智花「ご、ごめんなさい」桜木「ぬ」(121)

智花「わ、私遅刻しそうでよそ見をしていてぶつかってしまって!」

桜木「(何だこの小っこいのは)」

智花「あのっあのっ(うー・・・絶対怒ってるよ)」

桜木「(なぜ俺は謝られているのだ。ぶつかったのか?)」

智花「あ、あの、お怪我は?(髪が赤い。怖いよー昴さん・・・)」

桜木「いや、いい。じゃあ・・・」

昴「そこのお前!智花に何してる!」

桜木「ぬ(今度は何だ)」

昴「その子に何しているんだと聞いているんだ!」

智花「昴さん!」

昴「その子は俺の・・・うっ!」

桜木「・・・」

昴「(で、デカイ!それに髪が・・・!)」

昴「・・・」

昴「そ、その子が何か迷惑をかけましたか?」

智花「昴さん・・・」

桜木「(何なんだこいつらは)」

桜木「・・・」

昴「あのー」

智花「ち、違うんです昴さん!私がこの方にぶつかってしまってそれでそれで」

昴「そ、そうなのか。じゃあ、謝って早く練習に行くぞ智花!」

智花「は、はい」

智花「あの、本当にすいませんでした」

昴「よし、謝ったことだし行くか智花」

桜木「(何か知らんが行くのか。じゃあ俺も・・・)」

桜木「ぬ」

桜木「(あいつの手に持っているものは・・・)」

昴「(朝から冷や汗をかいた・・・)」

智花「す、昴さん大丈夫ですか?すいません私のために・・・」

昴「へ?い、いいんだよあれくらい。また変なのに絡まれたらすぐに助けるよ。約束する」

智花「昴さん・・・!」

桜木「おい」

昴「は、はい!この子がまだ何か粗相をしていましたか!?智花謝って!」

智花「昴さん・・・」

桜木「それ、お前の持っているものはバスケットボールか?」

智花「え?」

桜木「そのお前の持っているのはバスケットボールなのかと聞いている」

智花「は、はいそうです」

桜木「・・・」

昴「智花、まだ何かやっていたのか?」コソコソ

智花「い、いえ。ぶつかってしまったこと以外はなにも・・・」コソコソ

桜木「(こんな小っこいのもバスケをするのか)」

桜木「おい」

昴「はい!智花呼ばれているぞ」

桜木「そっちの小っこいのじゃない。お前だお前だ」

桜木「お前もバスケをやるのか?」

昴「え?」

桜木「バスケだバスケ。やるのか?」

昴「(なんだこいつは・・・ここでやると言ったら変なことになりそうだからここは)」

昴「俺は・・・いや僕は」

智花「昴さんはすごいバスケットボールプレイヤーなんですよ!」

昴「智花!?」

桜木「ほう」

昴「いや、やると言ってもたまに趣味で」

智花「昴さんは中学生の時に県の大会で準優勝なされたチームのキャプテンだったんですよ!」

昴「智花!?」

桜木「おい、お前」

昴「智花呼ばれているぞ」

智花「昴さんですよ」

桜木「俺は今日は部活が休みだ」

昴「はぁ」

桜木「俺の自主練に付き合え」

昴「・・・」

桜木「俺はあるやつに追いつく、いや追い越すために上手くならねばならんのだ」

昴「いや、僕はこの子たちのバスケットチームの監督を務めていまして」

昴「今日も練習を見るためにこの子たちの学校に行く予定だったんですよ」

桜木「ぬ、そうなのか。ならばいつなら大丈夫なんだ?」

昴「ええと1カ月後、いや1年後・・・3年後くらいなら」

智花「いいじゃないですか昴さん!この人と1on1やってみてください!」

昴「智花!?」

智花「私、昴さんとこの方の勝負見てみたいです」

桜木「いいのか?」

智花「はい。昴さんもいつも見学するのも練習の内だって仰ってくれていました」

昴「そ、それは時と場合があって・・いや、そんなこと言った?」

桜木「ついて行ってもいいのか?」

智花「はい、もちろんです。思ったより優しそうな人で良かったです・・・あ、あのお名前は」

桜木「桜木。桜木花道だ」

智花「花道さん。じゃあ・・・あ、でもうちの学校は部外者は立ち入り禁止で・・・」

昴「そ、そうだよ智花!部外者を入れたらいけないだろう!まして男子高校生を女子校に入れるなんて!下手をしたら警察沙汰になる!」

智花「そうですよね・・・花道さんにご迷惑をおかけするわけにはいきませんし・・・」

桜木「・・・」

昴「そうだな!いやぁ残念だ。俺もこんなすごそうな選手と試合をしてみたかったよ残念だ」

昴「しかし、肝心のバスケができる場所がないからなー」

智花「はい。残念です」

桜木「ぬ」

昴「さぁ、今度こそ行くぞ。完璧に遅刻だ。真帆たちも待っているだろうし」

昴「そ、それじゃあ僕たちは行きますんで、僕の智香が迷惑をかけてすいま」

桜木「場所があればいいのか?」

昴「え?」

桜木「それならうちの高校に来ればいい」

智花「よろしいんですか?」

花道「ああ湘北高校だ。知っているか?休みといってもどうせ何人かは来ているかもしれんが、この俺が邪魔はさせん」

花道「エースなんでな」

智花「うわー、花道さんエースなんですって!昴さんと一緒ですね。すごいですね昴さん」

昴「え、智花だけ行くのか?智花なら高校生ともきっと渡り合えるさ。じゃあ俺は4人の練習に・・・」

智花「私、みんなも連れてきますから花道さんと先に向かっていてください!」

昴「はは・・・」

花道「(あの小っこいのもついて来るつもりなのか・・・)」

赤木「遅いぞ桜木!」ゴッ

花道「・・・ぐっ、今日はもともと休みのはずだろゴリ」

赤木「貴様のようなやつは休みなど全て返上して練習につぎ込め。もちろん学業も疎かにせんでな」

花道「この天才に向かって・・・」

小暮「おはよう桜木」

花道「おお、メガネ君。今日も練習に励んでいるかね」

小暮「ははは、赤木はあんなこと言っているけど内心はお前に期待しているんだよ。わかるだろ?」

赤木「余計なことを言うな」

花道「ふん、普段は威張りまくっているゴリも、いざとなるとこの天才に頼らざるを得まいからな。はっはっはっ!ぬぐっ・・・!」

赤木「調子に乗るな」

赤木「ところで・・・」

昴「・・・」

赤木「そっちの彼は誰だ」

昴「(帰りたい・・・)」

花道「ふっふっふっ、気づいたかゴリよ」

花道「何を隠そうこいつもこの天才、桜木花道と同じく『天才』『エース』と噂されている・・・」

花道「おい、お前。名前は何て言うんだ」

昴「・・・」ブツブツ

花道「おい、お前の名はなんと言うんだ?」

昴「へ?ああ、長谷川昴です」

花道「そう、昴君だ!今日は天才同士俺の練習に付き合ってくれることになったのだ。構わんだろうゴリ?」

赤木「馬鹿か貴様は。部外者を勝手に立ちいれるなど許されるはずがないだろうが」ゴッ

花道「ぐっ・・・!」

小暮「まぁまぁ、赤木。今日は夏休みで他の部活も連中試合なんかで他校の生徒を連れてきている」

小暮「今日くらいは多めに見てやってもいいんじゃないか?」

赤木「小暮・・・お前まで」

花道「おお!さすがはメガネ君!話がわかるな。ゴリもメガネ君を見習って考え方を柔軟にだなぐっ!」

赤木「だから調子に乗るなといっている」

小暮「ははは、内緒だぞ桜木」

小暮「(それに俺の記憶が正しければ彼は・・・)」

昴「(帰りたい・・・)」

赤木「大体だな、貴様はいつも・・・」

智花「みんなここよ」

真帆「うはぁ、でっけー!!」

紗季「ほんとね。ほとんどの選手が長谷川さんよりも身長が高いわ」

ひなた「おー、みんなおっきいー」

愛莉「そ、そうだね。何か怖いかも・・・」

真帆「そんなにビビるなってアイリーン。うちらにはすばるんが付いてるんだからさ!なははは!」

赤木「・・・」
小暮「・・・」

赤木「おい、桜木。彼女たちは何なんだ?」

花道「あいつらは知らん」

宮城「ちぃーっす」

小暮「ああ、おはよう」

赤木「遅いぞ宮城」

宮城「今日は一応オフの日でしょ旦那。ところで」

智花「長谷川さんみんなを連れてきました」

真帆「おっす、すばるん♪」

紗季「おはようございます長谷川さん。智花から他校のエースと勝負をするって聞いて応援に来ました」

ひなた「おー、お兄ちゃんがんれー」

愛莉「わ、私も一生懸命声を出します!・・・こ、怖いけど」

宮城「あのちっこいのたちは何なんだ」

三井「あっちぃー、うおっ!何だこいつらは?」

昴「(帰りたい・・・)」


赤木「では君があの長谷川昴君なのか」

小暮「ああ、どこかで見たことがあると思っていたんだ。無名に近い中学校を準優勝まで導いたっていう」

昴「いや、そんな大した者じゃ・・・帰りましょうか僕?」

真帆「そうだぞ。すばるんはすごいんだぞ。なんたってあたしたの監督兼恋人だからな!」

紗季「ちょっと真帆、邪魔しちゃ悪いわよ。こっちに来なさい」

真帆「うわっ、何すんだよ紗季ー」

赤木「・・・」チラッ

小暮「い、いや、俺も彼女たちのことまでは知らないよ」

三井「へぇ、お前そんなにすごい選手なのか?ちょっと1on1に付き合ってくれないか?」

花道「先に相手をするのはこの天才だぞミッチー!」

宮城「・・・」

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