ほむら「帰ってきた友だち」(210)
ほむら「……!」
杏子「マミ、今だ!」
マミ「ええ、任せて!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
魔獣「ウボァー」
マミ「ふぅ…」
杏子「お疲れさん」
マミ「うん、佐倉さんも暁美さんもお疲れさま」
ほむら「……」
杏子「ほむら?」
ほむら「……」ボーッ
杏子「ほーむーら!」
ほむら「……えっ」
マミ「お疲れさま、今日も暁美さんに助けられたわ」
ほむら「……そう」
杏子「それよりもどうしたのさ?ボーッと突っ立ってさ」
ほむら「…考え事を…少し……」
マミ「考え事…ねぇ。何かあったら直ぐに頼ってくれてもいいのよ?」
杏子「あたしもね」
ほむら「…ありがとう。でも、大丈夫よ」
マミ「本当にそうかしら?」
ほむら「えっ?」
マミ「暁美さん、本当は大丈夫じゃない…そうでしょ?」
ほむら「……」
マミ「さっきの戦いだって、心ここに非ず…そんな感じだったわ」
ほむら「…大丈夫よ」
杏子「あれでしょ?まどかってやつのこと考えてたろ?」
ほむら「……」
杏子「隠さなくても見てりゃわかるって」
ほむら「……まどかって誰?」
マミ「!」
杏子「えっ?」
ほむら「私はまどかなんて知らないわ」
マミ「暁美さん…?」
杏子「な、何言ってんのさ?大切な友だちじゃなかったのかよ?」
杏子「そのリボンだって…!」
ほむら「……」
杏子「ほむら!」
ほむら「…知らないものは知らないわ」
杏子「お、おい…」
マミ「……」
ほむら「それよりも、早く帰りましょう」
ほむら「今日は疲れたわ」
杏子「お前、何言って…」
ほむら「……」ファサッ
マミ「…佐倉さん」
杏子「マミも何か言ってやりなよ、ほむらが…」
マミ「今は止しましょう?」
杏子「え?何でさ?」
マミ「暁美さんが疲れているのは本当みたいだし…」
マミ「とりあえず今は帰りましょうよ」
ほむら「ええ」
杏子「…わ、わかったよ」
ほむら「それじゃあ、私はこっちだから…」
マミ「ええ、また明日ね」
杏子「無理すんじゃねーぞ?」
ほむら「…大丈夫。大丈夫よ」
杏子「ほむら…」
マミ「…暁美さん、今度のお休みはまた3人で遊びましょうか」
マミ「そうね…たまには遊園地なんてどうかしら?」
マミ「佐倉さんも行きたいでしょ?」
杏子「え…あ、ああ!行こうぜ、遊園地!」
マミ「ね?だから暁美さんも一緒に行きましょう?」
ほむら「……そうね、わかったわ」
マミ「うん!楽しみにしてるわ」
杏子「ちゃんと予定空けときなよ?」
ほむら「ええ、それじゃあ…」スタスタ
マミ「さようなら」
杏子「またなー」
ほむら「……」タタッ
マミ「……暁美さん」
杏子「どうしたんだろうな…ありゃ絶対無理してるぞ」
マミ「…ええ、あまり思い詰めなければいいんだけど……」
杏子「なぁマミ」
マミ「なにかしら?」
杏子「…まどかってやつさ…ほんとにいたんだよな」
マミ「ええ、たぶん…だけどね。私は知らないけれど…」
杏子「あたしだって知らないさ、でも…ほむらは知ってたんだろ?」
マミ「…うん、たしかにまどかさんは暁美さんの中に存在していたわ」
マミ「…でも、今は……」
杏子「ほむらが知らないっての、本当にそうだと思う?」
マミ「…ううん、本当に忘れたわけじゃないと思うわ」
杏子「だよなぁ?あんだけリボンを大切にしてるんだし」
マミ「そうよね。貰った…って、凄く大切にしているわ」
マミ「だから忘れるわけなんてないはずよ」
杏子「…そのまどかってやつはさ…さやかみたいに消えちまったのかな?」
マミ「…たぶんね、詳しく話してくれないからわからないけど…」
杏子「…さやか……」
マミ「美樹さんのことは絶対に忘れたりなんかしないわ」
杏子「…うん」
マミ「美樹さんは私たちの大切な仲間…お友だちだもの」
マミ「それは今も変わらないわ」
杏子「そう…だよな!」
マミ「ええ、忘れるもんですか!」
杏子「ああ…!」
マミ「たから暁美さんだって…」
杏子「だよな…」
マミ「……とりあえず私たちも帰りましょうか」
杏子「いや、あたしはちょっと散歩でもしてくるよ」
マミ「あらそう?」
杏子「うん、ちょっとブラついてから帰るな」
マミ「わかったわ、先に帰っておくわね」
杏子「ああ、んじゃまた後で」スタスタ
マミ「うん、またね」
杏子「……さやか、か」
杏子「結局、あいつとは遊ぶこともなかったな」
杏子「友だちって何なんだろうな…」
一方
「美樹さん、またねー!」
さやか「ばいばーい!」
さやか「ふふっ、ここでの生活もだいぶ慣れてきたわぁ」
さやか「結局どうなってもあたしはあたしだもんね!」
さやか「…まぁ…マミさんや杏子達ともっと一緒にいたかったけどさ」
さやか「…あたしは後悔なんかしてないよ」
さやか「だって、まどかのお陰で頑張れてるからね!」
さやか「まどか…いっつも一人で頑張ってるから何かしてあげたいんだけど」
さやか「今のあたしじゃ何にもしてあげられないのが悔しい…」
さやか「…あたしだって、出来るなら今すぐ杏子達に会いたいよ」
さやか「でも、まどかはあたし以上にそう思ってるんだよね…」
さやか「杏子にマミさんに…それに仁美達や家族に」
さやか「そして、ほむらに」
ほむら「………」タタッ
ほむら「……」スタスタ
ほむら「…」トボトボ
ほむら「まどか……」
ほむら「無理よ…やっぱり忘れることなんでできない…」
ほむら「会いたい…まどかに会いたい…」
ほむら「どんな形でもいい…ちょっとだけでもいいから会いたい…」
ほむら「まどかぁ…」
ホムラチャ!
ほむら「……えっ?」
ホムラチャ!ホムラチャ!
ほむら「まどか…?」
ほむら「まどか?まどかなの?」
ほむら「まどか…!」キョロキョロ
ほむら「……」
ほむら「……幻聴ね」
ほむら「…やっぱり…もうまどかと会うなんて無理なのよ…」
ほむら「なら…いっそのことまどかのことなんて…」
ほむら「ことなんてぇ…」
ほむら「っ…」タタッ
ホムラチャ!ホムラチャ!
杏子「はむっ」
杏子「うん、やっぱ鯛焼きはあんこに限るよな!」
杏子「カスタードなんて認めねーぞ、さやか」
杏子「……ははっ、どうでもいい喧嘩したなぁ」
杏子「…川を見てると何故かさやか、あんたを思い出すんだよね」
杏子「なんでだろうなぁ…」
ホムラチャ!ホムラチャ!
杏子「…ん?」
ウェヒ…
杏子「ん?んっ?なんだあれ?」
杏子「何か変なのが泳いでる?」
杏子「ほむらちゃ?…なんだ?鳴き声か?」
杏子「って言うかマジでなんだありゃ?あんな動物見たことねーぞ?」
ティヒ…!
杏子「まさか、キュゥべえの仲間か?」
スイー
杏子「あっ、こっちに来た…」
杏子「あざらし?か…いや、あざらしにしちゃ可愛すぎる?」
杏子「なんつーか、デフォルメってやつ?」
杏子「いや、それよりもなんだこいつ?」
アンコチャ!アンコチャ!
杏子「?」
ごまどか「アンコチャ!アンコチャ!」
杏子「あんこちゃ?かんだそりゃ?」
ごまどか「ウェヒー!」パシャパシャ
杏子「ん?喜んでんのかな?」
ごまどか「アンコチャー!」
杏子「あんこ…?もしかしてあたしのことか?」
杏子「いや、さやかじゃあるまいし…」
ごまどか「アンコチャ!アンコチャー!」
杏子「…あっ?わかった」
ごまどか「!」
ごまどか「ティヒー!」パシャパシャ
杏子「くうかい?」
ほむホーム
ほむら「……」ボーッ
ほむら「まどか……」
キュゥべえ「ほむら」
ほむら「……キュゥべえ」
キュゥべえ「入っていいかい?」
ほむら「……」
キュゥべえ「また何も食べてないじゃないか」
キュゥべえ「君たち人類は何か食べないと体を壊してしまうんだろう?」
キュゥべえ「それは魔法少女でも同じことだよ、ほむら」
ほむら「…大丈夫よ」
キュゥべえ「本当にそうかい?」
ほむら「…本当よ」
キュゥべえ「無理はよくないよ、ほむら」
キュゥべえ「感情のない僕にだってわかるよ、寂しいんだろう?」
ほむら「……」
キュゥべえ「君の言うまどかと言う魔法少女のことは僕も知らない」
キュゥべえ「でも、君だけは知っているんだよね?」
ほむら「……まどかなんて知らない」
キュゥべえ「やれやれ、わけがわからないよ」
キュゥべえ「本当は知っていることくらい見れば分かるよ」
ほむら「……」
キュゥべえ「僕も、マミもね」
ほむら「……知らないってば」
キュゥべえ「はいはい、わかったよ」
キュゥべえ「それよりもこれを持ってきたんだ」
ほむら「……ごはん?」
キュゥべえ「うん、マミに頼まれてね」
キュゥべえ「持ってくるの地味に大変だったんだよ?」
ほむら「…どうやって持ってきたのよ?」
キュゥべえ「それは秘密だよ」
ほむら「……そう」
キュゥべえ「あれ?気にならないのかい?」
ほむら「秘密なんでしょ…」
キュゥべえ「そこは聞くとこところだと思うな」
ほむら「……」
キュゥべえ「全く、ほむらはもう少し感情豊かに成るべきだよ」
ほむら「…あなたにだけは言われたくないわ」
キュゥべえ「それもそうだね」
キュゥべえ「そんなことより、早く食べようよ」
キュゥべえ「マミの手料理は美味しいよ」
ほむら「…あなたには味覚もないでしょ」
キュゥべえ「味覚がなくてもわかるよ。ほら、食べようよ」
ほむら「…いらない」
キュゥべえ「なら僕が食べちゃうよ?」
ほむら「…いいわよ」
キュゥべえ「僕一人じゃ食べきれないよ、一緒に食べよう」
ほむら「……」
マミホーム
マミ「キュゥべえに任せたのはいいけれど」
マミ「ちゃんと受け取ってくれたかしら?」
マミ「暁美さん……」
ピンポーン
マミ「あら、佐倉さんかしら?」
ガチャ
杏子「よっ」
マミ「佐倉さん、おかえりなさい」
杏子「今日も、邪魔するよ。マミ」
マミ「…あら?」
杏子「こいつもね」
ごまどか「マミサー!」ジタバタ
マミ「きゃっ?可愛い!」
ごまどか「マミサー!」
杏子「やっぱマミのことわかるんだな」
マミ「あなた、だあれ?キュゥべえのお友だち?」
ごまどか「ウェヒー」パタパタ
マミ「あら?違うのね」
ごまどか「ティヒティヒ」
マミ「そっかぁ」
杏子「すげぇなマミ。こいつの言葉がわかんの?」
マミ「ううん」
ごまどか「ウェヒ…?」
杏子「えっ?じゃあなんで…?」
マミ「ふふ、何となく。よ?」
杏子「何となく…かよ」
マミ「それよりどうしたの?この子、普通の動物じゃないでしょ?」
ごまどか「ティヒィ」
杏子「それがあたしも分からないんだよなぁ」
杏子「たださ、鯛焼き食わせたらなつかれちまって」
ごまどか「アンコチャ!」パタパタ
杏子「それに、魔女や使い魔でもなさそうだし」
ごまどか「マミサ!ホムラチャ…?」
杏子「マミやほむらのこと知ってるっぽいから連れてきたんだ」
マミ「まみさ。ってやっぱり私のことかしら?」
杏子「だな。たぶん、ほむらちゃはほむらのことだよ」
ごまどか「マミサー!」
マミ「うふふ。よくわかんないけど、可愛い子ね」
杏子「どうする?キュゥべえなら知ってるかもしれないし聞いてみるか?」
マミ「そうね、キュゥべえなら何か知ってるかもしれないわ」
杏子「よし、キュゥべえは?まだ来てない?」
マミ「今は暁美さんの家にいるはずよ」
ほむホーム
キュゥべえ「きゅっぷい」
ほむら「……」
キュゥべえ「ほら、早くしないとなくなっちゃうよ」
ほむら「…あなたが食べればいいじゃない」
キュゥべえ「はぁ…全く、これじゃ埒が明かないよ」
ほむら「……」
キュゥべえ「マミの家に行こうよ」
ほむら「…いい、ここにいる」
キュゥべえ「ほむら…」
ピンポーン
ほむら「……!」
キュゥべえ「おや?誰かが来たみたいだね」
ほむら「……」
ピンポーン
キュゥべえ「居留守かい?感心できないよ」
ほむら「…別にいいじゃない」
キュゥべえ「やれやれ」
ティヒー!
ほむら「…!?」
キュゥべえ「ん?なんだろう」
ほむら「…また、幻聴かしら」
キュゥべえ「ううん、僕にも聞こえたよ」
ほむら「…!」
ホムラチャ!ホムラチャ!
ごまどか「ホムラチャー!ホムラチャー!」ジタバタ
杏子「わわ?そんなに暴れるなって!」
マミ「やっぱり暁美さんのことを知ってるみたいね」
杏子「うん…ほんとに何もんなんだ?こいつ」
ごまどか「ティヒー!ホムラチャー!」バタバタ
ガチャ
マミ「!」
ほむら「まどか…?」
杏子「ほむら!」
キュゥべえ「やっぱりマミと杏子だったね」
ごまどか「ホムラチャ…!」
ほむら「!?」
キュゥべえ「…?」
マミ「キュゥべえ、この子のことわかる?」
杏子「あんたの仲間とか?」
キュゥべえ「…いや、僕の仲間じゃないよ」
キュゥべえ「僕たちはみんな同じ外見だからね」
マミ「そうなの?」
杏子「じゃあ何なのさ?」
キュゥべえ「分からない…僕たちは長年地球にいるけれど見たことも聞いたこともないよ」
ほむら「まどか…」
ごまどか「ホムラチャ…」
マミ「えっ?」
杏子「まどか?」
ほむら「まどかぁ!」
ごまどか「ホムラチャー!」ピョン
杏子「うわっ?」
ほむら「まどか…!」ギュッ
ごまどか「ティヒー!」
マミ「暁美さんに抱きついた…わね」
杏子「それよりもだ!まさかこいつがまどか…?」
マミ「この子がまどかさん?」
キュゥべえ「いや、まどかは魔法少女のはずだよ」
杏子「ほむら、こいつがまどかなのか?」
ほむら「まどか…!」ギュウ
ごまどか「ウェヒィ」
杏子「おーい!ほむらー?」
ほむら「やっと会えた…」
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「もう無理だと思ってたのよ?」
ごまどか「ティヒ…」
ほむら「ううん、いいの…いいのよ、まどか」
ごまどか「ホムラチャ…!」
杏子「おい、聞いてんのか?」
マミ「…暁美さん」クスッ
キュゥべえ「わけがわからないよ」
マミ「ねえ、キュゥべえ。この子が何を話しているのかわかる?」
キュゥべえ「ううん、さっぱりだ」
ごまどか「マミサ!アンコチャ!キュウベー!」
キュゥべえ「ただ、わかるのは今僕たちの名前を呼んだと言うことくらいかな」
杏子「あたしは呼ばれてないぞ?」
マミ「私たちに何かを伝えようとしているのかしら?」
ごまどか「ティヒッティヒッ」ジタバタ
マミ「うん…うん…なるほどね」
キュゥべえ「マミはわかるのかい?」
マミ「たぶん、暁美さんと一緒にいたいって言っているわ」
ごまどか「マミサ…!」
杏子「よくわかるな…でも何となくなんだろ?」
マミ「うん、でも間違いないと思うわ」
マミ「この子、暁美さんに凄くなついているし」
ごまどか「ホムラチャー!」
ほむら「まどか…!」
杏子「まぁ…たしかにそうたね。最初もほむらちゃって言ってたし」
マミ「ここはこの子に暁美さんを任せてみない?」
杏子「ほむらと2人っきり…?にすんの?」
マミ「ええ、私たちがダメでもこの子ならひょっとしたら…!」
キュゥべえ「でも大丈夫なのかな?何処の何かもわからない」
キュゥべえ「不思議な生き物と今のほむらを2人っきりにするなんて」
キュゥべえ「ちょっと危険じゃないのかな?」
杏子「おまえが言うな」
キュゥべえ「えっ?なんで?」
杏子「いや、だってさ…」
ほむら「まどか…」ギュウ
ごまどか「ホムラチャア…」パタパタ
マミ「うふふ、2人を見れば大丈夫だってわかるはずよ」
杏子「…ふっ、ああ!それもそうだな」
杏子「こいつが何なのかは知らないけどさ、ほむらが嬉しそうなのは間違いないしね」
マミ「うん、だからこの子に任せましょう」
杏子「わかった」
キュゥべえ「心配だなぁ…」
マミ「魔獣の仲間でもないのでしょ?なら大丈夫よ」
キュゥべえ「うん、魔獣でないのは確かだよ」
杏子「まっ、何かあったら助けに行くさ」
マミ「ええ、だから大丈夫よ?キュゥべえ」
キュゥべえ「…わかったよ」
ごまどか「マミサ!アンコチャ!キュウベー!」パタパタ
マミ「ふふっ。まどかちゃん、暁美さんをよろしくね?」
ごまどか「ティヒッ!」
杏子「んじゃ、また来るよ」
マミ「暁美さん、またね?」
ほむら「まどか…」ギュウ
マミ「…聞こえてないか」
キュゥべえ「やっぱり心配だよ、僕は残って…」
マミ「大丈夫だって、キュゥべえは心配性ね」クスッ
キュゥべえ「だって未知の生き物なんだよ?」
杏子「だならおまえも似たようなもんじゃねぇか」
キュゥべえ「えっ?」
杏子「…とにかく、あたしらは帰るぞ」
マミ「さよなら、暁美さん、まどかちゃん」
杏子「またな」
キュゥべえ「…仕方ないなぁ」
ごまどか「マミサ!アンコチャ!キュウベー!マタネ!」バイバイ
ほむら「まどか…またあなたと会えるなんて夢のようだわ」
ごまどか「ホムラチャ…!」
ほむら「さあ、まどか。久しぶりに一緒にごはんを食べましょう?」
ほむら「マミが作ってくれたのよ」
ごまどか「ティヒー!」パタパタ
ほむら「……あら?」
ほむら「……」ゴシゴシ
ごまどか「ウェヒ?」
ほむら「えっ?」
ほむら「……よく見たらまどかじゃない?」
ごまどか「ホムラチャ?」
ほむら「な…?えっ?まどかかと思ったのに…」
ほむら「あ、あざらし…?」
ごまどか「ウェヒ…」
ほむら「………」
ごまどか「ホムラチャア…」
ほむら「……ふふっ」ギュッ
ごまどか「ティヒ?」
ほむら「ううん、やっぱりあなたはまどかよ」
ほむら「私にはわかるわ…会いに来てくれたのね?」
ほむら「まどか…!」
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「まどか、お腹空いてない?」
ごまどか「ティヒッ!」
ほむら「ふふっ。そう、わかったわ」
ほむら「それじゃあ一緒に食べるわよ」
ごまどか「ウェヒィ」
ほむら「さて、マミの…あら?」
ほむら「……キュゥべえのバカ、全部食べてるじゃない」
ごまどか「キュウベー」
ほむら「…よし、最近は料理もしてなかったけれど」
ほむら「まどか、あなたがいるからには頑張るわ!」
ごまどか「ホムラチャ…!」
ほむら「何が食べたい?何だって作ってみせるわ」
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「そう、オムライスね?わかったわ」
ごまどか「ウェヒィ!」
ほむら「あら?あなたも作るの?」
ごまどか「ティヒッ」
ほむら「ふふっ。なら一緒に作るわよ」
ごまどか「ホムラチャー!」
―――
ほむら「ふぅ、これで完成ね」
ごまどか「ウェヒ」ベタベタ
ほむら「卵がついてるわよ?拭いてあげるわね」
ごまどか「ティヒィ」
ほむら「さっ、食べましょうか」
ごまどか「ティヒ!」
ほむら「いただきます」
ごまどか「イタダキマ!」
ほむら「はい、まどか」
ごまどか「ウェヒ?」
ほむら「食べられないでしょ?私が食べさせてあげるわ」
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「はい、あーん」
ごまどか「アーン」
ごまどか「モグモグ」
ほむら「ふふっ」
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「えっ?私にも食べさせてくれるの?」
ごまどか「ティヒッ!」
ほむら「ふふ、ありがとう。ならお願いするわ」
ごまどか「ウェヒー!」
―――
ほむら「ごちそうさまでした」ベタベタ
ごまどか「ゴチソウサマ!」ベタベタ
ほむら「ちょっと汚れちゃったわね。お風呂に入る?」
ごまどか「ウェヒィ」
ほむら「ふふっ、今準備してくるわね」
チャポン
ごまどか「ウェヒー!」パシャパシャ
ほむら「どう?熱すぎないかしら?」
ごまどか「ティヒッ」
ほむら「そう、ちょうど良いのね?」
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「えっ?一緒に入ろうって…でも、良いのかしら?」
ごまどか「ティヒー!」
ほむら「…わ、わかったわ…!」
ほむら「嫌だったら直ぐに言ってね?」
ごまどか「ウェヒィ」
ほむら「し、失礼するわ…狭くない?」
まどか「大丈夫だよ、ほむらちゃん」
マミホーム
杏子「結局、あいつがまどかなのかなぁ?」
マミ「うん、暁美さんが「まどか」って言っていたもの」
杏子「人間じゃなかったんだな…まどかって」
マミ「不思議な生き物だけど、凄く可愛かったわよね」
キュゥべえ「……」
マミ「キュゥべえ、あたなもそう思うでしょ?」
キュゥべえ「やっぱり心配だよ」
杏子「ん?」
キュゥべえ「何者かもわからないあの生き物にほむらを任せるだなんてできないよ」
キュゥべえ「やっぱりほむらの家に戻るね」
ほむホーム
ほむら「まどか……?」
ごまどか「ウェヒ?」
ほむら「…き、気のせい…?」
キュゥべえ「ほむら、入っていいかい?」
ごまどか「キュウベー!」
ほむら「…!」ハッ
ほむら「き、キュゥべえ?今はダメよ!」
キュゥべえ「えっ?」
ほむら「ばかっ!」パコーン
キュゥべえ「わけがわからないよー!」
ごまどか「ウェヒィ」
キュゥべえ「別に僕はほむらの入浴になんて興味ないよ」
ほむら「それでも嫌なものは嫌よ!」
キュゥべえ「でも良かったよ、ほむらが漸く感情をだすようになったからね」
ほむら「あ……」
ごまどか「ティヒー!」
キュゥべえ「これもこの生き物のおかげなのかな」
ごまどか「キュウベ」
キュゥべえ「君は一体誰なんだい?僕のことを君は知っているようだけど」
キュゥべえ「僕は君を知らないんだ」
キュゥべえ「……」ジィーッ
ごまどか「ウェヒィ…」
キュゥべえ「…」
ごまどか「キュウベー…」
ほむら「キュゥべえ、この子はまどかよ」
キュゥべえ「君が言っていたまどかは魔法少女だろう?」
ほむら「ええ」
キュゥべえ「でもこの生き物はどう見ても魔法少女じゃないよ」
ごまどか「ウェヒ…」
ほむら「いえ、それが…」
キュゥべえ「ん?」
ほむら「実は…」
キュゥべえ「一瞬人間に見えただって?」
ほむら「ええ…」
ごまどか「ホムラチャ…?」
キュゥべえ「…それは君が疲れているからだよ」
キュゥべえ「どう見ても人間には見えないよ?」
ごまどか「ウェヒ…」
ほむら「でも…」
キュゥべえ「今日はもう眠った方がいいよ、ほむら」
ほむら「……まどか」
ごまどか「ホムラチャ?」
ほむら「……そうね、そうするわ」
ほむら「まどか、一緒に眠る?」
ごまどか「ティヒッ!」モゾモゾ
ほむら「ふふっ、ありがとう」
キュゥべえ「よく通じるね、感心するよ」
ほむら「このくらい簡単よ」
キュゥべえ「わけがわからないよ」モゾモゾ
ほむら「…キュゥべえ」
キュゥべえ「ん?」
ほむら「私はまどかに眠ると聞いたのだけど」
キュゥべえ「そうだね」
ほむら「どうしてあなたまで一緒に寝ようとするのかしら?」
ごまどか「ティヒィ」
キュゥべえ「ダメかい?」
ほむら「ええ」
キュゥべえ「…厳しいね」
ほむら「異星人と一緒に寝ようとは思わないもの」
キュゥべえ「ならあざらし?はいいんだ」
ほむら「当たり前よ、まどかだもの」
キュゥべえ「やれやれ、仕方ないな」
ほむら「さっ、まどか。眠りましょうか」
ごまどか「ホムラチャ!オヤスミナサ!」
ほむら「お休みなさい」
ほむら「すぅ…すぅ…」
ごまどか「ホムラチャ…」
キュゥべえ「…ねえ、君」
ごまどか「キュウベ?」
キュゥべえ「本当に君は人間なのかい?」
ごまどか「……」
キュゥべえ「君が何を企んでるのかは知らないけど、ほむらをこれ以上悲しませたくないんだ」
ごまどか「ウェヒ…?」
キュゥべえ「不思議だよね、何故だかは自分でもわからないけど」
キュゥべえ「僕はほむらを助けたいんだ」
ごまどか「キュウベー…」
キュゥべえ「君がどうしてほむらの側から離れようとしないのかは知らないけれど」
キュゥべえ「ほむらを傷付けさせはしないよ」
ごまどか「キュウベー!」
キュゥべえ「ん?」
ごまどか「ウェヒヒ」ニコッ
キュゥべえ「?」
ごまどか「キュウベ、カワッタ!」
キュゥべえ「変わった?僕が…?」
ごまどか「ティヒッ」
キュゥべえ「…その中途半端に話せるのは何なのかな?」
ごまどか「ウェヒィ…」
キュゥべえ「話したいのにうまく言葉にできないのかい?」
ごまどか「ウェヒィ」
キュゥべえ「なるほどね、マミは表情で理解していたのかな?」
キュゥべえ「僕にも何となくだけどわかるきがするよ」
ごまどか「キュウベー!」
キュゥべえ「…たしかに、君が悪いことを企んでるようには見えないけど」
ほむら「ん…まどか…」
ほむら「いかないで…」
ごまどか「ホムラチャア…」
キュゥべえ「ほむらにとって、まどかは凄く大切な存在なんだろうね」
キュゥべえ「最初から寂しそうにはしていたけど我慢の限界が来たのかな」
キュゥべえ「最近のほむらはすっかり無気力だったんだ」
ごまどか「ホムラチャ…」
キュゥべえ「でも、君を見た途端、目の色を変えて喜んだんだ」
キュゥべえ「それは君が本当にまどかだからなのかい?」
ごまどか「ウェヒ…」
キュゥべえ「そうかい、わかったよ」
ほむら「すぅ…すぅ…」
キュゥべえ「認めたくはなかったけど、認めざるを得ないのかな」
キュゥべえ「君はほむらを助けるためにやってきたんだね」
キュゥべえ「まどか」
ごまどか「キュウベ…!」
ほむら「まどか…」ギュッ
ごまどか「ホムラチャ!」
ほむら「まどか…すぅ…すぅ…」
キュゥべえ「ほむらを頼むよ、まどか」
ごまどか「ティヒッ!」
その後
マミ「暁美さん、来てくれるかしら?」
杏子「あのキュゥべえが大丈夫って言ってたし、大丈夫さ」
マミ「そうよね、キュゥべえが…あと、まどかちゃんもどうなったのか気になるわ」
杏子「そうだな…あっ」
キュゥべえ「やあ、マミ、杏子」
マミ「キュゥべえ!」
杏子「あれ?ほむらは一緒じゃないの?」
キュゥべえ「ほむらなら来るよ」
キュゥべえ「彼女と一緒にね」
ほむら「マミ、杏子」
マミ「暁美さん…来てくれたのね?ありがとう」
ほむら「もちろんよ、約束したじゃない」
マミ「うん」
杏子「あれ?まどか?はどうしたんだ?」
杏子「てっきり連れてくると思ったんだけど」
ほむら「ふふっ、まどかならここにいるわ」スッ
マミ「カバン?」
ごまどか「マミサ!アンコチャ!」ピョコッ
マミ「あら、まどかちゃん」
杏子「やっぱり、あんこちゃってあたしのこと…?」
杏子「あん時鯛焼き食わせたからかなぁ…?」
杏子「…それとも、さやかが?…いや、まさかな」
マミ「うん、これで全員集合ね?」
ほむら「ええ、それじゃあ行きましょうか」
ほむら「遊園地にね、まどか」
ごまどか「ウェヒィ!」
キュゥべえ「ほむら、肩に乗ってもいいかい?」
ほむら「私にはまどかがいるから大丈夫よ」
キュゥべえ「………」
キュゥべえ「ほむらは僕に厳しい…」
マミ「おいで、キュゥべえ」
キュゥべえ「マミ」ピョンッ
マミ「ふふっ、私の肩ならいくらでも貸すわよ?」
キュゥべえ「ありがとう、マミ」
ごまどか「ティヒヒ」
ほむら「ふふっ」
キュゥべえ「これが悔しいと言う感情なのかな」
マミ「嫉妬かもね」クスッ
杏子「なんであたしだけ名前で呼ばれないんだろ?」
ジェットコースター
杏子「一度乗ってみたかったんだよな、これ!」
マミ「べ、別のアトラクションにしましょう?」
杏子「えー?なんでさ?楽しみにしてたんだぜ?」
マミ「ほ…ほら!キュゥべえとまどかちゃんが乗れないでしょ?」
キュゥべえ「僕は心配いらないよ、なぜなら僕はインキュベーターだからね」
ほむら「まどかは私が守る」
ごまどか「ホムラチャ!」
杏子「ほら、大丈夫そうじゃん?乗ろうぜ」
マミ「う…」
杏子「それとも何?ヒビってるわけ?」
マミ「そ、そんなことないわ!余裕よ!」
杏子「よし、なら決まりだね!」
マミ「むむ…」
ほむら「まどか、頑張ろうね」
ごまどか「ティヒッ!」
キュゥべえ「僕はマミに守って貰おうかな」
マミ「もう…仕方ないわね」
杏子「楽しみだな」
―――
ゴォォォォッ
杏子「うわぁぁぁぁぁぁぁ?」
マミ「きゃぁぁぁぁぁぁ!」ギュウゥ
キュゥべえ「ま、マミ!苦しい!苦しいよ!」バンバン
ほむら「楽しいわね、まどか」
ごまどか「ティヒッ」
杏子「さ、さやかぁぁぁぁぁぁぁ!」
マミ「そ、そうだわ!変身すれば!」パッ
キュゥべえ「き、急に離さないでよ!」
キュゥべえ「うわぁぁぁぁぁぁぁ…」ピューン
ほむら「まどか、怖くない?」
ごまどか「ウェヒィ」
お化け屋敷
杏子「ジェットコースターじゃ不覚をとっちまったけど」
マミ「ここなら大丈夫ね」
キュゥべえ「助けに来てくれてもいいじゃないか」
マミ「佐倉さん、先に悲鳴をあげた方が負けよ?」
杏子「ああ、負けてたまるか」
キュゥべえ「…さっき味方しなかったこと恨んでいるのかい?」
マミ「ふふん」
ほむら「まどか、行くわよ」
ごまどか「ティヒッ」
数分後
マミ「ごめんなさい」
杏子「悪かったよ」
ほむら「はぁ……」
ごまどか「ホムラチャ…」
キュゥべえ「わけがわからないよ、作り物のお化け相手に3人とも変身するだなんて」
ほむら「私は時を止めて逃げるためよ、2人が取り乱すから…」
マミ「わ、私は…その…」
杏子「い、いつもの癖でさ…」
ごまどか「ウェヒヒ」
ほむら「2人とも思いっきり悲鳴をあげてたじゃない」
ほむら「…特に杏子…意外だったわ」
杏子「う、うるせー!」
マミ「佐倉さん、お化けは魔獣じゃないのよ?」
キュゥべえ「マミが言っちゃダメだよ」
マミ「うっ…」
杏子「そうだぞ、マミだってあたしと一緒じゃねーか!」
ほむら「2人で抱き合って悲鳴をあげて一緒に変身したものね」
マミ「うぅ…」
杏子「うぅ…」
キュゥべえ「やれやれ」
ほむら「まぁいいわ、次は何処に行く?」
ごまどか「ホムラチャ!ホムラチャ!」
ほむら「まどか、何か乗りたいものがあるの?」
ごまどか「ティヒッ!」
ほむら「そう、わかったわ」
杏子「何処に行くんだ?」
ほむら「観覧車よ」
キュゥべえ「観覧車だね、僕も乗ってみたいな」
マミ「観覧車なら心配ないわね、さっそく行きましょうか」
マミ「キュゥべえ、一緒に乗ろう?」
キュゥべえ「うん」
杏子「あたしもマミと乗るからほむらはまどかと2人で乗りな」
ほむら「ええ」
ごまどか「ウェヒー!」
―――
ほむら「まどか、そろそろ頂上よ」
ごまどか「ティヒッ」
ほむら「…まどか」
ごまどか「ホムラチャ?」
ほむら「……こうしてあなたと遊ぶのは本当に久しぶりだったわ」
ごまどか「……」
ほむら「…私は…もうあなたとは会えないと思ってた」
ほむら「だから…いっそのこと忘れようかとも思ったわ」
ごまどか「ホ、ホムラチャア…」
ほむら「でも…そんなこと出来るわけなかったわ…」
ほむら「あなたとの思い出を…忘れられるわけなかったのよ」
ほむら「そうしたら、まどか…あなたが会いに来てくれたの」
ほむら「…何故かあざらしのような姿だったけどね」クスッ
ごまどか「ウェヒィ」
ほむら「でも、あなたがまどかであることに変わりはないわ」
ほむら「まどか…私の為に無理してやって来てくれたののよね?」
ごまどか「……」
ほむら「ありがとう…本当にありがとう」
ごまどか「ホムラチャア…」
ほむら「…ふふっ、見て?綺麗な風景」
ごまどか「………」
ほむら「私がこうして平和な見滝原を見ることができるのも」
ほむら「まどか…あなたのおかげなの」
ほむら「ワルプルギスのときの…あの地獄のような景色と同じ街だとは思えないわ」
ほむら「……本当に綺麗な景色よ」
まどか「…うん」
ほむら「!?」
まどか「本当に綺麗だね」
杏子「マミ、見てみろよ!すっごく高いぜ!」
マミ「ふふ、そうね」
杏子「わあー」
キュゥべえ「……」ジィー
マミ「キュゥべえ、そんなにまどかちゃんが気になるの?」
マミ「じっと暁美さん達の席を見つめちゃって」
キュゥべえ「まぁね…不思議なんだ、彼女の存在そのものが」
キュゥべえ「僕の知らないことがあっただな…!?」
マミ「?…どうしたの?」
キュゥべえ「な…あれは…?」
杏子「ん?…あっ?」
マミ「女の子…?」
ほむら「まどか…?」
まどか「ほむらちゃん…ごめんね?」
まどか「本当はこの姿になっちゃいけないんだけど…」
まどか「ちゃんとお話がしたかったからちょっとだけ無理しちゃうね?」
ほむら「まどか…まどかぁ!」
まどか「ほむらちゃん、ごめんね…辛かったよね?」
まどか「たった一人だけ、私のことを…本当のことを覚えててくれて…」
まどか「そのせいで嫌な思いをさせちゃったよね?」
ほむら「まどか…」
まどか「だから…私のこと、忘れちゃった方が良いよね?」
ほむら「えっ?」
まどか「…だからね?最期にほむらちゃんとの思い出を作りたくって」
まどか「ちょっとだけズルしてここに来たの」
まどか「人間の姿を続けるのは難しいから、別の姿に変身してたんだ」
まどか「でも、もうそろそろ時間だから、最後だけは本当の私の姿になろうかなって思ったの」
ほむら「まどか…?」
まどか「ほむらちゃん、私のことを覚えててくれて本当にありがとう」
まどか「すっごく嬉しかったよ?」
ほむら「当たり前よ…忘れられるわけないもの!」
まどか「うん…でも、もういいんだよ」
ほむら「まどか…?」
まどか「…ほむらちゃんから…私の記憶を消すね?」
ほむら「えっ?」
まどか「ほむらちゃん、これからは私のことなんて気にしないで」
まどか「マミさんや杏子ちゃんやキュゥべえ…みんなと仲良く暮らしてね?」
ほむら「待って!」
まどか「さようなら、ほむらちゃん」
まどか「そして、ありがとう」ニコッ
ほむら「まどかぁっ!」
マミ「見間違い…だったのかしら?」
杏子「さっき、ほむらの側に女がいた…よな?」
キュゥべえ「僕も見たよ…彼女は一体…?」
マミ「まさか、彼女がまどか…さん?」
杏子「じゃああのあざらしは…」
マミ「待って、暁美さんが降りてきたわ」
キュゥべえ「ほむら!」
ほむら「……」
マミ「あら?まどかちゃんは?」
ほむら「…まどかって誰?」
マミ「えっ…?」
杏子「誰って…ずっと一緒にいたじゃねぇか!」
キュゥべえ「あのあざらしはどうしたんだい?」
ほむら「あざらし…?」
マミ「暁美さん…あなたがダッコしてたでしょ?」
ほむら「…知らないわ」
マミ「そ、そんな…」
杏子「嘘だろ…?」
ほむら「どうしたの?私は大丈夫よ?」キョトン
キュゥべえ「ほ、ほむら…」
ほむら「…?もう夕方だし、帰るわよ」
―――
マミ「それから暁美さんは本当にまどかさんの事を忘れてしまったようなの」
マミ「…私たちも名前しか知らない存在…」
マミ「ひっとしたら…あの時の女の子がまどかさんなのかも知れないわ」
マミ「…それに、まどかさんは間違いなく暁美さんの中に存在していたのに」
マミ「どうして…?」
ほむら「誰と話しているのかしら?」
マミ「暁美さん…」
ほむら「よくわからないけれど、心配するには及ばないわ」
杏子「ほむら…今度も嘘だろ?本当は知ってる…そうだよな?」
ほむら「?…違うわよ」
キュゥべえ「あのあざらしも覚えていないのかい?」
ほむら「ええ」
キュゥべえ「どうして?あの白くて不思議な生き物だよ?一緒にいたじゃないか!」
ほむら「ふふっ、それはあなたでしょ?キュゥべえ」
キュゥべえ「違うよ!僕じゃないよ!」
マミ「……」
―――
まどか「ぐすっ…ほむらちゃ…」
まどか「ほむらちゃぁ…」
さやか「やっと見つけた」
まどか「さやかちゃん…?」
さやか「見てたよ?あっちに戻ってたでしょ?」
まどか「…うん」
さやか「あたしは戻りたくても戻れないのに羨ましいわぁ」
まどか「……」
さやか「…なーんて言うつもりでいたけど」
さやか「まどか、あんたなにやってんのよ」
まどか「…私は……」
さやか「なんであざらしなのかは知らないけど、あざらしに変身してほむらのとこにいたんでしょ?」
まどか「…うん」
さやか「一体どうやったらそうなるんだか…神様だから何でもありなわけ?」
まどか「ち、違うよ!…ただ、ちょっとだけずるして会いに行っただけだよ」
さやか「ずる…ねぇ」
まどか「うん…」
さやか「たしかに、あんたはすっごいずるだよ」
まどか「ごめんね…さやかちゃんも会いに行きたかったよね?」
さやか「そりゃそうだけどさ…ずるなのはそこじゃないよ」
まどか「えっ?」
さやか「あんた、ほむらから記憶を奪ったでしょ?」
まどか「……うん」
さやか「どうしてそんなことしたのさ」
まどか「だって…ほむらちゃん、すっごく辛そうだったら…」
まどか「だから…私の記憶を無くせば…ほむらちゃんは苦しまなくてすむから…」
さやか「だから消したんだ?」
まどか「…うん」
さやか「嘘だね」
まどか「えっ?」
さやか「それってさ、建前ってやつじゃないの?」
まどか「…!」
さやか「ほんとは自分がほむらと会いたくて仕方がないから無茶して会いに行ったんでしょ」
まどか「うっ…」
さやか「そして、ほむらに甘えて…最期にほむらと自分の記憶を消して楽になりたかった」
まどか「……」
さやか「ほむらと会えなくて辛いのはまどか、あんたもだからね」
さやか「そして、ほむらからまどかの記憶を消したけど」
さやか「まどかからほむらの記憶を消すことはできなかった…そうだよね?」
まどか「……うん、できない…できないよ」
まどか「やっぱり、ほむらちゃんとの記憶を消すだなんてできっこないよ!」
まどか「嫌だよ…寂しいよ…」
さやか「そりゃそうでしょ?あんたはほむらの全部を知ってるんだからね」
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「でも、それはほむらも同じだよ?」
まどか「えっ?」
さやか「ほむらもまどかと全く同じだと思うよ」
さやか「まどかとの記憶を消されたくないに決まってる」
まどか「…!」
さやか「なのに、あんたは消したんだよ。ほむらの宝物を」
まどか「ほむら…ちゃん…」
さやか「まどかってほんとバカ」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「…今ならまだ間に合うよ、記憶を戻してやりなよ」
さやか「これじゃほむらが可哀想だよっ…!」
まどか「でも…それじゃ、ほむらちゃんがまた苦しんじゃうよ…」
さやか「大丈夫、マミさんや杏子、キュゥべえがいるからね」
さやか「それに、記憶がないことの方がずっと辛いに決まってる!」
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「だからさ!戻してあげてよ、ほむらの記憶をさ!」
さやか「そして、ほむらを信じようよ!」
さやか「絶対に大丈夫だから…!」
まどか「……」
さやか「まどか…!」
まどか「…うん!」
―――
ほむら「……!」
マミ「暁美さん?」
ほむら「ま…ど…か…?」
杏子「!まさか…?」
ほむら「まどか…?」
キュゥべえ「思い出したの?」
ほむら「…!」
ほむら「…もう、まどかのバカ」
マミ「暁美さん…!」
ほむら「私の一番の宝物を消してしまったのね?」
ほむら「私のまどかとの思い出を…」
杏子「じゃ…じゃあ思いだしたんだな?」
ほむら「ええ、今度こそ大丈夫よ」
ほむら「ちゃんと覚えているわ」
マミ「暁美さん…まどかさんのこと、詳しく話してくれないかしら?」
杏子「そうだな…あたしらにも話してくれよ」
ほむら「まどかは私の友だちよ」
ほむら「とても大切な私の友だち…!」
キュゥべえ「あのあざらしはまどかじゃないのかい?」
ほむら「ううん、まどかよ」
キュゥべえ「えっ?なら…」
ほむら「帰ってきてくれたのよ、まどかがね」
ほむら「あざらしに変身してね」クスッ
―――
まどか「あれから、ほむらちゃんが私のことで苦しむことが無くなったんだ」
まどか「私との思い出は宝物だって…私はいつも、ほむらちゃんの中にいるからって」
まどか「…嬉しいな」
まどか「会えなくても、私のことを大切に思ってくれてるんだよね?」
まどか「ほむらちゃん…!」
さやか「ねっ?あたしの言った通りだったでしょ?」
まどか「うん…!」
さやか「だから、もう二度と人の記憶消しちゃダメだからね?」
まどか「うん…もう絶対にしないよ…!」
さやか「うん、わかればいいのよ、わかれば!」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「神様にアドバイスするさやかちゃんカッコいい!」
まどか「うぇひひ」
さやか「ところでさ、やっぱ杏子達はこっちに来ないとまどかのこと分からないわけ?」
まどか「…うん」
さやか「まどかの魔法で記憶を戻せないの?」
まどか「…私が魔法で記憶を戻せるのは、ほむらちゃんだけなんだ」
まどか「ほむらちゃんのも、消したのを元に戻しただけだから…」
さやか「そっか、神様でも完璧じゃないんだね」
まどか「てぃひひ…私、神様なんて凄い人じゃないもん」
さやか「そーお?あたしは十分凄いと思うけどね」
さやか「向こうの世界に戻ったりできたしさ」
まどか「あれは…」
さやか「って言うか、なんであざらしだったわけ?」
まどか「えっ?可愛いから…かな?」
さやか「そんな理由かい!」
まどか「だって、人の姿じゃ魔力たくさん使うんだもん」
さやか「あんた神様なんだから、魔力くらい有り余ってんじゃないの?」
まどか「だから神様じゃ…それに、あれは魔法少女の力だよ?」
さやか「えっ?どういう意味?」
まどか「その…何て言うか…神様としての力じゃなくってね?」
まどか「あっ!神様ってのは例えだよ?私は神様なんて凄い人じゃ…」
さやか「はいはい、それはもう良いから」
さやか「で、魔法少女の力ってどういうこと?女神さん」
まどか「もぉ…!」
さやか「あはは、ごめんっ!で?教えてよ、まどか」
まどか「んっと…とにかく、私は魔法少女の力を使ってあざらしに変身して向こうの世界に行けたの」
さやか「そういう魔法があるわけ?」
まどか「ううん。私はただ、強く願ったら何時の間にか行けてたんだよ」
さやか「えっ?んじゃもしかして、あたしでも行けるのかな?」
まどか「うん、もしかしたら行けるかもしれないよ!」
さやか「うーん…でもそう都合良く上手くいくかな?」
まどか「信じようよ、魔法少女を!」
まどか「だって魔法少女はさ、夢と希望を叶えるんだから!」
さやか「夢と希望を…うん、そうだね」
さやか「あたし、やってみるよ!」
まどか「うんっ!」
―――
杏子「あれからほむらのやつ、すっかり元気になったな」
杏子「会えなくても傍にいる…か」
杏子「それだけの仲だったんだよね…ほむらとまどか」
杏子「そして本当に帰ってきた…かぁ」
杏子「あたしはどうなんだろうね」
杏子「あたしにそんな友だちなんて…」
杏子「…さやか……」
アンコ!アンコ!
杏子「あんこ…?」
アンコ!アンコ!
杏子「え…?」
杏子「ま…まさか…?」
杏子「さやか!?」
キョウコ!
杏子「さやかぁー!」
キョウコー!
キュゥべえ「わけがわからないよ、今度はどういうことなのかな?」
マミ「見ての通りよ、ねっ?暁美さん」
ほむら「ええ、帰ってきたのよ」
ほむら「友だちが、ね」ニコ
おわり
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