男「・・・えっと」女「・・・は・・・はい」 (16)






勿体無い



本当に勿体無い


これはそんな御話し




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大学、と云うのは人間の資質が試される場所である


大学とは無限の可能性を内包した場所であり、己が才を発露するには最適な場所である

つまり、大学で遊ぶ人間はその才能に優れているからこそ遊ぶのであり、大学で学ぶ人間は学ぶ才能に優れているからこそ学ぶのである



だからこそ、私が彼女とであったのは才能の結果か――或いは




私はしがない大学の理系学生だ

親の願いに反してとある学部に入った

大学では漫研と政治・経済研究会に入りながら、学識を得ようと足掻いている

どこにでもいる唯の大学生

優秀ではなく寧ろ馬鹿

真面目ではなく寧ろ不真面目

学問は好きだが学びたい物しか学ばない

愚かな木偶の坊





友「男、元気かー?」

男「ああ、元気だが?どうした?」

ある昼下がりに友が声をかける

同学部の友人であり、良く酒を飲みに行く仲だ

友「お前さー、外国に興味があるよな?」

男「ああ、其れがどうした?」

友「お前さー、うちの学部に留学生が居るの知ってる?」

男「へぇ、初耳だな」




友「ほら、あの女さん。あの人○○の出身だぜ」

男「へぇ、○○かぁ」

○○国――日本から近い南の国

成る程、確かにあの国ならば今日本への留学生が増えているからおかしくはない

名前が片仮名だから珍しく思っていたが、まさか留学生とは

友「お前世界とか好きだからさ、教えたら面白いかなぁって思ったんよ」

男「中々興味深い事を教えてくれてありがとう」


○○国か――ふむ



本屋

大学帰りに本屋に寄る

○○国――その留学生と話すのそうとしてるのだ

最低限、相手国への敬意を表さなくてはいけない

男「○○の歴史、6000円かぁ」

私は○○国の歴史の本、文化の本を買う


私の癖だ

或る国の人と話すとき、その国の歴史と文化は必ず調べる



これは単に、私の黒い友人のお陰だろう





私には高校時代、黒人の友人が居た


仮に彼の名前を黒とする

黒はアフリカの□□からの留学生だった

高校時代を好きな日本で過ごすために彼は一心不乱に学んだらしい

黒「お前が男か」

初対面の時は今でも覚えている

黒は私の友達と同じ高校だった

で、私の友達が彼に私を紹介したのだ

男「ああ、君は黒だね?」

黒「あぁ、□□から来た黒だ」

男「君の苗字は名前みたいだね」

黒「あはは、違う違う。俺の国では親父の名前が苗字だ」

男「ほう」

黒「例えば、太郎の息子が野助なら、そいつの名前、野助太郎になる」

男「ふぅを、己が名前を頭にするのか」

黒「そうだ」




黒は妙に日本に詳しかった

黒「男男ー、徳川家康の公家制御政策に関してどう思う?」

黒「男男ー、足利幕府の支配体制の構造的欠陥について意見を」


なんてしょっちゅう聞かれた




何故そんなに日本に詳しいのか

ある日私は黒に聞いてみた

黒はとても不思議そうな顔で答えたのだった


黒「当たり前だろう、男。その国の人と関わるなら、その国の文化習俗、言語を学ばなくてはいけないだろう」

黒「訪れる国に敬意をもって、その国の文化を愛してこそ、初めてその国の人と交われる」


黒は確かに当たり前の事を言った

その正しすぎる当たり前は、私の頭に鈍器の一撃のような衝撃を与えた





私は己を恥じた



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