

あ、狂化のステータス消すの忘れていました

理性あるときは上に書いてあるステータスで、狂化している状態だと能力があがります

>>211

あ、狂化のステータス消すの忘れていました

理性あるときは上に書いてあるステータスで、狂化している状態だと能力があがります

4回……アッハイ4回言うレベルにこれは重要なんですね
そしてダァンゴ!ライダーどうした


うわ、スマホから書き込んだら大変なことになっている……

>>216
ライダーは……まぁ、これから色々って感じです


【マスター】エルナ
【真名】ローラン
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B+ 耐久B 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具A+++
【クラス別スキル】
狂化:-
魔力・幸運を除くパラメータを上昇させる。
代償として正常な思考力と言語能力を喪失している。
現在はマスターであるエルナの礼装によって理性を取り戻しているので、
このスキルは無くなっている。

ローランの正しいステータスはこちらです


では、正直眠たいので少しだけ書いて眠ります


ミリア「そう?でも昨日見せてくれた『カント』とか『イアーイ』とかライダーよりもよっぽど強そうじゃない!」

クロエ「いや、アレくらいなら……」

『カトン』とは火遁の術のことで、『イアーイ』は居合のことだろう。

少し文献をあさって、自分流にやってみたら案外上手くいったので披露してみたらミリアは大喜びだった。

『執事でニンジャだからバトラーニンジャだわ!!』などと変な称号まで頂いた。

クロエ「とはいえ、私がついているからといって用心してくださいね?」

ミリア「わかってるわよ、さっきから後ろをつけてきている魔術師にも気を配ってるわよ」

いつから付いてきたのかは分からないが、確実に誰かが自分たちのことをつけているのは分かっていた。

クロエ「……どうします?」

ミリア「近くにサーヴァント反応は?」

クロエは目をつぶって痛そうに頭を抑える。

それを見ていた魔術師には何をしているのかおそらく分からないだろう。

クロエ「ありません……使い魔が一体」

ミリア「今すぐ仕留めて」

クロエ「かしこまりました」


魔術師の目からは、突然クロエの姿が消えたように見えただろう。

だが、実際にクロエは消えたわけではなく……

クロエ「それで、何が目的ですか?」

いつの間に立っていたのか、魔術師の後ろに回り込んでいた。

魔術師「いつの間に……」

クロエ「なるほど、使い魔を魔術師に寄生して操っているという訳ですか」

魔術師「……へぇ、それを見抜くんだ」

クロエ「私の目はその程度じゃ欺けませんよ」

そう言ってクロエは袖に仕込んであるサバイバルナイフで腹を刺そうとすると、ミリアは直前で止める。

ミリア「待ってクロエ……ねぇ、魔術師さん」

光のない、感情を感じられない目で魔術師に言う。

ミリア「私と真っ向勝負しない?」

魔術師「……は?」

突然の申し出だった。真っ向勝負といっても正面からサーヴァントと戦わせようということだろうか。

ミリア「先にサーヴァントを誰でもいいから討ち取ったら勝ち、勝った方は負けた方に令呪を一角譲る……どう?」

あまりにも突然なことを言っていた。

魔術師も何を言っているのか理解するのに少し時間がかかっただろう。

寝落ちしていました、再開します



魔術師「僕がお前と?」

ミリア「そうよ、この魔術師さんの向こう側にいるあなたに言ってるの……マキリさん」

見抜かれていた。

寄生程度は見抜かれて当然だとも思ったが、自分のことすらも見抜かれているとは思わなかった。

竜也『ご名答、流石はアインツベルン、腐っても御三家ってわけ?』

ミリア「アハハ、少し勘違いしているみたいだけど……別にいいわぁ」

竜也(勘違い……?)

笑いながら魔術師の目を……その向こう側の竜也に語りかける。

ミリア「で、真っ向勝負の件なんだけど……私ね、モチベーションが上がらないのよ」

竜也『は?』

ミリア「いやね、何も変化も楽しみもない聖杯戦争の序盤だと退屈なのよ」

竜也『だから刺激を得るために?』

ミリア「そう!令呪という切り札を賭けての戦いはきっと楽しくなるわぁ!」

退屈だから、などという理由で謎の賭けを持ちかけてくる彼女の姿は竜也の目には狂っているにみえた。

だが、面白いとも逆に思う。

竜也『いいよ、ルールを教えてくれ』

ミリア「ルールは敵マスターの首を……そうね、私の使い魔を渡しておくから手に入れたら連絡して」

竜也『令呪の譲渡は?』

ミリア「もちろん行うわよ?どこで行うかは状況次第……期間は私たち以外のサーヴァントが一体脱落したら」


竜也『なるほど……お前が望むのはあくまで令呪ではなく』

ミリア「膠着状態の終わり」

令呪を消費してでも、膠着状態を早々に終わらせて聖杯戦争をより大きな戦いにする……

竜也(短期決戦が目的か)

どんなサーヴァントを持っているのかはわからないが、短期決戦にしたいだけの理由があるのだろう。

まさか、本当にただ『退屈だから』という理由で令呪を一つ消費するわけがない。

そもそも、令呪を渡してくる保証はない。

だが、もしも約束を果たしてくれるなら……

竜也『よし、お前の提案は乗った……用は済んだか?』

ミリア「ええ、お互いにいい聖杯戦争を」

ミリアは軽く手を挙げてクロエに合図する。

それと同時に静かに魔術師の首は撥ねられた。

だが、街のど真ん中で行われたことだが、周りにいた人間は全く気が付かない。

それもそのはず、クロエたちを監視していた時点で彼女たちは既に周りから……一般人では見えない結界を張っていた。

クロエ「……よろしいのですか?」

ミリア「うん、令呪なんてあって無いようなものだし……それに退屈な状況が一転するなんて素晴らしいわ」

クロエ「はぁ、こちらとしては胃が痛いですよ」

ミリア「私は楽しすぎて胃が破裂しそうだわ」

その後、彼女たちは街を歩き続けたが名もわからない操られていた魔術師の死体は気がつかれることなく放置され続けた。


竜也『なるほど……お前が望むのはあくまで令呪ではなく』

ミリア「膠着状態の終わり」

令呪を消費してでも、膠着状態を早々に終わらせて聖杯戦争をより大きな戦いにする……

竜也(短期決戦が目的か)

どんなサーヴァントを持っているのかはわからないが、短期決戦にしたいだけの理由があるのだろう。

まさか、本当にただ『退屈だから』という理由で令呪を一つ消費するわけがない。

そもそも、令呪を渡してくる保証はない。

だが、もしも約束を果たしてくれるなら……

竜也『よし、お前の提案は乗った……用は済んだか?』

ミリア「ええ、お互いにいい聖杯戦争を」

ミリアは軽く手を挙げてクロエに合図する。

それと同時に静かに魔術師の首は撥ねられた。

だが、街のど真ん中で行われたことだが、周りにいた人間は全く気が付かない。

それもそのはず、クロエたちを監視していた時点で彼女たちは既に周りから……一般人では見えない結界を張っていた。

クロエ「……よろしいのですか?」

ミリア「うん、令呪なんてあって無いようなものだし……それに退屈な状況が一転するなんて素晴らしいわ」

クロエ「はぁ、こちらとしては胃が痛いですよ」

ミリア「私は楽しすぎて胃が破裂しそうだわ」

その後、彼女たちは街を歩き続けたが名もわからない操られていた魔術師の死体は気がつかれることなく放置され続けた。


―――どこかのホテル 午前九時



操っていた魔術師の首を切られ、強制的に寄生の魔術が解かれたあと竜也は痛そうに頭を抑えていた。

竜也「ッ―――首切りはキツイなぁ」

自分の得意な魔術でもある蟲を通りすがりの魔術師に寄生させて操り人形にした。

それを使ってアインツベルンのマスターである『ミリア』と呼ばれる魔術師を監視していた。

だが、彼女たちが自分……魔術師の存在に気づいていたことはわかっていた。

竜也としても、見え見えの結界を張りながら歩いていることから誘いだということは分かっていたので当然のことだと思っていた。

魔術師が死んでも別にこちらの戦力としては何ら問題はない、むしろ友好的(?)に接触できただけマシだと思った。

そんな中で一番の収穫は一つ……

竜也「あのクロエとかいう女執事、ステータスが見えた」

ランサー「ステータスが?」

竜也「本来マスターのステータスなんて見えないはずだけど、そもそもアレはマスターですらない」



【CLASS】?????
【真名】クロエ
【性別】女性
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力C 耐久D 敏捷B 魔力B 幸運E 宝具?


ランサー「おかしくないか?」

竜也「ははっ、おかしいね……ステータスが見える仕組みは置いといて、人間基準で見えているならまだしも」

ランサー「もし、サーヴァント基準で見えているなら、クロエとかいう人物……アインツベルン陣営はサーヴァントを二体所有していると言ってもいい」

竜也「そうだね、サーヴァントから見れば貧弱なステータスでも宝具を使わないサーヴァントなら互角に戦えるレベルだし、執行者や代行者以外が戦えば間違いなく負けるね」

ランサー「……」

竜也「どうした?」

ランサー「いや、この街に入った時から槍が反応して仕方がない」

竜也「槍が?」

ランサー「ある意味俺はクロエという人物の天敵なのかもしれない」

竜也「……ははっ、もしあなたの槍がクロエ……というより、あの陣営に通じるようなら、あの陣営は完全無視でもいいですね」

ランサー「そうだな、俺の宝具が通じれば勝ちは確定したようなものだからな」

竜也(ランサーの宝具はいくらでも消費できる……仮に折られようとも、壊そうともまた復活させればいい)

ランサー「……ところで」


竜也「どうした?」

ランサー「いや、この付近にサーヴァントの反応だぞ」

竜也「ははっ、一難去ってまた一難か……勝てそう?」

ランサー「ああ、おそらく」

二人は戦闘の準備をして、ホテルを出た。

ホテルの入口で待ち構えていたのは赤いコートを着た女性。

竜也「『時の止まった魔女』、母さんの姉か」

凛「桜に似ているわね……ま、聖杯戦争だから関係ないわ」

お互いに手持ちの武器を構える、人の多い街中で一般人に見られないように結界も張ってある。

竜也「どうやって俺を見つけたのか知らないけど、アンタは早々に倒さないと危ないからね」

凛「お互い様だわ、私もあなたの家の老人の夢を叶えさせるわけにはいかないの」

まだ朝なのにも関わらず、二つの御三家がぶつかろうとしていた。


続きが思いつかないので、とりあえず休憩


リアル事情忙しいので今日はもう書くのはやめようと思います
最後に少しステータス更新


【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】バーサーカー
【真名】エルナ
【属性】中立・善
【年齢】16
【固有スキル】
道具作成:B+
魔力を帯びた機器を生成できる。
特に元々ある礼装などの加工や聖遺物などを使って作成する道具に関しては群を抜いている。
時間と材料さえあれば元々ある聖遺物などで宝具レベルの礼装の作成も可能。
【所持品】
オーディンの眼(加工済み)
式神の召喚符(300枚)
双剣などの各種加工済み聖遺物(3種類)
理性の小瓶
【詳細】
とある国の少女、優秀な才能を持ち、それを見抜いたある魔術師が弟子として彼女を引き取り、
聖杯戦争に参加させる。
マイペースで敵味方を焦らせるような言動や行動をするが、上手く収めて結果的には良い方向に向かうことが多い。


【CLASS】マスター
【サーヴァントクラス】アンノウン
【真名】真里奈
【属性】中立・中庸
【年齢】18
【詳細】
普通の女子高生。魔術師のとしての素質は一応あったのでマスターになることができた。
アンノウンには彼女の何かを見抜いて自分のマスターにしようと考えたみたいだが、今は不明。
好奇心で動き、自分から地雷原に突っ走るような真似をすることも……

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