灼「何で優勝出来なかったのに皆ヘラヘラ笑ってられるの……?」(259)

七夕間に合わへんかった
立ったらボチボチテキトーに七夕用プロット再編成して書いてく


憧「いやー和やっぱ強かったよねー」 アハハ

玄「覚えててくれてよかったよー」 エヘヘ

宥「すっごく強かったよねー」 ワイワイ

穏乃「もう宮永さんとは打ちたくないなー」 アハハ

玄「打ちたくないっていったら宮永さんのお姉さんもかなぁ」

憧「あーわかる」

穏乃「あ、そうそう、明日和と遊ぶ約束してきたよー」 キャッキャキャッキャ

灼「…………」


憧「まぁでも、結構頑張ったよねー私達」

穏乃「ホントに決勝来られたしねえ」

玄「負けちゃったのは残念だけど、悔いはないよねぇ」

宥「千里山にも勝てたしね……」

灼「…………」


灼「ねえ……」

憧「ん?」

灼「何でそんなに楽しそうなの」

穏乃「何でって……」

灼「何で優勝出来なかったのにヘラヘラ笑ってられるの……?」

灼「優勝目指してたんじゃないの!?」


憧「そりゃ、まあ、そうだけど……」

穏乃「でもホラ、私らはベストを尽くしたし……」

灼「……勝つためにあんなに頑張ったのに」

灼「ヘラヘラ笑って負けましたって言えないなんておかしいよ!」

宥「そ、そうは言っても……」

玄「そうだよ、今更言ってもしょうがないし……」

灼「……もういい!」 ダッ

玄「あ、灼ちゃん……」

レジェンドは?


灼「おかしいよ……」

灼「……皆、やっぱり和って人と遊ぶのだけが目的だったの……?」

灼「…………」

灼「……その人と戦ったのも私だし……」

灼「……なんだったんだろう、私達の戦いって……」

穏「なにマジになってんの・・?」
憧「なぁんかああいう熱血系って苦手なのよね」
玄「なんか一緒にいたら疲れちゃう」
宥「(頷く)」
ってことか


ガチャッ

晴絵「おかえりー!」 パンパーン

玄「わっ、びっくりした」

宥「何この料理……」

穏乃「祝・阿知賀女子ベスト3……?」

晴絵「急いで準備したのよー」

晴絵「……あれ、灼は?」

憧「それが……」

晴絵までもか
灼は取り付く島がないな


灼「…………」

灼「優勝、したかったな……」

灼「晴ちゃんのためにも……」

灼「…………」

灼「私が、間違ってるのかな……」


晴絵「あーらた」

灼「!」 ビクッ

晴絵「どうしたの、こんなとこで」

灼「な、なんでもないっ!」

晴絵「ちょ、待ちなさいって」 グイッ

灼「!」

晴絵「さすがに引率者として泣いてる教え子スルーするなんて出来ないって」


晴絵「聞いたよ」

晴絵「勝ちたかったんだっけ?」

灼「……」

晴絵「そりゃそうだよね」

晴絵「灼、部長として誰より頑張ってきたし」

灼「……でも、勝てなかった……」

晴絵「悔しいのはわかるよ」

晴絵「私だって、負けた時はすごく悔しかったし」


灼「……」

晴絵「悔しいどころかしばらく牌すら持てなかったし」

晴絵「あれがイップスってやつねぇ」

晴絵「イヤほんとまじで一瞬にして故郷の恥になるし出迎えないし」

晴絵「……思い出すだけで穴があったら私の過去を知るヤツ全員埋めたくなるわ」

灼「……」

晴絵「それでも私がまた牌を持てるようになったのは――灼達のおかげなんだよ」

灼「……でも、負けたよ」

晴絵(……こりゃ重傷だわ)


晴絵「……灼」

灼「何……?」

晴絵「今からデートしましょうか」

灼「は……?」

晴絵「いやホラ、こういう時は遊びに行って気晴らしを……」

灼「いいよ、別に……」

晴絵「よし、それじゃ行くわよーヘイタクシー!」

灼「え、いや、今のいいよは遠慮の意味で……」

晴絵「もう遅いわよタクシー来ちゃったし」

灼「……」


灼「……ここは……」

晴絵「カラオケよ」

晴絵「ナウなヤングが都心で遊ぶならカラオケでしょ!?」

灼(ナウなヤング……)

晴絵「さあ、歌うわよ!!」


灼「…………」

灼(へ、下手くそ……)

灼(しかも無理してAKBとか歌ってるのが丸わかりなほど歌詞間違えてるし……)

灼(そこまでしてもらってるのに私AKB分からないし……)

晴絵「どうだったー?」 ニコニコ

灼「じょ、上手……だよ」


晴絵「灼も歌いなよ」

灼「えっ」

晴絵「ほらほら」

灼「わ、私歌とかあんまり聞かないから……」

晴絵「いいからホラ、聞かせてよ」 ニカー

灼(晴ちゃんがわかる歌って何なんだろう)

灼(お母さんがよく聞いてる米米CLUBとかかな……?)

灼(でも浪漫飛行とか私の音程にあってないし、できればゆったりしたのが歌いたい……)

灼(演歌とか……は、さすがに晴ちゃんには早いよね?)

灼「じゃ、じゃあブルーハーツの青空を……」

晴絵「え、あ、うん」

晴絵(タンバリン準備してたんだけどな……)


灼「……」

晴絵「お、おーうまいうまい」

晴絵「カラオケ慣れてないって言ってた割に、音程凄い取れてるじゃん」

晴絵(ただしすっごく棒だったけど……)

晴絵(あそこまで感情のないパンクとか初めて聞いたわ……)

灼「そ、そんなこと……」 テレ

晴絵「よし、次はデュエット行きましょうデュエット」

灼「え、でもわかる歌がほとんど……」

晴絵「大丈夫大丈夫、こう見えて今の高校生の流行りの曲は抑えてるから!」

晴絵「はつおとみくだっけ、あれ行ける?」

灼(はつねじゃなかったっけ……しかも分からない……)


灼「はるちゃん……私に気を使わなくていいよ」

晴絵「む、それは私がナウなヤングに合わせるおばさんみたいだと?」

灼「カラオケのことだけじゃなくて……」

晴絵(否定はしてくれないんだ……)

灼「皆の元で、祝勝会してきていいよ」

灼「初出場でブランク持ちばっかりなのにベスト3」

灼「十分、偉業だよ」

灼「……納得できてない私がきっとおかしいから」


晴絵「……別に気を使ってるわけじゃないわ」

晴絵「私がやりたいからやりたいだけ」

灼「……」

晴絵「……納得出来ない?」

晴絵「だったら、とりあえずカラオケで見せてあげるわ」

晴絵「阿知賀のレジェンドの力ってやつを……!」

灼「……?」

灼(靴を脱いで机に登った……?)

晴絵「勝利をつかめ、ソフトバングホォォォォォォォォクス!!」 魂のシャウト

灼「……???」


晴絵「ふぅ、すっきりしたわ……」

灼「そ、そう……」

晴絵「ちなみに気を使わないとこんなんばっかり入れるわよ」

晴絵「まあ、元は気を使って福岡時代覚えた曲だけど……」

晴絵「ひたすら私の中高時代のシャウトソング入れたっていいんだから」

灼「う、うん……」

灼(意外、というか、なんというか……)


晴絵「いやー歌った歌った」

灼(疲れた……)

晴絵「若者が次に行く所って言ったら、どこかしら」

灼「え、まだいくの……?」

晴絵「じゃあ聞くけど、もう気分は晴れた?」

灼「そ、それは……」

晴絵「次は……ショッピングかしら?」


晴絵「デートと言ったら洋服かしら……」

晴絵「でもこの辺、しまむら全然見当たらないのよね……」

晴絵「やっぱり都会はユニクロなのか……?」

灼(はるちゃん、しまむら派だったんだ……)

晴絵「灼は普段どこの服買ってるの?」

灼「えっと……」


晴絵(……来たはいいけど……)

灼「あ、このシャツ可愛い……」

晴絵(だ、ださい……見ていて痛々しいほどに……)

灼「……これ、はるちゃんに合うかも……」 ボソッ

晴絵(何やら恐ろしいこと呟いてらっしゃる……!)

灼「……」 ウーン

晴絵「…………」

晴絵「そ、それ、着てみよっかなー!」

灼「え?」

晴絵「ほら、この、なに、ワンポイント? のアライグマとか可愛いし!」

灼「だ、だよね……!」 パァァァァ

灼「似合うと思うよ!!」


晴絵「……ど、どうかな」 ズーン

灼「すっごく似合ってるよ、はるちゃん……!」 キラキラ

晴絵「それはよかった……」 ズーン

晴絵(ワンポイントどころか全体に占めるアライグマのインパクトよ……)

灼「あと、このパーカーとかも似合うんじゃ……」

晴絵(あ、アライグマのフード付きパーカー!?)

晴絵(灼……美的センス大丈夫かしら……)

晴絵(似合うって言われるのがもはやショックなんだけど……)


灼「あ、お金は……」

晴絵「いいって、私が着る分だし、私が出すよ」

晴絵(気を使うならおすすめしないって形のほうが有りがたかったかな)

晴絵「ていうか灼こそ、何も買わなくていいの?」

灼「私は……」

灼「買ってもらう理由がないし……」

灼「……私は、ベスト3でお祝い貰っても嬉しくないから」

晴絵「…………」

晴絵「よし次!」

晴絵(えーっとえーっと、若者のデートスポットだから……)

晴絵「ジャスコに行くわよ!」


晴絵「…………」

灼「…………」

晴絵(な、何もない!)

晴絵(奈良に居た頃のクラスメート達、皆どうやってジャスコでデートしてたの!?)

晴絵(麻雀に青春捧げた枯れ女だから何も考えつかないの!?)

灼「……はるちゃん?」

晴絵「え、ええと、ちょっと都心部から離れすぎちゃったわね」

晴絵「ジャスコは奈良にもあるし、別の所にしましょうか」

灼(カラオケも奈良にあるけど……)

晴絵(でももうデートスポットほとんど知らないのよね……)

晴絵(ええっとええっと、他にデートスポットは……)

晴絵「そうだ、>>77に行きましょう」

えいがかん


晴絵「映画館よ!」

晴絵「デートと言ったら映画だしね!」

灼「でももう時間遅いし……」

晴絵「大丈夫大丈夫、なんだっけ、ナイトショーだとかいうのがあるわ」

灼(レイトショー……?)

晴絵「とりあえず行きましょう!」


晴絵「とりあえず、恋愛映画が一番よね!」

灼(茶番……はるちゃんにお金を溝に捨てさせたくない……)

灼(でもはるちゃんが折角気遣ってくれてるんだし……)

晴絵(ホントはスプラッタホラーとか好きだし、灼を怖がらせて抱きつかせたりしたいけど……)

晴絵(無表情で見られても困るしね)

晴絵「それじゃ、この流行りの邦画でも見ましょうか」

晴絵「何か主演の人も有名みたいだし、外れないでしょう!」

晴絵(私は洋画派なんだけどね!)

灼「はるちゃんに任せるよ……」

灼(邦画だったらVシネマとか見たいなぁ……)


灼「…………」

灼(面白くない……)

灼(言葉にすればすぐ伝わるのにグダグダ黙って揉めるとか……)

灼「…………」

灼(ホント、馬鹿みたい……)

灼(……もっと上手く喋れたら、こんなことにはならなかったのかな……)

灼(コミュ力、欲しかったなぁ……)

灼(そしたら、皆と素直に3位を喜び分かち合えてたのかな……) グスッ


灼(いけない、こんな顔してたらはるちゃんに訝しまれ……)

灼(あ、でも、映画に夢中でこっちなんて見てな――) チラッ

晴絵「ゴガー……スピー……」

灼(ね、寝てるーーーーー!?) ガビーン

灼(お、大口開けてヨダレタラシてる……)

灼(ていうか寝てるって気づいてみると結構寝息五月蠅いし……)

灼(ま、周りに迷惑かけてないかな……) オドオド


灼(は、はるちゃん!) 肘でつんつん

灼(起きてはるちゃん……!)

晴絵「……私も愛してるよ……○△×……」

灼「!!」

灼(い、今の寝言……!?)

灼(よく聞こえなかった……!) グググッ

灼「…………」

灼「!!」 ハッ

灼(いけない、はるちゃんの口元に耳を近づけてる場合じゃなかった……)

灼(はるちゃん起きてーーーー!) ツンツンツン


灼(うう、もう全然映画に集中できない……) ツンツンツン

灼(元からまともに見てなかったけど、今ヒロインっぽい人が話題にしてる名前が誰かも分からない……) ツンツンツン

灼(はるちゃん~~~~~っ!) ツンツンツン

ぐらっ

灼「え?」

灼(しま……強くつつきすぎてバランスが崩れ……!)

キャッチ

灼(あ、危ない……)

灼(……隣の人に迷惑はかけられないし……)

灼(とりあえず私の肩にもたれさせておこう……) ヨイショット


灼(……はるちゃん、結構重いんだ)

灼(髪の毛もいい匂い……何系の匂いっていうのかな、これ)

灼(…………) スンスン

灼「!!」 ハッ

灼(そんな場合じゃないし、これじゃ私変態さんみたい……!)

灼(お願いだから起きてよはるちゃん~~~~~っ!) ツンツンツン


灼(うう……肘がつかれてきたし、もう諦めようかな……) ツンツンツ……

ぽよん

灼「!?」

灼(今の感触、まさかはるちゃんのおおおおお……!?) チラッ

灼(や、やっぱり……)

灼(顔が近くて直視できないのに惰性で肘を動かしてたから腕を掠めて体に当たっちゃったんだ……)

灼(……結構、大きかったな……)

灼(私のと違って、柔らかかったし……)

灼(…………)

灼(まだ起きない、よね……) ふよん

灼「!!」 ハッ

灼(だ、だめ! はるちゃんにそんなことしちゃ……) ブンブンブン


灼(や、やっと終わった……) ゲッソリ

灼(もう全く見てなかったけど、どうせはるちゃんと映画の話は出来ないだろうから別にいいよね……)

灼(もういいだろうし、強めに揺すろう)

灼(出来れば寝てたの気づかないことにしてあげたいけど……)

灼「はるちゃん、そろそろ……」 ゆっさゆっさ

ぐらっ

トン

灼「え」

灼「あわわわわわ……!」

灼(膝に倒れてきた……こ、ここここれ膝枕……?)


灼「髪の毛さらさら……」

灼「!!」 ハッ

灼「わ、私またはるちゃんに何を……」 ワナワナ

灼「ご、ごめんはるちゃん!!」 ダッ

ごちーん ←灼が走り去ったことにより自然落下

晴絵「あたっ」

晴絵「いったー……頭ぶったうえにお腹にすっごく何かがめり込み……」

晴絵(やば! 私寝てた!?)

晴絵(あ、灼にバレて……)

晴絵「あれ?」

晴絵「灼いない……?」

晴絵「おーい灼ー?」 キョロキョロ

晴絵「灼帰った?」 キョロキョロ

晴絵「……嘘だよね灼」 キョロキョロ

晴絵「おーい?」 キョロキョロ


灼「……最低だ、私……」 ハァ

灼「トイレにまで逃げてきちゃうし……」

灼「結局あのあと『その方が起きやすいかも』なんて自分に言い訳しておもちを6回もつついちゃったし……」

灼「……」

灼「死にたい……」

灼「はるちゃんのために優勝すらできなくて、はるちゃんに慰められて……」

灼「はるちゃんに気を使わせて、はるちゃんに映画代まで負担させて……」

灼「挙句私がしたことなんて眠るはるちゃんに酷いことしただけ……」

灼「……帰ろう……」

灼「何も言わずに奈良に帰ろう……」

灼「それで、部室に退部届けを出して、皆とはもう会わないようにしよう……」


灼「帰ろう……」

灼「元から真面目とかいう底辺を無理くり褒める言葉みたいな個性しか無い私なんかが」

灼「麻雀なんていう華々しい競技に混じったのが間違いだったんだ……」 ハァ…

灼「……ごめんね、皆」

灼「……さよなら、はるちゃん」

ピンポンパンポーン

『迷子のご案内を致します』

灼「……迷子、か」

灼(結局何も成せずに逃げ出す私も、人生の迷子みたいなものかな……)

『奈良県からお越しの鷺森灼さん』

『お連れ様がお待ちです』

灼「!?」 ズコーッ


洋榎「お、大丈夫か自分」

絹恵「偉い派手に転倒したけど」

灼「だ、だだ大丈夫ですから……」

洋榎「あれ、今のって……」

灼(は、はるちゃん……!?)

灼(いや大丈夫、考えようによってははるちゃんは私を見失ったってことだし……)

灼(周囲の人に気付かれたら困るし、早く映画館を出なきゃ!)

灼(それではるちゃんが映画館にいる内に東京を出れば――――)

『四球正面カウンターまで……って、お客様!?』 ドンゴソゴソ

灼「?」

『灼ァーー! どこ!? まさか迷子になって泣いてたり誘拐されたんじゃ……』

『こ、困りますお客様……!』

洋榎「何やオモロイことになっとんなー」

灼「……///!!」 カァァァァァ


ダッダッダッダッダッダッ

灼「は、はるちゃん!」

晴絵「あ、灼ァー!!」 ダッ

灼「こんな恥ずかしい真似やめ――――?」

ぎゅうっ

灼「は、はるちゃん……///!?」

晴絵「バカ……心配したんだぞっ……!」

灼「……!」

灼「……ごめんなさい」


灼「……」

晴絵「もう、夜も遅いな」

灼「うん……」

灼(はるちゃん、泣いてた……)

晴絵「どうだ、折角だし飲みにでも……」

灼「はーるーちゃん」 ジトー

晴絵「冗談だよ」

灼(……もう) クスッ

晴絵「ん、どうかしたか?」

灼「ううん……」

灼「でも、確かにちょっと気晴らしにはなったから……」

灼「お酒はダメだけど、もうちょっとどこか寄ってから帰るのはありかなって」

晴絵「そう?」

晴絵「じゃあ……>>113行こっか」

レジェンドの家


晴絵「私の家にでも行く?」 フフ

灼「うん……」

灼「って、今から!?」

晴絵「ダメ?」

灼「ダメっていうか物理的に無理というか……」

灼「ていうか奈良までこの時間からどうやって……」

晴絵「……まあそりゃ無理だし冗談だけど……」

晴絵「ダメよ、気軽に二人っきりで家に上がっちゃ」

晴絵「私だからよかったものの、ケダモノが相手だったら危ないんだから」

灼「う、うん……」

灼(気軽に上がるわけじゃないよ……)

灼(はるちゃんだから……)

晴絵「まぁ家は無理としても、>>118になら行けるかな?」

ホテル


晴絵「まぁ家は無理としても、ホテルになら行けるかな?」

灼「……そう、だね」

灼「帰ろうか、ホテル……」

晴絵「…………」

A:晴絵「うん。皆が待ってる」
B:晴絵「そうじゃなくて……ご休憩とか書いてある、いかがわしいホテルの方よ」

>>122(AかBじゃなかった場合安価下)

b


晴絵「そうじゃなくて……ご休憩とか書いてある、いかがわしいホテルの方よ」

灼「……?」

晴絵「あ、わかんない?」

晴絵「だからまぁ、有り体に言うと……ラブホテル?」

灼「…………///!!!」 ボンッ

晴絵「……やっぱり、ダメ?」 ホホポリポリ

灼「…………」

晴絵「あ、あはは、やっぱり灼の予想してた方のホテルに帰ろっかー」 ソソクサ

グイッ

晴絵「っと?」 ガクン

灼「…………」

晴絵「あ、灼?」

灼「………………ぃよ」

晴絵「え?」

灼「は、はるちゃんが行きたいなら…………いいよ…………///」 ウツムキ


晴絵「そんなわけでホテルに来たわけだけど……」

灼「……」

晴絵「緊張してる?」

灼「そ、そりゃあ……」

晴絵「ま、そこはオトナの私に任せなさい」

灼「でもはるちゃん、受付の仕方すらわかってないし、こういう経験ないんじゃ……」

晴絵「そ、それはほら、あれよ……い、いつも使ってるのが別グループだからルールが違って……」

晴絵「そ、そんなこといいじゃない!」

晴絵「ホラとりあえずシャワー浴びて来なさい!」


シャアアアアアアアアアアアアア

灼「…………」

灼「はるちゃんとこんな所に来るなんて……」

灼「…………」

灼「変、だよね……女同士なんだし……」

灼「…………」

灼「それに、そういうのにだらしないはるちゃんなんて見たくない……」

灼「軽蔑だってしなくちゃいけないはずなのに……」

灼「……なんでこんなに、嬉しいんだろう……」


晴絵「……」

晴絵「まさかホテルがオーケー出るとはね……」

晴絵「ダメ元もダメ元、怒られても冗談で済ませられると思って言ってみただけだったけど……」

晴絵「……幻滅、されたりしないかなぁ」

晴絵「一応あの子の前じゃ、かっこいいオトナであろうとしてきたはずなんだけど……」

晴絵「…………」

晴絵「と、とりあえずえっちのやり方ググっておかないと……」 カコカコカコ

晴絵「…………」

晴絵「しないで出るのもありではあるけど……」

晴絵「シャワーの音だけでこんだけだもん、灼前にして何もせずに出ていく自信がないわ……」


灼「は、はるちゃん、出たよ……」 キィ

晴絵「!!」

晴絵(ふ、振り返ると裸の灼が!?)

晴絵(い、いや、タオル一枚ってことも……)

晴絵(落ち着け、頼れるレジェンドのイメージを崩すな……) スーハースーハーシンコキュウー

灼「はるちゃん……?」

晴絵「おかえり灼ッ」 コウソクハンカイテンー

灼「!?」


晴絵「……あ」

晴絵(さっきと同じ服か……そりゃそうよね……灼だもんね……)

灼「あ、あの……」

灼(や、やっぱり勇気を出して脱いでくるべきだったのかな……)

晴絵(でもガッカリしてるって思われないようあくまでクールに振舞わなきゃ……!)

晴絵「それじゃあ次は私がお風呂に入ってくるからジュースでも飲んで待っててよ」 テヒラヒラ~

灼「う、うん……」

灼(どうしよう……はるちゃんすごく残念そうだった……)

灼(ガッカリされちゃったかな……)


灼「……」

灼(はるちゃんは、もうオトナだもんね……)

灼(美人だし、人気選手だったし……)

灼(きっと今まで恋人だってたくさんいたよね……)

灼(こういう経験だって、きっと……)

ズキン

灼「……」

灼(何でこんなに胸が痛いんだろう……)

灼(私なんて、せいぜいただのはるちゃんの1ファンなのに……)


灼「……」 カチカチ

灼「……検索しても携帯じゃ限界がある、か」 ハァ

灼「……憧が部室に持ってきてた本では、確か、手をこんな形にしてたような……」

灼「ボーリングの投法みたい……」

灼「……それならいけるっ!」 フンムッ

灼「…………」

灼「バカなこと考えてないで、とりあえず鑑の前でチューの練習しておこう……」


晴絵「い、いやーいいお湯だったわ!」

灼「……っ///!」

灼(は、はるちゃんがバスタオル1枚……!) メヲソラシー

灼(お、落ち着かなきゃ……はるちゃんに嫌われちゃう……!)

晴絵(め、目をそらされた……?)

晴絵(いきなりバスタオルってガッツキすぎたかしら……)

晴絵(処女っぽさをごまかす作戦が裏目に出ちゃったかな……)

晴絵(ダメダメ、不安を顔に出したらイメージ崩れちゃう……!)

晴絵「横、座るわね」 ストン

灼「う、うん……」


灼「…………」 ドキドキ

晴絵「…………」 バクバク

晴絵(ま、まずい、会話がない!)

晴絵(かといってキスするタイミングが分からない……)

晴絵(とりあえず無難な話、無難な話……)

晴絵「あー……最近学校はどう?」

灼「え?」

灼「……夏休みだし……普通、としか……」

晴絵「そ、そう……」

晴絵(そりゃそうだーーーーッ! 年単位で会話がなくて気まずい娘を相手にするパパか私はッ!)

灼(どうしよう……場を和ませる冗談だったかもしれないのに全然上手く返せなかった……)


晴絵(こ、こういうときは今日のデートの話題がいいって確か三尋木プロが……!)

晴絵「きょ、今日の映画どうだった!?」

灼「――――――――!?」

灼(え、うそ、なんでそんな……)

灼(ま、ままままさか実は起きていたのに私に気を使っていた……!?) パニクリッ

晴絵(こんなこともあろうかと、迷子センターのお姉さんに追い出された後パンフ買っておいたのよねっ!)

晴絵(相槌打つくらいなら行けるッ!!)

晴絵「ホラ、楽しかったって言ってたし……」

灼「あ、う、うん、すごくよかったよ!」

晴絵「…………」

灼「…………」


灼「えっと……」

灼「こ、告白のシーンすごくよかったよね……」

灼(ら、ラブストーリーだからあったはず……)

晴絵「え、あ、うん、そうねー」

晴絵「何か、こう、監督のこだわりみたいなのを感じたわね!」

灼「だよね……」

晴絵「うん……」

灼「…………」

晴絵「…………」


晴絵「しゅ、主題歌とかよくなかった?」

晴絵「流行りのグループではあるけど、ちゃんと映画の脚本見て歌詞書いたらしいよ」

灼「た、確かに、イメージピッタリだったね」

晴絵「でしょ?」

灼「うん」

晴絵「…………」

灼「…………」


晴絵「…………」

晴絵(こ、この話題やめたい……!)

晴絵(どうしよう、あんまりパンフ読み込んでないから自分からはあんまふれないし……)

晴絵(灼気を使ってるだけで、実はあんまり面白くなかったのかも……) アワワ

灼「…………」

灼(ど、どうしよう……このままだと全然見てないのバレちゃう……)

灼(そ、それとも起きてたわけだからとっくにバレてたのかな……)

灼(あれ、ってことはおもち触ってたのもバレ……?)

灼(うわあああああああ……ってことは、ホテルも私がそういうことしたがってると思ってのこと……?)

灼(し、死にたい……!) アワワ


灼「…………」

晴絵「…………」

灼(わわわ話題変えないと……えっちな子だって思われてるかも……!) アタフタ

晴絵(話題変えたいけど、この話題振った私が変えるのおかしいかな!? おかしいよね!?) アタフタ

灼「あ、あの、はるちゃん!」 コエウラガエリッ

晴絵「な、なに!?」 コエウラガエリッ

灼「は、話し変わるんだけどねっ」

晴絵「うんどうぞ大歓迎っ!」

灼「えっ」

晴絵「ん?」

灼「あ、あのね、その……」

晴絵「な、なあに?」

灼「>>156

ハルちゃんは私のことが好きなの?


灼「ハルちゃんは私のことが好きなの?」 ウワメッ

晴絵「――――――――!?」

灼「はるちゃん……答えて」 マガオッ

晴絵「……」

晴絵「……」

晴絵「灼はさ……」

晴絵「私のこと、結構好いてくれてるでしょ」

灼「そ、そりゃぁ……」

灼「ファン、だったし……」

晴絵「……だからさ」

晴絵「灼の前じゃカッコつけていたかったんだけどね」

晴絵「……」

晴絵「そんなこと聞かれたら、もうカッコつけられないよなぁ……」


灼「……」 ミツメッ

晴絵「……ファンに見放され、地元からは愛想を尽かされ……」

晴絵「そんな時に唯一人残ってくれた女の子だもん」

晴絵「意識しないわけがないじゃない」

灼「はるちゃん……」

晴絵「……正直……あんな純粋な眼差しに応えるにしては酷い話だとは思うわ」

晴絵「要するに、私に必要だったのは“鷺森灼”じゃなくて“待っていてくれる誰か”だったってことだし」

晴絵「最低だとは思ってる」

灼「……そんなことない」

灼「だったら、やっぱり最低なのは私の方」

灼「誰でもいいから待っていて欲しい程に心が磨り減ってる所につけ込んだんだもん……」


晴絵「……そうだね、つけこまれたわ」 ハハ

灼「…………!」 ウツムキー

晴絵「……でもね、それでも、私にとっては心の支えだったんだよ」

晴絵「赤土晴絵を絶望から救ったのは鷺森灼――それだけは、間違いない」

晴絵「そうじゃなきゃ、何年も顔を覚えていないわよ」 クスッ

灼「……はるちゃん……」

晴絵「……だから、さ」

晴絵「教師がこんなこと言ったらダメなんだろうし」

晴絵「こんな感情、頼れてカッコいいレジェンドとは程遠いからホントは言いたくなかったけどさ」

晴絵「この場でまでごまかしたら、きっと後悔するから」

晴絵「だから、言わせてもらうわ」

晴絵「……そのせいで、後悔させたらごめんだけど」

灼「はるちゃん……?」







晴絵「赤土晴絵は、鷺森灼が、心の底から大好きです。誰よりも、愛してる」







晴絵「……幻滅した?」

灼「……私、ね」

灼「ずっとはるちゃんに憧れてた」

灼「だからこそ、復活して欲しかった」

灼「完全に復活してプロになって、またカッコいい所を見せてほしかった……」

晴絵「……」

灼「……私ずっと、はるちゃんのこと、見てなかったんだ」

灼「ずっとずっと、阿知賀女子代表赤土晴絵選手の影を追いかけてた」

灼「はるちゃんが子供麻雀教室で新しい形で前を向こうとした時もそう」

灼「インターハイに行きたいって言ってくれた時もそう」

灼「いつだって私ははるちゃんでなく、昔憧れた赤土晴絵選手のことだけ考えてた」

灼「赤土晴絵選手が好きで、また会いたくて、今のはるちゃんをずっと否定し続けてきた……」

灼「はるちゃんはいつだって、昔と形が変わっていても、優しく強くカッコいいはるちゃんだったっていうのに……」 ポロポロ


灼「私、最低だった」

灼「最低なのは、やっぱり私だった」

灼「はるちゃんに自分の理想を押し付けて」

灼「自分の描いた理想と違うと目を背けて」

灼「挙句、理想のはるちゃんを蘇らせるために、必死に優勝しようとして……」

灼「友達と全国で戦いたいって願いよりも」

灼「妹の力になりたいっていう願いよりも」

灼「何より不純で馬鹿みたいだった動機なのは、私だった……」

灼「そりゃ、私だけ笑うことも出来ないよ……」

灼「私だけ、歪で不純な夢しか見てなかったんだから」

灼「優勝しても手に入らない、入るはずのない夢を掲げてたんだから」

灼「どんなに必死で駆け抜けてたとしても、夢に近づくことなんて出来るはずなかったんだから……」

灼「少しでも理想のゴールに向かって走って近づけてた他の皆と、同じように笑えるはずなんてなかったんだ……」


灼「何で、もっと早くに気が付かなかったんだろう……」

灼「何で、もっと早くに今のはるちゃんを見ることが出来なかったんだろう……」

灼「それが出来てたら、きっと今、素直に笑って応えられたのに……!」

ぎゅっ

晴絵「……」

晴絵「灼、意外と泣き虫なんだね」

灼「……」

晴絵「正直、さ。灼はドン引きだろうけど……」

晴絵「灼の泣き顔、ちょっと可愛いよ」

灼「……変態」

晴絵「うん、ごめん」

晴絵「でも、これが私なんだ」

晴絵「灼の理想に近づこうと頑張ったのに、近づけなかったカッコ悪~いただのオトナ」

晴絵「いやホント、我ながら情けないくらい伝説級のダサくて情けない奴だわ」

晴絵「でもさ……そんだけカッコ悪い私を、今の灼は受け入れて抱きしめられてくれてる」


晴絵「私さ、灼達との祝勝会でカラオケ行った時のため、AKBとか最近無理して覚えたんだ」

灼「……うん、知ってた」

晴絵「麻雀以外は全然スマートに行かない、ホントはただのダメな奴なのよ」

灼「……それでもはるちゃんは、努力でなんとかしようとした」

晴絵「実はオシャレもそんなに詳しくないし」

灼「……それも、知ってた」

晴絵「無理矢理灼のセンスに合わせちゃうような、意思の弱い人間だし」

灼「……私なんかに気を使ってくれる良い人なだけだよ」

晴絵「実はジャスコでデートしたことなんてないし……」

灼「……それも薄々わかってた」

晴絵「聞きかじりの知識を使うニワカ者ってことね」

灼「……分からないなりに頑張って私を元気づけようとしてくれただけでしょ」


晴絵「あと映画も、ぶっちゃけカップルが見るようなのは見ないんだ」

灼「……それも、まあ、予想はしてた」

晴絵「正直に言うと、爆睡こいちゃってたし」

灼「それは知ってた」

晴絵「なのに無理して話を合わせなくちゃと、パンフまで買ったのよ」

灼「……そこまでして、私との会話を盛り上げようとしたんだ」

晴絵「見えっ張りなのよ」

灼「優しいんだよ」

晴絵「結局置いていかれたんじゃって不安になって迷子センター行っちゃったし」

灼「アレはさすがにビックリしたけど、その後のいろいろは決して嫌じゃなかったし」

晴絵「……いつもはもうちょい上手くカッコつけられるよう色々計算してるんだけどね」

灼「……いつもそんなこと考えてたんだ……」


晴絵「今日はアドリブでカッコつけようとしたんだけどな」

灼「……ボロ、出ちゃってたよ」

晴絵「幻滅した?」

灼「……少し」

晴絵「はっきり言うわね」

灼「……素直にならなきゃ、はるちゃんに失礼だと思ったから」

晴絵「……」

晴絵「ねえ、灼」

晴絵「大好きだった阿知賀のレジェンドがこんなんで――――嫌いに、なった?」

灼「…………」

灼「イメージは崩れたし、幻滅は正直しちゃった」

灼「……でも、変、だよね」

灼「…………」

灼「嫌いには――――なれなかった」


晴絵「……そりゃあ、さぁ」

晴絵「私ぶっちゃけ恋人なんていたことないし……」

灼「……それは知らなかった」

晴絵「……麻雀一筋だったし、売れてる時はちょっと調子に乗ってたから」

晴絵「落ちぶれてからは今を生きるのに必死だったし」

晴絵「だからさ、マンガや映画みたいな恋に憧れるし……」

晴絵「恋愛は凄い完璧で尊いものであってほしいと思ってた」

灼「……」

晴絵「でも、さ。きっと恋なんてものは、完璧じゃなくてもいいんだよ」

晴絵「ドラマチックでもヒロイックでもなんでもなくても」

晴絵「純粋な想いや最初から真の理解をし合ってなくても」

晴絵「最初はただの藁にもすがる想いで覚えていただけや――」

晴絵「自分の理想の偶像を重ねていただけだとしても」

晴絵「スタートはそんなでも、女同士だとしても、多分、立派に、恋と言ってもいいんだよ」


灼「……私は、上辺しか見てなかったんだよ」

晴絵「上辺だけでも見てくれた」

灼「……癇癪起こして、チームの仲間に怒鳴るようなやつだよ」

晴絵「それを素直に反省できてるんでしょ?」

灼「……今更都合よくはるちゃんに想いを寄せる卑怯者だよ」

晴絵「お互い様さ」

灼「……はるちゃんのおもち、ふにふにしちゃうようなえっちな子だよ」

晴絵「……ソレは知らなかったなぁ」 ハハ

灼「……幻滅、しないの?」

晴絵「……バカね、灼」

晴絵「灼、さっき私になんて言ったかもう忘れたの?」

晴絵「私も灼にちょぴっとだけイメージを裏切られたし、ほんの僅かに幻滅しなかったわけじゃない」

晴絵「でもね、嫌いになんてなれないし――」

晴絵「やっぱり今でも大好きだから、愛を叫んだしこうして抱きしめてるのよ」


晴絵「……私は本音を吐き出した」

晴絵「カッコ悪いところもいっぱい見られちゃった」

晴絵「だからこれ以上見栄を張らずに、最高にカッコ悪いことを言うわ」

晴絵「灼……私まだ、しっかり聞いてないから」

晴絵「貴方の返事、聞かせてもらえる?」

灼「……わかってるくせに」

晴絵「カッコいい赤土晴絵選手だったら察しているんだろうけど」

晴絵「私は所詮カッコの付かないただのヘッポコ監督ですから」 ニヘラ







灼「私は、はるちゃんのことが、あの時からずっとずっと、あの時よりもずっとずっと、大好きです……」








晴絵「ん、私もだよ」

灼「……ん」

晴絵「……可愛いなあ灼は」

灼「……」

晴絵「照れて真っ赤なのを隠すために胸に顔を埋めるかあ」

晴絵「真っ赤で胸にダイブとか、一歩間違えるとむっつりすけべさんよね」

灼「……///!!」 バッ

晴絵「あら残念、離れちゃった……」

晴絵「って、あれ……もしかして泣いてた……?」

晴絵「感涙……?」

晴絵「ごめ、もしかしてやらかしちゃった?」

灼「……ばか」


晴絵「っと、そろそろ出ようか」

灼「……何もしないの?」

晴絵「あら、シたかったの?」 クスクス

灼「そ、そうじゃなくてっ///!!」

灼「結構高かったし、はるちゃん、お金もったいないって思わないかなって……」

晴絵「ああ、いいわよ別に」

晴絵「そりゃ、こんなのはした金ってカッコつけられるほど実入りはよくないけどさ」

晴絵「……灼の今まで見えなかった面が見えたし、十分元は取れたわ」


晴絵「それにさ」

晴絵「もう立場だとか性別だとかプライドだとか見栄だとか……」

晴絵「そういう外面丸っと外して中見せ合った仲じゃない?」

晴絵「次からは、来たくなったらいつでも来られるわよ」

灼「……そう、だね」

晴絵「何ならホテルに戻った後、私の部屋でシたっていいし」

灼「///!?!?」 ボンッ

晴絵「多分皆、明日の和との遊びに備えて早寝してるだろうしね~」 ケラケラ

灼「で、ででででもそんなこと……///!!」

晴絵「……いや?」

晴絵「私は灼が嫌っていうなら、無理してシたいとまでは思わないわよ」

晴絵「経験したことないモノをそこまで渇望はできないしね」 ケラケラ

灼「……嫌じゃ……ない、けど……///」 プシュ~ッ


晴絵「私は別にそーいうことがしたいわけじゃなくて……」

晴絵「灼を感じていたいだけだしね」

灼「う、うう……///」

晴絵「あ、今私カッコいいこと言った?」

灼「べ、別にっ///!」

晴絵「だからさー、灼がそういうこと嫌だったら、ホント無理しなくていいからね?」

灼「……強いて、言うなら……」

晴絵「ん?」

灼「私も別に、えっちはしたくないけど……」

灼「……はるちゃんに、えっちがしたいって言われてはみたい、かも……///」 プシュ~


晴絵「ん~~~~可愛いっ!」 ダキッ

灼「ちょ、ちょっと……早く出ないと時間が……///!」

晴絵「あーはいはい」

晴絵「なんだかんだ阿知賀の皆はパーティーすら待っててくれてそうだし、これはオアズケかな~」

灼「……その方が、いいかな」

灼「日にち跨ぐより、早く怒鳴っちゃったこと謝りたいし」

晴絵「……ん、そうだね」

灼「……帰ろう、皆の待ってる私達の居場所へ」

晴絵「ん」


晴絵「……あ、皆まだ起きてたんだ」

穏乃「お、おかえりなさいっ!」

玄「ま、待ってたよ……」

灼「……ただいま」

憧「あのさ、灼……さっきのことなんだけど……」

宥「別に一生懸命じゃなかったとか、真剣じゃなかったとかじゃなくてね……」 エトエト

灼「……うん」

灼「ごめんね、皆」

灼「私の方こそ……」

穏乃「いやいや、別に謝らなくても!」

玄「そうだよー灼ちゃんは悪いことしたわけじゃないし……」

憧「強いて悪いことと言えば、灼を待ってて料理が冷めちゃったことくらいかな?」

宥「あったかくない……」 ブルブル

晴絵「そのくらい私がちゃちゃっと温めなおしてあげるわよ」


憧「ハルエが……?」

玄「出来るの……?」 ガクガクブルブル

晴絵「失礼な」

灼「む、無理しなくても私のせいだし私が……」

晴絵「気を使われた!?」

穏乃「ま、まぁまぁ……きっと温めるくらいさらっとやってくれるって」

晴絵「お前……」 ジーン

穏乃「多分だけど、冷めた料理を温めるプロなのかもしれないしっ!」

憧「あー確かに。レンジの扱いだけはプロって感じはするわね」

玄「この歳で親の作りおきのご飯をチンはさすがに……」

晴絵「お前らな! 私は監督だぞ!? 阿知賀ベスト3快挙の立役者だぞ!?」


灼「……し、親しみやすい監督になれてよかったね、はるちゃん」

晴絵「目を背けるなよ、明らかに親しみやすいの度を超えてんだろ!」

晴絵「これじゃあ『したしみやすい監督』じゃなくて『したにみやすい監督』じゃないか!」

穏乃「違うの?」

晴絵「違うわ! レジェンドだぞ、レジェンド!」

憧「ああ、レジェンド(笑)」

晴絵「おま……!」

宥「私決勝戦でアドバイス貰った記憶ほとんどないかも……」

玄「で、でもでも、ほら、うん、ホテル取ったり車出したりしてくれたし……!」

晴絵「おーまーえーらー!」

灼「そ、そんなことないよ!」

晴絵「灼……!」

灼「はるちゃんは居てくれるだけで凄い助かる癒し系みたいな存在だし……!」

晴絵「灼……」


灼(……)

灼(はるちゃん、慕われてるなあ……)

灼(それは、私が思い描いてたカッコいいはるちゃんとは違う姿だけど)

灼(それでも――こんな姿が見られてよかった)


灼「……ねえ、はるちゃん」

晴絵「ん?」

灼「はるちゃんも、やっぱり優勝したかった?」

晴絵「そりゃあね」

晴絵「果たせなかった偉業だし」

灼「……また新たなトラウマになりそうな人がいっぱい出てきたけど……」

晴絵「そりゃあ勿論皆が頑張ってくれたから阿知賀のレジェンド復活よ!」

晴絵「……と、言いたいところだけど……」

晴絵「まだやっぱり、ちょっとだけ怖いかな」

晴絵「完全復活、したかったんだけどねえ」

灼「…・・・じゃあまた来年、この場所にこないとね」

晴絵「……そうだな」

灼「今度は優勝するために」

晴絵「万が一できなくても、復活してヘラヘラ笑えるように、ね」

灼「負けるつもりはないけどね」


私達は勝てなかった。

偶像ばっかり追いかけて、ほとんど何も得られなかった。

けれど――とても大切な一握りの大切なものを手に入れた。

灼「ねぇはるちゃん」

晴絵「ん?」

だから、来年こそは。

“今のあの人”のために。

そして、その人を想う“自分自身”のために牌を握り、ここにまた戻ってこよう。

灼「麻雀って、楽しいよね」

晴絵「ああ――そうだな。知ってるよ」 クスッ

今度は勝つことでなく、笑顔で楽しむことで、はるちゃんにあの時の感覚を思い出させてあげたいから。

そして自分が、そうして戦う姿を見せてあげたいから。

灼「いっしょに楽しもうね」

晴絵「ああ、楽しもう。ずぅっと、一緒に」

カン

ようやく完結。
あんだけ妄想してたデートイベント端折りに端折って13時間かかるとは思ってなかった……
ナメテましたわ、すんません。

SSって難しいね、ということと、恋愛ものや萌える描写って難しいね、と痛感しました。
次はもうちょいプロット練って速度を気にかけリベンジしたいと思います。
こんな長時間捕手してくださった方ありがとうございました。

灼SSもっと増えろ!

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