千早「ジャイアント・キリングを起こす72の方法…」(132)

落ちたけど書く


──────


P「………」

P「…………」


P「………うーん」

P「頭が働かない」

P「……こいつら、なかなかしっかりしたパフォーマンスだもんなぁ……」

P「どこかにないもんかねぇ……スキが…」

P「…………」ゴクゴク


P「……だめだ。頭が疲れてきた」

P「ちょっと外歩くか……」


ガチャ


千早「!」ビクゥ

P「……お?」

千早「………こ、こんばんは。プロデューサー」

P「如月…おまえこんな時間まで何してんの?」

千早「いえ……少し自主レッスンを」


P「…はぁ。お前といいこないだの萩原といい、みんな夜遅くまで残るのが好きなの?」

P「もう帰れよ。本番に疲れ残さないようにな」

千早「プロデューサーこそ、こんな遅くまで……」

P「俺は大人だし、家がここだからいいの」

千早「…そうだったんですか」

P「…………」


千早「あの、プロデューサー」

P「…あ?」

千早「…相談したいことが」


──────

黒井「………私は高木には負けん」

黒井「これまでも。これからもだ」


黒井「そして頂点を手にする………そのためにお前たちはいるのだ」



黒井「準備は出来ているだろうな?」



冬馬「もちろんだぜ」

北斗「いつも通りですよ」

翔太「今日も軽く勝っちゃうからね」



黒井「それでいい。勝利を手に出来ないものは必要ない」

黒井「それが"王者"961プロのあり方なのだ」

黒井「……行ってこい」


──────


P「………んじゃま」


春香「…………」

響「…………」

真「…………」

雪歩「…………」

千早「…………」


P「ジュピターをブッ倒しにいきますか」


律子「………勝てるでしょうか」

P「勝たなきゃ先に進めないんだ。悪いこと考えてても始まらない」

P「ステージでやるべきことも、ちゃんと昨日のうちに理解してもらったことだし」


P「今のあいつらなら961プロ相手でも大丈夫だよ」

律子「………信じますよ」


スタスタスタ……


P「……噂をすれば」

律子「!」


黒井「…………」

P「にひひ、どーも。社長さんが直接オーディションに出向くなんて熱心だねえ」

黒井「………765プロは、今日勝てなければIU失格になるそうだな」

律子「………」

P「知ってたの?そーなんだよね実は。いやー参った」

黒井「………手加減をするつもりはない。貴様らにはここで負けてもらう」

P「…………」

律子「…………」

P「………はっ」



P「………そうこなくっちゃ、こっちもやりがいがない」

P「心配しなくていいよ」



P「ウチら今日勝つし」


黒井「…………」

P「…………」ニヤリ

黒井「………いいオーディションにしよう」スッ

P「はいはい」スッ


ギュッ



律子「…………」


黒井「では、会場でな」スタスタ


──────


雪歩「………961プロのジュピター…」

真「響はこないだおなじフェスに参加したんだよね?」

響「うん。あの3人はレベル高いぞ」

千早「…春香」

春香「ん?どうしたの?」

千早「961プロって、ウチの事務所とは色々あるみたいよ」

春香「…らしいね」

千早「因縁の相手、という奴かしら。私たちには直接関係ないかもしれないけど」

春香「そっか…でも、私そういうのはよく分からないし……」

千早「今朝、美希が言ってたことなの」


美希『千早さん。インネンの対決って、なんだかカッコイイよね』

千早『どうしたの、いきなり?』

美希『昨日ドラマで見たの。こう……胸が熱くなるって言うか…』

千早『……それは、今日の961プロとのオーディションのことを言ってるのかしら?』

美希『……うん』

千早『わたしは別に、961プロになんの因縁も感じないわ…』

美希『ミキが言いたいのはね』


美希『勝ってね、ってこと』

千早『………』


千早「そう。勝とうってことよ」

春香「…………」


春香「……そうだね」

響「…うん!」

真「やってやるよ!」

雪歩「が、頑張りますぅ…!」

千早「……頼りにしてるわよ。リーダー」

春香「………OK」


春香「死ぬ気でやろうね」



春香「いくよっ!!!!!」


  「「「おうっ!!!!!」」」


──────


流行
①Vo.★★★★★②Da.★★★③Vi.★★


:参加ユニット:

No.1…ジュピター RankD ImageLv.10
No.2…765Angels  RankD ILv.8
No.3…まあまあ RankD ILv.6
No.4…タイホク RankD ILv.6
No.5…朝ごはんまだ? RankD ILv.7
No.6…きりとりせん RankE ILv.5



律子「プロデューサー。オーディションの特別ルールはもちろん知ってますよね?」

P「うん」

律子「通常のオーディションと違って、中間審査で1位通過したユニットのみ★をもらえる……」

P「大丈夫。あいつらにもそれに合わせた作戦を伝えてある」


P「うし」


P「行ってこい」




・第一回審査開始


千早「(まずは一回だけ……)」Vo.appeal +80p

真「(ここからはポイントを固めて……)」Da.appeal +74p

雪歩「(相手の出方を見る……)」Da.appeal +70p


冬馬「(最初から飛ばしてるな、765プロ)」Vo.appeal +85p

翔太「(もう少しのびのびやればいいのにね)」Vi.appeal +84p

北斗「(……そっか、これ負けたらダメなんだもんね。なるほど)」Da.appeal +86p




律子「…はじめは随分穏やかにやるんですね、彼ら」

P「………気をつけろよ?」


P「奴ら牙を剥くときは一瞬だぞ」



響「(さすがだなー、ジュピター)」Da.appeal +77p

春香「(確実にアピールを……)」Vi.appeal +72p

真「(……そろそろかな?)」Da.appeal +74p


北斗「(……さて)」Da.appeal +86p

翔太「(長いこと楽しんでいたいところだけどね)」Vo.appeal +80p


冬馬「(……序盤で勝負を決めろって、おっさんからの指示だからな!!)」


──冬馬 思い出アピール Success!!──

Vo. +210p Da. +120p Vi.122p




律子「来ました!!」

P「はっ!かかってこいってんだ!!」


P「やられんじゃねーぞ!お前ら!!」


北斗「(悪いけど、ここで全部決めさせてもらうよ)」Da.appeal +86p

翔太「(えいっ!)」


──翔太 思い出アピール Success!!──

Vo.+120p Da. +121p Vi.204p


冬馬「(この第一回をパーフェクトで締めて、その後の勝負を楽に進める!)」Vo.appeal +85p




律子「ボムを二回使ってきましたね……プロデューサーの言ったとおりに」

P「あいつらはああいうやり方だ。早いうちから攻めて攻めての攻撃的アピールがウリ」

P「とくに今回みたいなルールだと、一回目の審査でさっさと★10個取ってしまったらあとの展開は楽になる」

P「取り合う★は全部で30個。半分の15個取れば1位は確実だからな」

律子「…なるほど」


P「過去の映像を見てもその傾向は強かった。個々の能力も高いし、それで十分戦ってこれたみたいだしね」

P「自信に裏打ちされたスタイルってワケ。安定感がある」

律子「……確かに」

P「反対に」


P「そこを崩すことで、こっちに勝機が生まれるんだ」




響「(プロデューサーの言ったとおりだ!)」Da.appeal +77p

真「(このタイミングで仕掛けてきた…バッチリだ!)」Da.appeal +74p

響「(ここでっ……)」Da.appeal +77p


・第一回審査結果

Vo. 1位…ジュピター(480p) 2位…朝ごはんまだ?(400p) 3位…タイホク(344p)

Da. 1位…765Angels(523p) 2位…ジュピター(499p) 3位…まあまあ(400p)

Vi. 1位…ジュピター(410p) 2位…きりとりせん(329p) 3位…タイホク(209p)


総合:現在2位(★×3)



春香「(よし…ここまでは作戦通り)」

雪歩「(この次はああやって、こうやって………)」

千早「(…やってみせる)」



冬馬「(ちっ…Da.だけ取りに来たのか)」

翔太「(どうしよっか)」

北斗「(………)」


P「まずは1つのアピールに集中して1位を取りに行くことだけを考えさせてる」

律子「それで流行2位のDa.にたくさんのポイントを割いたってワケですか」

P「とにかく、これで奴らの計画は狂った」


P「すでにボムを2つ消費してるんだ、さっきみたいに大胆には攻められない」

P「あとはもう1つのチャンスがやってくるタイミングを見逃さないことだ」

律子「もう1つのチャンス?」

P「うん。それをしっかり待てば逆転は見えてくる」


P「さあて、どう来る?黒井さんよ」チラッ


黒井「(……なるほど…)」

黒井「分野を絞って★を稼ぎに来るというわけか…」

黒井「……だが、Vi.を落とした以上そのやり方では貴様らに勝ち目はない。哀れだな」

黒井「……このまま見せ付けてやれ。ジュピターの底力を」


黒井「…王者961プロの意地を」



・第二回審査開始


P「ここが勝負どころだ」

律子「そうなんですか?」

P「奴らをおびき出す」

律子「おびき出すって……?」

P「見てなよ」


冬馬「(おっさんが指示を出してる?……こうか)」Vo.appeal +85p

翔太「(……珍しいじゃん。クロちゃん直々なんてさ)」Vi.appeal +84p

北斗「(…………)」Da.appeal +86p



春香「(プロデューサーさんの作戦によれば…)」Vo.appeal +74p

響「(ここはDa.とVi.中心に…)」Da.appeal +77p

雪歩「(…………)」Vi.appeal +75p



冬馬「(あとの流れは北斗に任せておくか…)」Vo.appeal +85p

北斗「(……もう少し…)」Da.appeal +86p

翔太「(………)」Vo.appeal +80p


真「(……今来る…?後で来る…?)」Da.appeal +76p

雪歩「(…………いける…)」Vi.appeal +75p

響「(……頼むぞ…!)」Da.appeal +77p



P「いっぺん揺さぶっとくか」


雪歩「(……私が…!)」



P「萩原。行ったれ」


雪歩「(分かりました…!!)」


──雪歩 思い出アピール Success!!──

Vo. +110p Da. +115p Vi. +190p


律子「よし……いいわよ、雪歩」


黒井「…………」



冬馬「(……ここできやがったか!)」Vo.appeal +85p

北斗「(まだだよ。様子を見る)」Da.appeal +86p

翔太「(………)」Vi.appeal +84p



春香「(……いけるか…!?)」Vi.appeal +73p

響「(………)」Da.appeal +77p


・第二回審査結果


Vo. 1位…ジュピター(335p) 2位…朝ごはんまだ?(300p) 3位…タイホク(258p)

Da. 1位…765Angels(345p) 2位…まあまあ(300p) 3位…ジュピター(238p)

Vi. 1位…765Angels(413p) 2位…タイホク(359p) 3位…ジュピター…(168p)


総合:現在2位(★×8)



冬馬「(……ちっ)」

翔太「(なかなか手ごわいなぁ……)」

北斗「(…………)」



黒井「……お前たち、気を抜くんじゃないぞ」

黒井「まだチャンスはある。しっかりと見極めろ」


P「ジュピターは様子見をつらぬいたな。少し余裕ができたから、Da.とVi.に絞って★を手に入れられた」

P「見事にプランどおりだね」

律子「…それでもまだ安心はできません。依然彼らが1位であることに変わりはないですよ」

P「大丈夫大丈夫」

律子「…逆転の可能性があるとすれば、残り二つのボムをどこで使うかが鍵ですね」

律子「とはいえ、ジュピターのほうも1つ残してありますし…」

律子「中途半端になれば勝ちきることはできませんよ」

P「いや。どこにアピールするかははじめから決まってある」

律子「?」


P「あいつらの動きをよく見てろよ」

P「そろそろそのときが来るから」


・第三回審査開始



冬馬「(落ち着け……765プロの★は今8つ)」Vo.appeal +85p

翔太「(つまり僕たち相手に逆転するには、Vo.をとることが必要なんだ)」Da.appeal +82p

北斗「(…つまり、そこを抑えることができれば俺たちは勝てる!)」

──Double appeal!!──Vo. +41p Vi. +42p


律子「…! 少しずつVo.へポイントを偏らせてますよ……?」

P「もうちょいだ。……耐えるんだぞ如月」


千早「(………私が何とか止めて見せる…)」Vo.appeal +80p

雪歩「(千早ちゃん……頑張って……)」Vi.appeal +76p

千早「(……プロデューサー、信じますよ……!)」Vo.appeal +80p


──────


P『いいか』


P『こっからが重要だかんな。よく聞けよ』

春香『………』

響『………』

雪歩『………』

真『………』

千早『………』


P『俺の頭ん中じゃ、後半……』

P『ジュピターはVo.に大目のポイントを割くはずだ』


響『…どうしてそんなこと分かるんだ?』

P『ここまでのプランどおりだと、二回目の審査が終わった時点で俺たちの★は8つ』

P『勝つにはあと7つの★が必要ってワケ』

春香『そうですね…』

P『そうなるとあちらさんだって気づくだろう。俺たちが勝つには三回目の審査、Vo.で1位をとることが絶対に必要なんだ』


P『だったらそこを押さえに来るはずだよな』

真『…確かに……!』

P『おそらく、ボムが手元に残っているとしたらVo.に使ってくるだろう』

P『……ここだけは絶対に負けちゃダメなんだ。分かるか?如月』

千早『…………』


P『Vo.に特化した才能の出番だ』

P『お前の実力が発揮されるところだぜ』


千早『…分かりました。全力で食らいつきます』

P『よし』


P『その上で、がら空きになったDa.とVi.の★もすべていただく』

P『そのために俺たちはここまででボムを2つ残すってワケだ』

雪歩『…………』



P『いいか!オーディションで勝つのはただ強いアピールのできる奴じゃない』

P『常にライバルの動きを察知し、周りの状況を理解して……』

P『戦況を読み、効果的な動きができる奴!』


P『それがお前たちだ』


春香『!!』

雪歩『!!』

響『!!』

真『!!』


P『……俺のプランどおりなら』

P『その頃には見えてくるはずだ。相手が何をしようとしているか…』



P『そのスキをつくには、何をすればいいのかがな』


──────


P「俺たちは今、ちょうどジュピターの真下の順位にいる」

P「十分逆転も可能なスコアだ」

P「でもって基本的にアピールはDa.とVi.に絞っている」

律子「……そうですね」


P「ただ、ここまでみたいにその二つだけとってればいいってワケでもない」


P「それをね、ジュピターが悟っているってのを逆に利用するんだ」

律子「…………」



律子「………これまでの★の取り方はすべて計画のうちで……」

律子「三回目のジュピターのアピールの仕方を、こちらから操るってことですか……!?」


P「…そんな超能力みたいなもんじゃない」


P「相手のスキをつく戦法ってのはね……面白いもんでさ」

P「スキのない相手なら、作らせてやればいいって話だよ」

P「奴らがVo.にポイントを割くことになるんなら、その分Da.とVi.が手薄になる」


P「それが奴らのスキになるってわけ」

律子「………」



P「スキがあったら突くしかないでしょ」

律子「(………なんて人なの…)」




P「さぁて、そろそろかな」スッ…

律子「!」

律子「(プロデューサーが前に出て………最後の指示を……!)」



P「王者・961プロだって?ハッ。笑わせる」


P「だったらその王者相手に見せつけてやろうじゃん。黒井サンよ」



P「最高のジャイアント・キリングって奴をさ」


千早「(……こういうことだったのね……)」Vo.appeal +80p

響「(分かる……向こうが次に何をしてくるのか…)」Da.appeal +77p

春香「(………見えるって、こういうことか…)」Vi.appeal +76p



北斗「(何かある…!向こうは確かにVo.への割り振りが急に増えたみたいだけど)」

北斗「(俺たちがそれに釣られてあわせる必要は……!?)」

北斗「(おそらく向こうはこっちの出方を見てる……)」



冬馬「(……ちっ、しぶといな!)」Vo.appeal +85p

翔太「(でも、Vo.ばっかり対応しすぎてもまずいような気がするなぁ…)」


──Double appeal!!── Vo. +40p Da. +42p


北斗「(だけど……両方を警戒しないわけには…!)」Da.appeal +82p


P「次だ」

律子「えっ?」

P「最後の3回のアピールで」


P「一気に畳み掛ける」




黒井「Vo.を抑えていれば確実に勝てるものだと思っていたが…しぶとくついてくるな…」

黒井「(しかし……手っ取り早くポイントを稼ぎたいならVo.にボムを使用しているはず……)」

黒井「……一体どういうことだ……」

黒井「…………」



黒井「……まさか…これは」


北斗「(………ここでVo.にボムを使うべきか……!?)」

北斗「(…………!!)」

北斗「(………いや違う……!ここは……!)」


黒井「!」


冬馬「(どう来る…?)」



黒井「冬馬!Da.だ!!」



冬馬「!!」Da.appeal +79p


律子「来ましたよ!」


P「時間だ」




P「今だっ!!!!我那覇ぁっ!!!!」



響「待ってました!!!」


──響 思い出アピール Success!!──

Vo. +121p Da. +190p Vi. +122p



翔太「!!!」Vi.appeal +84p


P「萩原ぁっ!!!」



雪歩「いっ、行きますぅ!!!」

──雪歩 思い出アピール Succes!!──

Vo. +119p Da. +120p Vi. +202p



北斗「(くそっ……!)」


──北斗 思い出アピール Success!!──

Vo. +130p Da. +210p Vi. +132p



千早「(そして私が………!!)」Vo.appeal +80p



黒井「………」


律子「よしっ!言うとおりでしたね!!」

律子「手薄になったDa.とVi.に一気に仕掛ければ、両方同時にぶっちぎりのポイントを稼げる!」

P「だね。でもこれもVo.で支えてくれた如月の功績が大きい」


P「さすが事務所一の歌姫さんだ」



千早「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

春香「…千早ちゃん、大丈夫……?」

千早「……えぇ……平気……」

響「…どうだ!?」

真「結果は!?」


・第三回審査結果

Vo. 1位…765Angels(560p) 2位…朝ごはんまだ?(450p) 3位…ジュピター(382p)

Da. 1位…ジュピター(413p) 2位…765Angels(387p) 3位…まあまあ(334p)

Vi. 1位…765Angels(376p) 2位…ジュピター(258) 3位…タイホク(212p)


:総合:

1位…765Angels(★×15)
1位…ジュピター(★×15)
3位…×



律子「……Da.が獲られてる……!?」

P「! ……ちっ」



春香「…これって……」

雪歩「……同点1位……?」

真「……ということは…」


黒井「…………」

P「……あ」

律子「…………」


黒井「…同時優勝とはな」

P「……やっぱそうなるんだ」

黒井「TV放送も特別に2枠用意してもらう。お前たちも首の皮1枚で生き残ったというわけだ」

P「そっかそっか……は?用意してもらう?」


スッ

P「!」


黒井「次にオーディションで会った時……」

黒井「今度こそ貴様らを倒す」

P「…………」

律子「…………」

黒井「覚悟しておくんだな」


P「…はっはっは」


P「望むところだよ」スッ


ギュッ


黒井「せいぜいIUで当たるまでにヘマをしてくれるなよ」

P「そっちこそ、あんまなめてっと足元すくわれるぜ?黒井さん」

黒井「………」


黒井「やってみるがいい」


スタスタスタ……



P「…………」

律子「………」

P「実はさ、俺見てたんだ」

律子「えっ?」


P「最後、普段Vo.担当の天ヶ瀬がとっさにDa.のアピールに切り替えた」

P「あれはあの社長の指示だ」

律子「!」


P「Vo.のアピールにボムを使うって読みも、外しちゃった」

P「おかげでDa.の★をとられちまったんだな」

律子「それも、黒井社長が………」


P「ただのすかしたおっさんじゃないってことだね」

律子「……そうだったんですか」


P「ま、いいんだ。実際やってみたら向こうの新たなスキも見えたし」

P「ウチのアイドルも、これから伸びてくれそうだしね」

律子「……はい」

P「見てろってんだ」



P「次やるときこそコテンパンにしてやるよ」

ちょっと休憩


30分休んでも落ちそうで怖いけど


黒井「…………」



  『ウチなんかに負けたら、赤っ恥だ』


  『今年のIU、俺が面白くしてやるよ』



黒井「(……確かに、765プロを危険視するライバル事務所は少ないだろう)」

黒井「(しかし…今日の戦いぶり)」


黒井「(そこらのプロデューサーがやっているのではない。今年の765プロは侮れんかもしれないな)」


黒井「…しかしこの世界、なめてかかってくれるほど甘くはないぞ」


黒井「……達海猛、か。高木もたまには面白い人間を拾ってくる」


──────


春香「………あ」

真「あ」

雪歩「!!」

響「おー」

千早「………」


冬馬「……よう」

北斗「こんにちは」

翔太「お疲れさまー」


冬馬「……まあ、楽しかった」

春香「!」


冬馬「だけどな…勝ちきれなかったおかげで今日はおっさんから説教受けそうだぜ」

雪歩「………」


冬馬「次はカンペキに勝ってやる」

冬馬「覚悟してろよ!」スタスタ


真「………」

北斗「…ごめんね。あんなんがリーダーでさ」

響「相変わらずだなー」

翔太「あとできつく言っておくよ」


北斗「またね」

翔太「バイバイ」

スタスタ


真「……響、知り合いだったんだね」

響「まあ、何回かフェスで顔合わせた程度だけど」

雪歩「…………」

千早「……帰りましょうか」

春香「…だね」


──────

ガチャ


真「ただいまー!」

小鳥「あっ、春香ちゃん!みんなも!お帰りなさい!」

小鳥「みんなー、帰ってきたわよー!」


美希「おめでとうなのー!」

亜美「すごかったね→!」

真美「まさかジュピターと引き分け優勝しちゃうなんてね!」

亜美「ゆきぴょーん、よかったよ」

雪歩「あ、ありがとう…」


伊織「お疲れさま。悪くなかったわよ」

真「へへっ、ありがとう!」

訂正しとく

>>55
P『ジュピターはVo.に大目のポイントを割くはずだ』


P『ジュピターはVo.に多めのポイントを割くはずだ』


>>105
真「ただいまー!」

春香「ただいまー!」


律子「私からも改めて、お疲れさま」

律子「みんな本当によくやってくれたと思うわ」

高木「いやぁ、鼻が高いよ。これでわが765プロのアイドルは、他のどの事務所にも負けないすばらしい子たちばかりだと証明できた!」

高木「今の961プロ相手にあれほど善戦できるユニットは、おそらく他にいないだろうからね」


響「あずささーん!見ててくれたか!?」

あずさ「ええ。響ちゃん、頑張ってたわね~」

響「えへへ!まーこれも、プロデューサーの作戦のおかげさー!」


やよい「千早さん、すごかったです!」

千早「…え?」

やよい「だって、思い出とか一つも使わないでVo.のアピール頑張ってましたもんね!」

千早「……そ、そうかしら」

やよい「私じゃ多分まねできません。尊敬します!」

千早「あ、ありがとう…高槻さん」


春香「………ようやく一勝かぁ……」

貴音「数字の上では、ただの勝ち星一つに過ぎないかもしれません」

春香「! 貴音さん」

貴音「ですが、あれだけ勢いのあったジュピターを相手にしてこの結果です」

貴音「皆、自信をつけたはず」


貴音「大きな一勝だと思いますよ。春香」

春香「………分かってますよ、貴音さん」


春香「ここからです」


春香「765プロは、ここから巻き返しますよ」


ガチャ


P「うーい。ただいま」


美希「プロデューサー、お帰りなさいなの!」

小鳥「お帰りなさい。さすがですね、プロデューサーさん」

P「ありがと、ピヨちゃん」

高木「黒井に何かされなかったかね?」

P「…いんや、何も」

高木「…そうか、なら……いいんだが」


P「帰ってきて早々悪いけどさ、高校生組はこの後ミーティングあるから。他のやつらはピヨちゃんに任せるよ」

小鳥「は、はい!」

P「んじゃ、社長室借りるぜ。律子もな」

律子「分かってますとも」

春香「じゃ、行って来ますね」

貴音「ええ。また後ほど」


──────



千早「プロデューサー」

P「……ん?何してる。もうみんな帰ったぞ」

千早「ありがとうございました。この前のこと」

P「………別に」





P『相談事なら、俺より律子にしたほうが…』

千早『いいから聞いてください』

P『………あーわーったよ、話せ』


千早『プロデューサー、私は……歌のためにアイドルをやっています』

P『知ってる』

千早『……はじめは、歌以外何もいらない…私には歌しか残されていない』

千早『ずっとそう考えていました』

千早『選べる立場になんてないくせに、歌以外の仕事は嫌がったり、断ったりもしていました』

P『(そういや律子が問題視してたな)』

千早『ですが、最近になって、少しはその考えも改めるべきなんじゃないかと思い始めたんです』

P『……ふーん』

千早『ユニットの一員になって……自分のわがままばかり通して、和を乱してしまうのは嫌で』

P『………』

千早『最近、ダンスのレッスンには力を入れているつもりです』

千早『ですが、今度は……そんな私をみんなが変な目で見るんです』

P『変な目?』


千早『いえ、決して悪い意味ではないんですけど…歌以外に打ち込む私の姿が、珍しいんじゃないかと』

P『…………』

千早『……それだけです。すみません、よく考えたら相談じゃなくて愚痴でしたね』

P『…………』

千早『…遅くに失礼しました。とりあえず、今のまま頑張ってみます』

P『そっか』

千早『…はい』


千早『また明日…』


P『いいユニットってのは』

千早『……?』


P『誰か一人が活躍すればいいわけじゃない』

P『それぞれが要所要所で持ち味を生かして……』

P『全員が役割を理解した上で、初めてオーディションに勝てる』

千早『…………』



P『歌がお前のすべて?』



P『結構なことじゃねえか』

千早『!!』


P『そうやって、自分の武器を自信持っていえる奴ってのは』

P『必ずどこかで敵を恐怖させることができる』

千早『…………』


P『仲間に心から頼られる場面が生まれ』

P『そこで最大限の持ち味を発揮できる』


P『お前には歌しかないんじゃない』


P『歌がお前のすべてを引っ張るんだよ』

千早『!』


P『胸を張れ、如月』

P『お前が持ってるもんは、お前が思ってる以上に強いパワーと可能性を秘めてるんだ』

P『もちろん、ダンスを磨くこともいいことだ。アピールの幅が広がる』

P『だけどな』


P『お前のダンスが他の誰より上手になったとしても、自分は歌が全てですといえるようなアイドルになればいい』


P『今お前が持ってるその原動力、意志、思い入れ』

P『歌のためにあるんだって、全部受け入れてからステージに立ってみな』

千早『…………』


P『それが、お前にとってのジャイアント・キリングだよ』

千早『…ジャイアント・キリング………』


P『一つだけ言っとくわ』

千早『はい』


P『今度のオーディション…ジュピター対策に、ある程度の作戦は完成してるんだけどな』

P『お前にしかできないでかい仕事を用意した』

千早『!』


P『どうする?引き受けてくれるか?』


P「あれを実現できたのはお前だからだよ。胸を張ればいい」

千早「いえ。プロデューサーの言葉があったからこそです」

P「……ならいいけど」

千早「私、これからも頑張ります……歌以外に、アイドルとして必要なこと全て」

P「………おう」

千早「でも、歌のために。ですよね?」



千早「プロデューサー。私を必ず、アイドルの頂点に連れて行ってください」

P「…………」


P「いいぜ。任された」


──────



P「うーっし。揃ってるか」


P「勝ったからって浮かれてんじゃねーぞ。まだたったの一勝だ」

P「俺たちは弱小なんだ。調子乗ってる暇はないんだからな」



P「んじゃ、今日も厳しくレッスンするから」

P「いいな?」



「「「「はいっ!!!!」」」」



続く

ここまでです
お付き合いありがとう


保守してくれた人まじでありがとう
次は落とされないようにもう少し面白く書きたいです

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