【fgo】ランサー「ローマがローマだ」ケイネス「え?」【zero】 (198)

ここはドイツにあるアインツベルン城、
そこで一人の男とその妻がある魔術儀式を行っていた

切嗣「抑止の輪より来たれ天秤の守りてよ!」

男の詠唱の終わりとともに魔法陣が光る
そしてそこから現れたのは

セイバー「セイバー、ベディヴィエール。
     此よりは貴方のサーヴァントとなりましょう。
     それが、我が王の御為になるものと信じて」

銀色の腕をした美しい男だった

―――――――――

そして各地でサーヴァントが召喚される

ランサー「私(ローマ)がローマだ」

アーチャー「サーヴァント、アーチャー。アルジュナと申します。
      マスター、私を存分にお使い下さい」

ライダー「おやおや、これはこれは奇遇ですな。
     デュフフフフフ。黒髭、参上ですぞ。緑は敵ですぞ」

キャスター「あああぁぁ!どうやら大当たりのようですよマスター?
      悪魔メフィストフェレス、まかり越してございます!」

バーサーカー「私が来たからには、どうか安心なさい。
       すべての命を救いましょう。すべての命を奪ってでも、
       私は、必ずそうします。」

アサシン「我が顔を見る者は恐怖を知る事になるだろう……お前も」

聖杯戦争が始まる…

fgo初出キャラで聖杯戦争

書くのは遅く、でもあっさりと進めます


切嗣「ベディヴィエール…?アーサー王ではない…だと?」

切嗣は目に見えて落胆している様だった。

アイリ「ええっと、切嗣?い、良いじゃない!ヴェティヴィエールだって悪くはないわ。ほら、彼はほかの騎士たちよりも早く敵を倒したというじゃない」

切嗣「正確には一般的な騎士より早くだ。ランスロットやガヴェインには劣るよ。これならアサシンを召喚した方がはるかにマシだった」

切嗣の心ない言葉にセイバーは落ち込んでいる。

セイバー「ええ、それは間違いではありません…私は円卓において最弱でしたから…」

切嗣「はぁ…」

うつむくセイバーを置いて切嗣は部屋を後にした。



切嗣(サー・ヴェティヴィエール、アーサー王の忠臣…。その槍の一突きは一般的な騎士の九突きに匹敵すると言われる)

切嗣は一人廊下を歩きながら先ほど召喚したサーヴァントの情報を思い返す。

切嗣(ランサーならともかくセイバーだなんてな。奴の剣の逸話など…)

足が止まった

切嗣(ないぞ…)

頭が働く

切嗣(剣にまつわる逸話といえばアーサー王の死についてぐらいのはずだ。そんな奴がなぜセイバーに?いや、そもそも何故アヴァロンを触媒として召喚された?)

疑問は尽きない。

切嗣(僕の推測が正しいとすれば...!)



セイバー「アヴァロンですか…」

セイバーは自らの王がかつて持っていた鞘をなでる

セイバー「申し訳ありません王よ。私はあなたを…」

ガタン、扉の開く音がする。

切嗣「セイバー」

セイバー「あなたですか、マスター。どのようなご用件で?」

切嗣はセイバーを睨みながら

切嗣「お前の宝具は何だ?」

と聞く。

セイバー「…」

セイバーは答えない、答えたくないのだ。

切嗣「答えないのなら勝手に話そう。お前の宝具はエクスカリバーだな。違うか?」

セイバー「…はい。なぜ分かったのですか?」

切嗣「ベディヴィエールには剣の逸話がない、有名な逸話といえばエクスカリバーの返還についてぐらいだ」

カムランの丘にて傷ついた王を助けるため兵を呼びに向かおうとしたその時、
目を覚ました王に自分に代わってエクスカリバーを湖の妖精に返還せよ、と彼は命じられた。
ベディヴィエールは王の命を破るという騎士にとっての大罪である事を知りながら、王を惜しむ余りに二度に渡って剣の返還を躊躇い、
繰り返し「剣を捨てた」と嘘をつく。
だが、その度にアーサー王から命令の実行を命じられ、もはや王の意志を変えることは出来ぬと悟り、
王の終わりを受け入れて、三度目にして遂に剣を湖に投げ入れた。
それが彼の逸話だ。

切嗣「それにいくらアヴァロンが円卓の騎士にゆかりのあるものとはいえ、アーサー王本人との縁には負ける」

セイバー「…」

セイバーは黙って聞いている

切嗣「要するに、アヴァロンを触媒として呼び出されたのはお前ではなくエクスカリバーだ。」

セイバー「その通りです、私のこの腕がエクスカリバーなのですよ」

セイバーが自嘲気味に笑う

切嗣「答えろ、エクスカリバーが呼ばれたにしろ何故アーサー王ではなくお前が呼ばれた」

セイバー「私は王を裏切った」

彼の懺悔のような言葉

セイバー「三度目に返還を命じられた際、私はまた返還することができずに王の元へ戻りました…」

切嗣「…」

彼の告白に今度は切嗣が黙って聞く番だった。

セイバー「そして見てみるとそこに王は居ませんでした。エクスカリバーを返さなかったために王は死ぬことも出来ずにさまよい続けることとなったのです。」

セイバーはつらそうな顔をする

切嗣「エクスカリバーの加護か…」

セイバー「この義腕はマーリンがエクスカリバーを加工して作ったアガートラムのレプリカです」

切嗣「アガートラム…ヌアザの銀の腕だな?」

セイバー「はい。だから私は召喚へと応じたのです。今度こそ王を殺すために…」

セイバーの告白は終わった

もっとあっさりと行きたい…

次はたぶん水曜日

切嗣「…」

セイバー「…」

沈黙が場を支配する。

先に口を開いたのは切嗣だった。

切嗣「それで?」

セイバー「はい」

切嗣「お前がエクスカリバーを所有しているせいでアーサー王が召喚できなかったことは分かった
   だが今聞きたいことは一つだ。お前は戦えるのか?」

セイバー「はい、サーヴァントとしてであれば生前よりは強いと思います」

切嗣「そうか、それならいい。」

その言葉を聞くと切嗣は部屋を後にした

少年は苦悩していた

それは…

ライダー「んほぉぉぉっぉぉぉぉ!うーん、やはり深夜アニメは最高ですぞ!」

自らの召喚したサーヴァントがどうしようもないオタクだったからである。

ウェイバー(海賊エドワード・ティーチ、通称黒ひげ。召喚用の触媒がこいつのマントとはな)

黒ひげといえば有名な海賊の一人であり知名度により強さの変わる聖杯戦争においては当たりと言ってもいいだろう。

しかし…

ライダー『マスター、同人誌買ってきてくだちい』

ライダー『マスターはおにゃのこみたいでカワイイでござるなwwwwww』

ライダー『え?外に出る?聖杯戦争?拙者今アニメ見るのに忙しいでござる』

ウェイバー(はずれじゃないか!なんなんだよこいつは)

召喚されるなりサブカルチャーにのめりこみだした自らのサーヴァントを心の中で罵倒する。
実際にも罵倒はしたが

ライダー『アーッ!その暴言がキ゛モ゛チ゛イ゛イ゛!』

寒気がした。

ウェイバー(こんなのと聖杯戦争を勝ち抜いても評価は変わらない気がする…)

もう一度ライダーを視界に入れると、不快感が込みあがってきたのでそのまま寝ることにした。

雁夜は驚愕していた。

雁夜「…?」

ジジイの用意した触媒を無視して自分が海外で手に入れたお守りを使ったことまではいい。
だが、話に聞いたバーサーカーとは大分違っている。
言葉も話せるし理性もありそうだ、とりあえずは…

雁夜「あんたが俺のサーヴァントか?俺は間桐雁夜、よろしく」

辛い体を引きずって挨拶を行う。
理性があるというなら友好を深めておくのもよい、と手を差し出す。

バーサーカー「…」

雁夜を見つめていた彼女は

バーサーカー「重症ですね」

雁夜「ん?」

診断を下した

バーサーカー「白髪、濁った眼、ミミズ腫れ、引きずられた体。早急に治療が必要です」

雁夜「は?」

バーサーカー「特にミミズ腫れ、そのうごめき方から何かに寄生されていると思われます。切断しましょう」

雁夜「はああああああああああ!?」

突然の言葉に驚愕は継続する。

バーサーカー「大丈夫、貴方は必ず助けます」

バーサーカー「こ ろ し て で も !!」

雁夜「ちょっ!」

メスを構えて向かってくるバーサーカーにさらに驚きは継続。

と思うと…

バーサーカー「何ですか?ここは…」

臓硯「どうかな?我が家自慢の虫蔵は」

ずっと黙っていた臓硯が口を開く。

臓硯「ふふっ、すばらsバーサーカー「不潔ですね、消毒します」

そこにあった古めかしいランプとオイルで火をつける。

臓硯「」

雁夜「」

驚愕継続4回目

バーサーカー「殺菌!」

その日、間桐家でボヤ騒ぎがあったという

ここまで
継続4回熱いですね(パチンコ感)

男は上機嫌だった

時臣「サーヴァントとしてアルジュナを召喚できたことは非常に幸運だった」

ワイングラスを揺らしながら優雅に話す

綺礼「アルジュナですか…」

時臣「まあこの国では有名ではないな。だが彼は『マハーバーラタ』に登場する最強クラスの英雄だ」

アーチャー「…」

アーチャーは黙っていた

アーチャー(最強…ですか…)

時臣「とはいえ綺礼のサーヴァントがオペラ座の怪人とはね…」

綺礼「申し訳ございません師よ、このアサシンではまともな偵察も行えないとおもわれます」

綺礼は謝罪をするが、時臣はあまり気にしていないようで

時臣「構わないよ、サーヴァントの一騎でも倒せれば上等な方だ。それに、私のサーヴァントであればきっと勝ち抜けるさ」

時臣は自らのサーヴァントを信頼している様だった

時臣「君には各陣営の情報収集をお願いしたい。アサシンはその時の護身にでも使えばいいよ」

綺礼「分かりました」

時臣「この戦い我々の勝利だ」

綺礼は思案していた

綺礼(衛宮切嗣…お前はなにを求めている。お前の中に私が求める答はあるのか?)

何があるわけでもなく彼は路地裏をさまよっていた

綺礼(私はそれが知りたい…ん?)

そんな綺礼の前に衛宮切嗣が現れたのは本当に偶然だった

綺礼「衛宮切嗣…」

切嗣「!?」

いきなり自分の名前を呼ばれた切嗣は驚愕する

綺礼「ちょうどいい、私はお前に聞きたいことがあったのだ」

切嗣(言峰綺礼…最悪だ。こんなところでコイツに見つかるなんて)

切嗣は自らの運のなさを呪った

綺礼「貴様は何のために戦う?戦ってきた」

切嗣「何?」

切嗣(僕の経歴を見て何か疑問でも持ったか?とはいえ逃げ道を探すのに少し時間がほしいな)

綺礼「どうした?早く答えろ」

綺礼はアサシンを横に従えながら答えを催促する

切嗣(意図が分からないがここは素直に答えておこう)

切嗣「恒久的世界平和だ」

綺礼「そうか…真面目に答えるつもりはないのだな。ならば」

アサシン「…」

綺礼「やれアサシン、生かしておけばいずれ邪魔になる」

綺礼は切嗣の言葉に満足できなかったらしくアサシンをけしかけた

アサシン「地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ)」

切嗣(しょっぱなから宝具だと!?イカれているのかこいつは)

綺礼「ちょうど宝具を見てみたかったところだ。厄介な魔術師殺しも消せる」

切嗣(まずいこんなところで)

青年「Coooooooooooooooooooooooool!」

切嗣、綺礼「!」

青年の声に驚いたすきを切嗣は見逃さなかった。
閃光弾を投げ、その間に逃げた

綺礼「…」

切嗣には逃げられ、青年もいつのまにかいなくなっていた
綺礼らしくない失敗だった

青年は興奮していた

路地裏で見た最高の芸術
自分もそれを作ってみたいと思った
とりあえず先にかねてから興味のあった悪魔の召喚を行ってみたのだが

メフィストフェレス

成功した、有名な悪魔を呼ぶことができたのだ

龍之介「とりあえずコイツいっときます?」

キャスター「ふむ…?」

龍之介から子供を勧められたキャスターはしばらく眺めた後あろうことか子供を逃がしたのだ

龍之介「え?ちょっと」

キャスター「さあ、付いてきてくださいマスター?」



少年は交番に走っていた
突如として両親を殺されピエロに助けられた
滑稽な話であるが事実であり非常に恐ろしかった
交番が見えてきたとき少年は安堵感から涙が止まらなかった

少年「お巡りさん!」

警察官「ん?どうし…」

爆発した
突如として目の前の警察官が爆ぜたのだ

少年「え?」

血しぶきが少年に降りかかる
そして気づけば体には虫のような時計がついていた

キャスター「それでは最後の置き土産ぇ! 3、2、1、パアァッッッツ!世界は終わりィッ! イヤァァッホオォォウウゥゥ!!!」

少年「あ」

少年は絶望の表情を張り付けながらゆっくりと死んでいった

キャスター「いやぁ、マスター。ヒヒヒwww最高の贈り物をありがとうございます!」

龍之介「…」

その日2回目の"Cool"が龍之介の口から放たれた

どうしよう恐ろしい位に駄文だ…
今回はここまでで

港の中、コンテナに囲まれながら火花を散らす2つの影があった

セイバー「はぁ!」

片方は銀の腕に剣を携えた美しい剣士であった

ランサー「ローマ!」

そしてもう片方は身の丈ほどの棍棒を振り回す長身の槍兵だ

2人の力は拮抗しているように見えるが少しずつランサーの方が押している様だった
セイバーは素早い動きで攻撃を仕掛けていくが、見た目からは想像のつかない程の
速度でランサーはそれに反応する
幾度かうちあった後、正面から戦っても勝ち目はないと判断したのかセイバーは距離を離した

ランサー「良い動きだ。貴様のようなものがローマ兵であれば良かったのだが」

セイバー「冗談を、私はローマの兵士になどならん」

ランサー「だろうな、お前からはローマへの敵意を感じる」

アイリ「!」

ランサーの発言に傍らで見ていたアイリが驚いた
当然であるこの戦いの中でセイバーは自らの経歴がばれるような行動などとっていないのだから

ランサー「私(ローマ)には分かるのだ、なぜなら」

セイバー「なぜなら?」

ランサー「ローマがローマだからだ」


訳のわからない言葉である
だが、それと相対しているセイバーには

セイバー「なるほど」

あふれ出るローマ感を感じることができた

セイバー「とりあえず、正面からは辞めにします」

そういったセイバーはランサーの目の前から消えた
その直後ランサーの正面から無数のコンテナが飛んで来る

ランサー「む」

すぐに後ろからも追加のコンテナが来た。

ランサー「後ろもだな、むぅん!」

いくつかのコンテナを避け、避けきれないコンテナは薙ぎ払う

セイバー「はぁぁぁ」

ランサーの避けたコンテナを突き破りセイバーが強襲する
その速度と位置からランサーは完全には避けきれず一太刀浴びてしまう

ランサー「ぐうっ!」

セイバー「浅いか…」

二人とコンテナが着地する

アイリ「きゃあ!」

その衝撃で辺りには風が舞った

ランサー「…」

セイバー「…」

少しの沈黙

ランサー「クハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

それを破ったのはランサーの笑い声だった

ランサー「なるほど!そうくるか!霊体化してコンテナ間を移動するとはしてやられたな!」

セイバー「首を落とすつもりだったが、かわされたか」

ランサーには先ほどまでの落ち着きはない
完全に本気になったようだった

ランサー「よい!私を!ローマを!落としに来るがいい!尽くせるすべての手を持ってだ!」

セイバー「まだ初戦なのですが…」

ランサー「構わん、私も全力だ。もし貴様がそうでないなら」

先ほどより威圧感が増す

ランサー「私に、ローマに、世界に!勝つことはできん」

セイバー(さて、どうしたものか…)

強大なローマを前にセイバーは覚悟を決める

綺礼「なぜあの時私はあんなにもムキになったのだろうか」

衛宮切嗣と遭遇し自らの自らのサーヴァントもバレ、宝具もさらしていた綺礼は
教会の中、自らの失態に困惑していた

アサシン「ラー♪」

その傍らでアサシンは歌う

綺礼(暢気なものだなこの英霊は)

聖杯戦争中であるというのに役にも立たずただ歌い続けるアサシンに綺礼は内心呆れていた

アサシン「我がマスターよ、歌え」

いきなりのアサシンの言葉に戸惑う綺礼

綺礼「何?」

アサシン「歌え!歌え!歌え!」

綺礼「私に歌は…」

アサシン「構わぬ、その声で奏でさえすればいい」

歌うように言葉を紡ぐアサシン

綺礼「↓♪」

だが、綺礼の唄はアサシンの気には召さなかったようで
そのまま数分間指導を受けるハメとなった

時臣「君にも苦手なことがあるのだな」

いつの間にか協会の入口に時臣が立っていた
思うより時間が経っていたらしい

綺礼「お見苦しいところをお見せしました、それで何かご用事でも?」

時臣「ああそうだった、港で戦闘が起きているようだ魔翌力の揺らぎが観測された」

綺礼「港ですか」

時臣「アサシンは偵察に出せそうかい?先にアーチャーを向かわせては居るが」

綺礼「分かりました、やらせます」

時臣「良かった、頼むよ」

そういって、協会を出ようとしたが

時臣「ああそうだ」

出入り口のあたりで止まり

時臣「歌について一つアドバイスをあげよう。音楽とは”音”を”楽しむ”と書く」

綺礼「はぁ」

時臣「うまく歌えないのなら何か楽しかったことでも思い浮かべるといい。声はいいんだきっとうまくなるよ」

そうアドバイスを残して去っていった

綺礼「…アサシン!」

アサシン「いかがした?我が主よ?」

綺礼「歌は歌ってやったのだ働いてもらうぞ」

アサシン「よかろう、その代金を払おう」

そういってアサシンは消えた

綺礼「楽しかったこと…?」

ここまで!
ローマとファントムのキャラが…

ライダーとウェイバーは橋の上にいた

ライダー「うーん、今のところ拙者好みの女の子がいないでござるなぁ」

ライダーがレトロな望遠鏡をのぞきながらほざく

ウェイバー「な・に・を!見てるんだよ!女とかいいからサーヴァントを見ろよ」

たいするウェイバーは新しい双眼鏡をのぞきながら怒鳴った

ライダー「えぇ…これは拙者のメンタルに関係する大事なことでござるよ?」

ウェイバー「お前は焦らないのかよ!あの2騎のサーヴァントの実力をみて」

ライダー「じぇーんじぇん!相手が誰であろうと拙者は拙者でござる」

ウェイバー(ちょっとかっこいいと思ってしまった…)

ウェイバーは自らの思考に自己嫌悪をしてしまった

ライダー「!!マスターマスター」

ウェイバー「なんだよ」

ライダー「ちょっと港の方を見てみるでござる」

ウェイバー「はぁ?いきなりなにを…」

ウェイバーが双眼鏡をのぞいてみると飛来する光の矢を必死にさばいているセイバーとランサーの姿が見えた

ライダー「次はあっちを見るでござる」

次にライダーが指をさした方向を見てみるとそこには白い服を着た弓兵がいた
セイバーたちのいる港から遠く離れた建物の上から狙撃を行っていた

ウェイバー「なんだよあれ…あんな距離から狙えるとかおかしいだろ」

体は震える
とりあえず見つからないうちに逃げるか思案していると

ライダー「主砲装填完了!撃てぇ!」

ウェイバー「何してやがるんですかこの馬鹿はー!」

ライダーが宝具を一部だけ展開し放っていたが、
すぐに気づかれ防がれてしまう

ウェイバー「やばい気づかれ…」

いきなりライダーはウェイバーの体を抱え川へと飛び込んでいった
それ以降うまく死角に隠れたのか矢が飛んでくることはなかった

ウェイバー「どうするんだよ!もし近づかれたらやばいって」

ライダー「首だけは残してほしいでござるなぁ…」

ウェイバー「もう負けた気でいる!?」

ウェイバーは焦るマジで焦る

ウェイバー「考えろ…考えろ…ん?」

老人「おーい!あんたら大丈夫か?」

モーターボートに乗った老人が近付いてくる

ウェイバー「!ライダー、あれの運転はできそうか?」

ライダー「誰に言ってるんでござるか?俺は大海賊黒ひげ様だぜ?」

ウェイバー「真名をばらすな!僕がどうにかあれを手に入れるから港まで運転しろ、奴はセイバーとランサーになすりつける」

数分後、暗示によってボートを借り受け
走らせる二人の姿があった

ウェイバー「速い!速いって!」

ライダー「え~?本当にござるか~?」

軽口をたたきながらもアーチャーの矢を華麗に避けるボート
彼の持つスキル海賊の誉れを最大限に発揮していた

ウェイバー「アイツ追ってきてる…」

ボートとほぼ並走しながらアーチャーは矢を放つ
高速のボートに対しかなり正確に矢が飛ぶ

ライダー「これ拙者と船がなかったら死んでない?」

ウェイバー「認めたくないけど幸運だったよ!チクショウ!」

港は近い

アーチャーは駆ける
遠距離への狙撃を行っていたのだが、突然の砲撃によって中断させられた

時臣『向こうも遠距離攻撃の手段を持っているようだ、先に攻撃してきたサーヴァントを狙え』

マスターの意向により追って来たのだが

アーチャー「なるほど、素晴らしい運転技術だ」

アーチャーの弓を避け続けるのは容易ではない
それを宝具ではなくただの船でやってのける男の技量にアーチャーは素直に関心していた

時臣『あの操縦技術はライダーのクラスだな』

アーチャー「ええ、当然そうですね」

彼らが港に差し掛かったところで

ランサー「ぬおぅ!」

セイバー「てやぁ!」

攻撃を受ける

アーチャー「!?」

露骨な誘導に気付けなかった
アーチャーは自身でも気づかないうちに熱くなっていたらしい

セイバー「あなたですね、先ほどの光の矢を撃っていたのは」

ランサー「2人がかりの奇襲を弓兵の身で捌くとはな」

ランサーの言葉は弓兵を軽んじた言葉ではない、
アーチャーは遠距離クラスのサーヴァントとは思えないほどに見事に対処して見せたのだ

時臣『まだここで本気を出すときではない、適度に交戦したのち離脱しろ』

アーチャー「…いいでしょう」

3騎士は構える

アーチャー「マスターからの命令です。適度にやらせてもらう!」

戦いが始まる
明らかに開幕したてだとは思えないほどの激戦だった
その戦いにまたしても水を差される

ライダー「女王アンの復讐号(クイーンアンズリベンジ)!」

圧倒的な質量の暴力、大量の砲台から繰り出される攻撃は
彼らを飲み込む

ライダー「んんwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww圧倒的ですぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

海上には彼の宝具が展開されていた

ライダー「いやぁwwwwww」

 ここに海があって本当によかった
 僕の大きな宝具を
 低コストで展開する為の
 この上ない程の、理由になるから

ライダー「汚物の微笑(クロヒー スマイル)」

ウェイバー「その分の魔翌力を全部攻撃に回すなよ!」

ウェイバーは疲労困憊だ

モブ海賊「まあまあ落ち着きなってマスターさん」
 
海賊M「そうだよ(便乗)」

海賊H「か゛わ゛い゛い゛な゛ぁ゛ウ゛ェ゛イ゛バーく゛ん゛」

海賊A「やらないか」

ライダー「なんだこいつら気持ち悪っ」

ウェイバー「こいつらいらないだろ!その分の魔翌力を節約しろよ!」

ライダー「いや、船呼んだら付いてくるおまけでござる」

ウェイバー「……まぁいいや!三騎士をしょっぱなで撃破できたのは運がいい」

ライダー「いやぁそれはどうだか」

煙が晴れる

ランサー「まったく…私を盾にするとは」

アーチャー「体が大きいので」

セイバー「厄介な相手なので」

三騎士とも無事だった

ウェイバー「」

ライダー「ちょっとムカついた」

さらに新たな声が響く

???「われはここに集いたる人々の前に厳かに神に誓わんーーー

わが生涯を清く過ごし、わが任務を忠実に尽くさんことを。

われはすべて毒あるもの、害あるものを絶ち、悪しき薬を用いることなく、また知りつつこれをすすめざるべし。

われはわが力の限りわが任務の標準を高くせんことを努むべし。

わが任務にあたりて、取り扱える人々の私事のすべて、わが知り得たる一家の内事のすべて、われは人に洩らさざるべし。

われは心より医師を助け、わが手に託されたる人々の幸のために身を捧げん。」

上を見ると大きな看護師が刃物を構えていた

雁夜「やれ!バーサーカー!」

バーサーカー「我はすべての毒あるもの、害あるものを断つ(ナイチンゲール・プレッジ)」

そして、それを振り下ろす

全員「!?」

しかし何も起こらない

雁夜「?なぁバーサーカー、この宝具…」

バーサーカー「この場のあらゆる毒性、攻撃性を無効化しました」

雁夜「戦場のど真ん中に無菌室をたててどうする!?」

バーサーカー「無菌室、私の時代にもこれがあれば」

バーサーカーは話を聞かない
意を決してセイバーが聞く

セイバー「レディ、どういうつもりで戦闘の邪魔をするのですか?」

バーサーカー「黙りなさい!なんなのですか貴方たちは!」

いつの間にか陸に上がっていたライダーが答える

ライダー「知らざぁ言って聞かせやしょう拙者h」

バーサーカー「病人ばかりではないですか!」

一切の話を聞かないバーサーカーに一同は困惑していた

バーサーカー「肉体に異物の混ざった男!」

セイバー「なっ!」

セイバーを指さす

バーサーカー「精神を病んだ男」

アーチャー「何?」

アーチャーを指さす

バーサーカー「汚物」

ウェイバー「うん…」

ライダーを蔑む

バーサーカー「貴方は…素晴らしい!健康ですね」

ランサー「当然(ローマ)だ」

バーサーカー「英雄と呼ばれる存在たちがこの体たらくとは」

バーサーカーは呆れている
他のサーヴァントたちも彼女の宝具の効果で攻撃ができずただ言われるがままだった

切嗣『セイバー、僕が合図したらアイリを連れて撤退しろ。ちょうどいいタイミングだ』

セイバー「御意、アイリスフィール失礼します」

アイリスフィール「セイバー?」

セイバー「目を閉じて」

セイバーがアイリを抱え上げる

切嗣『いまだ!』

切嗣の合図と同時にセイバーが撤退する
そこからその場にはお開きの空気が流れている

ランサー「私も帰ろう、少々熱くなりすぎた」

バーサーカー「ええ、体が健康だろうと手洗いうがい殺菌を忘れずに」

ケイネス『何を勝手なことを!』

ライダー「神経質なマスターでござるなぁwwwwwwwwはげますゾwwwwww」

ランサー「安心しろマスターはまだ大丈夫だ、多分」

ランサーも撤退する

バーサーカー「アーチャー、貴方はこの場で治療を受けて帰りなさい」

アーチャー「聞き捨てなりませんね、私の精神のどこが病気なのですか」

アーチャーが食って掛かる

時臣『熱くなりすぎだアーチャー、君もこの場は撤退したまえ』

アーチャー「…分かりました」

アーチャーは不本意そうに従う

バーサーカー「待ちなさい!」

だがアーチャーはさっさと消えてしまった

バーサーカー「はぁ…私たちも帰りましょう雁夜」

雁夜「ああ、言いたいこともあるが帰ってからにする」

ウェイバー「あんたも帰るのか」

雁夜「ライダーのマスターか。ああ、時臣の顔に泥でも塗ってやろうかと思ったんだがな」

バーサーカー「不潔です。泥など絶対に触らないようにしなさい」

ウェイバー「時臣?」

雁夜「アーチャーのマスターだよ」

バーサーカー「さっさと帰りましょうか、桜が心配です」

ライダー「お、あっちに拙者好みのロリが!」

ウェイバー「その…よく分からないけどお互いに頑張ろう」

雁夜「君も大変なんだな」

そして長い夜は終わりを告げる

ここまで!
進まないなぁ
あと分かりづらいですがアルジュナの時臣への好感度は結構下がっています

遠坂邸にて時臣とアーチャーが会話をしていた

時臣「アーチャー、さすがに今回のことは看過できない」

アーチャー「…」

時臣は先ほどのアーチャーの行動をたしなめている様だった
確かに彼はバーサーカーに病気だといわれたとき感情をむき出しにしていた

時臣「君は大英雄だろう?たかだかバーサーカーの言葉で我を忘れそうになるなど」

「らしくない」
そう言おうとした時臣の言葉を遮るように
アーチャーが発言する

アーチャー「分かっています、次はこのような醜態をさらしたりしません」

少しアーチャーは機嫌を悪くした様だった
今後の関係を悪くしたくないのか
その雰囲気を感じた時臣はあっさりと引き下がる

時臣「分かった、君を信じよう」

そういって時臣は部屋を出ていった
きっと信じてなどいない
アーチャーは一人立ち尽くしていた

アーチャー「…」

どれ程そうしていただろう
きっとそれはそんなに長くはない
彼の胸にはバーサーカーの言葉が引っかかっていた
生前に感じたことのない感覚だった

アーチャー「私は…アルジュナだぞ?」

気づけばそんな言葉をつぶやいていた
だからどうしたというのか
生前にはなかった苦悩…
少し歩いてみるか
もしかすれば気が晴れるかもしれない

それなりに歩いた、別にどこまでなど決めていたわけではない
気づけば教会の前にいた
思いのほか遠くまで来ていたらしい
異教徒ではあるが迷える者たちが集う場所
聖杯からの知識で知ってはいる
-入ってしまおうか
そんな誘惑が彼を襲う
結局少し入ってみることにした

アーチャー「…」

窓から月明りが差し込んでいる
またアーチャーは立ち尽くす
太陽の対局である月を眺めながら

ドアの開く音がする
霊体化をしようとする

綺礼「アーチャー、なぜこんなところに?」

入ってきたのは言峰綺礼だった

アーチャー「綺礼ですか…」

アーチャーは視線だけを動かし綺礼を一瞥する
疲れなどないはずの体だが気怠い

綺礼「ちょうどいい、聞きたいことがあってな」

綺礼が言う

アーチャー「どうぞ」

その質問を許可する

綺礼「お前は何故召喚に応じたのだ」

漠然とした質問だ
その意図が分からず聞いてしまう

アーチャー「何故とは?」

ただの同盟者が何を気にする?
自分を道具として使うものが、気にするならまだしも
彼はただ近くにいるに過ぎない

綺礼「お前程の英雄が聖杯に望むことなどあるのか?」

"英雄"
その言葉が授かりの英雄を意味するのだと
アーチャー(アルジュナ)は気づく
神に愛され、人に愛される
いままでいくつもの望むものを得てきた
そんな授かりの英雄がさらに望むものが
何なのか、何を望むのか彼には気になるらしい

アーチャー「ありますよ、私は永遠の孤独を望みます」

平常に平常に
彼は真に望むものを絞り出す

綺礼「ふむ、授かりの英雄と呼ばれ様々なものに恵まれたお前がそのようなものを望むとはな」

分かっている
自らは身分にも友にも恵まれた
そんな自分が英霊になってからも望むなど傲慢にもほどがある
きっと"あの男"なら望みなどないのだろう
自分とは反対に様々なものに恵まれなかった英雄は機会があろうとも
「それもまたよし」と何も望まないに違いない

アーチャー「もういいでしょう、私はこれで」

鋼鉄の白衣が治療のために自覚させようとした傷は
"傷を開く者"によって膿んでいく
耐えられない
アーチャーは霊体化し部屋を出て行ってしまった

綺礼「分からぬものだな」

一人残された綺礼はつぶやく
順風満帆に生きたはずの英雄の願いに
意外性を感じていた
彼の声にアサシンは答えた

アサシン「願いは胸に秘めた歌だ。歌詞が分からぬ者には分からぬし、分る者には分かる
     その曲調もな」

彼は願いを歌にたとえる
言葉に含まれる気持ちを読めるかは人次第だ
その曲調がどのようなものと感じるかも人次第だ
ただ綺礼の胸中には

綺礼「…そうか、少し歌って行こう」

愉悦が渦巻いていた
アーチャーの苦悩する姿に彼は生まれて初めて
神父として感じてはならない感情を抱いてしまった
だが、その愉悦を綺礼は受け入れる

アサシン「月がスポットライトにでも見えたか?」

なるほど確かに月はきれいだ
月には人を惑わせる不思議な魔翌力がある
ならば惑わされるのもいいかもしれない
さあ、歌おうこの楽しい思いが消えないうちに

綺礼「いや、そんな気分なだけだ。ハ長調の曲だ」

明るい曲を、今の気持ちが抱けるうちに

アサシン「♪~」

綺礼「♪~」

綺礼の歌は確かに上達していた

ここまで!
地の文を頑張ると
予定の半分も進まないな

雁夜「バーサーカー」

バーサーカー「はい」

雁夜「なぜあの時アーチャーを攻撃しなかった」

雁夜はバーサーカーに抗議する

バーサーカー「何か勘違いしていませんか?私は戦士ではなく看護師です」

その問いに対してバーサーカーは淡々と答える

雁夜「くそっ!時臣の顔に泥を塗ってやれるチャンスだったのに」

雁夜は本気で悔しがっている様だった
まるで最初からそれが目的だったといわんばかりに

バーサーカー「…カリヤ。あなたは病気です」

雁夜「知ってるよ、開口一番はそれだったじゃないか」

召喚時の話だが、
バーサーカーは口を開くと同時に雁夜に重症だと言い放っている

バーサーカー「いえ、カリヤ。あれは肉体のこと。
       それとは別に精神を病んでいるというのです」

雁夜「何だと?」

バーサーカーの言葉に雁夜は怪訝な顔をする

バーサーカー「あなたは言いましたよね?サクラを救いたいから手を貸せと」

雁夜「聞いていたのか…」

一応(聞かないと分かっていても)この聖杯戦争の目的を話していたのだが
聞いていたことに雁夜は驚いたらしい

バーサーカー「アーチャーを倒し、トキオミ?の顔に泥を塗ることと何の関係があるというのですか」

雁夜「それはあいつg

雁夜の答を途中で遮りバーサーカーは続ける

バーサーカー「ありませんよね」

さっぱりとした一言だった

バーサーカー「目的とやろうとしていることが伴っていない。
       あなたは肉体だけでなく精神まで汚染されている」

さらに続ける

雁夜「でも、あいつが…」

バーサーカー「まだ言うのですか、あなたの態度を見ていれば分かります。
       貴方は何かを妥協してその原因をトキオミという人物に擦り付けている」

それでもなお言い訳をしようとする雁夜にバーサーカーは
厳しい言葉をかける

雁夜「黙れよ」

力のこもった声で雁夜はバーサーカーを制止する

バーサーカー「カリヤ、私は生前に妥協を許しませんでした。
       だからこそやっていけた」

雁夜「やって行けた?冗談だろ、お前の生涯を俺は知っている」

バーサーカーの言葉を雁夜は鼻で笑う

雁夜「クリミア戦争後、お前は体を壊した。
   看護師として働けたのは2年程だったっていうじゃないか」

バーサーカー「…」

雁夜は忘れている、確かに彼女は生前体を壊した。
だが、それからは看護師への指導など精力的に活動している。
言い返せるはずなのだが、彼女自身も少し後ろめたいのかこぶしを握りながら黙って聞いていた。

雁夜「妥協はいる、あきらめなくちゃ進めないことだってあるんだよ。
   何でも妥協せずに進めれば体なり、心なり、人生なりがお前みたいに壊れちまう。
   だからこそ俺は身を引いた、葵さんの幸せを願ったからこそ妥協したんだよ」

彼は妥協を正当化する
自らに責任などないのだというように
全て悪いのは時臣だというように、自らの行動の落ち度を見ない。

バーサーカー「それは違います。
       確かに私は体を壊し、終生看護に勤しむことはできなくなりました。
       ですがそれでもできることはあるのだと思って働きました。
       妥協することと何かのためにあきらめることは違う。
       カリヤ、貴方の場合は妥協して身を引いた結果があのサクラですね」

彼女は彼が妥協し、逃げた結果起きたことを示し糾弾する

雁夜「それは…
   そうだよ、だからその責任を果たそうと」

バーサーカー「それで?そのどこにトキオミへの執着が関係するのですか?
       貴方はトキオミコンプレックスですね」

鋼鉄の白衣は診断を下す。

雁夜「なんだよそれ
   違う、そんなんじゃない」

自分の中にある気持ちを認められず否定する

バーサーカー「いいえ、そうです
       カリヤ!」

突然バーサーカーは大声で雁夜を呼ぶ

雁夜「なんだよ」

面食らう雁夜にバーサーカーは告げる

バーサーカー「治療が必要です
       貴方はトキオミに勝利しなくてはならない」

それが雁夜に対して出された処方箋だった

雁夜「だからそうだっていってるだろ」

自分が言ったことを改めて言われたことに対し雁夜は呆れている
だが違う、目的が違うのだ

バーサーカー「違います
       貴方はサクラのためでなくあなたのために勝つ必要がある」

雁夜「…」

それを自覚しなければ彼はきっと治らない
見えない患部など治しようがないのだから

バーサーカー「今の貴方はサクラのためと言いながら自分のために戦おうとしている。
       認めなさい、貴方はトキオミに対して劣等感を感じています。
       いいえ、事実きっと劣っています。
       それを認め、克服しないと貴方は治りません
       飲み込みなさいカリヤ、貴方は貴方自身のためにトキオミに勝ちなさい」

彼がそのコンプレックスを断ち切るためにはそれしかない。
劣等感を自覚し、己の手で己のために立ち上がるしかないのだ。

雁夜「俺…自身のため?」

雁夜には理解できない

バーサーカー「ええ、妥協したあなたを、
       逃げた貴方を、
       他人に責任を擦り付けたあなたを、
       それを克服し打ち勝たなければきっとあなたはサクラを救えたとしてもそのままだ」

彼がサクラのために戦おうとしていることを非難する気はない。
だが、それを隠れ蓑にして自らの鬱憤を晴らそうとすることは間違っている。

雁夜「打ち勝つ?俺自身に?」

まだ雁夜には理解できていないようだった

バーサーカー「ええ、それが貴方にとって最優先すべき治療です」

バーサーカーによる問診が終わった
その後少しの間静寂が場を支配する

桜「おじさん?バーサーカー?」

すると、桜がドアから顔を覗かせる。

バーサーカー「サクラ、こんな時間まで何をしていたのです?
       健康のために子供は寝る時間でしょう」

気持ち優しげなトーンで桜を注意するバーサーカー

桜「でもおじいさまが…」

その桜の言葉を聞いたバーサーカーは事態を察したようだった

バーサーカー「なるほど
       またあの衛星が最悪な部屋ですか
       分かりました、この屋敷の虫とあの手の部屋はすべて焼き払ってきましょう」

その後、バーサーカーが虫蔵を焼いて回ろうとしたが
臓硯による必死の説得でどうにかそれを回避することができたのだった
(とはいえ虫蔵の衛生状態の改善と虫たちが人間に対して害を持たないことが証明されるまで桜の訓練は中止することになったが…)

臓硯(これは奴らが脱落するまで虫蔵を使えんな
   まあ、2,3日の辛抱じゃろう)

雁夜「俺は…」

このぐらいが理想かな…
次の話は、地の文なしの日常編です

あと、関係ないことですがこのSS書いてたらアルジュナ出ました
書けば出るってホントだね

-間桐邸-
雁夜「…バーサーカー、何してんだ?」

バーサーカー「サクラ、そっちの洗剤を取ってください」

桜「うん…これ中身が入ってないよ?」

バーサーカー「なんとそうですか。カリヤ、この洗剤の替はありますか」

桜「あ、おはよう雁夜おじさん」

雁夜「うん、おはよう。で、これは何をしているのかな」

バーサーカー「掃除です。この屋敷はすべてに置いて衛生的とは言えませんから」

臓硯「悪かったのう。ちなみに洗剤の替えはないぞ」

バーサーカー「なるほど、カリヤ買ってきなさい」

雁夜「無茶言うな、この成りで昼間から外出なんてできるか。
   自分で買ってこい」

バーサーカー「分かりました、では資金をいただけますか」

雁夜「臓硯」

臓硯「貴様にくれてやる金などない」

雁夜(コイツ昨日のことを根に持ってやがる…)

バーサーカー「へぇ」

臓硯「ん?どこへ行く?」

雁夜「おい臓硯、あっちって金庫なかったか?」

臓硯「な!そr」ドゴォォン

バーサーカー「あるじゃないですか」

雁夜 臓硯「」

バーサーカー「では行ってきます」

雁夜「あ、待ってくれ」

バーサーカー「いかがしましたか?」

雁夜「その服のままでは目立つ、何かに着替えて行け。
   あと、桜ちゃんも連れていってやってくれないか」

バーサーカー「分かりました、サクラ」

サクラ「なぁに?バーサーカー」

バーサーカー「貴方も一緒に買い物に行きましょう」

サクラ「えっと、おじいさま…」

臓硯「ふん、行けばいい。どうせ今は虫蔵を使えん」

サクラ「ありがとうございます」

バーサーカー「カリヤ、着替えは?」

雁夜「ああ、すぐに出す」

雁夜(Tシャツでいいかな)

-アインツベルン城-
セイバー「バイクの試し乗りですか?」

切嗣「ああ、あのアーチャーともいずれ戦うことになるだろう。
   それに備えて高速機動のできる乗り物を用意した」

セイバー「なるほど、それを試してこいと」

切嗣「騎乗スキルがあるからいらないとは思うが一応試しに乗っておいて欲しい。
   他の陣営の同行は把握してある、奴らは昼間に動くつもりはないようだ」

セイバー「聖杯戦争のルールに従順なのですね」

切嗣「ああ、やりやすいことこの上ないよ。
   とにかく、頼んだぞ。
   あと、日没までには帰ってこい、暗くなればまた奴らが動き出す。
   ほら、これが偽装免許と鍵だ」スッ

セイバー「どうも、ルキウスですか」

切嗣「ああ、一応警察に見つかったときのためにな
   適当な偽名で作っておいた」

セイバー「かしこまりました、緊急の際は令呪をお願いします」カッカッカッ

アイリ「あ、セイバー。お出掛け?」

セイバー「ええ、少しバイクで町まで行ってこようかと」

アイリ「そうなの?じゃあ少しお金を渡しておかなくちゃね」

セイバー「いえ、そんなお気遣いなく」

アイリ「駄目よ、せっかく出かけるんだから楽しんでこないと」

セイバー「はぁ、では好意に甘えさせていただきます」

アイリ「いってらっしゃい、お土産期待しているわね」

-冬木商店街-
セイバー「ふむ、いろんな店がありますね」テクテク
※バイクは近くに止めてきました

女子高生A「ねえ、あの人超かっこよくない?」ヒソヒソ

女子高生B「マジじゃん、背も高いし、スーツ姿もヤバい似合ってる」ヒソヒソ

セイバー「周りの視線が…」

???「お前のような異国の美男子が珍しいのだろう
    お前に落ち度はない堂々としていろ」

セイバー「…ランサー
     さもずっと一緒にいたかのような雰囲気を出さないで下さい
     あと、何故にタンクトップなのですか」

ランサー「この身はローマである」
E:タンクトップ

セイバー「もう分かったのでいいです」

???「おや、その健康そのものの肉体はランサーですか」

セイバー ランサー「ん?」

ランサー「買い物か、バーサーカー」

バーサーカー「ええ、掃除用具を買いに」
E:Tシャツ

セイバー(なんだこれは…)

とりあえず導入だけ
セイバーのツッコミ地獄が始まる(多分)

セイバー「で?なんで付いて来るんですか?」

ランサー「他の英霊と邂逅できる機会なのだ、ならば楽しむべきだろう?」

バーサーカー「私はただの帰り道ですので」

セイバー「はぁ…、ちなみにバーサーカー。そちらのお嬢さんは」

桜「間桐桜です」(バーサーカーと手をつないでいる)

セイバー「これはご丁寧に。私はセイバーです」ニコッ

ランサー「ローマはr

セイバー「こちらはランサーです」

ランサー「うむ」

バーサーカー「マスターから彼女も買い物に連れて行って欲しいといわれまして」

セイバー「サーヴァントが子守り…?」

ランサー「……幼子よ」

桜「?」ビクッ

ランサー「我らとここら一帯を回らぬか?」

セイバー「いきなりどうしたんです?ランサー」ヒソヒソ

ランサー「バーサーカーのマスターもさすがにただ子守りを任せた訳ではなかろう」ヒソヒソ

セイバー「何か連れだしてほしい理由があったと…?」

ランサー「であろうな、察しが良くて助かる。だが、バーサーカーはこのまま帰ろうとしている。これはマスターの思惑に反しているのではないか」

セイバー「なるほど、それで時間を引き延ばそうと」

バーサーカー「何をコソコソとしているのです?やることは済ませたので帰りたいのですが」

セイバー ランサー(これは気づいてないな…)

ランサー「私はこちらの幼子に聞いているのだ」

桜「えっと…バーサーカー、ダメ…?」

桜(あそこには出来るだけ帰りたくないよ…)

バーサーカー「サクラは彼らと回りたいと?」

桜「うん…」

バーサーカー「仕方ないですね…」ナデナデ

セイバー(このような優しい顔もできるんですね)

ランサー「ではとりあえず…」

セイバー「ごはんですね!腹ごしらえですね!」

ランサー「然り!腹が減っては戦はできぬ!」

セイバー「まったくです!どの時代でも通ずる言葉ですね!」

バーサーカー「はぁ…、サクラは何が食べたいですか?」

桜「えっと…」キョロキョロ

『紅州宴歳館・泰山』

桜「あそこがいい…」

セイバー「中華ですか、いいですね!」

ランサー「いざ行こう!ローマはそこにあり!」

バーサーカー 桜「」スタスタ

セイバー ランサー「…」ポツン

セイバー「行きましょうか」

ランサー「うむ」

-店内-
セイバー「すいません、これとこれとあとこれもお願いします」

ランサー「同じものを」

バーサーカー「私はこれを」

桜「小籠包…」

店員「はい、かしこまりました」

バーサーカー「それにしても現代はいいですね」

ランサー「ほう、楽しんでいるか」

バーサーカー「いえ、衛生環境が」

セイバー「まあ、そうですね。我々のころとは比べ物にならないくらいには綺麗ですね」

バーサーカー「ええ、おかげで全面消毒を施さなくて済みます」

ランサー「衛生環境など強く意識する時代ではなかったからな」

バーサーカー「それでも気をつけるに越したことはありませんから。食事前にはこのアルコールを使ってください」

店員「お待たせしました」

セイバー「お、来ましたね」

-別の席-
綺礼「麻婆豆腐1つ」

店員「はい」

綺礼(時臣師が休暇をくれるとはな)

時臣『聖杯戦争はこれより激化するだろう、今のうちに何かしたいことはやっておきなさい』

綺礼「このあとはレコードでも見てみるか」

スイマセん、コレトコレトアトコレモオネガイシマス

綺礼(ん?あれはセイバーとランサーとバーサーカーか)

ソレニシテモゲンダイハイイデスネ

綺礼(神秘を秘匿する気なしか…)

店員「お待たせしました」

綺礼「まぁ私が気にすることでもなかろう」


-セイバー達-
セイバー「すごく美味しいですねこれ」モグモグ

ランサー「ああ、素晴らしい。ローマ料理とはまた違った趣がある」ガツガツ

バーサーカー「もう少し落ち着いて食べたらどうですか」

桜「熱い…」

バーサーカー「貴女はゆっくりでいいですよサクラ」

セイバー「この麻婆豆腐もs…ガフッ」

ランサー「どうs…ンッ」

バーサーカー 桜「?」

セイバー「辛っ!何ですかこれ、尋常じゃない辛さだ」ゴホッゴホッ

ランサー「ふん、この程度なんてことはないこれもrrrローマだ」ゴキュゴキュ

セイバー「では貴方がそのまま飲んでいる水のピッチャーは頂きますね」

ランサー「待て!やめろ!」

バーサーカー「…すいません、新しいピッチャーを貰えますか」

店員「はーい」

桜「騒いでごめんなさい」

店員「いえいえ、たまにいるんですよね。あまりの麻婆の辛さにこうなる人」

-綺礼-
ギャーギャー

綺礼「同盟でも組むのではなかろうな」

綺礼(一応帰ってから報告しておくか)

綺礼「麻婆豆腐のお替りを頼む」

店員「はい」

・知名度補正
 ナイチンゲール>黒ひげ>メフィストフェレス>
 ファントム(オペラ座の怪人)>ベティヴィエール(エクスカリバー)>>
 ロムルス>アルジュナ

・ベティヴィエールの扱いについて
 アヴァロンを触媒に召喚されたのはエクスカリバーであり彼はあくまでアルトリアの代わり。
 アルトリアが英霊の座にもおらず聖杯戦争戦争にも参加できないため現在のエクスカリバーの持ち主であるベティヴィエールが召喚された。
 エクスカリバーに引っ付いた魂であり肉体はほぼ崩れかけているため、霊体化もできる。
 知名度補正はエクスカリバー準拠。

一応裏ではいろいろ考えてるんです
ではまた

-ウェイバ-
ウェイバー「ほら!服買ってきたぞ」スッ

ライダー「おお!さすがでおじゃるなマスターwww」スッ

ウェイバー「まったく、じゃあ行くぞ」

ライダー「どこに行くでござるか?」

ウェイバー「昨日船借りたおじいさんのところ」

ライダー「えぇ、返すのぉ。貰ってしまえよ」

ウェイバー「あのなぁ、僕の暗示だって絶対じゃないんだ。少なくとも暗示がかかっているうちにちゃんと返しておかないと後々大変なことになるかもしれないだろ」

ライダー「ふーん、へっぽこでござるなぁ」

ウェイバー「うるさいな!ほら、行くぞ。お前がいないと運転ができないんだ」

ライダー「拙者が必要…?ふっwwwしかたないでござるなwww」

-商店街-
ウェイバー「何かお世話になった時には”KASHIORI”?を送るのがこの国のしきたりらしい」

ライダー「ほほぉ」

ウェイバー「おばあさんに貰った地図ではあの店みたいだな」

ライダー「では行くでござる!いざ出陣!」エイエイオーッ

ウェイバー「あ!待てよ!」

-煎餅屋-
ウェイバー「うーん、どれがいいんだ?ライダー、聖杯からの知識で何とかならないか?」

ライダー「聖杯から与えられる知識は日常生活に支障をきたさないレベルでござる。だから拙者も一般常識とこの国のサブカルチャーについての知識しか持ち合わせておりましぇーんwww」

ウェイバー「サブカルチャーとかいらないだろ!しかもお前一般常識も持ち合わせていないし」

ギャーギャー

???「む?あの外人さんたち何か言い争っているッス」

???「こらー!そこの二人!お店の迷惑になるから喧嘩はやめるッスー!」

ウェイバー ライダー「ん?」

ウェイバー「ライダー、彼女なんて言ってる?」

ライダー「ふんふん、なかよくケンカしなって言ってるでござるな」

ウェイバー「仲良く喧嘩ってなんだよ。とりあえずライダー通訳頼む」

ライダー「任された」

少女「周りの迷惑を考えて欲しいっす」

ライダー「周りの迷惑を考えろだとよ」

ウェイバー「…確かにちょっと騒ぎすぎた。悪かったな」
※ここからは通訳を通して会話しています

少女「それで何を騒いでいたッスか?」

ウェイバー「ただの喧嘩だ、気にしないでくれ」

ライダー「マスター、マスター。この娘に選んで貰ったらどうでござるか?」

ウェイバー「だいじょうぶなのか?この娘」

ライダー「お嬢さん、拙者達”KASHIORI”?を買わなくてはならないでござるが、何を選べばいいか分からず困っていたでござる」

少女「おじさん、変な日本語使うんスね。ござるとか今の日本ではほとんど使われてないッス」

ライダー「ずーん」

ウェイバー「なんて言ってる?」

ライダー「おじさんの日本語変だって言われた…」

ウェイバー(やっぱりこいつの話し方おかしいのか)

ウェイバー「って今はそのことはどうでもいい」

ライダー「どうでもいいって…拙者がおじさんって呼ばれたでござるよ!こんなにピチピチハンサムフェイスの拙者が!」

ウェイバー「そっちかよ!心底どうでもいい!いいから頼むんだろ、その娘に」

少女「?」

ライダー「ああそうでござった、お嬢さん」

少女「菓子折りを一緒に選んで欲しいんスか?別にいいッスよ」

ウェイバー「そうか、ありがとう」

少女「お礼とかいいっす。あ、自己紹介忘れてましたね。私は藤村大河ッス」

ライダー「藤村・TIGERって名前らしいでござるよ、この娘」

ウェイバー「僕はウェイバー・ベルベット。で、こっちが…」

ライダー「ブラック・ベイヤードでござる」

ウェイバー「おい」

ライダー「真名を隠してるんだからいいじゃないでござるか」

ウェイバー「真名丸出しだよバカ!せめてロバート・メイナードとかにしとけよ!」

ライダー「マスター、次にその名前出したら殺すぞ?」

大河「ああもう!また喧嘩を!」

ウェイバー「…はぁ、よろしく頼むTIGER(ネイティブ)」

大河「なんか、すごくいい発音でタイガーって呼ばれた気がするッス」

-遠坂邸-
時臣「アーチャー、君も紅茶を飲むかい?」ユウガー

時臣(昨日は一歩間違えば殺されるところだったからな。少しでも機嫌をとらないと)
>>41参照

アーチャー「では、いただきましょう」

時臣「分かった少し待っててくれ」スタスタ

アーチャー「…紅茶とはチャイのことですよね?」

~~~

アーチャー「なるほど、香辛料とかは入らないのですね」

時臣「使う茶葉の種類は同じだけどね」

アーチャー「なるほど」

時臣「それでアーチャー、君は今日の予定を決めているのか」

アーチャー「はい?」

時臣「おそらく、聖杯戦争は今日の夜辺りから激化するはずだ」

アーチャー「その根拠は?」

時臣「昨日の戦いを見て、各々のサーヴァントの特徴は各陣営把握しているはずだ」

アーチャー「キャスターがまだいないようですが」

時臣「いや、璃正神父によればどこの誰がマスターだかは知らないが召喚はされているらしい」

アーチャー「…」

時臣「もともとキャスターのクラスは正面からの打ち合いに適したクラスではない。昨日の戦いは傍観者に徹して策を練っていてもおかしくない。聖杯戦争はすでに始まっているということだ」

アーチャー「それでマスターはどうするおつもりです?」

時臣「さっきも言った通り、おそらく他の陣営はサーヴァント達への対策を練って今日の昼間にでも準備をするはずだ。私もやっておきたいことがある」

アーチャー「…遺書でも書くのですか?」

時臣「君もそんな冗談を言うのだな、君がいれば負けることなんてない。そうだろ?」

アーチャー(ええ、貴方が私の中に深く踏み込んで来ないのであれば冗談で済みます)ニヤッ

時臣「まあ、要するに息抜きをする最後のチャンスになる。綺礼くんにも先ほど休むように伝えた、君も今日は外へ出るなりしてゆっくりしたまえ」

時臣(昨日のように簡単に心を乱されてもらっては困るからね)

-アインツベルン城-
切嗣「やはり冬木ハイアットホテルにケイネスはいるのか」

舞弥「はい、1フロア丸々貸し切って自らの魔術工房としている様です」

切嗣「分かった、ホテルを爆破しよう」

舞弥「……はい」

切嗣(なんだ?今の間は)

切嗣「君には爆弾を設置して来て欲しい。爆弾を仕掛ける場所は僕が指定する」

舞弥「分かりました」

切嗣「あと、爆破の時は近くにセイバーを控えさせておく」

舞弥「セイバーを?マダムはどうなさるおつもりです?」

切嗣「君に守っていて貰いたい。ケイネスのサーヴァントはランサーだ。やつはああ見えて鋭いところがあるみたいだしね」

舞弥「切嗣が見つかる可能性もあると?」

切嗣「ああ、大丈夫だとは思うが。君とアイリは城の地下にでも隠れていて欲しい」

舞弥「城はもぬけの空に見せると?」

切嗣「そういうことだ、一応魔術対策とトラップはしておこう」

舞弥「分かりました」

切嗣「ああ、あと。はい」スッ

舞弥「ケーキバイキングのチラシとお金?」

切嗣「もしもランサーに見つかった時用に、『ケーキバイキングを探して見当違いのフロアに来てしまった一般客』を装っていてくれ。ついでにそこのビュッフェかなにかで昼食でも取ってくるといい」

舞弥「分かりました」

切嗣「嬉しそうだな、舞弥」

舞弥「いえ…そんなことは…」

舞弥(ケーキバイキングに行こう)

切嗣(意外だな…そんなにビュッフェが楽しみか)

切嗣「作戦は今日の夜実行する」

-間桐邸-
雁夜「」ペラッ

臓硯「貴様が魔術の本を読んでおるとはどういう風の吹き回しじゃ」

雁夜「お前には関係ないだろ」

臓硯「ふん、そうか」

雁夜「ゾウケン、1つ頼みがある」

臓硯「なんじゃ」

雁夜「遠坂の魔術について聞きたい」

臓硯「ほう、良いじゃろう。遠坂のことはよく知っているからのう」

雁夜「頼む」

臓硯「まず遠坂永人という男はな…」

雁夜「魔術のことだけでいい!」

-そのころのセイバー達-
セイバー「では撮りますよ~」
E:使い捨てカメラ

ランサー「ローマ!」

桜「ほら、バーサーカーも」

バーサーカー「いえ、私は///」

笑えよ、今日書いた部分だけで4時間はかかっているんだぜ…
それはそれとして実は舞弥だけ生きるか殺すか決まってません
どうしたものか

-ケイネス陣営(朝)-
ケイネス「町に出たいだと?」

ランサー「ああ」

ケイネス「何を言っている、今は聖杯戦争中だぞ」

ランサー「現代のローマを見て回りたいのだ」

ケイネス「十分見ただろ!忘れたとは言わせんぞ」

ランサー「この町は見ていない」

ケイネス「召喚してすぐにいろいろなところに連れていっただろう!?私は早めに来て準備したかったのだ、それをお前が…」

ソラウ「そこまでにしなさいケイネス」

ケイネス「ソラウ…」

ソラウ「確かに、召喚してすぐにいろんな国を回ったわ。でもねケイネス、ローマ(世界)は広いのよ?そんな短い期間でローマを網羅できるわけないじゃない!」

ナレーション(Cv.丹下桜)「説明しよう!ソラウは召喚1日目でローマに染まり、ケイネスに神祖殿を連れた観光旅行を強制していたのだ!」

ケイネス「する必要ないだろう!ただでさえ入国が昨日で工房が不完全なのだ、今日は工房の作成を手伝ってもらう」

ランサー「マスターよ」

ケイネス「聞きたくはないが何だ?」

ランサー「工房の作成は帰ってから手伝おう、だから頼む」

ケイネス「駄目だ」

ランサー「頼む!」バッ

Y

ソラウ「あぁ!あれはローマのポーズ!尊い…尊いオブ尊い…」

ケイネス「駄目なものは駄目だ!」

ソラウ「ケイネスそんなにイライラしてはハゲ…あ」

ランサー「やめるのだソラウ、マスターの頭はまだ大丈夫だ」(善意)

ソラウ「そ、そうね…ごめんなさい。まだあと1,2年は大丈夫よね」(悪意なし)

ランサー「だいたいそれくらいか…」

ケイネス「黙れ!二人して人の頭皮を侮辱しおって!ああもう、行けばいいだろう!ただし、帰ってきたら魔術工房の作成を絶対に手伝ってもらうからな」

ランサー「マスターよ、恩に着る」

ケイネス「さっさと帰って来いよ」
・・・・
・・・
・・

ランサー「ということがあったのだ」

セイバー「あなたのマスターには心底同情します」

今日はちょっとだけ
あと舞弥はこの先登場させないことにします
彼女の生死はあなたの心の中に…

-キャスター陣営-
龍之介「メフィストの旦那ァ!どうだ今度の作品は」

キャスター「すぅぅんばらしいですYO!リュウノスケェ!」

龍之介「だろ!これは自信作だったんだ」

キャスター「それで?これには何かすごい機能でもあるんですか?」

龍之介「聞いて驚いてくれよ、ここに幼女が祀ってあるだろ?この乳首を押すと…」

芸術品「ウィーン」

龍之介「飴が出てくる」

キャスター「ォウ」

龍之介「…」

キャスター「…」

龍之介「駄目だ!こんなの全然違う」

キャスター「これが完成品だとしたらワタクシ、舌が地面に付くぐらい驚いてしまいます」デローン

龍之介「すげぇ!舌が地面に付いてる」

キャスター「安心して下さいリスケェ!私が付いていますよ。そのうちアサシンの宝具に負けないような芸術品が作れますよ」

龍之介「ありがとう旦那…あ!これあげるよ」

キャスター「ペルォンペルォンキャンデーですか、ひひひwwwありがとうございますぅ!」ペロギュルル

龍之介「すげぇ!旦那の舌が蛇の様だ!」

キャスター「次は教会にでも行きませんか?何かインスピレーションを得られるかもしれませんよ?」

龍之介「確かに歴史的な芸術品は宗教に絡んでいることも多い…流石だよ!」

キャスター「ワタクシはこれでも飽くまで悪魔ですから。契約者に英知をささげるのも仕事ですのでぇ…ひひひwww」

続きはまた夜にでも

夜に続きを書けるといいましたがごめんなさい無理です
明日の昼くらいには書けると思います

-ライダー陣営-
老人「ん?おお、あんたらか!」

ウェイバー「どうも」

ライダー「ボートを返しに来たでござる」

老人「昨日は勢いで貸しちまって返してくれるか不安だったが、ちゃんと来てくれて良かった」

ウェイバー「ボートありがとうございました、これ…えぇっと?つまらないものですが?」

老人「ああ、これはご丁寧にありがとうよ」

ライダー「これいいボートでござるな。よく整備も行き届いてる」

老人「お!分かるか?このボートはな…」

-商店街-
ウェイバー「えらい長く話し込んだな」

ライダー「いやぁ、これは拙者も予想外でござるよ。あのジジイ、自分のボートによほど自信があったようでござる」

ウェイバー「お前もやっぱり自分の船は大切か?」

ライダー「そりゃあそうでござるよ、船は海賊にとって何にも代えられない宝でござる。奪われたり沈められたりは絶対にされたくないでござるな」

ウェイバー「ふーん」

ライダー「だからサーヴァントになってまた愛しの“クイーンアンズリベンジ”に会えたのはうれしかったでござるな」

ウェイバー(こいつも海賊らしい一面があるんだな)

ライダー「まぁ一番うれしかったのはオタクカルチャーが盛んな日本に召喚されたことでござるけどな」

ウェイバー「よし、死ね」

ライダー「えぇ…拙者が一体何をしたっていうんだ」

ウェイバー「大体おまえはなぁ…」

ライダー「お?“アドミラブル大戦略”…?なんか拙者好みの幼女がいるでござる!」

ウェイバー「聞!け!」

ライダー「マスターこれ欲しいでござる」

ウェイバー「は?ゲーム?」

ライダー「一生のお願いでござる!まぁもう一生は終えてるけどなwww」

ウェイバー「いやだよ、なんで僕がそんなもの」

ライダー「仕方ない、略奪するか」

ウェイバー「待て待て待て待て!分かった買うからやめろ!その代わり他のもの欲しがるなよ?」

ライダー「わーい、ありがとう(幼女感)」

ウェイバー「はぁ…」

-アーチャー-
アーチャー「マスターに言われて外に出たはいいがやることがないな…」
※一文無し

おばあちゃん「ふうふう」フラフラ

アーチャー「…(することもないし人助けも悪くはないか)」

アーチャー「ご老人、大変なようでしたらお荷物持ちましょうか?」

おばあちゃん「へ?いいのかい?悪いねぇ…」

アーチャー「いえいえ」ニコッ
~~~
アーチャー「息子さん夫婦のお家へ行くのですか」

おばあちゃん「そうなんだよ、でも迎えに来てくれるはずの息子が急な用事で来れなくなったみたいでねぇ。お兄さんが荷物を持ってくれて良かったよ。力持ちなんだねぇ」

アーチャー「大したことではありません」

おばあちゃん「ありがとねぇ、助かるよ」

アーチャー「おや、ここではありませんか?」

おばあちゃん「本当だねえ」

アーチャー「荷物を中まで持っていきましょうか?」

おばあちゃん「ここまで来たら大丈夫だよ、ありがとう。そうだ!お礼に…」ゴソゴソ

アーチャー「?」

おばあちゃん「はい、羊羹」

アーチャー「ありがとうございます、ありがたく頂きます」

おばあちゃん「じゃあねぇ」

アーチャー「はい、お元気で」

アーチャー「…羊羹?」

-公園-
アーチャー(カルナ…お前はいつもどういう気分で人助けをしていたんだ?)

アーチャー「せっかく貰ったのですし、いただきましょう」

アーチャー(…あれ?これはどうやって食べれば?)

少女「後…もうちょっと…」ヨジヨジ

子供「お姉ちゃん頑張って!」

アーチャー(少女が木登りをしている)

アーチャー「何をしてるのですか?」

子供「?あのね、僕の風船が木に引っかかっちゃってね。あのおねぇちゃんが取ってくれようとしてるの」

アーチャー「なるほど」

少女「よし取れた!あ…」ズルッ

アーチャー「危ない!」ポスッ

少女(お姫様抱っこ…)

少女「あ、ありがとうッス///」

アーチャー「ケガはありませんか?」スッ

少女「はい!大丈夫ッス!あ、少年これ」

子供「わーい、ありがとう!お姉ちゃん!じゃーねー!」

少女「もう手を離しちゃだめッスよー!」

アーチャー「お嬢さん」

少女「あ、すいません。改めてありがとうございました」

アーチャー「いえ、その…少し聞いていいですか」

少女「へ?」

アーチャー「なんであの少年を助けたのですか?自分の身を危険に晒して」

少女「危険って程危険でもないですよ」

アーチャー「それでも何の得もなかったでしょう?」

少女「質問の意図は分からないけど…人を助けるのに意味なんているッスか?損得は関係なくて、私がそうしたいからしただけッス」

アーチャー「…そうですか」

少女「あ!そうだ!」タッタッタッ

アーチャー「?」

カチャッガコン

少女「はい!お茶!」スッ

アーチャー「え?」

少女「助けてくれたお礼ッス」

アーチャー「損得は関係ないのでは?」

少女「損得は関係ないけど、人に良いことしてその見返りがあっても悪いことではないッス」

アーチャー「…そうですか、ありがたく頂きます。あと、もう一つ聞いていいですか?」

少女「どんとこいです!」

アーチャー「これはどうやってどうやって食べれば…」
E:羊羹

日常回でも苦悩するアルジュナ
なんで羊羹なのかと聞かれたらインド人コピペを参考にしているからです
次で日常回は終わりです

次回!「聖杯問答」

-公園(少女が去った後)-
アーチャー(羊羹おいしい)モグモグ

???「おや、良いものを食べていますね」

アーチャー「セイバーですか」

セイバー「どうも」

ランサー「私もいるぞ」

バーサーカー「会えてよかった、さて治療の続きと行きましょう」

アーチャー「まだ日は高いのですが、やる気ですか?」

セイバー「ただの通りすがりですよ、休憩できる場所を探していました」

アーチャー「ならば私は帰らせていただきます。羊羹も食べ終わりましたし」

ランサー「まあ待て、せっかく時代の違う英霊が4騎も集まったのだ。少しは世間話でもするべきだと思わぬか?」

???「げ!」

???「ウハッ!拙者好みの幼女発見!」

桜「ひっ!」

セイバー「5騎になりましたね」

バーサーカー「サクラに近づかないでください、汚れます」

ライダー「はい?BBAはお呼びではないのですけど!!」

ウェイバー「いや!周りを見ろよ、こんなにサーヴァントが…」

ランサー「おびえる必要はない、ライダーのマスターよ」

セイバー「私たちに今、事を構える気はありません」

アーチャー「それで?世間話とは?」

バーサーカー「そうですね、とりあえずアーチャーの治療から始めましょう」

セイバー(この状態のバーサーカーが問答などできるのか?さっきもそれでひどい目にあったし)

アーチャー「ケンカを売っていると解釈していいのですね」

ランサー「今するべきはそのような話でない。ここに集うは聖杯を求めし者たち、然らば」

ランサー「我々はこれより聖杯問答を行う!」

アーチャー「聖杯問答?自らの望みを晒せと?」

ランサー「そうなるな」

バーサーカー「アーチャー、貴方は…」

『ランサー』
皇帝特権:EX 発動
扇動:EX 獲得

ランサー「バーサーカーよ、今はまだ耐えるのだ」

バーサーカー「何故?」

セイバー(治療中のバーサーカーが話を聞いた?)

ランサー「今のままではアーチャーは頑なに治療を受けようとしないだろう」

アーチャー「…」

バーサーカー「そうかもしれませんね。でも安心なさい、どうであろうと私は殺してでも彼を治療します」

ランサー「この問答で治療の糸口が見つかるとしたら?」

バーサーカー「ほう?」

ランサー「もしかすると、アーチャーの病の核はその望みにあるかもしれぬ。治療のために黙って参加してみぬか?聖杯問答に」

バーサーカー「…いいでしょう、それが治療のためになるのならば」

ランサー「では聖杯問答を始めよう」

セイバー「望みを言えば、真名が割れる可能性もあるでしょう」

ランサー「なんとなくは皆把握しているであろう?サー・ベティヴィエール」

セイバー「…貴方相手では隠せないようですね、神祖ロムルス」

ランサー「アーサー王関連で隻腕の騎士といえば一人しかいまい」

アーチャー「ふっ、割れてしまいましたね真名が」

セイバー「貴方も割れているのですよ、授かりの英雄」

アーチャー「なっ!」

セイバー「正解だったようですね、もう少し駆け引きの練習をしては?」

ウェイバー「円卓の騎士に帝国神祖、インドの大英雄まで…。どうなってんだよ!この3騎士たちは、規格外すぎる…」

ライダー「そして拙者は黒ひげにござる~」

セイバー「そして貴女は白衣の天使フローレンス・ナイチンゲールですね?」

バーサーカー「それであっていますが一つ。私は天使などではありません」

セイバー「それは失礼しました」

ランサー「これで真名の心配はなくなったな。安心しろ菓子(たいやき)もある」

セイバー「あっ…」

バーサーカー「安心なさいアルコールもあります。食べる前にはこれで手を殺菌してください」

ライダー「飲む方じゃねぇのか」

ランサー「たいやきは行き渡ったな。では、セイバーお前からだ」
バーサーカー「殺菌もしましたね」

セイバー「望みを言えと?」

ランサー「然り」

セイバー「はぁ…、私は一度だけでいいから王の安らかな顔が見たいのです」

ウェイバー「アーサー王の安らかな顔?」

セイバー「正確には彼の王の人としての顔です」

セイバー(全てが嘘というわけではない、あの時までの私であればそう願っていたはずだ)

ランサー「言いたいことは理解した。そこまで思われているとは、お前の王が羨ましいものだ」

セイバー「さて次は、ライダー辺りにしましょう」

ライダー「聖杯にかける望みぃ? 海賊たる黒髭に、そんなものがあるはz…ハーレム作りたーい!」

セイバー「…」

ランサー「…」

全員「…」

ランサー「次は…」

アーチャー「言い出しっぺの貴方が言うべきでしょう」

ランサー「ない」

アーチャー「は?」

ランサー「願いなどはないといったのだ。私は飽くまでローマを求めるものがいるから召喚に応じたまで、現代の世界(ローマ)を見て回ることも目的ではあるが」

アーチャー「召喚されること自体が望みであったと?」

アーチャー(召喚されたのがコイツではなくアイツならば…)

ランサー「そうともいえるな。では、バーサーカー」

バーサーカー「ありません、そんなもの。私は治療を必要としたものがいたから召喚されただけ。本当に願いが叶うのかもわからない聖杯を求めるつもりなどありません。ああでも…」

桜「でも?」

バーサーカー「手を洗うボウルくらいには使えそうですね」

ウェイバー「ボウル…万能の願望気をボウル…」

ランサー「最後はアーチャーだな。まさか皆が望みを発表した中で一人だけしない訳にもいくまい」

アーチャー「永遠の孤独…」

ランサー「ん?」

アーチャー「私は誰からも干渉されない、永遠の孤独をこそ望みます」

セイバー「ああ、なるほど」

ウェイバー「分かるのか?」

セイバー「アルジュナの最期はヒマラヤで隠居を送っていたそうです。おそらく…」

アーチャー「セイバー、それ以上はやめてください。そこから先を言うのであれば私は今、弓を引かざるを得なくなる」

セッシャゲームシタイカラカエリマスルー
ア、バカナニヲカッテニー

セイバー「…そうですか」

ランサー「これで、全員話したか。ん?ライダーは何処に?」

バーサーカー「帰りましたよ、ゲームがどうとか」

セイバー アーチャー(いつの間に…)

アーチャー「では、解散にしましょう。日も暮れそうだ」スタスタ

バーサーカー「!待ちなさい、アーチャー!」タタタタ

桜「待って…バーサーカー…」

セイバー「サクラ」

桜「?」クルッ

セイバー「今日は楽しかったですよ」ニコッ

桜「…ありがとう、セイバー」タタタタ

セイバー「私たちも帰りましょう」

ランサー「お前はそのまま帰るのか?」

セイバー「いえ、マスターにお土産を買うのと、写真の現像に」

ランサー「ならば私も付いて行こう」

セイバー「そういえばランサー」

ランサー「どうした?」

セイバー「あなたの望みは本当にあれだったのですか?」

ランサー「見抜いていたか。あの場で指摘しないでいたのはありがたい、流石に気恥ずかしいのだ。そうだな、本当に本当に願いが何でも叶うのならば」

セイバー「ならば?」

ランサー「もう一度だけでいい、弟と笑い合いたい」

-アーチャー&バーサーカー-
バーサーカー「待ちなさい、アーチャー」

アーチャー「まだ何か?」

バーサーカー「あなたの治療が終わっていません」

アーチャー「私の精神は病んでなどいない」

バーサーカー「私の嫌いなものは、治らない病気と治ろうとしない患者です」

アーチャー「私はどちらに該当すると?」

バーサーカー「治る病気も治そうという意思がなければ治りません。あなたが抱えている問題も分かりました、一度自分に素直になる必要がある」

アーチャー「素直?」

バーサーカー「永遠の孤独は真の望みではない」

アーチャー「!」ギロリ

バーサーカー「アルジュナ…知識はあります。きっとあなたは此度のランサーがロムルスでがっかりしたのでしょうね」

アーチャー「黙れ…」

バーサーカー「アーチャー、貴方はその妄執を捨てられない限り病は治らない」

桜「バーサーカー…」タタタタ

アーチャー「黙れ!この娘がどうなってもいいのか!」スッ

桜「!」

バーサーカー「自分が何をしているのか分かっているのですか!?」

アーチャー「お前自身に矢を突き付けても止まらないだろう?だから…」ハッ

アーチャー(私は何を…)

バーサーカー「そういうところが貴方を…」

アーチャー「うるさい!煩い!五月蠅い!ウルサイ!私を見るなぁぁぁぁぁ!」ダッ

バーサーカー「アーチャー!」

桜「バーサーカー」ギュッ

バーサーカー「サクラ?」

桜「帰ろう?」

バーサーカー「…そうですね」

-ウェイバー陣営-
ウェイバー「なぁライダー」

ライダー「なんでござるか?」ピコピコ

ウェイバー「良かったのかよ、途中で抜けてきて」

ライダー「別にいいでござろう?マスターも真名を知れたしぃ」ピコピコ

ウェイバー「そうだけどさ…」

ライダー「あぁ!幼女が死んじゃう!」ピコピコ

ウェイバー「そいつは諦めろ、それより今はそっちのそいつを使って攻めた方がいい」

ライダー「嫌だー!幼女を見殺しになんて!」ピコピコ

ウェイバー「お前なぁ!そんな進め方してたらクリアできないだろ!ほら、僕の言うとおりに操作しろ」

ライダー「しかたないでござるなぁ」シブシブ

この後、二人で仲良く徹夜した

-セイバー陣営-
セイバー「ただいま戻りました」

アイリ「あ!お帰りセイバー、お土産は?」

セイバー「はい、羊羹を買ってきました」

アイリ「ありがとう、セイバー!」

切嗣「帰ったか」

セイバー「ええ、他のサーヴァントと行動を共にしていました」

切嗣「何か収穫はあったか?」

セイバー「真名の答え合わせができた位ですね。あと、羊羹を買ってきました」

切嗣「そうか。それはまた後だ、出かけるぞ」

セイバー「貴方とですか?」

切嗣「ああ、ランサー陣営を討つ」

-ランサー陣営-
ランサー「戻った」

ソラウ「お帰りなさいませ、神祖様」

ランサー「ああ、これは土産だ」

ソラウ「感謝の極み」

ケイネス「遅かったな、いや!本当に遅かったな!」

ランサー「さぁ、工房作りを手伝おう」

ケイネス「もう終わったわ!帰るのが遅すぎるのだ!」

ランサー「仕事が早い、優秀だなマスター」

ソラウ「流石ねケイネス!」

ケイネス「!ふ、ふん!当然だ、私は時計塔のロードなのだからな」

丹下「ちょろい」

-アーチャー陣営-
時臣「アーチャー?」

アーチャー「はい、いかがしましたか?マスター」

時臣「…いや、何でもない。そういえば息抜きはできたか?」

アーチャー「………ええ、おかげさまで」

時臣「それならよかった、今夜は偵察に徹しよう」

アーチャー「打って出ないと?」

時臣「ああ、今日は調査を行っていたのだがね。キャスターの痕跡が一切発見できなかった」

アーチャー「本当に召喚されていたのですか?」

時臣「それは間違いないらしいのだがね…。まあ、そういうことだ。遠坂たるもの余裕を持って優雅たれ、キャスターの能力も姿も分からないうちからあまり動きすぎない方がいい」

アーチャー「承知しました」

アーチャー(私は英雄アルジュナだぞ…?)

-バーサーカー陣営-
桜 バーサーカー「ただいま戻りました」

雁夜「お帰り、二人とも。楽しかったかい?桜ちゃん」

桜「うん」

雁夜「それならよかった、ほら手を洗ってきな」

桜「」コク

タタタタ

雁夜「桜ちゃんを連れだしてくれてありがとう、バーサーカー」

バーサーカー「いいえ、彼女の治療にも関わることですから」

雁夜「…なあバーサーカー。俺、決めたんだ」

バーサーカー「…」

雁夜「勝つよ、時臣に。聖杯戦争がどうとか、泥を塗ってやるとかではなく。俺個人として勝ちたい」

バーサーカー「それは良かった」フッ

バーサーカー(精神の方は心配いらないようですね、たとえ負けても今の彼ならば…)

雁夜「今笑わなかったか?バーサーカー」

バーサーカー「笑ってなどいません」キリッ

雁夜「いや」

バーサーカー「笑ってなどいません」

雁夜「…もういいや」

バーサーカー「夕食の準備をしましょう」

雁夜「消毒用アルコールは控えめで頼む、納得できないならレポートも書いてあるから」

バーサーカー「いいでしょう、使用するのは適正量内に収めておきます」

雁夜「頼むぞ?本当に…」

長げえよ聖杯問答
何か当初の予定と内容違うし

-言峰教会-
綺礼「どうだ?このレコードは?」

二人が聞いているのは綺礼が昼間に買ってきたレコード
あまり有名ではないアーティストのものだ
曲の方も大したものではない

アサシン「素晴らしい…強く込められた怒りが聞こえる」

そんな曲であっても彼らには関係ないようだ

綺礼「曲自体は大したことはないが、この曲に込められた感情にはすさまじいものがある。売れないレコードにもこのような楽しみ方があるのだな」

綺礼はもう自らのゆがんだ価値観を隠すことなどしない
気付いてしまったのだから彼の持つ罪人のような魂に

アサシン「最初は好きで始めたのだろうに、気づけば売れない自分自身と自分の才能を評価しない周りへの怒りのみに濡れていたか」

アサシンがレコードに含まれる感情を推察する
堕ちた夢の悲しき末路を

綺礼「愚かしいな、だが人の不幸と醜い感情こそが我が愉悦となる。その点ではこの曲を作った者はいい仕事をした」

楽しく音楽鑑賞を行っていた二人に邪魔が入る
時臣から渡されていた通信用礼装だ

綺礼「いかがしましたか、時臣師?はい、はい、分かりました。ではそのように」

時臣と通信を行う綺礼を尻目にアサシンは歌い続ける

アサシン「♪~♪~」

綺礼「アサシン、ランサー陣営の偵察に向かうぞ」

歌っていたアサシンを連れ,綺礼は教会を出ていった

-冬木ハイアットホテル-
部屋の窓からケイネスが避難する人々を見下ろしている
ホテルに対して爆破予告があったようだ

ケイネス「階下の人間たちが避難をしているな」

だがケイネスは逃げない
分かっているのだ、その予告が嘘であることを

ランサー「巻き込まぬための配慮か、なかなかできた人間だ」

ランサーが首謀者を褒める
ホテルで戦闘を行うことでの被害者を減らすための配慮だと

ケイネス「神秘の秘匿を行う魔術師であれば当然だ。とはいえ、魔術師の工房に入り込むとはよほどの自信家か大馬鹿者であろうな」

それを当然のこととケイネスは言う
それはそうであろう。神秘は秘匿されるものでありそれを暴かれることを魔術師は必ず防がなければならない
また、見られた際の予防線を張ることも重要なのだ
激しい戦闘が行われることが予想される中、爆破予告というのは隠蔽に対しては効果的なようだ

ランサー「入念な準備をしている可能性もある。警戒は怠るな」

ランサーはケイネスにこの敵対者に対する注意を促す

ケイネス「ほう…この工房に挑むための準備か、例えばどのような?備えは万全だぞ?」

彼には自らの工房に自信がある
彼は自分がロードであることに強い誇りを持っている
その自分が作った工房が敗れるはずがないと

ランサー「ホテルのフロア丸ごと壊すとかな」

爆破予告が本当であった場合のことを言っているようだ

ケイネス「確かに土台を崩されてはこの工房もひとたまりもないな。だが、そんな大胆なことをするものなどおるまい」

魔術師の戦いである聖杯戦争において現代兵器を扱うという発想がケイネスにはない
無論、神秘は秘匿する魔術師がそのような派手なことをするとも思っていない

ランサー「可能性や手段の一つとして考えておくがいい」

ランサーも手段としては考えたが実現するとは思っていないようだ

ケイネス「ソラウ」

ソラウ「何かしらケイネス?」

ケイネス「私が守り切れるとは限らん、この部屋にいてくれ」

下手に最初から離れているよりも守れる可能性は高いと踏んだのだろう
ケイネスは自分の近くにいることをソラウに言った

ソラウ「ローマ!」

ソラウが元気よく返事をする

ランサー「ローマ!」

ランサーも負けじとローマコールを行う

ケイネス「ハァ…」

二つのローマの隣でケイネスは大きな溜息を吐いた

-ホテル周辺-
セイバー『粗方避難が終わったようです』

霊体化していたセイバーが切嗣に伝える

切嗣「そうか、では…」

切嗣がリモコンを操作する
その瞬間、ホテルのとある階は爆発しホテルの周りにいた人間たちは悲鳴を上げる
そのまま重力に任せてホテルは崩れていった

切嗣「フッ」

作戦が成功したことに切嗣は微笑する

セイバー『あの程度でランサーがヤれるとは思いませんが』

セイバーは自らの懸念を伝える

切嗣「構わない、少なくとも工房と礼装を削ることはできただろう。ランサーのマスターも聖杯戦争に向けた備えはしてきただろうからな、おそらく大量の礼装を持ってきていたはずだ。これで戦力は大幅ダウンだろう」

相手が強いのであれば一度で仕留めるのではなく、少しずつでも削っていく
ゲリラ戦ならば珍しいことではないが魔術師としては珍しい戦法であった

セイバー『サーヴァントが強いならマスターを狙うですか…』

定石ではあるがセイバーは複雑な顔をしていた

切嗣「卑劣だと思うか?」

何と言われようが変える気はないが一応聞いておく

セイバー『いえ、私がランサーに勝てればこのようなことはせずに済んだのでしょう。私に文句を言う資格などありません』

彼もさほど気にしてはいないようだ

切嗣「そうか」

切嗣はいまだ騒がしいホテルに背を向けて歩き出した
しばらくして路地裏へと足を踏み入れる

セイバー『…切嗣』

セイバーは何かに気が付いている様だった

切嗣「ああ」

切嗣もセイバーの意図を汲んでいる様である
人っ子一人いない場所へと切嗣は入っていく

セイバー「出て来るがいい、いるのは分かっている。サーヴァントの気配は消せてもマスターの気配までは消せないようだな」

霊体化を解いたセイバーが声を上げた

綺礼「…」

アサシン「…」

姿を現したのは綺礼とアサシンのペアだった

切嗣「言峰…綺礼…」

綺礼が一歩前に出て話し出す

綺礼「衛宮切嗣、貴様はいつぞやの私の問いに“戦いの果てに望むものは恒久的世界平和だ”と答えたな」

切嗣「ああ」

綺礼の唐突な質問にも彼は平然と返す

綺礼「あれは事実か?」

切嗣「ああ」

綺礼による確認
それに対する肯定

綺礼「そうか…私は分からなかったのだ。万人が美しいと思う物を美しいとは思えず、この身を捧げるに足る理念も目的も見つからなかった。お前と同じだ衛宮切嗣、利益のない戦いにこの身を投じてきた」

綺礼はまるで舞台にいるかのように語り出す

切嗣「…」

綺礼「だが、父に言われて参加しただけのこの戦いの中で見つけたのだよ!私の答えを!愉悦を!」

セイバー「…」

セイバーは目の前の男に薄ら寒いものを感じていた

アサシン「歌うか?唄うか?謡うか?」

アサシンの問い

綺礼「ああ!謳おうアサシン!私は悪をこそ愛する!人の不幸や苦痛に愉悦を感じるのだ!」

綺礼は吠えるように答え、歌う

アサシン「クリスティーヌ!クリスティーヌ!愛しい君へ私は歌う!」

綺礼「父よ!世界よ!醜き苦痛に私は歌おう!」

切嗣「もういい」

興が乗っていた二人を切嗣が制止した

セイバー「ええ、貴方は生かしておいてもロクなことにならない」

セイバーが剣を抜く

切嗣「ここで終わりにするぞ」

目の前の外道をただ倒す、倒さなくてはならない

綺礼「…いいだろう、人の本性たる闘争を否定するものよ。子供の戯言のような望みを打ち砕き、その絶望を我が愉悦としよう」

アサシン陣営とセイバー陣営の戦いが始まった

あれ?言峰君は精神汚染スキルでも付与されたのかな?
最近はアルジュナといい言峰といい何が書きたいのか分からなくなってきたよ…

-路地裏-
綺礼とアサシンの攻撃にセイバー達は防戦一方だった

セイバー「チッ…」

アサシンの暗闇に紛れた攻撃、気配遮断スキルをうまく使っている
綺礼はセイバーを警戒してか近付かず、黒鍵を投げて威嚇を行う
路地裏での戦闘はセイバーの武器の動きを制限していた

切嗣「クッ…」

綺礼に対し発砲を行おうとしていた切嗣をアサシンが狙う

セイバー「危ない!」

セイバーがアサシンを切り捨てようとするが避けられてしまう

セイバー(やり辛い)

セイバーが苦戦しているのは路地裏の狭さのみが原因ではない
アサシンは令呪によって強化を施されており、ステータス以上の速度を発揮している
さらに切嗣の存在が枷になっていた
暗闇の中、隠れる場所も多いアサシンを切嗣のことを守りながら撃破するのは大変な苦労である
かと言って綺礼に集中すれば切嗣がアサシンに狙われてしまう

切嗣『セイバー』

相手の攻撃を捌きながら二人は念話を行う

セイバー『はい』

切嗣『うまく広いところに出られないか?』

セイバー『難しいですね…ただ走るだけでは追いつかれる可能性があります』

ただでさえ令呪で強化された速度は脅威なのだ
狭い路地の中でそれに背中を向けることは愚行といえる

切嗣『建物の中では障害物を増やすだけか…』

セイバー『キリツグ、宝具を使用する許可をいただけますか?』

宝具の出し惜しみで敗北しては意味がない

切嗣『…いいだろう』

切嗣はセイバーが宝具を使用することを許可した

セイバー「では…剣を取れ、銀の腕(スイッチオン・アガートラム)」

セイバーがその場から一歩だけ離れる
空気が変わった
そのまま囁くようにその真名を告げる
白銀に輝く腕から光が湧き出る
――その光が肉体を包み込む

綺礼「宝具か!」

アサシン「ああ美しい!なんと美しい光か!その輝きは我が麗しの歌姫にも引けを取らぬ」

アサシンはセイバーの宝具に見とれている様だった
しかし、万人に美しいといわれるものが理解できない綺礼にとってその光はただ不愉快なだけだった

綺礼「アサシン!その光を濁らせろ!」

セイバー「失礼します、キリツグ」

セイバーが切嗣を抱え壁を走り出す

切嗣「グッ!」

それなりの速度が出ており生身では内臓に多少の負荷が掛かっているようだ

セイバー「我慢してください」

セイバーも内側から体を焼かれる痛みを我慢して壁を登り続ける

綺礼「くっ!」

上に逃げられてしまっては攻められる方向は限られる
剣士相手に分かり切った攻撃を行う気は起きなかった

アサシン「いかがする?」

綺礼「私にも考えがある、行くぞアサシン!」

二人はセイバーたちが登った建物へと入っていった

セイバー「さて…」

セイバー達は屋上に到達したようだった
セイバーが切嗣を地面へと下す

切嗣「こちらの有利な場所に出られたのはいいが、どうするつもりだ?奴らがノコノコとやってくるとは思えないな」

セイバー「かと言って彼らが撤退を選ぶとは考えられません。キリツグ、貴方はアサシンの宝具を知っていますね」

一度聞いているはずだが今一度確認を行う

切嗣「ああ、醜悪なオルガンのようなものだった。おそらく、魔力か音か何かを照射するタイプの宝具だろうな」

それを聞いたセイバーはうなずいて

セイバー「それなら、彼らが取る手段は限られてくるでしょうね」

と言った

切嗣「何?」

セイバーには相手が取るであろう行動が想像できていた
もちろんそれに対する策もだ

セイバー「ガウェインの真似事というわけではありませんがね」

体を包んでいた輝きが剣へと移動する

-建物内-
幾階登ったのか、彼らは建物の8割ほどを登り終えていた

綺礼「このくらいでいいか」

いきなり止まった綺礼にアサシンは不思議そうな顔をした

アサシン「?」

綺礼「令呪を持って命ずる宝具を上方へ即時使用せよ」

令呪を使用する
建物ごとセイバー達を排除するつもりらしい

アサシン「地獄にこそ響け我が愛の唄(クリスティーヌ・クリスティーヌ)!!」

アサシンの後ろに宝具が現れる

綺礼「さらに重ねて命ずる、己の限界を超えて宝具を使用せよ」

令呪の使用により通常以上の速度で宝具への魔力の充填が完了する
また、追加で使用した令呪により万が一にも生き残ってしまう確率を排除している

綺礼「逃げる暇もないだろう?ここで終わりだ!」

綺礼は勝利を確信するが

綺礼「は?」

突然伸びて来た閃光により宝具ごとアサシンは両断された
何が起きたのか考える前に綺礼は撤退を行っていた

セイバー「逃げられたか?」

割れ目の中をセイバーが降りて来て辺りを見回した

切嗣「どうだ?」

少し遅れて切嗣が階段で降りて来る

セイバー「マスターの姿が見えませんがアサシンについては手ごたえがありました。撃破できたと断言しましょう」

切嗣「そうか、厄介だな…。それにしても相手を建物ごと焼き切るとはな」

素直な感想をセイバーに告げる

セイバー「先に相手の行動を予測して攻撃の準備をしておけば先手を取れますからね」

どうやら屋上から剣戟を伸ばしアサシンを両断したようだった

切嗣「予想か攻撃が外れていたらどうするつもりだった?」

セイバー「予想についてはどうにでもなります。それと攻撃を外すことはまずないです。何のために相手が宝具を使うまで待っていたとお思いで?」

切嗣「なるほど、宝具を使う際の魔力で相手の位置を断定したのか」

セイバー「こちらはすでに真名を開放していましたからね。相手に魔力の変化を悟られない自身もありました」

セイバーが行ったのは開放した魔力を剣に乗せて放っただけだった

切嗣「分かった、言峰については後で処分しよう。とりあえず今日のところは、人が集まってくる前に退散するぞ」

こうして二人はアインツベルン城へと帰っていった

-冬木ハイアットホテル跡地-
ホテルのがれきの下に銀色の物体がうごめいていた

ケイネス「くそっ!」

ランサー「まさか本当にホテルごと叩き壊すとはな」

ソラウ「敵ながらなんてローマなの…」

無理があるのは分かってますとも!
でも、バンスゥにしなかったのは褒めてください

-言峰教会-
綺礼「♪」

綺礼は歌っていた
彼の歌はまたうまくなっていた

璃正「ここにいたか綺礼」

綺礼「!」

いきなり入ってきた璃正神父に綺礼は驚き、歌を中断する

璃正「アサシンがいなくなって落ち込んでいると思っていたが大丈夫そうだな」

仲の良さそうだったアサシンを失った綺礼を心配している様だった
だが、実際は逆である

綺礼(技術的なことをもう少し教わりたかったのは確かだが…あの最後は悪くなかった)

彼は自慢の宝具ごと叩き切られ、最後の瞬間に歌を奏でることすらできなかったアサシンの姿に愉悦を感じていた

綺礼「私を探していたようですが何か御用ですか?」

璃正「綺礼よ、お前はどうしたい?」

唐突な父の問いかけに綺礼は尋ねる

綺礼「どうとは?」

璃正「お前は今まで私の頼みで聖杯戦争に参加していた」

綺礼「はい」

璃正「だが、アサシン亡き今聖杯戦争に参加する必要もない」

綺礼「はい、だから私はもう一度聖堂教会に戻ろうかと思っているのですが」

璃正「聖堂協会では何をするつもりだ?神父か?それとも…」

綺礼「代行者です」

今までのようにただがむしゃらに戦場を駆け巡るわけではない
標的の思いが無に帰す瞬間、今までやってきたことがなくなる時の相手の絶望に愉悦を感じる
彼はもはや聖職者とは言えない理由でもう一度代行者をやろうとしていた

璃正「…私はなアサシンには感謝しているのだ。お前は歌っている自分の姿を見たことがあるか?」

綺礼の選択の理由も聞かず璃正は質問をする

綺礼「いえ」

璃正「恥ずかしながらな、私は父として初めてお前のあのような顔を見たよ。お前が歌っているときの顔は実に楽しげだった」

綺礼「…」

正確には歌は彼の愉悦を表に出す手段であり彼が楽しんでいるのはもっと別のものだ(最近は歌そのものも少し楽しくなっているようだが)

璃正「なぁ、綺礼」

綺礼「はい」

璃正「この教会を継ぐ気はないか?」

綺礼「私が…ですか?」

いきなりの父の言葉に綺礼は困惑していた

璃正「ああ、お前が代行者をしていたのは強い信仰心からだと思っていた。だが違ったようだ、お前はずっと自らの欲するものを探していたのではないか?」

綺礼「!?私は…」

父が自らの今までの行動の意味に気づくとは思っていなかったようだ

璃正「言わなくともよい。あの時お前の顔を見て気づいたのだ私が考えてきたお前と見てきたお前の違いに。私とお前は別の人間だ」

綺礼「…」

璃正「綺礼よ、もう代行者をする必要はない。私は苦行により悟りを得ようとしたがお前もそうである必要はない」

綺礼「父上…」

璃正「あの顔をしたお前ならばきっと立派な神父になれる」

綺礼「はい…」

璃正「すぐに結論を出す必要はない。それともうひとつ」

璃正は懐から何やらチケットのようなものを取り出し

璃正「今朝教会を訪れた方に貰ってな、聖杯戦争を戦ってくれた礼というわけはないが」

綺礼「オペラのチケットですか」

璃正「隣の市にウィーンから来ているそうなのだがな、どうだ?行ってみるか?」

綺礼「よろしいのですか?」

璃正「ああ、存分に楽しんで来い」

そう言って璃正は教会を後にした

綺礼(父上、貴方は私の本性を知ったときどのような顔をするのだろうか)

綺礼は考える

綺礼(信じていた息子に殺されるとき貴方はどのような顔をする?)

綺礼「今日あたりやってしまうか」

不穏な決意を固める綺礼だったが、すぐに準備して出発しなければオペラの開園時間に間に合わないことに気づき教会を後にした

-地下水道内-
キャスター「さて」

龍之介「行きますかね」

アサシンと綺礼をそんなにすごく仲良く書いた気はなかったんですけど
読み返したら仲良しですね、精進します

-ライダー陣営-
ウェイバー「やばい、徹夜でゲームしたせいで出遅れた」

結局、ゲームをクリアするまで徹夜してそのまま眠っていたらしい

ライダー「さて、一週目はクリアしたしやりこむか」

焦るマスターをよそにライダーは余裕そうだ

ウェイバー「焦れよ!アサシンが脱落したんだぞ!」

ライダー「マスターが狙われる危険は減ったでござるな」

ウェイバー「へ?」

ライダーの言葉にウェイバーは素っ頓狂な声を上げる

ライダー「そうでござろう?行動するにあたって気配を遮断してサーヴァント本体ではなくマスターを狙う相手なんて早く脱落するに越したことはないでござる」

ウェイバー「う、確かに…」

思っていたのと違う返しにウェイバーはすこしライダーのことを見直しそうになる

ライダー「じゃあマスターは勝手に聖杯戦争をどうぞ」

前言撤回

ウェイバー「いやいやいや!お前も来いよ!」

ウェイバーはすっかりとツッコミが板についてきた自分が嫌になった

ライダー「えー?もうマスターが狙われる心配はないんだから勝手に行くでござるよ」

そういってゲームのコントローラーを握る

ウェイバー「うるさい!まだキャスターがいる!あいつもマスター狙いで行かれると困るじゃないか」

何もしないで漁夫の利で勝っても自分の評価をあげることにはつながらないとウェイバーは考えていた

ライダー「拙者は対魔力が低いので~」

ウェイバー「そこは考えてある。ほら行くぞ」

彼には自分の考えに対する自信があるようだった

ライダー「でもでもだってだって」

ウェイバー「ああもう!帰りにゲームセンター寄っていいから!」

あまりに話を聞かないのでご褒美で釣ることにする

ライダー「マジで!?行くでござる行くでござる行くでござる」

少しの間1レス投下が増えると思いますがよろしくお願いします

-河原-
ライダー「マスター、取ってきたでござるよ」

ライダーがボートにいくつかの試験管を乗せて帰ってくる

ウェイバー「ああ、場所は忘れてないだろうな」

地図を見ながらライダーに問いかける
忘れていたらもう一度取りに行かせるつもりだ

ライダー「当然!海賊の能力なめないで欲しいものですなぁ」

距離も順番も忘れてなどいない

ウェイバー「はいはい」

彼はライダーから受け取った試験管の水に自らの血を垂らす

ライダー「そんなので本当にキャスターの場所が分かるでござるか?」

ウェイバー「見つからなかったら別の方法を試すだけだ」

ライダー「地味…」

彼の想像していた魔術に比べてしょぼかったようだ

ウェイバー「うるさいな!僕じゃあこのくらいしか出来ないんだよ!」

ウェイバーは怒鳴るがライダーは聞いていないようだった
試験管の水の色は変わっている

ライダー「お?」

ウェイバー「なんだよ…こんな量の魔力が水に溶けてるなんて普通じゃない…」

ライダーには分からないがウェイバーは驚いている様だった

ライダー「その水はこの地点のものでござる」

ライダーが迷いなく地図を指す

ウェイバー「そこから上流には魔力の反応がない…ということはここら辺の下水道にでもいるのか?」

ライダー「ああ、魔力を直接垂れ流ししてんのか」

ライダーもやっと原因が分かったようである

ウェイバー「とりあえず行ってみよう、次の行動はそこで決める」

ライダー「あいあいさー」

-キャスターの拠点近く-
ウェイバー達は排水溝の近くまで来ていた

ウェイバー「ここらへん…だよな?」

ライダー「そうでござるよぉ」

ウェイバー「おかしい、魔術の気配も何もしない」

結界の存在すら感じられないのはキャスター相手に妙な話であった

ライダー「うまく隠してしているのでは?」

ウェイバー「うーん…」

ライダー「ああ!まどろっこしい!入るでござるよ、マスター」

ライダーがウェイバーの手を引っ張る

ウェイバー「ちょっ!お前…いや、行こう」

ライダー「ほう」

ウェイバー「でも、警戒はしておいてくれ。もし何かあったときのために」

-拠点内-
ライダー「うーん、お宝のにおいはしないでござるな」

ウェイバー「分かるのかよ、そんなこと」

ライダー「当然!拙者は世界一有名な大海賊黒ひげでござる!」

ウェイバー「大声出すなバカ!」

ウェイバーは少し焦るが周りからは何の反応もない
はっきり言って拍子抜けだった

ウェイバー「…これだけ大声を出して何の反応もないなんて」

ライダー「これは留守でござるな」

ウェイバー「結界の一つも張っていないなんてな」

ライダー「本当にここが工房なのかも怪しいでござる」

ウェイバー「じゃあ、あの魔力は一体?」

彼が顎に手を当てて考える中、
ライダーが何かに気づいたようだ

ライダー「!」

ウェイバー「どうした、ライダー?」

ライダー「マスターは引き返した方がいいでござる」

ウェイバー「何を言ってるんだ、僕はマスターなんだ行くに決まっているだろう」

ライダー「後悔しても知らないでござるよ」

二人の進んだ先にあったのは

ウェイバー「うっ!」

ライダー「…これは」

元が人間であったことが信じられない位に弄ばれた死体だった

ウェイバー「なんだよこれ…」

ライダー「工房でござるな」

ウェイバー「こんなときに皮肉はいらないよ!なんで平然としてるんだよお前は!」

ライダー「拙者は海賊でござるよ?むごたらしい惨状なんて腐るほど見てきた」

ウェイバー「…」

ライダー「まぁそれでも、胸糞悪い光景なのは変わりはないでござるな」

ウェイバー「命をおもちゃみたいに…」

ライダー「拙者も命を奪うことに抵抗はないでござるが死体を弄ぶのはちょっと…」

ウェイバー「普通に肉体を加工しただけでこんなにはならない、おそらく魔術の類だ」

ライダー「それがあの結果でござるか」

川に流れた魔力の正体が発覚する

ライダー「まるでお宝みたいに飾っていやがる」

ウェイバー「焼き払え…」

ライダー「いいでござるか?」

ウェイバー「ああ、どうせ少し暴れさせる予定だった、だからやれ」

ライダー「任された」

ウェイバー(せめて安らかに…)

ライダー「捧げ銃!『女王アンの復讐号』!」

醜悪な芸術品を炎が飲み込んでいった

-言峰教会-
龍之介「ちわーす!誰かいませんかー?」

璃正「おや、どちら様かな?」

龍之介「あのさ神父様、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」

璃正「ふむ」

龍之介「ここってシスターさんとかいる?」

目の前の男の言葉に璃正は顔をしかめる

璃正「…そう言う用件でしたらお引き取りください、ここは神の家であってそういう店ではない」

龍之介「えー、マジかよ」

キャスター「まぁまぁリュウノスケ、ここで創作活動に挑めばいい作品が作れるかもしれませんよ?」

璃正「!キャスター…」

龍之介は素早く璃正神父の喉元を掻き切る

璃正(綺礼…)

龍之介「うーん、果たしてこんなおじいさんで良いものが作れるのか」

キャスター「芸術は爆発と言いますし男は度胸!何でもやってみるものですよ。あ!使います?」

龍之介「それ綺麗な肉体が残らないから遠慮しておく」

キャスター「ですよねー」

雑ですねェ、実に雑ゥ!
いや、本当ごめんなさい

-商店街-
ウェイバー「教会に使い魔を出してキャスターの居場所と所業は伝えておいた、これで討伐令が出ればいいけど…」

ライダー「場所が分かっただけで討伐令とか出るもんでござるかぁ?」

ウェイバー「どうかな…神秘を秘匿する気があるかどうかによるよ」

ライダー「もしも出なかったら?」

ウェイバー「どうしようか…?」

ライダー「マスター、元気ないでござるな」

ウェイバー「当たり前だろ?あんなもの見せられて元気でいられないよ」

ライダー「…マスター」

ウェイバー「何だよ」

ライダー「ゲーセン行くでござる」

ウェイバー「悪いけどそんな気分じゃない」

ライダー「いいから!」

ウェイバー「は?ちょっと!」

皆様お久しぶりです
生存報告だけをさせて頂きます
最近何かと忙しく執筆を行うことができていません
来週からは少しは緩和されるため書くことができると思いますので今しばらくお待ちください

ウェイバー「気分じゃないって言ってるだろ…」

無理矢理にゲームセンターへと連れてこられたウェイバーは文句を垂れる(もっとも元気がないため周りの音でかき消されているが)

ライダー「くっそー!なんだよこれムリゲーじゃねーか!」

聞こえてない
―聞いていない?
ライダーは格闘ゲームに夢中になっている

ウェイバー「下手くそなだけじゃないか」

ライダー「あぁん?」

ウェイバー「悪口は聞こえるのかよ!」

悪口は聞こえるようだ

ウェイバー「ほら、変われよ。僕がやる」

ライダー「ええー!」

ウェイバー「ヘタクソすぎて見てられないんだよ」

その後、天才的な洞察力でCP相手に無双
さらに店内対戦においても無双を行い伝説となった
いわく、

ウェイバー「小足見てから昇竜余裕だよ」

ライダー「拙者より楽しんでない?」

ウェイバー「う、うるさいな!」

ふたりで心行くまで楽しんだ

すみませんすごく遅れました
本当はしっかりと書きたいのですが
ここから急展開が続きます

-言峰教会-
綺礼(久しぶりに本場のオペラを見たな。あの時は特には何も感じなかったが今なら楽しみ方が分かる気がする)

綺礼の顔は少しではあるが嬉しそうな色が浮かんでいた。

綺礼「父上!ただいま戻りました!」

しかし返事はない
―嫌な予感がする。
浮かれすぎて気付いていなかったが教会の中には臭いが立ち込めていた。
かつて自らが代行者をしていた時に嫌というほど嗅いだ臭い。

綺礼「…」

無言で懐から黒鍵を取り出す。
できるだけ気配を殺し、暗闇の中に潜む。
人の気配はないようだ。

綺礼「…」

綺礼が周りを見渡してみると隅の方に金色に輝く物体があることに気づく。

綺礼「父…上…?」

それは仏像のように飾り立てられ芸術品へと仕立て上げられた璃正神父の姿だった。

綺礼「父上!」

綺礼は驚き、彼の元へと駆け寄った。

璃正「綺礼か…?」

綺礼「父上よなぜこのようなことに!」

璃正「キャ、キャスターが…」

綺礼(ふざけるな!この人を殺すのは私だ)

胸中で綺礼はゆがんだ怒りを抱く。

璃正「JN424…」

璃正が何かを囁く。
―綺礼が黒鍵で彼の胸を貫く。

璃正(楽にしてくれるのか…)

璃正「ありがとう…」

微笑みながら璃正は逝った、最後まで息子のゆがみに気づくことなく。それはきっと彼にとってとても幸せなことだっただろう。綺礼にとっては最悪ではあるが。

綺礼「父よ、何故だ?」

彼は父に問う

綺礼「何故笑いながら死んだ!違うだろう?自らの息子に殺されて、その醜悪さに気づきながら死んでほしかった!顔に張り付けるべきは苦痛と後悔のはずだ!」

どこまでもゆがんだ怒りだった。それはまるでおもちゃを取り上げられた子供のようにも見える

綺礼「…JN424」

父が最後に言った言葉を思い返す。

綺礼「マタイの福音書…」

その日、彼は大量の令呪を手に入れることとなる。

-路地裏-
龍之介「なぁ、旦那?俺ってあの爺さん殺さなかった?製作中も生きてたみたいだけど」

キャスター「ええ!ほとんど死んでいましたよ!私の呪術でも延命措置しかできないほどに死が確定していました!」

龍之介「生きてる必要あった?」

キャスター「たまにはいいでしょう?」

龍之介「そうだな!」

-遠坂邸-
時臣「キャスターの討伐令?」

綺礼から投げられた提案を聞き返す。

綺礼「はい」

時臣「…お父上の敵討ちかね?」

綺礼「それもあります。ですが、キャスター達による被害者の増大並びに監督役である教会への敵対行為。これらが討伐令を出す理由です。」

綺礼はそれを当然のことのように話す。
―大義名分ができたともいえる。

時臣「ということは君が監督役に就任すると?」

綺礼「聖堂教会の方にも伝えてあります。教会としても新しく人員を増やす気はないようですぐに許可が出ました」

時臣「なるほどな、もう1つ聞いてもいいかい?」

綺礼「どうぞ」

時臣「なぜ討伐令を出す前に私に話す?もう璃正神父は…」

璃正が殺された今、綺礼が自らに協力するメリットがないことを心配しているようだ。

綺礼「父上からこれを託されました」

時臣「!?」

綺礼は自らの袖をまくって見せた。

そこには大量の令呪が輝いていた。

綺礼「預託令呪です。私はこれを父上の遺言ととらえました」

時臣「君も璃正神父と同じで私を支持してくれるのか」

綺礼「はい。ただし、やるならば他のマスターに怪しまれないようにこの令呪を貴方に譲渡する必要があります」

時臣「そのための討伐令か」

綺礼「まず時臣師にはキャスター陣営の潜伏先をお伝えします。師が到着したところで討伐令を発令させていただきます。」

時臣「私が『偶然』、キャスターの討伐を行う。その報酬として令呪の譲渡を行うわけか」

時臣は綺礼の作戦に納得したようだった。

綺礼「理解していただけましたか。ではそのように」

-セイバー陣営-
切嗣「キャスターの討伐令か」

アイリ「報酬は令呪ですって」

セイバー「どうしますか?」

切嗣「監督役が言峰綺礼になった。罠の可能性も否定できないからな今回は無視する」

-ランサー陣営-
ケイネス「報酬が令呪だと!?いくぞランサー」

ランサー「おすすめしない」

ケイネス「なに?臆病風にでもふかれたか!」

ランサー「拠点の作成が先だ、留守の間にまた戦力を削られるのは痛手になる」

ソラウ「ローマ!」

ケイネス「仕方あるまい…」

-ライダー陣営-
ウェイバー「…出たな」

グレン「おーい!ウェイバーちょっといいか!」

ウェイバー「?」

-バーサーカー陣営-
雁夜「令呪か…」

バーサーカー「また汚れてる」

臓硯「参加するか?」

バーサーカー「殺菌!」

雁夜「いや、バーサーカーに令呪は効かない。それよりは偵察に労力を回したい」

桜「ピカピカ…」

臓硯(…ほう)

バーサーカー「やはり一度焼き払った方がいいかもしれませんね」

雁夜「あとゾウケン、これにサインしろ」

バーサーカー「カリヤ、やるのですね?」

雁夜「ああ、明日俺は時臣に挑む」

-遠坂邸-
アーチャー「!?」

空き部屋にいたアーチャーがいきなり目を開く。

アーチャー「またあの時の夢か…」

アーチャーが見ていたのはかの宿敵カルナとの戦いの夢だった。

アーチャー「私は…間違ってなどいない」

アーチャーは自分自身に言い聞かせるようにつぶやいた。

時臣「アーチャー」

アーチャー「マスターですか」

時臣「具合が悪そうだが?」

アーチャーの様子を見た時臣が彼を心配する。

アーチャー「…いえ、少し悪い夢を見ただけです」

時臣「そうか、今夜にでもキャスターを討つ予定だが大丈夫そうか」

アーチャー「ええ、問題ありません。このアルジュナにお任せください」

そういってアーチャーは霊体化を行った。

時臣(サーヴァントが夢?アーチャーの冗談であるならいいが、もしかすると)

-言峰教会-
綺礼「さてと、これでお前の枷は増えるはずだ」

綺礼は教会で一人笑っている。

綺礼「アーチャー、お前の苦悩はどんな曲を奏でるのだろうな」

その時、通信礼装に反応があった。

綺礼「到着されましたか、時臣師。はい。はい。では、討伐令を発令いたします」

綺礼は全陣営へとキャスターの所業と討伐の報酬、居場所についての情報を伝える。

綺礼「ただいま討伐令を出しました。すこししてから討伐を開始してください。はい?アーチャーが夢を?キャスターの宝具かもしれないと。なるほど、そうかもしれませんね。ではお気をつけて」

時臣との通信が終了した。
あのアーチャーと彼であればキャスターが討たれるのも時間の問題であろう。

綺礼「それにしても…アーチャーが夢を見たとは」

夢とは本来、睡眠時に見るものである。しかしサーヴァントには睡眠などは必要なく、したとしてもそれは休息ではなく機能停止に過ぎない。

綺礼「時臣師は冗談か、宝具かもしれないとおっしゃっていたが…」

夢ないし幻覚を見せる宝具かもしれない。アーチャーの冗談かもしれない。
もしくは―

綺礼「聖杯のせいかもしれない」

対魔力を持ち、サーヴァントとしての格も高いアーチャーに通用するキャスタークラスの宝具。
そんな強い力を持つ英霊があんな悪趣味でできの悪いものを作るはずがない。
また、姿や真名が分かっているサーヴァント達にもそんなものを見せられるような逸話などはない。
ならば
―それらより高位の存在ならば?

綺礼「もしそうであるならば、悪趣味なことだ」

サーヴァントとして召喚された英霊にわざわざ悪夢を見せる。
そんなことをする理由は聖杯にはない。

綺礼「妄想も大概にしておくか。だが…」

綺礼「本当に聖杯がそのようなものであるのなら、求めるのも悪くはない」

―キャスター陣地―
龍之介「何だよこれェ!」

自らの拠点へと帰ってきた青年、龍之介は叫ぶ。

龍之介「これが人のやることかよぉ…」

キャスター「ええ!人のやることですねぇ!」

キャスターは嬉しそうに答える。

龍之介「うう…」

キャスター「壊れる瞬間も芸術ですし、気に病むことはありませんよ」

???「そうか、ではお前も芸術になるがいい」

声とともに光の矢が飛来する。

キャスター「おやおやおや、敵対ですか?ワタクシ平和主義なのですがねぇ?」

時臣「キャスターおよびそのマスターよ。神秘を秘匿するもの、そして冬木のセカンドオーナーとして君たちを討伐する」

キャスター「これはこれは、敵対ですか?生憎、ワタクシ好戦主義者でして…ヒヒッ」

優雅な雰囲気でアーチャーとそのマスターが現れる。

龍之介「おじさん何者?町長?」

ただならぬものを感じたのか龍之介は後ずさりをしながら問う。

時臣「…そうか。君は魔術師ではないようだな」

龍之介(やべぇ、うまく逃げないとやられる!)

龍之介「旦那ァ!にげ…え?」

撤退のためにキャスターの呪術をアテにしていた龍之介は驚愕する。

キャスター「ヒ…ヒ…死は終わりではない」

キャスターの体にはいくつかの穴が開いていた。

アーチャー「いや」

アーチャーは近付いていく。

キャスター「死は…」

彼は足を振り上げ…

アーチャー「お前の死は終わりだ」

無慈悲にも頭を踏み砕いた。

龍之介「マジかよ…」

時臣「君もだよ」

声に反応して時臣の方を向く。
――体はとっさに地面を蹴った。
彼を襲ったのは激しい炎の魔術だった。

龍之介「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!目が!目が!」

運よく水たまりの中に倒れ、服についた火は消える。
だが、強い炎により顔を焼かれた。

龍之介「ダメだ!嫌だ!これじゃあ綺麗なものが見れねぇよぉぉ!」

時臣「…」

時臣は何の感情も抱いていない顔で龍之介にとどめを刺した。

―下水道出口―
時臣とアーチャーが出てくる。

時臣「身構える必要もなかったな」

アーチャー「あの程度であれば大したことありません」

二人に疲弊もケガもないようだった。

???「遠坂時臣」

時臣「ん?」

突然かけられた声に振り向く。

雁夜「よぉ、ここで待っていれば会えると思っていた」

バーサーカー「…」

アーチャー「…チッ」

時臣「これはこれは間桐雁夜君、キャスター陣営との戦いを終えた我々を狙いに来たのかね?」

時臣が少し挑発気味に聞く。

時臣(とはいえアーチャーとバーサーカーをあまり会わせたくはなかったが…)

雁夜「今日は違う。あんたに決闘を申し込みに来た」

時臣「私がそれを受けるとでも?」

雁夜「受けるさ、お前に誇りがあるのなら」

雁夜は何かの紙を時臣に投げる。

時臣「…正気か?」

それはセルフギアススクロールだった。
ご丁寧に間桐家当主である間桐臓硯からのサインまで添えてある。

時臣「…確かに、家の誇りをかけた戦いであれば受けざるを得ない。しかし、自分のサーヴァントや協力者の介在を禁じても不利になるのは君だ」

雁夜「見下すな。そのくらいわかっている」

時臣「…いいだろう。遠坂家当主・遠坂時臣は、間桐家当主代理・間桐雁夜の挑戦を受けよう」

時臣は、書類にサインを行う。

雁夜「勝負は、明日の夜だ。場所は、また指定する。行くぞバーサーカー」

それだけ言って雁夜は去っていった。

時臣「…アーチャー」

アーチャー「何でしょうか?」

時臣「明日の夜、バーサーカーのマスターと決闘を行う。私と君に令呪のつながりがある限り、君は彼に手を出せない。そういう契約だ」

アーチャー「大丈夫なのですか?」

時臣「私があんな魔術師もどきに負けたりはしないよ」

時臣(それに、アーチャーの調子を乱さずにバーサーカーを葬れるのは大きいからな)

皆様お久しぶりです。>>1です。
まだ期待してくださる方がいるかは分かりませんが明日からまた更新していきたいと思います。

-間桐邸-
雁夜「…」

バーサーカー「どうかしましたか?今のあなたの健康上、夜更かしは推奨できません」

緊張した面持ちの雁夜にバーサーカーは問う。

雁夜「…いや何でもない。少し体のことが気になっただけだ」

バーサーカー「そのことでしたら問題ありません。ここ最近の投薬治療と食事療法、適度な睡眠によりコンディションは最高と言ってもいいでしょう」

雁夜「そっか、なら安心だな」

もう少し聞きたいことがあったりするが、それは胸の内に秘めておく。
ここ数日彼女と過ごしてどんな性格なのかは分かっているつもりだ。
このサーヴァントは自分の言葉に責任を持っている。
ならばそれに口など出さず信じようじゃないか。

雁夜「おやすみ、主治医様」

そういって雁夜は、寝床へと向かった。

バーサーカー「ふぅ」

雁夜が眠ったのを確認してバーサーカーは一冊のノートを開く。
日付が書かれ丁寧にまとめられたそれはカルテだった。
その日の患者の状態、使用した薬、今後の方針などが事細かにまとめられている。
そして、虫たちに効果のありそうな成分などについてもまとめられている。

臓硯「うちのかわいい虫達で実験をするとはのう」

いきなり背後に現れた臓硯に驚きもせず返事をする。

バーサーカー「患者の体内にいるものの特性についてはしっかりと把握しておくべきですから」

臓硯「ふん、それで何か対策でも?」

バーサーカー「秘密です」

臓硯「何?」

バーサーカー「医療に携わるものには守秘義務があります」

臓硯「そうかい。まったく虫たちも殺され損じゃのう」

またバーサーカーは一人になる。

fate/雁夜の決戦前夜

あふれ出る誰だこいつら感

-決闘日 間桐邸-
雁夜「バーサーカー!バーサーカー!」

夜になった雁夜は戦いに出かけようとバーサーカーを探す。
決闘場所の告知は昼間に済ませたし、遠坂時臣を倒すための秘策も用意してある。

バーサーカー「大声を出さなくても聞こえています」

雁夜「こっちの用意はできた。お前は?」

バーサーカー「構いません」

バーサーカーの返事を聞いた雁屋は玄関へと向かう。

桜「…おじさん」

靴を履く雁夜に桜が駆け寄る。

雁夜「桜ちゃん」

『今夜、俺は君のお父さんを倒す』
彼はたった一言だけ彼女に告げていた

桜「本当におと…遠坂さんを…」

途中までお父様という言葉が出かかる。
だが、幼い少女は自らの境遇を考え他人としての呼び方へと変える。

雁夜「そうだ」

決意

雁夜「俺は逃げていたんだ」

バーサーカー「…」

バーサーカーは静かに耳を傾ける。
正直に言って彼の精神状態は想像をはるかに超え快方に向かっている。
自らに目を向け醜い部分を認めた男の言葉にバーサーカーはそのゆがんだ心が完治したことを感じていた。

バーサーカー(あとは、体だけ。問題ありません。あの害虫たちの場所は分かっている)

雁夜「あの時は身を引いたつもりでただ逃げただけだった。そのせいで君たちを不幸にしてしまった」

桜「君"たち"?」

桜の疑問に雁夜は答えない。
彼女は彼の気持ちを知らないのだからその言葉が指す3人が分からない。

雁夜「だからけじめは俺がつけに行く。待ってて桜ちゃん。きっとまた君を笑わせてあげるから」

桜「…」

雁夜「大丈夫だよ。殺すわけじゃない、ただ俺は俺の責任を果たすだけだ」

雁夜は頭をなで、立ち上がる。

雁夜「バーサーカー」

バーサーカー「私も、少しだけ」

雁夜「分かった」

バーサーカー「桜」

桜「何?」

バーサーカー「お待たせしました。次はあなたです」

桜「つ…ぎ?」

バーサーカー「ええ、今度はあなたを治す番です」

バーサーカーの顔はとてもやさしいものだった。

桜「私、どこも悪くないよ?」

抱きしめて答える。

バーサーカー「心をです。大丈夫、必ず直して見せます。きっと貴女を笑顔にしてみせます」

桜「うん…」

久しぶりに感じるやさしさに少しだけ口元がほころぶ。

バーサーカー「そのまえに少しだけ強くなりましょう。自分を押し通せるくらい」

雁夜「自分を押し通せるくらいは言い過ぎじゃないか?バーサーカーみたいになりそうだな」

バーサーカー「戦場では一刻を争う事態が多い。少しくらいは強くいかなくては」

雁夜「彼女がこれから過ごすのは当たり前の家庭だ、戦場なんかじゃない。まあでも…」

桜「?」

雁夜「少しくらいはわがままになってもいいかな」

バーサーカー「残念ですがカリヤに同感です」

桜「…じゃあ、またバーサーカーと遊びに行きたい」

自分を押し殺してきた少女の小さなわがままだ。

バーサーカー「わかりました、また行きましょう」

そんな言葉に微笑みながらバーサーカーが桜の頭をなでる。

雁夜「それじゃあ…行ってきます」

桜「行ってらっしゃい…」

少女は「ただいま」の言葉を待っている。

臓硯「やっと鍛錬が再開できそうじゃな」

桜「…」

その言葉に桜は無言を押し通した。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年10月02日 (日) 22:00:34   ID: D5fNIq6t

ナイチンゲールさんの安定感やべえ

2 :  SS好きの774さん   2016年10月05日 (水) 23:50:31   ID: GXyaZRIq

ナイチンさんのキャラの立ち方は異常

3 :  SS好きの774さん   2017年02月02日 (木) 10:16:45   ID: SGj4-Fvs

時間掛かっても完結してくれればそれで……

4 :  SS好きの774さん   2017年02月23日 (木) 01:25:17   ID: er1HUJ1u

ちょこちょこ出てくる丹下の脳内再生余裕
あとソラウ笑

5 :  SS好きの774さん   2017年03月01日 (水) 02:12:06   ID: h0R8at3i

どんどん良くなってくるなー
ただアルジュナが出るとどうしても我英霊ぞ?ってな

6 :  SS好きの774さん   2017年03月02日 (木) 10:46:05   ID: PTVCo07T

この>>1多分アルジュナ持ってないぞ

7 :  SS好きの774さん   2017年03月11日 (土) 18:57:38   ID: 2gCoJPkT

他の作品よりも聖杯戦争らしいな。それにセイバーをアルトリアにするのは飽きるから、ベディヴィエールの活躍は新鮮なきもちで閲覧できる。

8 :  SS好きの774さん   2017年05月18日 (木) 11:02:30   ID: N1Gp5kK1

ライダー陣営が思いの外仲良くて和む。続きに期待

9 :  SS好きの774さん   2017年06月17日 (土) 00:59:38   ID: sVzppR4a

じりじり進んでてありがたい、続き待ってます

10 :  SS好きの774さん   2018年05月28日 (月) 06:40:06   ID: dHnRBXK2

続き頑張れ

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