遊星「やっと食べれる」 (77)

デュエルアカデミア・高等部……

女子A「えっ、十六夜さんってDホイールのライセンス持ってるの!?」

アキ「ええ、一応持ってるけど」

女子B「あれって取るの難しいんだろ? 良く試験に合格出来たな」

アキ「運が良かっただけよ。それに私一人の力で取れた訳じゃないわ」

アキ「仲間が、遊星達が協力してくれたからこそ取れたのよ」

女子A「遊星……って誰だっけ?」

女子C「ほらぁ~、あの髪型は短尾下目っぽいけどぉ~イケメンのカッコ良い人だよぉ~」

女子B「ああ、十六夜さんの彼氏か」

アキ「ちょ、違うわよ! 遊星とは別にそんな……///」

女子A「またまた~この前楽しそうに一緒にクレープ食べてたくせに」ニヤニヤ

アキ「だからあれは誤解だって何度も言ったでしょ!?///」

女子A「じゃあどういう関係なのよ?」

アキ「ど、どんな関係って聞かれても……友達以上というか……絆という言葉が相応しいというか……」ゴニョゴニョ

女子B「この様子だと付き合ってないのは本当みたいだな」

女子C「でも十六夜さんがぁ~遊星さんの事好きなのはぁ~確実みたいだねぇ~」

アキ「何でそうなるのよ!?」

女子A「違うの?」

アキ「いや、それは、その……うぅ///」カァァ

女子A(本当に可愛いな、十六夜さんは)

女子B(あー家に持ち帰って無茶苦茶にしたい)

女子C(遊びがいがありますぅ~)

アキ「あの、もうこの話は止めにしない?」

女子A「そうね。じゃあ話は変わるけど遊星さんに告白とかはしないの?」

アキ「全然変わって無いじゃない! そもそも告白って何よ!?」

女子C「十六夜さんは遊星さんの事が好きなんですよねぇ~?
なら告白してぇ~恋人同士になりたいと思うのはぁ~当然の事だと私達は思うのですよぉ~」

女子A「十六夜さん可愛いんだから告白すれば絶対に成功するって! ねえ、良い機会と思ってやってみない?」

女子B(もし失敗したらその時は私が……)グッ

アキ「…………」

アキ「悪いけど告白とかそういうの……するつもりはないわ」

女子C「えぇ~何でですかぁ~?」

アキ「確かに私は遊星に、その、好意的な感情がまったく無いと言ったら嘘になるけど……」

アキ「それを言葉にして遊星に伝える気はないの。無理に遊星とそういう関係になりたい訳じゃないし」

アキ「それに私は今の遊星との関係に何の不満もないのよ?」

女子A「そんなの勿体ないよ。せっかく十六夜さんは遊星さんと近い位置にいるんだからは……」

キーンコーンカーンーコーン

アキ「はい、昼休みも終わったしこの話もお仕舞いね。次の授業の準備をしましょう」

女子A「むぅ、何かモヤモヤが残るな~」

女子B「だよな」

女子C「ですぅ~」

ポッポタイム・ガレージ……

アキ(今の遊星との関係に何の不満もない……それは紛れも無く私の本心よ)

アキ(遊星の側にいられるだけで、私は満足している)

アキ(むしろ下手な事をしてもし今の関係が壊れてしまったら……考えるだけでも怖いわ)

アキ(だからこのままで良いのよ。これからもずっと、遊星の仲間というだけで私は……)

遊星「――アキ? おい、アキ?」

アキ「え?」

遊星「どうした? ぼっ~とした顔でずっとこっちを見たりなんかして」

アキ「あ、ごめんなさい。ちょっと考えごとを……って、私、遊星を見てたの?」

遊星「ああ。もしかして俺に何か話したい事でもあるのか?」

アキ「べ、別に話なんてないわ! ていうか遊星の事なんて全然見てないし……遊星、ちょっと自意識過剰なんじゃない?」

遊星「そうか……勘違いしてすまない」

アキ「あっ……ごめんなさい。言い過ぎたわ」

アキ(もう、なんで私ったらここで声を荒げちゃうのかしら?)シュン

遊星「俺は気にしないよ。それよりお前のDホイールのメンテナンス、終わったぞ」

アキ「本当にありがとうね。作ってくれただけじゃなく、メンテナンスまでしてくれて」

遊星「気にするな。俺やジャック達のDホイールのメンテナンスのついでだしな」

アキ「でも最近は特に遊星にはいろいろとお世話になってるし」

遊星「俺が好きでやっている事だから気にする必要は……」

アキ「もう、さっきから気にするな、気にするって……そんな事言われたらこっちは余計に気になるのよ!!」プンスカブックス

遊星「そ、そうなのか? すまない」ビクッ

アキ(っといけない。私ったらまた……)

遊星(何だか今日のアキはやけにピリピリしているな)

アキ「コホン……と、とにかく私としては何かお礼でもしないと気が済まないのよ。
遊星、私にして欲しい事とかない?」

遊星「急に言われてもだな……あ」

アキ「何? 何かあるの?」

遊星「そうだな。ならアキの弁当が食べたい」

アキ「へ? 私のお弁当?」

遊星「一度作って来てくれたがその時は食べ損ねたからな。
その後にまた作ってくれると言ったが全然そんな事はなかったし」

アキ「うぅ、それはその……タイミングがいろいろ悪かったというか……何と言うか……」アセアセ

遊星「結構楽しみにしていたんだ。あの肉団子、また食べたいな」

アキ「でも本当にそんな物で良いの?」

遊星「アキの弁当は十分ご褒美になるさ。俺にとってはそれだけの価値があるんだからな」

アキ「そ、そう……じゃあ今度作って来る///」

アキ(もう、遊星ってたまにこういう事を平然と言って来るのよね。これが天然って言うものかしら?)

遊星「そうだな……どうせ食べるなら二人で何処か公園にでも行って食べるか」

アキ「はい?」

遊星「弁当は外で食べた方が美味しいだろうしな。勿論アキが良ければの話だが」

アキ(えっ、何これ? もしかして私……)

アキ(遊星に、デートに誘われてる!?///)ビックリボー

遊星「もしかして外で食べるのは嫌だったか?」

アキ「べ、別に嫌なんて言ってないでしょ!? 良いわよ、やってあげるわよ、外で一緒に食べてあげるわよ!!」

遊星「そうか。だがそこまで気合いを入れる必要はないぞ」

アキ「でも珍しいわね。遊星が一緒に出掛けようなんて言うの……」

遊星「実は最近クロウにたまには息抜きをしろとしつこく言われててな。
どうやらクロウの目から見ると俺は働き過ぎらしい」

アキ「そうなの?」

遊星「別に無理はしてないんだがな。睡眠も三日に一回はちゃんと取ってるし……」

アキ「……遊星、睡眠は普通毎日取るものなのよ?」

アキ(なるほど。つまり私と出掛けるのはたまの息抜きの為と……まあ最初から分かってたけど)

アキ(でも私と過ごす事で息抜きになるっていうのは、正直ちょっと嬉しいわね)クスッ

遊星「ん? 何かおかしかったか?」

アキ「何でもないわ。それより行くなら詳しい日程を決めましょうか」

遊星「そうだな」

その後の話し合いで遊星とアキの公園デートは次の連休の初日に決まった。

デート前日・十六夜邸……

アキ「……よし、お弁当の下ごしらえはこんなもので良いわね」

アキ(しかし自分で言うのも何だけど、私って本当に料理のスキル上がったわね。
少し前までインスタント食品しか作れなかったのが嘘みたいだわ)

アキ(これも全て牛尾さんの熱心な指導があったからこそ……牛尾さん、本当にありがとう。
早く彼女出来ると良いわね)

…………

牛尾「最後のは余計だ!!」

深影「牛尾君、何一人で騒いでるの?」

アキ「さて、今度は明日着る服選ばないと」

アキ(ああ、私浮かれてるな。自分でも分かる)

アキ(でも仕方ないわよね。明日は遊星と一緒にお出かけなんだから。
公園以外も町をブラブラしようって事にもなってるし)

アキ(あのクレープ屋さんにまた行くのも良いわね。それから……)


女子A『十六夜さん可愛いんだから告白すれば絶対に成功するって! ねえ、良い機会と思ってやってみない?』


アキ「~~~!?///」

アキ(もう、何でここでこういう事を思い出すのよ? べ、別に今回が良い機会だなんて思ってないんだから!!)

アキ(そ、それに自分でも言ったじゃない。今の関係を壊したくないから、遊星にはそういう事はしないって)

アキ(そもそも明日の目的は遊星に息抜きをプレゼントする事なのよ。
自分の事ばかり考えては駄目だわ)

アキ(変な事を考えるのはやめましょう……とにかく明日は遊星が楽しめる一日にしてあげなくちゃ)

アキ(ファイトよ、十六夜アキ!!)フンス

そしてデート当日……

アキ(さて、待ち合わせの時計台の前に来たけど……)

アキ「いくらなんでも来るのが早過ぎたわ。集合時間は10時なのに……」

現在の時刻『AM7:55』

アキ(二時間以上も前に来てしまうなんて……さすがに遊星はまだ来てないわよね)キョロキョロ

アキ(でもしょうがないじゃない、楽しみだったんだから。というか楽しみ過ぎて昨日はなかなか眠れなかったわ)スイミンブソックス

アキ(だけど……主役のお弁当は今までで一番良いのが出来た気がするわね)

アキ「遊星の好きな肉団子もたくさん入ってるし……今度こそこれを食べた遊星の笑顔が見られたら良いな」

『AM8:55』

アキ(まだ後1時間ちょっとか……やっぱり早過ぎたわね)

アキ(でも誰かを待つのって意外と悪くない……ん?)

ポタッ……ポタッ……

アキ「……雨?」

アキ(小雨だけど……おかしいわね、天気予報のお姉さんは今日一日晴れだって言ってたのに)

アキ(これぐらいの雨ならすぐに止むわよね? だけど何だか向こうの空の具合が徐に悪くなって来たような……)

アキ「…………」

アキ「だ、大丈夫よ。遊星が来るまでに止んでいれば良いんだから」

アキ「私は天気予報のお姉さんを信じるわ。とりあえず小雨が止むまでそこのコンビニに避難してましょう」

『AM9:10』

ザアアアアァァ……

アキ「…………」

アキ「何よ、土砂降りじゃない……今日は晴れのはずじゃなかったの?」

アキ(全然止む気配もない。これじゃあ……)

<レディトゥゴーギンガノハテマデオイカケテユクー

アキ(遊星から電話?)

アキ「もしもし、遊星?」

遊星『アキ、外は見たか?』

アキ「うん、凄い雨ね」

遊星『天気予報では一日晴れと言っていたんだが……仕方がないな』

遊星『止みそうもないし、残念だが今日は中止にしよう』

アキ「…………」

アキ「……そうね」

遊星『すまない。俺から誘ったのにこんな事になって』

アキ「良いのよ。遊星が悪い訳じゃないんだから」

遊星『……もしかしてもう家を出ているのか?』

アキ「ううん。ちょうどこれから出ようとしてたところだったの。
良いタイミングに電話をくれて助かったわ」

遊星『本当か?』

アキ「こんな事で嘘ついてどうするのよ。じゃあお弁当はまた今度って事で」

ピッ

アキ「…………」

アキ「……お姉さんの嘘つき」グスッ

アキ「…………」ゴシゴシ

アキ(とりあえずしばらくはここで雨宿りした方が良さそうね)

アキ(でも雨、本当に止む気配がないわ)

アキ(それに何だか遊星が来ないって分かった瞬間から、ここに居るのが辛くなって来たし……)

アキ「…………」

アキ「スイマセン、このビニール傘下さい」

アキ(少しくらい濡れてもいいや……もう帰りましょう)

ザアアアアァァ……

アキ「もう! 何なのよ、この天気は!!」

アキ(何だか風も強くなって来たし……やっぱりもう少しあのコンビニに居るべきだったわ)

アキ「もう絶対にあのお姉さんの事は信じないから……ってきゃあ!?」

バターン

アキ「な、何でこんな何もない所で……痛っ!?」

アキ(うぅ、膝擦りむいちゃった……って、あれ?)

アキ「お弁当……遊星にあげるはずだったったお弁当が入ってるバスケットは?
さっきまで手に持ってたのに?」キョロキョロ

アキ(あ、道路に転がってる! 早く拾わないと……)

<プップー

アキ(え?)

グシャ! バシャーン!

お弁当「」←車に轢かれてペッシャンコ

アキ「…………」←泥水かけられてびしょ濡れ

アキ「…………」

アキ「……アハハ」

アキ「……さすがにもう、どうしようもないわね、これは」

アキ(何よ、これ……少し前まではあんなにウキウキしてたのに)

アキ(今日一日、とても楽しく過ごせるはずだったのに……)ジワッ

アキ「私が……何をしたっていうのよ……?」ポロポロ

アキ「ぐすっ……ひくっ……」

アキ(もうやだ……何で私、こんな……)

アキ「ぐすっ……遊星ぇ……遊星ぇ……」


遊星「――呼んだか?」


アキ「……え?」

遊星「やっぱりもう家を出ていたんだな。こんな事で嘘をつくな」

アキ(何で遊星が……ここに?)

遊星「びしょ濡れじゃないか。傘は……転がってるこれか」

アキ(夢? 幻? ううん、現実に遊星は私の前に居る)

遊星「膝大丈夫か? 立てるか?」

アキ(遊星が来て……くれた)

アキ「うっ、ふぇぇん……えぐっ、ひくっ……」ポロポロ

遊星「……とりあえずポッポタイムのガレージまで来い。これ以上ここに居たら風邪を引く」

遊星「さあ、俺の手を掴め」

アキ「ぐすっ……うん」コクン

…………

遊星「よし、膝の手当てはこれで良いだろう」

アキ「……迷惑かけてごめんなさい」

遊星「気にするな……いや、こう言うとアキは逆に気にするんだったか」

アキ「今は遊星一人、なの?」

遊星「ああ。クロウは仕事、ブルーノはセキュリティに用があるらしい。
ジャックは……多分何時もの喫茶店だろ」

遊星「ほら、アキの好きな紅茶だ。温まるぞ」

アキ「……ありがとう」

アキ「ねえ、遊星……何で来てくれたの?」

遊星「え?」

アキ「私、まだ家に居るって嘘ついたのに、何であの場所に来てくれたの?」

遊星「……アキに電話をした時、受話器の向こうから店員らしき人の声が聞こえた気がしたんだ。
だからアキが何処かの店に居ると想像は出来た」

遊星「だが俺の記憶ではアキの家の近くにそれらしい店はない」

遊星「そしたらふと、時計台の近くにコンビニがあったのを思い出してな。それでもしかしたらと思って……」

アキ「近くを探してくれたって事?」

遊星「そういう事だ。しかし行ってみて本当に良かったよ」

アキ「…………」

ダイエットの人?

>>40
そうです

遊星「……雨、凄いな」

アキ「……そうね」

遊星「そういえばあの時も急な雨だったな」

アキ「あの時って?」

遊星「前にアキの家に行った時さ。あの時は風呂にまで誘われて、正直戸惑った覚えがある」

アキ「そういえばそうね……もしかして私って雨女なのかしら?」

アキ「こんな大事な日にも……雨が降るんだもの」

遊星「アキ?」

アキ「遊星が私のお弁当食べたいって言ってくれた時、私とても嬉しかった」

アキ「だから今日のお弁当は、凄く頑張って作ったの……それで自分で言うのも何だけど、結構良いのが出来たのよ」

アキ「だけど今日は雨が降って外で……食べられなくなって……」

アキ「肝心の……ひくっ……お弁当も落として……轢かれて……駄目にして……」ジワッ

アキ「ごめんなさい……遊星……ひくっ……お弁当食べさせてあげられなくて……ごめんなさい……ひくっ……」ポロポロ

遊星「アキ……」

アキ「な、泣かれても遊星も、ひくっ、困るわよね……分かってる、ごめんなさい……すぐ、泣き止むから……」

アキ「うぅ……えぐっ、えぐっ……ごめんなさい……ごめんなさい……」

遊星「アキ、お前は何も悪くない。謝る必要なんてないんだぞ?」

アキ「だけど……私……何だか申し訳なくて……」

アキ「遊星に、ひくっ、迷惑、ひくっ、かけてばっかりだし……」

遊星「…………」

アキ「うぅ……ぐすっ……ひくっ……」

遊星「…………」

遊星「…………」ナデナデ

アキ「ぐすっ……ゆ、遊星?」

遊星「子供の頃、何だが……」

遊星「辛い時や悲しい時に泣いていたら、マーサがこんな風に頭を撫でてくれたんだ」

遊星「そうすると不思議なもので、何だか安心した気持ちになって……自然と涙も止まってきたんだ」

遊星「俺にマーサと同じ事が出来るかは分からないが……」

遊星「アキの悲しんでいる姿は、あまり見たくない。だから……」

アキ「遊星……」

遊星「…………」ナデナデ

アキ(遊星は、やっぱり優しい)

アキ(貴方のその言葉に、その行動に、私は何度も助けられている)

アキ(そんな貴方だから、私は……)

ピカッ!

遊星&アキ「「!」」

ガシャアアアン!!

アキ「きゃああああぁぁ!?」

遊星「うわっ!?」

アキ「ゆ、遊星。今の……」ドキドキ

遊星「ああ、かなり近くに落ちたみたいだな。さすがに俺も驚いた」ドキドキ

アキ「もう、雷まで落ちるなんて本当に何処が今日一日晴れ……!?」

アキ(わ、私……今ので思わず遊星に抱き着いちゃってる!?///)

アキ(いけない! すぐに離れないと……!)

アキ(離れ、ないと……)

アキ「…………」

遊星「アキ?」

アキ「…………///」ギュ

アキ(遊星の鼓動を、温かさを感じる……)

アキ(離れたくない。今も、これからも……)

アキ(遊星の側に、この人の隣に居たい)

遊星「アキ、どうかしたのか?」

アキ(駄目……もう、抑えられない)

アキ「ゆ、遊星……///」

遊星「何だ?」

アキ「あのね……私、私しね……///」

遊星「…………」

アキ「私、遊星の、遊星の事が……///」




クロウ「ただいまー。たくっ、ひっでー雨だぜ」ドアガチャ

アキ「きゃああああああああああ!?!?///」ドン☆

クロウ「あれ、アキ来てたのか? 何だよ、いきなり悲鳴なんかあげて」

アキ「なっ、何でもないわよ! ちょっと驚いただけよ!!」アセアセ

クロウ「何か驚く事なんかあったか? つーかお前、今日は遊星と一緒に出掛け……って、この天気じゃ無理か」

クロウ「成る程、それで代わりにウチに遊びに来てたのか」

アキ「え、ええ。まあそんな所よ……アハ、アハハ」

アキ(今私、遊星に何を言おうとしていたのかしら?)

アキ(もしクロウが来なかったら……私……///)

クロウ「で、遊星は何処行ったんだ? トイレか?」

アキ「え? 遊星なら私の隣に……って、あれ?」


遊星「」←近くのごみ箱に頭から突っ込んでる


アキ「ゆ、遊星ぇぇぇ!?」ビックリボー

アキ「何でそんなスッポリ綺麗にごみ箱にはまってるの!? って、もしかしなくても私がさっき突き飛ばしたせい!?(汗」

クロウ「おい、これなんか身体も変な方向に曲がってね? 海老反りというか、イナバウアーというか……てか普通にやばくねーか、これ?(汗」

アキ「いやぁ、何か変にぴくぴく痙攣してるぅ~! しっかりして、遊星! 遊星ぇ~!!(泣」

その後、雨は夕方まで降り続けた。

翌日……

アキ「本当にごめんなさい……」シュン

遊星「ちょっと首と腰を痛めただけだ。しばらく安静にしていれば治る。
気にするな」

アキ「……いや、さすがにこんな事して気にしないのは無神経過ぎると思うわ」

遊星「そうか? だが本当に大丈夫だからあまり落ち込むな」

アキ「でも……」

遊星「まあ、正直残念に思う事もあるがな」

アキ「え?」

遊星「今日は昨日と違ってとても良い天気だし、アキも学校は休みだ。
昨日の仕切直しをするにはちょうど良かったんだが……」

アキ「その身体じゃ無理よね……本当にごめんなさい」

遊星「いや、別にアキを責めている訳じゃないんだ。ただまたアキの弁当を食い損ねたのが残念だなと思って」

アキ「その事何だけど……はい」

遊星「ん、これは?」

アキ「お弁当よ。昨日の作ったのよりはちょっとだけ、グレード下がっちゃてるかもしれないけど」

アキ「遊星、凄く楽しみにしてたみたいだから」

アキ「外に出るのは無理だけど、とりあえずお弁当は食べさせてあげようかなと思って、その……」

遊星「……そうか」

遊星「ありがとうな、アキ」ニコッ

アキ「……お礼なんて良いわよ。それは今回のお詫びも兼ねてるんだから///」プイッ

遊星「しかしようやくちゃんとアキの弁当が食べられるんだな。何だかとても長かった気がする」

アキ「悪かったわね……あ、そうだ。食べる前に一つ気になる事があるんだけど聞いても良い?」

遊星「何だ?」

アキ「落ち着いて考えてみたんだけど、やっぱり私と二人だけで出掛けようなんて言うのは遊星らしくないと思うのよ」

アキ「普段の遊星ならこういう時はジャック達も誘ってみんなで行こうって言いそうじゃない?」

アキ「何で私と二人だけで外に食べに行こうなんて言ったの?」

遊星「それ……言わないと駄目か?」

アキ「え、何か言いにくい理由なの?」

遊星「そういう訳ではないんだが……」

アキ「何よ、珍しく歯切れが悪いじゃない。余計気になって来たんだけど?」

遊星「……笑わないか?」

アキ「笑わないわよ」

遊星「その、他のみんなを誘ったら……当然みんなでアキの弁当を食べるだろ?」

アキ「まあそうなるでしょうね」

遊星「そうしたら……その、食べられる量が減るだろ」

アキ「え?」

遊星「アキの弁当は美味しいから……出来れば一人でたくさん食べたかったんだ」

アキ「…………」ボーゼンマイン

遊星「だから他のみんなはあまり誘いたくなかったんだ……すまん、こんな卑しい理由で」

アキ「……プッ! クスクス、アハハハハハ♪」

遊星「……おい、笑わないと言っただろ?」

アキ「ご、ごめんなさい。でも理由があまりにも子供っぽくて……アハハハ♪」

遊星「くっ、やっぱり言うんじゃなかった……」

アキ「そんなに拗ねないでよ。ふ~ん、そうなんだ~。
遊星は私のお弁当そんなに気にいってくれたんだ~、ふ~ん」ニヤニヤ

遊星「……まあそういう事になるな」

アキ「そんなに気にいってくれたなら……私、遊星専属のコックさんになってあげても良いわよ」

遊星「え?」

アキ「これからは遊星の為だけに料理を作ってあげるわ。それなら他の誰かに取られる心配もないでしょ?」

アキ「貴方の好きなもの、美味しいものをたくさん作ってあげる」

アキ「だから安心して今は私のお弁当を召し上がれ、遊星♪」

おわり

今更ですがこの話は以前書いた、

『アキ「遊星ってちゃんとご飯食べてるのかしら?」』

『アキ「ある日の午後」』

『遊星「丸くなったな」』

の続きとなっており、今回で一応完結です。今回読んでくれた人も今まで読んでくれた人もありがとうございました。

それと前回続きはクリスマスに書くみたいな事を言いましたが、考えてみればクリスマスにこんなもの書いてたら自分にダメージがでか過ぎるので少し早めの投下となりました。
ではでは。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom