あかり「異端審問を始めます」(173)

あかり「被告は前へ」

ちなつ「あ、あかりちゃん!? なによこれえ!」

あかり「静粛に」

あかり「吉川ちなつ、13歳、中学生、未婚。間違いありませんね」

あかり「あなたには黙秘権があります。質問に答えるか否かは自由ですが、いずれの場合もあなたにとって有利にも不利にもなります」

ちなつ「なんなのよぉ・・・」

あかり「検察官、公訴事実の確認を」

結衣「はい」

ちなつ「結衣せんぱい!?」

結衣「被告、吉川ちなつは、『コミック百合姫』にて連載中の『ゆるゆり』作品世界内において、『ゆるい百合』という作風に反し、」

結衣「同性同士の恋愛感情の吐露、直接的及び間接的な性描写を行い、」

結衣「読者、視聴者及び作品内人物の意向に反する形で自らの欲望を満たそうとしたため、起訴に至った次第です」

あかり「弁護人、公訴事実に間違いはありませんね」

綾乃「はい」

ちなつ「綾乃せんぱいまで・・・」

あかり「では検察官、冒頭陳述を」

結衣「はい」

ちなつ「ちょっと待ちなさいよあかりちゃん!」

ちなつ「結衣せんぱいもっ!」

あかり「被告は静粛に。古谷さん、彼女にこれを」

ひまわり「はい」ガムテペタリンコ

ちなつ「むぐう」

あかり「では検察官」

結衣「吉川ちなつ、11月6日生まれ、13歳。身長149センチメートル、AB型」

結衣「姉ともこの影響で茶道部を希望するも、同中学2年歳納京子のすすめによりごらく部へ入部」

結衣「同部在籍の2年Y・Hに好意を持ち、デートやキスを迫ることもあり」

ちなつ「ほ、ほれはゆひせんぱいの・・・」

ひまわり「おだまり」ペシ

ちなつ「むぐう」

結衣「さらに同中学1年A・Aに『練習』と称してキスを迫り、強姦目的で被害者を追い回し、押し倒す」

結衣「その様子を同中学2年Y・H及びK・Tに見せつけるなど」

結衣「強姦、強制わいせつ罪、公然わいせつ罪など多数」

結衣「よって被告、吉川ちなつを異端と認定し、火刑を求めます」

ちなつ「むぐう!?」

あかり「弁護人、陳述内容に同意しますか」

綾乃「いいえ」

あかり「では検察官、尋問の用意を」

結衣「はい」

ひまわり「ふふっ」

ちなつ「!?」

ひまわり「えいっ」ベリ

ちなつ「いたた、痛いよ向日葵ちゃん!」

あかり「静粛に」

結衣「被告人、あなたは某月某日、自宅に被害者A・Aを呼び出し、Y・Hについて尋問し」

結衣「練習と称してキスを迫り、強姦目的で追い掛け回し、その様子を公に晒した。違いますか?」

ちなつ「そ、それは誤解です結衣せんぱい!あれは誤解なんです!」

結衣「誤解とは、どういう意味でしょうか」

結衣「あなたのいう誤解とは、つまり、あなたの本来の目的はA・Aではなく」

結衣「あなたの行為の対象は、他にいた、という意味ですか?」

綾乃「異議あり!ですわっ」グワ

綾乃「検察は、被告人が強姦、その他の行為を行ったという証拠を提示していません!」

ですわじゃねえよ

あかり「弁護側の異議を認めます」

あかり「検察は、被告の異端行為の証拠を提示してください」

結衣「わかりました」

結衣「では証人を召喚します」

あかり「許可します。証人を入廷させてください」

結衣「では」

ガララ

京子「はい」

ちなつ「京子せんぱいまでっ・・・」

結衣「七森中学2年、歳納京子さん、間違いありませんね」

京子「はーい」アハハ

綾乃「としのうきょっ・・・!!」モガ

ひまわり「はい、お静かに」

結衣「歳納さん、あなたは被告が異端行為を行ったというその日、彼女の家に行きましたね」

京子「イッたよー」アハハ

あかり「検察側証人は、真摯な態度でのぞむように」

京子「はあい」シュン

京子「私とゆ、Y・Hは、その日確かに被告人の自宅へ行きました」

結衣「被告の自宅で何が起きたのか説明してください」

京子「えっとー・・・」

京子「東京帰りのおみやげをあげようと思って、インターホンを鳴らしました」

京子「でも何回か押しても出なくってー」

京子「玄関に鍵がかかっていなかったので開けたんです。声も聞こえたし」

京子「だったよねーゆいー?」

結衣「・・・続けてください」

京子「っちぇー」

京子「そうしたら・・・」

京子「そしたら・・・」ワナワナ

京子「ちなつちゃん・・・被告が、あか、A・Aを押し倒して・・・」

京子「さみしげなひとみで、唇を濡らして・・・」

「あ、あかん、めがね・・・」

「池田せんぱい、血!鼻血!」

スッ

「あ、おおきにー」

あかり「静粛に、静粛に」カンカン

綾乃「い、異議ありっ!」

綾乃「証人は検察と親しい人物であり、証拠能力が著しく低いと思われます!」

結衣「そんな事実はありません」

京子「そんなっ」

あかり「異議を却下します。証人は証言を続けてください」

綾乃「くっ!」

京子「その後被告は、誤解ですと叫び私達にも迫って来ました」

京子「A・Aは、なんというか、事後? そんなかんじで、放心状態でした」

ブッ

「事後・・・綾乃ちゃんと、歳納さんが、事後・・・」ホワァ

結衣「証言は以上ですね?」

京子「うん」コクリ

結衣「以上のことから、被告はA・Aに対し異端行為を行ったことは明白です!」バシッ

あかり「それでは弁護側、なにか異議はありますか」

綾乃「くっ、被告への尋問の許可を求めます」

ちなつ「尋問!? 尋問ってなに!?」

あかり「許可します」

綾乃「吉川ちなつさん」スッ

ちなつ「は、はい」

綾乃「あなたが七森中学2年、Y・Hさんに好意をいだいていることは事実ですか?」

ちなつ「・・・」チラ

結衣「・・・」

ちなつ「は、はいっ」

綾乃「それは肉体的な欲求を伴いますか?」

ちなつ「い、いいえ!」

結衣「異議あり」

結衣「被告が同性に対し肉体的欲求を抱いていることは先ほどの証人の証言から明白であると思われます」

綾乃「異議あり!」

綾乃「先ほどの証言は、被告がキスを求めた証拠にはなっても、肉体を求める異端行為を欲したという証拠にはなりえません!」

綾乃「被告は純粋に、『キス』という行為への興味からA・Aを押し倒す形になってしまったのであって」

綾乃「肉体的欲求を求める、『ガチ』な百合ではなく、まだ異端の範疇外である『ゆるい』百合であるといえます」

綾乃「そうですね!? ちなつさん!」

ちなつ「は、はい!そうです!」

ちなつ「わたしは!ただ純粋に!」

ちなつ「結衣せんぱいとっ!」

綾乃「ストップ!」

綾乃「どうでしょうか、審問官殿!」ガタッ

あかり「・・・」

あかり「弁護側の異議を認めます」

ザワザワ

あかり「第四次異端審問会はここで一時閉廷とします」

あかり「各自話し合いをして、午後の部へと備えてください」

あかり「ではこれにて閉廷」カンカン

ザワザワ

ちなつ「い、いったいぜんたいなんだったの・・・」ヘナヘナ

ひまわり「吉川さん、あなたは目をつけられてしまった・・・ですわ」

ちなつ「向日葵ちゃん・・・」

ちなつ「これはいったいどういうことなの!?」

ひまわり「異端審問会、それは・・・」

ひまわり「『ゆるゆり』作品世界のとある流れに異を唱える者が発案した絶対的権力組織・・・」

ちなつ「と、とある流れ・・・?」ゴクリ

ひまわり「それは・・・・ガチ百合」ジャーン

ちなつ「ガチ?」

ひまわり「ゆるい百合空間にガチを持ち込んだことで、あなたは目をつけられてしまった・・・ですわ」

ちなつ「目をつけられた・・・だ、だれにっ!?」

ひまわり「それは・・・」

カンカン

あかり「古谷さん、ちょっと」

ひまわり「は、はいっ、ですわ」

ひまわり「では・・・ご武運を、ですわっ」タタタッ

ちなつ「あ、まって、向日葵ちゃん!」

綾乃「吉川さん・・・」スッ

ちなつ「杉浦せんぱい・・・」ジワッ

綾乃「私はあなたの味方よ、吉川さん!」

綾乃「私たちのこの『気持ち』を、異端などと・・・」

綾乃「そんなバッサリ切り捨てたりさせるものですか!」

綾乃「・・・」チラッ

京子「・・・」ホケー

千歳「吉川さん!」ガバ

ちなつ「池田せんぱい・・・?」

ちなつ「そういえば千夏せんぱいどこにいたんですか」

千歳「大室さんといっしょに傍聴席にいてん、それよりこれ、お腹すいてるやろ?」プァーン

ちなつ「すっぱ!」

ちなつ「た、たくあん・・・」

千歳「疲れたら塩分とらんとあかんでなあ」

ちなつ「あ、ありがとうございます・・・」

あかり「五分後に開廷します、準備してください」カンカン

綾乃「私、がんばるからね!」

ちなつ「あ、杉浦せんぱい! その・・・」

ちなつ「結衣せんぱいが検察ってことは・・・」

ちなつ「わたしを起訴したのは・・・」

綾乃「・・・ええ」

綾乃「・・・船見さんよ」

ちなつ「・・・」

カンカン

あかり「検察、弁護人は位置についてください」

すいませんごはん買ってきます
YFですね

あかり『それでは開廷します」カンカン

結衣「・・・」

綾乃「・・・」

京子「・・・」メチャイボイボー

ちなつ「・・・』ゴクリ

あかり「検察側、先ほどの弁護側の申し立てに異議はありますか」

綾乃「・・・」

結衣「・・・いいえ」

ちなつ「!」

結衣「そのかわり、別件で証人召喚を申し出ます」

綾乃「!」

あかり「許可します。証人は入廷してください」

ガララ

京子「ちーっす」

ちなつ「またかよ・・・」

結衣「七森中学2年歳納京子さんですね」

京子「さっきも言ったじゃーん」アハハ

結衣「では歳納さん、証言をお願いします」

京子「はーい」

京子「あれは、あたしの同人誌を読んでくれた一年生が来た日の部活のことでした・・・」

京子「あたしは、同級生のY・Fさんとあたしを主人公にした紙芝居を描いたんです」

京子『結衣、手紙気づいたかなぁ・・・』

京子『もう、心臓どきどきだよぉ・・・』

京子『でも、この想いは知ってほしかったんだ・・・』

京子『だってこの想いは・・・特別なんだもん!』

Y・F『京子!・・・よかった、待っててくれたんだ』

京子『きゃあっ、結○ー!』

Y・F『これ、さっき読んだ・・・』

京子『あたし、○衣が大好き!』

Y・F『ありがとう、京子・・・私も大好き・・・』

あかり「・・・紙芝居の内容が、それですか?」

京子「はい」

結衣「もちろん、親友同士の冗談として。ですよね、京子さん」

京子「ええー??どーかなー」フンフン

結衣「・・・」

結衣「そうですね?」

京子「ハイ」

あかり「続けてください」

京子「結、Y・Fさんの、『大好き』というセリフのあとでした」

京子「被告人は、紙芝居をまっぷたつに叩きわったのです」

京子「空手チョップです」

結衣「歳納さんと、Y・Fさんが同性恋愛をしている紙芝居、もちろんジョークですが、それを見て、被告人は激怒した」

結衣「ですね?」

京子「はい」

綾乃「異議あり!」

綾乃「被告人は歳納京子とY・Fさんとの恋愛関係を勘ぐって激怒したのではなく、勝手な妄想をかきなぐった歳納京子に対して」

綾乃「義憤にかられたからこその行動ではないでしょうか!」

結衣「異議あり」

結衣「それは弁護人が判断するものではなく、さらにまだ証人の証言は終わっていません」

結衣「証言の核たる部分はまだ先なのです」

あかり「検察側の異議を認めます。弁護側は、憶測の異議で証言を妨害しないように」

綾乃「くっ・・・」

あかり「証人は証言を続けてください」

京子「はーい」イボイボー

京子「あたしの紙芝居のあと、被告人は、今度は自作の紙芝居を披露してくれました」

結衣「それがこれです」パラ

キャー

あかり「」

「審問官殿が白目を・・・」

「失神なされた!」

ナントイウコトダ・・・

ドウイウコトナノ・・・

ヒアブリだ!

コンナジャアクナ・・・ヒアブリニシロ!

カケイダカケイ!

綾乃「こ、これは・・・」

ちなつ「なんで、とってもうまくできたのに・・・」

ひまわり「せ、せいしゅくに!ですわっ」

ヒーアブリ!ヒーアブリ!

ひまわり「い、いったん閉廷!閉廷!」

ひまわり「審問官殿が目を覚ますまで休廷とします!ですわっ」カンカンカン

綾乃「吉川さんっ・・・」タタタ

ちなつ「杉浦せんぱい・・・」

綾乃「あの絵は、ほんとうに吉川さんが?」

ちなつ「はい、とってもよくできてると想いませんか?」ニコ

綾乃「え、ええ・・・そうね」

結衣「・・・」

綾乃「これは、まずいわね・・・」

参考画像
http://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org3158591.jpg

ひまわり「審問官殿が目を覚ましました」

あかり「・・・し、失礼しました」

あかり「では、開廷します。証人は、証言を再開してください」

京子「はーい」

京子「被告人の描いた紙芝居は、Y・Fさんに対しての恋愛感情を示すものでした――」

【どうして☆止まらない☆トキメキ☆ドキドキ☆パラドックスエターナル】

『今日も白馬で草原を駆け抜ける王子様(Y・F)』

『見知らぬ風景をながめていると、ひとりの少女(>>61)が視界に入る』

『それはとてもみすぼらしい娘(被告)だった――』

あかり「う・・・」

ひまわり「お気を確かに、審問官殿」

『けれどその少女の笑顔はどんな宝石よりも美しく――』

『まるで稲妻に打たれたように痺れる王子様・・・』

『気がつけば少女の前に仁王立ち』

『目と目があったその瞬間に――』

『心がトキメキ、胸がドキドキ、思考はパラダイス!』

『たちまち二人は恋に落ちるエターナル!』

結衣「――以上のことから、被告はY・Fに対し、屈折した恋心を抱いていたことがうかがえます」

結衣「彼女の絵は、暗喩に満ちており、まさに異端そのものといっても差し支えないでしょう」

オーソウダソウダ

イタンダイタンイタンヤネン

あかり「静粛に」カンカン

綾乃「い・・・異議ありっ!!」

綾乃「それこそ、憶測での物言いです。証拠能力皆無!ノンノンノートルダムよっ!!」

結衣「ぶふっ」

あかり「・・・異議を認めます。検察側、その証言と検察官の解釈は恣意的なものであると言えます。その証言に証拠能力はありません」

ブーブー

アレハアクマノエガイタモノダ

マジョダマジョ!マジョッコミラクルン!!

マジョヲヒアブリニシローー!

あかり「静粛に、静粛に!」カンカンカン

あかり「審問会を妨害することは死罪に値します」

あかり「静粛に!」カンカン

シーーーン・・・

あかり「検察側、証人の証言は異常ですね?」

綾乃「ふう・・・なんとかしのいだわね」

ちなつ「なんだか大変なことに・・・」

ひまわり「・・・」チラ

結衣「・・・」

京子「フンフーン」アカリイボイボー

結衣「・・・」

結衣「・・・いいえ」

綾乃「えっ・・・」

結衣「証言はまだ終わっていません」

あかり「では歳納京子さん。証言を続けてください」

綾乃「まだなにかあるっていうの・・・っ!?」

京子「ハーイ」

京子「被告人の紙芝居を止めたあと、あたしたちはごらく部の活動を続けることにしました」

京子「その日は・・・粘土で遊ぼうということになったんです」

京子「A・Aさんはうさぎ、Y・Fさんはギョーザ、被告人は・・・なんだかよくわからないもの」

京子「そしてあたしは、魔女っ子ミラクるん・・・に見せかけた、被告人の人形を作っていました」

――あの日起こったこと――

京子『ふふーん、あ○り』

A・A『生首」ーっ!?』

京子『鼻水、よだれ、お団子バズーカ』

A・A『もー!あか○をもてあそばないでよーっ!』

京子『あはは、ごめんごめん、別のものつくるよ』バシ

・・・

京子『うーん、油粘土くたくただから立たないなあ』

A・A『京子ちゃんすごーい』

被告『ミラクるんですか?』

Y・F『器用だなー』

京子『いや・・・』フフン

京子『ミラクるんとみせかけて、ちなつちゃん!M字開脚!!』ジャーーン

被告『やめてください!お嫁にいけないじゃないですか!!』

京子『アハハッハー』


被告『うええんせんぱい!

    わたしがM字開脚を見せるのは

             せんぱいだけですよーっ!!!』


綾乃「!」

あかり「!」

ひまわり「!」

ちなつ「!」

結衣「・・・以上のことから」

結衣「被告が、Y・Fに対して――」

結衣「肉体的、性的な、異端的欲求を持っていたことは、まったくもって、明らかです」

綾乃「あ、ああ・・・」

ちなつ「そ、それは、だってっ・・・」

ザワザワ・・・

あかり「・・・」

綾乃「く、くぅっ・・・!」

ちなつ「・・・」

・・・ゴクリ

あかり「・・・弁護側、なにか異議は」

綾乃「・・・」

綾乃「い、いい異議ありぃっ!!」グワ

綾乃「そそそれは、友達どうしの冗談の範疇です!」

綾乃「そんな言葉のアヤを!揚げ足取りのように!罪に、異端行為に結びつけることなど!」

綾乃「できるはずがありませんっ!!!」

結衣「・・・このあとに、被告人が、Y・Fと一緒にお風呂へ入る想像をして昏倒するくだりがありますが・・・」

結衣「必要でしょうか?」

あかり「・・・」

あかり「・・・」

ひまわり「・・・審問官殿?」ソワソワ

シンモンカンドノガ・・・

カンガエテイラッシャル・・・

イヨイヨ・・・

ハンケツガクダルゾ・・・

ヒアブリ・・・ヒアブリダ・・・

ソーダ・・・ヒアブリ

ヒーアブリ・・・ヒーアブリ・・・

カケイダ・・・カケイ!

ヒーアブリ!ヒーアブリ!!ヒーアブリィ!!!

マジョニテッツイヲー!!!!!

あかり「・・・検察側、証言は以上ですか?」

結衣「はい、以上です」

京子「バイバーイ」

あかり「では弁護側、異議の申し立て、または、証人の召喚などは必要ですか?」

綾乃「・・・」

綾乃「・・・っ」

あかり「弁護側」

綾乃「・・・い、以上です・・・」

ちなつ「っ」

千歳「!」ハラハラ

あかり「では・・・」

あかり「被告人、吉川ちなつさん、意見陳述をお願いします」

ちなつ「ち、ちんじゅつ・・・?」

あかり「お互いの弁論に対しての意見はありますか?」

ちなつ「意見って・・・」

ちなつ「・・・」チラ

結衣「・・・」

ちなつ「・・・うう」

あかり「被告人」

ちなつ「いえ、ありません・・・」

あかり「それでは、判決を言い渡します」

ザワ・・・

マジョヲヒアブリに・・・

シンモンカンドノ・・・ツ!!

オネガイダ、マジョヲ・・・

あかり「被告訴人、七森中学1年、吉川ちなつを」

ひまわり「・・・」

綾乃「・・・うっ」ジワ

あかり「私、審問官赤座あかりは、異端として認めます」

ワアアアアアアアア!!!

ヤッタ、ヤッタアアアア

あかり「規定により、異端者には火刑が――」

ピッ

ひまわり「ん?」

ピッ

ひまわり「なんですの、この音は・・・」

ピッ

京子「ほへ?」

ピッ

綾乃「・・・なにが?」

ピッ

ちなつ「う、ぐす・・・・え?」

ピッ

結衣「・・・」

ピッ

結衣「!!!」

ピーッ

「青春は・・・」

カッ

「ばっくはつだーっっっ!!!」

ドゴォォォォン

あかり「な、なにごとですか!!!」

ウワアアァン

ナンダバクハツシタゾーッ

ニゲ、、ニゲローーー!!!

「ひまわりぃ!」

ひまわり「えっ・・・?」

「あったしだーっっ!!!」

綾乃「あ、あれは・・・大室さん!?」

ちなつ「櫻子ちゃん!?」

櫻子「はははーっ、正義の味方、サクラーコー参上!」

あかり「い、異端審問会を妨害するとは・・・」

あかり「死罪に値します!三段すっ飛ばしで火刑の処します!」

櫻子「西垣せんせー特製爆弾が決まってるうちに、ちなつちゃん!」

結衣「大室櫻子・・・!」

結衣「異端と認められたあの子が、なぜこうやすやすとここにっ!」

櫻子「内部に協力者は残しておくものさ、船見せんぱい!」

櫻子「ひまわりっ!」

ひまわり「!」

櫻子「いつまでそこにいるつもりなの!」

ひまわり「わ、わたくしは審問官殿の助手・・・っ!」

ひまわり「あなたのことなど、知りません!ですわっ」

櫻子「ひまわりぃ!」

櫻子「あたしは、ひまわりのことが」

櫻子「大っ好きだーっ!!」

ひまわり「!?」

櫻子「『ゆるゆり』に『ガチ』を持ち込むなとか・・・、おまえは異端なんだとか・・・」

櫻子「そんなの!かんけーないもんねー!!」

千歳「大室さんと古谷さん・・・ひまさく・・・意外と・・・いや、最高やぁ」ブハッ

ひまわり「ああああなたはなにをっ・・・」

櫻子「ひまわりのクッキーが食べれなくなるなんて!」

櫻子「おっぱい許すまじー!!って怒ることもできなくて!」

櫻子「ニンジンとピーマンたべさせっこもできなくなるなんて!」

櫻子「あたし、そんなの、絶対嫌だもんねーっ!!」

ごめん休憩

あかり「審問会を妨害した上にこの所業、おまけに彼女は認定者・・・」

あかり「全員、火刑に処します」

ボワッ

ひまわり「し、審問官殿がっ」

ちなつ「あかりちゃんが、燃えてる・・・っ」

あかり「うおお・・・おおおっ」アッカリーン

京子「あかりがあんなに目立ってる・・・」

櫻子「なら、こっちだって負けないっ!」

櫻子「この日、この時のために、あたしたちは・・・魔物を用意したんだァ!!」

櫻子「千鶴さん!アレの用意を!!」

千鶴「ラジャ」ピョコ

結衣「まずい、あれはっ・・・」

ヒューン

千歳「なんやのー?」パク

千歳「ん? んんー?」ブルブルッ

千歳「ほあー・・・」

千歳「あかりちゃん・・・」ビクンッ

千歳「あっかりちゅあーん!!」ルパンジャンプ

あかり「ほあー!」ボアアア

千歳「むちゅうう・・・・・」チュウウウ

千歳「いやああん、あかりちゃんとキスしてもーたー!!」キャーハキャーハ

結衣「あれは、チョコ・・・っ」

結衣「お泊り会の、あの血みどろの惨事が、ふたたび!?」

あかり「ほああああ!」ボワアアアア

アツイ!!アヅイイイイイイ!!!

ヤケル!シンモンカンドノ!

オレハイタンジャナイ!!ユルシテー!!

あかり「はっ」ボワァ

千歳「目立ったあかりちゃんもかわええなぁ・・・」ムチュウウウ

櫻子「ひまわりっ!」

ひまわり「!」

櫻子「ガチとかユルイとか、異端とか異端じゃないとか!」

櫻子「もう関係ない!」

櫻子「あたしは!ひまわりが!大好きなのーっ!!」

ひまわり「ダメ、それは!ですわっ」

櫻子「こんな馬鹿げた審問会は、もう解散だァー!」

櫻子「ちなつちゃん!船見せんぱいに!」

櫻子「さあ思いの丈をー!!」

ちなつ「!」

ちなつ「わ、わたしは・・・」グス

ちなつ「結衣せんぱいのことがっ・・・!」

ちなつ「すっ――」

「だめだよ」

ちなつ「えっ・・・」

結衣「それはダメだよ」

結衣「ダメダメダメ」

結衣「ダメなんだ!」

結衣「ガチなゆりなんていらない!!」

結衣「いらないんだ!!」

結衣「異端審問会は必要・・・必要なんだっ・・・!!!」

ちなつ「どうして、せんぱい・・・」グス

綾乃「船見・・・さん?」

結衣「第五次異端審問会・・・それも必要なんだ」

結衣「次の被告訴人は――」

結衣「綾乃・・・君だよっ!」

千歳「あっかりちゃーん」ムチュムチュ

あかり「させるかあああああ」ボワッ

ア、アヅイィィ

千歳「あ、あかりちゃ、あ、はあ、はあ、熱い・・・」ムチュウウ・・・

櫻子「ま、魔物がおされてるっ・・・!」

千鶴「姉さん!」

櫻子「なにか、なにか他に策は・・・」

ひまわり「・・・櫻子」

櫻子「!」

ひまわり「あかりちゃんの弱点なら、私が知っていますわ」ズシ

櫻子「ひまわり、今のあかりちゃんに近づいたら・・・っ」ガタ

ひまわり「・・・たとえこの身が焼けようとも」

ひまわり「今のあかりちゃんを止められるのは・・・」

櫻子「ひまわり!」

ひまわり「櫻子・・・私も、あなたのこと、嫌いじゃ・・・ありませんわよ」

ちなつ「どうしたんですか!結衣せんぱい!どうして・・・っ!」

綾乃「次の被告訴人が、私・・・」

結衣「・・・」

結衣「心当たりは、あるでしょう?」

ちなつ「せんぱいぃ・・・」グス

結衣「だめなんだ・・・異端審問会は必要なんだ!」

結衣「だって・・・っ!」

結衣「だって・・・」チラ

京子「うん?」ホケー

綾乃「と、歳納京子がどうかしたの?」

ちなつ「せんぱい・・・?」

結衣「だって・・・異端審問会で、ガチなゆりを駆逐して・・・」

結衣「そうしないと、ごらく部が・・・いつまでもこのまま、みんなともだちのままでいられないじゃないかァっ!!!」

結衣「わ、わたしは・・・」

結衣「いつまでもこのままでいたいんだ」

結衣『放課後に部室へ集まって」

結衣「部活動なんて、ごらく部なんて、まともに活動なんかしてないけどっ・・・!」

結衣「でも、いつも、のんびりおしゃべりして・・・あかりと、京子と、ちなつちゃんと、私でっ・・・」

結衣「みんな、と、ともだちのままっ!ともだちのままで!」

結衣「誰かが誰かと恋人同士になるなんてっ・・・」

結衣「なにかが、変わってしまいそうで!」

結衣「私は、京子のことは好きだよ・・・」

結衣「でもそれは、親友として・・・いつまでも親友として・・・!」

結衣「だから異端審問会は・・・必要なんだっ」

結衣「だってここは・・・ゆるいゆりの世界なんだから!!」

あかり「ほあー」ボワッ

千歳「あ、あかり、ハアハア、あっかりちゃーん」ムチュウ

・・・

結衣「必要なんだ・・・」

ちなつ「それは・・・」

ちなつ「でも、それでも・・・わたしは・・・」

ゴォォッ

ちなつ「!」

あかり「ほあー」アッカリーン

結衣「!」

綾乃「危ないっ・・・!」

ちなつ「ん・・・え・・・?」

ちなつ「結衣せんぱい・・・?」

結衣「うう・・・」

ちなつ「ど、どうしてわたしを・・・かばうなんて、わたしは、異端じゃないんですか!?」

結衣「わかんないよ・・・」

綾乃「船見さん!」

結衣「でも、たぶん、私の守りたかったもののなかには・・・」

結衣「ちなつちゃんも、いたんだよ・・・」

あかり「ほあー」アッカリーン

綾乃「船見さん、避けて!」


「たあああああああ」

ひまわり「あかりちゃん、お覚悟!ですわっ」ボク

あかり「はうっ」シューン

ちなつ「あ、あれは、あかりちゃんの後頭部に・・・こぶ!?」

結衣「あれは、私が作ったこぶなんだ・・・」

結衣「あかりを審問官にするために・・・っ」

ひまわり「いまあるこぶはふたつ・・・ひとつはあかりちゃんを審問官に変え、もうひとつは今私がつくったもの」

ひまわり「おそらくこれだけではだめ、まだ・・・まだこぶが!必要ですわ!」

櫻子「ひまわり!だめっ!

あかり「キャハハハハ!あかり、今日はすっごーく目立ってるよぉ!もっと目立っちゃうよぉ!そーれ!」アッカリーン

アヅイイイ

ヤケルウウウ

シンモンカンドノオオオ

ひまわり「あ、あれ・・・?」

ひまわり「予想以上にダメージが・・・くっ!」

櫻子「ひまわり、それ以上やったら焼けちゃうよぅっ!」

ちなつ「い、池田せんぱいはっ」

千歳「むっちゅうう、おばあちゃん、チョコは怖いなぁ・・・」

綾乃「も、もう限界なんだわ・・・」

ちなつ「そ、そんなぁ!」

結衣「・・・」

結衣「私が、いくよ」

結衣「限界だったんだ」

結衣「異端審問会も・・・それが機能し続けるのも・・・」

結衣「どこかで破綻するなんてずっとまえからわかってた」

結衣「大室さんを告訴したときから・・・そう」

結衣「私のわがままを通すために、私が守りたかったことを通すために、大切なものを捧げてしまう」

結衣「気づくべきだったんだ!」

結衣「あきらめるべきだったんだ・・・っ!」

結衣「だって、私が告訴してしまったのはっ・・・」

結衣「私が、私のそばに、いてほしいひとたちだったのに・・・っ!」

結衣「ずっと前に、京子を元に戻したこれで・・・」

結衣「今度はあかりをもとにもどす」

結衣「私が変えてしまったものを戻すんだ!」

ちなつ「待って、結衣せんぱいっ!」

ダッ

「結衣」

結衣「え・・・?」

「みずくさいなあ」

「私も一緒だよっ」

結衣「・・・っ!」

結衣「うん、うんっ!」

結衣「ごめん、みんな、ごめん、ごめんなさいっ――」


あかり「あっか、りーいいん!」ボワッ

「「たああああっっっ!!!」」

あかり「あっかりーん・・・」シュウウウウ・・・

ちなつ「結衣せんぱいっ!」

ちなつ「大好き、大好きですっ!」

ちなつ「だからふたりとも――」

「帰ってきて――」

――
1か月後
――

あかり「それでは裁判を始めます」

あかり「検察官は、えっと・・・こうそじじつを確認してください!」

綾乃「裁判長、そのまえに冒頭手続を」

あかり「ぼうとう!? え? え?」

ちなつ「あかりちゃんがんばー」キャッキャ

綾乃「被告人への人定質問です。まあ、被告人の紹介ってとこかしら」

あかり「なるほど・・・えーっと、被告人!歳納京子さん!」

京子「はーい」イボイボー

あかり「14歳、中学生、みこん・・・好物はラムレーズン。間違いありませんね!」

結衣「好物は余計だよあかり」アハハ

あかり「そ、そっか!」

あかり「あ、あなたにはもくひけんが・・・うんたらかんたら・・・?」

あかり「で、では検察官!こうそ・・・じじつを!」

綾乃「はい」

綾乃「被告、歳納京子は昨日、ごらく部部室内において、七森中学1年吉川ちなつに対し多数のセクハラ行為を行い」

綾乃「さらにその後、生徒会室において、備え置きの冷蔵庫の中から、同じく七森中学2年、杉浦綾乃の名前入りプリンを無断で持ち出し」

綾乃「わずか数分で完食するという暴挙にでた疑いがかけられているので、強制わいせつ罪及び窃盗の罪により、生徒会の仕事手伝い2週間を求刑します」

千歳「とかいってー綾乃ちゃん、ほんとは生徒会室で一緒にいたいだけなんやろー?」ウフフ

綾乃「そそそそんなこたーないわよ!!」」バシバシ

――
あれから一ヶ月が過ぎ、異端審問会なる組織は解体された
そして・・・
――

あかり「えっと・・・では、弁護側!」

結衣「はい」

あかり「こうそじじつに間違いはありませんか?」

結衣「はい、ありません」

あかり「では検察、冒頭ちんじゅつを・・・」

――
そしてここに、新たな罪人が生まれようとしている
――

京子「ふええん」

結衣「被告は当時、甘いものに飢えていまして!冷蔵庫の中身を見た時、砂漠の真ん中で水を見つけたようなものなのです!どうか情状酌量の余地を!」

京子「あれ!? 弁護士って、あたしの無罪を照明するんじゃないの!?」

結衣「だって京子、おまえが食べたのは本当だろ! だからこうして必死に減刑を・・・」

京子「ショック!」

――
結衣せんぱいと京子せんぱいは帰ってきてくれた・・・
――

綾乃「証人を召喚します!吉川さん!」

ちなつ「はい」

綾乃「事件当時の詳細を教えて下さい」

ちなつ「はい・・・グス」

京子「あれうそなきじゃね?」

あかり「せーしゅくに」カンカンカンカン

ちなつ「部室のなかでふたりきりでいたら、きゅうにミラクるんがどうとか言い出して・・・結衣せんぱいがいなければどうなっていたことか・・・」シクシク

ちなつ「こう、胸を、ぐわっと」

――
あかりちゃんは後頭部にこぶが3つあること以外は元通り
たまに目付きがおかしいときもあるけれど・・・
――

京子「ええ感触じゃった」ニヒヒ

すいとんくらった

結衣「被告人、なぜ、ちなつさんへ対してその欲望を抑えきれなかったのでしょうか!?」

京子「あれ?なんであたし自分の弁護士に追い詰められてんの!?」

結衣「量刑を減らすには私が尋問して、反省しているのか確かめるのも重要なのです」

――
結衣せんぱいと京子せんぱいは、審問会が現れるまえとちっとも変わらない様子で帰ってきた

――
わたしは結衣せんぱいが好き
だけど、ごらく部のみんなも、この学校のみんなも大好き
――

あかり「それでは判決を言い渡します!」カンカン


――
結衣せんぱいが望んだように何も変わらないなんてことはなく、
わたしや櫻子ちゃんたちが望んだように大きく変わるなんてこともない、
ゆるやかな変化をしながら、今日もごらく部は活動していくのだと思う
――

あかり「被告、歳納京子は――」

――
みんなみんな、だいすきだよっ!
――

あかり「有罪、生徒会への1週間労働提供を命じます」

綾乃「よっしゃあー!」

京子「そんなー!」

結衣「まあ妥当かな」

櫻子「ひゃっほいひまわりがクッキー焼いてきたぞー!」

ひまわり「こら櫻子おまちなさい!」

――これにて閉廷――

ごめんなさい最後やっつけです
おやすみなさいもう寝る

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