貴音「紫鏡?」(73)

1/15 765プロ 

P「うー、寒……おはようございます」ガチャリ

真「おはようございます、プロデューサー」

響「プロデューサー! いいところに来てくれたぞ!」

P「ん、おはようみんな。どうした? 何かあったのか?」

美希「どうしたもこうしたもないの。ちょっと深刻なの」

P「?」

伊織「……あれ、見てちょうだい」


貴音「水色の鏡水色の鏡水色の鏡水色の鏡水色の鏡水色の鏡ミズイロノカガミ……」ブツブツ



P「なにあれこわい」

P「……どうしたんだ、貴音は? 月見過ぎてとうとうルナティックしちゃったのか?」

春香「いえ、その……原因は私たちにあるというか……」

千早「あくまで間接的な原因だと思うけど……」

亜美「正直やりすぎました!」

真美「でもわざとじゃないよ? 成り行きでああなっちゃっただけで」

雪歩「成り行きにしては二人ともノリノリだった気がするけど……」

P「……待て待て。全然話が見えてこない。わかるように説明してくれ」

あずさ「本人に直接訊いた方が早いんじゃないでしょうか?」

律子「それは無理だと思います……話ができる状態じゃないですから」

やよい「うー、貴音さんかわいそうです……」

真美「しょーがない! では代表して私たち姉妹が何も知らない兄ちゃんに昨日の出来事を教えてしんぜよう」

亜美「そう、あれは昨日の昼のミーティング後の出来事だったーー」

P「……おう」

ーーーーーー

律子「ーーまあ、連絡事項はこんなところね。それじゃ、お疲れ様」

亜美「さあおやつタイムだー!」

真美「ゆきぴょん、お茶を持って参れ!」

雪歩「はーい、ちょっと待っててね」

伊織「傍若無人にもほどがあるわ……雪歩も雪歩でちょっとは嫌がりなさいよ」

真「まあまあ、雪歩も好きでやってるんだし」バリバリ

伊織「あんたはあんたでお菓子に手を出すのが早すぎよ」

千早「春香、そこにある雑誌取ってもらっていいかしら」

春香「はい、どうぞ」

千早「ありがと」

バサリ

貴音「おや、一冊落ちましたよ」ヒョイ

春香「あ、ごめんなさい」

貴音「? これは……? ふぁっしょん誌でも音楽雑誌でもないようですが」

響「んー? なんだそれ?」ヒョコッ

貴音「何やら禍々しい表紙ですね……」

千早「私のじゃないみたいですけど……」

あずさ「あらあら、オカルト雑誌かしら? 千早ちゃん、コアな趣味を持ってるのね~」

千早「だ、だから私のじゃありません」

やよい「おかると、ってなんですかぁ?」

真美「んっふっふー、やよいっちにはまだ早いジャンルかな?」

亜美「大人のタシナミってやつだよ」

やよい「ええー……二人より年上なのに……」

亜美真美(ホントは真美たちにもよくわかんないけど)

律子「オカルトっていうのはいわゆる超常現象のことね。非科学的なことを大真面目に調査するのがオカルト研究」

美希「どんとこい超常現象!なの」

伊織「UFOとかUMAとかミステリーサークルとか七不思議とか都市伝説とか……ま、ハマる人はハマるのよ。こういうの」

やよい貴音亜美真美「ほへぇ……」カンシン

雪歩(目をパチクリさせる四条さんかわいい)

貴音「都市伝説……もしや『財宝か、欲しけりゃくれてやる』のようなアレですか!」

春香「何か違う気がします」

真「怖い話、って言った方がわかりやすいんじゃないかな? トイレの花子さんみたいな」

真美「あ、怖い話なら真美も一個知ってるよー」

響「そ、そういうのは夏にやらない? 余計に寒くなりそう……」

亜美「大丈夫大丈夫。冬だってこたつに入りながらアイス食べたりするじゃん?」

真美「あのね、『紫鏡』っていうんだけど……」

千早「ああ、割と有名どころね」

伊織「どんな凄いのが来るかと想えば……」

真美「ぶー、みんな知ってるのかぁ」

やよい「むらさきかがみ? どういうお話なんですか?」

真「お話というか、根も葉もない噂というか……『紫鏡』っていう言葉を20歳になるまで覚えてると、その人に不幸な出来事が訪れるんだって」

やよい「お、覚えてるだけでですか!?」

伊織「一般的には『死ぬ』っていう噂ね。『結婚できなくなる』っていうのもあるみたいだけど」

あずさ「」ピクッ

あずさ(あ、私20歳過ぎてた……)ホッ

真美「ただ死んじゃうだけじゃないよ! 全身に鏡の破片が刺さって死んじゃうんだよ!」

春香「そ、そんなえげつないカンジだったっけ?」

律子「まあ、都市伝説に面白おかしいアレンジは付き物よね」

雪歩「面白おかしい……?」

やよい「ど、どうしましょう! 20歳までにがんばって忘れないと」

美希「やよいはまだ5年くらいあるから大丈夫じゃないかなー? 美希なんか明日には忘れてる自信があるの…………!?」

千早「? どうしたの、美希?」

美希「貴音が……」

貴音「」チーン

響「た、貴音! どうしたんだ!? なんで白目むいて気絶してるんだ!?」

伊織「……ねえ、来週貴音の誕生日よね」

亜美「あっ」

伊織「貴音って、今年いくつになるんだっけ?」

真美「あっ」

伊織「ええ……あんたたちわかっててやってるんじゃなかったの?」

一同「…………」

あずさ(結婚……かぁ)

ーーーーーー

P「俺が休みの日に限ってまたおかしなことになったもんだな……」

律子「ごめんなさいプロデューサー。私じゃどうにもできなくて……」

響「で、昨日は目覚ました後フラフラしたまま帰っちゃって……今朝またフラフラしながら事務所に来たんだ」

雪歩「一応真美ちゃんが呪いの解き方を教えたらしいんですけど……」

P「それが『水色の鏡』か?」

美希「教えたら教えたで今度は壊れかけのラジオみたいになっちゃったの」

P「……ちょっと貴音と話してくるよ」

やよい「ぷ、プロデューサー、ファイトです!」

P「おはよう、貴音」

貴音「おはよう……ございます……」

一同(返事した!)

P(目が死んでる……)

P「大丈夫か? 昨日あんまり寝れなかったのか?」

貴音「ええ、まあ……快眠だったとは言い難いですね……」

P「お腹空いてないか? お昼にラーメンでも食べに行くか?」

貴音「いえ、お誘いは嬉しいのですが……今、あまり食欲が無いのです……」

P「なん……だと……」

P(これはマズい)

あずさ「どうでした?」

P「予想以上に酷い状態でした」

真美「兄ちゃんゴメンよー……まさかお姫ちんがあそこまで信じ込んじゃうとは……」

春香「貴音さん、変に純粋だからなぁ……」

真「でも挨拶返してくれただけ進歩ですよ!」

P(そこまでか……さて、どうしたものか)

貴音「あなた様……」ヌッ

P「うおわっ! け、気配を消してくるんじゃない貴音!」

貴音「申し訳ありません……そんなつもりはなかったのですが……」

貴音「そろそろ取材の時間ですので、行って参ります……」

P「だ、大丈夫なのか? せめて俺が送って行くぞ?」

貴音「いえ……仕事となればめりはりはしっかりとつけなければ。皆に迷惑をかけるわけにもいきません……では」

P「あ、おい、貴音……」

ガチャリ バタン

一同「……………」

律子「とりあえず、仕事しましょうか」

P「……冷静だな」

ーーーーーー

響「はいさーい、貴音。今日は元気か?」

貴音「響……ええ、大丈夫です」

響(全然大丈夫そうに見えないぞ……)

響「自分お手洗いに行くけど、貴音も行かない? 顔洗えばちょっとすっきりするかもしれないし」

貴音「いえ、手洗いはちょっと……」

響「?」

貴音「鏡があるので……」

響(と、トイレどうしてるんだ? 貴音……)

ーーーーー

春香「あ、今日のワイドショー洋菓子屋さん特集だ」ポチポチ

やよい「すごいですねー。こんなお菓子作ってみたいなぁ」

貴音「ふふっ……ですが、春香のお菓子ややよいの料理の腕は、本職の方にも負けないものだと私は思いますよ?」

やよい「えへへー♪ ありがとうございます!」

春香(あれ? 貴音さん、思ったより元気そう……良かった)

春香「あ、紫芋のタルトだって。美味しそー」

貴音「紫芋……? 紫……? 紫鏡……」ガタガタ

やよい「チャンネル変えましょう! チャンネル!」ポチポチ

春香「」

ーーーーーー

貴音「亜美、真美。それは学校の宿題ですか?」

亜美「そだよー。国語の宿題」

真美「源氏物語っていうのやってるんだけどさー。全然わかんないよ」

貴音「源氏物語……? 紫式部……? 紫……? 紫かがm」ガタガタ

亜美「し、宿題は家でやろう、真美!」

真美「そそそそうだね!」

ーーーーー

小鳥「お正月の鏡餅の残り、捨てちゃった方がいいかしら」

貴音「鏡餅……? 鏡……? 紫かが」ガタガタ



D「どうも、四条さん。番組ディレクターの加賀美と言います」

貴音「加賀美殿……? 鏡……? 紫かg」ガタガタ




あずさ「おはようございます」

貴音「あずさ……あずさのイメージカラーは紫……? 紫k」ガタガタ

1/19

P「ーーって感じで……」

律子「最後の方はわざとやってませんか?」

あずさ「うーん……困りましたね」

律子「……まあそんなに深刻に考えなくても、誕生日が来るまでの辛抱なんじゃないですか? 誕生日に何事も起こらなければ貴音だって安心しますよ」

P「いや、あの怯え方は異常だ。このままだと21日の0時ピッタリにショック死しかねん」

律子「いやいや……」

P「しかし、明後日までに貴音が紫鏡を忘れることも不可能だろう。そこでだ。俺に考えがある」

あずさ「考え?」

P「それには協力者がいるんですが……律子、あずささん、小鳥さんの三人に頼みたい。というか、他のみんなには頼めません」

小鳥「!? 今まで傍観者に徹していた私に急に指名が!?」

律子「何が傍観者ですか……小鳥さんが事の発端みたいなものなんですからね」

あずさ「どういうことですか?」

律子「あの雑誌、小鳥さんのだったんですよ」

P「…………」

小鳥「そ、それは置いといて! 私は何をすればいいんでしょうか?」

P「その前に、三人の中で21日が休みなのは誰ですか?」

律子「小鳥さんと私は普通に仕事だったような……夜は貴音の誕生パーティやるから空けてありますけど」

あずさ「私は休みだったかしら」

P「うーん、だったら協力はあずささんだけにお願いします」

小鳥「あれー……せっかく出番かと思ったのに……」

あずさ「何をするつもりですか?」

P「……ちょっと法に触れることを」

律子あずさ小鳥「!?」

P「もちろん貴音も合意の上で」

律子「ちょちょちょちょっと! 何する気ですか!?」

小鳥「ま、まさか……あずささんと三人で……」ドキドキ

P「貴音を救うためです。どうかこのことは内密にお願いします」

1/20 

貴音「…………」ズーン

あずさ「見てて痛々しいくらい落ち込んじゃってますね……」

P「そりゃ今日の夜死ぬと思ってるわけですからね」

響「……プロデューサー、あずさ、ホントに任せて大丈夫なのか?」

P「ああ。明日の誕生会までには元気にしてみせるさ」

あずさ「うふふ、なんくるないさー♪」

響「……うん、頼んだぞ。じゃあまた明日!」

ガチャリ バタン

これは1年後の話なの?

P「さて、じゃあ準備を……」

貴音「あなた様……」

P「おわっ! だから音もなく背後に立つのはやめてくれ貴音……」

貴音「私、今日はこれにて帰宅いたします……」

貴音「もしかしたら、これが最期に交わす言葉になるやもしれません。今までお世話になりました……皆にもそう伝えてください」

P「ま、待て待て貴音。提案があるんだが、今日は事務所に泊まっていかないか?」

貴音「事務所に……?」

P「もちろん貴音だけじゃなくて、俺とあずささんと一緒に」

>>42
適当に脳内保管しといてくれ

貴音「ですが、どうして……?」

P「大体の話は聞いてるよ。今夜一人きりになるのは怖いだろ?」

貴音「う、うぅ……確かに、情けないことですが……」

あずさ「私たちがついてるから大丈夫よ? ね?」

貴音「で、では、お言葉に甘えて……」

P「それだけじゃなくてだな。今日はこれで楽しもうじゃないか」ゴトッ

貴音「そ、それは…………」

貴音「……お酒?」

P「ああ、そうだ」

P(嫌なことを忘れたいときにはこの手に限る。とりあえず日付の境目を超えればいいわけだからな)

あずさ「うふふ♪ 私、貴音ちゃんと一緒に飲む日を心待ちにしてたのよ?」

貴音「ですが、後4時間ほどまだ私は未成年です……」

P「もちろん無理にとは言わないさ。ギリギリとはいえ犯罪だからな」

貴音「…………いえ、ここはご相判に預かることにしましょう。最期の晩餐には相応しいかもしれません」

P(何気に楽しみなんだよなぁ……貴音、酔ったらどうなるんだろう)

ーーーーーー

貴音「あなたさまぁ……わたくしは……しあわせものでしたぁ……」エグエグ

P(あー、泣き上戸だったか……)

あずさ「うーん、精神的に参ってるからこうなったのかもしれません」ヒソヒソ

P「というか、貴音まだ缶2本目ですよね? すでにベロンベロンじゃないですか」ヒソヒソ

貴音「な、なぜふたりで内緒話を……わたくしはなかまはずれなのですか……」ジワッ

あずさ「ち、違うのよ、貴音ちゃん! 泣かないで?」

P(幼児退行してる……)

ーーーーー

貴音「響……それは私の……ちんすこうです……」ムニャムニャ

P「よし、このまま0時過ぎまで寝ててくれればミッションコンプリートだ」

あずさ「今11時40分ですから、タイミングはバッチリですね」

P「はぁ……子供を寝かしつける親の苦労を知りました」グビッ

あずさ「そこは妹を寝かしつける兄、でよかったんじゃないでしょうか」クスクス

P「あはは。確かに、娘は無理がありますね」

貴音「すぅ……すぅ……」

P「全く、手の掛かる妹です」

P「しっかり者に見えるのに、恐がりで子供っぽくて、世間知らずで。その癖響たちの前ではお姉さんしようとして……」

あずさ「そこが貴音ちゃんの可愛いところですよ~」

P「ギャップに惹かれる、ってやつですか?」

カチッ

あずさ「日付、変わりましたね」

P「……貴音、20歳の誕生日おめでとう」

あずさ「おめでとう、貴音ちゃん」

貴音「…………」

P「……? 貴音?」

あずさ「? どうしたんですか? 寝てるなら寝かしといてあげたほうが……」

P「ち、違うんです。さっきから寝息が聞こえなくて……」

P「! 息、してない……!」

あずさ「そ、そんな! なんで!?」

P「貴音! 起きてくれ貴音!」

あずさ「貴音ちゃん!」

P「呪いなんてあるわけないんだ! あんなの冗談で迷信なんだ! だから、起きて嘘だと言ってくれ貴音!」


貴音「……ええ、嘘です」

Pあずさ「」

貴音「ふふふ、驚きましたか? 本当なら、この手のどっきりは亜美と真美に仕掛けたかったのですが……いたたたた」

P「」グリグリ

貴音「あ、あなた様! おやめください! こ、こめかみが爆発しそうに痛いです!」

貴音「あずさ! お助けください! ぷろでゅーさーを止めて……」

あずさ「あらあら、もうちょっとそうしといてもらった方がいいと思うわ」

貴音「」

あずさ「すっかり酔いが覚めちゃったわ」

P「勘弁してくれ、寿命が縮んだぞ……」

貴音「反省しております」

あずさ「今まで怖がってたのも全部演技だったの?」

貴音「いえ……恥ずかしながら違います」

貴音「つい先ほどまで、私は本当に死ぬ覚悟をしておりました」

P「その割に余裕だったじゃないか」

貴音「二人のおかげです」

貴音「夢現に二人の声を聞いているうちに、妙な安心感を覚えたのです。私には二人がついているから大丈夫なのだと……」

貴音「本当に今更ですね、ふふっ……」

あずさ「貴音ちゃん……」

P「貴音……」

貴音「あなた様……」

P「なんか良い話にしようとしてるが、さっきのことは当分許さないからな」

貴音「……根に持つタイプなのですね、あなた様……」

1/21

一同「誕生日おめでとー!」

貴音「ふふっ、ありがとうございます」


春香「これで貴音さんも二十歳かー」

真「去年もそうだったけど貴音の誕生日は料理の量がハンパないね……」

真美「お姫ちん、あのときはごめんよー! あんなに怖がらせるつもりはなかったんだよ」

貴音「気に病むことはありません。興味本位で首を突っ込んだ私が悪いのですから。好奇心猫をも殺す、とはよく言ったものです」

伊織「殺すも何も……たかが都市伝説ごときでよくもまああんだけ大騒ぎできたものね」

P「まあ、これに懲りたら怖い話は夏だけにしておくんだな」

貴音「夏なら良いのですか?」

あずさ「貴音ちゃんにはしない方がいいかもしれないわね」

貴音「……そうですか」

P「なんで残念そうなんだお前は」

貴音「いえ、実は私……サッちゃんという都市伝説に興味が……」

P「やめろぉ!」



終われよ

終わったんで解散していただいて結構です
コミケ三日目に備えてよーく寝とけよ寝とけよー(ゲス顔)

ホントは貴音の誕生日に書きたかったけどヒャァ!もうがまんできねぇ!的な感じで早漏

サッちゃんてなにん

>>69
聞いたら多分今夜布団から手足を出せなくなると思う

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