王妃「早く来なさい、白雪姫」白雪姫「はい…」(237)

王妃「全く遅い子だね」

白雪姫「ごめんなさい…」

王妃「ほら、早くここを掃除しなさい」

白雪姫「はい…」

王妃「…」
ジロリ

白雪姫「ビクッ」

王妃「…」
ハア…

王妃「あの子ももう16歳…」

王妃「…綺麗になったわね、白雪姫」

王妃「それにあんなに健気でいい子になって…だから余計辛いわ…」

王妃「私は貴方をおびえさせることしか出来ないのが…」
ガックリ

側近「もうしばらくの辛抱でございます」

王妃「そうね、隣国の王子なら、あの子を幸せにしてくれるわ」

側近「王様の手には絶対渡してはなりませぬ」

側近「共に最後まで頑張りましょう」

王妃「…側近、ありがとう。貴方が頼りよ…」

王妃「私が王様に結婚した理由…」

王妃「他でもない…策略結婚よ…」

王妃「『…私と…と結婚しろ…さもなくば戦争だ…』ですって」

王妃「小国の私の祖国と大国のこの国が戦争したら…結果は見えているわ」

王妃「私には…大臣の旦那様と…お腹に赤ちゃんがいた…」

王妃「…結婚するために赤ちゃんは下ろしたの…」

王妃「こうしてこの国と私の祖国は不可侵条約を結んだ…」

王妃「…国民が…私の家族が…これ以上傷つけられずに済むなら…
私がどんな目にあっても良かったわ…」

王妃「この城で…皆から“魔女”と言われようとも…うとまれても」

王妃「ああ…白雪姫…貴方だけはいつも優しかったわ」

王妃「この…血の繋がっていない私をお母様と呼んで…いつもくっついて来て…」

王妃「可愛かったわ…ホントに…娘が出来たみたいで…」

王妃「自分の子とダブられていたのかもしれないけど」

王妃「祖国では夫を裏切り子を殺した罪人、
王宮では魔女と呼ばれる私の居場所は白雪姫の隣しかなかったわ」

王妃「白雪姫のお陰で私は少しでも幸せを感じれたの」

王妃「でも…いつまでもそうは出来なくなったわ…」

側近「…王妃様…」

王妃「あのスケベ…あいつ…」

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王『側近よ』

側近『はっ』

王『王妃をどう思う?』

側近『それは大変美しい…と思いますが』

王『ははっ、確かに気は強そうだがね』

王『あれは…前の王妃にうり二つだ』

側近『王様…』

王『でもな…あれは俺には心から笑ってくれん』

王『そっくりだが何かが全く違う』

側近『…』

側近(そりゃそうだぜ、結婚してたのを離婚させて、子どもまで下ろさせて…)

王『でもな…あれ以上に似ている女を見つけた』

側近『誰ですか!?』

王『白雪姫だ』

側近『…なんですと…!?』
まっさお

王『よく考えれば娘だから似てるに決まっている』

王『あれは…成長したらますます美しくなる…前王妃のように』

王『しかも性格もこの上なく似ている』

王『笑い方も…好きなものも…』

側近『…おやめに…』

王『側近…逆らうなら…わかっているな…』

側近『…』

王『お前の一族…皆殺しだぞ…』

側近(クソッ、あの時と同じかよ!!今の王妃様の時と…)

王『上手く俺と白雪姫をくっつけろ』

側近『そんな…』

王『そして、年頃の男を一切近づけるな』

王『あれは…そうだな、隠しておこうか』

王『世間には…死んだことにして…な』

王『そして、塔でも立てて、そこに住まわせよう』

王『王妃…あれもついでにサッサと殺せ』

王『あの女が一番たてつくに決まっている』

王『いい加減、あれの国に攻めないのも辛くなってきたのでな』

側近(この外道…!!)
ギリッ

側近『王妃さま…』

王妃『おや、どうしたの側近?』

側近『いますぐ2人で話したいことがあるのです…緊急事態発生です』

王妃『そ…そう、しばらく1人で遊んでてね、白雪姫』



王妃『どうしたの?そんな顔して?』

側近『王妃様、すみません…』
ガバァ

王妃『ちょ、どうしたの!?顔をあげて、側近』

側近『王様の暴走を止められませんでした』

王妃『へ…?』

王妃『もしかして…また増税したの?民衆はあんなに苦しい生活を送っているのに…』

側近『いえ、増税ではありません』

王妃『…新しい女の人を見つけたの?』

側近『…そうですが…』

王妃『はぁ…まあいいわ…で、相手は?』

側近『…白雪姫です…』

王妃『…!いま…なんて…?』

側近『貴方が娘のように可愛がっている…白雪姫です…』

王妃『そんな…あの人の実の娘よ!?』

側近『…あの王様は…いえ、あの人は狂っています…』

側近『王様は、姫様を一人占めにしたいがため、世間一般には死んだと公表し』

側近『塔にでも閉じ込めるつもりです!』

王妃『なんてこと…どうすればいいの…』



王妃『…王様を暗殺するわ』

側近『ダメです!!』

王妃『決行するチャンスは…夜、共に寝るとき…』

側近『いくらなんでも無理です!!』

側近『あの人は昔、王子のころ最強の戦士と謳われた男ですぞ!!』

王妃『…』

側近『歳をとったとはいえ…この間の剣の舞を見る限り、腕は衰えておりません!!』

王妃『私だって…全く武芸に通じてないわけではないわ…』

側近『ですが…』

王妃『やるしかないわ…どうせ、あの人は私を殺す予定でしょ?』

王妃『…それに、万が一王を殺せたら…私がこの国の権力を握ることが出来る』

王妃『祖国も…白雪姫も守れる』

側近『でも、王妃様!王様は白雪姫の実の親ですよ!!』

王妃『実の親に犯される方が、殺される以上の悲劇よ』

側近『しかし…それでは王妃様は…憎まれてしまいますぞ』

王妃『別にいいわ…私のことなんて気にしないで』

王妃『迎える結末が悲劇なら…全力で…その結末に抵抗するわ…』

王妃『悲劇を希望にかえれるように』





王『zzz』

王妃(今…眠っている…)

王妃(首を絞めるなら、今)

王妃(殺すなら、今!!)
グッ!!

王『!!』

王妃『死ね!!』

王『ぐふっ…』
グォン!!

王妃(ぐっ…頭を…殴られた)

王妃(なんて力なの…)

王妃(早く…早く死んで…)

王『ぐ…ぐ…』
ガン!ガン!!

王妃(ダメだ…意識が)

王(いまだ!)
ゴフッ!!

王妃『ぐはっ!』
ガタン!!

王『お前、なかなかやるじゃないか』

王『昔…武芸でもやってたか』

王妃『く…』

王『普通ならさっさと死ぬはず、あんなに殴ったのに…』

王『しかも…俺の足蹴りを食らってもいまだ立っている…』

王妃『…』
チャキ

王『ほう…まだ戦うのか…そんなちっぽけな小刀で…』

王妃『…黙りなさい!』
ブン!!

王『ふん』
スカッ

王妃『逃げるな!!』
ブン!!

王『ホイさっと』
グワン!

王妃『な…腕を掴まれた!?』
ガシィ

王『なかなかの身のこなしじゃないか…』

王『でも残念だったな…俺が相手で…』

王『小刀は没収っと…』

王妃『くそっ…』
ギリリッ

王『おーこわっ』

王『そうだ、これ、返してあげるよ』

王妃『へ…?』
グサッ

王妃『…ゴホッ、ゴホッ』
ボタボタ…

王妃(小刀が…突き刺さっている…)

王妃(意識が…)

王『白雪姫はどうした?』

側近『王妃様がいらっしゃらいので、泣きじゃくってベッドから出てきません』

王『はぁ~…王妃は今地下牢だが…』

側近『昨日から何も食べてはおりません』

王『面倒なことにしてくれたな、あの女…』





白雪姫『お母様…ぐすん…』

王妃(…とうとう幻覚も見るように…もう先は長くないわ…)

白雪姫『お母様…お母様…』

王妃(…)

王妃(本物なの…?)

白雪姫『お母様…お城のみんながいうの…お母様が悪いことしたから…』

白雪姫『だから閉じ込められてるって…』

王妃『し…白雪姫…』

白雪姫『私がイタズラしてもいつも許してくれる…』
グズグズ

白雪姫『…確かに罰は受けたりするけど』

白雪姫『何で…そんなひどいことしたの…?』

白雪姫『許してくれないの…?』
ボロボロ

王妃『…それほど酷いことを私はしたのよ』

王妃『まねしちゃだめよ』
ニコリ

白雪姫『…』
グズン、グズン

王妃『ほら、笑いなさい、私は元気だし…』
ズキズキ

王妃『私は…本当に大丈夫よ、それよりどうして貴方はここに忍び込んだの?』

白雪姫『私1人通れるくらいの抜け穴があるの…』

王妃『悪い子ね、こんな危ない所来ちゃダメよ』

王『そうだぞ!』

王妃『!?』

白雪姫『…お父様…どうして』

王『このイタズラ娘!』

白雪姫『ごめんなさい…ごめんなさい…』
ウワアアアン

白雪姫『でもお母様に会いたくて…』

王妃(白雪姫…)

王妃(ごめんなさい…私は貴方を守れそうにないわ…)

王妃(…王様のあの目…)

王妃(あの表情…あれは娘を見る目なんかじゃない…)

王妃(一人の女を見る目…)

王妃(信じられない…こんな小さな子に…)

王妃(側近から最初聞いた時は正直半信半疑…
きっと側近じゃなかったら信じなかったわ…)

王妃(でも…こうして見ると…ますます真実味を帯びてくるわね…)

王妃(…やっぱり死ねないわ…)

王妃(私の祖国だけじゃない…)

王妃(この小さな…白雪姫が…この男とくっつくなんて…絶対許さない)

王妃(この子を…どうやったら救えるの…?)

王『さて、どうして私を襲ったのかい?』

白雪姫『…ぐすっ…どういうこと…?』

王『丁度いいね、白雪姫、この女は私の首を絞めたんだよ』

白雪姫『…嘘つかないで…お母様はそんなことしないわ…』

王『悲しいことに…真実だよ』
ハアッ…

王『白雪姫…この女、お前の本当のお母さんに…そっくりだけど…中身はまるで違う』

王『この女はね、魔女だよ』

白雪姫『嘘よ!!お母様はいつも優しかったもん!!』

白雪姫『お母様は…本当のお母様は、この人だもん!!』

王『やれやれ、子どもだから仕方ないか』

王『王妃…白雪姫と会えるのもこれで最後だからな』
ニヤリ

王妃(白雪姫…)

王妃(…考えなさい…何としてでも…)

王妃(この子の未来を守るのよ…)

王妃(…前の王妃と私が似ている…)

王妃(…白雪姫も似ている…)

王『お前はいつもつまらなさそうだ…』

王妃(…私に熱をあげていた頃…そんなことをいっていたわ…)

王妃(…この人は前王妃を溺愛していて…今でも彼女の愛情に飢えている)

王妃(前王妃に似ている私が相手にしなかったばっかりに…
白雪姫に関心がいってしまったのね)

王妃(…最終手段よ…これだけは絶対したくなかった)

王妃(…でももう、こうでもいわないと…それだけ王と溝が出来ている…)

王妃(…白雪姫、貴方を私は…傷つける事になるけれど…
これしか貴方を守れる可能性がないわ)

王妃(私の不甲斐無さに腹が立つ…!最初から…)
ギュ

王妃(私がもっと王様の機嫌をとればよかったのよ…
そうしなかったから白雪姫を傷つける結果になるのよ)

王妃(ああ…神様、白雪姫…私を許して…)

王妃『王様…』

王『ん?』

王妃『王様はいつも私を見てくれないじゃない…』

王『…?』

王妃『…私じゃなくて、私を前の王妃に見立てているだけじゃない!』

王妃『私は、私を愛してほしいの!!』

王妃『ああもう!!このガキなんかばっかり見て!!』

白雪姫『へ…?』

王妃『この子がそんなに大事!?』

王妃『ねえ!?私は好かれたかったからこいつと仲良くしてたの!!』

白雪姫『そんな…お母様…うそでしょ…?』

王妃(…ごめんなさい、ごめんなさい…)
ズキズキ

王妃『お黙りなさい!!』

白雪姫『ひっ…グスッ』

王妃『…それだけ私は貴方を好きなのに』

王妃『貴方こそ、私を見てないじゃない!!』

王妃『だから、殺してやりたかった!!』

王妃『…王様…あなたを…私のものにしたかったから…!』

王妃『ねえ…嫉妬させないでよ…』

王妃『ねえ、私を…悪い女にさせないでよ…』

王『…へええ』
ニヤニヤ

王『…おい、守衛』

守衛『はっ』

王『王妃を出してやれ』

守衛『な…しかし…』

王『なかなか可愛い奴じゃないか…』

王(まあ…嫉妬の件は…面倒だがね…)

王(俺を愛するあまり…ってやつか、思ったより気分が良い)

ガチャン

王妃(…かかったな、馬鹿野郎)

王妃(でも…白雪姫…)

王妃(いいわ…私は嫌われても良い)

王妃(だから…せめていい所に何としてでも嫁がせてみせる)

ダダダッ

王妃『王様!!』
ガシィ

王『おう、積極的じゃないか』

王妃『…何を見ているの』

白雪姫『…お母様、悪い冗談でしょ』

王妃『私はあんたの母親になった覚えはないわ』
バシィ!

白雪姫『ううっ…うわあああん』

王『こらこら、いじめるんじゃない』

王妃『なら、あんな子に出来る限り会わないで!!』

王妃『ねえ、王様ぁ』
うるうる

王『…わかった、わかった…』
ナデナデ

白雪姫『…ぐすん』



王妃『側近…側近…うわあああん』

側近『王妃様…』

王妃『私…あの子を殴ったわ…』

王妃『あの子を泣かせたのよ…』
ぼろぼろ

側近『王妃様、しっかりてください』

側近『今回のことは私にも責任はあるのです』
ギリリッ

側近『だから…ご自分をお責めにならないように…』

側近『…王様が考えを改めるように説得してみます』

王妃『うっ…うっ…』




側近『…ですから、王様、今回の件は貴方にも問題はあるのです!』

王『ほう…側近の癖に、いうではないか』

側近『貴方が姫様を女とてみるからにございます!』

側近『お考えなおし下さい!!』

側近『偉大な貴方様は天国に行かれるべきなのに、こんなことを続ければ…』

側近『やはり道徳に反します!!』

側近『神が許されるとお思いですか!?』

側近『お願いにございます、我が親愛なる王、しばらく距離を置きになって下さい!!』

王『側近、いうことはそれだけか?』

側近『ええ、まあ…』

王『…お前たち、側近を連れて行け』

兵士『え…はっ!』
バタバタ

側近『く…!』
グッ

王妃『おやめなさい!!』

王『王妃…』

側近『王妃様…』

王妃『全ては私…私が側近に指示をしたのです』

王妃『王様、女を見くびってはいけませんわ』

王妃『…王様が白雪姫、あの小娘を女として見ているのは分かっているのですよ』

王『…ほう』

王妃『私は…許せませんわ!!』

王妃『あの女が王様の視界に入ること自体!!』

王『…お前、嘘をつくの上手いな』

王妃『!?』

王『可愛げのある奴と思った俺がばかだったわ』

王『白雪姫の為にやっただろう』

王『俺とくっつけさせたくないがためにねぇ』
ハァ~

王『第一変だと思ったんだ、あんなに仲が良かったんだからさ…』
ジロリ

王妃(…しまった…墓穴を掘ったようね…どうすれば…)

王妃(…これだ)

王妃『いいですわ…そんなにおっしゃるならば…』

王妃『いいですか、貴方達!』

兵士『わっ、は!』

王妃『白雪姫を連れてらっしゃい!!』
ドンドン!!

兵士『わ、わかりました!!』
バタバタ


兵士『連れてまいりました!!』

王妃『こっちへきなさい!!!』

白雪姫『ガタガタ』

王妃(可哀想に…こんなに震えて…)

王妃『…王様…私の思いをご覧ください…』
ガタッ!

王妃(ああ…ああ…誰か…助けて)
ガシィ

王妃『…殺しますよ、この子を』

白雪姫『あう…』
ガタガタガタ

王『やれるもんなら、やってみな。首にあてた小刀を引けばいい』

王妃『…』

白雪姫『お…お母様…』
ガタガタガタ…

王妃(…いやだ…これをしたらもう…この子との関係は…修正不能になってしまう)

王妃(…でも、今私がやらなきゃ…この子は…塔に閉じ込められて…)

王妃(…)
ギュッ

王妃『うわあああああ』
ブン!!

白雪姫『う…』
ツーッ

王『む…』

王妃『…次は切り傷ではすませませんよ』

王『…わかった、やめろ』

王妃『…ありがとうございます』

王妃『私が責任を持って、この子の面倒を見ますわ』

王『この子をどうするんだ…』

王妃『こき使わせるのです、私の離れの城でね』

王『…何!?』

王妃『おっと…反論なさらないでね』

王妃『この子が殺されたくなければ…私の言う条件を飲みなさい』

王『くっ…わかった、何だ』

王妃『一つ目はあなた』
ニヤリ

王妃『私が貴方を愛するように、貴方も私を愛してね』

王『…』
ゾクッ

王妃『2つ目』

王妃『私の離れの城に来ないでね。白雪姫に会うためなんて、絶対ゆるさないわ』

王妃『これらを破ったらどうなるかわかるかしら』

王妃『…白雪姫を、最悪な目に合わせるからね』

王『…良いだろう』

王妃『ふふふっ…これで、貴方は私のもの…』

王『くそっ…恐ろしい女だ…』

王妃『ちがいますわ…私の、王様への愛ですわ…』

王妃(あれから十数年…)

王妃(流石に一度も会わないってわけにはいかなかったけど)

王妃(それでも最小限に食いとどめたわ)

王妃(側近の努力で…私も毒殺もされずに済んだし…)

王妃(あの日の全力の演技のお陰で…とりあえず私は王様を愛している、
ということにはなってるし)

王妃(この間、隣国の王子に白雪姫の姿を少し、見せる事に成功したわ…)

王妃(そしてお城に手紙が届いたわ…婚約の許可の…)

王妃(隣国の王子の評判はすこぶる良いと聞くし…)

王妃(どうか、このまま上手くいって…)

『こっちへきなさい!!!』

ブンッ!

(ああ…ああ…)

ポタポタ…


白雪姫「いやあああっ!!」

白雪姫(…まただわ…)

白雪姫(またあの夢を…)

白雪姫(…お母様…)

白雪姫(あんなにやさしかったのに…本当は…)
ポロポロ

白雪姫(お母様、私は貴方が大好きだった…)

白雪姫(私の思い違いだったのね…)
ポロポロ

白雪姫(だけどね、今でも、私のお母様は貴方ただ1人なのよ…)
グスン

白雪姫「…」
フキフキ

女官(あれ、お姫さまよ)

女官(ああ、おいたわしい)

女官(あんなにお美しいのに…)

お手伝い(あの魔女に脅されてるらしいのよ、王様)

メイド(聞いたわ、姫様を殺されたくなかったら、姫様をこちらへよこせと)

女官(最低だわ、あの女、ホント屑!)

お手伝い(でも無理よ…私達じゃ歯向かえない…だって、魔女だもの…)

女官(ホント…悪知恵は働くのね…)

メイド(前王妃様にそっくりに化けて出てきた挙げ句、弱みを握ったそうじゃない)

メイド(あ、しかもね、毎夜鏡に話しかけてるのよ、世界で一番美しいのはだれって)

お手伝い(うわああ)

王妃「白雪姫!」

白雪姫「はい、お母様」

王妃「まあ!なんて不出来な子!!」

王妃「雑巾がけも出来ないなんて!!」

白雪姫「すみません」

王妃「もう一度!!やり直しなさい!!」

白雪姫「はい…」

王妃「おっと」
ガシャーン

王妃「あら、ごめんあそばせ、雑巾のバケツの水をこぼしちゃったわ」

白雪姫「…」

召使(おいおい…あたしらより綺麗に磨いてるのに…)

召使(サイッテー!!)

王妃(隣国の王子今日我が国に訪れる…)
コツコツ

王妃(そしてここを通りがかるはず)

王妃(ここで掃除している白雪姫をきっと見るわ)

王妃(王は…私を理由に、結婚を許可させないでしょう)

王妃(だから…少しでも、王子が無理にでも、この子を救い出そうとしてくれれば…)

王妃(この子は…こんな生活からもおさらばになれるわ…)

白雪姫(…なかなか綺麗にならないわ…)

白雪姫(…こことかに屑ゴミが…)

白雪姫(ああ、なかなか終わらないわ…)

白雪姫(今日は特に機嫌が悪かったみたいね…)

白雪姫(お父様と…喧嘩でもしたのかしら…?)
フキフキ

白雪姫(ふう…あらかた終わったかしら…?)
ピカピカ

コツコツ

白雪姫(あっ、誰か来たわ…お辞儀しないと)

白雪姫「いらっしゃいませ…お父様に御用事ですか?」

王子「君は…あの時の…?」

白雪姫「?」

王子「あ、はじめまして、隣国の王子です」

白雪姫「ま、まあ、王子様とは知らず、ご無礼を」
アセアセ

王子「い、いや、おきになさらず」

王子「それより、あなたは白雪姫でしょう?どうして…そんなボロを…?」

白雪姫(どうして私の名を知っているのかしら?)

白雪姫「…私掃除が趣味なので…」

王子「変わった趣味ですねえ、はははっ」

白雪姫「そうでしょう、ふふっ」

王子(なんて…健気な子だ…王から聞いていたが…助けを求めもしない)

王子(しかも、笑った顔…こっちが恥ずかしくなるくらい、美しい…)

王子(一刻も早く…この国の王妃の手から救い出したい…)

白雪姫「ではこれで失礼いたします」

トコトコ

王子「…」




王子「王様、貴方の娘さんを、白雪姫を是非とも僕の妻に迎えさせて下さい」

王「おお、今すぐにでも…と、いいたいところだが、私の妻がね…」

王「あいつが…姫を強制的にこき使っておるのはしっているな?」

王子「はっ、ここに訪れる前、手紙の返事で聞きました」

王「すまない…説得してみるが、あの女はどうしても私を手放したくがないため」

王「白雪姫を人質に取っているのだ」

王「大切な1人娘、白雪姫の命が惜しければ、白雪姫の世話をみさせろといってな」

王子「…なんてやつだ…」

王「白雪姫に…自分の義理の娘に嫉妬し…彼女に苦しみを与えたい…ということだ」

王「とんでもない…奴だ」

王「…一刻も早く娘を救い出したいのに…自分が不甲斐無い…」
ギュウウウ

王子「…王様…」

王子「私、今から王妃様にあって、説得してまいります!!」
パタパタ

バタン

王(…まさかこんなところであの女の執着が役に立つとはね)

王(…何が妻としてだ…)

王(あの娘を貰うのは私の方だ…)
ニヤニヤ

王子「王妃様、私に娘を下さい!!」

王妃「すみませんが、王子様、あの子は愚かな子です」

王妃「何も指示したことができませんの」

王妃「お引き取りになって」

王子「いいえ、第一王妃が掃除なんてする必要はありません!」

王妃「はあ…卑しい子をそんなに欲しいのですか?」

王子「卑しいですって…そんなことはないですよ!」

王子「健気な素敵な子ですよ!」

王妃「ふふっ…そう思うなら…」

王妃「無理矢理にでも連れさらってみなさい」

王妃「この魔女と呼ばれる女が相手しますわよ」

王子「…受けて立ちます…」
バタン!!

王妃(…もうそろそろよ…まってて…白雪姫…)

王子「王様!」

王「おう、王子!結果は!?」

王子「無理矢理連れ去れと。」

王子「あの女…魔女が相手すると」

王「なんだと…」

王子「私、いったん帰国します」

王子「後、1週間の後、この国にまた訪れます!」

王「…そ、そうか」

王子「そして…魔女退治を行います」

王子「王様、貴方様も救ってみせます」

王子「この地にまた足を踏み入れる事をお許しください」

王「許可しよう…」
ワナワナ

王子「では、本日の所は失礼します」

王「…また会えるのを楽しみにしておるぞ…」

王子「はいっ」
スタスタ



王(…あの女…そう来たか…)

王(くそっ…あのアマ…最初からやっぱりか…)

王(あの時怪我させたのも…全て演技か…)

王(白雪姫を俺の手から引き離す…策略…)

王(くそう…騙されてた…本気で俺のことを好きだと思ったのに…)

王(…何が魔女だ…)

王(俺は魔女くらい、今まで会ったことはあるわ)

王(本物なら…もっと“気”が違う…)

王(いくら魔女でなくとも無理に救おうでもしたら殺されかねない…)

王(あの女は武芸は並みの兵士よりずっと出来るからな…)

王(だから、今まで仕方なしに白雪姫を渡してやってたのだ)

王(…ふふっ、でももうあの女の陰謀をいとも簡単に壊せるぞ)

王(最初から殺す気がないのだ…)

王「楽勝ではないか…」

狩人「お姫様」

白雪姫「あら、狩人様、何の御用事で?」

狩人「あんたさまの王様から指示があってですだ」

白雪姫「…お父様から?」

狩人「実はですだ…姫様、隣国の王子は知っておられますか?」

白雪姫「ええ」

狩人「彼が…姫様に婚約を求めておりますで…」

白雪姫「まあ…」

狩人「それを…貴方のお母様が妬んで…貴方様を殺そうとしております」

白雪姫「…本当ですの?」

狩人「私の仲間が、貴方様を森へ連れて行き、殺して心臓を取れと命令されたと
聞きました」

狩人「なので、私めは、とある場所にお姫様を極秘で
連れていくように命を下されたのですだ」

白雪姫「…そうなのですか」

狩人「今は王妃様はいません」

狩人「逃げますぞ、お姫様」

白雪姫「ええ、分かりましたわ」

白雪姫(…本当なの、お母様…)








町人「なんだい?」

商人「そうそう、王妃様の話さ」

町人「王様もとんだ女もらっちまってね~」

商人「それがよ、税金の値上げ、あれの原因がその女らしいんだ!!」

町人「なに!?」

商人「それだけじゃない。あの女が来た頃から数々の悪法ができたろ?」

町人「…まさか」

商人「ああ。王様の娘…姫様を人質にとってるとか」

商人「しかも散々コキつかってるらしいぜ。」

町人「なんてこった!!」

商人「でもな、隣国の王子さまが姫様をみそめたそうだ」

商人「今度あの王妃…もとい魔女と決闘するらしいぞ」

町人「…是非とも王子様には頑張ってもらいたいな」






王「側近、いるか?」

側近「はい、ここに」

側近(…私に相談なしで…こいつめ…)

ごめんなさい
側近の最後のセリフミスしました

--------------------------------------------------------------------

王「側近よ、私は王妃に関する情報を国中にまいた」

側近(…私に相談なしで…こいつめ…)

王「側近や、今すぐに王妃…魔女の討伐命令をくだせ」

王「白雪姫が殺された…いまこそ、民の怒りを、そして我が娘の無念を晴らすために…」

王「王妃を…あの魔女を殺せ」
ニヤリ

王「演説のセリフはこれで決まりかねぇ」

側近「王様…」

王「お前の娘…今何歳かな」

王「きっと楽しい未来が待っていることだろう…」
ギロッ

側近(…クソッ!!)

側近(王妃様…すみません)

側近「…仰せの通りに」
ペコリ

王「よろしい」




ザワザワ、ガヤガヤ

町人「ちょ、押すな馬鹿!」

農民「おい、王様が今から緊急で演説なさるぞ!黙れ!!」

王「勇気ある国民諸君」

王「私は皆に謝らねばならない」
ガバッ

王「あの女…王妃、いや魔女と結婚したばかり…貴方がたに苦労させてしまった…」

王「本当に申し訳ない…」

ガヤガヤ、ガヤガヤ

王「しかし諸君…時はきた!!」

王「人質にされていた姫…我が娘は殺された!!!」


(なんてこった…ひでえ)
(お姫様が…)
(最低だな、本当に)

王「私はあの魔女を討つ!!!」

王「諸君の苦しみを…娘の無念を晴らすため!!!」

王「諸君にも…苦労をかけるが協力してほしいのだ!!!」

王「この通りだ!!」


(…王様あんなに…土下座までして…)
(聞いたかい?俺らの救済法を制定したのはあの王様らしいぜ)
(そうそう、魔女の圧力をかいくぐってなんとか制定したそうだ)
(…あんないい王様いねえよ)
(そうだそうだ!)
(王様万歳!!)
(王様万歳!!)

ワーワー!!!

王(…ちょろいもんだ)

側近「…大変なことになったぞ…」

側近「救済法を制定したのは王妃様なのに…」

側近「民の誤解を解かねば!!」

側近「…いや、もう無理だ」

側近「王妃様の所へなんとか駈けつけ、にがさねば…」

ドサッ!!

側近「…ナイフが壁に…」

側近「そうか…わかったよ」

側近「…私は今夜中に殺されるんだな…」

側近「あの王のことだ…このことを知るもの全員…殺してしまうだろう」

側近(しかし…どうやって伝えようか…)

側近(そうだ…伝書鳩…)

側近(あれを使おう…)

王妃「…白雪姫の姿が見えないわ…」

王妃「井戸へいったのかしら…」

王妃「あれは伝書鳩…?側近から?」

王妃「なになに…?」

-----王妃様へ----

大変なことになりました

王様が動き出しました。どうもばれかかっているようです

私達の計略が

姫様を森の、あの7人の小人のいる小屋へ連れていったのです

7人の小人とは、王様の若かりし頃の戦友です

彼らは知恵、力共に人間以上です

王様は彼らに姫様をかくまってもらうようです

そして王子には、姫はあなたに殺されたと伝えるようです!!

王子は一週間後にこの国へ再びきます

小人達の小屋は…森の奥に花が咲き乱れてる、泉のある所です

王妃様、小人達は知恵はあるといいましたが
生活リズムはめったなことがなくてはかえません

これは彼らのある意味、弱点なのです

昼は炭鉱で働き、夜に帰ってくるのです
ようするにその間白雪姫は家で1人

一週間のうちに姫様が王子に会えるように手を打たねば、
姫様を救うどころか、貴方様も確実に

王妃「…ここに血が付いている?」

王妃「ここから…字も止まっている…」

王妃「…まさか…側近…」

王妃「…ぐすっ…側近…無事でいてくれ…」

ガタン!ゴトン!!

王妃「!?」

<王妃!いや、魔女!!出てこい!!>
<お前のやったことなどお見通しだ!!>
<白雪姫様を散々いじめて!挙げ句の果てには森で心臓をとってこいなど!!>
<いま、お前を討伐する指示が出たぞ!!>
<堪忍して出てこい!!!>
<おい!!俺らの増税の原因もお前だそうだな!?>

王妃「…そういうことか…計ったな、王」
ギリッ

王妃「随分私の評判を使って散々やってくれたわね…」

王妃「…私が用意してないとでも思ったの?」

王妃「…貴重品をこの隠し扉に隠して…」

王妃「…この城を燃やそう…もう帰っては来れないのだから」

王妃「さて、もってく荷物の確認…」
ガサガサ

王妃「光玉…これで撹乱できるか…な」

王妃「…ふっ、本物の剣を持つのは久しぶりだわ…」
ズシッ

王妃「…雑魚兵士ならよいのだけど…」

王妃「…ひさびさに腕がなるわね…」

バタン





白雪姫「わあ、綺麗な場所!」

狩人「でしょう。今からしばらくの間、ここで暮らすのですだよ」

白雪姫「まあ!」

狩人「あの小屋。あそこに王様の戦友の7人の小人がいます」

狩人「あの者達は賢く、また力もあるし、親切ですだ」

狩人「彼らの言うことを聞けば、王妃様を恐れる必要もありますまい」

白雪姫「そう…ね」

狩人「お、丁度、小人達も帰ってきましたぞ」

狩人「では、お姫様、私はここで」

白雪姫「わざわざ、ありがとう」

狩人「なあに、お姫様のためですだ」

狩人「戸締りにはくれぐれも気をつけて」

白雪姫「ええ」

兵士「おい、狩人」

狩人「へい」

兵士「お前だな!姫様の心臓をとるように命じられた魔女の仲間の狩人とは!!」

狩人「ちがいますだ!王様から…」

兵士「問答無用!!」

狩人「うっ!!」
グサッ!!

白雪姫「はじめまして、小人さん」

小人「おお、あれの娘か!べっぴんじゃないか!!」

小人1「俺は小人1だ」

小人2「2ですぅ~」

小人3「3だ」



小人7「7だ。しばらくよろしくな」

白雪姫「ええ、よろしくお願いいたします」

小人4「わははっ、だいぶ腰の低いお姫様だ」

小人6「そうだなあ~。あんたの親父は最初の態度はひどいもんだったぞ」

小人5「ちょいちょいちょい、これから日がくれるから、まずは飯を用意しようぜ!!」

小人達「おう」

白雪姫「あの…」

小人達「ん?」

白雪姫「私は作りますよ、料理は得意ですの」

小人達「やったあ!!」

小人1「いや~2の作るスープのだまの多さは以上で嫌だったところだ」

小人2「なんだってぇ~それを言うなら、1だって鳥さばくのへたくそじゃん!」

小人3「お前ら2人とも…料理下手過ぎなんだよ」

小人1、2「ぐうう」

「わははははっ」

白雪姫「ふふふっ…あはははっ…」

白雪姫「…」

王妃「はあっ…ッ…」

王妃「…相手が弱くて助かった…」

王妃「…一体どうしようか…」

王妃「白雪姫に会って…いっそ真実を述べようか…」

王妃「…いや、ダメだわ…」

王妃「…私にいじめられた…傷はそれだけでイイの」

王妃「血のつながった父親が…まさかそんな人だったなんて…それこそ最大の悲劇よ…」

王妃「何のために悪魔になる決心をしたの…」

王妃「…悪役は最後まで徹底して悪を演じるものよ…」

王妃「…さて、薬草を探しましょう…」
ガサゴソ

小人達「では白雪姫、いってくるよ」

小人達「夕方まで帰ってこないから、誰が来ても扉を開けてはいけないよ」

小人達「じゃあね、くれぐれも、開けちゃダメだよ!」

小人達「あ、今夜は第一の山場の話だから楽しみにしといてね!!」

白雪姫「わかったわ。今夜のお話、楽しみにしてますね」

バタン


白雪姫「お掃除はこれで終わりっと」

白雪姫「編み物でもしようかしら…」

白雪姫「こんな綺麗な服を着せてもらうなんて…何年ぶりかしら…」

白雪姫「…お母様…私は…貴方を今でも慕っております…」

白雪姫「昔…あんなによくして貰ったこと…1日も忘れてません…」

白雪姫「…王宮で1人ぼっちの私に…接してくれたあの日から…」

白雪姫「…お母様が来た直後のあの毎日は…本当に夢のようでした」

トントン

白雪姫「…」

「誰かいませんかぁ~」

白雪姫(お母様の声ではないわ…)

白雪姫(でも…警戒しないといけないのね…)

白雪姫(無視を決め込もう)

「お暇な貴方に、心ときめく商品を!」

白雪姫(…訪問販売?)

「奥に隠れている可愛いお嬢さん」

「出ていらっしゃいな」

白雪姫(…ばれているの?)

「ふふっ、私はこう見えても販売のプロよ」

「留守か、留守じゃないかくらい、わかるわよ!」

「大丈夫、窓際にいらっしゃい!」

白雪姫(…)
そろそろ

「おやまあ!なんて綺麗なの!!」

白雪姫(…顔は帽子と髪で見えないわ…もしかしたら、お母様かもしれない…)

「貴方には、よい髪飾りをあげましょう」

「あ、櫛もありますわよ」

白雪姫(…手がボロボロ…お母様はこんな手では無かったわ…)

白雪姫(うでも…薄く血がにじんでいる…)

白雪姫(この人はお母様ではないわ…大丈夫ね…)

「そうそう、こうしお座りなさい」

「まあ、大変綺麗な黒髪ね」

「ちょっととかしてあげるわね」

白雪姫(…)
バタン!!

王妃(…これでしばらくは起きないはず)

王妃(…まさか白雪姫にここまで手を出すとは思っていないでしょう?)

王妃(…あの人から守る…王子にこのことを少しでも広めなくては…)

王妃(ここで私から隠れていることを…)

王妃(…この森が…薬草や毒薬ばっかりでホントによかったわ)

王妃(髪から浸透する気絶薬を作れたから)

小人達「ただいま~」

小人2「ううっ~おかな空いたよ~」

小人4「わははははっ、白雪姫どこだい、」

小人1「どこじゃねえぞ!!倒れてる!!」

小人3「なんだと!?」

小人7「おい、どけ」

小人5「ちょいちょい、看護は俺の担当だぞ、7」

小人7「呪文が入ってるかもれんぞ。呪文系は俺の専門だ」

小人1「とにかく、そばに落ちてるこの櫛が原因っぽいな」

小人2「う~ん…いくつかの薬草の臭いがするよ~」

小人7「…呪文もかかってないな」

小人5「ちょいちょい…心臓は動いてる…気絶…麻酔の効果があるようだな、これ」

小人5「いくつかの薬草…毒草を混ぜてある」

小人5「人体に影響は無しだろうな…」

小人5「髪を洗えば多分すぐ目を覚ますだろう…」

小人3「…王にこのことを伝える」
がさぞこ

小人1「おう…頼んだぞ」





白雪姫「ごめんなさい、心配掛けてしまって…」
シュン

小人4「わはははっ、大丈夫だよ、でも今度はもっときをつけるんだ」

白雪姫「はい…」

小人3「そうだぞ…誰も入れるな…無視をしろ」

白雪姫「分かったわ…」

小人5「ちょいちょい、ご飯たべようぜ~」

小人7「そうだな、とりあえず食べようぜ」

みんな「いただきまーす」





王妃「…あの子は目覚めたようね」
コソッ

王妃「やっぱり…あの小人達は…一筋縄ではいかないのね…」

王妃「…極秘の眠り薬…これをのませないといけないようね…」

王妃「目が覚めない、となったら、お城では大騒ぎになるでしょう」

王妃「そして街中に噂を流すの…」

王妃「白雪姫は本当は生きていると」

王妃「…隣国に手紙を書かなくては…」

王妃「…私はここにいる…ここへ来い…とね」

王妃「王子が1人で来ないように…王様にも、会いたいと書き添えて」




白雪姫「今日も昼は1人ね」

白雪姫「今日は何をしようかしら」

白雪姫「そうだ、この服、繕ってあげようかしら」

白雪姫「その後洗濯しましょう」

ガサッ!!

白雪姫(何!?)

白雪姫(お母様…?)
こっそり

白雪姫(あ…庭に人が倒れている…)

白雪姫(でも…無視を決めこまねば…)

白雪姫(…ダメだわ、やっぱり見捨てられないわ…万が一本当に病人だったら…)

白雪姫(でも…お母様だったら…)

白雪姫(…ああもう…!)
バタン!!

白雪姫「大丈夫ですか!?」

「あ…ああ、み、水を…」

白雪姫「水ですね!!少し待って下さい!!」
タッタッタ…

白雪姫(汚れがひどくて顔が分からなかったわ…)

白雪姫(しかもボロボロの服…)

白雪姫(森で迷子になったのかもしれないわ…)

白雪姫「さあ、水ですよ!」

「ああ…ああ…ありがとう…」

「お礼に…売り物のリンゴをあげよう…」

白雪姫(…おかしいわ…)

白雪姫(倒れるほど喉が渇いて辛いなら、リンゴを私なら食べるわ…水気も多いし)

白雪姫(…ここはリンゴだけもらって、家へ帰ろう)

白雪姫「ありがとうございます。それではお気をつけて…」

「まちなさいな、この場で食べていきなさい」
ガシィ!

白雪姫「!?」

白雪姫(なんて…強い力かしら…振り切れない…)

「口にあったらあと2、3個あげますよ」
ニヤァ

白雪姫(…ああ、計略にはまったわ…)

白雪姫(…食べなかったらどうなるのかしら…)

白雪姫(もしかしたら…殺されるかもしれない)

白雪姫(いえ、食べても死ぬわ…どの道、死ぬのね…)

白雪姫(…ああ)

白雪姫(…ああ)

白雪姫「…ではお言葉に甘えて」
ガリっ!

ばたり

王妃(ごめんなさいね…私の可愛い娘…こんなに辛い目に合わせて…)




小人1「たいへんだああ!!白雪姫がまた倒れてる!!」

小人6「よく外にでるねぇ~あの子、やっぱあの親父の子どもだわ」

小人3「そんな悠長なこといってる暇はない」

小人7「…昨日に引き続き、呪文はかかっていない」

小人2「ううん…やっぱり薬草と毒草の臭いが酷いよ…」

小人5「ちょいちょい…めんどうだ」

ごめんなさい、データの入っているパソコン
さるくらったわ…
ちょっとまってくれ

小人5「無茶苦茶複雑な配合だ…この感じは見たことはない」

小人5「さらに…原因は身体の中だから…」

小人5「診断しづらい…解毒を作るのに一体どれくらい時間を費やすか…」

小人5「多分…強力な眠り薬…であることしかわからない…」

小人5「昨日のように何か落ちてればいいのだけど…」

小人5「そんなヘマはしてないと…」

小人4「王に…手紙かくよ」

小人1「…笑ってないお前って珍しいな」

王「…予定外の出来事だ…」

王「あの女のことが分からなくなってきたぞ…」

王「本当に白雪姫を殺す気なのか…そうでないか…」

王「側近、狩人を殺したまでは計画通りだった」

王「問題は王妃、まさかあの人数を1人で切り抜けたとは…」

王「しかも、薬草、毒物の配合に長けているとは…かなりの戦闘技術をもってるな」

王「…だいぶ番狂わせだな…」

王「…王妃の国へ、連絡を送ろう…」

王「(貴方の国で一番の医者を連れてきて欲しい。)」

王「(それと貴方の娘…あれをどうにかしてほしい。)」

王「(この国の側に来ないならば…魔女の仲間とみなし、
隣国と魔女討伐連合軍から除外する)」

王「(そしてその連合軍が貴方の国を攻めるだろう。国民を1人残らず殺してやる)」

王「(それがいやなら、条件をのめ。王妃を殺す手伝いをしろ)」

王「…ふふっ、祖国に捨てられる…か、可哀想だねぇ」

王「いや、ここに来た時から捨てられてるか、あはははっ」

王「それと…また噂の訂正と捏造を…」

王妃(…顔を木の実の液で色を変えて…)

王妃(まさか…誰も私が王妃とは分かるまい…)

商人「なんだかお城が騒がしいのお」

町人「お姫様が殺されたと聞いたが…」

「いいえ、この噂は違うわ」

「実は、王妃様の先回りをして、森の小人の家に避難しているのよ」

町人「なんだと!?」

「ただ…生きているけれど、睡眠薬で眠らされているのよ」

商人「生きていらっしゃるのはよかったが…誰がそんな…」

「王妃様に決まっているわよ」

町人「くそっ、またあいつか!!」

町人「あいつのせいで、生活が苦しいんだ!」

商人「あの悪魔め…嗅ぎつけるのがはやすぎる」

「…早く助けないと…王妃がまた襲いに行ってしまうわ…」

「今度こそ殺されてしまう…」

商人「大変だ!!」

町人「何とかしないと!!」

街娘「あれ、どうしたの?」

商人「かくかくしかじか…」

王妃(よしよし、そのまま広めなさい)




王妃(えっと…手紙手紙…)

王妃(…隣国の王子様)

王妃(今週の日曜、日没以降に、小人の家がある森で待つ)

王妃(ゆっくり相手をしますわ…あ、…私の旦那様も連れてきてね…)

王妃(これでよし…鳩の足につけて…隣国へ…)





王「王妃の国からの返事か…」

王「…つまりは、こちらの条件を飲むのだな…」

王「その証拠に…お前は目の前にいる」

王「お前はかの有名な医者じゃないか。あそこの国出身だったのか」

王「あと…この軍隊…」

王「よしよし計画通り」




王子(ああ…白雪姫…貴方は本当に死んでしまったのか…)

大臣「王子様、大変にございます!!!」

王子「…何?果たし状!?」

王子「隣国の王妃から!?」

大臣「そうでございます!!」

王子「…隣国の王様と提携しよう」

王子「父上にも事情を説明します」

王子「これは、もう個人の問題ではありません」

医者「…これは、我が国の極秘の薬…」

王「おう…わかるか…」

医者「ええ。これは身体の外に薬をだせばすぐに目を覚まします」

小人達「そうですか…」

医者「まあ、解毒剤もあるので体外へ出せなければ城で調合しますよ」

医者「多分、お城に向かっている間に揺れるので、自動的に吐き出すでしょう」

小人達「王様、すまなかった」

王「いやいや…気にすんな。お前たちだからこのレベルですんだんだ」

王「一時的に城に戻すよ。お前たちも付いてきてほしい」

小人達「もちろん!」

王子「王様!」

王「これは、隣国の王子…こんなに軍隊を連れて…」

王子「魔女から果たし状がきたのですよ」

王子「この間王様は魔女退治を宣言なさったでしょう?
それで提携をお願いしようと来たところです」

王子「…白雪姫の無念を晴らすためにも…」

王「あ、その件だが」

王「白雪姫は生存しておるぞ」

王子「本当ですか!!」

王「ここだ…この馬にまたがっている…酷い睡眠薬を飲まされたようだがね」

王「すべては魔女のせいだ…」

王「危うく殺されるところだった」

王子「よかった…」

白雪姫「zzz…」

王子「…可哀想に…くそっ、諸悪の根源め…」

王子「…貴方を救うと大見えを切ったのに…」

王子「…自分が情けない!」

王子「すまない…」
ガシッ

白雪姫「…げほっ、ごほっ!!」

王「おや…何かが口から…」

白雪姫「あら…ここは…?」

白雪姫「…王子様、な、何を…」

王子「…う、うわっすまない…思わず抱きしめってしまって…」

白雪姫「…おきになさらないで…」
カアアア

王「いやはや、若いっていいですなぁ」

王(…若造が…こいつ、後で殺してやる…)

さるでまた規制が…
ごめんなさい

------------------------------------------------------------------

王妃(…あの医者は…私の城一番の医者…)
コソッ

王妃(…私の祖国が…私の敵にまわったのね…)

王妃(きっとあいつのことよ…父上を脅したのね…あの時のように…)

王妃(いいわ…丁度いい…心配事が1つ減ったわ…)

王妃(祖国は…これでしばらくは安泰ね…)

王妃(もう…どうなっても良いわ…)

王妃(結果が…白雪姫が笑える…未来があればいい)

王子「今日が約束の日です」

王「そうだな…あの女、どう出るか」

王子「どう出ても変わりはないです。必ず殺す」

王「…息子よ」

王子「!いま…なんと」

王「今日が無事に終わったら…私の娘と結婚式を盛大に挙げさせよう」

王子「…王…いえ父上…」


王(…まあ、今日、お前事故を装って殺す気だけどな。)

王妃(…もうそろそろ時間ね…)

王妃(…嫌に静かね…)

『うおおおおおお!!!!!』

王妃(始まったわね…)

王妃(…あきれるわ、女1人に一体何国の軍隊をつれてるのよ…)

王妃(魔女狩り…まあ私は魔女では無いわけではないからいいのか)

王妃(…もともと私の家系は魔法が使えるのよ)

王妃(まあ、長年封印されてたけどね)

王妃(でも、なぜか封印が解けてた)

王妃(…お父様…大臣様…)
ギュ…

王妃(さあ…戦ってあげるわよ)
ザッ!!

王子「火の球!?」

王子「魔法だ!!」

王「全軍!ひるむな!!あれは脅しだ!!」

兵士「うわあああ!木が、ツタが!!」

兵士「龍だ!!氷の龍だ!!!」

王(…あいつは魔法が使えるのか?)

王(あの時は気は感じなかったのに今は感じる…一体どうしたんだ!?)

王子「くそっ!!魔女はどこだ!!」

小人「ぶつぶつ…」

小人「はっ」

小人「解除!!」

ガチッ!!

王子「…火や龍が消えた…」

小人「魔法は我々が解除しながら行きます!!」

小人「皆さん、ひるまずにいきましょう!!」

「うおおおおおおおおお!!!」
ドドドドドドド




王妃「…来たな、王子」

王子「おい…散々悪事を働いてくれたな」

王妃「ははっ…わるいかしら?」

王子「…だまれ!!」
チャキ

王妃「私が世界の中心なのよ」

王妃「お金も美貌も、何もかも私のもの」

王妃「白雪姫すらいなくなれば、全ては私の思うがまま」

王子「…残す言葉はそれでいいのか」

王妃「ええ。」

王子「行くぞ!!」
ブン!!

兵士長「剣をとれええええ」

王妃「風よ!!」
ゴオオオオ

兵士達「う…前に進めない!!!」

王妃「草木よ!!」
ザワザワ

兵士達「身体がしめられる!!」

王「王妃、覚悟しろ!!」
ジャキン!

王妃「ふん」
さっ、さっ

王妃「雷よ!!」
バリバリ!!

王子「うわっ!!」

王「ぐあっ!!」

王妃「さあて、と…」

王妃「ぶつぶつぶつ」

ゴゴゴゴゴ

王子「この暗雲は…?何が起きるんだ!?」

小人「ま、まずい!!」

小人「最上級呪文だ!!」

小人「…嵐をおこすつもりだ!!」

王妃(…嵐とツタでこの軍隊の動きを完全に封じて)

王妃(王子と少し戦って、死んだふりをして逃げよう)

小人「えええい!!!うっとうしい、このツタめ!!」
ブチブチ

王妃(!?)

小人「王様、王子様、助太刀します!」

小人「ぶつぶつ」
ドオン

小人「うおおおおおおおお」

ゴゴゴゴゴ…

王妃「…無効の呪文ね…しかも広範囲にわたっての…」

小人「これで魔法は使えまい!!」
ハアッハアッ

王妃(ああ…私はどうやら逃げれないようね)

王妃(…それでもいいわ)

王妃「ふふっ…これで十分だわ」
ジャキン

王妃「覚悟なさい!!」
ブン

王子「く…女のくせに何でそんな大剣を…」
チキ…

王妃「遅いわよ」
ギン!

王子「うわっ」
ガチッ!!

王「王子!!」
ダダッ

王妃「邪魔よ」
バキィ!!

王「ぐふっ!」

兵士たち「王様!!」

兵士長「お前ら、魔女に矢を放て!!」

王妃(…あの馬鹿兵士長!!今打ってどうすんの!!)

ビュンビュン

王妃(王子に死なれては困るのよ!!)
ザッ!!

王妃(…なんとか体位を変えるのに成功したわ…)

グサグサ

王妃(クウッ…矢が刺さりまくってしまった…)

すいません…せっかちなのでまたさるをくらいました…

-----------------------------------------------------------------

王子「助太刀すまない!!」

王妃(…私がかばったからよ…あんなの助太刀じゃないわよ…)

王(ちっ…殺す絶好のチャンスだったのに…あの女は邪魔ばかり…)

王(俺が直々にやるか…)
フッ

王「これでも食らえ!!!」
ブン!!

王妃「!?」
スカッ

王子「王様!お陰で魔女が離れました!!」

王妃(あいつ…うすうす感づいてはいたけど王子を殺す気だわ…事故を装って…)

王妃(いま、王子から離れなくてはいけない…)

兵士長「いまだ!!矢を準備しろおおお」

王妃(…兵士長もグルなのね…矢を広範囲に当たるように…弓矢隊を配列して…)

王妃(…何が何でも王子を殺してやると…)

王(矢を王子に当てて…あの女と戦っているうちにフラつきでもしたら)

王(我が剣の餌食にしてやる)

王妃(王子を殺させなど、しない)
ガバッ

王妃「王子いいいいい」
ダダダッ

ガチーン

王子「ぐっ…なんて力だ…」
ギリギリギリ

王妃(そりゃ、これくらいなくちゃ城から1人で逃げられないわよ)

兵士長「はなてえええ!!!」

ピュン!

王妃(来た!!)
グワン!!

王子「うわっと…」
ドン

ドスドスドス

王子「ざまあないな、魔女…」

王子「わざわざ敵の盾になるなんてさ」

王妃「ぐっ…」
フラフラ

王妃(…力が…入らないわ…)
グラッ

王(いまだな、もうあの女が王子をかばえるとは思えない)

王「魔女め!!おりゃああああ!!」
ジャキン!

王妃(…あいつめ!!!)

王妃(動いて…私の身体!!)
ググッ

ドスッ!!

王妃「ぐはっ…」
ダラダラ

王(…しぶとい女め…王子を今日殺すのは無理そうだな…)

王(ま、この女、私の剣で串刺しにされたし、すぐに間違いなく死ぬ)

王(それだけでも大収穫だ)

王「堪忍しろ、魔女」

王子「これでとどめだ!!」
ブン!!

「やめて!!!!」

王子「!」

王「ど…どうしてきたんだ!!」

王妃(白雪姫…なぜ)

白雪姫「お母様!!目を覚まして!!」

白雪姫「私は…貴方が大好きです!!」

白雪姫「今…いじめられても、貴方が私のことを嫌いでも!!」

白雪姫「私が幼いころ、いつも一緒に遊んでくださいました!!」

白雪姫「王宮で1人だった私にとって、どんなに楽しい日々だったか…」

白雪姫「だから…こんなことやめて、お城へ帰りましょう?」
ジッ

王妃(…あんなにいじめたのに、まだ好きと言ってくれるなんてね…)

王妃(よい子ね…私の自慢の娘だわ…)

王妃(今すぐ謝りながら抱きしめられるならどれほど良いかしら…)

王妃(…いけない…いま泣いてはいけない…)

王妃(しっかり…ここが最後の山場よ…)
ブルブル

王妃「くくくっ、あっはははははっ!!!」
ドカッ!!

王子「うわっ、しまった!!」

グッ!!

王子「!魔女め、白雪姫を放せ!!」

王「おい、いい加減にしろ!!」

白雪姫「お母様…」
ポロポロ

王妃「ほんっとうに馬鹿な娘」
ケセセセッ

兵士「くそ…姫様を人質に…」

小人「うかつに近づけない…!!」

王妃(ごめんなさい…私の力不足で今まで大変苦労をかけさせてしまって…)

王妃(でも、これも最後よ…)

王妃(あなたをいじめるのも…これで…最後よ…)

王妃「王様…」

王「何だ」

王妃「要求があるのです。飲まないのなら、白雪姫を殺します」

王「くそっ…なんだ、いってみろ」

王妃「貴方の欲するものは決して欲してはならないもの!!」

王妃「釣り合う相手に渡しなさい!!」

王妃「さもなくば、あなたに地獄の苦しみを!!」

王「はぁ~」

王(…王子に白雪姫を渡せ…ということか…)

王「…お前の企みくらい、分かってたぞ」

王「…」
ギロッ

王妃「…」
ググッ

白雪姫「くうっ…」

王「…ふうっ…分かった、要求を飲もう!!」

王妃「…ふっ、あはははははは…」

王妃「…ようやく…終わりました…白雪姫…」
ソッ

白雪姫「へ…?」

王妃(私は貴方の花嫁姿が見たかったけど…無理そうだわ)

王妃(幸せにおなり…白雪姫)
ニコリ

グラッ

バタン!!

白雪姫「お…お母様、」

白雪姫「お母様!!」

王子「…力尽きたのか」

王「意外とあっけない最後だな」

王子「…こんな人だったが、主よ、彼女にも安らぎを…」

王「…さあ、終わった…皆、城に帰ろう」

白雪姫「…」
グズグズ




町人「あ、魔女討伐から帰ってきた!!」

商人「あれは…王妃の死体!!引きずられている!!」

町人「皆~魔女がしんだぞおおおお!!!」

(とうとう…平和が来たんだ…)
(やった…安らかな日々が戻るぞ!!)
(あれが隣国の王子と…姫様)
(なんて美しい2人だ)
(王様…あの方が指揮をとったそうだぞ)
(万歳!王様万歳!!)
(王子様万歳!!)
(万歳!!万歳!!!)
(魔女は死んだ!!万歳!!!)







数週間後

王「さてと…2人の結婚式が終わった…」

王「あのムカつく若造も王になった…」

王「フフフッ、叩き時か」

どうやら、10以上連続して投下出来ないようです…

-----------------------------------------------------------------

王「浮かれているうちに、我が国の盗賊団を送り込む…」

王「そして内乱にまで勃発させる」

王「もちろん、我が国の軍も盗賊団を捕まえる、という名目で侵入」

王「隣国を滅茶苦茶にしてやれ」
ニヤリ

王「そして、とどめに全面戦争にまでやってやる」

王「はははははっ!!!」

――――約束を破りましたね

王「!?」

――――舐めてもらっては困ります

王「この声は…王妃!?」

王「なぜだ!?あの時は小人が魔法を封印したはず…」

――――私は魔法を使えなくなりました

――――でも“呪い”まで封印してませんよね

王「…お前、黒魔術師か!?」

王「しかし…黒魔術は、老齢の魔術師でも難しいといわれている!」

――――お勉強をちゃんとしていないようですね

――――私の祖国の王家は…死神の血が混じっているのですよ

王「…まさか、…お前の祖国の別名…“死国”と呼ばれている理由がそれなのか!?」

王「伝説では無かったのか!?」

――――だから他国は我が国を恐れて近づかないのです

――――黒魔術なんて、生まれた時からできますよ

――――まあ、近年は恐れられすぎたので、魔力は封印されてましたけどね

――――父上は私を娘と思ってくれていたようで、最後に封印を解いてくれたようでした

王「…」
フラフラ

王「…何しに来た」

――――当然、貴方を葬り去りに来ました

王「ぐっ…」

―――――ここまでですよ

―――――私が命と引き換えに貴方にかけた呪い

―――――貴方を死に誘うでしょう

王「ぐふっ…ぐっ…死にたくない…まだ…」
ブチブチ

王「うわああああ!!!いやだああああ身体がああああ」
ピキピキ

王「いだいよおおおおおおお!!!」
ドクドク

王「死にだくないよおおおおお」
ピシィ、ピキッ

王「ぐああ、ああ、ああああ」

ドサッ

「王様!?」
「王様―!!」

ザワザワ





新王「白雪姫…可哀想に」

白雪姫「…お父様……グスッ」

新王「…ご両親が亡くなるのは大変辛いだろう」

新王「でもこれからは私が、貴方の支えになります」

新王「家族として…夫として」

新王「だから…気を落とさないで下さい」

新王「王は…貴方の泣き顔よりも笑顔が見たいと思いますから」

白雪姫「はい…」
グスン

新王「貴方の国は、私の国と統合し、新たな国を発足させます」

新王「白雪姫をこれからも守り、貴方の国をよりいっそう、豊かに」

新王「だから…安心して、お眠りください」

―――数年後―――

白雪姫「ねえ、…」

新王「どうしたんだい?白雪姫」

白雪姫「お母様が亡くなったのは…だいたいここ辺りかしら」

新王「ああ…ここで、倒れたんだ…」

白雪姫「…実は私…お母様が私をいじめるのは何か深いわけがあると思っていたの」

白雪姫「…今でもそう思うわ…」

白雪姫「実は、お母様が死ぬ直前に呟いた言葉が頭にずっと引っかかってて」

新王「…白雪姫…」

新王(…深い理由か…)

新王(…そういえば、私と組み合っていた時…)

新王(体位を変えていたな…)

新王(あの時は疑問に思わなかったが…おかしい)

新王(わざわざ…矢が当たる方へ…体位を変えていた)

新王(私を守るかのように)

新王(…王に向けた最後の言葉も…不可解な内容だった…)

新王(…しかもあの時、負傷者はいたが…死亡者がいなかった)

白雪姫「…あ!!」

白雪姫「…これを…見て下さい」
チャリン

新王「これは…ロケットだ。鎖に2つもついている?」

白雪姫「…ここに落ちていたの…」

白雪姫「お母様はよくこのロケットを見ていたわ」

白雪姫「誰にも中身はみせなかったけれど」

カチャリ

白雪姫「…」

新王「…君の絵だ」

新王「…言葉が彫ってある」

新王「(今度こそ、わが子を守る)」

新王「…」

白雪姫「…おかあさま…」
ポロポロ

新王「もうひとつは…」

新王「男の人と…王妃…」

新王「(夫を捨て、子どもを殺した自分を私は永遠に恨む)」

新王(王妃に…何があったんだ…白雪姫を憎んでいなかったのか…?)

白雪姫「王様」

白雪姫「私、お母様と暮らしたあの場所へ行きたい…」
ボロボロ

白雪姫「今も残っているでしょう?」

白雪姫「お願い、連れて行って…」

新王「…いいだろう。焼け跡しかないが僕も行こう」

新王「…本当のことが分かるかもしれない」

―――焼け跡―――

白雪姫(…お母様…)

白雪姫(…ホントに…私のことが嫌いだったの…?)

白雪姫(実はずっと気になってたの…)

白雪姫(…多分、ここ辺りがお母様の部屋…)

白雪姫(何かあるかもしれない…)
ガサガサ

新王「…」

白雪姫「ダメだわ、やっぱり…なにもない」

新王「だろうね…」
ザクッザクッ

新王「全く…皆魔女を恐れて片づけなかったんだな…」

新王「がれきがそのまま残っている」
バキッ!!

新王「!!、危ないな…ん!?」

新王「…あ、こんな所に隠し扉が!!」
ドンドン

新王「あけてみるよ」

白雪姫「ええ」

ガタン

新王「これは…」

白雪姫「…昔私がお母様に作った人形」

白雪姫「お母様に宛てた…手紙?」

新王「…間違いない、王妃は君を憎んではいなかったのだ」

新王「…でも一体どうしてあんな行動を…?」

新王「…白雪姫、何をよんでいるのかい?」

白雪姫「うっ…ぐずっ…うわああああん…」

新王「…えっと…日記?」

新王「…」
ピラピラ

―――○月×日

本日をもってこの日記を終わらせる
理由はたった一つ、王様が自分の娘に前王妃を見出したため、
他の男に取られまいと監禁し、我が物にせんとするのを阻止するために

この国に来る前に私は離婚し、子を下ろした

絶望を抱き、この国に来た

私に唯一心を開いてくれたのは、白雪姫

彼女は私の唯一無二の娘

私は赤ちゃんを殺した。赤ちゃんを圧力から守れなかった
今度こそ、自分の子を守って見せる

今度こそ、私は守ってみせる

新王「…」

白雪姫「うわあああん、お母様、ううっ」
ボロボロ

白雪姫「どうして…言ってくれれば…」
ボロボロ

白雪姫「お母様…私のお母様…」

白雪姫「神様…もう一度お母様にあわせて…」

白雪姫「お礼を…いわせて…神様…」
ガクリ
新王「白雪姫…」

新王(…白雪姫、貴方を王妃から守りきったつもりだった…)

新王(しかし本当に貴方を守っていたのは、あの王妃だったのか…)

新王「…母親は強いものだな…」

新王「でも…どうして、打ち明けて下されば…」

新王「あるいは…」

新王「いえ、打ち明けるわけにはいかなかったのですね…」

新王「…く」
ボロボロ

新王「クソッ…」
ボロボロ

新王「…自分は愚かものだ…」

新王「きがつけなかった…何も…何も…」

新王「王妃様…私をお許しください…」
ジャキン

白雪姫「!!やめて!!!王様、ダメ!!」

新王「地獄で…私は裁かれます…」

ゴオッ!!!

――――――貴方は大馬鹿物ですか!?

――――――今、白雪姫も国民も身捨てて自分だけ死ぬつもりですか!?

――――――ああ、こんなことなら私があの時本気を出して
王様共々殺してあげればよかった!!!

新王「…今の…声は…?」
ピタッ

白雪姫「…何をおっしゃっているのですか」

白雪姫「声なんて聞こえません」

白雪姫「いいから早く剣をしまって下さい!!」

白雪姫「私を1人にするつもりですか!?」

白雪姫「私は1人が嫌いなのです!!」

白雪姫「ですから…お願いですから…」
ポロポロ

新王「…白雪姫…すまなかった…」

新王「こんなことは二度としないから…」
ギュ…

白雪姫「…約束ですよ…」

新王(さっきの声は…王妃様、貴方なのですか…!?)

新王(…答えてください…)

新王(…白雪姫に、語りかけてあげてください…)

新王(彼女は…貴方と話したがっているのです…!)

新王(王妃様…!)

新王(あなたは…)

ゴオッ!!!

新王(…)

新王(…気のせいだったのか…?)

新王(…)

新王「白雪姫、行こう」

新王「王妃様の葬られている所へ」

白雪姫「はい…」

サクサクサク

…………

―――――――――フンッ、ようやくお墓参りに来てくれるのね

―――――――――いくら悪者でも墓くらいきて欲しかったわ!

―――――――――ま、王子が首を切ろうとしてくれたし、良かったことにしましょう

―――――――――ふふっ…なんだかんだ、本当のことを知ってほしかったみたいね、私

―――――――――情けないわ、今までここに残ってしまって

―――――――――…これで、本当に、さようならね


…………

「ねえ、あのお話聞かせてよ」

「ん?」

「悪い魔女と白雪姫のお話!」

「ああ、いいよ」

「昔、ある国に王様がいました」

「王様には大層綺麗なお妃さまとお姫様がいました」

「そして同じころ少し北の国に魔女はいました」

「悪い魔女は、ある浅ましい野望があったのです」

「国を思うままに動かし、贅沢を尽くし、一番美しくありたいという…」

「ですからそのようすを見た魔女は妬み、お妃様を殺し、とり替わりました」

「さらにお姫様…美しい白雪姫をいじめました」

「………」

---十数年前---

王妃『ほら、この花はね、こうすると…』

白雪姫『なになに?』
ワクワク

王妃『ピィ~』

白雪姫『わあ』
キラキラ

王妃『草笛よ』
ニコニコ

王妃『白雪姫はお庭に散歩に行ったことは?』

白雪姫『…いつもメイド達が汚れるし、はしたないから行くなって』
ショボン

王妃『ふふっ、まあそうね。』

王妃『ま、私がいるからこれからは思いっきり遊べるわよ』

白雪姫『ホント…?』

王妃『悪い奴はやっつけてやるわ』
ブンブン

白雪姫『かっこいい!わ、私もやりたい!!』
キラキラ

王妃『まあ、そのうち教えてあげるね』
ナデナデ

王妃(…私は赤ちゃんを殺してから…一刻も早く死なねばと思っていたわ)

王妃(いや…今でもそう思うの)

王妃(でも…この子を見ていると…生きる喜びを感じずにはいられないわ…)

王妃(私が一瞬でも息をするのを許されないほど罪深い存在でも)

王妃(私は生きていてよかったと思える)

王妃(そして神様が生きる事を許してくれなくても、私は生きていたい)

王妃(私は…貴方を会えてよかった)

王妃(本当に、よかった)

王妃『白雪姫』

白雪姫『なに?お母様』

王妃『これからも、一緒にいようね』
ギュ…

白雪姫『うん!』
ニコッ

終わりです

前のssがさるをくらいまった挙句、落ちたのがトラウマだったので気をつけた
つもりでしたが、やはりくらいました

なんとか最後までいけて良かったです。保守や支援してくれた方々、最後までお付き合いしてくれた方
本当にありがとうございました

おつ
鏡に一番綺麗な人聞いてたのはただの噂?

>>218
乙、良かったよ
もうちょいゆっくりでもいいんだぞ

>>223
はい、周りの人の勝手な噂という設定にしていますね

>>225
実は明日…テストなのですよ…それで投下速度が速かったのだと…

まずテスト前に何やってんだと自分で思うのですが、むしゃくしゃして思わず立ててしまい…
勉強せねばと若干焦り…しかし今は落ち着いて開きなおっているところです

褒められると嬉しいものですね
本当に皆さんのおかげで落ちずに済みましたし、本当にありがとうございました

では今から風呂入ってきますね
良い夜をノシ

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