照「淡、お腹すいた」(190)
照「お腹すいたー」
淡「……」
照「ねえねえ、お腹すいた」グイグイ
淡「……」
照「おーなーかーすーいーたー」
淡「だああっ、鬱陶しい!お腹すいたなら自分の家に帰ればいいじゃないですか!」
照「今日は家に誰もいないから帰っても何もない」
淡「だからって私にたかりに来ないで下さいよ……」
照「何か作って」
淡「なんで私がそんな面倒なことを……」
照「淡の手料理が食べたい」グイグイ
淡「あーもう、分かりましたよ!作ればいいんでしょ作れば!」
照「わーい」
淡「こほん。では……大星淡の3分クッキングー」
照「おー」パチパチ
淡「ちゃららっちゃっちゃっちゃ♪ちゃららっちゃっちゃっちゃ♪」
照「そんなテーマだったっけ?」
淡「うろ覚えなんです、放っといて下さい」
照「それで何を作るの?」
淡「まず取り出したるはこのカップラーメン。私の好みのシーフードです」
淡「蓋を開けて、お湯を入れて三分待ちます。すると、あっという間にラーメンの完成……」
照「却下。手抜き禁止」
淡「ちっ」
照「カップ麺以外で何か作って」
淡「そう言われても……そもそも私は料理とかあまりしませんし」
照「なんだ……淡って意外と使えない」
淡「」イラッ
照「お腹すいた……」グー
淡「というか、宮永先輩が自分で作ればいいじゃないですか」
照「私が?」
淡「はい。料理が苦手な私としましても、ぜひ宮永先輩にご教授して頂きたいです」ニコッ
照「お待ちどう様、咲のパンツのバターソテーどす」
淡「」
照「むう……仕方ない。そこまで言うなら私が作ろう」
淡「……えっ!?宮永先輩って何か作れるんですか!?絶対そういうの無理だと思ってたのに」
照「淡、さすがにそれは失礼。私だって人並み程度には料理できる」
淡「す、すみません……」
照「じゃあ……オーソドックスにカレーを作ろうか」
淡「カレーですか、いいですね」
照「うん。淡にも教えてあげるから一緒に作ろう」
淡「せ、先輩が初めて先輩らしいことを……!はい、よろしくお願いします!」
照「じゃあまず淡は鍋にお湯を張って」
淡「はい!……え、お湯?」
照「その間に私はカレーを……」ゴソゴソ
照「……あれ?淡、ボンカレーはどこに置いてあるの?」
淡「…………」
照「ウチのお母さんは辛いのが好きだから銀座カリーとかをよく作るけど、私はボンカレー甘口派」ゴソゴソ
淡「先輩、ボンカレーは置いてないです。カレーは諦めましょう」
照「えー」
てるてるはきっとコークスクリューで文字通りのハンドミキサーが出来ると信じてる
淡「えー、じゃないです。カレー作るって豪語しといてレトルトってどういう了見ですか」
照「美味しいのに」
淡「はあ、なんかもう疲れましたよ……」
照「お腹すいた」グー
淡「もうカップ麺でいいじゃないですかー」
照「ふう……仕方ない、シェフを呼ぼう」ピッピッ
淡「シェフ?誰です?」
照「菫」
淡「えっ」
菫「……で、私が呼ばれたと」
照「うん。何か作って」
菫「お前と淡が大変な目にあっているから急いで来てくれと呼び出されたんだが?」
照「お腹がすいて大変な目にあってる」グー
菫「……」ゴゴゴ…
淡「あわわわ……」ビクビク
菫「はあ……まあいい」
淡「……え?お、怒らないんですか?」
菫「まあいつものことだからな。しかし今日は淡のとこに行っていたのか……一人の時は頻繁に私の家に食事をねだりに来るんだが」
淡「そ、そうなんですか。何というか、お疲れ様です」
照「菫、ごはんごはん」クイクイ
菫「分かった分かった、引っ張るな。淡、少し台所を借りるぞ」
淡「あっ、はい。冷蔵庫に入ってるものは使っちゃっていいですよ」
菫「すまん、助かる」
……
菫「よし出来た。ほら照、これでテーブルを拭いて来い」
照「分かった」
菫「淡、皿とコップと出してくれないか?パスタを取り分けるから人数分な」
淡「はーい」
菫「ん?あっ、照!その拭き方じゃ端のほうが拭けてないだろ。いいか、こうやって……」フキフキ
淡(……なんか本格的にお母さんみたいになってるなあ、弘世先輩)
照「なに作ったの?」ワクワク
菫「ケチャップと鷹の爪で味付けしたパスタだ」
照「たかのつめって何?」
淡「唐辛子のことだと思っていいですよ」
照「う……辛いの苦手」
菫「それほど辛くはないさ、基本はケチャップだし。具は玉ねぎとキャベツ少々、あとベーコンだな」
照「……なんか貧相」
菫「うるさい。有り合わせで作ったんだ、文句ばかり言うなら食べなくていいぞ」
照「食べる食べる!」
淡「いや、でもすごいですよ弘世先輩。……冷蔵庫の中、ほとんど何もないと思ってたのに」
菫「まあこれくらいは出来ないとな。淡も女の子なんだから、料理の一つくらい覚えたほうがいいぞ」
照「そう。淡も麻雀ばっかりやってないで料理を勉強したほうがいい」ズルズル
淡「宮永先輩にだけは言われたくないです……っていうか何勝手に一人で食べはじめてるんですか!?」
照「美味しい」モグモグ
菫「ほら照、口の周りについてるぞ。本当にだらしないなお前は……」フキフキ
照「むー」
淡「……」
菫「どうした淡、じっとこっちを見て」
淡「いえ、先輩たちは同い年というより姉妹……いや親子というほうがしっくり来るなあと思って」
照「菫みたいに厳しいお母さんは嫌だな」ズルズル
菫「啜るな!私も照みたいな手のかかる子供は嫌だよ、まったく」
照「ごちそうさま」
淡「ご馳走様でした。美味しかったです」
菫「お粗末さま。さて、後片付けしないとな」ガチャガチャ
淡「あっ、いいですよ先輩!それくらい私がやりますから座ってて下さい!」
菫「ん……そうか?」
照「そうそう、菫は料理作ってくれたんだし皿洗いくらいは淡がやるよ」ゴロゴロ
菫「おい」
淡「先輩もやるんですよ。ほらこっち」グイッ
照「えー……」ズルズル
菫「ふう、照の相手は疲れる……」
淡『いいですか先輩。皿を洗ったらどんどん私に渡して下さいね』
照『了解』
菫「そういえば数学の宿題が出てたな。英語の予習もやっておかないと」
淡『なんでステンレスたわしで擦ろうとしてるんですか!?スポンジ使って下さいスポンジ!』
照『む……』
菫「……」
淡『ちょ、ちょっと先輩、もっと落ち着いて一枚ずつ……きゃあっ!?』
パリンッ
照『わ、割れた……どうしよう』
菫「ああもう、照!怪我するから割れた皿に触るな!」ガタッ
菫「お前の麻雀以外のポンコツっぷりはいつまで経っても治らないな……」
照「面目ない」
淡「私が言うのもあれですけど、家事くらいまともにこなせないと将来苦労しますよ?」
照「家事万能のお嫁さんを貰うから大丈夫」
菫「何をわけの分からないことを言ってるんだお前は」
照「淡こそカップ麺しか作れないようじゃ良いお嫁さんにはなれない」
淡「べ、別にカップ麺しか作れないわけじゃないです!それに私のカップ麺を喜ばないような人はいりません」
照「なんて男前な発言」
菫「さて、そろそろ私は帰ろうと思うのだが」
照「えー、もう?」
菫「もうって明日は平日だぞ」
照「仕方ない……じゃあ菫、また明日」フリフリ
淡「いやいや、宮永先輩も帰りましょうよ。いつまで居座る気ですか」
照「今日はここに泊まることにする」
淡「勘弁して下さい」
菫「照、わがままを言うな。先輩が後輩を困らせてどうする」
照「でも、家に帰ったら誰もいないから寂しい……」ウルウル
菫「うっ……」
照「……」ウルウル
菫「……す、すまん淡。今日はこいつを泊めてやってくれないか?」
淡「ええっ!?な、何でですか!」
菫「いや、ほら、あれだ。照を一人にすると何をしでかすか分からないし……」アセアセ
淡「……」ジーッ
菫「な、なんだその目は」
淡「弘世先輩って意外と泣き落としとかに弱いんですね。変な人に騙されないか心配ですよ」
菫「む、むう……」
照「淡……ダメ?」ウルウル
淡「はあ~……。分かりましたよ、泊まって行って下さい」
照「よし」グッ
淡「ただし弘世先輩もです。私一人で宮永先輩のお守りはごめんですからね」
菫「わ、分かった」
照「まず何やる!?トランプ!?」ワクワク
淡「何をそんなにワクワクしてるんですか……とりあえずお風呂沸かしちゃいますから入って下さい」
照「三人一緒に?」
淡「残念ながらうちのお風呂はそんなに広くないですから」
菫「ほらほら、面倒だからお前から入れ」
照「む……分かった」
淡「はあ……。一晩中宮永先輩のお守りとか勘弁してほしいなあ、もう……」
照「今夜は寝かさない」
菫「うるさい」
照「はい」
終わり
照「今夜は寝かさない」ニヤッ
菫「うるさい」ポッ
あきらめんなよ!
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