アニ 「寒い」ベルトルト「寒い(23)
アニ「寒い」ブルブル
アニ「ここ最近の寒さはなんなの」
ベルトルト「確かに寒いね…」ブルッ
アニ「コート着こんで、手袋して、さらに耳当てまでしてるのに、まだ寒いよ…」
アニ「指先の感覚無くなりそう…」
ベルトルト「歯の根が合わない、なんて言うけど、ホントにそうだね」ガチガチ
アニ「ガチガチ言い過ぎ」
ベルトルト「だって寒い…」ガチガチ
アニ「ライナー…」
ベルトルト「うん…」
アニ「まだ来ないの?遅すぎる」ブルッ
ベルトルト「…大方コニーやエレンと話し込んじゃってるんじゃないかな…」
アニ「忘れてんじゃないの?あいつが話し合いの日時指定したのに…」
ベルトルト「忘れてはないと思うよ」ガタガタ
アニ「ホントに?」
ベルトルト「たぶん…」
アニ「あと10分待って来なかったら二人だけで話そうよ。こっちはそう重要な話はないし、ライナーはあんたに言付ければいいしさ」
アニ「そして来なかったら、私の代わりに蹴っといて。こんな極寒の中で待たせた罰ってことで」
ベルトルト「はは、そうするよ」
アニ「それにしても寒い」
ベルトルト「…あんまり寒い寒い言ってると余計寒くなんないかな」ブルッ
アニ「そう?変わらないでしょ」
ベルトルト「うーん、例えば痛い痛い言ってたら余計痛くなんない?」
アニ「とっさに想像できない」サムイサムイ
ベルトルト「あ…ごめん」
アニ「でも、大怪我した人とかが絶叫してたら、こっちも痛くなるってことはある。男の人だったら特に」
ベルトルト「ああ、わかるかも…」
アニ「…」
ベルトルト「…」
アニ「やっぱ寒い!他の話したら気が紛れるかと思ったけど!」バタバタ
ベルトルト「アニ、落ち着いて…何で跳ねてるの?」
アニ「寒さが紛れるかと」ピョンピョン
ベルトルト(…かわいい)
アニ「あんたもしたら?」ピョンピョン
ベルトルト「僕?」
アニ「そ、他に誰がいんの」ピョンピョン
ベルトルト「いや、僕みたいなのが跳び跳ねてたら変でしょ…小屋の床ぶち抜きそうだし…」
アニ「あ、そう」ピョンピョン
アニ「」ピタッ
アニ「疲れた…」
ベルトルト「跳ねてたら温もった?」
アニ「ほんのりと。でも疲れた」
ベルトルト「そっか…」
アニ「格闘訓練」
ベルトルト「え?」
アニ「あれ冬にするには凄くいい運動になるの。エレンあしらってたら、そのうち段々暖かくなってくるし」
アニ「ライナー投げ飛ばすのもいい運動になるね。ストレス発散も兼ねれるしさ」
ベルトルト(ストレス発散…)*
アニ「兵站訓練もまあまあだけど…」
ベルトルト「…ああ、立体機動と馬術ね…」
アニ「そう、それ。あれさ、ホントに寒い」
ベルトルト「寒気がもろにぶち当たって来るからね。マント着てても巻くれあがってあんま意味ないし」
アニ「冷たくて手が死ぬよ。何で手袋用意してくれないんだろ。トリガーも手綱も上手く動かせやしない」
アニ 「おまけに手がひび割れてくるし。…修復されるけど」
ベルトルト「女子ってそういうの大変そうだね」
アニ「全くだよ」
ベルトルト「確かに、立体機動でトリガーがスムーズに動かせないのは怖いね。こないだもうまく操作できなくて、木にぶつかりそうになったし」
アニ「え?大丈夫だったの?」
ベルトルト「だ…大丈夫だよ!ぶつかりそうになったってだけだし…それに怪我したら噂になってるでしょ」
アニ「ならいいけど…気を付けなよ。大怪我できないんだから」
ベルトルト「うん、アニも…」
アニ「あんたさ、鼻赤くなってるよ」
ベルトルト「へ、そう?」
アニ「うん」
ベルトルト「あ、アニも赤くなってる」
アニ「そう?」
ベルトルト「うん」
アニ「私はともかく、あんた風邪引きやすいんだから」
アニ「ちゃんと腹巻きとかして寝なよ」
ベルトルト「腹巻き…最近キツくなったんだよね…」
アニ「…腹が出てきたってこと?」
ベルトルト「ち、違うよ!中年のオジサンじゃないんだから!」
アニ「ごめん、からかっただけだって」
ベルトルト「もう、ひどいよ」
アニ「悪かったってば。成長期だからでしょ、羨ましい…」*
ベルトルト「…アニも大きくなりたいの?」
アニ「そうだけど…それ間接的に私のことチビって言ってるよね?」
ベルトルト「いや、そういう意味で言ったんじゃなくて…!」
アニ「いいよ、別に…小柄なのは自覚してる」
ベルトルト「ごめん…」
ベルトルト「その…小柄なのは悪いことじゃないと思うよ」
アニ 「そう?あんた、でかいからそう思うだけでしょ。色々不便だし、ライナーみたいなのがからかってくるし」
ベルトルト「ライナーはアレだから置いといて…その、小柄な女性が好き、って男性もいると思うよ」
アニ 「…そりゃどうも」
ベルトルト「…うん」
ベルトルト「でも…」
アニ「何?」
ベルトルト「アニは別だね」
アニ「は?」
ベルトルト「いや、だって小さいけど中身は大きいしさ」
アニ「…何が言いたいの?」
ベルトルト「…ごめん」
アニ「ハァ…良いよ。一人だけにわかって貰えれば」
ベルトルト「アニ…」
アニ「…エレンってさ、変な奴だよね」
ベルトルト「エレン?」
アニ「私達はいずれ壁を壊す…だから此処にいる奴らに情なんて持っちゃいけないんだ」
ベルトルト「…」
アニ「だから無愛想にしてるのにさ…そんなのお構い無しにグイグイ来てさ」クスッ
ベルトルト「…」
アニ「この間なんて、どうして私に構うの?って聞いたらさ…きょとんとした顔で言うんだよ」
アニ「何言ってんだ?人と話すのに理由なんて必要ないだろ?ってさ…」
アニ「…アニの足技はすげぇよ。って笑うんだよ」
ベルトルト「…」
ベルトルト「…アニはさ」
アニ「…何?」
ベルトルト「エレンが…好きなの?」
アニ「ー…ベルトルト」
ベルトルト「…」
アニ「何言ってるの?私達は戦士だよ」
ベルトルト「…うん、そうだね」
アニ「任務に感情なんて必要ないよ」
ベルトルト「でもさ、好き…なんでしょ?」
アニ「…馬鹿言ってんじゃないよ」カァ…
ベルトルト「…僕はさ、誰かを好きになっても良いと思うんだ」
アニ「良い訳ないだろ?それにいずれ…」
アニ「いず…れ…」
ベルトルト「うん、いずれ…死んでしまうよね」
アニ(殺す…とは言わないだね。ベルトルト)
ベルトルト「いずれ皆無くなっちゃうんだよ…」
ベルトルト「それだったらさ、短い時間を大切にするのも有りなんじゃないかな?」
アニ「…そんなの、辛くなるだけじゃないか」
ベルトルト「そうだね、きっと辛いなぁ…でもさ、そんなの…一緒だと思うんだ」
ベルトルト「僕もライナーの後ろにいてなるべく関わらないようにしてもさ…無駄なんだよ」ポロ…
ベルトルト「あの場にいたら、ライナーだけじゃない。僕も兵士になってしまう…」
ベルトルト「本当は…僕も、皆を仲間だって…思いたいって…考えてしまうんだ」ポロポロ…
アニ「ベルトルト…泣いて…?」
ベルトルト「…」グイッ
ベルトルト「泣いてない。少し目にゴミが入っただけだよ」
アニ「…そうだね」
ベルトルト「…一緒なんだよ…本当は皆と仲良くなりたいんだ…」
ベルトルト「僕らだって、普通に…暮らしたいよ」
アニ「…そうだね」
ベルトルト「どうせ少しの間だけなんだから…好きにやっても良いじゃないか…」グスッ
アニ「…うん、わかったよ」
アニ「私エレンの所へ行って来るよ」タッ
ベルトルト「…うん、行ってらっしゃい」
アニ「ベルトルト!」
ベルトルト「何?」
アニ「後押ししてくれてありがとうね」
ベルトルト「うん、頑張って。アニ」
アニ「行って来ます」タッタッタッ
ベルトルト「」
ベルトルト「そうだよ、どうせ…」
ベルトルト「僕らは人殺しなんだから」
ベルトルト「幸せになんて…なれないんだよ」ポロポロ…
ベルトルト「寒いなぁ…」ポロポロ
───end
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