苗木「これって、どういう事?」
モノクマ「見ての通り、そういう事だよ!」
苗木「でも……そりゃ嫌われてるとは思わないけど、98なんて数字が出るほどじゃ……」
モノクマ「それって苗木クンが勝手にそう思ってるだけでしょ?」
苗木「それは……そうかもしれないけど」
モノクマ「とにかくその好感度表示システムは苗木クンの電子生徒手帳だけに搭載した特別なシステムなんだからね!」
モノクマ「それをきちんと理解したうえで有効に使ってよね?」
苗木「うん……通常が50、でいいんだよね?」
モノクマ「そうそう、最高が100で最低が0!」
モノクマ「100だと心も股も開いちゃうレベルだよ! ワックワクのドッキドキだよね!」
モノクマ「でも0になっちゃうと、何時殺されてもおかしくないからね。用心してよね?」
苗木「ところでこれ、女子の数値しか表示されないんだけど、それはどうしてなの?」
モノクマ「なんとッ!? ……ひょっとして男の子もイケるクチ? そっちも付けるべきだった?」ハァハァ
苗木「そ、そんなんじゃなくて! ……いや、もういいよ。そういう仕様なんだね」
モノクマ「うぷぷぷぷ。理解が早くて助かるなぁ~。それじゃ学園生活を楽しんでねぇ~!」
苗木「さて、他の人たちはどうなってるんだろう?」ピッ
苗木「朝日奈さんは62か。そこそこ好印象、でいいのかな?」ピッ
苗木「大神さんは61。あんまり変わらないなぁ」ピッ
苗木「江ノ島さんは51か。……どうでもいい人って事なのかなぁ」ピッ
苗木「腐川さんは……39だって。……気を付けないと」ピッ
苗木「あれ? 不二咲さんのところに数字が出ない。……バグ、かな?」
苗木「うーん……。とりあえず、この数字が本当かどうか確認したいな」
苗木「モノクマの事だし、これをそのまま鵜呑みにするのは危険な気もする……」
苗木「よし、誰かに直接訊いてみよう!」
~食堂~
苗木「あ、いたいた。セレスさん」
セレス「あら苗木君、おはようございます」
苗木「おはよう。ところでさ、ちょっと訊きたい事があるんだけど、いいかな?」
セレス「なんでしょうか」
苗木「セレスさんってさ、ボクの事好き?」
セレス「……」
苗木「……」
セレス「……朝からわけの分からない事を言う暇があるのでしたら、紅茶を淹れてほしいのですが」
苗木「あ、うん、いいけど……いつものロイヤルミルクティーでよかったかな?」
セレス「えぇ、大急ぎでお願いしますわ」
~厨房~
苗木「別にいつもと変わりないみたいだ」
苗木「この数値が正しいなら、もうちょっと違う反応があってもよさそうだけど……」ピッ
苗木「って……あれ? セレスさんの数値が99になってる」
苗木「どういう事だろう。……余計に分からなくなったなぁ」
苗木「正直、朝日奈さんより少し低いくらいかなぁと思っていたのに……」
苗木「やっぱり他の人の反応も見る必要がありそうだ」
~食堂~
苗木「今日はどうかな?」
セレス「代わり映えしない味ですわね」
苗木「……そっか、次はもっと頑張るよ」
セレス「そう願いたいですわ」
苗木(「やっぱり好かれているようには思えないや」)
舞園「あ、苗木君。おはようございます」
苗木「おはよう、舞園さん」
苗木「あ、そうだ。舞園さん、ちょっといいかな?」
舞園「なんですか?」
苗木「その……舞園さんってさ、ボクの事どう思ってるかな? 好き?」
舞園「へっ……!?///」
セレス「……」
苗木「大事なことなんだ。正直な気持ちを聞かせてほしい」
苗木(「本音じゃなきゃ、数値と照らし合わせても意味が無いからね」)
舞園「え、えーっと、それはですね……///」
苗木「それは?」
バシャッ
苗木「熱ッ!」
舞園「だ、大丈夫ですか!?」
セレス「あら、失礼。手が滑りましたわ」
苗木「セレスさん!?」
セレス「手が滑りました、と言っているのです」
苗木「そ、そっか。……それなら仕方ないよね」
舞園「いえ、今のはどう見ても……」
苗木「とにかく、ちょっと着替えてくるよ」
~自室~
苗木「ふぅ……ヤケドはしてないみたいだ」
苗木「さっさと着替えなきゃ」
苗木「電子生徒手帳は……濡れてないよね? 熱に弱いらしいし、まさか熱膨張で壊れたりは……」ピッ
苗木「……あれ、また数値が変化してる」
苗木「舞園さんが84に上がってるけど……」ピッ
苗木「セレスさんは94に下がってるや」
苗木「うーん……ひょっとして、紅茶をこぼして不機嫌になったのかなぁ」
苗木「いや、あくまでボクに対する好感度のはずだから、それは関係ないか」
苗木「となると、あんまり美味しくなかったのかな?」
苗木「でも、それならそれで淹れなおせって言うと思うし……」
苗木「やっぱり分からないな」
~食堂~
苗木(「あれ? 舞園さんはもう帰っちゃったのか」)キョロキョロ
苗木(「腐川さんは……やっぱりいないか。どうせまた十神クンの所に居るんだろうな」)
苗木(「霧切さんもいないけど、ひょっとしてボクが部屋に戻っているうちにさっさと食事を済ませたのかな?」)
苗木(「ん? セレスさんは……食事も済んでるようだけど、なんでまだ残ってるんだろう」)
苗木(「あ、大神さんと朝日奈さんが来てるみたいだし、今度は二人に訊いてみようかな」)
苗木「大神さん、朝日奈さんも……ちょっといいかな?」
大神「苗木か……。我に何か用か?」
朝日奈「おはよー、苗木。どしたの? 何かあった?」
苗木「実は二人にちょっと訊きたい事があって──」
セレス「苗木君、少しよろしいですか?」
苗木「ん、なに?」
セレス「ちょっと、こちらへ」
苗木「ごめん、少し待っててくれないかな。今大神さん──」
セレス「いいから来いっつってんだよ、ビチグソがぁぁぁぁッ!!」
苗木「……」
大神「……」
朝日奈「……」
苗木「ご、ごめん、二人とも……。やっぱりまた後で」
大神「うむ」
朝日奈「よく分かんないけど、またね~」
~廊下~
セレス「一体どういうつもりなのか、話して下さいますわね?」
苗木「どういう、って……何の事?」
セレス「ですから、わたくしや舞園さんに訊ねていた件ですわ」
セレス「先程も朝日奈さんと大神さんに同じ事を訊ねようとしていたのでしょう?」
苗木「あぁ、うん」
セレス「その様子ですと、霧切さんや他の女子生徒にも訊いて回るつもりだったのでは?」
苗木「うん、そのつもりだったけど……」
セレス「どんな考えがあって、そんな事をしているのですか?」
苗木「それは、その……」
苗木(「好感度表示システムの件は言わない方がいいよね、やっぱり」)
苗木「ちょっと興味があったっていうか……」
セレス「自分がどれだけ女子に好かれているかが、ですか?」
苗木「えぇっと……」
セレス「まさか、学園内にハーレムを作ろうとでも?」
苗木「は、ハーレム!? そんなわけないよ! ただ……」
セレス「先程から歯切れが悪いですわね」
苗木(「うぅ……目が笑ってない……」)
セレス「何かを企んでいるのでしたら早めに白状した方が、傷が浅くて済みますわよ?」
苗木「企んでるだなんて、そんな事は……無いけど」
セレス「けど?」
江ノ島「おーっす! 二人とも、こんなとこで何騒いでんの?」
苗木「あ、江ノ島さん」
セレス「……あなたには関係ありませんわ」
江ノ島「なに? ひょっとして痴話喧嘩?」
苗木「別に、そういうのじゃないんだけど……」
江ノ島「んじゃ何さ? 人に言えないようなヤバい話?」
苗木「そういうのでもなくって……って、そうだ、江ノ島さんにもちょっと訊きたい事が──」
セレス「苗木君?」
苗木(「しまった……」)
セレス「わたくしの話を聞いていたのですか?」
苗木「ご、ごめん……」
江ノ島「まぁ、アンタらがケンカしようがイチャつこうが、あたしには関係無いけどさ」
江ノ島「実は退屈してたんだよねー! 見物しててもいい?」
セレス「江ノ島さんが考えているような話ではありません」
江ノ島「アハハ、やっぱお邪魔だった? まぁ程々にしときなよ? じゃーねー!」スタスタ
苗木(「行っちゃったか。結局、何も訊けなかったなぁ」)
セレス「苗木君」
苗木「は、はい!」
セレス「とにかく、今後は先程のような発言を控えた方がよろしいかと」
苗木「う、うん……分かったよ」
苗木(「よく分からないけど、セレスさんの機嫌を損ねたくはないし……」)
苗木(「そうだ! 好きかどうか訊くのが駄目なら、プレゼントを渡すっていうのはどうだろう」)
苗木(「それで、その反応と数値を比べてみればいいんだ!」)
苗木(「じゃあ早速、大神さん達に何かプレゼントしてみよう!」)
苗木「セレスさん、悪いけどボクは他に用事があるから、ちょっと行くね」
セレス「……」
セレス「……えぇ、ごきげんよう」
~食堂~
苗木「ごめん、お待たせ」
朝日奈「苗木、セレスちゃんの方はもういいの?」
苗木「うん」
大神「それで、我らに用件とは……?」
苗木「あぁ、そんなたいした事じゃないんだ。これを渡したくてさ」
大神「これは……! 武神のお守り……!!」
苗木「うん。朝日奈さんにはこれを」スッ
朝日奈「わぁ、浮き輪ドーナツじゃん! 貰っていいの!? ホントに!?」
苗木「二人にはいつも助けてもらってるしね。遠慮なく受け取ってよ」
・
・
・
苗木(「さて、好感度に変化は……」)ピッ
苗木(「大神さんは68で、朝日奈さんは70か。結構上がるんだなぁ」)
苗木(「よし、次は舞園さんの所に行こう!」)
~ランドリー~
苗木「舞園さん、ここにいたんだ」
舞園「はい、少し洗濯物があったので……」
舞園「ひょっとして私を探していたんですか?」
苗木「うん、ちょっと舞園さんに用があってさ。忙しいところ悪いんだけど──」
舞園「プレゼントですか?」
苗木「え!? 何で分かったの?」
舞園「エスパーですから」ニコニコ
苗木「……」
舞園「あ、もちろん冗談ですよ」
苗木「だ、だよね。びっくりしたよ」
舞園「それで用っていうのは? まさか、食堂での話の続き、とか……///」
苗木「あぁ、そっちじゃなくて、本当に渡したい物があるんだけど……」
舞園「苗木君が私にプレゼント……///」ドキドキ
苗木「これなんだけど」ウィーン ウィーン
舞園「……」
苗木「受け取ってくれるかな?」ウィーン ウィーン
舞園「……こ、これって……」
苗木「動くこけしだよ」ウィーン ウィーン
舞園「……これを私に?」
苗木「うん」ウィーン ウィーン
舞園「苗木君、ちょっとそのまま動かないで下さいね?」ニコニコ
パァン!
苗木「痛ッ! ……え?」
舞園「今回はこれで許してあげます」ニコッ
舞園「それじゃ」スタスタ
苗木「いたた……」
苗木「まさか平手打ちされるとは思わなかったな」
苗木「プレゼントが気に入らなかったみたいだ……」ピッ
苗木「あぁ、72まで下がってる」
苗木「好感度の高かった舞園さんでも、失敗すれば10以上も下がるのか」
苗木「次は腐川さんの所に行くつもりだったけど……」
苗木「や、やめておこうかな。……まだ死にたくないし」
苗木「よし、腐川さんはやめて霧切さんにしておこう!」
~廊下・霧切の部屋前~
ピンポーン…
苗木(「さて、どうなるかな……。ちょっと楽しみだ」)
ガチャッ
苗木「やぁ、ちょっといいかな?」
霧切「なに?」
苗木「入ってもいい?」
霧切「……えぇ、構わないわ」
~霧切の部屋~
霧切「それで、どんな用事かしら」
苗木「うん、突然なんだけど霧切さんにプレゼントしたい物があって」
霧切「私に? 何故?」
苗木「えっと……普段お世話になっているから、かな」
苗木「はい、これ」
霧切「これは……ルアックコーヒー?」
苗木「うん、霧切さんってこういうの好きかと思って」
霧切「そうね……ありがとう」
苗木(「どうやら喜んでくれたみたいだ。手ブラと迷ったけど、こっちで良かったのかも」)
霧切「それじゃ早速頂くわ。……あなたも来る?」
苗木「うん」
~食堂~
霧切「どう?」
苗木「うーん、確かに普段飲んでるインスタントとは違う、かな」
霧切「具体的には?」
苗木「えっ? えっと、そうだね、その……」
霧切「味や香りの違いが本当に分かっているの?」
苗木「……正直言うと、違うっていうのは分かるけど、どこがどう美味しいのかって訊かれるとちょっと……」
霧切「フフ……でしょうね」
苗木(「霧切さんが笑ってる……! 機嫌良さそうだ」)ピッ
苗木(「好感度は……83か。こっちもちゃんと上がってる」)
セレス「……」
苗木「あ、セレスさん。どうしたの?」
セレス「それは何ですの?」
苗木「これ? ルアックコーヒーだよ」
霧切「さっき苗木君に貰ったのよ。……あなたも飲む?」
セレス「……いえ、結構ですわ」
苗木「あぁ、セレスさんは紅茶の方がよかったよね? じゃあボクが淹れてくるから──」
セレス「せっかくですが、お断りしますわ」
苗木「え?」
セレス「わたくし、もう部屋に戻るところですの」
苗木「あ……そうなんだ」
セレス「……では、失礼します」スタスタ
苗木「行っちゃった」
苗木「でもセレスさん、何しに食堂へ来たんだろ? 厨房にも寄らずに行っちゃったけど……」
霧切「……苗木君、それは本気で言っているの?」
苗木「え、霧切さんは分かったの?」
霧切「推測だけなら」
苗木「うーん……」
苗木(「部屋に戻るだけなら食堂に寄る必要なんて無いと思うけど……」)
苗木(「それとも何か人に言えないような事をしようと?」)
苗木(「例えば厨房の包丁を持ち出して、とか……」)
苗木(「い、いや、セレスさんに限ってそれは無い!」)
苗木(「でも今日はどことなく様子がおかしかったし、万が一という事も……」)
霧切「苗木君?」
苗木「え? あ……うん、なに?」
霧切「本人に直接訊いてみたら?」
苗木「……うん、そうだね。ちょっと行ってくる」
霧切「……」
~廊下・セレスの部屋前~
ピンポーン…
苗木(「あれ、いないのかな?」)
ピンポーン…
苗木(「部屋に戻るって言ってたはずだけど、また出掛けたのかな……」)
ガチャッ
苗木「あ、セレスさん。よかった、部屋に居たんだ」
セレス「……何か御用ですか?」
苗木(「こうして見ると、いつもより表情が暗いような……」)
苗木「ごめん、ちょっとお邪魔してもいいかな?」
セレス「……」
苗木「その……大事な話があるんだけど」
セレス「……分かりました」
~セレスの部屋~
セレス「それで、話とは一体何でしょうか?」
苗木「……」
苗木(「さて、どう切り出せばいいんだろう……」)
セレス「話すつもりが無いのであれば──」
苗木「あ、ごめん。その……今日のセレスさんは何だか様子がおかしく見えたから……」
セレス「……」
苗木「ひょっとして、何か悩んでいる事でもあるのかなと思ってさ」
苗木「ボクじゃ頼りにならないかもしれないけど、何か出来る事があるかもしれないし」
苗木「よかったら話してもらえないかな……?」
セレス「……様子がおかしいのは、あなたの方ですわ」
苗木「ボク?」
セレス「……朝日奈さんと大神さんにプレゼントをしたそうですわね」
苗木「うん」
苗木(「何でその話が出てくるんだろう……」)
セレス「それは何故でしょうか」
苗木「え?」
セレス「いつもの苗木君であれば、女子に片っ端から贈り物をしたり、自分に好意があるかを訪ね歩いたりはしないはず」
苗木「えっと……」
セレス「是非とも理由をお聞かせ願いたいですわ」ギロッ
苗木(「正直に話していいものかな……」)
苗木(「けど、ここで教えなかったらセレスさんが完全にへそを曲げてしまいそうだ」)
苗木(「仲を険悪にしてまで隠す意味は無いかもしれないし……」)
セレス「……」
苗木「分かったよ……。でも他の人には言わないでほしいんだけど」
セレス「わたくし、口は堅い方ですわよ?」
苗木「約束だよ?」
セレス「えぇ、約束致します」ニコッ
苗木「じゃあ、これなんだけど……」スッ
セレス「電子生徒手帳……が、どうかしたのですか?」
苗木「うん。ほら、ここを見てて」ピッ
セレス「好感度……? こんなもの、わたくしの手帳には……」
苗木「ボクのだけ特別に、だってさ。モノクマの仕業だよ」
セレス「……」プルプル
苗木「セレスさん?」
セレス「なっ……なんですの、これはっ!?」
セレス「霧切さんが83! それは分かりますわ。見た通りですから」
苗木(「そうかなぁ……」)
セレス「舞園さんが思ったより低いのも気になりますが、そんな事よりも……」
セレス「わたくしが94!? これではまるで、わ、わたくしが苗木君の、事を……」
苗木「あはは、うん。ボクもそこが変だなと思ってさ、それで皆に色々聞いて調べようと思ったんだ」
セレス「……」
苗木「どうかしたの?」
セレス「……状況は分かりましたわ」
セレス「女子に気に入られようと奔走していたわけではない、と言いたいのですね?」
苗木「うん」
セレス「ですが、こんな数値は嘘に決まっています」
苗木「でも大神さんや朝日奈さんにプレゼントをした時は数値が上がったんだ」
苗木「霧切さんにコーヒーをあげた時も上がったし、三人とも実際に喜んでくれていたと思うよ?」
セレス「他には?」
苗木「えっと、舞園さんの時は数値が下がったんだけど舞園さん自身も怒ってたから、やっぱり合ってると思う」
セレス「一応訊いておきますが、何を渡したのです?」
苗木「動くこけしなんだけど、受け取ってもらえなかったよ」
セレス「……それはわたくしでも引っ叩きますわよ」
セレス「とにかく、だからといってわたくしの数値まで正しいという証明にはなりませんわね」
苗木「それは……そうなんだけど」
セレス「こんなの嘘に決まっていますわ。わたくしが言うのですから間違いありません」
苗木(「いや、それはどうだろう……」)
苗木「えっと、じゃあ実験してみてもいいかな?」
セレス「実験?」
苗木「うん。セレスさんにも何かプレゼントをしようと思うんだ」
苗木「だから、それで反応を確認させてよ」
セレス「わたくしは物に釣られるような人間ではありませんわよ?」
セレス「まして事前に『実験』と知らされた上で、喜ぶとは思えません」
苗木「それならそれでいいでしょ? 実験なんだから。反応が無かったとしても特に問題は無いはず……だよね?」
セレス「それは……そうかもしれませんが……」
苗木「じゃあ、これを」スッ
セレス「……これをわたくしに?」
苗木「うん」
セレス「大神さんにはお守りで、朝日奈さんにはドーナツ……」
セレス「舞園さんには、その……アレを渡して、霧切さんにはコーヒーでしたわね」
苗木「そうだよ」
セレス「それでわたくしには指輪とダイヤモンド……」
苗木「気に入らなかった?」
セレス「……苗木君がどうしても受け取ってほしいと言うのであれば頂いておきますわ」
苗木「うん。受け取って貰えるとボクも嬉しいよ」
セレス「ですが、わたくしは何とも思っていませんわよ?」
苗木「……」ピッ
苗木「……99に上がったよ」
セレス「くっ!」
苗木「ところでボクからも訊きたい事があるんだ」
セレス「な、なんでしょう……」
苗木「さっきはどうして食堂に来たの? 厨房にも寄らずに引き返しちゃったよね?」
苗木「ボクも正直に全部話したんだから教えてほしいんだけど」
セレス「あれは……」
苗木「あれは?」
セレス「……」
苗木「……」
セレス「……あなたを探していたのです」
苗木「ボクを?」
セレス「えぇ、お茶を飲もうかと思いまして……」
苗木「じゃあ何でそのまま帰ったの? 紅茶を淹れるかどうか訊いたのに」
セレス「……」イラッ
苗木「ひょっとして、霧切さんとコーヒー飲んでたから?」
セレス「……えぇ、その通りですわ」
苗木(「セレスさん、霧切さんの事嫌いなのかな……」)
苗木(「それともボクらがコーヒーを飲んでいたからかな?」)
苗木(「あ! コーヒーの香りがする所で、一緒に紅茶を飲むのが嫌だったのかも」)
苗木(「そうだ、それに違いない! セレスさんは紅茶の香りを楽しみたかったんだ!」)
苗木「分かった。そういう事なら食堂に行こうよ」
セレス「二人で、ですか?」
苗木「うん、邪魔の入らない所で。あ、でもそれなら部屋に運んだ方がいいのかな?」
セレス「……」
苗木「どうかな?」
セレス「……では今日は特別に、わたくしがロイヤルミルクティーの淹れ方を教えて差し上げますわ」
苗木「えっ!? セレスさんが淹れてくれるなんて、ひょっとして初めてなんじゃ……」
セレス「あら、淹れるのは苗木君ですわよ」
苗木「あぁ、ホントに『教える』だけなんだ……」
セレス「わたくし、お洋服を汚したくはありませんもの」ニコッ
セレス「うふふ、では参りましょうか」
苗木(「とりあえず機嫌は直ったのかな? ニコニコしてるし」)
苗木(「でもセレスさんて大抵の場合、笑顔だから分かり難いや」)
苗木「……セレスさん、今楽しい?」
セレス「別にこれといって。いつも通りですわ」
苗木「……」ピッ
苗木「100になってるけど……」
セレス「……いちいち確認しないで下さいます? 下品ですわよ」
苗木「ご、ごめん……」
ガチャッ バタン…
~fin~
終わりです
お疲れ様でした
このSSまとめへのコメント
セレスさん狙いですか,,,。
いいですね。
本当は100ごえしてるかも
これはいいssだわ
最高のエロスを感じた
大好きなss