紅莉栖「ガンダムウォー?」岡部「そうだ」(145)
紅莉栖「ガンダムってアレ?あの有名な機動戦士?」
ダル「そうだお。これはそのカードゲーム」
紅莉栖「それにしても大量のカード束ね。これだけ積み上げてると壮観だわ」
岡部「戦闘フェイズ、ダブルオークアンタで宇宙に出撃。このまま何もなければ高機動で9点」
ダル「この手札だと何も出来ないっつぅの。高機動とか無理ゲー。クアンタ強すぎだろ常考……」
紅莉栖「…………それにしても大学生にもなってカードゲームに熱中する男の人()って……」
岡部「ええい、うるさい!普段やってる雷ネットもそう変わらんではないか」
まゆり「えへへ、オカリンはガンダム好きだもんねぇ」
紅莉栖「まぁそれはそうだけど……なんでまた急にやりだしたのよ。今までラボでやってる所なんて見たことないわよ」
ダル「いやぁ、さっきラボの作業室掃除してたら棚から出てきたもんでつい懐かしくて」
紅莉栖「なんだってそんなところにあるのよ……」
岡部「…………まぁ、厳密にいうとこれらは終わったカードゲームだからな」
紅莉栖「終わった?どういうこと?」
岡部「ガンダムウォーは10年以上続いたカードゲームだが、公式によるサポート終了済みってことだ」
ダル「話し出すと長くなるからはしょるけど。簡単に言うと新ガンダム発表と同時に新しいフォーマットに移行したい企業側の意向つーか。ま、その時に結構ごたごたがあったわけっしょ」
岡部「旧来のファンを切り捨てるどころかほぼ売り逃げに近い形で終わったのはさすがに許せん」
ダル「そんなこと言っても仕方ないっしょ。ガンダムゲーがそうなるのはある種の運命つーか。僕としてはオカリンこそバンダイに何を期待してたんだかって感じ」
岡部「何をいうか最終弾で調整放棄したカード出しまくって売り逃げなど許されるものではない!あれこそが世界の歪み、俺たちが断ち切るべきものっ!!」
紅莉栖「はいはいわろすわろす。よくわからないけどひどい終わり方したってことね」
岡部「………まぁ、そうだ。それで封印という名の物置行きしていたわけだ。だから正直に言うと俺はいまだにあの新作ガンダムは好きになれん」
まゆり「ええー?まゆしぃはガンダムAGEも好きだけどなぁ。第二部の主人公とか格好いいと思うのです」
ダル「いや、まゆ氏には悪いけどやっぱり最強はGガン一択っしょ!」
岡部「ええい五月蠅い!!なにを言っているか貴様らガンダムと言ったら00に決まっているだろ!!」
紅莉栖「…………ダメだこのガンダムオタクども、早くなんとかしないと…………」
紅莉栖「あれ?まゆりもやってるの?」
まゆり「えっへへ~。この頃はAGEはなかったけどSEEDのデッキを持ってたよ~」
紅莉栖「へぇ、女の子も普通にやるのね」
岡部「なんだ?気になるのか助手よ。ここにあるカード使ってデッキ組んでみるか?」
紅莉栖「だから助手じゃないってば……って、え、私が?」
岡部「どうせサポート終了してるからな今じゃ二束三文の紙束にしかならん。これらはラボの備品でもあるからお前が使うのも自由だ」
まゆり「うわぁ、いいねぇ~楽しいから紅莉栖ちゃんもやろうよ~」
紅莉栖「え、ちょ、いきなり言われても……」
岡部「ふふん、怖じ気づくのもしかたない。例え貴様が天才変態少女といってもこの狂気のマァッドサイエンティスト、鳳凰院凶魔に勝つことは出来んからな!フゥーハハハ!!」
紅莉栖「…………まゆり、説明書か何かある?」イラッ
まゆり「はい、これだよー」
まゆり「大丈夫、紅莉栖ちゃん?わかる?」
紅莉栖「ふむん。ベースはだいたいMTGと同じ部分が多いわね。OK、これなら出来るわ」
まゆり「えむてぃー……?」
紅莉栖「マジックザギャザリング。そういうカードゲームがあってね。ほらこのジェネレーションの概念が土地ってのとよく似てるのよ。それなら向こうで少しやってたこと
があるからなんとかなりそう」
ダル「なに、牧瀬氏ギャザわかるん?」
岡部「なんだ助手よあんな言いぐさしてたわりにカードゲーム経験者か」
紅莉栖「飽くまでもテーブルゲームの一部として軽くね。一時期研究室でカタンやらドミニオンやら流行ってたから」
岡部「かたん?」
まゆり「どみにおん?」
紅莉栖「将棋や麻雀などのテーブルゲームの一種だと思ってくれて構わないわ。ふむ、このガンダムウォーっていうのは簡単にいうと相手の山札を削っていって先に0にした方が勝ちというわけね」
ダル「そうだお。汚染コインやら色々と他の特殊勝利もあるけど大体はそれでいいお」
紅莉栖「さて!そこにいる狂気のマッドサイエンティスト様をこてんぱんに叩きのめすためにデッキ作らないと。まゆり、オススメのカードとかあったら教えてくれない?」
まゆり「えっと。あのね、まゆしぃが好きなのはこのカードとぉ……」
岡部「…………」
ダル「…………」
岡部「…………」
ダル「……どうするん、オカリン」
岡部「どうするも何もないだろう」
ダル「オカリンは確かガチデッキしか残してなかったけどそのまま使う気なん?」
岡部「ああ、フリプレ用やネタデッキはだいたいバラしたからな」
ダル「え、まじで接待しないん?」
岡部「はぁ?するわけがないだろう!なぜこの俺が助手ごときに接待をしてやらなければならないのだ!」
ダル「オカリンマジ鬼畜。そんなの牧瀬氏がいくら天才でも勝てるわけないっつうの」
岡部「フハハ、当然だ!助手には世の中の無情さというものを少しは味わってもらわねばなるまい!」
ダル「………ここ最近論破されまくってたストレスをこれ幸いと発散しようとするオカリンまじちっちぇーっす」
紅莉栖「…………よし、出来たわ。サンクスまゆり」
まゆり「えへへ」
紅莉栖「さて、勝負よ岡部!このデッキで叩きのめしてあげるわ!ふぅーははは!」
ダル「……あー、牧瀬氏?」
紅莉栖「え、なに?」
ダル「悪いこと言わないからいきなりオカリンとやるのはやめた方がいいと思われ」
紅莉栖「なんでよ。それははじめてのカードゲームなんだから負けるかもしれないけど……」
岡部「ふむ。ダルにはわかっているようだな。助手程度俺の手を煩わせるまでもないということが!」
紅莉栖「…………今の私は無性にあいつをこてんぱんにしてやりたい」
ダル「いや、牧瀬氏がいいなら止めないんだが」
紅莉栖「さぁ勝負よ岡部!」
ダル「牧瀬氏無茶しやがって……」
まゆり「紅莉栖ちゃん、頑張ってね!」
岡部「このゲームは先攻有利だ。本来ならじゃんけんで決めるのだが初心者の助手に先攻をプレゼントしてやろぉう。フハハ!」
紅莉栖「……貰えるものは貰っておくわ」(イラッ
岡部「結果はわかりきってはいるが、さぁ助手よ、かかってくるがいい!」
紅莉栖「だから私はあんたの助手じゃない!」
紅莉栖「えっと、デッキより手札を6枚引いて、先攻はドローはなし、だよね?」
まゆり「あってるよー」
紅莉栖「白ジェネレーションを配備エリアにプレイして……っと、もう出来ることないかな」
岡部「こっちのターンいいか?」
紅莉栖「どうぞ」
岡部「リロールドロー。配備。赤貯めGプレイ、内部調査プレイ。何もなければこちらのターン終了したいです」
内部調査
(常時):《R》プレイヤー1人は、自軍本国の上のカードを見て、元の本国の上か下に戻す。
紅莉栖「え、ちょ」
岡部「…………」
紅莉栖「ぇ?」
岡部「……ん?早かったか?何かあるなら巻き戻すが」
紅莉栖「」
紅莉栖(ヤバイよくわからないけどヤバイ)
紅莉栖(なに言ってるかぜんぜんわからない。しかもなんか早い。これは……カードを触る手つきといい岡部から『手慣れている』感が凄く伝わってくる)
まゆり「もうオカリン!そんな言い方じゃ紅莉栖ちゃん初心者さんなんだからわからないよ~」
岡部「む。これでも丁寧にやってるつもりなんだが」
ダル「まぁ、いつもの身内プレイよりは大分丁寧だったけどさ」
紅莉栖(雷ネットの岡部の感じからどうせ適当にやれば勝てるかもと思ったけど――――違う!)
紅莉栖「……岡部、きさまこのゲームやり込んでいるなッ!」
岡部「答える必要はない」フフン
まゆり「大丈夫?紅莉栖ちゃん……」
紅莉栖「……大丈夫よ、まゆり。続けるわよ岡部」
紅莉栖「リロールフェイズにカードを起こして、ドローフェイズに山札から一枚ドロー……」
紅莉栖(岡部がさっきいってたリロールとドローってのはこれのこと……?わざわざ口に出して宣言するのが普通なのかしら)
岡部「」シャカシャカシャカシャカ
紅莉栖(なんか物凄い勢いで手札シャッフルしてる……)
紅莉栖「…………配備フェイズに白ジェネレーションを配備エリアにプレイ」
紅莉栖(焦るな、私の手札にはストライクノワールがいる)
ストライクノワール
【PS装甲】 特殊シールド(3)
(ダメージ判定ステップ):《[3・4](0)》このカードが戦闘エリアにいる場合、手札にある合計国力Xを持つカード1枚を選んで廃棄する。その場合、リロール状態の敵軍ユニット1枚にXダメージを与える。
または、このカードと交戦中の、X以下の合計国力を持つ敵軍ユニット1枚を破壊する。
[5][2][5]
紅莉栖(まゆりから聞いた話だと白は4国力並んでからが勝負。4国力並べばストライクノワールが出せる……このまま順調に白ジェネレーションを並べていけば、大丈夫)
紅莉栖「じゃあ終了d」
岡部「待った。そちらの帰還ステップに内部調査使用したい」
紅莉栖「ぇ、ぁ、はい」
岡部「(デッキを一枚見る)……下。ではこちらのターンいいですか?」
紅莉栖「ど、どうぞ」
紅莉栖(なにこの敬語。なにこの今まで見たことも聞いたこともないまともな岡部)
岡部「リロール、ドローフェイズ規定の効果前に内部調査使用」
ペラ
岡部「(デッキを一枚見る)上で。ドロー」
岡部「配備。紫基本Gセット、Oガンダムプレイしたい」
Oガンダム
プリベント(3)
(自動D):このカードの部隊が戦闘ダメージを与えた場合、敵軍捨て山の上のカード3枚までを見て、その中にある基本G以外のカード1枚を自軍ハンガーに移す事ができる。この効果は重複しない。
[3][1][3]
紅莉栖「あ、え……?」
岡部「……プレイしていいか?」シャカシャカシャカシャカ
紅莉栖「はい……」
紅莉栖(え、なんで私に聞くの?え、え?そういうもの?ヤバイ。わからん。ぜんっぜんわからん)
紅莉栖「」
岡部「ふむ。まぁ当然の結果だな」
紅莉栖「なんぞこれ……」
紅莉栖(結局、よくわからないままとにかく圧倒されて普通に負けた)
岡部「だがやっぱり長いこと触ってないと腕が鈍ってるな、何度かプレイミスをした箇所があった」
ダル「あ、やっぱり?内調起動忘れもあったし、終盤のハッキングはやっぱりカウンターしとくべきじゃね?」
岡部「初心者が作った白だからどんなカードがあったか正直怖い部分もあったから一枚握っておきたかったんだ。バウンスや焼き使われてハイマットどうにか通されたら終わるからな」
ダル「そりゃそうだけど結局後攻5ターン目にミーティア換装してきたら焼き切られて終わる罠」
岡部「奪われた獣握ってたからそこは大丈夫だ。というかそこを通された後のカウンター対策カウンターとしても持ってたかったんだがな」
紅莉栖(…………日本語でおk。もしくは英語でもおk)
まゆり「紅莉栖ちゃん、お疲れ様ー。ドクペ切れちゃってたからお茶だけど飲む~?」
紅莉栖「……あ、ありがとう。まゆり」
岡部「なに?ドクペがきれているだと?この狂気のマァッドサイエンティストの偉大な勝利を祝うのにドクペがなければ片手落ちだな」
岡部「というわけでちょっと買い出しにいってくる、なんか買ってくるものあるか?」
まゆり「ないよー」
ダル「ついでにダイエットコーラよろ」
岡部「了解した。……おおぅ、助手をコテンパンにしたあとのこの外の空気のなんという気持ちよさよ!!空気がうまい!!」
紅莉栖「くっ」
岡部「おお、なんという清々しさだ、世界が輝いて見える!狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真、未来を切り開く!!フゥーハ、ハ、ハ、ハ、ハ!!」(タッタッタッ
まゆり「オカリンいってらっしゃーい」
ダル「それにしてもこのオカリンノリノリである」
まゆり「紅莉栖ちゃんに勝てたのがよっぽど嬉しかったんだねぇ~」
ダル「ACE出された上に司令部貼られて場にはジャジャハンマとクアンタでカウンターも何枚も握られて……確かに稀にみるふるぼっこタイムだった罠」
紅莉栖「いったいなんなの、あの強さとテンション……」
まゆり「オカリン強いからねぇ」
ダル「いやぁやっぱりいきなり勝とうってのは無理っしょ。だいたいオカリンは――――」
紅莉栖「待って。今回は圧倒的に私の経験が足りなかった。知識が足りなかった。OK?」
ダル「オーキードーキー」
紅莉栖「…………よっし。お茶ありがとまゆり」
まゆり「あれ?紅莉栖ちゃんも出て行っちゃうの?」
紅莉栖「帰ってきた岡部になに言われ続けるかわかったもんじゃないから今日はもう帰るわ」
まゆり「ならこのカード束も一緒に持っていってもいいよぉ」
紅莉栖「いいの?サンクスまゆり。あと橋田、明日までにこのゲーム調べてくるから岡部に首を洗って待ってなさいって伝えといて」(タッタッタッ
ダル「そしてこの牧瀬氏やる気満々である」
まゆり「紅莉栖ちゃんも負けず嫌いなのです、えへへ」
ホテル 紅莉栖自室
紅莉栖「ふむん。夕飯も惜しんで色々調べたけどさすがにサポート終了してるだけあってネットに流れてる動画とかは少ないわね」(カチカチ
紅莉栖「……だけど、数時間かけて細かいルールも試合の流れもだいたい覚えた」
紅莉栖「私がカードを借りて作ったデッキは白中速デッキ。岡部の使っていた赤紫OOデッキには相性が悪い」
紅莉栖「バウンスやらカウンターやらを持つコントロール色の赤に対して、単純なユニットパワーや器用貧乏のコマンドで正面から押していくことになるから……」
紅莉栖「ダメね、結局はバウンス対策になるレイ・ザ・バレルを通すか通さないかの話になる……」(ブツブツ
紅莉栖「そうなると元々カウンター色の赤に対してこちら側に不利だわ。手札枚数、ドローはそれほど負けてないとは思うけど……」(ブツブツ
紅莉栖「…………やっぱりダメだわ。こんなんじゃ岡部に勝てないわ。いっそのこと公式大会の優勝デッキとかを完全コピーした方が早い……?」(カチカチ
紅莉栖「ネグザ?……違う。AGEがあるからこっちは岡部たちが言ってた新フォーマットの方ね」
紅莉栖「なんでこっちはやらないのかしら?確かに聞く限りゲームや漫画などのガンダムの商法はひどいって有名だけど……裏切られたオタク心理ってやつかしら」(カチカチ
紅莉栖「……よかった、旧公式ホームページはまだあったのね」
紅莉栖「えっと。結果レポートは……ここか。よし、あった。入賞者達のデッキ」
紅莉栖「これらに載ってるデッキを完全コピーすれば少なくともデッキだけは環境最強になる。後は私が使いこなせさえすれば……」
紅莉栖「って、え?」
――――チャンピオンシップ予選東京地区 Bブロック 優勝 鳳凰院凶真
紅莉栖「」
紅莉栖「な、なんぞこれええええええええええええええ!!」
翌日、未来ガジェット研究所
紅莉栖「岡部ええええええ!!」
岡部「む、どうした助手。今日は負けて帰ったというのにやけに早いではないか。フハハ!貴様も我が助手として――――」
紅莉栖「こ、これ!!これどういうことよ!!」
岡部「ええい!!人の台詞を遮るでないわぁ!」
ダル「どうしたん朝っぱら騒いで。……ん?なんかの印刷用紙?新しいガジェットの設計図なん?」
紅莉栖「違う!いいからこれについて説明しなさい!」
岡部「これは…………む、懐かしいな」
ダル「お、優勝した時の結果表じゃん。なっつー、この時も赤紫使ってたっけ?」
岡部「違うそれは次の時だ。この時はダブルオーが出てなかったから青ウィニーだ。これはダルも7位だった時だろうが、ほら名前もある」
ダル「あ、ほんとだ。それにしてもオカリンだけ偽名とか卑怯すぎだろ常考。この情報社会に本名流出とかマジ勘弁」
岡部「ニックネーム不可とか結果用紙に何も記載されてなかったからな。駄目元で書いたら通っただけだ」
ダル「普段からそんな名前を名乗ってるのオカリンだけっしょ……」
紅莉栖「」
紅莉栖「…………ちょっと待って。これ本当に岡部なの?」
岡部「なにをいうか助手」
ダル「いや牧瀬氏、こうやって3位以内は全身写真まで載ってるのにそれはないっしょ。こんな白衣着て映ってるやつなんてオカリンだけだっつーの」
紅莉栖「いやだって優勝って。これ地区予選のかなり大きい公式大会でしょ?全国で6都市でしか開催されないって書いてあるけど……」
岡部「なにをいうかフェイリスだって雷ネットで優勝してる。狂気のマッドサイエンティストであるこの俺にもそれくらい出来なくてどうする」フンッ
ダル「常勝不敗のフェイリスたんマジぱねぇっす」
ダル「オカリンはこの時はGT決勝までいって、結局全国で20位くらいだったんだっけ?」
岡部「18位な。3回戦目で台湾代表に負けたんだ……」
ダル「あー、そうだったそうだった。僕も外から見て応援してたから覚えてるお」
岡部「……あの時のことを思うと今でも悔しく思う……俺は……ガンダムになれなかった……」
紅莉栖「どういうことなの……」
紅莉栖「そんな相手に初心者の私が勝てるわけないじゃない!初心者狩り乙!」
ダル「だからオカリンに勝てるわけないって言ったのに。聞かなかったのは牧瀬氏な罠」
紅莉栖「はぁ……。それにしてもこれって高校生の時?なんか岡部が今より小さいっぽいけど」
ダル「ん?なんぞこの時のこと興味あるん?確か、他にもオカリンの写真とデッキ解説が載ってたゲームジャパンとかもラボにとってあったはずだけど」
紅莉栖「……本に載るって、それってかなり凄いことじゃないの?」
岡部「はぁ?サイエンス誌の表紙を飾ったこともあるお前がそれを言うか?なんだ、新手の嫌みか?」
紅莉栖「違うわ!いや、だからそんなことじゃなくて……」
ダル「いや、まぁ。比べる低次元が違いすぎるけど確かにオタク界隈の一部では確かにオカリンも凄いっしょ」
岡部「……おい、その言い方はそれはそれでイラっとくるぞ」
ダル「流行のテンプレデッキじゃなかったからオカリンのデッキを元にしたコピーデッキが作られるレベルだったし。この大会の後にショップ大会出たときにオカリンのコピーデッキに当たった時は僕も笑いこらえるのに必死になった罠」
岡部「ええい、くだらん!あの時は運がよかっただけだ!」
紅莉栖「…………もはやカードゲームに熱中する大学生ってレベルじゃなかった件について」
岡部「…………勘違いするなよクリスティーナ」
紅莉栖「なにを?」
岡部「こういう大きな大会に出るとわかるがな、2勝先取の戦いを5セット中4回勝てればだいたい15位以内なわけだ」
紅莉栖「15位ね……それは何人くらいの中で?」
岡部「ふむ。ブロックでわかれるからだいたい1ブロックにつき400か500人くらいだな」
岡部「そこらへんに集まるやつらの実力はだいたい同じなんだ。おまけに3分の1近くは見たことのある様な面子が集まる」
岡部「俺がガンダムウォーをプレイしたのは実質3年くらいだったがそれくらい長くプレイしてると一度も話したことはないが大会で何度も戦ったことのある顔見知りも多くなる」
岡部「いいか?実力は同じなんだ。勝敗をわけるのは運だ。その中でその日一番運がいいやつが勝つ」
紅莉栖「分かりづらい。何がいいたいの?仮にも大学生なら要点をまとめて話をしなさい」
岡部「俺が特別強かったってわけじゃない、運がよかっただけだ」
ダル「強者の余裕っすなー。こっちは毎回その4勝ラインいけるかすらギリギリだったつーの」
岡部「ええい、茶々を入れるな!それに地区はともかく結局全国一位になったことなんて一度もなかったわ!そんな成績で誇れるか!」
紅莉栖「はいはい乙乙。アンタの武勇伝()なんかどうでもいいです」
岡部「んなっ」
紅莉栖「それよりさっきの話聞く限り橋田は岡部よりは弱いの?」
ダル「ん?そりゃそうっしょ。そもそもGガン使って上位入賞なんてよっぽどのことがなけりゃ無理っしょ」
紅莉栖「Gガンダムってことは茶色、か」
ダル「おっ、牧瀬氏マジで調べてきたん?」
紅莉栖(色としてはそこまで相性は悪くない……か……)
ダル「なんなん?僕とやる?」
紅莉栖「負けっ放しじゃちょっと癪だから、ね。まだ勝てないから。ひとまず岡部は放っておいて対戦の腕を磨くわ」
ダル「僕はオカリンみたいなガチデッキしか持ってない空気読めない子じゃないから安心するといいお」
岡部「…………おい」
ダル「準備OKだお」
紅莉栖「デッキカット、OKっと。じゃあ始めましょ」
ダル「じゃ……ゴホン……いくぞおおおおおおおおおおおお!!
紅莉栖「」
ダル「ガンダムファイトォォォー!!レディィィィー!」
紅莉栖「」
ダル「ゴオオオオオオオオオオォォォォォ!!」
紅莉栖「…………なんぞこれ」
岡部「ダルがおかしいだけと思うだろ?だが公式大会ではジャッジと一緒にみんなでこのかけ声を叫んではじまるのだ……」(ボソボソ
紅莉栖「うわぁ…………」
紅莉栖「手札6枚」
ダル「こっちも6枚だお。じゃんけんぽん」
紅莉栖「私の勝ちね。先攻貰うわ」
ダル「ういっす」
紅莉栖「手札チェック…………初期手札にGがないわ(手札晒す)マリガンするわ」シャカシャカ
ダル「OKだお。こっちはマリガンなし」
岡部(昨日の負けがそこまで嫌だったのか……どうやら本当に勉強してきてるみたいだな)
紅莉栖「6枚…………OK。いけるわ」
ダル「どうぞ」
紅莉栖「先攻、白Gセット、終了」
ダル「ターンもらうお。ドロー、茶Gセット、終了」
紅莉栖「リロール、ドロー。白Gセット、終了」
ダル「ちょっと待つお。そちらの帰還ステップにコレンカプルをクイックでプレイ」
カプル(コレン専用)
【1枚制限/自軍】 クイック 《(1)》特殊兵装〔ロケットパンチ〕
(防御ステップ):《(1)》このカードを戦闘エリアの先頭に移し、その戦闘エリアにいる敵軍ユニット1枚を、持ち主の配備エリアに移す。
宇宙 地球 [3][1][1]
岡部(コレンカプル入ってる時点でそれなりのガチデッキじゃないか……ひたすら一緒に戦ってたせいでダルも感覚がおかしくなってるな)
紅莉栖(かなり厄介なカードがいきなり出てきちゃったわね)
紅莉栖「……どうぞ」
ダル「リロールドロー、茶Gセット。宝物没収打ちたいお」
紅莉栖「はい」
宝物没収
(常時):自軍捨て山の上のカード2枚を引く。
ダル「ではこっちは捨て山から二枚ドロー」ペラ
紅莉栖(くっ、先手をとられた……場にユニット出されたし手札も増えてる……いや焦るな、白は中盤過ぎてから勝負……)
ダル「戦闘フェイズ。特殊兵装起動。1払って捨て山を見るお。そしてコレンカプルを宇宙に出撃」
紅莉栖「こちらは何もないわ」
ダル「ではこのままダメージ通ると3点」
紅莉栖「では喰らいます」(本国から3枚捨て山に)
ダル「終了だお」
紅莉栖「こちらのターン。リロール、ドロー。白Gセット……そして、中東国の支援プレイ」
中東国の支援
ターン1枚制限】
(自軍ターン):カード2枚を引く。
ダル「オーキードーキー」
紅莉栖「2枚ドローしてこちらのターン終了」ペラ
ダル「リロールドロー、茶Gセット。…………んー、どうも引きが微妙だお」
紅莉栖(私からすると充分強いように見えるわけなんだが……)
ダル「じゃあ前と同じで戦闘フェイズに特殊兵装で捨て札増やす。カプル宇宙出撃、何も無ければ三点」
紅莉栖「受けるわ」(本国から3枚捨て山に)
ダル「じゃあ終了」
ん?コプルだけじゃ没収撃てなくね?
紅莉栖「リロール、ドロー。白Gセット、ハッキングプレイしたい」
ハッキング
(自軍配備フェイズ):自軍本国の上のカード3枚までを見て、その中から1枚を手札に移す。その後、残りのカードを任意の順番で自軍本国の下に戻す。
ダル「OK」
紅莉栖(4国力で出せるユニットがない……)ペラ
紅莉栖(だけどこちらの手札は……悪くないわ。むしろかなりいいかもしれない。いける)
紅莉栖「このまま終了」
ダル「お?4国もユニット出さないん?もしかして事故ったん?」
紅莉栖「さぁ、どうかしらね」
ダル「……ま、いいお。リロールドロー。おっ」
紅莉栖「?」
>>89
順番間違えた……orz
特殊兵装起動後に脳内変換しておいてください
ダル「キタキタキタァァァアアアアアア!」
紅莉栖「!?」
岡部(さっきからダルが五月蠅い……ミスターブラウンに怒られないだろうな……)ソワソワ
ダル「出ろぉぉ!!ガンダァァム!!」
シャイニングガンダム
プリベント(5) 【MF】
(自動B):このカードはプレイされて場に出る場合、リロール状態で出る。
(自動A):このカードは、配備エリアにいる場合、破壊されずダメージを受けない。
宇宙 地球 [3/5][0/0][3/5]
紅莉栖(MF、か……特殊地形のリングにも出撃出来るし、GFが乗ると/の右側に数字になる……破壊耐性も持ってるしかなり厄介)
ダル「いくぞ、戦闘フェイズ!」
紅莉栖(岡部、なんなのあれ……人が変わってるわよ)コソコソ
岡部(テンション上がるとダルはいつもああなるんだ、放っておいてやれ)コソコソ
ダル「宇宙にコレンカプル。そしてシャイニングガンダムをリングにッ!」
紅莉栖「こちらからすることは特になにもないわ」
ダル「では6点!」
紅莉栖(橋田の手札にGFがいないみたいで助かったわ。いたら更に4点近く喰らってたわね……)
ダル「ターン終了」
紅莉栖「私のターン。リロール、ドロー」チラッ
紅莉栖「配備フェイズにまずゼロの示す未来をプレイ」
ゼロの示す未来
(自軍配備フェイズ):自軍本国の上のカードを、Gが出るまで表にする。その後、その中からカード1枚を手札に移し、自軍本国をシャッフルする。
岡部(中東ハッキングはともかくゼロ示まで……そこまでドローカード入ってるのか。コンボデッキか?)
紅莉栖「ジェネレーションが出てくるまで本国をめくっていくわ」ペラペラペラ
1枚目、ハッキング
2枚目、ストライクノワール
3枚目、中東国の支援
4枚目、ヴォワチュール・リュミエール
5枚目、白基本G
ダル「おお、随分めくれたお。で、これで中東国の支援を引いてきてまたドロー?」
紅莉栖「いえ、私はこのヴォワチュール・リュミエールを手札に加えるわ」
岡部(ぁ、これダルまずいぞ)
紅莉栖「そして手札から白基本Gをセット。フリーダムガンダム(ハイマットモード)をプレイ」
フリーダムガンダム(ハイマットモード)
(自動D):このカードがユニット1枚のみの部隊にいる状態で、敵軍本国に戦闘ダメージが与えられた場合、そのダメージの値と同じだけ、自軍本国を回復する。
宇宙 地球 [6][3][6]
ダル「うぇ。やっぱりハイマット出てきたお」
ダル(ハイマットの回復力はゲームを決めるほど脅威的。だけど、まだこちらにはコレンカプルがあるお)
ダル(攻撃されてもコレンカプルの能力で配備エリアに戻せばいいだけの話。コレンカプルがいる限りこちらに攻撃は通らない)
紅莉栖「更に私はレイ・ザ・バレルをフリーダムガンダムに乗せる」
レイ・ザ・バレル
(自動A):このカードが属するセットグループは、敵軍効果では移動しない。
(常時):《(1)》自軍セットグループ1つは、ターン終了時まで、敵軍効果では移動しない。
M Ch CO [2][2][2]
ダル「!?」
岡部「ほう……」
ダル(ちょ、レイって。白デッキの弱点を補強する移動耐性キャラって……ガチすぎるお!)
ダル(一晩で完全にガチ指向のデッキ構築になってるとか牧瀬氏負けず嫌いにも程があるお…………)
ダル「いきなりきつくなってきたお……」
ダル(場は不利……だけどまだまだ手はあるお)
ダル(何故なら、こちらの手札にはシャイニングフィンガーがあるッ……!)
シャイニングフィンガー
プリベント(3)
(ダメージ判定ステップ):「MF」を持つ自軍ユニットがいる場合、リングエリアを含む戦闘エリアにいる、交戦中の敵軍ユニット1枚を破壊する。
ダル(牧瀬氏には悪いけど、のこのこ出撃してきたらレイごとフリーダムを破壊すれば問題ないお)
ダル(そうすれば一気に形勢は逆転)
ダル(そして次のターンに僕は5国、手札のドモン・カッシュをシャイニングに載せれば場の戦闘力でも負けない。充分巻き返せるお)
紅莉栖「戦闘フェイズ、入っていい?」
ダル「どうぞ」紅莉栖「戦闘フェイズ、入っていい?」
ダル「どうぞ」
紅莉栖「攻撃ステップに手札からヴォワチュール・リュミエールをプレイ」
ダル「? オーキードーキー」
ヴォワチュール・リュミエール
(攻撃ステップ):手札にあるユニット1枚を自軍配備エリアにリロール状態で出す。このユニットはコマンドの対象にならず、ダメージ判定ステップの規定の効果の解決後に、ゲームから取り除かれる。
紅莉栖「フフフ……勝った……」
ダル「へ?それってコストを無視して手札にあるユニットを1ターンだけ出すカードっしょ。なにだすん?」
紅莉栖「私が出すのはこのカードよ」ペラ
デストロイガンダム
【PS装甲】 サイコミュ(3) 範囲兵器(3) 特殊シールド(3)
【代替コスト>〔合計国力-X〕:「拠点」持つユニットX枚を破壊する】
(自動D):《[3・5]》このカードが、敵軍ユニットが1枚以上いる状態で攻撃に出撃した場合、敵軍手札と敵軍捨て山にある、全てのカードを廃棄する。
宇宙 地球 [6][5][8]
ダル「あ、ちょ」
岡部「ぶっ」
紅莉栖「これが私に託されたまゆりオススメのカード」
紅莉栖「GFAS-X1 デストロイガンダム!!」
岡部「…………まゆりお前…………」
紅莉栖「そして攻撃ステップ規定の効果。私はフリーダムガンダムを地球に、デストロイガンダムを宇宙に出撃!」
ダル「ど、どうぞ……」
紅莉栖「出撃と同時にデストロイガンダムの自動効果が発動!!」
紅莉栖「敵軍ユニットが1枚以上いる状態で攻撃に出撃したので、橋田の手札すべてと捨て札を廃棄するッ!!」
ダル「」
ダル「……手札、ぜん捨て……」
紅莉栖「ふははははっ!!ふぅーははははははっ!!粉砕!玉砕!大喝采!」
岡部「これはひどい……」
ダル「結局手札がなくなったのが挽回出来ずに負けたお……」
岡部「そりゃあそうだろ。場を整えられた上に手札全捨てされたら負けるだろ……」
ダル「シャイニングゴッドとディアナ帰還さえ引ければまだワンチャンあったお……」
紅莉栖「ふふふ、おかげでなんとなくわかってきたわ」
岡部「ほう?」
紅莉栖「このゲームはカード一枚が強い。場やハンドのカードアドバンテージより一枚の強カードが場を動かす」
紅莉栖「つまり有効なカード一枚でいくらでも戦況を崩せるってこと。さて、次は――――」
フェイリス「ふにゃ?凶真達随分懐かしいもので遊んでると思ったら、クーにゃんもガンダムウォーやってるにゃん?」
紅莉栖「!?」
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< To Be Continued... | |
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すいません限界っす、許して下さい
とりあえずおしまいです
書いてる途中で文章でカードゲーム表現とか無理があると気付いたお……
シュタゲのSSなのにガンダムウォー経験者にしかわからない文章とかマジ誰得
こんな駄文にお付き合いありがとうございました
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