憧「右手に盾を左手に剣をぉ?」 (42)



「へー!これ、デッキっていうやつ…山とも言うんですね!!」

「おっ、何だシズ。凄い興味を惹かれてるな?」

「はい!山と言えば私、私と言えば山です!」

「これからデュエルするたびに新しい山が、その都度!立ち上がっていくわけですね!!」

「毎回毎回違う山があって、その中身は見てみないと分からない!」

「こんなワクワク…はしゃげる事なんて、そうそうないですよ!」

「ハハハ、シズは元気があって良いなぁ」

「うおおおおお!俄然燃えてきた!」



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1424626154


晴絵「そう!これこそ今回の準決勝においての切り札!」

晴絵「あんたらを信用してたのは本当だけど、私も策を講じてたのさ!」

灼「ハルちゃん…」キラキラ

穏乃「あ!私それ知ってます!遊戯王のカードですよね!」

宥「あったかいの?」

玄「遊戯王のカードかぁ…。私はそのカード知らないけど、どういう効力を持つカードなんだろうね?」

憧(……え?疑問に思うところが違くない?)


穏乃「確か、城之内がゴースト骨塚に追い詰められた際に使用したカードですよね」

晴絵「ああ。絶体絶命の城之内を逆転勝利に導いた、全体に効果を発揮する魔法カードさ」

晴絵「効果は、エンドフェイズまで全てのフィールド上のモンスターの攻撃力と守備力を入れ替える…と言ったもの」

晴絵「初出はウルトラレアだからな!?めっちゃ貴重だぞ?」

憧(エンドフェイズって何!?いや、モンスターってどういうことよ!?)

玄「でも、それが今回の準決勝に対しての切り札って言うのは…」

晴絵「ふふふ…。白糸台のメンバーが、毎回何かしらのコンセプトを持っていることはこの前話したね?」

宥「確か…攻撃に特化したメンバー…でしたっけ?」

晴絵「その通り!今年の白糸台のコンセプトは…攻撃特化!」

晴絵「その全員が!重きを置いているのは、攻撃力だという紛れもない事実!」

玄「あ!だったら、このカードで!」

晴絵「そう!白糸台が磨きに磨きあげた攻撃力は、守備力と変換されて無効となる!」

灼「ハルちゃん…」キラキラ

憧(コンセプトの意味って日本語と英語だとごっちゃなんだけど…まぁそんなことは置いといて…)


憧「いや、っていうか…」

穏乃「でも、どうやってこんなレアカードを手に入れたんですか?」

憧(違う!疑問に思うところが違うよシズ!)

晴絵「ふふふ…。ちょっと伝手を頼ってね…」

穏乃「なるほど…赤土先生の伝手なら、納得です!」

憧(えええ…)

憧「いやさぁ…そうじゃなくてさ…」

玄「そうですよ、赤土先生!」

憧(おぉ、玄。そうだバシッと言ってやれ!)

玄「遊戯王のルールだと、同じカードは三枚までしかデッキに入れられないはずですよ?」

憧(違うわ!ってかそんなの知らないし!)

宥「玄ちゃん…。詳しいんだね?」

玄「遊戯王の女の子は、立派なおもち持ちの子が多くて…一時期集めてました!」

宥「玄ちゃん…」


晴絵「ふっ…。甘く見てもらっちゃ困るよ。玄。私がそれについて何も考えていないとも?」

灼「ハルちゃん…」キラキラ

晴絵「勿論、デッキに入れることの出来る最大の三枚を手に入れてある」

晴絵「だから、問題となるのは発動タイミングだ。『右手に盾を左手に剣を』の効力は、エンドフェイズまで」

晴絵「ターンが入れ替わるのは、先鋒→次鋒のように選手が入れ替わるタイミング」

晴絵「だから、最大でもこの『右手に盾を左手に剣を』の効力を得られる区間は三区間」

晴絵「色々と考えた結果、最大限に効力を発揮する三区間は…先鋒・副将・大将!」

宥「と、言いますと?」

晴絵「まず、先鋒。これは、全国でも屈指の高火力である白糸台の宮永照と、千里山の園城寺怜を止めるためのもの」

玄「た、助かります…。園城寺さんだけでも大変なのに、チャンピオンの宮永さんまで同時に相手にするわけですから…」

晴絵「次に副将。これは新道寺のコンビ対策が主な理由だね」

憧「……あぁ、あの副将の上がりが大将の上がりに繋がるってやつね」

穏乃「え!?初めて聞いた!」

憧「昨日説明してあげたでしょうが!」


晴絵「新道寺からすれば、二つの区間で攻撃力と防御力を入れ替えられたことになる。その効力は、こっちからすれば二倍以上」

灼「ハルちゃん…。うん、私、頑張る!」

晴絵「頼むぞ阿知賀の部長!…そんで、最後に大将。これは新道寺への対策だけでなく、他の高火力プレイヤーに向けても対策となる」

穏乃「私の区間、ですか…」

晴絵「ん?不満か?相手は…千里山の大将にして、関西最高平均素点の清水谷竜華」

玄「あの立派なおもちもちの人だね!」

晴絵「更なる能力を隠し持っているであろう、白糸台の大星淡…穏乃、分かってるね?」

穏乃「………はい」

晴絵「そして副将の打点の二倍上がる新道寺の大将・鶴田姫子…」

晴絵「以上のことから、この貴重な『右手に盾を左手に剣を』は、先鋒・副将・大将で使う!分かったね!」

晴絵「各区間の人は相手の攻撃力と守備力が逆転するということを頭に置いて打つこと!」


玄・宥・灼・穏乃「はい!」


憧「………いや、それは良いんだけど」

晴絵「ん?」


憧「効果の説明も、その効果を最大限発揮する区間がその三つってのも良く分かったわよ」

穏乃「え?じゃあ何が問題なのさ、憧」

憧「いや、何かみんなふっつーに話してるけどさ…」

憧「………いや、良いわ。何でもない」

晴絵「何だ、気になるなぁ」

灼「ハルちゃんに任せておけば問題ない」ドヤァ

玄「でも良かったぁ。またみんなの点棒たくさん取られそうになくて」

宥「玄ちゃん、よしよし」


憧(みんな普通に感じてるから、私だけが変みたいになるから言わないけど)

憧(何でその遊戯王のカードとやらが効力を発揮するわけ?)

憧(何でそれを疑問に思わないわけ?)

憧(あー…もう考えるの止めよ。頭痛くなる…)

憧(どうせ私の区間はその『右手に盾を左手に剣を』とやらの効力は起こらないんだし…)


『さぁ始まりました、夏の高校団体インハイ準決勝戦!』

『CMが長くて今か今かと首を長くしていたTVの前の方々!お待たせしましたよっ!!』

『ちょっ!またそんな事言って…怒られるよ!』

『実況は私、福与恒子とぉ!』

『か、解説は私、小鍛治健夜でお送りします…』

『残念なことにまた一旦CM跨ぐけど、チャンネルは変えずにいろよお前らっ!』びしぃっ

『こーこちゃん!?人の話、聞いてた!?』


玄「良し!では、松実玄。行ってまいります!」敬礼

穏乃「頑張ってください!」

宥「玄ちゃん…ファイト…!」

灼「頑張って欲し…」

憧「頑張ってよね!」

晴絵「おう!じゃあ、さっき話した通り、東一局が終わったら『右手に盾を左手に剣を』を使うからな!」

玄「お任せあれ!」


怜「ツモ。2000・4000」

煌「すばらっ!」

照「……………」

玄(園城寺さん…やっぱり強…)


照「…!」ゴッ


玄(!?何か悪寒が…?チャンピオンさんかな…?)

玄(ふふん。でも今回…こっちには秘策があるのです!)


晴絵「おっし東一局が終わったぁ!デュエルディスク、オン!」

憧「!?」

穏乃「おぉーっ!やっぱり実物は格好いいですね!」

宥「でもあんまりあったかくなさそう…」

灼「ハルちゃん…格好良…」キラキラ

晴絵「魔法カード、『右手に盾を左手に剣を』を発動!」

晴絵「この瞬間、フィールドにいる四人の攻撃力と防御力は区間が終わるまで入れ替わる!」

穏乃「すごいすごい!今度使わせてください!」キラキラ

灼「ハルちゃん…」キラキラ

宥「玄ちゃん…頑張れぇー!」

憧(何処から出してきたのそれ!?)


照(千里山の園城寺さん…一巡先を見る能力か…)

照(新道寺の花田さんは…この前見たとおり、飛ばない能力…)

照(そしてこの初合わせの…阿知賀の松実さん…ドラを全て集める能力…)

照(そうなると、ドラがない前提で打つことになる…手役とツモで稼ぐか…)チャッ


ドラ2 / 照配牌

12334⑤(赤)⑥八九南南北中

照「」ドラ2

怜「」ドラ1

煌「すばらっ!」ドラ2




玄「」ドラ0


照(え、何これ。私間違えた?)トン

怜(な、何なんこれ。ドラローの人、戦略変えてきたん?)トン

煌(すばら!ドラが頭で配牌リャンシャンテンですよ!)トン


玄「」

煌「ん、松実さん?」

玄「は…はいっ!?」

煌「ツモ番ですよっ」

玄「こ…これは失礼しました」チャッ

玄(だ、第一ツモでもドラが来ない…!)


煌「すばらっ!ツモです。2000・3900ですね!」

照「…はい」

怜「…はい」

玄「……はい」

煌(いきなり無駄ツモなしの上がりとは幸先が良いですよ!)

照(予想外の出来事に、様子を見てたら上がられた…)

怜(てっきりドラを手放したドラローさんが何か仕掛けてくると思ったけど…ちがうんか?)

玄(これって…もしかすると…)


次局配牌


照「」ドラ1

怜「」ドラ1

煌(すばらっ)ドラ2



玄「」ドラ0




―阿知賀控え室―


憧「ちょっと!どうなってんのよこれ!」

穏乃「一度ならず二度までも玄さんにドラが一つも集まらないなんて…!」

晴絵「なるほど…そういうことか…」

宥「ど、どういうことなんですか?」

晴絵「玄には全てのドラが集まる…。言ってみれば、実はこの卓で一番の高火力が玄だった」

晴絵「その実、玄は防御に関してみればスカポンタン。ドラを切れないから、その余剰牌を狙われることは必然だった」

晴絵「つまり…攻撃力と防御力が逆転した今…!」


晴絵「玄の攻撃力はとてつもなく低い!ドラなんて来ない!」ドヤァ


憧「何ドヤ顔で言ってるのこのポンコツレジェンドぉぉおおおお!!」

灼「ハルちゃん…」どんより

穏乃「これじゃドラゴン族封印の壺じゃないですか!」


煌「ツモ!6000オールです!」すばらっ


照「…はい」

怜「…はい」

玄「…………」


照(うーん…今の局も捨てて再度魔境をやってみたけど…阿知賀の人…まるで別人…)

照(そして、何故かドラは彼女以外に…とりわけ、新道寺に行く確率が高くなった…)

照(…とにかく。様子を見るのはここまでにしよう。私も攻めないと…)

怜(何や知らんけど、ドラローさん以外にドラが来るってんなら…普通に攻めればええんやろ?)


玄「…………」


照(テンパイ。2-5s)

怜(…チャンピオンが聴牌…次巡に阿知賀が振って、次の局か…)


玄「……」3s


怜(交わ…)

照(したっ!?)トン


煌「ロン!5800の一本場は、6100ですっ!」



―阿知賀控え室―


晴絵「ふふ…しかしながら、憧。実はここまでは予想通りなんだよ」

憧「!?」

晴絵「その高火力である攻撃力が反転した今…玄の攻撃力は確かに激減した」

晴絵「…だが、逆に考えると?今、玄の防御力はどうなった?」

穏乃「……まさか、今の玄さんは!」


晴絵「そう。この中で、誰よりも守備力が高い!」

晴絵「ちょっとやそっとじゃ、今の玄は打ち込まないよ!」


照(私の聴牌を…確実に読んでの打3s!?)

照(わざわざ待ちも少なくなる上に役もなくなるシャンポンにまで受けて!?)

怜(これは…ドラローさんにしてやられたかもしれんな…)

怜(あのド派手な上がりは、この準決勝までの布石…)

怜(本来はこういった堅実な打ち筋が彼女の持ち味なのかもしれん…)

煌(何だか知りませんが、調子が良いですよー!)


玄「…………」ブツブツ


照(不気味)

怜(な…何考えてるか全然分からへん…)

煌(すばらっ)


玄(ドラは…来るもん…私の元に…来るもん……)ぶつぶつ


憧「いやいやいや。今みたいに玄が他家への上がりを避けても!」


『ツモっ!1200オールですっ!』すばらっ


憧「ツモで削られるのはどうしようもないわよ!?」

憧「ましてや、今の玄は攻撃力が皆無に近いわけでしょ!?」

晴絵「ふふふ…。慌てなさんなって。私の切り札は…まだ別にある!」


晴絵「速攻魔法発動!『増殖』!」


穏乃「そ、そのカードは!」

灼「知っているのか穏乃!?」

穏乃「ええ。原作の初出では、攻撃力500以下のモンスターを無数に増殖させる、といった効力でした」


憧「…つまり、どういうことよ?」


晴絵「そう。『増殖』のカードの効力は穏乃の言うとおり…。今の玄の攻撃力は余裕の500以下。つまり…」


晴絵「玄はこれから、無数に増殖してあの場に出現する!」


灼「ハルちゃん…」キラキラ



ボワン


照・怜・煌「!?」


クロチャーA「おもちー」

クロチャーB「おもちもちー」

クロチャーC「なのです」

クロチャーD「なるほどなるほどなるほどー」

クロチャーE「おねーちゃー」


玄「……………」ブツブツ


照・怜・煌(何か小さいのが増えた!?)


穏乃「確か、原作ではこのカードを使われたクリボーに特殊能力『機雷化』ってのがあったんですよね…」

晴絵「ああ。今フィールドには玄がいっぱいのはず…そして、玄にも…その機雷化に近い能力がある!」

宥「そ、そんな能力玄ちゃんにありましたっけ…」

晴絵「ああ。今玄はドラが来なくて、めちゃめちゃいらついているに違いない」

憧(あんたがそうしたんでしょ…)

晴絵「そんな玄の分身…。いつもの玄なら絶対に明かさない、深層心理の感情が表に出てくる!そう…それが!」




クロチャーF~M「………」ふよふよ

照(何かこっちにたくさん来た)

クロチャーF~M「………」

照(すごく嫌な視線が突き刺さるんだけど)

照「………」

クロチャーF~M「………」視線→胸

照「………何?」

クロチャーF~R「…ふっ」

照(鼻で笑われた!?)ガーン


晴絵「玄の隠された能力…『並以下は嫌いだ!』」

憧「ただの悪口か煩悩でしょそれ!?」


クロチャーF「鉄板」

クロチャーG「おもちに失礼」

クロチャーH「むしろ可哀想」

クロチャーI「72」

クロチャーJ「7177」

クロチャーK「胸がないって残酷だよね」

クロチャーL「しっ!本人は気にしているかもしれないのです」

クロチャーM「おもち付けて出直せ!!!」


照「何これ…何これ…」うるうる

照「何で私のところにだけ来るの!」


クロチャーL「私らだってこんな無乳のところ来たくないのです」指差し


照「?」


クロチャーA~E「頑張るのです、私!」

玄「うぅ…。みんなぁ…」


クロチャーN~S「どう見てもこの中では一番のおもちは私ですが、こっちで我慢してやるのです」

煌「すばらっ!?」


クロチャーT~Z「分かってないですのだ。この人の方がマシですのだ」

怜「あ…ありがとう…なんかな?」


クロチャーL「たまたまこっちに割り振られたのが可哀想な私たちなのです」

クロチャーL「こんな無乳に割り振られた私たちの事も考えて欲しいのです」

クロチャーF~M「………」視線→胸

クロチャーF~M「はぁ」


照「ひ…ひどいっ!」


晴絵「恐らくあの場で行われているのは、胸なしのチャンピオンへの精神的な攻撃!」

晴絵「これを与えることにより、チャンピオンは更なる攻撃力ダウンを促す!」

憧「陰湿!陰湿極まりない!」

灼「ハルちゃん…」


『先鋒戦終了ー!!』

『まさかまさかのチャンピオン、宮永照の大失点でしたね!』

『うーん…らしくない振込みが目立ちましたね…』


※フィールド外なのでクロチャーが見えない


『一方で一回も上がらないものの、振込みを紙一重で避け続けた阿知賀の松実選手』

『面白い打ち方をする選手でしたね。今後に期待できそうな選手です』

『現在三位ですが、準決勝の打ち方と、それ以前の打ち方を自在に操れるようになれば…』

『正直な話、非常に松実選手のこれからが楽しみです』

『おおぉ!最強プロが珍しくベタ褒めだぞ!?雪でも降るんじゃないか!?』

『たまには褒めるよ!?』


晴絵「そしてこの瞬間!先鋒の区間は終了!『右手に盾を左手に剣を』の効力は消える!」

晴絵「つまり、玄の攻撃力は元に戻る!そのことにより、増殖の効力も消滅!」


クロチャーA~E「良く頑張ったのです、私。みんなに後は任せましょう」シュウウウゥ

玄「…うん。いっぱいいる私も、良く分かんないけど…ありがとう!」


クロチャーN~S「流石でしたのです。おもち揉ませてくれなのです」シュウウウゥ

煌「すばらくない!?」


クロチャーT~Z「お疲れ様なのですっ」シュウウウゥ

怜「なるほど…竜華が玄ちゃんの事可愛い言うのも、分かる気がするわ…」


クロチャーF~M「やっと終わったのです。全く無駄な時間だったのです」シュウウウゥ

照「……咲ぃ。おもちもちが私をいじめるよぉ…」


晴絵「完全勝利!」ドンッ☆

灼「ハルちゃん…」キラキラ

憧「いや白糸台めっちゃ凹ませたけど、まだうちら三位だから!」


『そんでもって大将戦だーっ!』

『まさかまさかの白糸台苦戦。どうですか最強プロ、予想できましたか?』

『そうですね…。やはり先鋒の宮永選手の失点が大きく響いていますね…』

『現在、大幅に浮いている1位が阿知賀女子』

『続いて、2・3位が団子状態で新道寺と千里山』

『そしてやや離されて、白糸台という状況になっております』


穏乃「……それじゃ、そろそろ行く準備を…」

晴絵「おう。頼むぞ!」

灼「ハルちゃん…」キラキラ

憧「帰ってくるの早すぎない!?」

玄「ここまではうまくいってるね!」

晴絵「ああ。先鋒ではチャンピオンを血祭りに上げ、副将でも灼は余裕のぶっちぎり+」

晴絵「しかも新道寺の上がりを最小限に抑えた」

灼「もっと!もっと褒めてハルちゃん!」

宥「流石赤土先生です。あったか~い」

晴絵「さて、じゃあ『右手に盾を左手に剣を』を使って…」

穏乃「……赤土先生」

晴絵「ん、どうした穏乃。まだ行ってなかったのか?」


穏乃「やっぱり…この大将戦、『右手に盾を左手に剣を』の使用は、止めて貰えませんか?」


「「「!?」」」


憧(いや、正直もうどっちでも良い点差だけど)


穏乃「やっぱり、そうやって初めから使いたいカードを自在に使えるのは卑怯だと思います」

晴絵「な…お前ここに来てそんなの…!」

穏乃「そうまでしてそのカードを使いたいのなら…条件があります」

穏乃「使用した二枚の『右手に盾を左手に剣を』と、『増殖』を除外して、山をシャッフルしてください」

穏乃「そしてその中で、一番上にあるカードを使ってください」

穏乃「赤土先生なら、使いたいカードを呼び込めるはずでしょう?」


穏乃「麻雀の山も、デュエルの山も…次に何が来るか分からないから面白い…」

穏乃「そうやって、デュエルも麻雀も教えてくれたのは…」

穏乃「他ならぬ、赤土先生。あなたじゃないですか」


憧(何か始まった)


晴絵「…ほう。いっちょ前に言うことは大人になったもんだな、穏乃…いや、シズ…」

晴絵「私の運命力と戦おうっていうのか?」


憧(運命力って何?)ひそひそ

宥(さぁ…)

玄(おもち力ならお姉ちゃんが一番ですよ!)えっへん

灼(ハルちゃん…)キラキラ


穏乃「知ってますよ。赤土先生のそれがどれだけ高いか…」

穏乃「ですが、山の支配なら私も負けてません」

晴絵「…なら、両方で一回ずつシャッフルして、その後私が引く…それで良いな?」

穏乃「はい。お任せしますよ」

晴絵「提案してきたのはお前だ。なら、お前が先にシャッフルしろ」

穏乃「……分かりました」


穏乃「…………どうぞ」


晴絵「私がこうまでしてお前たちを勝たせたいのは、誰のためでもない。お前たちのためだ」

晴絵「その上で私は1%でも勝率が高くなる方を選ぶ。…それが私の、10年前の義務だ」

晴絵「誰に言われようとも、私はお前たちを優勝させる!このデッキを使ってな!」


穏乃「分かってますよ、それくらい。赤土先生が、そのためにどれだけ頑張ってきたのかは」

穏乃「でも、それで涙を飲んだ人がいます。この準決勝で、遊戯王のカードを使えるのは赤土先生、あなただけだった」

穏乃「麻雀のインハイで遊戯王のカードを使っていけないというルールはない」

穏乃「でも、他の三校が使えない。使うことを知らない。そういった状況下で、私たちだけが使えるのは…マナー違反ではないですか?」

穏乃「ルールとマナーを守って楽しく『決闘』しよう…。それが、デュエリストの…麻雀打ちの…たった一つの共有する正義!」


晴絵「…はっ、どこのアメリカかぶれだお前は。…言ってくれるわ。シズ」

晴絵「お前がどう言おうと。私は『右手に盾を左手に剣を』を引いてみせる!」


晴絵「ドローっ!!」


憧(なんだこれ)

宥(さぁ…)

玄(でもまぁ、ちょっとずるいってのはあるよね…)

灼(ハルちゃん…)ドキドキ


つ【強欲な壺】


晴絵「ふふふ…」

穏乃「ふふふ…」


晴絵「分かってたさ。一番上に『右手に盾を左手に剣を』が来ない事は」

晴絵「シズ、お前はデッキの一番上にだけ支配を全て注いだ。そりゃ私の運命力でも『右手に盾を左手に剣を』は引けないわ」

晴絵「だから私は違う方向で考えた。…なら、二番目に『右手に盾を左手に剣を』を置けば良い」

晴絵「そして、その代わりに。デッキの一番上には追加ドローを持つカードを置けば良い」

晴絵「お前の支配は、デッキの一番上に『右手に盾を左手に剣を』のカードを来させないこと。これは間違いない」

晴絵「そしてもう一つ。間違いなく、今一番上に眠っているカードは『右手に盾を左手に剣を』」

晴絵「お前は言った。『一番上にあるカードを使ってください』と」

晴絵「だから、遠慮なく…引かせてもらうよ。魔法カード・『強欲な壺』を発動―」



「いいえ、赤土先生」

「そこはもう…あなたのテリトリーじゃないんです」


穏乃「それは…禁止カード。使用した瞬間に、赤土先生…あなたの負けです」

晴絵「何!?……禁止カード、だと?」

穏乃「余りにもハイスペック過ぎて、ゲームバランスを崩壊させる恐れのある…チートカード」

穏乃「『強欲な壺』…何のリスクもなしに、二枚カードを追加ドロー出来るカード…」

穏乃「赤土先生…。今、私たちがやっているのはそれと同じなんです!」

晴絵「そんな…だって、そんなの私…知らない…!」

穏乃「目を覚ましてください!もう、あなたがデュエリストとして活躍していた時代は…終わったんです!」

憧(そんな時代あったんだ。後でお姉ちゃんに聞いておこう)

穏乃「今を…今を見てください!…そんなに、そんなに信じられませんか!?」

晴絵「え…っ…」


灼「ハルちゃん…。穏乃を…うちらの大将を、信じてあげよう?」

玄「そうですよ。ここまでやって来れたのは、全部、全部穏乃ちゃんのおかげでしたもん」

宥「全ての始まりは、穏乃ちゃんの…和ちゃんと遊びたい。はしゃぎたいという願いからでした」

憧(あれ?これ何か私言わなきゃいけない流れ?)

憧「えーっと…そう。そういうことよ。そうそう。そういうこと」


穏乃「私を…私たちを信じてください…っ!自分たちの力で…絶対、絶対優勝しますから…っ!」ポロポロ

禁止カードとかないよなと思ってたのに酷い


晴絵「うっ…うううっ…。ま、負けたら承知しないからな!絶対勝って来いよ!」

晴絵「そして…この瞬間から…この瞬間からお前が阿知賀のレジェンドだからな!」

憧(その称号は要らんと思う)

穏乃「はい!新たな阿知賀のレジェンドに…任せてください!」

憧(要るのか…そりゃシズだもんなぁ…喜んで使うよなぁ…)


晴絵「ううっ…あいつめ…ナマ言う年になりやがって…」

灼「ハルちゃん…よしよし…」

玄「さ、新生阿知賀のレジェンドの対局を、みんなで見届けましょうか!」

宥「きっとあったか~い!」

憧「ま、あいつのことだから…大丈夫でしょ!」


憧「魔法カードとやらに頼らなくても…あいつは…シズは…みんなを裏切るようなことはしないから!」


『それでは、インハイ準決勝大将戦!初めて下さいっ!』


「「「「宜しくお願いします!」」」」」



『決まったぁあああああああああああああああああ!』

『波乱万丈、戦前の白糸台有利とは何だったのか!?』

『蓋を開けてみれば大激戦!最後まで全く予想が付かない卓でしたが!』

『優勝したのは…屈辱の10年ぶりのインターハイからの大躍進!』

『今年の夏を制したのは、奈良の新鋭!阿知賀女子高校だああああああああああああああああああああっ!!』


『それでは、優勝した阿知賀女子の大将を務めた、高鴨穏乃選手にインタビューです!』

「ありがとうございますっ!新生阿知賀のレジェンド、高鴨穏乃です!」

『え、えーと…高鴨選手、ズバリ…優勝できた要因は何だと思いますか?』

「んー…そうですね…」


「やっぱり、ルールとマナーを守って楽しく、はしゃげたのが一番だと思います!!」




カンっ!

照「謝罪と賠償を要求する」

小ネタでiPSシリーズ書いてたら日付変わりました。クロチャー欲しいです。

>>32
うーん、制限カードを連続して切らせるとか。コストとかで強制的に負け(?)させるのもあったんですけど。
このスレタイとは言え、皆が皆遊戯王知ってるか分からんので、一発禁止レッドで書いちゃいました。申し訳ないです。

読んで頂いた方は、ありがとうございました。寝て起きたらHTML化申請致します。

>>35
http://imgur.com/1wDmB5J

あ、照は大好きです。てるたんイェイ!(5日ぶり2度目)

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom