れんげ「もしかしてウチは、ロアナプラにすんでるのん?」 (118)

れんげ「……」ピープー

レヴィ「あー、かったりぃ、かったりぃ、かったりぃなぁ!!」

れんげ「レヴィちん、にゃんぱすー」

レヴィ「あぁ?気安く喋りかけんじゃねえっていつもいってんだろ。てめぇの頭でスイカ割りすんぞ、こら」

れんげ「レヴィちん、なにしてるのん?」

レヴィ「見てわかんねえのかよ。そのスッカスカの頭に目ん玉いれるところこさえてやろうか?」

れんげ「なにしてるのん?」

レヴィ「あのなぁ」

ロック「レヴィ、積み終わった。行くぞ」

レヴィ「ヘイヘイ。ロック。仕事はスマートかつクールにやれよ。ボケ」

ロック「レヴィが手伝ってくれたら、もう少しクールにできたけどね」

れんげ「ロックん、にゃんぱすー」

ロック「あ、れんげちゃん。にゃんぱすー」

レヴィ「何がにゃんぱすぅ、だよ。くっせぇことしてんじゃねえぞ、ロック」

ロック「別にいいじゃないか、挨拶ぐらい」

レヴィ「早く出せよ。客が待ってんだろ」

ロック「はいはい。それじゃ、れんげちゃんまたね」

れんげ「うん。お仕事がんばってなのん」

ロック「ありがとう」

レヴィ「死ね」

ロック「レヴィ、何てこというんだ。相手は子どもだぞ」

レヴィ「あたしがガキのころはどぶ水すすってたんだよ。これぐらい言われ当然だろ」

ロック「レヴィの常識をれんげちゃんに押し付けるっていってるんだ」

レヴィ「はっ。ロックはああいうのが好みなのかよ。だったらまわしちまえよ」

ロック「レヴィ!!!」

れんげ(ロックんとレヴィちんはいつもよくわからない会話をしているのん)

れんげ「……」ピープー

ダッチ「よっと」ザクッザクッ

れんげ「ダッチん。にゃんぱすー」

ダッチ「ん?宮内のお嬢か。今、学校帰りか?」

れんげ「そうなのん。ダッチんはなにしてるのん?」

ダッチ「ふぅー……。土を切り刻んでいたところだ。いい声で泣きやがる」

れんげ「どういうことなのん?」

ダッチ「こうして勢いよく、振り下ろすと」ザンッ

ダッチ「な?」

れんげ「おぉ。なんか怖いのん」

ダッチ「あまり見てるとケツからでけぇのを出すぞ」

れんげ「わかったのん」

ダッチ「さぁて、もうひと踏ん張りだな」ザクッザクッ

れんげ(ダッチんはとても体が大きくて、日焼けして真っ黒なのん)

ヘンゼル「姉様、この猫でいいんじゃないかな?」

グレーテル「そうね、兄様。猫なんてなんでもいいものね。こいつにしましょう」

れんげ「ヘンゼルん、グレちん。にゃんぱすー」

ヘンゼル「ああ、れんげじゃないか。にゃんぱすー」

グレーテル「にゃんぱすー」

れんげ「2人はなにしてるのん?」

ヘンゼル「猫を捕まえてたんだよ。ちょっとした実験をしたくてさ」

れんげ「実験?どんな実験なのん?」

グレーテル「うふふふ。教えてあげてもいいけど、れんげちゃんには刺激が強いかも」

れんげ「刺激がつよいん?」

ヘンゼル「うん。そうだよ。それでもいい?」

れんげ「ヘンゼルんがそういうときは、いつも教えてくれないのん」

グレーテル「だって、一穂に怒られたくないもの。それじゃ、また遊びましょ」

れんげ(ヘンゼルんとグレちんはいつも一緒なのん。時々、ねぇねぇに怒られてるときがあるけど、何しているのかはわからないのん)

駄菓子屋

れんげ「駄菓子屋ー。にゃんぱすー」

楓「いらっしゃい」

ソーヤー「……」ガチャガチャ

れんげ「ソーヤん、にゃんぱすー」

ソーヤー「………ニャ……んぱ……す……ぅ……」

れんげ(ソーヤんはいつもガチャガチャまわしてるのん)

楓「れんげ、今日は1人か」

れんげ「お小遣いあるし、お菓子買うのーん」

楓「好きなのとってけ」

レヴィ「楓の姉御。頼まれてたやつ、届けにきたぞ」

楓「姉御はやめろって。そこに置いといてくれ」

レヴィ「代金はいつも通りだからな。遅れんなよ」

楓「わかってるよ」

ロック「次いくか」

レヴィ「ちょっと待ってくれ。飲み物買ってく」

れんげ「レヴィちん、またあったのん」

レヴィ「どけ、邪魔だ」ヒョイッ

れんげ「おー。たかい、たかいのん!」

楓「おい。危ないだろ」

レヴィ「こいつがあたしの邪魔するからだろ。ここがロアナプラだったら、頭から食ってるところだ。生きてることに感謝しやがれ」

楓「あのなぁ」

れんげ「ロアナプラってなんなのん?」

レヴィ「てめぇみたいなクッソガキが食い物にされてるような場所だ」

れんげ「ウチ、食い物にされるん!?」

レヴィ「骨も残さない紳士淑女が集まってるところだからなぁ」

れんげ「お、おそろしいのん……」

楓「変なこと教えるって。買うもん買ってとっとと出て行け」

れんげ「駄菓子屋、ロアナプラって怖いところなのん?」

楓「さぁ、観光地だって聞いたけど」

レヴィ「四六時中、弾丸が飛び交ってるところだ。死肉を貪るハイエナもいるか」

れんげ「よくわからないけど、こわいのん」

楓「もう、ほら。コーラだろ。もっていけよ」ポイッ

レヴィ「サンキュ、楓の姉御」

楓「姉御はやめろ。あたしはお前より年下だ」

レヴィ「そんなにかわんねえだろ。つーか、年齢なんて気にすんなよ」

楓「ま、いいけど」

レヴィ「じゃーな」

れんげ「レヴィちん。また今度、ロアナプラのこと教えてほしいのーん」

レヴィ「知りたいことはてめぇで知れ。あたしは先生じゃねえんだよ」

れんげ「レヴィちん、いじわるなのん」

楓「いつものことだろ。気にすんなって」

れんげ「駄菓子屋、これ買うのん」

楓「おう。30円な」

れんげ「はい。つりはいらん」

楓「どこで覚えた?」

れんげ「ところで、レヴィちんが持ってきたのはなんなのん?」

楓「ああ。新製品だ。バラライカさんが仕入れてくれって」

れんげ「イカちんが?すごく気になるのん」

楓「えっとな――」

バラライカ「楓。クライアントのことを他人に漏らすとは、プロとは呼べんぞ」

楓「あ、うぃーっす」

れんげ「イカちん!!」

バラライカ「れんげ。私のことはバラライカと呼べといっているだろう。学習機能がついてないの?」

れんげ「でも、なっつんもイカちんって呼んでるのん」

バラライカ「ちっ……。夏海は一度、私専用の灰皿になってもらうか」

楓「それは名案ですね」

バラライカ「だろう?」

れんげ「なっつん、灰皿になるん?」

バラライカ「波打ち際に埋めて、溺死の恐怖を味わってもらうのでもいいかもね」

楓「夏海のことは扱いてやってくださいよ」

バラライカ「そうしたいが、他人の子をいたぶると村八分にあるからな」

楓「黙ってればわかりませんよ」

バラライカ「……よし。今度、海につれていってやろう。夏海の苦しむ顔を想像するだけで、煙草の味が上がる」

れんげ「なっつん、たいへんなのん」

楓「そうだ。バラライカさんの注文の品はこれですよ」

バラライカ「いつも悪いわね。代金はこれで」ドサッ

れんげ「札束なのん!!札束が立つのん!!」

楓「バラライカさん。いつも言ってますけど、これは貰いすぎなんですが」

バラライカ「気にするな。仕事をこなしてくれた者には敬意を払う。それが、ホテル・モスクワの流儀だ」

れんげ(イカちんはみんしゅくをしてるのん。でも、お客さんが泊まってるところは一度もみたことないのん)

バラライカ「それじゃあね」

楓「はい。またお願いします」

ボリス「大尉殿」

バラライカ「手に入ったわ。あとは……分かっているな、同志軍曹」

ボリス「はっ」

れんげ「駄菓子屋、イカちん何もっていったのん?」

楓「口止めされちゃったからな、秘密だ」

れんげ「駄菓子屋までいじわるなのん」

楓「そういうなって。バラライカさんは怖いんだから」

ソーヤー「……」

楓「今日は終わりか?気をつけてかえれよー」

ソーヤー「……」コクッ

楓「れんげもそろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?送っていってやるよ」

れんげ「うん」

宮内家

一穂「れんげのこと、ありがとねぇ」

楓「いえ。それじゃ、帰ります」

れんげ「ねぇねぇ!ねぇねぇ!イカちんが何か買っていったのん!!」

一穂「バラライカさんが?何を?」

れんげ「わかんないのん!だから、何かなのん!!」

一穂「ああ、そうかぁ。バラライカさんが買ったものとなると……武器かな……」

れんげ「武器!?イカちんが駄菓子屋に頼んだの武器なのん!?」

一穂「あ。れんちょんは知らなくてもいいことだから」

れんげ「ウチ、気にするん!!イカちんの武器、気になるのん!!」

一穂「はいはい。晩御飯にしようか」

れんげ「レヴィちんにいわれたのん!!知りたいことは自分で知れって!!」

一穂「へぇ。たまにはいいこというのねぇ、あの子も」

れんげ「ねぇねぇ!イカちんは何かったのん!?」

一穂「さぁー。しらなーい」

翌日 旭丘分校

れんげ「ウチ、とても気になってます」

夏海「れんちょん、急にどうしたの?」

れんげ「昨日、駄菓子屋にイカちんがきたのん」

小鞠「よくあることじゃん。イカさんはよく見かけるよ」

夏海「だよねー。ウチらより常連でしょ?」

蛍「あの、イカさんって?」

小鞠「蛍はまだ知らないか。バラライカさんっていってね、民宿の経営をしている人なんだけど」

蛍「民宿があるんですか?」

小鞠「うん。まぁ、こんなところに来て泊まる人はいないから、お客さんなんてみたことないけどね」

蛍「ですよね。大丈夫なんですか?」

小鞠「うーん。でも、イカさんはいつも札束持ち歩いてるんだよね」

夏海「あれ、謎だよね。どっから湧いてくるんだろう」

れんげ「それも気になるのん。でも、今は違うことが気になるのん」

夏海「なにが気になるのさ?」

れんげ「実は……」

ヘンゼル「姉様、もっと上手いいいわけを考えっていったじゃないか」

グレーテル「兄様こそ、私に頼りきりじゃない」

ヘンゼル「なんだとー」グニーッ

グレーテル「いふぁい!いふぁいわ!!」

小鞠「こらこら。やめなってばぁ」

ヘンゼル「こまちゃん、きいてよ。姉様がひどいんだ」

グレーテル「兄様のほうが酷いのよ、こまちゃん!!」

小鞠「はいはい。わかったから」

夏海「また黒魔術とか言って、鶏の首を切ろうとしたの?」

ヘンゼル「違うよ、なっつん。今度は三味線を作ろうとおもったんだ」

グレーテル「猫の皮を使ってね」

蛍「え……!?」

小鞠「こらー!!!また2人はそんなことしてー!!だめでしょ!!!」

小鞠「れんげと蛍の見本にならないとだめでしょ!」

ヘンゼル「姉様の所為でこまちゃんに怒られた」

グレーテル「兄様の所為よ」

ヘンゼル「なんだとー」グニーッ

グレーテル「いふぁいわ!!こふぁふぁん!!」

小鞠「喧嘩はやめて!!」

夏海「ヘンとグレは仲いいなぁ」

れんげ「……」

蛍「あ、れんちゃん。えっと、気になることって?」

れんげ「ウチは機嫌を損ねたのん。もう、喋らないのん」

夏海「おーい。2人の所為でれんちょんが拗ねちゃったぞー。どうしてくれるんだー」

ヘンゼル「姉様が!」

グレーテル「兄様が!!」

小鞠「やーめーてー」

一穂「はぁい。授業はじめるよー。すわってー」

一穂「すぅ……すぅ……」

ヘンゼル「姉様、次は何をしようか?」

グレーテル「兄様、この前プラスチック爆薬の作り方が詳しく載っているサイトをみつけたの」

ヘンゼル「それだぁ!」

小鞠「こら。また物騒なことしようとしてるでしょ」

夏海「れんちょん、いい加減機嫌直してさぁ、何が気になるのか言ってよ」

れんげ「……」

夏海「れんちょんの気になることが気になってくるじゃん」

れんげ「なっつん、きになるん?」

夏海「なるなる。もう、すっごく気になる!!」

れんげ「ほたるんも?」

蛍「え?も、もちろんだよぉ」

れんげ「なら、仕切り直して……。ウチ、とても気になってます」

夏海「最初からやるのか」

蛍「いいじゃないですか」

れんげ「昨日、イカちんが駄菓子屋から何かを買ってたのん」

夏海「イカちんが?何を?」

れんげ「わからないから何かなのん」

夏海「ああ、そうか」

蛍「どうして気になるの?そのバラライカさんも何かを買うときもあると思うし」

れんげ「だって、秘密にしてたのん。駄菓子屋も教えてくれなかったのん」

夏海「秘密なのか。それは気になるね」

れんげ「なっつんもきになるん?」

夏海「イカちんが買うものって想像つかないしなぁ」

ヘンゼル「イカババァがどうしたの?」

グレーテル「あのおばさんがどうしたの?」

小鞠「また海につれていかれるよ?」

蛍「バラライカさんが駄菓子屋で何かを買ったらしいんです」

ヘンゼル「イカババァのことだから、どうせ下らないものだね」

グレーテル「生理用品とかじゃないの?羊水なんて腐ってそうだし、そもそも閉経してそうだけど」

小鞠「ちょっと!!何言ってるの!?」

ヘンゼル「ホントのことだしぃー」

グレーテル「ねー?」

蛍「あははは……」

れんげ「またグレちんがよく分からないこと言ってるのん」

一穂「……グレちゃん。ちょっと、こっちきて」

グレーテル「ひっ」

れんげ「ねぇねぇは武器だっていってたのん」

夏海「ぶき!?武器ってなに!?」

れんげ「わからないのん」

小鞠「イカさんって怖いから武器っていわれちゃうと……」

夏海「木刀とか?」

小鞠「鞭かも」

蛍「ど、どんな人なんですか……?」

れんげ「ウチ、すごく気になるのん。イカちんの買ったもの、知りたいのん」

放課後 駄菓子屋

れんげ「駄菓子屋ー」

楓「今日も来たのか」

れんげ「ウチ、気になるん!!」

楓「急になんだよ?」

れんげ「イカちんの買ったもの、きになるん!!」

楓「まだ気になってたのよ」

夏海「ウチも気になる!!」

楓「しらねえよ。直接、バラライカさんに聞いてきたらいいだろ?」

夏海「イカちん、こわいじゃん!!」

れんげ「近寄りがたいのん!!イカちんには人を寄せ付けないオーラがただよってるのん!!」

楓「怒られるぞ」

レヴィ「姉御ぉ。コーラくれぇ」

楓「500円な」

レヴィ「あぁ?あたしが来なくなったら、こんな店なんざすぐにクモの巣だらけになって、天井が落ちちまうぞ?いいのかよ?」

楓「お前が来なくなったほうが空気が綺麗になるから」

レヴィ「そんなこというなよ。ビジネスの糸は強いほうがいいだろ?明日食うメシと寝床も気にしなくていいしな」

楓「運び屋は岡島もいるしな」

レヴィ「あんなホワイトカラーなんざ、あてにならねえよ。少し荷物が重くなると、膝を笑わしてやがるんだぜ?」

楓「あんまり岡島を虐めるなよ」

夏海「レヴィ姉。やっほー」

レヴィ「夏海か。こんなところにいねえで、都会に出て男でもあさって来いよ。腐っちまうぞ」

夏海「えー?いつもそれいうけど、レヴィ姉が色々教えてよー。姉ちゃんなんかいつも大人の女性にーって言ってるし」

レヴィ「あたしが?はっはっはっは。お前らみたいなガキにははえぇんだよ」

楓「夏海、レヴィは岡島以外の男を知らないから無理なんだよ」

夏海「そうなの?」

レヴィ「姉御よりはマシだろ!!!」

楓「れんげの前で変なこというな!!!」

れんげ「レヴィちん、レヴィちん」

レヴィ「気安くよぶなっつーの。なんだよ?」

れんげ「イカちんが買ったもの、レヴィちんは知ってるん?」

レヴィ「バラライカの姉御が買ったもの?いや、あたしらは運び屋だから、物の中身まではしらねえよ」

れんげ「……」

レヴィ「ホントだって」

れんげ「レヴィちん、いじわるだから信じないのん」

レヴィ「なら、聞くな。ボケナス。地蔵にでも話しかけてろ」

れんげ「お地蔵さん、しってるん!?」

レヴィ「知ってるんじゃねえか?」

れんげ「きいてくるのん!!なっつん!!お地蔵さんなのん!!」

夏海「れんちょん!!レヴィ姉の嘘だからー!!れんちょーん!!」

楓「おい、れんげをからかうなよ」

レヴィ「姉御は物が何かしってるんだろ?教えてやればいいじゃねえか」

楓「バラライカさんに言うなって言われてる」

レヴィ「バラライカの姉御には逆らえないからなぁ。逆らったら、次の日には墓の下だ」

楓「ホント、こわいな」

れんげ「お地蔵さん、お地蔵さん。イカちんの買ったもの教えてなのん」

夏海「れんちょん、お地蔵さんが答えてくれるわけないじゃん」

れんげ「え!?またウチ、レヴィちんに騙されたん!?」

地蔵『バラライカの買ったものを知りたいのか?』

れんげ「おぉ!?なっつん!!お地蔵さんがしゃべったのん!!」

夏海「ええ!?なんで!?」

地蔵『知りたいのか?』

れんげ「知りたいのん!!」

地蔵『ピーマンたべるか?』

れんげ「え……。それは……」

地蔵『なら、教えないぞ』

れんげ「うー……」

夏海「あー。ロック兄ちゃん、れんちょんからかうのなしだってー」

ロック「バレたか。れんげちゃん、にゃんぱすー」

れんげ「ロックん、にゃんぱすー。お地蔵さん、ピーマンはかんべんしてほしいのん」

夏海「れんちょん、ロック兄ちゃんが喋ってただけだから」

れんげ「え!?ロックんまでウチをいじめるのん!?」

ロック「いや、そんなつもりはなかったんだけど……」

れんげ「ひどいのーん!!!」

ロック「ごめんよ。その代わり、バラライカさんが買ったものを教えてあげるから」

れんげ「ホントなのん!?ピーマンは食べなくていいのん!?」

ロック「ただし、ヒントだけだ。俺もバラライカさんに口止めされてるからね」

れんげ「ヒントでもいいのん!!」

夏海「こっそりおしえてよー」

ロック「悪いけど、できないんだ。夏海ちゃんも我慢して欲しい」

夏海「むー」

れんげ「はやく!はやく!ヒントだすのん!!」

ロック「それじゃあ、ヒントだ。一条さんが引っ越してきた」

夏海「……で?」

ロック「これがヒントさ。あとは自分の知恵と知識を頼るんだ」

夏海「それだけじゃわかんないってー」

れんげ「もう一声!!」

ロック「2人なら答えにたどり着けるはずだ。考えることは人に与えられた幸福の一つだからね」

夏海「ロック兄ちゃんは難しいこというなぁ」

ロック「そうかな?」

レヴィ「ヘイヘイ!!ロック!!ガキをナンパとはいい度胸だなぁ!!罰として次の積み下ろしはてめぇ1人でやれ、クソッタレ」

ロック「いつも俺だけがやってるじゃないか」

レヴィ「うっせぇ!!とっととやれよ!!」

ロック「はいはい。れんげちゃん、夏海ちゃん。またね」

れんげ「あーい」

レヴィ「ファック!」

ロック「レヴィ!!」

レヴィ「けっ。れんげも夏海もミルク吐いて、死ね」

夏海「レヴィ姉は口悪いなぁ」

れんげ(結局、イカちんが買ったものわからないのん……)

宮内家

一穂「これは……」

バラライカ「お前にも託しておく」

一穂「ですが……」

バラライカ「レヴィやダッチにも声をかけておいた。楓も引き入れるつもりだ」

一穂「……」

バラライカ「無理にとは言わないが」

一穂「いえ、やります」

バラライカ「その英断を称えよう」

一穂「……」

れんげ「ただいまなのーん」

一穂「あ、れんちょん」

バラライカ「あら、おかえり。寄り道でもしてたの?」

れんげ「イカちん、なにしてるん?」

バラライカ「何も。私はもう帰るわ。またね」

れんげ「イカちん、もうかえるのん?」

バラライカ「ええ。用事は済んだもの。ね、一穂?」

一穂「……」

れんげ「ねぇねぇ、どうしたのん?」

一穂「え?ううん。なんでもないよ」

バラライカ「ではな。詳細はおって伝える」

一穂「はい……」

れんげ「ばいばいなのーん」

一穂「はぁ……」

れんげ「ねぇねぇ。元気ないん?」

一穂「そんなことないよ。ほら、ご飯にしよっか。ランドセル、置いてきな」

れんげ「わかったのん」

一穂「……」

一穂「これはもう二度ともつことはないと思っていたのに……」

駄菓子屋

楓「な……!?」

バラライカ「これはお前の銃だ」

楓「ちょっと……!!」

バラライカ「お前がいなければ、どうなるか……わかるな?」

楓「待ってください!またバラライカさんとなんて……」

バラライカ「断るのか?それでも構わん。お前が大事にしてる者、れんげだったか。あやつがどうなってもいいのなら、ここで座視しているがいい」

楓「……」

バラライカ「レヴィも参加すると言っていた。また見れるな、二挺拳銃同士の戦いが」

楓「あたしはもうやめたんですよ」

バラライカ「答えを急ぐ必要はない。開始は3日後の日曜日だ」

楓「……場所は?」

バラライカ「昔と同じだ」

楓「……」

バラライカ「期待しているぞ。楓」

楓「……」

レヴィ「よぉ、姉御。赤紙がきたんだろ?」

楓「ここにある」

レヴィ「流石バラライカの姉御だ。こりゃ上物じゃねえか。……またやろうぜ」

楓「……」

レヴィ「迷ってるなら、やめちまえ。あたしはやるけどな」

楓「れんげもやるのか……」

レヴィ「れんげだけじゃねえよ。夏海も小鞠も蛍も強制参加だ」

楓「危険すぎる。せめて、れんげは……」

レヴィ「甘ったれたこといってんじゃねえよ。バラライカの姉御がやるっていったら、やるんだ」

楓「怪我したらどうするんだよ?」

レヴィ「そんなにガキが心配ならてめぇがケツをもってやれよ」

楓「レヴィ……!」

レヴィ「あたしはお前とやれれば満足なんだよ」

楓「この……」

翌日 旭丘分校

小鞠「イカさんが何を買ったのか分からなかったみたいだね」

れんげ「そうなのん。余計に気になってくるのん」

蛍「そうだねぇ。そういうことって一度気になりだすと眠れなくなっちゃうよね」

れんげ「昨日はちゃんと寝たのん」

蛍「あ、そうなんだ」

夏海「グレー。なにかしらない?」

グレーテル「知るわけないでしょ。イカおばさんが何しようがしったことじゃないし」

ヘンゼル「姉様、圧力鍋は準備できたよ」

グレーテル「まぁ、素敵。パチンコ玉つめましょ」

小鞠「なにこれ?」

グレーテル「クレイモアよ」

小鞠「これいもあ?」

ヘンゼル「モアイ像の親戚だからこまちゃんは気にしなくていいよ」

小鞠「どうやったら圧力鍋がモアイ像の親戚になるの!?」

一穂「みんな、ちゅうもくー」

れんげ「ねぇねぇ、ちゅうもくなん」

一穂「今から、これを配るよー」

夏海「なんだこれ……?」

小鞠「真夏の……ゲリラ戦……?」

ヘンゼル「楽しそうだね、姉様?」

グレーテル「本当ね、兄様」

一穂「はい。真夏のゲリラ戦一条杯を開催するよー。みんなは強制参加なんで、必ず来るように」

蛍「えぇー!?ど、どういうことですかぁ!?」

一穂「バラライカさんにきいてねー」

蛍「ま、まだ会ったことないです!!」

小鞠「ま、まさか、イカさんに目をつけられてるの……?」

蛍「えー!?ど、どうしてー!?私、なにもしてないのにー!?」

夏海「ほたるん、今日謝りにいこう」

蛍「えー!?ごめんなさい!!ごめんなさい!!許してください!!」

ヘンゼル「姉様、ほたるんは死んだね」

グレーテル「兄様、ほたるんは死んだわ」

蛍「えー!?いやー!!木刀とか鞭とかで叩かれるんですかー!?」

れんげ「ほたるん!!」

蛍「れ、れんちゃん……」

れんげ「ドンマイっ」

蛍「……」

小鞠「かず姉、これ日曜日にやるって書いてるけど……私、予定が……」

一穂「出場拒否はみとめませーん」

夏海「なにするのか何にも書いてないけどな」

グレーテル「ゲリラ戦だから、きっと隠れたり、撃ったりするのね」

夏海「隠れるのはいいけど、撃ったりってどういうこと?」

グレーテル「イカおばさんの考えたことなのよ?撃つって一つしかないじゃない」

ヘンゼル「当たれば即昇天するような快楽を与えられるんだよ……ふふふ……」

夏海「よくわかんないけどやだなぁ……」

放課後 通学路

ヘンゼル「このクレイモア、どこに仕掛けよう、姉様?」

グレーテル「人通りの多いところがいいわ、兄様」

ヘンゼル「この村に人通りの多いところなんてあるの?」

グレーテル「……ないわね」

小鞠「ちょっと、やっぱりそのクレモアイって危ないんでしょ?」

蛍「どうして私が……私が……」

れんげ「ほたるん、元気だすのん」

ダッチ「よぉ。楽しそうだな。その一時を俺にも分けてくれるか?」

レンゲ「ダッチん。にゃんぱすー」

ヘンゼル「黒ダコだ」

グレーテル「黒ダコさん、ごきげんよう」

小鞠「失礼だって!!」

夏海「ダッチおじさん、これ知ってる?真夏のゲリラ戦」

ダッチ「ああ。俺も呼ばれたからな。これも10年ぶりぐらいか……」

れんげ「ダッチん、これがなんのかしってるのん?」

ダッチ「まぁな。まだ俺がダイコンの野郎といがみ合ってるときだったか……」

夏海「結局さぁ、これなにすんの?」

ダッチ「それはなぁ……トップシークレットだ」

れんげ「ダッチんまでいじわるなのん!!」

ダッチ「秘密ってのはよ、隠しておくから面白くなるんだろ?」

小鞠「それはそうかもしれないけど」

ヘンゼル「タコのくせにー」

グレーテル「タコなんだから海にいけー」

ダッチ「てめぇら、鍬の錆になりてぇのか?」

グレーテル「きゃーこわい。ママにいいつけなきゃ」

ヘンゼル「姉様、行こう!」

ダッチ「ったく。クレイモアや自作手榴弾を持ち歩くような悪魔に怖いっていわれたら、俺も終わりだな」

れんげ「ダッチん。教えてほしいのん」

ダッチ「どうせ日曜日にはわかるんだ。それまで寝てまっとけ、宮内のお嬢よ。焦ったって時間はすすまねえだろ?」

小鞠「ダッチおじさんも意味深なことしか言わなかったし、なんだか怖くなってきたね……」

蛍「せんぱぁい、わたし、わたしがわるいんですかぁ?私がなにか粗相を……」

小鞠「そんなことないって。蛍は何もしてないから」

蛍「本当ですかぁ?本当ですかぁ?」

小鞠「ホント、ホント。……多分」

蛍「えーん……」

夏海「強制参加ってことはきっとイカちんが家に乗り込んでくるんじゃない?」

蛍「えー!?こまります!!」

れんげ「イカちんが家にくるのん!?」

小鞠「うーん。結構な迫力があるから、家に来られると怖いような……」

夏海「姉ちゃん、日曜日は居留守しよう」

小鞠「できるかなぁ」

蛍「そんなぁ!!先輩も必ずきてください!!」

小鞠「あー、うん。そうだね。蛍が困るよね」

れんげ(大変なことになりそうなのん……)

宮内家

一穂「ただいまぁ」

れんげ「ねぇねぇ」

一穂「ごはんにしようね」

れんげ「ねぇねぇ」

一穂「ん?どうした?」

れんげ「日曜日、なにがあるのん?ウチ、すごく気になってます」

一穂「……」

れんげ「教えてほしいのん!!」

一穂「そうだね。ちょっと早いけど、れんちょんにも渡しておかないとね」

れんげ「なになに!?何をくれるのん!?」

一穂「――これよ」チャカ

れんげ「え……」

一穂「れんちょん、持ってみ。今から手に馴染ませておかないとねぇ……」

れんげ「ねぇねぇ……?」

駄菓子屋

楓「……」

ロック「決めたのかい?」

楓「出ないと、れんげを守れないだろ」

ロック「レヴィから話は聞いてる。俺が代わりに参加してもいいけど」

楓「お前、慣れてないだろ?」

ロック「それは……」

楓「だったら、無理だ」

ロック「でも、今回は俺も呼ばれてる」

楓「だからなんだよ。お前じゃれんげたちを守れないだろ。それに岡島はレヴィ側なんだから、余計な気は回さなくていい」

ロック「そうか……悪かった」

楓「あたしと一穂先輩でどうにかやるよ」

ロック「そうかい」

楓「それで、何を買っていくんだ?話に来ただけなんてゆるさねえからな」

ロック「それじゃあ……うまい棒のコーンポタージュを一つもらおうか」

日曜日 朝

ピンポーン

一穂「……来ちゃったかぁ」

れんげ「ん……?ねぇねぇ……?イカちん、きたのん?」

一穂「みたいだねぇ」

バラライカ「――準備はできたか?」

一穂「待ってください。今、着替えますから」

バラライカ「早くしろ」

一穂「れんちょん、着替えて」

れんげ「わかったのん」

バラライカ「ふぅー……。れんげには説明をしたのか」

一穂「はい」

バラライカ「そうか……」

一穂「楓も来るんですか?」

バラライカ「随分、迷っていたようだがな。奴もれんげがいるのでは、出ないわけにはいくまい」

川辺

バラライカ「整列!!」

小鞠「は、はい!!」

夏海「ふわぁぁ……」

ボリス「大尉殿の前では慎め」

夏海「は、はい!!すいません!!」

蛍「あ、あの!!私、謝りますから!!先輩だけは!!許してあげてください!!」

バラライカ「黙れ。貴様たちは既に兵隊だ。許しを乞うのなら、神に乞え」

蛍「そ、そんな……」

ヘンゼル「姉様、クレイモアの威力を今日試せるね」

グレーテル「そうね、兄様。みんながはじけ飛ぶ様を想像してたら興奮しちゃうわ」

レヴィ「お前ら、何もってきてんだよ。ここで許されるのは、これだけだ」チャカ

ヘンゼル「えー?」

グレーテル「つまんなーい」

れんげ「ウチ、もうもってるのん!!ねぇねぇからもらったのーん!!」

バラライカ「今からここは戦場と化す。これは演習ではない。繰り返す、演習ではない」

ボリス「まずは弾を籠めろ」

小鞠「た、弾ですか?」

バラライカ「すぐそこに水は腐るほどあるだろう。さっさとこめろ!!!」

小鞠「はい!!ごめんなさい!!!」

れんげ「ウチ、もうこめてるのん!!」ピューッ

楓「れんげ。お前、そんなショボい銃で大丈夫か?」

れんげ「大丈夫なのん!!ちゃんと練習もしたん!!」

レヴィ「一穂の姉御に教えてもらったのかよ。ふぅー……、こりゃつまらないことにはならねえな」

ロック「レヴィ。その銃はかなり威力があるんだ。本気は出すなよ」

レヴィ「ヘイヘイヘイ、ロック。窮鼠に噛まれるような間抜けになりてぇのかよ。あたしはそんなのごめんだからな」

小鞠「うーん。うまく、水がはいらないよ」

ダッチ「これを使いな。弾はたらふく詰まってる」

小鞠「ありがとう、ダッチおじさん」

ダッチ「気にすんな。もう時期、撃って撃たれてを繰り返すだけになるんだ。これぐらいなら悪魔も苦笑いで済ませてくれる」

バラライカ「弾は詰めたか?」

蛍「は、はい」

バラライカ「撃つ覚悟はできたか?」

夏海「で、できてます!!」

バラライカ「ならば、撃鉄を起こせ!!引き金に指をかけ、撃つ相手の顔を覚えろ!!!」

小鞠「う、撃つ相手って……」

レヴィ「小鞠、夏海、れんげ。そして蛍」

蛍「な、なんでしょうか!!」

レヴィ「常に背中を気にしてろ。少しでも気を緩めたら、ズドンっといくからよ」

蛍「ひぃ……せんぱぁい……」

小鞠「大丈夫だって。水鉄砲なんだし」

レヴィ「ヘイヘイ、小鞠。おまえ、何もわかってねえなぁ。バラライカの姉御が考えたゲームだぜ?普通じゃねえにきまってんだろ?」

小鞠「え?え?」

バラライカ「それでは戦争の決まり事を説明する。どんな手段を用いても構わない。相手を撃ち殺せ。以上だ」

れんげ「うつのん!!」ピューッ

ヘンゼル「何を大げさにいってるんだろうね、姉様?」

グレーテル「そうよね、兄様。こんな水遊びなんかで本気になって、更年期障害かしら?」

バラライカ「……クソガキども。祈れ。お前たちにできるのは、それだけだ」

グレーテル「なによ」

ボリス「では、一回戦。はじめ」

蛍「唐突に始まっちゃった!?」

バラライカ「死ね!!!!腐れ豚がぁ!!!!」バシューッ!!!!

ヘンゼル「ぶわっ!?」

グレーテル「兄様ぁ!!!なにするのよ、このイカババア!!」

バラライカ「容赦はせんぞ!!!」バシューッ!!!!

グレーテル「きゃぁー!!!!」

小鞠「大丈夫!?」

レヴィ「小鞠、他人の心配してる場合かよ?」チャカ

小鞠「しまっ……!!」

レヴィ「ケツをしっかり閉めとけよ!!!ハッハー!!!」

楓「させるか!!」バシュッ!!!

レヴィ「おっと。きたか、姉御。10年前につかなかった決着をここでつけようぜ」

楓「もうしないって思ってた……。そんな年齢じゃないしな……」

レヴィ「隠居した気でいるのかよ?いっとくが、姉御の両手はまだハジキのことを覚えてるみたいだぜ?」

楓「覚えてねえよ!!」バシュッ!!!

レヴィ「どっちが二挺拳銃として上なのか、はっきりさせてやるぜ!!!」バシュッ!!!

ロック「レヴィ……」

ダッチ「レヴィはこの日を待ち望んでたからな。イエス様にも願掛けする勢いでな」

蛍「あぁぁ……」

バラライカ「次は貴様だ、蛍」

蛍「ど、どうして……」

バラライカ「この村にきたのが運の尽きだ。いい声で鳴け。お前の悲鳴は良いラプソディになるだろう」

蛍「ひぃぃ……」

夏海「ほたるーん!!!今助けるからー!!」

小鞠「蛍は守る!!!年上として守る!!!」

バラライカ「やかましい!!!!」バシュッ!!!バシュッ!!!

夏海「ぐわぁー」

小鞠「つめたっ!!」

蛍「小鞠先輩!!!」

夏海「ウチは無視!?」

バラライカ「ふぅー……。さぁ、蛍。祈りは終えたか?」

蛍「きゃー!!」

バラライカ「敵に背中を見せるとは素人め」チャカ

れんげ「――イカちん、背中がガラあきなのん」

バラライカ「なに……!?」

れんげ「覚悟するん!」ピューッ

バラライカ「ぐっ……!!!バ、バカな……こんな少年兵ごときに……このフライフェイスが……」

ボリス「大尉殿ー!!!」

れんげ「やった!!イカちん、うったのん!!」

一穂「おー。れんちょん、やるー」

蛍「はぁ……はぁ……。あれ?どうなった――」

レヴィ「おい」グイッ

蛍「え……?」

レヴィ「それ以上いくと、深みに嵌って戻って来れなくなるぞ。溺死が望みなら突き飛ばしてやるけど」

蛍「いえ。そんな、滅相もないです!」

楓「隙ありだ!!」

レヴィ「ちっ……!!」

ダッチ「それはこっちを視界にいれてから言ってくれ」

楓「な……」

ダッチ「水に嫌われたな、楓」バシュッ

楓「つめてっ!!」

レヴィ「ヘイ、ダッチ!!!何勝手なことしてんだよ!!!」

ダッチ「今ので勝負がつくなんて、不本意だろ?だから水を差してやったんだよ」

レヴィ「そりゃあ……まぁ……」

一穂「ウチの教え子を守ってくれてありがとう。でも、戦場では一瞬の気の緩みも許してはならない。そう教えたはずだけど。忘れた?」バシュッ

レヴィ「だぁー!!ひっでぇ!!やめろよなぁ、一穂の姉御ぉ!!」

一穂「だって背中がガラあきだったもんで」

ダッチ「それは俺の台詞にさせてもらってもいいか、ミス一穂」

一穂「……!」

蛍「あ、あぶない!!」ピューッ

ダッチ「ちっ……俺も焼きがまわったか……」

蛍「はぁ……はぁ……。あ、ごめんなさい……」

れんげ「ほたるん!!やったのん!!ほたるんもうったのん!!」

蛍「う、うん、うっちゃったよぉ」

一穂「さてさて、あとは……」

ロック「俺だけか……!!」

れんげ「ロックん、覚悟するん!!」

蛍「あ、えっと……」

一穂「もうどこにも逃げられないねぇ」

ロック「俺だって、銃ぐらいは!!」チャカ

れんげ「――ウチ、ふたりほどやっちまいました」

一穂「上出来、上出来。れんちょん、才能あるよ」

れんげ「ウチ、才能あるん!?」

一穂「ガンマンになれる」

れんげ「ガンマン!!!ウチ、ガンマンなのん!?」

蛍「あの、大丈夫ですか?」

ロック「ああ。問題ないよ。3人に囲まれたら流石に逃げられないか」

レヴィ「だっせぇ。そんなだからいつまでもホワイトカラーが脱げないんだよ」

ロック「別にいいだろ」

レヴィ「あたしの買ったアロハも全然きねえしよ」

ロック「こんな場所であんな悪趣味なの着てたら、変に目立つっていってるだろ」

レヴィ「あぁ!?うっせんだよぉ!!!!死ね、おらぁ!!!!」バシュッ!!!!

ロック「ぐわっ!!」

バラライカ「おい。二回戦はまだ始まっていないぞ。まぁ、いい。二回戦を始めるか」

グレーテル「……ふふ。イカババアを開幕射撃で……」チャカ

ボリス「――大尉殿、そろそろ」

バラライカ「そうか。同志軍曹、私の戦績は?」

ボリス「射殺した人数は30人。その内訳はグレーテル15、ヘンゼル15です」

バラライカ「まずまずか」

グレーテル「兄様……」

ヘンゼル「姉様……」

夏海「グレとヘン、びしょびしょだ」

グレーテル「もう、パンツまで濡れてるわ」

小鞠「今日は暑いし、風邪をひくことはないと思うけど」

レヴィ「おらぁ、タオルくばっから、体拭け」

楓「こっちこーい」

れんげ「駄菓子屋ー!!」テテテッ

楓「おう。じっとしてろ」

蛍「はぁ……あの、このイベントって……?」

一穂「ん?それはバラライカさんにきいてごらん」

バラライカ「軍曹、私の髪を丁寧に拭いてくれ」

ボリス「はっ」

蛍「あ、あのぉ……」

バラライカ「なんだ?畏まる必要はない。互いの銃弾を腹に受けた者同士、クソすらも隠すような仲ではない」

蛍「えっと、このイベントはどうして……」

バラライカ「ふぅー……。お前が来たからだ」

蛍「私が……ですか?」

バラライカ「私は新参者のガキとは銃弾を交わすことにしてる。そうすることで見えてくるものが多くあるからな」

蛍「は、はぁ……」

ボリス「つまり、大尉殿は新しく越してきたものと交友を深めたいと――」

バラライカ「こら、軍曹!詳しい説明はしなくていいといってる!!」

ボリス「申し訳ありません」

蛍「あ、あの……ありがとうございます!!とっても楽しかったです!!」

バラライカ「ふん。勘違いするな。貴様のためではない」

蛍「え?」

小鞠「そっか、イカさんは蛍と遊びたかったんだ」

夏海「素直にあそぼーっていえばいいのに」

一穂「あの人は素直じゃないからねぇ」

れんげ「駄菓子屋はどうして参加したのん?」

楓「川辺で遊ぶなら何人か大人がいないと危ないだろ」

レヴィ「てめぇのケツぐらいてめぇで拭けよな」

楓「お前だって、前にやったときは大人がいっぱいいただろ」

レヴィ「あぁ!?あたしはずっと1人でやってきただろうがよぉ」

バラライカ「宮内夫妻と越谷夫妻がいたはずだが」

レヴィ「うっせぇ!!!」

れんげ「駄菓子屋、レヴィちん」

楓「なんだ?」

れんげ「今日はたのしかったのん。守ってくれて、うれしかったのん」

楓「そうか」

レヴィ「けっ。そのゆるい顔が癪に障るんだよ。しっかり引き締めとけよ。これだからガキは嫌いだ」

バラライカ「整列!!!」

夏海「はぁい!!」

バラライカ「真夏のゲリラ戦はこれで終戦とする!!引き金を引いたことで生まれた犠牲を胸に刻み、野に積まれた屍を越え、明日を生きろ!!!」

小鞠「わ、わかりましたぁ!!」

バラライカ「以上!!!解散!!!」

ダッチ「久々だから腰にきたな……。ロック、戻ったら湿布はってくれ。飛び切り極上のやつをな」

ロック「オーライ」

蛍「最初はずっとドキドキしてたけど、本当に楽しかったぁ」

楓「次はいつやるんだろうな」

レヴィ「姉御。あたしとサシでやろうぜ」

楓「やるかよ。年齢を考えろって」

レヴィ「あんたの宝がどうなってもいいのか?」チャカ

れんげ「駄菓子屋ー、たすけてなのーん」

楓「……好きにしろよ」

レヴィ「そりゃねえだろ、姉御。薄情すぎんぞ、こらぁ」

れんげ「駄菓子屋、薄情なのん」

レヴィ「ここがロアナプラなら、れんげの頭なんざ握りつぶしたトマトみてぇになってるぞ」

楓「はいはい。気が向いたらな」

レヴィ「マジかよ!!ヒャッホー!!!」

楓「お前、ちょっとは成長しろよな」

れんげ「レヴィちん、レヴィちん」

レヴィ「んだよ?」

れんげ「ロアナプラってウチの頭がトマトになるん!?」

レヴィ「なるな。というか、さっきのゲリラ戦が毎日起こってるような場所がロアナプラなんだよ」

れんげ「そうなのん!?」

レヴィ「そうなのん」

夏海「レヴィちん、訛ったー」

レヴィ「なっ……。ちっ。お前は喋んな。耳障りなんだ、クソガキ」

小鞠「い、今更すぎる」

蛍「できればまたしたいですね。真夏のゲリラ戦」

駄菓子屋

ソーヤー「……」ガチャガチャ

小鞠「ソーヤーちゃん。こんにちはー」

ソーヤー「こ……ん……は……」

夏海「相変わらず目は合わせてくれないなぁ」

楓「悪いな、ソーヤー。店任せて。何か欲しいものあったら言ってくれ」

ソーヤー「……」コクッ

小鞠「ソーヤーちゃん、店番してたんだ……」

レヴィ「次はこいつで勝負するか」チャカ

一穂「ほぉー。やっぱり、目の付け所がちがうねぇ」

レヴィ「一穂の姉御に言われると嫌味にしかきこえねえよ」

一穂「あはは」

れんげ「駄菓子屋、またゲリラ戦やるのん?」

楓「え?さぁな……。やりたい奴が増えれば定期的にするんじゃないか?」

蛍「本当ですか!?わーい、たのしみですぅ」

夏海「ウチもやりたい!!姉ちゃんもやりたいっていってるし!!」

小鞠「勝手にきめるなぁ!!……別にみんながするならするけど」

ヘンゼル「僕はもう嫌だよ。あ、でも、クレイモアを使わせてくれたら考えてもいいかな」

グレーテル「次やるときは水着でしないと。学校指定の水着はかっこ悪いけど、ママがかってくれないし……」

レヴィ「こんだけ面子がいりゃぁ、何でもできるな。血がさわぐぜ」

一穂「はいはい。あんたは銃さえ握れたらなんでもいいわけだからね」

蛍「れんちゃん、また一緒にしようね」

れんげ「こんなにみんながゲリラ戦をやりたがるなんて……。もしかしてウチは……」

楓「どうした?」

れんげ「もしかしてウチは、ロアナプラにすんでるのん?」

レヴィ「……やっと気づいたか、れんげ。そうだぜ。ハイエナどもが身を潜め、糞がへばりついたような空気を吸って生きてるんだ。まともなやつぁ1人もいねえよ」

れんげ「やっぱり!!!ここがロアナプラなのん!!!ちょっとすっきり」

楓「いや、違うから」

れんげ「え?ウチ、ロアナプラにすんでないのん!?」


おしまい

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