―居酒屋―
店員 「いらっしゃいませ~」
咲 「予約していた宮永ですけど席はどちらでしょうか?」
店員 「宮永様……はい、幹事様は池田様ですね?もう揃われてますから一番奥の席へ進まれて下さい」
咲 「ご親切にありがとうございます」ペコッ
店員 「宮永様、…神域杯優勝おめでとうございます」
咲 「いえいえ組み合わせに助けられただけですよ」
書き溜めをコピペするから少し遅くなります
―座敷席―
ガラッ
池田 「おー来たか清澄」
咲 「もう…いつまでも『清澄』って呼ばないでよ」
池田 「じゃあ宮永プロと呼ばせて貰おうか?なぁ加治木プロ」
かじゅ 「ふっ…そうだな」ニッ
咲 「どうしてそんな他人行儀な呼び方で呼ぶかな?…ねぇ衣ちゃん」
衣 「池田に加治木もノリが良いな…宮永プロも早く席に座れ、衣の隣だ」
咲 「…」ゴッ
池田 「じょ、冗談だって…今日は咲の神域奪取を祝う集まりだからほんの茶目っ気だって」
かじゅ 「そ、そうだぞ…だからその状態になるのはやめてくれ」
咲 「冗談だよ」ニコッ
衣 「どうかな…それにしても方向音痴は相変わらずだな」
かじゅ 「だから地図を書くと言ったのに…」
咲 「そこまで迷惑は掛けられないよ…」
池田 「まぁ積もる話もあるだろうけどとりあえず何かを頼もうか」
衣 「タルタル!衣はハンバーグエビフライが食べたい!」
池田 「はいよ…加治木はどうする?」カキカキカキ
かじゅ 「皆でシェア出来るようにサラダなんかはどうだろうか?後は軽く摘めるように餃子や唐揚げといった小さな物を頼むのが良いだろう」
咲 「やっぱり加治木さんが居ると効率的に進むね!…あっ…」
衣 「こ、これは別に加治木を仲間外れにした訳ではないぞ?」
池田 「そうだぞ?加治木はフリースタイルの解説に呼ばれてたから誘えなかったんだ」
かじゅ 「私達も社会人なんだ…都合の善し悪しは解ってるよ」
池田 「ドリンクだけど衣はジュースで良かったか?」
衣 「りんごサワー!衣だってやっと少し飲めるようになったんだぞ!」エッヘン
かじゅ 「おぉ…それは凄いな」
咲 「この前までは酎ハイ一口で酔ってたのにね」クスッ
衣 「むっ…」
池田 「加治木はいつも通りワインで良いんだろ?」
かじゅ 「あぁ、赤を頼む」
池田 「咲はどうする?」
咲 「私は…『魔王』をお願い」
池田 「!」ガタッ
かじゅ 「なっ…!」ガタッ
衣 「?」キョトン
池田 「さ、咲が焼酎を飲むなんて意外だなぁ…ハイボールと思ってたよ…なぁ加治木」
かじゅ 「そうだな…いつもハイボールを飲んでたから面食らったよ」
咲 「私だって強いお酒くらい飲むよ…それとも『魔王』ってお酒に何か?」ゴゴゴゴゴッ
池田 「だからその状態は禁止だって!」
衣 「全く…飽きない奴等だな」クスッ
かじゅ 「いの一番に反応した癖に…」
池田 「声を出したのはお前が最初じゃないか」
衣 「そこまでにしておけ…池田、そろそろ注文を頼む」
咲 「こうして騒ぐのも久しぶりだから…ごめんね?」
かじゅ 「なぁに気にするな」
池田 「すいませーん!」
店員 「お待たせしました、ご注文をお願いします」
池田 「ハンバーグエビフライタルタル乗せ、シーザーサラダ、一口餃子三人前そして唐揚げを三人前お願いします」
店員 「…ドリンクの方はどうされますか?」
池田 「りんごサワー、赤ワインを一本、ハイボールに魔王を」
咲 「魔王はお湯割でお願いします」
店員 「かしこまりました…失礼ですが年齢確認を取らせて頂いても良いでしょうか?」
かじゅ 「私は23歳だ」
池田 「私は22歳だ」
咲 「私は21歳です」
衣 「衣も22歳だ」
店員 「え…?」
店員 「申し訳ありません、身分証…あっ、これは大変失礼しました」ペコッ
店員 「天江プロと気付かず本当に申し訳ありません」ペコッ
衣 「衣は慣れっこだからな…気にせず続けてくれ」
池田 (あの決勝の時のままだもんな…知り合いじゃなかったら華菜ちゃんでも確かめるし)
店員 「お酒は先にお持ちしますか?」
かじゅ 「そうだな…先に飲みたいが口寂しい、すぐに出せる物はあるかだろうか」
店員 「それでしたら…おでんなんていかがでしょう?」
かじゅ 「じゃあ…おでんを適当に見繕って持ってきてくれ」
店員 「おでんにご注文されたお酒をお持ちしました、…ごゆっくりどうぞ」カチャッ
池田 「それじゃあ…咲の神域タイトル奪取を祝って」
池田・かじゅ・衣 「かんぱーい!」カチャッ
咲 「っ…みんな…」ポロッポロッ
衣 「泣くなんて咲は子供だな」チビッ
池田 「似合わないし」クビッ
かじゅ 「祝いの席なんだ…笑ってくれ」
咲 「そんな事急に言われたって…」ポロッポロッ
池田 「全く…麻雀は鬼みたいな癖にこういう所は繊細だな」モグモグ
咲 「余計なお世話だよ!」プンスカ
咲 「あ、大根凄く味が染みて美味しい…」モグモグ
かじゅ 「だろう?…牛すじも中々…」
池田 「衣、気をつけて食べろよ?熱くて火傷するかもしれないからな」モグモグ
衣 「見くびるな…衣はそんなドジじゃ…熱ッ…」
池田 「あー…ほら、言わんこっちゃない…」フキフキ
衣 「よせ!…これぐらいなんともない!」
いつ悲劇が起こるんだ
かじゅ 「本当、なんだかんだで仲が良いんだな」
咲 「優希ちゃんに衣ちゃんも口には出さないけど池田さんを大好きなんだもんね」
かじゅ 「違いない…私も口うるさい奴だと思っていたが実直で素直な良い奴だと思っているよ」
咲 「うん、最後まで勝負を投げ出さない所もね。覚えてる?県予選のオーラス、池田さんは四暗刻単騎を和了放棄して勝ちに来た事」
かじゅ 「牌譜や録画を見て驚いたよ」
咲 「池田さん、プロに転向しないのかな?」
かじゅ 「実力の程は申し分ないはずだ…ほぼ必ず満貫以上には仕上げてくる手作りのセンスはあるからな」
咲 「怖いよね、ヤミテン倍満なんて結構あるし」
池田 「どうした?」
咲 「んー…池田さんがプロに転向しないのは何でなんだろうって話してたの」
かじゅ 「妹さん達も良い年齢なんだし大丈夫なんじゃないか?」
衣 「最後まで衣に刃向かったお前だ、実業団程度に埋もれさせておくには惜しい」
池田 「…」
かじゅ 「話がない訳じゃないだろう?三尋木プロが何回も足を運んでいると聞くが」
咲 「“迫り来る怒涛の火力”あの高火力麻雀に憧れる人も少なくないって聞くもん」
池田 「確かに実業団の監督を通じて話も来てるし、加治木の言うように三尋木さんからも誘われてる」
衣 「だったら頂きの上を目指すのが道理だろう?今よりずっと収入も上がる」
池田 「ははっ…華菜ちゃんは自分の実力は良く解ってるし、原村和や竜門渕みたいに判断良く打てないし衣や咲達のように華があるわけじゃないからな」
店員 「お待たせしましたーご注文の品です」
池田 「さぁ!飲むぞ騒ぐぞ!今日はお祝いなんだ…飲め飲め咲ィ!」トクトク
咲 「こ、零れるよ…」
池田は顔パンされる仕事で忙しいもんな
かじゅ 「…」
衣 「…」
池田 「どうした?衣に加治木、飲まないのか?」
かじゅ 「あぁ、飲もう…」クビッ
衣 「衣が唐揚げにレモンをかけるぞ!」
咲 「…」ゴッ
衣 「…!」ビクッ
咲 「私ね、大皿に盛られた料理の味を勝手に変える人…一番嫌いなの」ゴゴゴゴッ
咲 「ピザにタバスコを全員分かけるような人はね…ゴッ潰すって決めてる」ゴゴゴゴッ
かじゅ 「同感だな、私も好きではない味の強要は良く思わない」
衣 「衣…何か悪い事したのかな?」ジワッ
咲 「うん、実際にはしようとしたが正解だけどね」
池田 「ま、まぁ…ギリギリだったんだし良いじゃないか…な?小皿に分けて個別に味付けすれば良いんだし」
衣 「…うん」シュン
池田 「な、泣くなよ…ほら」フキフキ
かじゅ 「そ、そういえば咲には付き合ってる人がいたな?」
衣 「須賀京太郎とかいったか?」
咲 「京ちゃん?うん…今は一緒に暮らしてるよ…///」デレデレ
池田 「原村和が聞いたら泣きそうだな…」
咲 「原村さんなら隣の家だよ?」
衣 「ののかが?…まさかとは思うがお前を…」
咲 「やめて!それはちょっと怖いから…」
池田 「ゴシップ記事で読んだんだけど滝〇プロが相当アタックしてきたんだろ?」
咲 「うん…でも、結婚するならやっぱり幼なじみの京ちゃんが一番だもん////」
??? 「そ、そんなオk…むぐっ
??? 「おやめなさいな…そんな事で目立っても私は嬉しくありません」ヒソヒソ
池田 「加治木もiPS細胞で東横だったっけ?あのステルスモードの…」
かじゅ 「あぁ…///…モモは私の子を身篭ってるよ…」
咲 「ゆみさんおめでとー」カチャン
衣 「飲み過ぎだぞ…咲」
池田 「まぁ祝いの席なんだし良いじゃないか…帰りは旦那さんに迎えに来て貰うんだし…このこの!」ゲシゲシ
咲 「幸せでーす」テヘッ
かじゅ 「あぁ…私も幸せだ」クスッ
池田 「キャプテンは清澄の部長に持っていかれたし…」チビッ
かじゅ 「な、なんだと…!」ガタッ
衣 「ふぇ?」
iPS細胞wwww
咲 「もう、モモちゃんが居るんだからそんなに慌てちゃ駄目でしょ」
かじゅ 「あぁ…久のヤツ……私を振ったのは…」ブツブツブツ
池田 「姫松に居た愛宕洋榎、永水の滝見春、キャプテンに…竜門渕の国広一」
衣 「なにっ!」ガタッ
??? 「なんでsむぐっ
??? 「静かにしないと迷惑が掛かりますよ」ヒソヒソ
??? 「貴女に言われたくありませんわ!」ヒソヒソ
咲 「あはは部長、相変わらずだなぁ…」グビッ
池田 「最近では自分で竹井塾?ってのを開いたら女流男流問わず入門殺到らしいな」
かじゅ 「竹井塾か…」ボソッ
池田 「大星淡も入ったらしいな」
咲 「…あぁ、あの娘ね…無駄な事するだ」クスクス
衣 「…咲、慢心は足元を救われるぞ」
咲 「慢心せずして何が魔王か!…なんてね、どうして私…魔王なんて呼ばれるんだろ」グスン
池田 (な、泣き上戸!)
かじゅ 「そりゃ…トライアスロン決勝で東風半荘三麻を通していずれもプラマイゼロでいて優勝なんてしたら…」
池田 「ま、まだプラマイゼロやってたのか?」
咲 「だって卓にお姉ちゃんに淡がいるんだもん」
衣 「仲直りしたんじゃなかったのか?」
咲 「したよ?…でも、今度は私の生シュークリームを食べたんだよ…許せないよ」
かじゅ 「食べ物の恨みは恐ろしいと言うからな…」
池田 「どうする?調度なくなったしお開きにするか二次会に行くか…」
衣 「麻雀!衣はあの時以来に四人で麻雀が打ちたい!」
咲 「良いね!隣に雀荘あるし打ちに行こうよ!」
かじゅ 「四人か…懐かしいな」
池田 「よーし、華菜ちゃん今度は負けないし!」
―雀荘―
カランカラン
ボーイ 「いらっしゃ…えっ?…えぇぇっ!」ガクッ
客1 「み、宮永プロだ…」
客2 「北関東のコンピューターと名高い加治木プロも」
客3 「海底の天江…!そしてもう一人は…」
??? 「池田華菜、名門風越で三年連続大将を勤め近々プロ転向とも言われてる未完の大器…知らんけど」
客1 「み、三尋木プロ!」
池田 「……うわっ」
三尋木 「うわっとは失礼だな華菜ちゃん、どうだい考えてくれたかな?」
池田 「言ったじゃないですか…私はそんな器じゃないって」
三尋木 「過小評価しすぎなんじゃないかなぁ?ドラゴンロードちゃんプロになるみたいだし…知らんけど」
咲 「…ねぇ池田さん、早く打とうよ」
かじゅ 「そうだぞ」
衣 「また衣が海底で全員を震えさせてやる」
咲 「また私が責任払いで負かすけどね」
かじゅ 「ふっ…その嶺上また私が潰そう」
池田 「今度も華菜ちゃんは役満和了るし!」
三尋木 「ねぇ、…君がもしこの半荘で満足のいく結果を出せたらプロ転向考えくれるかな?」
池田 「……わかりました、この三人に満足の結果を出せたなら」
三尋木 「期待してるからね」
咲 「さぁ、麻雀を楽しもうよ!」チャッ
かじゅ 「あぁ…望む所だ」チャッ
衣 「完成した一向聴地獄味わうといい…!」チャッ
池田 「さぁて魔物退治といきますか!」チャッ
咲 「嶺上開花!」
衣 「海底模月!」
かじゅ 「槍槓!だ…そのカン成立せず…!」
客1 「一進一退の攻防…これは今日の負け分払ってもお釣りが来るぞ…」
客2 「役も滅多に出ないのばかりだしな」
客3 「あの三尋木プロお気に入りの娘も負けてないぞ…ほら…!」
池田 「…やっと来たな、ツモ…四暗刻単騎!」
かじゅ 「ばかな…こんな序盤で!!……無駄ツモなしだと?」
咲 「カン…!もういっこカン!…カン…カン!」
客1 「ス、スーカンツ…!」
かじゅ 「ツモ、大車輪」
衣 「リーチ、一発、海底、タンヤオ、チートイ、ドラドラ」
池田 「くそっ…三位か…」
三尋木 「…どうだった?」
池田 「三尋木さん…私、プロになります…!…まだまだ弱いけど三尋木さんの元で勉強させて下さい」
三尋木 「良いよ~…でも私の門下に入るからには覚悟しなきゃダメだよ?…知らんけど」
池田 「あーもう全てがわっかんねー」
三尋木 「ははっこりゃ期待出来そうだね」
かじゅ 「良かったな」
咲 「うん…これでまた四人で…プロの世界で麻雀が打てるね」
衣 「楽しみだ…なぁ咲」
咲 「なぁに?」
衣 「麻雀は楽しいな!」
咲 「う……っぷ」
ジョッキ持って待機
>>86
照「ゴクゴクプハーッ」
かじゅ 「飲み過ぎか?あんなに強い酒を飲むから…」
咲 「違う…これ、つわりだよ」
かじゅ 「二つめのお祝いだな、おめでとう」
衣 「おめでとう」
池田 「おめでとう!」
咲 「ありがとう…みんな大好き」
――――
『さぁ、女流モンド決勝も残り半荘一回となりました』
『“迫り来る怒涛の火力”池田プロ』
『卓上に開くは白百合の花!嶺上の宮永プロ』
『対峙すればまるで深海の圧力!海底の天江プロ』
『その打ち筋はまるでコンピューター…!七対の加治木プロ』
『藤田プロ…どう見ますか?』
藤田 「この四人が揃うのはIH県予選以来だな、あの時は宮永プロが勝ったが今回は――――やはり衣が何もせずに終わるとは思えないな」
『…………ありがとうございます、さぁ闘牌開始!!』
おわりです、読んでくれてありがとうございます
どうやら俺は>>86を「咲のゲロを受け止めるためにジョッキ持って待機」だと勘違いしたようだ
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