れんげ「今日も駄菓子屋さんでアルバイトするん」 (82)

れんげ「今日も誰もこないんなー」

れんげ「せっかくの夏休みなんだから、みんな駄菓子買って遊びに行けば良いん」

れんげ「暇」

れんげ「暇暇」

れんげ「暇なーん!!!」

れんげ「暇だから駄菓子屋が使ってたテレビ見るのん」

れんげ「お客が来たら途中でも見るのやめないといけないんなー、来なければ良いのに」

れんげ「……」

れんげ「……」

れんげ「本当に誰も来ない必要はないでしょーが!」

れんげ「……駄菓子屋どうやって生きてたん? うちは駄菓子屋の生活が心配なのん」

れんげ「都会でバイトする駄菓子屋」

れんげ「もしかして、駄菓子屋バイトしなきゃ生きてけないのん……?」

れんげ「でも今年は特別だって行ってたん、いつもはバイトしてないのん」

れんげ「実はご飯が必要なくて、生きるのにお金かからないとか……流石にないのんな」

れんげ「実は、人を脅して金品を……だ、駄菓子屋はそんなこと、するわけない、のん?」

れんげ「……」

れんげ「あ、アルバイトするん、駄菓子屋さんのアルバイトサボってたらダメなんな!」

れんげ「こまちゃんやなっつん、元気なんかなー」

れんげ「ほたるんやこのみちゃんも、最近あんまり会わないんな」

れんげ「みんな卒業して、うちだけ一人ぼっちなん」

れんげ「昔より、みんなが遠くに行っちゃったん」

れんげ「みんな……高校生もたまには駄菓子屋さんに来てもいいんよ?」

れんげ「まあ、流石に高校生にもなって駄菓子屋さんになんて来るはずな――」

れんげ「……」

れんげ「……」

れんげ「ふらぐって言うの立てたのに、おかしいのん、誰も来ないのん」

れんげ「こう言うときはなっつん辺りが」

れんげ「だっがしやー! きてやったぞー! トリックアンドトリート!!」

れんげ「って、季節外れにもほどがある台詞吐くんな」

れんげ「そしてこまちゃんがちわーって適当な挨拶して、ほたるんがどうもってお辞儀するのんな」

れんげ「そこでうちが、駄菓子屋、来てやったのん! ってなるん」

れんげ「……」

れんげ「……暇なんなー」

れんげ「Zzz...」

ゆさゆさ

れんげ「ん……なんなのん?」

卓「……」

れんげ「あ、にーにー、昨日ぶりなん……えっと、340円なん」

卓「……」チャリン

れんげ「毎度ありなんにーにー」

卓「……」コク

れんげ「またいらっしゃいなのん」

卓「……」コク

れんげ「今日初めてのお客なんなー……」

れんげ「……」

れんげ「今日は一人だけなんなー……」

れんげ「店じまいなん」

れんげ「ねーねーは畑仕事で忙しくしてたし、今日は駄菓子屋の家に泊まるん」

れんげ「昔から嗅いでた、駄菓子屋の匂いなんな」

れんげ「落ち着く匂いなのん」

れんげ「もう、駄菓子屋には甘えさせて貰えないん」

れんげ「でも、やっぱり駄菓子屋の側は落ち着くんなー」

れんげ「駄菓子屋が帰ってきたら、一日くらいは付き合ってもらうんな!」

れんげ「夏休みももうそろそろ終わります」

れんげ「駄菓子屋、一切の連絡を入れないなんて店はどうでも良いん?」

れんげ「大体30日、来客は70人なんなー」

れんげ「売り上げが大体二万円なのん」

れんげ「二万円?」

れんげ「ねーねーの十分の一くらい?」

れんげ「……」

れんげ「駄菓子屋本当にどうやって生きてたん?」

ご飯

れんげ「Zzz...」

ひょい

れんげ「うぅん……」

ぽすっ

れんげ「ん……」

ぽんぽん

れんげ「Zzz...」

れんげ「ハッ! 寝ちまいました!」クワッ

楓「全く、店番頼んだのに寝るなんて、やっぱり店番頼むんじゃなかったなこりゃあ」

れんげ「え、駄菓子屋? なんでここに?」

楓「そりゃ私が駄菓子屋だからだよ、つかここは私の店だ」

れんげ「だって、都会でアルバイト……」

楓「んなもん終わったよ、だかられんげは今日でクビだクビ」

れんげ「……駄菓子屋、ずっと都会でお仕事お疲れ様でした」

楓「な、なんだよ急に」

れんげ「なんでもないのーん」

楓「ほら、起きたならどけ」

れんげ「もうしばらくお膝を楽しみたいのん」

楓「楽しむな、ほら店の好きなもん一個くれてやるから帰れ」

れんげ「……」

楓「おい、聞いてんのか」

れんげ「じゃあ駄菓子屋貰うん」

楓「……は?」

れんげ「駄菓子屋はうちのだからこのお膝もうちのなのーん」

楓「はぁ……はいはい、少ししたらどけよな」

楓「なあ、お前今何年だっけ」

れんげ「六年生なん」

楓「そうか、六年か。この間まで一年だったのになぁ……」

れんげ「ねーねーがアラサーになったんな」

楓「アラサーか……」

れんげ「駄菓子屋も四捨五入したら」楓「黙れ」

れんげ「むぐっ……むぐぐ」

楓「れんげももう中学生になるんだな、早かったなぁ」

楓(一体いつまでこんな店に来てくれるんだろうな……)

楓「なあ、お前は高校出たらどうすんだ?」

れんげ「?」

楓「先輩みたいに教師になりたいとか、なんかあるだろ」

れんげ「んー」

れんげ「それなら駄菓子屋と二人で、駄菓子屋さんするほうが楽しそうなん」

楓「二人でって、こんな店に二人もいらねーよ」

れんげ「駄菓子屋とこうやって駄菓子屋さん、やるのんな!」

楓「……ふっ、わかったよ、仕方ないな」

れんげ「駄菓子屋ー」

楓「んだよ、そろそろ店閉めるから帰れよ」

れんげ「今日、泊まってって良い?」

楓「ダメだ、帰れ」

れんげ「夏休み、ほとんど潰して駄菓子屋のために店番したん」

楓「……」

れんげ「駄菓子屋のためだけに夏休みほとんど潰したん」

楓「だ、だからなんだよ」

れんげ「駄菓子屋は、うちのためには何もしてくれないのん?」

楓「それは……」

れんげ「ずっと一人で、寂しいのも我慢したのんな、駄菓子屋の家も掃除したのんな、だから今日だけでも……ダメなん?」

楓「ああもうわかった、わかったよ! 泊まってけ!」

れんげ「やったのーん!」

楓「おい」

れんげ「どうしたん駄菓子屋?」

楓「布団敷いてやっただろ、そっちで寝ろよ」

れんげ「駄菓子屋と一緒が良いのんな」
ぎゅっ

楓「お前な、もう小六だろ、いつまでも甘えんなって」

れんげ「まだ六年生なのん」
ぎゅうう

楓「……離せって」

れんげ「駄菓子屋の背中、久しぶりなんなー……」
スリスリ

楓「」

れんげ「駄菓子屋ー」
スリスリ

楓「これはあれだな……私のせいじゃないな、うん」

れんげ「駄菓子屋?」

駄菓子屋先輩、れんちゃんは売ってもらえませんかね~?

楓「れんげ、離せ」

れんげ「嫌なのん」

楓「……離せ」

れんげ「う……わ、わかったん」

楓「れんげ」

れんげ「な、なんなの――のんっ!?」

ぎゅうううう!!

れんげ「だ、駄菓子屋、苦しいのん……」

楓「うるさい、黙れ」

なでなでなでなで

れんげ「うぅ……もうちょっと、優しくして欲しいのん……駄菓子屋ぁ……」

楓「」

楓「れんげ、しばらく黙らないと本当に大変だから黙れ」

ぎゅうううう

一方ほたるちゃんは



蛍「先輩とルームシェア出来て、本当に嬉しいです!」

小鞠「蛍ったらまだ言ってるの? 蛍なら家事もちゃんと分担してくれるし、家賃も払ってくれるからむしろ大歓迎だよ」

蛍「えへへぇ……」

ゴソゴソゴソゴソ

小鞠「? なにやってるの?ほたるん?」

蛍「ハッ!いや、、、これは、、その、、」アセアセ

小鞠「・・・・なんで、私のパンツ被ってるの?」

夏海「へへー、やっとマフラー編めたぁ」

卓「」ジー

夏海「なっ、なんだよ!」

れんげ「……駄菓子屋は強引なんなー」

楓「わ、悪い……」

れんげ「強すぎて痛くて苦しかったんよ?」

楓「……すまん」

れんげ「頭も禿げるかと思ったのん」

楓「本当にすまなかった……」

れんげ「……でも」

楓「?」

れんげ「でも、やっぱり駄菓子屋にああされるのは、嬉しかったのんなー!」

楓「」

れんげ「だ、駄菓子屋?」

楓「」

れんげ「ま、待つのん! さっきみたいなのは、まっ、待っ――のんっ!」



今回はここまで

夏海「実は兄ちゃんと一緒に暮らしてるなんて、姉ちゃん達が知ったらびっくりするだろうな~」

卓「・・・・・・」

夏海「も~なんとか言ったらどうなんだよ」

卓「・・・・・h

夏海「まあそんなところもす、、好きなんだけどね///」

チュ

夏海「ちょ!兄ちゃんいきなり」

夏海「え?今日も?仕方ないな~」

そのころなっつんは


夏海「っべーわ、マジっべーわ! 兄ちゃん!」

卓「?」

夏海「ゼミの発表の準備するために駄菓子足んない! ちょっと駄菓子買ってきて! はい200円!」

卓「?」

夏海「なんでも良いよ! なんか面白くて美味しい奴!」

卓「」コク

夏海「さあ行け兄ちゃん! うちのために頑張れ!」

卓「」コク

てくてくてく

夏海「歩くな走れー!」

一方ほたるちゃんは


小鞠「でも良かったの蛍?」

蛍「なにがですか?」

小鞠「家賃半分ずつ出すなら、もうちょっと広いところでも良かったのに」

蛍「良いんです」

小鞠「でも寝室も一緒だし、私がいたら友達とか連れて来にくいでしょ?」

蛍「良いんです! むしろ私はここが良いんです!」

小鞠「そう? ならいいけど……」

蛍「そうだ、お風呂沸かしましたから入りましょう先輩!」

小鞠「え、蛍先入って良いよ?」

蛍「それじゃあお湯が冷めて勿体ないですから一緒に入りましょう、ねっ、先輩?」

小鞠「い、一緒に?」

蛍「二人ならお湯も少なくて済みますから!」

小鞠「えぇ、う、うん、わ、わかった」

そのころなっつんは


夏海「ぐぅー……ぐぅー……」

卓「……」

卓「……」ヒョイ

卓「……」ポスッ

卓「……」ファサッ

卓「……」ガサッ

卓「……」コク

てくてくてく

一方ほたるちゃんは


蛍「はぁ……幸せでした……」

小鞠「一人暮らし用なのに意外と普通に入れたねー、まあ女二人だしあんなもんだよね」

蛍「ふふっ、そうですね」

小鞠「それにしても、案外このままの部屋でもなんとかなりそうだね」

蛍「はい、先輩とならなんでも大丈夫です!」

小鞠「ねえ蛍」

蛍「なんですか?」

小鞠「そのさ、これからよろしくねっ!」

蛍「ひ、ひゃい! よろしくおねがいしますせんぱぁい!」


こっちはここまで

そのころなっつんは


夏海「んん……あれ?」

夏海「……」

夏海「あああああ!! もうこんな時間じゃん!!!」

夏海「まだゼミの発表の準備全然出来てないし!」

夏海「な、夏海ちゃん悪くないし!」

夏海「兄ちゃんなんで起こしてくんなかったのさ! 母ちゃんも夕飯とかあったよね!」

夏海「ああもう徹夜だよー! 兄ちゃん手伝ってよね!!」


こっちもここまで

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