八幡「また俺の妹が小町じゃないんだが」 (548)

八幡(中学時代、俺はとある女子に告白し、そして呆気無く散り去った)

八幡(わかってたさ、俺がそんな色恋沙汰に縁のない人間だったことくらい)

八幡(いつからだっただろうか、俺が人間関係に期待を持たなくなったのは)

八幡(自他共に認めるボッチ…と言うか、ボッチなんだから周りが認めるだの認めないだのはない
   んだが)

八幡(ともかく、俺が自分でそう思い始めてから、いつの間にか一年半以上もの月日が流れていた)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1386075307

美也「にぃに、起きてるー?」

八幡「起きてるよ」

美也「あ、珍しい、にぃにもう朝ごはんできてるからね」

八幡「ありがとうよ」

美也「それとみゃーは先行くからねー」

八幡「おう、行ってら」

美也「じゃあね、遅刻しちゃだめだよー」

八幡「はいはい」

八幡(お前はその寝癖みたいなのをなんとかしてから行けってのに)

八幡(…学校行くか)

―教室―

八幡「……」

八幡(いつもどおりだな、俺はクラスメイトGあたりを適当に演じてればそれでオールオッケー、いるだろ?背景で
   なぜかいっつも寝てる奴、あんな感じ)

絢辻「比企谷くん」

八幡「…」

絢辻「ねぇ、比企谷くん」

八幡「…」

絢辻「ちょっと、聞こえてる?」

八幡「うおっ」

八幡(イヤホンしてたから全然気が付かなかった)

絢辻「進路希望書、出してないのあなただけよ?」

八幡「あっはい、すいません」

絢辻「今日中にお願いね?」

八幡「あぁ、俺自分で出しに行くから、だ、大丈夫です」

絢辻「そう?じゃあそうしてくれるかな」

八幡「はい」

絢辻「それじゃあ」

八幡「はい」

八幡(あー、ビビった、いきなり話しかけて来るなよな)

八幡(…飲みもん買いに行こう)

―自販機前―

八幡(何故かこの学校の自販機にはMAXコーヒーがない)

八幡(しょうがない、このパンダココアに…)

梨穂子「あっ…」

八幡「おっあ!」

八幡(やっべ、金入れるタイミング被っちゃったよ、つーか手が触れ)

梨穂子「あ、八幡」

八幡「へ?」

梨穂子「あ…えぇーっとぉ…」

八幡「…」

梨穂子「…?どうしたの?」

八幡「いや…別に」

八幡(桜井梨穂子、そういや同じ高校だったな、まぁ家近いし、当然ちゃ当然か)

梨穂子「どうしたの?買わないの?」

八幡「いや、別に俺は…」

梨穂子「それじゃあ私先に買うねー」

八幡「あっはい」

梨穂子「もぉ、なんで敬語なの?」

八幡(なぜコイツは昔遊んでいたからという理由だけでこんなに俺に馴れ馴れしいんだよ)

八幡「いや、別に」

梨穂子「変な八幡、じゃあ私先戻るねー」

八幡「…」

八幡(俺も戻ろうか)

八幡(…で)

薫「これ」

八幡「は?」

薫「なにすっとぼけた顔してんのよ、借りてた消しゴム」

八幡「あぁ」

八幡(棚町薫、高校に入学してすぐゲーセンで遭遇した奴、なぜか俺がプレイしていたファイナルファイトに乱入し
   てきたよくわからん女、どうやら摩天楼のエレベーターステージを見たのが始めてだったらしく思わず100円
   を投入してしまったらしい、なにそれ怖い)

~~~~~~~~~~~~~~~

薫「別に同じ高校なんだからいいよねー」

八幡「あ…ええ」

~~~~~~~~~~~~~~~

八幡(まったく、リア充のすることはわからん)

薫「相変わらず辛気臭い顔してるわねー」

八幡「ほっとけ」

薫「そんなんだから友達も出来ないんじゃないの?」

八幡「まぁな、でも別に迷惑かけてないだろ」

薫「そうだけどさー」

八幡「つーかこんなちっちゃくなってんの使えねぇよ」

薫「あ、せっかく帰してあげたのに」

八幡「いらん、捨てろ」

薫「かわいくないなー」  

―休み時間―

八幡(購買にやってきたわけだが…)

ワーワーワー

八幡(相変わらずの混みっぷりだな、ま、俺はここに飛び込んでまでパンが食いたいわけじゃないから最後に余った
   のを適当に摘めば…)

中多「あ…」

八幡(…なんで俺の横に並ぶの?つーかなにぴょこぴょこやってんだよ)

中多「…うっ」

八幡(おー、頑張れ頑張れ、その中に飛び込んでこそ勝ち取れる物もある)

中多「…」

八幡(『シュン』とか聞こえてきそうなしょげっぷりだな、っつーかお前何処行くんだよ、待ってねぇと…っと、言
   ってる間空いてきた)

八幡「あのー、これとこれ…はい」

おばちゃん「310円だよー、いっつも余り物ばっか買いに来るねー、覚えちゃったよ」

八幡「あっ、そうですか」

八幡(まさか俺の顔を覚えるとは、このおばちゃん中々…あ、戻ってきた)

中多「あっ…あの」

おばちゃん「ごめんねーもう売り切れちゃったよー」

中多「えっ…」

おばちゃん「あのお兄さんで最後だったんだよねー」

中多「……」

八幡(なぜ俺を見る……はぁ)

八幡「100円な」

中多「あっ…ありがとう…ございます」

八幡「お、おう」

―体育館裏―

八幡(やはりここはいいな、静かで)

八幡「…あ」

ぷー「にゃお」

八幡「何だお前、やけに人懐っこいな」

ぷー「なん」

八幡「うりうり」

ぷー「なーん」

八幡(かわいい)

七咲「あの」

八幡「…え?俺?」

七咲「はい、他に誰がいるんですか」

八幡(そうですね)

七咲「このへんに猫がいま…」

ぷー「にゃ?」

七咲「あっ」

八幡「…?」

七咲「捕まえてください!」

八幡「おっおう!」

ぷー「なーお」

八幡「は…はい」

七咲「あぁ、助かりました、ありがとうございます」

八幡「いや、別に」

七咲「それでは」

八幡「…」

八幡(…パンツ?水着だったか?)

―体育館―

八幡(体育か、しかしなぜバドミントンなんて壁打ちの出来ない競技を…)

森島「ねぇ、君」

八幡「…」

森島「ねぇ、そこの壁に寄りかかってる君」

八幡「…おあっ!びっくりしたぁ」

八幡(俺今日何回これやってんだよ…あ、コイツ知ってんぞ、確か三年の)

森島「ねぇ、このクラスの女の子はどこ?」

八幡「はぁ、多分校庭じゃないんすか?」

森島「そっか、ありがとね」

八幡「はい」

森島「君はやらないの?」

八幡「は?」

森島「バドミントン」

八幡「あぁ、まぁ相手が居ないんで」

森島「へぇー、なんかかわいそうだね」

八幡「そうすか」

八幡(ぐっ、ムカつくぜ、何がムカつくって本当に可哀想だと思ってる所がムカつくんだよな、顔でわかるんだ
   よ、マジで心配してる奴とからかいに来てる奴、コイツは前者だな)

森島「…ねぇ」

八幡「なんすか」

森島「今度私と一緒にやろうよ」

八幡「はい?」

森島「それじゃあ私行くから、またね?クマくん」

八幡「あ…」

八幡(…なんだありゃ、つーかクマくんって、目のクマのことか?昨日は徹夜で本読んでたからかな)

―自宅―

八幡(ふぅ、疲れた)

八幡「ただいまー」

美也「あーしにぃにおかえりー」

八幡「なんだ、随分早いんだな」

美也「にしし、今日は用事がなかったからにぃにと一緒にご飯食べようと思ってねー」

八幡「嬉しいこと言ってくれんな」

美也「うわー!頭なでないでよー!髪の毛崩れるー!」

八幡「バカ、最初から崩れてんだろうが」

美也「あ!にぃにがみゃーの髪型バカにした!」

八幡「ごめんごめん、じゃあ行こうぜ」

美也「…?どこに?」

八幡「家で食うにも、外食するにも、とりあえず外でないとだめだろ」

美也「あ、そだねー」

八幡(天然め)

美也「それじゃあ上着持ってくるねー」

八幡「おう」

チュートリアル終了、次回から本編の始まり、アニメ方式で行くからラブリーからね

それじゃあ見てくれた人ありがとう、おつかれちゃん

ごめん、嘘ついた

ちょっとだけ書かせて

=森島はるか編=

―登校中―

八幡(今日はやけに早く起きれたな)

八幡「…」

八幡(自転車はいいな、このすいすい進む感じがたまらん)

八幡「ひーめひめ…」

森島「ふんふーん」

八幡「あっ…」

八幡(昨日の…つーか知り合うと今まで見向きもしなかったやつが目についちゃうんだよな)

八幡(…ま、スルーで)

森島「…あ、昨日の一人ぼっちくん」

八幡「…え?」

八幡(何そのウシジマくんのサブタイみたいな呼び方、ヤミ金くん編は最後の社長のシーンでなんとも言えない気持ち
   になるよな、たしか原子力発電所に飛ばされるんだっけか)

森島「ちょっと待ってよ」

八幡「…なんすか」

森島「君、一人で行くの?」

八幡「はぁ、まぁ」

森島「なら一緒に行かない?」

八幡「…はい?」

森島「今日は響ちゃんが先に行っちゃったから一人なんだー」

八幡「そうすか、それじゃあ頑張ってください」

森島「え!ちょっとぉ!イジワル禁止!」

八幡「…はぁ、わかりましたよ」

八幡(…まぁ断る理由もないしな)

森島「君はいつも自転車なの?」

八幡「まぁ、そうですけど」

森島「ふぅーん、なんで誰かと一緒に行かないの?」

八幡「いや、一緒に行く人がいないだけで」

森島「そうなんだ」

八幡「はぁ」

森島「…」

八幡「…」

森島「君、無口なんだね」

八幡「まぁ、変に口開いて逆にいらないこと言うのも嫌ですし」

森島「でも私と話す男の子は色々話してくれたよ?」

八幡「知らないっすよ、それじゃあその喋ってくれる男と一緒に学校行けばいいじゃないですか」

森島「またそうやってイジワル言うんだから~」

八幡「別にイジワルじゃないっすよ」

森島「…でもグッド!

八幡「なにがです?」

森島「静かに歩くのもいいよね、朝から色々言われるのも疲れちゃうからさ、私逃げちゃうんだよねっ」

八幡「じゃあ俺でよかったじゃないすか」

森島「でも君は喋らなすぎ、もうちょっと話したいな」

八幡「…何か聞かれれば答えますよ」

森島「ホント?じゃあなに聞いちゃおうかな~」

八幡(元気な人だな)

―昼休み―

八幡(ここに来て、やっとパンダココアも悪くないかなと思い始めた)

八幡「……っはぁ………ふぅ」

八幡(うん、悪くない)

八幡「……」

森島「…」

八幡「…なにしてんすか」

森島「んーん、なんにも」

八幡「はぁ」

八幡(いつの間にいたんだよ、リュウ・ハヤブサですか?つーかアイツ本当に忍者かよ)

森島「さっきまで校庭で馬跳びやってたんだ」

八幡「へぇ、楽しかったすか?」

森島「まぁね、久しぶりにやったら結構楽しかったよ」

八幡「そうすか」

森島「…君もやる?」

八幡「はぁ?」

森島「よし!やろう馬跳び!」

八幡「いや、何いってんすか、だいたいこんなとこで馬跳びとか」

森島「いいからいいから!ほら!」

八幡「ちょっ、引っ張らないでくださいよ」

森島「はい、じゃあまず君から…って、名前なんて言うの?」

八幡「比企谷っす」

森島「じゃあヒッキーだねっ」

八幡(なんでだよ)

森島「はいヒッキー!ちゃんと屈んで!」

八幡「あぁ、はい」

八幡(すっごい恥ずかしい)

森島「いっくよー!」

八幡「はい」

森島「…よっ!」

八幡「うおっ」

森島「っと、グッド!成功!」

八幡(それなんなんだよ、ルー大柴?布束さん?)

森島「じゃあ次はヒッキーの番だね」

八幡「いや、俺はいいですって」

森島「早く飛ばないと怒るよ?」

八幡(怖いよ)

八幡「は…はい、じゃあ行きまーす」

森島「はい!カモンカモーン!」

八幡「よっ……と」

森島「いい感じ!」

八幡「そうですか」

八幡(俺は一体何をしてるんだ)

―数日後―

八幡「……」

薫「…ねぇ」

八幡「んあ?…なんだ、棚町か」

薫「なんか最近、アンタの噂をよく聞くんだけど」

八幡「はぁ?俺が噂になるようなことしてるわけねぇだろ」

薫「いや私もそう思うんだけどさ」

八幡「…?」

薫「なんかアンタと三年の森島先輩と仲良くしてるのを見たって人が結構居てさ」

八幡「…はい?」

薫「気をつけなよー?アンタも森島先輩が人気なことくらいは知ってるでしょ?」

八幡「あーあぁ、まぁ」

薫「学園のマドンナとアンタじゃ釣り合わなすぎるって言う人がいるらしくってさ、しかも釣れない態度だからって
  さらに嫉妬してるらしいよ?」

八幡「…そうか」

薫「しっかし意外ねー」

八幡「なにが」

薫「まさかアンタが森島先輩と一緒にいることがあるだなんて、一体どんな魔法を使ったのよ」

八幡「別に、あの人が絡んでくるだけだ」

薫「まぁあの人から見ればアンタみたいなのは珍しいかもね」

八幡「ん、まぁありがとな」

薫「いいってことよ」

八幡「……」

―昼休み―

八幡「…」

森島「あ、また一人で食べてる」

八幡「…今日はどうしたんすか」

森島「君が寂しいかなーって思ってさ、来てあげたの」

八幡「別に頼んでないっすよ」

森島「でもここにいるじゃない」

八幡「それは…他に行く所ないからっすよ」

森島「こらっ、イジワル禁止」

八幡「…すいません」

森島「なんか疲れると君のところに来ちゃうんだよね」

八幡(この人は無意識で言ってるんだろうが、その発言は困るんだよな、主に俺のリビドー的に)

八幡「保健室かどっかで寝ればいいじゃないすか」

森島「それだと響ちゃんに見つかって連れ戻されちゃうの」

八幡「…先輩の話にはちょいちょいその人出てきますよね、その人と一緒にいればいいじゃないすか」

森島「いつもはそうしてるよ?でも今日は水泳部の後輩ちゃんの練習に付き合って…あ!」

八幡「なんすか」

森島「君も女の子の水着姿には興味あるよねっ」

八幡「はぁ、まぁそれなりには」

森島「よーし!じゃあ見に行こう!」

八幡「無理です」

森島「えー、なんでー」

八幡「いや、女子水泳部が練習してるプールなんて行ったら俺捕まっちゃいますよ」

森島「大丈夫!ばれないってば!」

八幡「そうじゃなくて」

森島「はい、とりあえず行くからね、ほら早く!」

八幡「ちょっ、手をつかむなってのに」

八幡(…で)

森島「そーっとね?そーっと」

八幡「なぜ俺まで、ってかこれ以上進むのはやばい」

森島「…あれ?なんで来ないの?」

八幡「それは生徒手帳を読めばわかるかと」

森島「えぇー、めんどくさいよー」

八幡「とりあえず俺は…」

ガサッ

八幡「…ん?」

森島「…どうしたの?」

八幡「いや、今そこに人が…」

森島「…?いないよ?」

八幡「でも確かに」

森島「気のせいじゃないの?それよりほらっ」

響「はるか?」

森島「ぎくっ」

響「あなた、ここでなにして…あら」

八幡「ど…どうも」

響「…はぁ、この子がはるかのお気に入りの比企が」

森島「あー!響ちゃんストップ!ストーップ!」

八幡「…俺もう帰っていいですかね」

響「ええ、ごめんなさいね、はるかに付きあわせてしまって」

八幡「はぁ、大丈夫ですよ」

森島「ヒッキー逃げるの!?」

八幡「いや、そもそも」

響「ほら、はるか来なさい」

森島「あぁ~ん!響ちゃんのいけずぅ~」

八幡「……」

八幡(…嫌な予感がするな)

―翌日―

八幡「……」

薫「あっ、八幡」

八幡「あーどうし……」

クラス一同「………」

薫「これ、どうしたの?」

八幡「……どうしたもこうしたも、こうして映ってんのが事実なんだろうよ」

薫「でもこれ、誰かと話してるように見えるんだけど」

八幡「…いいや、誰も居なかった」

八幡(そこにあったのは、何枚もの俺の写真だった)

八幡(なにがまずいって?俺がプールの前でキョロキョロしているところがだよ)

八幡(全くいい腕のカメラマンだ、プールのガラス越しにしっかり女子生徒の姿が映ってやがるぜ)

薫「アンタ…」

八幡「なんだよ」

薫「ほんっとうに、覗いてたの?」

八幡「…あぁ」

薫「……そっか」

八幡(いずれこうなるとは思っていたが…いや、むしろ遅すぎるくらいだぜ、よくここまで待てたもんだ)

―放課後―

八幡(…まさか俺がこんなに注目される日が来るとはな、びっくりだな、あまりにも緊張しすぎて汗とか凄い、もう
   この手汗は能力者と言っても良いレベル)

八幡「…」

八幡(そろそろ来るか)

森島「あ、ヒッキー」

八幡「…うす」

八幡(しかし、かなり蔓延してると思ったんだが先輩本人の耳に届いてないところを見ると所詮は俺って感じがするな)

森島「どうしたの?君から呼び出すなんて珍しいねっ」

八幡「ちょっと話が

森島「お話?なにかな」

八幡「いや、俺先輩のこと好きなんすよ」

森島「…え?」

八幡「付き合ってもらえますか」

森島「ちょちょちょ…いきなりなにを言うのさ君は」

八幡「今ここで答えをくれませんかね」

森島「…そんないきなり言われても…ねっ?」

八幡「それは拒否ととっていいんですよね」

森島「あ…うん、まぁ今はそ」

八幡「わかりました、それじゃあ」

森島「あっ…」

森島「……」

―翌日―

八幡「……」

ヒソヒソ

八幡(おぉ、さすが学園のマドンナ、彼女が絡むと俺事でも情報の伝達が早いね)

八幡(しっかし、のぞきフラれ野郎か…もうちょいひねれよ)

美也「あ、にぃに」

八幡「よぉ、今日は先に出てたんだな」

美也「うん…ってそうじゃなくてさ」

八幡「なんだ?」

美也「あの写真と噂…」

八幡「あーあぁ、悪いな美也、やらかしちまったよ」

美也「嘘…だよね」

八幡「妹のお前にはホント申し訳ないと思っているが、まぁお前と兄弟だと知ってるのは多分櫻井くらいだろうし、
   アイツは多分他の奴に言いふらしたりしないと思うから大じ」

美也「にぃにのバカ!」

八幡「…ホントすま」

美也「そうじゃなくて!」

八幡「…?」

美也「なんで嘘つくの?お兄ちゃんみたいなヘタレさんがそんなことするわけないじゃん」

八幡「俺もそう思ってたんだがな」

美也「…本当にいいの?」

八幡「…ま、お前が分かってくれてるだけでも俺は嬉しいよ」

美也「あぅ…」

八幡「ほれ、こんなとこで俺と話してんの見られたらバレるぞ、先行け」

美也「…やだ」

八幡「…?なぜ」

美也「…別に美也はにぃにの妹ってバレてもいいもん」

八幡「……すまんな、それだけはだめだ」

美也「なん」

八幡「じゃあ、俺行くわ」

美也「にぃに!待って…」

―昼休み―

八幡(さてと、これでオッケー、あとは噂が風化するまでひっそりと暮らせばオッケー)

八幡(なに、散々味わったことだ、別に何も痛くない、俺はな)

八幡(…美也には本当に悪いことしたな…帰りにケーキでも買って帰るかな)

八幡「…」

八幡(しかし、あの場所はダメだと思ったからと言って、校庭の倉庫の裏はやりすぎたか?)

八幡(いや、まぁ別に普段なら何言われてもいいんだが、さすがに飯食ってる時くらいは静かにしておきたい)

ピーンポーンパーンポーン

八幡(おっ、予冷が鳴ったな)

八幡「…」

八幡(戻るか)

―放課後―

美也「にぃに」

八幡「ん?んなっ!」

美也「一緒に帰ろっ」

八幡「いやいや、普通に無理でしょ」

美也「ダメ、今日は一緒に帰るんだもーん」

八幡「…はぁ、じゃあ誰か来る前に行こうぜ」

美也「…うん」

八幡「…?どうした」

美也「美也だけじゃないよ」

八幡「はい?」

美也「美也の友達の紗江ちゃんと逢ちゃんには言っちゃったから」

八幡「…生きづらくなるぞ」

美也「大丈夫だよっ、ニシシ」

八幡「ホント、猫みたいな奴だなお前は」

美也「帰ろっか」

八幡「おうよ」

―数日後―

八幡(うーん、この倉庫裏にも慣れてしまったな)

八幡(これが意外と居心地いいんだ、狭いところってのはなんでこんなに落ち着くんだろうな)

八幡「…」

森島「あ!やっと見つけた!」

八幡「…あ」

森島「逃げないで!」

八幡「いや、別に」

森島「逃げちゃだめ」

八幡「…はい」

八幡(つーか、手掴まれてんのに逃げるも逃げないもないでしょうが)

森島「比企谷くん、私は今とっても怒っています」

八幡「なんでです?八つ当たりなら勘弁して下さいよ」

森島「どうして私に相談してくれなかったの?」

八幡「相談?別に相談も何も無いでしょう」

森島「だってあの写真、私とプールに言った時のヤツだよね」

八幡「さぁ、俺は一人でしたし」

森島「ーッ!」

八幡「もういいですか?のぞきふられ野郎といる所を見られたら先輩の株が下がりますよ」

森島「別にそんなの関係ないよ」

八幡「…はい?」

森島「もう少しでクリスマスだね」

八幡「はぁ、そうですね」

森島「……」

八幡「なんですか」

森島「君、好きって言ってくれたよね」

八幡「あぁ、言いましたね」

森島「もう、忘れちゃったの?私の事」

八幡「いいや、忘れるわけないじゃないですか」

森島「でも、もう少しでクリスマスだよ」

八幡「だからなんですか」

森島「…私、君に会えなくてちょっと寂しかったんだけどな」

八幡「…?」

森島「君は…寂しくなかった?」

八幡「ええ、つーかもともと一人でしたし」

森島「…ばか」

八幡「え?」

森島「ばかだよ…君は…」

八幡(…泣いてる)

森島「じゃあね」

八幡「…うす」

―放課後―

八幡(豆腐だっけ、お使い)

響「ちょっと、いいかしら」

八幡「…あ」

響「久しぶりね」

八幡「ええ、二週間ぶりくらいですかね」

響「少し、いいかしら」

八幡「なんですか?あんまし近寄らないほうがいいかと」

響「いいのよ」

八幡「…ま、いいですよ、どうせ暇ですし」

響「それじゃあ、少ししたらプールの前に来てくれるかしら」

八幡「ええ、いいですよ」

響「それじゃあ」

八幡「ええ、またあとで」

八幡(…で)

八幡「なんですか?」

響「ちゃんときたのね」

八幡「まぁ、別に断る理由も少ししかありませんし」

響「少しはあったのに来てくれたのね、ありがとう」

八幡「例を言われるほどではないですよ、それで?」

響「…はるかと、ちゃんと話をして欲しいの」

八幡「どういう意味です?」

響「はるかは、とても後悔しているわ」

八幡「…?」

響「もし私がプールに連れていかなければ、もし私が告白のとき最後まで言葉を言えてればって、毎晩毎晩電話が
  来るの」

八幡「へぇ、意外ですね」

響「そうでしょう?はるかは意外と脆い子なのよ」

八幡「…」

響「今まで、はるかは物事を軽く見すぎていたのね、ふった男子には今まで通りに話しかけて、自分が気づいていない
  ことには全く興味を持たない、可能性と言うものを考えないのよ」

八幡「モテまくって羨ましいことで」

響「いいお灸になったとは思うわ」

八幡「不本意でしたが」

響「でもね」

八幡「…?」

響「少し、お灸が強すぎるんじゃないかしら」

八幡「…」

響「はるかは年上の落ち着いた人が好き、とか言っていたのにね、いつの間にかあなたの話ばっかりしてたわ」

八幡「いつの間に俺は年を食ったんだか」

響「あまりふざけないで聞いてもらえるかしら」

八幡「…」

響「最初はあなたの姿が見えないって嘆いているだけだったのに、噂を聞いた途端毎日血相を変えてあなたのこと探して
  たわ」

八幡「…なんで」

響「なんで?それはあなたが一番知っているでしょ?」

八幡「…まぁ」

響「はるかの友達としてお願いします、話だけでも、聞いてあげてもらえないかしら」

八幡「…それこそさっきの可能性の話になるんじゃないでしょうか」

響「…ふふっ、そうね」

八幡「そうですよ」

響「変な子、でも、はるかが気にかける気も少しわかるわ」

八幡「そうですかね」

響「ええ」

八幡「まぁ、そういうことなんで、俺は」

響「でも、残念、もう呼んでしまってるの」

八幡「んなっ」

響「はるかー?もう出てきていいわよー」

森島「……」

八幡(ちょっと待ってくださいよ、やっぱ年上ってずるい)

響「それじゃあ、私は行くわね」

森島「…うん、ありがとう、響ちゃん」

八幡「…どうしました?なんですか?先輩」

今日はここまで
少しのつもりが普通に書いてしまった

それじゃあ読んでくれた人ありがとう、おつかれちゃーん

どうも、>>1です

少しだけ書いてく、次レスから↓

森島「…比企谷くん」

八幡「はい」

森島「…私、何も考えてなかったよ」

八幡「急にどうしたんです?」

森島「君は私のせいで」

八幡「何言ってるんすか、俺はプール覗いた罰を受けてるだけですよ、むしろ謹慎とかくらわないだけでもラッキー
   ですよ」

森島「…私、嫌だよ」

八幡「…?」

森島「だって、あの時一緒に居たのに、君の中では私は居なかったことになってるなんて」

八幡「…」

森島「私は君と一緒にいた事を無かったことにしたくないの、罰なら一緒に受ける」

八幡「無駄ですよ」

森島「なんで…」

八幡「誤解は解けない、もうそれが答えとして定着してしまったんですから」

森島「そんなの、おかしいよ」

八幡「全くですね、ただおかしくてもそれが常識になっていくんだから驚きですよ」

森島「どうして君はそんな顔をしていられるの?辛くないの?」

八幡「大丈夫ですよ」

森島「…君はふられ野郎って呼ばれてるんだよね」

八幡「ええ、それに覗きもプラスして正解ですけど」

森島「それは私がふっちゃったからなんだよね」

八幡「さぁ、俺は昔にも一度ふられてますし」

森島「でも、もし私が君と付き合ったら二人で覗きカップルになるのかな」

八幡「…そうはならないでしょう」

森島「どうして?」

八幡「あの場に居たのは俺だ」

森島「イジワルは禁止だよ」

八幡「…え?」

八幡(あれ、俺抱きしめられてるの?)

八幡「んなっ!ちょ、ちょっと何してんですか!」

森島「だって、私は君だけが傷つくのは許せないもん」

八幡「だからってこんなことしなくても」

森島「ダメだよ、離したら君はまた逃げちゃうんだもん」

八幡「別に逃げませんよ」

森島「…ダメだよ」

八幡「…」

森島「それにさ」

八幡「…?」

森島「まだ、バドミントンやってないもん」

八幡「よくそんなこと覚えてますね」

森島「でしょ?ま、本当は今思い出したんだけどね」

八幡「正直ですね」

森島「…」

八幡「ちょっと、黙らないでくださいよ」

森島「…もう、逃げない?」

八幡「はいはい、だから離して」

森島「ちゃんと聞いて…ぷっ」

八幡「え?なんすか」

森島「あはははっ!君、顔が真っ赤だよっ!?」

八幡「いや、あたりまえじゃないですか、だから離してって言ってるんですよ」

森島「うーん、どうしよっかなぁ」

八幡「…」

森島「やっぱダメ、だって今の君の顔、今までで一番かわいいんだもん」

八幡「かわいいって…」

森島「だから…だめ」

八幡「んむ…」

八幡(…はぁ、実に困った、どうすんの?またそこにカメラマンがいたら、先輩の立場なくなりますよ)




森島「……いい?離してあげるから、逃げちゃだめだよ?」

八幡「わかってますよ」

森島「はい」

八幡「…っと」

八幡(この人、こういうことがあるから今回みたいなことが起こったってわかってんの?)

森島「明日、私も覗きちゃんになってくるねっ」

八幡「え?」

森島「ダーメ、なんにも言わせてあげないよ」

八幡「んぐっ」

森島「私ね、君に助けてもらったって知った時、すっごく嬉しかったな」

八幡「別に助けたわけじゃ」

森島「でもね?」

八幡「…?」

森島「それと同じくらい、悲しくて、悔しくて、寂しかった」

八幡「…そうですか」

森島「君は私に迷惑をかけないようにしてくれたんだよね?…って、響ちゃんが言ってたんだけどね」

八幡「はぁ」

森島「でも私は迷惑かけられちゃうよりも辛かったかも」

八幡「…すいません」

森島「許してあげない」

八幡「そうすか」

森島「…こらっ、一回好きって言ってくれたんだからそうやってすぐに諦めない」

八幡「いや、それはおかしいでしょ」

森島「…」

八幡「…うっ」

八幡(その目で俺を見るんじゃないよ)

八幡「……はぁ、わかりましたよ、じゃあどうすれば許してくれるんです?」

森島「んーっとね、じゃあ明日の昼休み、中庭に来てくれる?」

八幡「そんだけですか?」

森島「うん、それだけ」

八幡「…わかりました」

森島「それじゃ、また明日ねっ」

八幡「…はい」

―翌日―

八幡(言われたから中庭に来たわけだが…)

八幡「な…何をしてるんだ、あの人は」

森島「みんなー!私は女の子がプールで泳いでるのを覗いちゃったよー!怒らないのー!?」

八幡(石段の上に乗って…バカか…)

森島「ねぇ、君」

男生徒「は、はい」

森島「私はプール覗いちゃったのに怒られないのかな」

男生徒「い、いやぁ~、よくわからないですけど、別にいいんじゃないですか?」

森島「え!?本当!?」

男生徒「いや、わかんないですけど」

森島「でもおかしいな~、私はいいのに他の人がダメなんて」

男生徒「あ…いや」

森島「みんなもそう思うよねー!だからこれからは私の事覗きちゃんって」

響「はるか!」

森島「あ、響ちゃん」

響「一体なんの騒ぎよ」

森島「うんとね?みんなが私のこと覗きちゃんって呼んでくれないからお願いしてたのっ」

響「一体どういう…あぁ、なるほどね」

森島「うん、そういうことっ」

響「…今回は好きにやっていいんじゃないかしら、私は止めないわ」

森島「ダメって言われてもやるけどねっ」

森島「そういうわけだから、えーっと…あ、そこの君、カメラ持ってる君だよっ」

カメラ男「ぼ…僕ですか?」

森島「そっ、試しに私の事覗きちゃんって呼んでみてくれない?」

カメラ男「えぇ…」

森島「ほら、早く~」

八幡(はっ…なにやってんすか、本当に)

八幡(…で)

森島「…あっ」

八幡「……うす」

森島「見ててくれた?」

八幡「まぁ、あんだけ目立ってれば、つーか、もう全校生徒が知ってるんじゃないすか?」

森島「ワオ!それは凄いかも!」

八幡「なんで嬉しそうなんすか」

森島「だって、君と同じアダ名になっちゃったからさ」

八幡「実に不名誉な代物ですけどね」

森島「あ~、その顔かわいくないな」

八幡「だからなんなんすか、それ」

森島「ここで抱きついたらまたあの顔してくれるのかな…えいっ!」

八幡「おっとぉ」

森島「あっ!なんで避けるの?」

八幡「そりゃそうでしょう」

森島「…うふふっ、あーあ、恥ずかしかったなぁ」

八幡「俺には一生出来そうにないっすよ」

森島「それじゃあ、ご褒美をちょうだい?」

八幡「え、意味がわかんないんですけど」

森島「またそうやってかわいくない顔するんだから~、あっ、嘘、今のはちょっとかわいいかもっ」

八幡「…で、具体的には俺は何をすればいいんですか」

森島「あ、聞いてくれるの?」

八幡「一応」

森島「そっか、えーっとね、クリスマスの日に私の家族に会ってもらいたいの」

八幡「謝れってことですか?」

森島「ブッブー、全然違いまーす」

八幡「じゃあなんですか」

森島「君はいるだけでいいの、私が紹介するだけだから」

八幡「ん?」

森島「そういうこと、それじゃあ24日はよろしくね?」

八幡「いや、それどういう」

森島「あ、これ私のお家の電話番号ねっ」

八幡「はぁ」

森島「じゃあ夜連絡してねーっ!」

八幡「いや、ちょっちょ」

八幡「……」

八幡(どうすっかな、これ)

―夜―

美也「にぃに」

八幡「ん?どうした」

美也「今日の昼休み、凄かったね~」

八幡「そうだな」

美也「もしかして、にぃにと一緒にいたのって森島先輩だったの?」

八幡「まぁそうかな」

美也「うひゃ~、すっごいねー、にぃにが森島先輩と…」

八幡「成り行きだよ」

美也「どう成り行ったらそうなるのっ!」

八幡「いや、それはだな…」

美也「…まぁいいや、でもよかったね、森島先輩は地味なにぃにと違って華やかだからねっ、きっとみんなにぃにの事
   なんてすぐ忘れるよ」

八幡「そうだといいな」

美也「うん!それじゃあみゃーは部屋行くから」

八幡「おう、おやすみ」

美也「しょうがないからそこにあるまんま肉まんの残り食べていいよ~」

八幡「食いかけかよ」

美也「ニシシ、味は変わんないから大丈夫だよ」

八幡「それって単純に腹いっぱいになっただけだろ」

美也「いいじゃん、もったいないし、それにおいしいよ?」

八幡「…まぁ、もらっとく」

美也「うんっ」

八幡「…美也」

美也「ん?なに~?」

八幡「心配かけたな」

美也「ホントだよ~、今度ケーキおごってよね」

八幡「わかった」

美也「それじゃ、おやすみ~」

八幡「おやすみ」

八幡(…電話、かけてみるか)

pr

森島「ハロー?」

八幡(はやっ!)

八幡「あ、あのー、比企谷と申しますが…」

森島「あっ、比企谷くん」

八幡「先輩ですか、それじゃあいきなりですが用事って」

森島「24日の午後18時に○○前に集合ね、オッケー?」

八幡「いや、いきなりな」

森島「それじゃ!」

八幡「せ、先輩?」

森島「ダメだよー、君がなんか言ったら私言い返せなくなっちゃうもん、だから言わせてあげなーい」

八幡「ぐっ…」

八幡(なにこの特攻は、何チームだよ)

森島「…来て、くれるよね?」

八幡「……まぁ、暇なら行きますよ」

森島「本当?じゃあ楽しみにしてるねっ!」

八幡「はぁ…」

森島「それじゃあ、おやすみっ!」

八幡「…おやすみっす」

八幡「…」

八幡(マジかよ)

少し休憩するね

休憩終わり、次レスから↓

―クリスマス・イヴ―

八幡(結局のこのこ来てしまった、しかも待ち合わせ20分前に)

森島「あっ」

八幡「…こんばんわ」

八幡(まさか先に来てるとは…)

森島「来てくれたんだね」

八幡「まぁ、断るタイミングが無かったんで」

森島「イジワルだなぁ」

八幡「…」

森島「でもまだ時間前だよ?」

八幡「先輩だって、もう来てるじゃないですか」

森島「まぁねっ」

八幡(眩しい、後光が…あ、イルミネーションか)

八幡「すいませんね、待たせてしまって」

森島「ううん、そんなに待ってないから大丈夫だよ」

八幡「そうですか」

森島「それじゃあいこっか」

八幡「どこにですか」

森島「プール」

八幡「えっ?」

八幡「えっ?」

森島「どうしたの?」

八幡「あ、いや、なんでも」

八幡(なぜ俺は水着を着ているんだ)

森島「ねぇ」

八幡「はい?」

森島「どうかなっ」

八幡「…まぁ、すげぇ似合ってるとしか」

森島「ホント?じゃあいっぱい見てもいいよ?」

八幡「いや、そういうわけでは…」

森島「あははっ!グッド!かわいい顔してるよっ!」

八幡「やめてください、ってか近い」

八幡(素肌とかもうほとんど凶器だろ)

森島「…じゃあ泳ごっか」

八幡「まぁ、せっかくですからね」

森島「…?なにしてんの?」

八幡「準備体操ですよ」

森島「君、変なところで律儀だね」

八幡「まぁ、ケガとかしたくないですし」

森島「それじゃあ、私も手伝ってもらおうかな」

八幡「自分でやってくださいよ」

森島「ひょっとして照れてるの?」

八幡「ひょっとしなくても照れますよ」

森島「ふぅーん…」

八幡「…?なんですか」

森島「ううん、別に?」

八幡「そうすか」

八幡(…で)

森島「なんで…ずっと…サウナの中にいるのぉ…?」

八幡「いや、別に理由はないですけど」

八幡(かれこれ30分以上いるな)

森島「泳ごぉよぉ…」

八幡「さっきまで散々泳いでたじゃないすか、それに先に入りたいと言ったのは先輩ですよ」

森島「そぉだっけぇ…?」

八幡「…大丈夫っすか?」

森島「うん…大丈夫…」

八幡「いや、大丈夫には見えないんですけど」

森島「…」

八幡「…出ましょうか」

森島「…うん」

八幡「立てますか?」

森島「ちょっと手…貸してくれるかなぁ…」

八幡「あっ、はい」

森島「よいしょっ…」

八幡「うおっ、ちょっ!先輩!」

八幡(寄りかかるな…やっべ、俺も頭クラクラしてきた、違う意味で)

八幡「…ちょっと、先輩」

森島「ん?なに?」

八幡「いや、何じゃなくて、そろそろどいて」

森島「あー、まだ頭が揺れてるよー」

八幡(なぜかすのこの上で俺が膝枕をするはめに、やっべ、かわいい)

八幡「ちょっと、周りの人が見てますよ」

森島「ダーメ」

八幡「なんでですか」

森島「今日は甘えてもいいって響ちゃんに言われてるの」

八幡(俺の意志は?)

森島「いや?」

八幡「そんなことはないっすけど」

八幡(むしろこれを嫌がる男がいるのだろうか)

森島「…」

八幡「だからなんでいきなり黙るんすか」

森島「だって、君静かな方が好きでしょ?」

八幡「ケースバイケースって言葉知ってますか?」

森島「わかんないよー」

八幡「んぐっ…」

八幡(クソ、これって完全にバカップルにしか見えないだろ、二度と来ない場所だとわかってても恥ずかしすぎる、
   というか死にそう)

森島「…あ」

八幡「なんですか」

森島「ううん、そろそろ出よっか」

八幡「そうしてくれるとありがたいっすよ」

―ホテル―

森島「うわー!すっごい綺麗な眺めだよー!」

八幡(どうしてこうなった?)

森島「ベッドが大きい!」

八幡(…どうやら先輩の家族の人たちは来ないらしい、海外にいる先輩の祖父母来れなくなり、それならとご両親も
   来るのをやめたらしい、だが)

森島「お風呂もおっきーよ!」

八幡(これはまずいだろうが、どこまで俺を骨抜きにするつもりなんだよ)

森島「私お風呂入るねー」

八幡「え?」

森島「覗いちゃダメよ?覗きくん」

八幡「わかってますよ」

八幡「…」

八幡(ちょっと外の空気を吸いに行こうかな)

八幡(…置き手紙くらいしておくか)

八幡(すっげぇ、こんな高いところにテラスがあるだなんてアンビリーバボー)

八幡(…つーか寒っ!…って当たり前か、こんな高いんだし、下とはわけが違うか)

八幡「…蟻みてぇだな」

八幡(なんて、言ってみたかった、正直瀬文さんが一番バケモンだろ)

八幡「そして、ここにはあったぜ!MAXコーヒー!」

八幡(う~む、やはりこの味が俺は一番好きだ)

八幡(…先輩は、一体どういうつもり…いや、ここまで来て逃げるのはさすがに汚いな)

八幡(一体どうしてあの人が俺に興味を持ったのかはさっぱりわからんが、きっかけはやはり同情だったんだろうな)

八幡(俺は人にボッチを憐れまれるのが大嫌いだ、一人でいることのなにが悪い、ボッチこそ究極にして至高の存在、
   どっかの新聞社のメニューにも加えられるレベル)

八幡(だから、俺はきっと一人でなんでも解決できると、どこかでそんな事を思っていた)

八幡(だが、あの件で思い知ってしまった)

八幡(達観して、自己満足に浸るだけのオナニープレイは誰かを傷つけてしまうということに)

八幡(それに、結局あのまま一人でいることを貫けなかったから、今俺はここにいるんだ)

八幡(だったら…答えはもう出ている)

森島「あっ!いた!」

八幡「…先輩、どうしたんすか」

森島「だって、いつの間にかいないんだもん」

八幡「手紙、置いたじゃ」

森島「…ばかっ」

八幡「んっ…」

八幡(…全く、この人の抱きつき癖はなんとかならんのか、おかげで慣れはじめてる俺がいるじゃねぇか)

森島「また…逃げちゃったのかと思ったよ…」

八幡「すいませんね」

森島「そうやって私を心配させるのが好きなの?」

八幡「そういうわけじゃないっすよ」

森島「それじゃあ」

八幡「先輩」

森島「…?」

八幡「あ、いや…勘違いかもしれないっすけど、あの日、俺なんかの為に動いてくれてたんだとしたら、感謝しな
   いといけないんじゃないかと思って」

森島「……!」

八幡「な、なんすか」

森島「うふふ、ううん、なんかいつもと目が違うなって思ったの」

八幡「そ…そうすか」

森島「うん」

八幡「…」

森島「…寒いね」

八幡「戻りますか?」

森島「ううん、比企谷くんのコート一緒に着るから」

八幡「あ…そ、そうすか」

八幡(なんだ、この生き物は)

森島「っしょ……それだけ?」

八幡「え?」

森島「まだ、言うことはないの?」

八幡「ごめんなさい、とかですかね」

森島「もう、違うでしょ?」

八幡「…好きです」

森島「……ブッブー」

八幡「えぇ!?」

森島「そんなそっぽ向きながら言われても嬉しくないよ」

八幡「ぐっ…」

森島「…」

八幡「…先輩」

森島「はい」

八幡「…………好きです、多分」

森島「多分…かぁ、君らしいね」

八幡「そうすかね」

森島「うん、でも…合格かな」

八幡「…」

森島「私も」

八幡「いいや、別に先輩がどうかは聞いてないんですが」

森島「もう…またイジワルするんだから」

八幡「……」

森島「…しょうがないな、比企谷くんが絶対に逃げないように……んっ」

八幡「……ッ!」

八幡(世界で一番やわらかいのは練乳の風味だと思っていたんだが…なんだ、違ったのか)

森島「…もう、逃げちゃダメだからね」

八幡「あぁ…はい」

森島「うふふっ、絶対だからね」

八幡「…わかってますよ、先輩」


終わり

これにてラブリー編終わり
一応全員分書こうとは思っているけど、この分だとかなり時間かかりそうだな
色々文句があるとは思うけど勘弁してくだちい

それじゃあここまで見てくれた人ありがとう、おつかれちゃーん

どうも、>>1です

それではテレンコ書いてく、次レスから↓

=棚町薫編=

―登校中―

八幡「…」

八幡(まさかチャリンコがパンクするとは、誰だよ、あんなところに五寸釘逆さに置いたやつ)

薫「あれ、八幡じゃん」

八幡「ん?」

薫「おっはー」

八幡「あ、おう」

薫「なんで自転車押してんの?」

八幡「いや、ちょっとパンクして」

薫「うわー、ついてないわねー」

八幡「まぁ」

薫「だからそんな暗いの?あっ!暗いのはいつものことだっけ!」

八幡「うっせー」

薫「あー、なによー、せっかく一緒に学校まで行ってあげようとしてるのにー」

八幡「え?」

薫「…?何その顔」

八幡「いや、俺とお前ってそんなに仲よかったっけ」

薫「別にそうでもないけどさ」

八幡「だよな」

薫「まぁ堅いことはいいじゃない、あっ、かごにカバン入れさせてね」

八幡「んまぁ、いいけどさ」

薫「…」

八幡「…」

薫「アンタ、本当に静かね」

八幡「なに、喋ったほうがいいの」

薫「ううん、別にいいんだけどね」

薫「そういえばさ」

八幡「ん?」

薫「アンタよくうちのファミレス来るわよね」

八幡「え?なんで?」

薫「うっそ、気づいてなかったの?」

八幡「なににだよ」

薫「アタシあそこでバイトしてんのよ?何回もコーヒー注いであげてるのにー」

八幡「いや、店員の顔なんてそんな見ないだろ」

薫「ちょっと見なさすぎじゃないの?」

八幡「そうか?」

薫「まぁそれはいいんだけどさ」

八幡「はぁ…」

薫「いっつも勉強してるわよね、そんなに楽しいの?」

八幡「いや、あそこは学校と家の間くらいにあってちょうどいいし、それにいっつも空いてるから」

薫「空いててわるかったわね」

八幡「なんでお前が謝るの?お前の親父さんが店長かなんかなのか?」

薫「別にそんなんじゃないわよ、それよりそんなにやることないの?」

八幡「まぁな、それにあそこの近くには本屋もあって色々と都合がいいんだよ」

薫「本買うお金があるならもうちょっと高いの注文しなさいよー、いっつもコーヒーだけじゃない」

八幡「えぇ?だってコーヒー美味しいし、コスパ的にもいいし」

薫「ふふ、アタシが注いだコーヒー、そんなにおいしかった?」

八幡「いや、誰が注ごうが同じだろ」

薫「…冷めること言わないでよ」

八幡「事実だろうが」

薫「はぁ、というかアンタこうやって二人で話すときはしっかり話せるわよね、なんで教室だと喋らないの?」

八幡「バッカお前、なんで相手も居ないのに一人で喋らなきゃいけないんだよ、不気味すぎるだろ」

薫「それもそうね」

八幡「ほら、俺は裏門からだからここでいいだろ」

薫「うん、あんがとね」

八幡「別に」

―SHR前―

八幡(…昨日撮りためてたアニメ見てたから…眠い)

八幡「……zzz」

薫「…あむ」

八幡「うおっ!」

薫「あっははは!」

八幡(コココイツなにをしてるんだよ!耳噛まれたの!?)

薫「あははっ!八幡キョドりすぎ!」

八幡「んなっ…なんだよ」

薫「あれっ?意外と反応薄いわね」

八幡「いや、反応とか求められても困るっての」

八幡(落ち着け、今まで食べたパンの枚数を数えるんだ)

薫「釣れないなー」

八幡「…ふぅ、で」

薫「ん?」

八幡「いや、だからなんだっての」

薫「別に、いっつもつまんなそうな顔してるから楽しませてあげようと思って」

八幡「だからそんなに仲良くないだろうが」

薫「なによ、仲良くないとやっちゃいけないわけ?」

八幡「多分」

薫「まったく…」

八幡「用がないなら座れ、もうみんな座ってる」

薫「堅いなー」

八幡「普通だっての」

田中「比企谷くん」

八幡「え?」

田中「朝から大変だね」

八幡「え?いや、まぁ別に」

田中「でも凄いね」

八幡「…?」

田中「薫に絡まれてそんなに落ち着いてるの、比企谷くんくらいだよ」

八幡「いや、そんなに言うほど絡まれてないし」

田中「そうかなぁ、薫、結構比企谷くんのこと気に入ってると思うけど」

八幡「なにそれ」

田中「ちょっと前から比企谷くんがゲームすっごい上手って話してたよ?」

八幡(え、なにそれ)

田中「たまに私も薫についてってゲームセンターに行くんだけどさ、比企谷くん結構薫と対戦してるんだよ?」

八幡「へぇ」

八幡(それはまた驚きだ、筐体の裏には女子高生ってか、でも負けまくってるってことはロースコアガールってとこ
   ろかな)

田中「それにダーツもやってるよね」

八幡「まぁ、一人でできるし」

八幡(結構知られちゃってんのね)

田中「薫と行ってみればいいのに」

八幡「いやいや、無理でしょ」

田中「どうして?」

八幡「だって友達じゃないし」

田中「そこははっきり言うんだね…」

八幡「まぁ、あぁ言うのは一人で行くからいいんだよ」

八幡(人と行ったことないからそっちの楽しさはわからんけど)

田中「ふぅん」

八幡「…」

※時代設定はアマガミ、現代のタイムリーなネタはメタってことで許してね

―昼休み―

八幡「…ふぅ」

八幡(なぜかいつのも場所にはカラーコーンが置いてあった、穴掘ってるみたいだったが、そういうのは俺に許可とって
   からにしてもらいたい、ボッチから場所まで奪うのかよ)

薫「ねぇ」

八幡「…」

薫「ねってば」

八幡「…」

薫「聞いてんの?」

八幡「…」

薫「イヤホン外しなさいよっ!」

八幡「…あれ」

薫「アンタ、結構良いもの持ってるわね」

八幡「はぁ?」

薫「ミュージックプレイヤーなんて結構珍しいわよ?」

八幡「そうか?」

薫「何聞いてんのよ」

八幡「…」

薫「…?全然わかんない」

八幡「適当に洋楽入れてるだけだし、なんとなく気に入ったの流してるだけだから俺も詳しくはわからん」

薫「結構適当なのね」

八幡「いや、洋楽聞いてわざわざしっかり意味まで調べるヤツのほうが珍しいだろ」

薫「日本の曲はないの?」

八幡「あんまし」

薫「つまんなーい!」

八幡「…で」

薫「なに?」

八幡「いや、朝も言ったが用件を言ってくれないと」

薫「あぁ、そうそう」

薫「アンタ、今日の放課後暇?」

八幡「暇じゃないが」

薫「なんか用事あんの?」

八幡「ファミレス行って勉強」

薫「なにそれ、っていうかそれなら暇じゃないの」

八幡「失礼な、学業は学生の本文だぞ」

薫「いいから、っていうかアンタ自転車なんだから帰る時に校舎裏通るわよね」

八幡「まぁ、裏門だし」

薫「そしたらそのついででいいから寄ってきなさいよ」

八幡「えー」

薫「ないよー、嫌なの?」

八幡「まぁ…」

薫「かぁー!全くこんなにかわいい子が誘ってんのになんで来ないのよー」

八幡「別にお前がかわいいとかかわいくないとか関係ないだろ」

薫「え?そうなの?」

八幡「それに詐欺師は綺麗で若い女の人が多いんだよ、絵とか買わされるんじゃないかと思ってビクビクするわ」

薫「捻くれてる…」

八幡「なんとでも言え」

薫「…ねぇん、あなたぁん」

八幡「ちょおい、ひっつくな」

薫「来るって言わないとだめよ」

八幡「…お前、将来ろくな大人にならねぇな」

薫「なんですって?」

八幡(怖い!)

八幡「……わかった、行くよ、行くから」

薫「ホント?なんか悪いわね」

八幡「そう思うなら呼ぶ」

薫「………」

八幡「なんでもないですますはい」

八幡(…で)

八幡「うす」

薫「あ、遅い」

田中「ごめんね?比企谷くん」

八幡(なんで二人いるの?)

八幡「いや、別に…で、用件は」

薫「アンタは世間話の一つも出来ないの?」

八幡「あいにく」

田中「まぁまぁ、比企谷くんには無理言って来てもらってるんだから」

八幡(何この子、いい子じゃん)

薫「まったく、じゃあ恵子」

田中「うん、実はね、私クラスのある男の子に告白したの」

八幡「へぇ」

田中「それで、私、その人に返事は少し待って欲しいって言われたから、しばらく待ってたんだけど…」

八幡「…」

田中「一ヶ月くらい返事が来なくて…」

八幡「はぁ、そりゃ残念ですね」

薫「こらぁっ!」

八幡「いたっ!グーで殴るな!グーで!」

薫「アンタねぇ!」

田中「いいの薫…やっぱり、比企谷くんもそう思うよね」

八幡「まぁ、そうだろうな」

薫「…んっんん、それで、最近ソイツから返事が来たんだけど」

八幡「あぁ、よかったな」

薫「それがよくないのよ」

八幡「…?」

薫「あんだけ待たせて、ソイツ、恵子になんて言ったと思う?」

八幡「さぁ、まぁ思いつく妥当な線はあまりお子様には見せられないこったろうな」

薫「…アンタ、結構鋭いわね」

八幡「普通はすぐ思いつくだろ…で?答えは」

薫「キス…させろだってさ、バカにするのもいい加減にしろってぇの」

八幡「…はぁ」

薫「…どうしたのよ」

八幡「いや、普通その話俺にする?」

田中「…ごめん」

薫「八幡!」

八幡「あぁいやぁ、なんていうか俺ってそういうの全然縁がないし、あまりにも的はずれなんじゃないかなぁっと…」

薫「そうね、アンタに頼んだアタシがバカだったわ」

八幡「…で、したの?キス」

田中「ううん、さすがにその時は断ったけど、次言われたら…」

薫「そういうわけで、まぁなんかアンタの意見を聞こうと思って」

八幡「いや、意見も何も、もう解は出てるだろうが」

薫「うっ…」

八幡「悪いが、俺はそういうことは全く検討もつかんし、そもそも他人の恋愛事情に顔を突っ込むような性格でもな
   いんだ」

田中「うん…ごめんね、変なこと聞いて」

八幡「いや、別に、それじゃあ、俺行くから」

田中「うん、比企谷くん、ありがとうね」

八幡「礼を言われるようなことは」

薫「本当よ、全然役に立たないんだから」

八幡「失礼こきやした」

薫「ごめんね?コイツ全ッ然役にたたなくて」

田中「ううん、そんなことないよ」

八幡「それじゃあ」

田中「うん、ばいばい」

薫「…」

八幡「……」

八幡(確かに、なんで俺はいっつもここに来るんだろうか、まぁ暇だからなんですけど)

八幡(しかし、知り合いが働いてるってわかった途端いきなり来づらくなるな)

薫「コーヒー、お待たせしました」

八幡「あ、ども」

薫「…ねぇ」

八幡「あ?…あぁ、おう」

薫「何読んでるの?」

八幡「安部公房」

薫「なにそれ?」

八幡「読んでる俺が聞きたいくらいにわけのわからん話を書く作家だ」

薫「それ、面白いの?」

八幡「まぁ」

薫「…」

八幡「…?どうした、仕事中じゃないのか」

薫「…あれ、本心なの?」

八幡「まぁ、お前はそれ以外に考えられるのか?」

薫「んぅ…」

八幡「だろ?田中…?だっけ、あいつがお前にとって大事なの友人なのはわかったが、それは他人にはどうしようも
   ない」

薫「…一発バシッと決めたいのよね」

八幡「そうか、頑張れ」

薫「うん」

八幡「…おい、コーヒーこぼれてんぞ」

薫「あっ!ご、ごめん」

八幡「いや、いいけどさ」





―翌日―

八幡(腹が痛い、なんでわかってんのに牛乳一気飲みしちゃうんだろ)

八幡(それにしてもトイレってやっぱ落ち着く)

男生徒1「でさ、この前の話の続き何だけどよ」

男生徒2「あぁ、あの田中って女の話?」

男生徒1「そうそう」

八幡(…ん)

男生徒1「全くよー、この前なんてキスさせろっつったらすっげぇ顔しててさ、もう無理やりやっちまおうかと
    思ったぜ」

男生徒2「ははっ、やっちまえばよかったじゃんか」

男生徒1「バーカ、じらしてんだよ」

男生徒2「嫌なやつだなー」

男生徒1「でもよー」

男生徒2「なんだ?」

男生徒1「次なんか言われたらやっちゃおーっと」

男生徒2「とうとう!?」

男生徒1「とうとうっ!」

男生徒2「いいねーっ」

男生徒1「だろ?」

男生徒2「でもそれお前の彼女にバレたらやばくねぇ?」

男生徒1「大丈夫だろ、アイツも田中もバカっぽいしよ!気付きゃしねーよ」

男生徒2「んまぁ、それもそうか!」

男生徒1&2「あっはっはっはっはっ!」

八幡(アホ、バカはお前らだ、そんなでかい声で喋ってたらすーぐにバレるってぇのに」

八幡(…しかし、まさかこんなに簡単に情報が入ってくるとは、知りたくなかったけど)

八幡「…ふぅ」

八幡(普通、トイレの後ろのドア閉まってたらあんな話するかね…まぁバカだからするんだろうが)

八幡(…ま、関係ねぇか)

八幡「……」

薫「ねぇ」

八幡「ん?なんだ、またお前か」

薫「悪い?」

八幡「別にそうでもないが」

薫「恵子がね、ソイツに手紙書くんだってよ」

八幡「はぁ」

八幡(それはやめたほうがいいと思うが)

薫「昨日の夜電話が来てさ、何回もこれでいいかな?って聞いてきて、ほんっと、かわいい子だよね」

八幡「ほう」

薫「アタシもあんたと同じように思うけどさ、止められないよ」

八幡「へぇ…」

薫「…あれ、やけに怖い顔してるわね」

八幡「そうか?」

薫「…うん」

八幡「…」

薫「アンタ、なんか隠してるでしょ?」

八幡「別に、聞かれてないことを喋ってないだけだ」

薫「随分変な言い方をするのね、聞いたら答えてくれることなの?」

八幡「まぁな」

薫「そっか、じゃあ、まずその話がなんなのかって質問はいい?」

八幡「あぁ、その田中…の相手の考えがわかったってところか」

薫「…!?どういう…こと?」

八幡「いや、今朝トイレに入ってたらたまたまだな」

薫「うんうん……」

八幡「まぁ俺が聞いたのはこんなところだな」

薫「あ…ありえない…」

八幡「お前が聞いたんだろ、それに嘘はついてないぞ」

薫「わかってるわよ…しっかしムカつくわねー、キスの件で嫌なやつだとは思ってたけど、まさかそこまでサイテーな
  ヤローだったなんて」

八幡「…で」

薫「…なによ」

八幡「一発、バシッと決めるのか」

薫「当たり前でしょ!?」

八幡「そうか」

薫「アイツ、ぶん殴って蹴り飛ばして…」

八幡「随分と物騒だな」

薫「だって恵子が…っ!」

八幡(お前でも、そんな顔をするのか)

八幡「…まぁ、お前がぶん殴るのは別にいいが、それは当事者の話を聞いてからでも遅くないんじゃないか?」

薫「はぁ?」

八幡「いやよ、田中…の断りもなしにいきなり殴りかかったら気まずいだろうが」

薫「そうだけどさ」

八幡「……ま、俺はどっちでもいいんだけど」

薫「…わかった、一応恵子と話してみる」

八幡「おう、懸命だな」

薫「そのかわり恵子に許可もらったらアイツマジでボッコボコにしてやるんだから!」

八幡「お…おう」

八幡(こええよ)

少し考える時間をくだちい

休憩

よし、書く、次レスから↓

―中休み―

男生徒1「でさー」

八幡「すまん、ちょっといいか」

男生徒1「…?あぁ、棚町の…なんだ?」

八幡(棚町のなんだよ)

八幡「さっきお前らがトイレで話してたの、聞いちまったんだ」

男生徒1「え?」

八幡「悪いな、ちょうどトイレに入ってて」

男生徒1「お、おう」

八幡「まぁ、それだけなんだが」

男生徒1「ちょっと待てよ」

八幡「…?」

男生徒1「まさか、それ周りに言いふらすつもりか」

八幡「はぁ?なんで」

男生徒1「いや、それだとこっちが困るんだよ」

八幡「いや、そんなこと言われてもこっちが困るんだが」

男生徒1「なぁ、黙っててくれよ」

八幡「別に、誰にも言いふらすつもりはないさ」

男生徒1「そ…そうか」

八幡「だが」

男生徒1「…?」

八幡「俺以外の誰かがバラすって可能性も、考えたほうがいいんじゃないか?」

男生徒1「ど…どういう…」

八幡「まぁ、気をつけとけ、どこに聞き耳が立ってるかなんてわかんないからな」

男生徒1「あ、あぁ」

八幡「…」

八幡(…多分これで大丈夫だろう、こういう、いわゆるキョロ充というカーストに位置する人間はそのバカな
   頭とは裏腹に世間体だけは守ろうとする)

八幡(自分達が噂好きなぶんだけ、それがどのくらいのスピードでどのくらいの範囲に広がっていくのかを把握
   している、ある意味こいつらの集団がその地域の治安を作っていると言っても過言じゃない)

八幡(なら、この手の人間にはその類の臭いをかがせるだけで効果はあるはずだ、もう既に一人に知られている、
   それは奴らにとって、ない可能性までを深読みさせる効果がある)

八幡(これに相乗してあとで棚町が殴りこんでくるんだ、当然最初は威勢のいい態度を見せるだろうが、少しでも
   棚町が話の緒を掴もうものならみるみるうちに黙るだろうな)

八幡(俺の仕事はここまでだ、棚町にはどれだけ暴れても咎められないあいつにとっての独壇場をセッティングして
   やったんだ、あとはアイツに好き勝手やってもらうだけ、俺はもう関係ない)

薫「…ねぇ」

八幡(お、噂をすれば)

男生徒1「なんだ…!?」

薫「なに逃げようとしてんのよ…ねぇっ!?」

八幡(おぉこわ、見たくないね、退散退散)

八幡(…で)

八幡「どうだった」

薫「うん、ぶん殴ってやった」

八幡「そうか」

八幡(屋上でボケっとしてたら満足そうな顔の棚町が現れた)

薫「アイツのビビった顔!八幡にも見せてあげたかったわ!」

八幡「ほう、そりゃあ惜しいことをしたな」

薫「ホントよ、だってアンタ、あのタイミングで出てっちゃうんだもん」

八幡「残念だ」

薫「…」

八幡「…?どうした」

薫「ううん、どうせアンタがなんか仕込んだんだろうなって思って」

八幡「…?」

薫「だって、あんなサイテーな事する連中がちょっと脅しただけであんなにちっちゃくなっちゃうんだもん、
  どう考えてもおかしいでしょ」

八幡「脳筋のお前でもそんな考えが」

薫「ん?なんて?」

八幡「あ、いや、なんでも」

薫「あー、さっきアイツをノックアウトした右フックを今ココで見せてあげたいなー」

八幡「遠慮しておきます」

八幡(…つーかノックアウトって…その上これからクラスの奴らにやっかまれるんだからたまったもんじゃないだろ
   うな)

薫「…んまぁ、恵子もぶっ倒れてるあいつらに『ふざけんな!』って言い返してたし、よかったんじゃない?」

八幡「ほう、あの田中…がね」

薫「うん、あの子、あぁ見えて実は結構芯が強いのよね」

八幡「へぇ」

薫「…ありがと」

八幡「なにが」

薫「そりゃあ…ううん、やっぱなんでもない」

八幡「そうか」

薫「アタシ、寒いのは嫌いなんだけど、この季節の空は好きなんだよね」

八幡「いきなりなんだよ」

薫「うまく言えないけど、澄み切ってて、やけに高く見えるなって」

八幡「うまいこと言えてるじゃねぇか」

八幡(うまく言えないけど宝物だよってのも、結構うまいこと言えてると思います)

薫「ふふっ、そうかしら」

八幡「ん」

薫「はい、終わり」

八幡「なにが」

薫「空の感想」

八幡「ホントいきなりなんなんだよ、詩人か?」

薫「いいじゃない、たまにはそういうこと言ったって」

八幡「いや、たまにとか普段のお前のことそんなに知らねぇし」

薫「あはっ、それもそっか」

八幡「…」

薫「ねぇ」

八幡「なんだ」

薫「アタシたちの関係って、なんなんだろうね」

八幡「あ?他人だろ」

薫「それにしては最近やけに一緒にいる時間があるじゃない」

八幡「…まぁ、言われてみれば」

薫「なんなんだろうね」

八幡「知らん、他人じゃだめなのか?」

薫「うん、曖昧すぎてパッとしないし」

八幡「あっそ」

薫「ちょっと考える時間をちょうだい」

八幡「ご自由に」

薫「うーん、全ッ然思い浮かばない」

八幡「なに、そんな無理してまで考えなきゃいけないことなの」

薫「うん」

八幡「大変だな、お前も」

薫「アンタのせいだってのに」

八幡「え、なんで俺なの」

薫「アンタのせいでこんなモヤモヤしてるんで…あ」

八幡「…?」

薫「へっ!変なこと言わせないでよね!」

八幡「別になんも言ってねぇじゃん」

薫「…ねぇ、ちょっと遊びに行こうよ」

八幡「は?何言ってんだお前」

薫「いいじゃない、もう今さら教室戻っても気まずいしさ」

八幡「いや、それお前だけ」

薫「だからカバン持ってきてもらおうと思ってんじゃない」

八幡「パシリですか」

薫「そうとも言うわね」

八幡「一応聞くが、拒否権は?」

薫「なんであると思ったの?」

八幡「…まぁ、今日は単位とる必要もないし、いいか」

薫「やったね!それじゃあ先に行って待ってるから!」

八幡「どこで」

薫「裏門に決まってるでしょ?」

八幡「…わかった、ちょっと待っとれ」

薫「オッケー」

八幡(…で)

薫「おっそいわよ」

八幡「普通だろ」

薫「アンタなら気付かれないで出てこれたでしょ?」

八幡「まぁ、否定はしないが」

薫「それじゃ、行きましょ」

八幡「どこに」

薫「どうしよっかな、とりあえずゲーセンとか」

八幡「あいよ」

薫「よし…っと」

八幡「…なぜ荷台に?」

薫「アンタが運転するんだから当然でしょ?」

八幡「いや、俺的にはお前に運転してもらいたいんだが」

薫「なによ、女の子に運転させる気?」

八幡「いや、男をノックアウトするような女は女とは」

薫「うっさい!」

八幡「ぐえっ」

八幡(い…いいパンチだ、だがもう少し内角を)

薫「なにぼーっとしてんのよ」

八幡「ぶん殴っといてひでぇ言い草だな」

薫「いいからさ、それじゃレッツゴー!」

八幡「はいよ」

八幡(…ゲーセンか、随分久々に来たな)

薫「ここ、ダーツもあったわよね」

八幡「確か」

薫「ねぇ、勝負しましょ」

八幡「ダーツでか」

薫「そっ、負けたほうが勝ったほうのいうことをなんでも聞くの」

八幡(なんでも…だと?)

薫「…?なによ」

八幡「あぁ、いや」

薫「あ、さては負けるのが怖いのね?」

八幡「バッカお前、トンエイティーの八幡って呼ばれてるほどだぞ」

八幡(主に俺の中で)

薫「まぁ御託はいいから早くしなさいよ」

八幡「まぁ、いいけどよ」

薫「へへっ、何してもらおうかな~」

八幡(もう勝った気でいやがる)

八幡「…まだやんの?」

薫「待って、あと一回だけ」

八幡「いや、さすがにもう金が」

薫「えー」

八幡(一体何回負ければ気が済むんだよ、もう14回目だぞ)

薫「しょうがないな、ま、アタシももう少しでバイトだし」

八幡「あっそ」

薫「あ~あ、悔しいな~」

八幡「…いやいや、なにしれっと逃げてんだよ」

薫「ぎくっ」

八幡「なんでもしてくれんじゃないの」

薫「…いやぁ、あれは」

八幡「あれはなんだよ」

薫「うっ…」

八幡「…まぁいいや、貸しだからな」

薫「て…てんきゅ」

八幡「それじゃあ行くか」

薫「うん」

今日はここまで、やっと半分くらいか
まぁ別に毎回八幡が汚れ無くていいと思うんだよね、うん
もの足りないって人、すいません

それじゃあ読んでくれた人ありとう、おつかれちゃーん

どうも、>>1です

少しだけ書く、次レスから↓

―翌日―

八幡「…」

八幡(棚町が俺らの関係とか言い出すから、昨日は少し考えてしまった)

八幡(だが、いくら考えても俺にとってのアイツは他人よりは話す程度の知り合いで…ま、まぁ確かに最近はよく向こう
   から喋りかけてはくるが、もうそのトラップは一度食らっているんだ)

八幡(それでまた勘違いして、思わず告っちゃったらいったいどうするつもりなの?責任とれるの?)

八幡(どこのどいつも色眼鏡で見る気はないが、やはり俺の感覚的には少し話しただけであんなに親しげにする彼女
   を疑わざるを得ない)

八幡(だからと言って、別にもう無視するとかそんなことをするつもりはない、いやだって普通は欲しいでしょ、友達
   とか、恋人とか)

八幡(ただ、俺から積極的になにをしようとかはない、いやだって怖いじゃない)

八幡(…損してる?俺もそう思う)

田中「あ、比企谷くん」

八幡「…どうも」

八幡(そうそう、あと棚町繋がりで朝の挨拶程度は交わすようになった田中さん、席が俺の後ろだし…というか、その
   ポジションって時間の真ん中にいた彼女の席じゃないの?ということは俺が素敵なもみあげ…ないない)

田中「薫見なかった?」

八幡「あぁ、いやぁ、見てないな」

田中「そっか」

八幡「…」

田中「…?聞かないの?」

八幡「何を」

田中「なんで私がそんな事聞いたか」

八幡「なんで、別段知りたいというわけでもなしに」

田中「そっか、比企谷くんの中では薫はまだそんくらいなんだね」

八幡「どういうことだよ」

田中「え?だって、周りからすれば、比企谷くんと薫ってどう見ても友達だよ?」

八幡「はぁ?」

田中「えーっ!?まさか本当に実感なかったの!?」

八幡「あ、うん」

八幡(…あ、そういや昨日の事件の時も確か『棚町の』とか言われたっけ)

田中「…あれ、どうしたの?」

八幡「ん、いや、なんでも」

田中「ふぅん、そっか」

八幡「…」

八幡(友達…か)

―昼休み―

八幡「…」

八幡(国語の授業の時間、ちょうど国語辞典を使ったから、そのついでに引いてみた)

八幡(えーっと…なになに?  とも-だち【友達】互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだり
   喋ったりする親しい人。友人。  ふむ)

八幡(…なるほどわからん、というか、そもそも俺は対等な付き合いがなんなのかわからんし、どの程度の会話が親し
   い会話になるのかも謎だ)

八幡(だが、警戒しているとはいえアイツとは周り以上に会話をしてしまっているのも事実だし、一緒に遊んだり
   もしてしまった)

八幡(つまり…あれだな、うん、わからん)

八幡「…」

八幡(しかし、腹が減ってしまった、弁当は忘れたし、今から購買に…は多分無理だな、もうないだろ、パン)

八幡(奴ら親の仇のようにパンを取り合うからな、マジでどうなってんの?あれが本当のパン食い競走なの?)

八幡(…腹減ったな)

田中「薫、来ないね」

八幡「…?あぁ、そうだな」

八幡(いきなりなんなんだよ)

田中「心配になった?」

八幡「いや、別に」

田中「あはは…比企谷くんってイジワルだね」

八幡「そうか」

田中「…そういえばさ」

八幡「…?」

田中「薫がね、比企谷くんを見たの、本当は入学式の日なんだって言ってたよ?」

八幡「…はぁ?そりゃいくらなんでも同じクラスなんだから見るくらい…え?」

八幡(入学式の日?なぜその日に俺を見ることができたんだ?だって俺は…)

田中「私は、クラス違かったから一年の頃は比企谷くんの事知らなかったからわかんないんだけどね、その頃から薫、
   同じクラスにメチャクチャバカなやつがいるって話しててさ」

八幡「ほう」

田中「学校来るくせに誰とも喋らないで、でもゲームはうまいんだ~って」

八幡「なんでそんなこと」

田中「薫が言ってた、比企谷くんは入学式の日に輝日東の生徒を助けてあげたんでしょ?」

八幡「いや、あれはたまたまで、別にたいした事じゃない」

田中「ううん、それってすごいことだよ、薫は困ってる人をほっとけない子だから、比企谷くんがしたこと、すごく
   尊敬してると思うな」

八幡「…」

田中「薫はね、『その時、アタシは見てたのに怖くて動けなかった、でもアイツは自分のことなんて考えないで助けた
   んだ』って言ってたよ」

八幡「変な関心持たれちまったんだな」

田中「うん、ふふっ…でもそのせいだったんだろうな」

八幡「なにが」

田中「だってあの輝日東の核弾頭が今じゃ熱血のお人好しだよ?そうなったのも、きっと比企谷くんのおかげなんだと
   私は思うな」

八幡「もともとだろ」

田中「わかんないよ、でも私は、そう思うんだ」

八幡「…」

田中「あっ!この話、薫には内緒にしておいてね?怒られちゃうから」

八幡「お、おう」

八幡(そうか、だから初めて会ったあの時)

~~~~~~~~~~~~~~~

薫「アタシさ、このゲーム大好きなんだ、だって自分の事考えないで助けに行くなんて、普通じゃないなかなかじゃ
  ない?」

八幡「あ?あぁ…まぁゲームだからな」

~~~~~~~~~~~~~~~

八幡(まぁ、よく考えりゃいくらアイツでも他人がプレイしてるゲームに乱入するなんてありえないか)

田中「あ、そうそう、このパンあげるよ」

八幡「え?いや別に」

田中「ううん、余ったやつだから受け取って?それにこの前のお礼もしてないしさ」

八幡「別に何もしてないんだが」

田中「またまた~、とにかく、あげるよ」

八幡「…じゃあ、ありがたく」

田中「うんっ、それじゃあ、私行くトコあるから」

八幡「おう」

八幡(…友達…ねぇ)

―放課後―

八幡「…」

八幡(ファミレスに寄ってみりゃ、案の定)

薫「や…やっほ」

八幡「よぉ、コーヒーな」

薫「またコーヒー?」

八幡「おう」

薫「かしこまりました、それじゃあすぐ持ってくるから」

八幡(学校サボってバイトですか、仕事熱心なことで)

薫「おまたせ」

八幡「ん」

薫「…今日はなに読んでるの?」

八幡「菊池寛、今読んでる話は武将の名前だけひとり歩きして、実は中身はそれほどたいした事はなかったってヤツ
   だな」

薫「へぇ…」

八幡「今日、なんで休んだんだ?」

薫「…え?」

八幡「なんだよ、理由も聞いちゃいけなかったのか」

薫「ううん、そういうわけじゃ」

八幡「まぁ仕事中みたいだし、終わったら聞かせろよ」

薫「サンタ、心配してくれたの?」

八幡「バカな、ただの興味本位だよ」

薫「…そっか」

八幡「おう」

薫「……ぞれじゃあ、終わるまで待っててくれる?」

八幡「まぁ、この本が読み終わるくらいまではな」

薫「すっごい分厚いじゃない」

八幡「…まぁ、そういうことだよ」

薫「ふふっ、わかった、じゃあ待っててね」

八幡「おう」

ミス サンタ→アンタ

ちょい休憩する

八幡(…で)

薫「おまたせ」

八幡「おう、意外と早かったな」

薫「うん、店長に無理言って早く上がらせてもらったから」

八幡「いいのかよ」

薫「大丈夫よ、アタシ真面目だから」

八幡「そうかよ」

薫「…学校でアタシのこと聞かれたの?」

八幡「バッカお前、俺がそんな事聞かれるわけないだろうが」

薫「ん…それもそうね、でもそしたら」

八幡「だから興味本位だよ、それにもともとここ来るつもりだったし」

薫「そっか」

八幡「…ただ、田中は心配してたぞ」

薫「恵子が?」

八幡「おう、お前が学校でなにか聞かれたかって聞にするようなことは、アイツが聞いてたんじゃないのか」

薫「…恵子に悪いことしちゃったな」

八幡「なら明日にでも謝っとけ」

薫「うん」

八幡「…」

薫「なんで…なにも聞かないの?」

八幡「いや、聞いたら早く言うのかよ」

薫「それもそうね」

八幡「…まぁ、そのために待ってたわけだし、話してくれると助かる」

薫「……昨日、アンタと別れてバイトに行く途中、お母さんにあったの」

八幡「…?」

ミス 聞にする→気にする

薫「アタシね、お父さんいないんだ」

八幡「そうなのか、悪いこと聞いたな」

薫「ううん、それでね、その時お母さん、知らない男と一緒だった」

八幡「…」

薫「二人で力合わせれば大丈夫って思っててさ、でもそれ見たらなんかムカついちゃって…結局そのことで大喧嘩
  しちゃったの」

八幡「なんだよ、家出でもしたか」

薫「うん、そんなとこ」

八幡「このクソ寒い中よくやるな」

薫「それって褒めてる?」

八幡「敢闘賞ってところだな」

薫「変なの」

八幡「…それで?」

薫「あ…うん、それでさ、お母さんその男と結婚を噛んだ得てるだなんて言うのよ?」

八幡「そりゃよくないのか」

薫「よくないわよ!」

八幡「…」

薫「アタシ、一度だって掃除も洗濯も手を抜いたことないのよ!たまにはご飯だって用意してる、そうやって、二人で
  だってやっていけるって証明してきたの…これからだってそうよ、絶対にいい加減になんてやらない……」

八幡(家庭の事情ってヤツか)

薫「なのに…どうして…」

八幡「…」

薫「アタシ、新しい父親なんていらない!」

八幡(まぁ、そりゃそうか、この年にもなって今更知りもしない男がある日突然父親面して現れたら、そんなの
   むかつくに決まってる、ましてや一応コイツも女だ、母親との絆ってモンもあったんだろうよ)

薫「…どうして…なにも言わないのよ……」

八幡「なんだ、同情して欲しかったのか」

薫「…ッ!」

八幡「おい、睨むなよ」

薫「だってアンタ!そんなのひどすぎるわよっ!」

八幡「そうか、まぁじゃあそんなお前に一言言わせてもらうとだな」

薫「…?」

八幡「甘ったれるなだ」

薫「…え」

八幡「お前だって、そのうち誰かと恋人同士になって、それで結婚だってするかもしれねぇだろ、お前だってそんな
   ことくらいは考えているはずだ」

薫「だからなによ」

八幡「それを、いくら親だからと言って自分事で制御して恋愛事情にまで口を出すのは、少し理不尽なんじゃないか」

薫「…」

八幡「お前の親父さんがいつ亡くなったは知らんが、少なくともその日からお前のおふくろさんは彼氏作って遊ぶの
   を我慢してたんだろうよ」

薫「でも…それでも!」

八幡「あぁ…まぁそれでも向こうはお前を育てる義務があるし、きっと親として当然のことなんだろ、俺は子供出来た
   事ないからわからんが」

薫「…でもさ」

八幡「……だが、それは裏を返せばもうお前を信用してて、少しくらい手放しても安心できるからだとは思えないか?」

薫「…え?」

八幡「もうお前が大人になったとおふくろさんも思ったから、少しばかり気が抜けてそうなっちまったんじゃねぇの」

薫「そう…かな」

八幡「知らん、だがろくすっぽ話もしないで出てきちまったんだろ?ならそのへんの事情くらいは聞いてやれ」

薫「…」

八幡「俺はお前とは境遇が違うからいくら御託を並べても『お前に何がわかる』の一言で一蹴されちまう、けどよ、
   それでもお前は俺に話してくれたじゃねぇの、だったら、そのくらいは言わせてもらいたいね」

薫「八幡…」

八幡「ん…悪いな、本当はこんな事言うつもりじゃなかったんだが」

薫「ううん、ありがとう…でもさ」

八幡「…?」

薫「少しだけ…泣いてもいいかな……」

八幡「…いいんじゃねぇの?」

薫「うん…っ………」

八幡(…まさかコイツが俺に頭預けて泣くとはな…ま、田中の話が本当なら、せめてコイツの前ではこういう態度を
   見せてもいいと、柄にもなく思っちまったんだよ)

薫「……ごめんね、アタシ」

八幡「いいや、別に俺は何も見てない」

薫「…アンタ、きっとあの時もそんな気持ちであの子のこと助けてたのね」

八幡「あの時?」

薫「うん、実はアタシ、ゲーセンでアンタと会うより前に、アンタのこと知ってた」

八幡「そうか」

薫「うん、だからアンタがアタシたちより遅れて入学してきて、そのあと偶然見かけたからさ、あんな出会いは
  メチャクチャだって、自分でも思うけどね」

八幡「まったくだな」

薫「…はぁ~あ、まさか、アタシが泣き顔を人に見せるなんて、想像もしたことなかったよ」

八幡「レアなもん見たんだな、俺」

薫「ホントよ、あっ、でもこのこと誰かに言ったらぶん殴るからね」

八幡「心得ました」

薫「…」

八幡「…ほれ」

薫「え?」

八幡「いつまでもひっついてないで電話の一本でも入れてやれ、それに照れる」

薫「…あ」

八幡(あ、じゃないよ、顔がオーバーヒートだよ、とくこうががくっとさがっちゃうだろ)

薫「なによ、嫌なの?」

八幡「いや、別に嫌では…」

薫「…今変なこと考えたでしょ」

八幡「いいえ」

薫「嘘ばっかり」

八幡「本当だ、そんなこと考える余裕もなかった」

薫「…そっか、それじゃあ電話してくる」

八幡「行って来い」

八幡(しかし、俺はアイツにそこまで気に入られることをしただろうか…)

八幡(まぁ、アイツの主観で俺がどう映ったかなんてわからんから、考えるだけ無駄だと思うが)

薫「行ってきたよ」

八幡「そうか」

薫「お母さん、最初はすっごく怒ってたけど、八幡の言葉借りて話してみたらちゃんと言ってくれた」

八幡「よかったな」

薫「うん、ありがとうね」

八幡「それじゃあ俺は」

薫「あ、待って」

八幡「…?」

薫「ずっと言えなかったけど、あの時の八幡、結構かっこよかったわよ?」

八幡「え?」

薫「うん、それだけ」

八幡「…まぁ、うん」

薫「それとさ」

八幡「まだなんかあんの」

薫「アタシとアンタの関係って、なにかな」

八幡「…他人?」

薫「アタシの泣き顔まで見といて?」

八幡「うっ…」

薫「どうなのよ」

八幡「…逆にお前は俺をどう思ってんだよ」

薫「アタシ?」

八幡「おう」

薫「そりゃあ…憧れ、かな」

八幡「なんだそりゃ」

薫「アタシも、いつかは命張って人助け出来るくらいになりたいもの」

八幡「そんな場面に遭遇することがもういけないと思うんだが」

薫「あははっ、それもそうね、で、アンタは?」

八幡「…まぁ、友達…か?」

薫「友達…ね、うん、アンタにとってはそのくらいがきっとちょうどいいかもね」

八幡「おう、じゃあ俺は」

薫「なによ、送ってってくれないの?」

八幡「……ふぅ、いいよ」

薫「てんきゅ!それじゃあ出発!」

八幡(憧れかよ…そんなこと言われたの、前々世から数えても初なんじゃねぇのか?」

薫「ほら、早くしてよ」

八幡「わーってるよ」

ご飯の時間だ

結構長い間開けるかも

書くよ

―翌日―

薫「はろー」

八幡「ん、おう」

薫「今日も変わらずつまらなそうな顔ねー」

八幡「ほっとけ」

薫「そんな八幡くんにニュースがあります」

八幡「…?」

薫「なんと!あなたはクリスマスに棚町薫ちゃんとデートすることが決定しましたー!」

八幡「え?」

薫「なによー、もっと嬉しそうな顔しなさいよ」

八幡「…マジで?」

薫「マジよ」

八幡「そ、そうか」

薫「あれ、いつもみたいな捻くれた反応はなし?」

八幡「いや、びっくりしたというかなんと言うか」

薫「嬉しい?」

八幡「そうだな」

薫「そっか…ならよかった」

八幡「おう」

薫「…」

八幡「もう、大丈夫なのか?」

薫「ん?なにが?」

八幡「いや、気持ちの整理的なことだよ」

薫「あったりまえでしょ?というか、アンタが元気付けてくれたんじゃない」

八幡「そうだっけか」

薫「そうよ、だからアタシを誘う気にさせたけじめをしっかり取りなさい」

八幡「お、おう、まぁそのくらいは」

薫「それじゃあ、約束だからね」

八幡「あぁ」

田中「朝から何やってんの?薫」

薫「あ、恵子、ぐんもー」

田中「おはよ、比企谷くんも」

八幡「お、おはよう」

田中「薫昨日はどうしたのよ」

薫「あ、それがさー」

八幡(…なんということでしょうか、まさか俺がね)

八幡(まぁ、別に断る理由もないし、つーか普通に嬉しいし、やっべ、顔に出てねぇかな)

八幡(だが、やっぱこういう誘いには警戒してしまうんだよなぁ…棚町に悪い気がしてならん)

田中「へぇー、比企谷くん、やるじゃん」

薫「でしょ?普段はこんなやる気のなさそうな奴なのにね」

八幡「え?あ、おう」

田中「あ、聞いてなかったでしょ」

八幡「なにが?」

薫「今アンタの話してたでしょ?なんで聞いてないのよ」

八幡「いや、ちょっと」

田中「あっ、薫に誘われたのが嬉しくて聞いてなかったの?」

八幡「バッカ、そ、そんなんじゃねぇよ」

薫「またまた~素直に喜びなさいよ~」

八幡「んぐっ」

薫「でもそれも無理な話か~、だって八幡だもんね」

田中「そだね~」

八幡「…」

田中「あ、黙っちゃった」

薫「かわいいなぁ、もう」

八幡(もうやめてくれよ)

―クリスマス―

八幡(…こねぇな、やっぱ騙されたのか?)

薫「あっ、ごめーん」

八幡「ん、おう」

薫「ごめんねー、結構待った?」

八幡「別に」

薫「…そっか」

八幡「おう」

薫「八幡はやっぱ優しいな~ねぇ、ご褒美あげよっか」

八幡「からかうなよ」

薫「もう、釣れない態度とらないでよ~」

八幡「ほら、何処行くのか知らんが、早くしようぜ」

薫「そうね、今日はポートタワーに行くから」

八幡「またボッチにはハードルの高い場所だな」

薫「違うでしょ?」

八幡「…友達も一緒か」

薫「そっ、まぁアタシはアンタのこと友達だと思ってないけどね~」

八幡「おい、さらっと衝撃発言すんなよ、なに、俺勝手に勘違いしてたの?」

薫「あれ?だってアタシは"友達"とは言ってないもんね」

八幡「はぁ?」

薫「まぁいいじゃない、とっとと行くわよ」

八幡「お、おう」

八幡(…で)

ガヤガヤ

八幡(右を向けばカップル)

イチャイチャ

八幡(左を向けばカップル)

八幡(なに、このむせるような甘い空間、ここはMAXコーヒーの産地なの?ここであの選ばれし者の知的飲料が生産さ
   れてるの?)

薫「なにしてんのよ」

八幡「は?見りゃわかんだろ、お前の隣歩いてんだよ」

薫「いや、わかってるけどさ」

八幡「じゃあ聞くなよ」

薫「つまんなっ!…あ、まわり見て嫉妬してるんでしょー」

八幡「バカな、そんなこと」

薫「えいっ」

八幡「お、おい」

薫「んふふ~、なによ~」

八幡(腕を組むな、なんかいい匂いするから)

薫「結構まんざらでもなさそうな顔してるじゃない」

八幡「あいやぁ…そりゃ嫌なわけはないだろ」

薫「んっ……アンタって、ホントずるいよね」

八幡「な…なにが」

薫「一回突き放すくせに…ううん、なんでもないわよ」

八幡「…そうか」

薫「それよりほら、登りましょうよ」

八幡「えぇ?だって高いし」

薫「それ関係あるの?」

八幡「いや、ないけど」

薫「じゃあいいでしょ?せっかく来たんだから今日はアタシの言うこと聞きなさいよ」

八幡「…わかったよ」

薫「うわ~!綺麗ね~!」

八幡「まぁ、千葉だしな」

薫「そうね~、千葉だもんね~」

八幡(わかったのかよ)

薫「…このまえはさ」

八幡「…?」

薫「アンタに憧れてるって言ったじゃない?」

八幡「ん」

薫「あれはね、実は半分くらい嘘なの」

八幡「勘弁してくれよ、俺結構嬉しかったんだぞ」

薫「残念でした~」

八幡「…で、その残りの半分はなんだよ」

薫「うん、変な話だけどさ、一年の時から教室でも、ファミレスでも、それにたまにゲーセンでも、アンタのこと
  見てたわけじゃない?」

八幡「いや、知らんが」

薫「見てたのよ、そりゃあ入学式の日のことのせいで興味があったっていうのもあるけどさ、もっと別の理由」

八幡「…なんだよ」

薫「最近思ったんだ、あんなに正しい事した人間が、なんでいつも一人でひっそりとしてんだろって」

八幡「ほう」

薫「そりゃ普段のアンタはつまんなそうな顔して、誰ともしゃべろうとしないどうしようもない奴だってわかってるけ
  どさ」

八幡「ひでぇいいようだな」

薫「まぁ最後まで聞きなさいよ」

八幡「む…」

薫「でも本当は、やる時はすっごく頼りになる奴だって、アタシはわかってるから」

八幡「……ありがとうな」

薫「なにが?」

八幡「いや、そんなこと言われたの、初めてで」

薫「あははっ、なに泣きそうな顔してんのよ」

八幡「あ、いや、なんでだろうな、はは…」

八幡(顔に出てしまった、でもずりぃよ)

薫「でもさ、それ知ってんのは、アタシしか居ないわけじゃない」

八幡「そう…だな」

薫「だからさ、せめてアタシだけでもアンタのそばに居て、そういう人間なんだって、わかっててあげたいの」

八幡「…随分と上から目線の言い方だな」

薫「いいでしょ?アンタはヘタレなんだから」

八幡「どっちなんだよ」

薫「そのね…だから」

八幡「…」

薫「アタシはアンタを守るから、アンタもアタシのこと、これからも元気づけて欲しいの!」

八幡「…そうか」

薫「…うん」

八幡「まぁ、そうだな、それじゃあここでダーツの時の借りを返してもらおうか」

薫「…?」

八幡「そこの自販機でMAXコーヒーをおごってもらおうか」

薫「はぁ?なんでこのタイミングで」

八幡「対等でいたいからだ、借りなんてのは、親しみのない人間をつないでおくためのアンカーみたいなモンだと
   思う、そんなのは嫌だ」

薫「それって」

八幡「……俺は、俺を信用してくれてる奴を泣かせたくない、今まではそんな気にはなったこともなかったがな」

薫「八幡…」

八幡「ほら、早く買ってきてくれ、頼む」

薫「うん」

八幡(…やっば恥ずかしい、俺ってこんな奴だったか?いや違うだろ…でも)

薫「八幡!」

八幡「ん?…うおっ!」

薫「ふふっ」

八幡「ちょ、いきなり抱きつき…ッ!」

八幡(く…唇が熱い……)

薫「………んっ、よろしく頼むわよ?八幡、アタシを守ってね」

八幡「…お、おう」

薫「ふふっ、そういえば残りの半分、知りたい?」

八幡「あ、あぁ」

薫「…好き」

八幡「……俺もだ、棚町」


終わり


終わった
最後結構駆け足だったな
誤字が結構目立つけど、そのへんは許して欲しい

さて、次は紗江ちゃんか、コミュ症二人で一体どうやって進めようかね

それじゃあ見てくれた人ありがとう、おつかれちゃーん

生存報告だけ、待ってる人いたら待たせて悪いね

内容をある程度まとめてから書くから、もうちょいごめん

結局書きためてないや、どうも、>>1です

いつもどおりロースピードで書いてく、次レスから↓

=中多紗江編=

―登校中―

八幡「そろそろ着くぞ」

美也「えぇー」

八幡「いいから降りろ、見られるぞ」

美也「別にいいもーん」

八幡「まったく…」

八幡(高校生なら誰でも想像する夢シチュエーション、女子を自転車の後ろに乗せて登校、今俺はまさにそれを実行して
   いる)

八幡(まぁ、妹なんだが)

八幡(いや、別にいいんだよ?美也かわいいし)

美也「あ、紗江ちゃんちの車だー」

八幡「友達か?」

美也「うん!」

八幡「なに、お前の友達は車で登校すんの、高1は免許取れねぇだろ」

美也「そうじゃなくて!」

八幡「じゃあどれだよ」

美也「紗江ちゃんち車で送り迎えしてもらってんだよー」

八幡「ほう、羨ましいな、よし美也、今すぐ仲良くなって俺を乗せてもらえるように頼んできなさい」

美也「何言ってんの?にぃにには自転車があるでしょ?」

八幡「バッカお前、車は自転車より楽なんだぞ」

美也「うわー、相変わらず凄いなー、あの車いくら位するんだろーねー」

八幡(何この子、全然聞いてない、それは精巧少女も傷ついちゃうよ)

美也「あれ、どうしたの?」

八幡「別にどうもしねぇよ、ほら、そろそろマジで降りろ、坂はさすがに乗せては走れん」

美也「わかったー、じゃあみゃーは校門から行くねー」

八幡「おう」

美也「それじゃ、にぃにありがとー」

八幡「んー」

八幡(かぁいいよ~、お持ち帰りぃ!…って、持って帰らなくても帰って来んじゃん、素晴らしすぎる)

―昼休み―

八幡「…」

八幡(またパンかよ、そろそろ俺も弁当作ることを覚えたほうがいいかもしれん)

八幡(つーか、なんで美也の分の弁当はあんのに俺のは無いの?毎朝美也の弁当の隣にナチュラルに300円置いてあんだ
   けど、あれどうなってんの?比企谷家のバグなの?)

八幡「…」

八幡(まぁ、別にいいけど、もうちょい置いてくれれば貯められるのに、300円だとギリギリ…というか、少し足りてない
   気もするんだが、気のせい?いいえ、気のせいではありません)

八幡「…げ」

八幡(まーた群がってるよ…お前らどんだけ好きなの、パン)

八幡「…」

中多「…あっ…うっ…」

八幡「…」

中多「えーっと…」

八幡「…」

中多「…あぅ」

八幡「…」

八幡(なに、この子…って、この前の子じゃんかよ、まだ買えないのか)

中多「…あっ」

八幡「…え?」

中多「こっ…こっ…」

八幡「はい?」

中多「こんっ……」

八幡「…」

八幡(なになに、何がしたいの)

中多「こん…にちわ…」

八幡「あ?あぁ、こん…にちわ」

中多「うぅ…」

八幡「…」

八幡(えっ?なんだよその顔、俺が悪いの?)

中多「…あっ…あの…」

八幡「え?あぁ、なに」

中多「その…この前は…その…」

八幡「このまえ?…あぁ」

中多「その…ありがとう…ござい…ました」

八幡「いや、別にいいけど」

中多「その…」

八幡「…な、なぁ」

中多「…はぃ」

八幡(その語尾、マジで俺が悪いことしてるみたいじゃん)

八幡「空いてきたし、買ってきたら?」

中多「あ…はぃ」

八幡「…」

中多「じゃあ…」

八幡「お、おう、ぞれじゃあ」

中多「…」

八幡「…」

八幡(なんだったのよ、一体)

八幡(いや、礼言われたらこっちも悪い気しないが、あんなに緊張するくらいなら最後までスルーすればいいのに)

八幡(…っと、俺も買わないと)

八幡「あの…」

おばちゃん「あっ、ごめんねー、さっきの子で売り切れだよー」

八幡(なん…だと?)

おばちゃん「今日は普通にランチメニューから選んだらどうだい?」

八幡「あぁ。いや、席も空きがないんで」

八幡(というか、こんなとこで一人で食えないでしょ、なんだって周りがギャーギャーうるさい中一人で黙々と飯食わ
   なきゃいけないの、…つーか、300円じゃ無理)

おばちゃん「そうかい?ごめんねー」

八幡「いえ、では」

八幡「…」

八幡(食えない時って、なぜかいつもの倍腹減るよな、ふざけ倒せよ)

中多「あ…あの」

八幡「…はい?」

中多「えーっと…」

八幡「…あ、あのさ」

中多「…?」

八幡「別に、無理して話しかけなくていいよ」

中多「あ…ぅ…」

八幡「まぁ、それじゃ」

中多「…」

八幡「…」

八幡(よくわからん子だ、しかし育ちは良さそうだな、色んな意味で)

八幡「…」

美也「あれ、お兄ちゃん?」

八幡「…?おう、美也か」

美也「なにしてんの?」

八幡「パン買いに来たんだがな、売り切れてた」

美也「あれ、弁当は?」

八幡「俺の分はいっつもないんだ」

美也「え?なんで?」

八幡「わからん、かーちゃんに聞け」

美也「ふぅーん、って、お兄ちゃんと話してる場合じゃなかった」

八幡「そうかい」

美也「じゃあね」

八幡「んー」

美也「…っとぉ…あ!紗江ちゃんいたー!」

中多「あ、美也ちゃん」

美也「お昼買えたー?」

八幡(しょうがない、飲みもんで我慢するか)

―夜―

八幡「…ごっそうさん」

美也「あれ?随分少ないね、お腹減ってたんじゃないの?」

八幡「いや、さっきまでは空いてたんだがな」

八幡(昼間あんだけ腹減ってたのに、いざ食べるってなると全然食う気にならないんだよなぁ、人体の不思議だ)

美也「変なにぃに」

八幡「そうかよ」

美也「…あ、そういえば」

八幡「なに、学校でもにぃにって呼ぶ気になったの」

美也「違うよっ!今日の昼紗江ちゃんといたでしょ」

八幡「え?そうなの?」

美也「みゃーが聞いてるんだよっ!」

八幡「えーっと…」

八幡(…って、考えるまでもなくあの子だろうな、つーか、昼だけじゃなくて今日通して話したのあの子だけだし)

八幡「まぁいたな、それがどうした」

美也「ううん、朝話してた車の子、あの子が紗江ちゃんなんだよー」

八幡「へー」

美也「それよりにぃに」

八幡「なんだよ」

美也「紗江ちゃんに何したの」

八幡「はぁ?」

美也「とぼけても美也にはわかるよ、紗江ちゃんなんか変な感じだったし、にぃにがみゃーのお兄ちゃんか聞かれたし」

八幡「いや、別になんもないけど」

美也「えー?絶対嘘だよー」

八幡「嘘も何も、ただこんにちわって言っただけだし」

八幡(あれ、これって会話と言わないんじゃ…はい、今日も平常運行で比企谷八幡がお送りしました)

美也「え、にぃにが知らない女の子と挨拶…」

八幡「あー、いや、実は知らないわけではなかったんだ」

美也「ん?どういうこと?」

八幡「なんか、ちょっと前にパン売った」

美也「はぁ?ますます意味がわかんないよ」

八幡「俺が買ったパンが最後で、なんか捨てられた子犬みたいな目で見られたから、一つな」

美也「へぇ~、にぃに、やるねっ」

八幡「だろ?そう思ったら明日から俺の弁当作ってくれ、そんな苦労しなくて済む」

美也「もう、あんなかわいい子と話せたんだからよかったでしょ?」

八幡「それで腹が膨れればな」

美也「もう、にぃには…」

八幡「んだよ」

美也「ううん、にぃにっぽいなーって」

八幡「そうか」

美也「でも紗江ちゃんすごいよねー」

八幡「あ?あぁ、金持ちなんだっけか、…というか、そんな金持ちなのになんでやっすいパン狙ってんだよ、普通に
   学食でいいだろうに」

美也「それはね、紗江ちゃんは甘いものが好きなんだよ」

八幡「あっそ、大変だな」

八幡(でもこの前あげたの、確かクロワッサンサンドだった気がするんだが、アンパンの方がよかったか)

八幡(…なんで俺がこんなこと考えてんだよ)

美也「興味なさそー…って!だから違うってば!」

八幡「美也、疲れるだろ、もう寝なさい」

美也「にぃにのせいでしょ」

八幡「…で?」

美也「あぁ、そうだよっ!あのナイスバディーだよっ!」

八幡「え?あぁ、そうね」

美也「あっ、にぃに、照れてんの~?」

八幡「なんでだよ、手にはいらん物想像する必要もないだろ」

美也「そういうものなのかなぁ~」

八幡「そうだ、それにもう会わんだろ」

美也「そうかなぁ…」

八幡「それだけか」

美也「え?あ、まぁね」

八幡「それじゃ、俺は風呂入るから」

美也「うん」

八幡「…」

八幡(まぁ、実際豊満なバストであった)

―翌日―

八幡「…」

美也「あれ、どうしたの?」

八幡「…なんで今日も乗ってんだよ」

美也「にぃに、今さらなに言ってんの?もう結構来てるよ?」

八幡「まぁ、それはそうなんだが」

美也「あー、楽ちんだなー」

八幡「そうか」

八幡(俺は後ろ乗ったことないんだよ、なんせ乗せてくれる友達がいないからな)

八幡(まぁ、美也だからいいけど)

八幡(と言うか、俺以外の後ろに美也が乗るなんぞ許さん、絶対に許さんぞ)

美也「にぃに、なんか震えてない?」

八幡「え?あぁ、いや、なんでもない」

美也「…?」

八幡(おっと、想像だけでヘイトがテンションゲージぶっちぎってしまった)

八幡(これだけでこんなパワーが生まれるんだ、本当にあったら…ん?)

美也「あ、紗江ちゃんちの車だね」

八幡「そうだな」

美也「なんで止まってんだろ」

八幡「知るか」

美也「あ、紗江ちゃん降りてきた」

八幡「お前も友達と行ったほうがいいだろ、降りろ」

美也「なに言ってんの?にぃにも行くんだよ」

八幡「え?なんで」

美也「昨日もう会わないとか言ってたからみゃーはそれを打ち破りたいんだよ!」

八幡「俺はいいよ、つーか、友達の兄貴が平気面してその場にいるとかおかしいだろ」

美也「いいから!早くして!」

八幡「えぇ?だから」

美也「お兄ちゃん?」

八幡「…わかったよ」

八幡(これは腑に落ちない、つーか妹よ、お兄ちゃんちょっと怖かったよ)

美也「紗江ちゃーん!」

中多「あ、美也ちゃん」

美也「おはよー!今日は坂の上まで行かないの?」

中多「うん、もう道も覚えたし、一人でも行けるから」

美也「そっか、なら明日から電車?」

中多「ううん、バスかなぁ」

美也「ホント?それじゃあ明日からはバス停からみゃーと一緒に行こうねっ!」

中多「うん、ありがとう、美也ちゃん」

美也「あたりまえだよ~」

八幡「…」

八幡(俺、100%いらないよね、これ)

美也「あ、そうそう」

中多「…?」

美也「昨日の昼、紗江ちゃんウチのお兄ちゃんになにか言いたそうだったからさ」

中多「え?あ…」

八幡「…」

中多「あの…」

美也「ほらお兄ちゃん?挨拶は?」

八幡「あぁ、…おはよう」

中多「おはよう、ございます」

八幡「…うん」

美也「なんでお兄ちゃんはそうなのかなーもー…紗江ちゃん、ごめんね?」

中多「ううん、私がいけないから」

美也「あぁ!紗江ちゃんにこんなこと言わせるなんて!お兄ちゃんサイテー!」

八幡(あ、やばい、美也に嫌われちゃう)

八幡「…えーっと、なんだ」

中多「…?」

八幡「なんか言いたいことがあるなら、聞くけど」

八幡(どうした俺、マジで)

中多「あ、その」

八幡「…?」

中多「この前は、あ、ありがとうございました!」

八幡「え?いやそれ昨日聞いたけど」

中多「…ちゃんとお礼、言いたくて」

八幡「あぁ、そう」

美也「お兄ちゃん」

八幡「どういたしまして」

中多「それと…」

八幡(なに、まだなんかあんの)

中多「昨日、私がパン買っちゃって…」

八幡「え、いや、それ別にあんたが悪いわけじゃないでしょ」

中多「でも、私が先輩と話ちゃったから」

八幡「そんなことない、どうせ売れ残りだし、期待してなかった」

中多「そう…ですか」

八幡「ん」

中多「…」

八幡「…」

美也「あーっ!もうにぃに!」

八幡「なんだよ、別に今のは俺悪く無いだろ」

八幡(つーか最初から悪くない気がするんだが、と言うか呼び方)

美也「だから女の子にモテないんでしょ!?」

八幡「いや、関係…」

八幡(あるか)

美也「紗江ちゃん、こんなしょうもないお兄ちゃんだけど、よろしくしてあげてくれる?」

中多「うん、こちらこそ、最初に助けて、貰ったし…」

美也「そっかぁ!よかったねぇ、お兄ちゃん」

八幡「あ?まぁ、そうかもな」

中多「え?」

八幡「…なに」

中多「い、いえ!なにも…」

八幡「あ、そう」

美也「それじゃあ、学校いこーっ!」

八幡「したら、俺先に行くから」

美也「ダメでしょ?一緒に行くの!紗江ちゃんもいいよね?」

中多「うん、大丈夫」

八幡「…ほれ、遅れるぞ」


休憩

出会うまでが長い
あと酉ってつけたほうがいいのかしら、なんか気取ってるみたいで嫌なんだよな

そうなの?それは失言だった、すいません

ただまぁ、乗っ取られてもそのほうが面白ければいいと思うし、このままで行くよ

それじゃあ、次レスから↓

―昼休み―

八幡(今日はなぜか普通にパン買えた、ラッキー)

八幡「…」

八幡(さて、いつもどおりあの場所に…」

中多「きゃっ」

八幡「うおっ、すいません…って、あら」

中多「あ、こんにちわ…」

八幡「あぁ、こんにちわ」

中多「先輩、お昼…ですか?」

八幡「え?あぁ、まぁ」

中多「…」

八幡「…それじ」

八幡(…待て、ここでなにも言わなかったらまた美也に…)

八幡「あ、アンタも、パン買いにいくの」

中多「あ…はい」

八幡「そうか」

中多「あの…!」

八幡「ん?」

中多「名前…」

八幡「なまえ?」

中多「はい…私、中多、紗江です」

八幡「あぁ、すまんな」

中多「いえ、大丈夫です」

八幡「…」

中多「…」

八幡「多分、今日はまだ残ってるんじゃないの」

中多「そうですか…」

八幡「うん、それじゃあ」

中多「はい、失礼します」

八幡「はい」

八幡(…あれ、財布)

八幡「お、おい」

八幡(…行ってしまった)

八幡「…はぁ」

八幡(届けるしかないよな…)

中多「…あれ」

八幡「な、中多」

中多「あ、先輩」

八幡「落ちたぞ」

中多「あっ…ありがとうございます」

八幡「いや、多分ぶつかった時だし、俺のせいでもあるから」

中多「いえ、そんなことは…」

八幡「…パン、あったの」

中多「いえ、もう残ってませんでした」

八幡「そうか」

中多「…」

八幡「これ」

中多「…え?」

八幡「ぶつかったのの、お詫びと言うことで」

中多「いえ!そんな」

八幡「いらないの」

中多「…」

八幡「まぁ、それならいいけ」

中多「もらいます、お金は」

八幡「いや、お詫びだから」

中多「そう…ですか」

八幡「ん、それじゃ」

中多「あ…」

八幡「…」

八幡(…なんか、自分より喋らない奴といると、なぜか話さなければいけない気がして変な気を使ってしまう)

八幡(まぁ、いいか、変な理由もこじつけられたし、一方的なら恩の押し売りみたいになるけど、お互い様ってことで)

八幡(戦後だって、ご近所同士で助けあってたらしいし、たまにはいいだろ)

八幡「…」

八幡(さて、行くか)

―放課後―

八幡(ファミレスにでも行って、勉強すっか)

八幡「…」

八幡「…あ」

中多「…」

八幡(なんでこんなとこにいるの、ジョセフも砂漠の真ん中でヤシの木にあたった時こんな気持ちだったんだろうな)

八幡「よお」

中多「あ、先輩」

八幡「なんか、よく会うな」

中多「は、はい」

八幡「どうしたの、そこ、中多んちなの」

中多「い、いえ、犬が」

八幡「はい?」

中多「繋がれてない犬が居て…」

八幡(ちょっと待て、ほんとにこんな奴がいるのかよ)

八幡「別の道から行けばいいだろ」

中多「でも、ここしかわからないので…」

八幡「…どこまで行けばわかる」

中多「このさきのファミレスまで行ければ…」

八幡「あぁ、そう、じゃあこっち」

中多「…?」

八幡「通れないんだろ?案内するから、明日からその道で帰れ」

中多「は、はい、ありがとう…ございます」

八幡「べ、別にいいよ」

八幡(なんかラブコメっぽいことしてるぜ、おい)

八幡「…」

中多「…」

八幡(前言撤回、なんにも話すことない、これじゃあラブもコメもねぇよ)

中多「…」

八幡「あ、こっち」

中多「はい…」

八幡「…」

中多「あの、先輩」

八幡「…ん?」

中多「ありがとう、ございます」

八幡「さっきも聞いた」

中多「すいません」

八幡「いや、そういう意味じゃなくてだな」

中多「…」

八幡(ヒッジョーに気まずいよ、なんとか沈黙打破しないと)

八幡(『美也の事』 『犬の事』 『学校生活について』 …って、なんかどっかで見たことある選択肢が現れたんだが)

八幡(あー、それじゃあ)

八幡「……美也とは、いつから友達なんだ?」

中多「あ、私は夏に転校してきて、美也ちゃんはたまたま同じクラスだったんです」

八幡「ほう」

中多「それで、うまく話せない私と仲良くしてくれて、あとはもう一人逢ちゃんって言う子も、友達になってくれました」

八幡「そうか、よかったな」

中多「はい」

八幡「前の学校と、ウチじゃなんか違うとこあるか?」

中多「はい、前の学校では、アルバイトが禁止だったんです」

八幡「それで?」

中多「なので、アルバイトを初めてみたいなって、思ってます」

八幡「そうか」

中多「先輩」

八幡「…?」

中多「少し、付き合ってもらえますか?」

八幡「え?」

中多「アルバイトしてみたいんですけど、お店がなかなか見つからなくて」

八幡「探すの、手伝えってことか」

中多「はい…美也ちゃんと逢ちゃんは、今日は居なかったので、他に知ってる人が…」

八幡「…あぁ、まぁいいけど」

中多「…!本当ですか!?」

八幡「え?あぁ、おう」

中多「あのっ、それじゃあ、お願いします」

八幡「はいよ」

八幡(…で)

中多「あの、先輩は何にしますか?」

八幡「あ、いやなんでも」

中多「今日は、お昼にパンをもらったので、私が」

八幡「いや、いいよ別に」

中多「そう…ですか」

八幡「…じゃあ、コーヒー頼む」

中多「…!わかりました!」

八幡「…」

八幡(なんか、街にあったいかにもリア充向けの喫茶店に入った)

八幡(なんとなく予想はしていたが、店内は女子とカップルしかいない、なんかすっげぇ場違いな気がする)

中多「…」

八幡「…?注文しないの」

中多「あ…」

八幡「……あの、すいません」

店員「はい、ご注文ですか?」

八幡「ええ、コーヒーと…中多は?」

中多「あの、今日のケーキセットの紅茶で…」

八幡「じゃあ、それで」

店員「かしこまりましたー」

八幡「…ふぅ」

八幡(あー、怖かった)

中多「あの」

八幡「なんだ?」

中多「ありがとう、ございます」

八幡「いや、注文くらい」

八幡(つーか、お前そればっかじゃねぇか、言葉の価値さがるぞ)

中多「…ここの制服、かわいいですよね」

八幡「へ?あぁ、まぁいいんじゃないの」

中多「先輩もそう思いますか?」

八幡「まぁ、いかにも中多に似合いそうだと」

中多「あ、ありがとうございます」

八幡(またそれかよ)


八幡「…しかし」

中多「…?」

八幡「あぁ、いや、別にそういう意味じゃないんだが」

中多「なんですか?」

八幡「そんな人見知りで、接客なんてできんのか?」

中多「あぅ…」

八幡(はは、何この子、かわいい)

八幡「責めるってわけじゃないが、接客は厳しいだろ」

中多「そう…ですよね」

八幡「…」

八幡(ちょっと、そんな顔されると困るんだが)

中多「…」

八幡「…まぁ、あれだな」

中多「なんですか?」

八幡「いや、俺の妹はあんなんだから、アイツに聞けばなんかいいアドバイスもらえるかもな」

中多「そう、ですね」

八幡「食い終わったら、ウチ来るか?美也多分いるし」

中多「…そう、ですね、お願いします」

八幡「ん、わかった」

店員「お待たせしました」

八幡「あ、ども」

中多「…ありがとう、ございます」

店員「いえいえ、それでは、ごゆっくり」

八幡「…それじゃ、いただきます」

中多「わ、私も、いただきます」

八幡「…」

中多「…あ、おいしいです」

八幡「よかったな」

中多「はいっ」

八幡「…」

八幡(ま、美也ならなんとかしてくれんだろ)

八幡(そう思っていた時期が、俺にもありました)

美也「ダメだね、にぃにも手伝うんだよ」

八幡「いや、だって俺に人付き合いの手伝いさせるとか、絶対におかしいだろ」

八幡(そんなん、メカ沢が機械に触ったことないのと同じレベルでおかしいわ、無理無理)

美也「だって、にぃにが言ったんでしょ?」

八幡「いや、それはそうだけどさ…」

中多「…すいません」

八幡「別に謝んなくても」

美也「みゃーはね?にぃに一人でやれって言ってるわけじゃないんだよ?手伝ってって言ってるの」

八幡「…ん」

美也「頼むよー、この通りっ!」

中多「あ…あの」

八幡「…?」

中多「お願いします、先輩」

八幡「ぐっ…」

美也「ほら、みゃーも紗江ちゃんもこんなに頼んでるんだよ?」

中多「先輩…」

八幡「……はぁ、わかったよ」

美也「ほんと!?やったね!紗江ちゃん!」

中多「う、うん、ありがとうございます、先輩っ」

八幡「あ、まぁ、別に暇だし、あんまあてにされても困るけど」

美也「美也はそのこころが嬉しいんだよ~」

八幡「そうかい」

美也「それじゃ!早速明日から特訓だね」

八幡「あぁ、まぁそうだな」

中多「よろしくおねがいします!」

八幡「よ、よろしく」

美也「…あ、いいこと思いついた」

八幡(え?)

美也「今さぁ、学園ドラマが流行ってるでしょ?」

八幡「そうなの」

八幡(テレビ見てないからわかんないけど)

中多「あ、私も知ってるよ」

美也「ほんと?あれ面白いよねー」

中多「うん、毎週欠かさず見てるよ」

美也「今週はさー」

八幡「いや、それはあとにしろよ」

美也「あ、そうだった」

八幡「…で、それがなに」

美也「ちょうどそのドラマに出てくる女の子が紗江ちゃんに似てるんだー」

八幡「…だから?」

美也「だから紗江ちゃんはにぃにを『先生』って呼ぶといいと思うんだよね~」

八幡「…ちょっとよくわかんない」

中多「み…美也ちゃん」

美也「ほら、紗江ちゃん、試しに」

中多「う…」

八幡「…」

中多「せ…先生」

八幡「ぐふぉっ…」

八幡(なんだ…この、破壊力は…というか中多、なんで普通に呼ぶんだよ)

美也「にぃに?」

中多「先生?どうしたんですか?」

八幡「あ、いや、なんでもない、そして中多、その呼び方は」

美也「じゃあ決定ねっ、にぃには紗江ちゃんのこと呼び捨てにしなきゃダメだよ?」

八幡「それはマジで勘弁してください」

美也「えー!」

八幡「いや、だって教師が生徒の名前呼んだら訴えられたみたいなニュースあったろ、だから」

美也「でもさぁ」

中多「美也ちゃん、大丈夫だから…」

美也「そう?ごめんね?にぃにがヘタレで」

中多「ううん」

八幡(それをやめさせる気があるなら、呼ぼ方も変えようや)

今日はここまで、やっと話が始まったね

それじゃあ、見てくれた人、ありがとう、おつかれちゃーん

待たせた、どうも、>>1です

それじゃあ少し書いてく、次レスから↓

―翌日―

八幡「…」

八幡(今日は美也は先に行ったようだ)

八幡(まぁ、昨日の朝、中多と登校するみたいなこと言ってたしね、べ、別に寂しくなんてないんだからね)

八幡(しかし、どうしようかな)

八幡(あの状態から、接客出来る状態に持ってくとか、かなり骨が折れそうだ)

八幡(もういっそ、ドラゴンボール集めてお願いしたほうが楽なんじゃないの?ちょっとカプセルコーポレーション行って
   くる)

八幡(…冗談はこのくらいにしておいて、一度受けてしまったわけだし、なんとかしてやんないとな)

八幡(というか、なんとかしてやりたくなっちゃうでしょ、あぁ言う子がこれ以上増えると、将来俺を養ってくれるような
   人が少なくなっちゃうかもしれないし、他意はないぞ)

八幡「…」

八幡(ただ、あの呼び方はどうにかなんないもんかね、先生って…)

八幡(あ、なんか背中が痒くなってきた、恥ずかしいです、やめてください)

八幡(さて、まず何をするべきなんだ?そもそも接客というか、人とコミュニケーションを取る事においては、俺は逆
   スペシャリストだぞ?わかるわけないでしょうが)

八幡(まさにウップス、コミュニケーション、紳士でさえ感じるプレッシャー、そういえばソウルドアウトは他とコラボ
   あんましないよな、マジかっこいい、シンパシー感じる、アララアララァ)

八幡「…」

八幡(ま、とりあえず声を出すことからだろうな、あれじゃあ何言ってるかわかんないよ)

八幡(できれば、海に向かって大声で叫ぶとかそういうことができればいいんだが、無理だろ、いや、俺も無理だし、手本
   見せろとか言われたら詰むわ)

八幡(それなら、まぁあそこくらいかな)

―放課後―

美也「どこいくのさ」

八幡「カラオケ」

美也「なんで?」

八幡「声出せるから」

美也「なにそれー」

八幡「とりあえず発声練習とかした方がいいだろ」

美也「あー、なるほどねー」

八幡「中多も、掴みはそんなもんでいいだろ?」

中多「はい、よろしくおねがいします」

八幡「別にいまさらかしこまんなくても」

中多「そ、そうですか?」

八幡「うん、だからもうちょい力抜いとけ」

中多「わかりました、先生」

八幡「……もういいや」

中多「…?」

美也「てゆーか、いつ着くの?」

八幡「そろそろ、このへん」

美也「にぃに、よく来るの?」

八幡「別によくは来ないが、たまにな」

美也「誰と?」

八幡「は?一人に決まってんだろ」

美也「えー?カラオケに一人で来るの?」

八幡「なに、逆にカラオケって誰かと来るもんなの」

美也「当たり前でしょ?この前も紗江ちゃんと逢ちゃんと来たし」

八幡「そうかよ、というか、それならその逢ちゃん?も呼んでお前ら三人で中多の手伝いしてやればいいんじゃないの」

美也「ダメッ、にぃにも来るの!」

八幡「そうですか」

八幡(…で)

美也「じゃあ早速、紗江ちゃん、はい」

中多「え?わ、私から?」

美也「あたりまえだよ、紗江ちゃんの特訓で来たんだもん」

中多「でも、ちょっと…」

美也「大丈夫だって、にぃにに紗江ちゃんの歌声聞かせたらもうメロメロだよー」

八幡「おい待て、俺そんなんで一々惚れてたら歌番組見たら大変なことになるぞ」

中多「でも…」

美也「じゃあ美也も一緒に歌うよっ、デュエットしよー」

中多「あ、それなら大丈夫かも」

美也「じゃあそうしよー!ほらにぃに、マイクもう一本取って」

八幡「はいよ」

美也「それじゃ、何歌おっかー」

中多「美也ちゃんが決めていいよ」

美也「ホントー?でもダーメ」

中多「え?」

美也「紗江ちゃんが決めるんだよー」

中多「うん、わかった」

美也「なるべき明るい曲がいいよねー」

中多「そうだね、どうしようかな」

八幡(もうスリップノットとかシステムオブアダウンとかでいいんじゃない?超声出るよ?…逆に静かに歌うのも見てみた
   い気もするな)

中多「じゃあ、これにしようかな」

美也「あ、これあのドラマの主題歌だよね?」

中多「うん、二人で歌えるしね」

美也「じゃあ早速歌おう!」

八幡(おう、頑張れ頑張れー)

美也「イェーイ!」

中多「い、いぇーい」

美也「どうだった?にぃに」

八幡「まぁ、悪くないんじゃないの?一番はまだ小さかったけど、二番くらいからはしっかり声出てたし」

中多「本当ですか?」

八幡「あぁ、よく頑張ったな」

中多「あ、ありがとうございます」

八幡(まぁ、隣で歌ってるのが美也だからだとはいえ、まだ微妙に小さいがな、時期に慣れてくるだろうよ)

美也「それじゃあどんどんいこーっ!」

中多「うん、そうだね」

八幡(表情から察するに、どうやら一曲歌って泊が付いたようだ)

中多「…」

八幡「…?どうした」

中多「あ、先生は歌わないのかな…と」

八幡「いや、俺はいいよ」

中多「そう…ですか?」

八幡「そもそも中多の発声練習なんだし、俺はそれに付き合ってるだけだし」

中多「そうですか…」

美也「じゃあ次は紗江ちゃん一人で歌ってみたら?」

中多「…うん、頑張ってみるよ」

美也「おっ!がんばれー!」

中多「えーっと、じゃあこれ歌おうかな」

美也「あ、美也もこの歌好きー」

八幡「美也、今はお前のことはどうでもいい」

美也「ひどいよー」

中多「それじゃあ、歌います」

八幡「おう、頑張れ」

中多「…ふぅ」

美也「やっぱ上手だねー」

中多「そうかな」

美也「うん!それにすっごいかわいかったよー」

中多「ありだとう、美也ちゃん」

美也「うん!」

中多「あの、先生は、どう思いましたか?」

八幡「ん、まぁいいんじゃないの、普段もあれくらい声出せりゃ上等だな」

中多「よかったぁ…」

八幡(ま、それができればだが)

八幡「今日はもう練習とかそういう意識はほっといて、あとは適当に二人で歌ってれば?」

美也「あ、美也も歌っていいの?」

八幡「おう、歌え歌え」

美也「やったねー、それじゃあ早速…」

八幡「中多ももう好きにしてな、歌いたければ歌えばいいし、嫌なら美也の歌聞いてればいい」

中多「わかりました、それじゃあ、私は美也ちゃんのあとにまた歌おうかな」

八幡「そうか、頑張れ」

中多「はいっ」

八幡「…」

八幡(声を出す感覚はもうだいたい分かったろ、あとは本人の度胸の問題だし、もう言うことはない)

八幡(そのうち、どっかしらで発揮できるようにすればいいな)

八幡(あとは少しのコミュ力くらいかな)

八幡(まぁ実際、ここで完成させなくても、ある程度の基板があれば店側のトレーナーとかが指導してくれるだろうし、
   大丈夫だろ)

八幡(…というか、なんか向こうが慣れたのかどうか知らんが、だんだん普通に喋れるようになってきてるし、根本的な
   ところでは案外問題はないのかもしれん)

美也「みゃーこれ歌おーっと」

中多「私はどうしようかな」

八幡「…」

八幡(卒業ももう遠くないな、先生嬉しい…やめろ、俺)

今日はここまで

ちょっと疲れたわ、短くてごめん
そのうち、早い時間から書ける時がくれば一気に書くよ

それじゃ、読んでくれた人、おつかれちゃーん

どうも、>>1です

大変長く待たせた、すいません

今回から書き方を微妙に変えるのでご了承を

それでは、次レスから↓

―数日後―

中多「先輩!」

八幡「え?あぁ。おう」

中多「おはようございます、先輩」

八幡「うん、おはよう」

八幡(あれから数日、中多は順調にあがり症を克服し、晴れて例のおしゃれなカフエ()で働き始めた。……はずだが)

中多「今日もお付き合いしていただいてよろしいですか?」

八幡「いや、もう終わったろ。俺も先生卒業したわけだし」

中多「でも、まだ接客に慣れなくて……」

八幡(なぜかバイトのない日は俺の元へ来る中多。変になつかれてしまった気がする)

八幡「教えられることももうないしな」

中多「……そうですか」

八幡「……」

八幡(まぁ、正直頼る頼られるに縁がなかった者として、こうして会いに来てくれる事自体は正直嬉しいが……)

中多「……?どうしたんですか?」

八幡「いや、なんでもない。それより今日の放課後か?」

中多「は、はい」

八幡「まぁ、正直俺は予定とかないし、もし会うなら元よりの関係はなしに普通に遊ぼうぜ」

中多「……!はい!ありがとうございます!」

八幡「そんなにはしゃがなくても」

中多「あ、すいません。先輩」

八幡「いいよ、別に」

八幡(さっきから感じるこの視線。やはり誰かが俺たちを……正確には恐らく俺を見ている。中多のファンか何かなんだろう   か)

中多「先輩?」

八幡「……行こうぜ。遅刻する」

中多「はい」

八幡(そりゃモテるよな、こいつは)

八幡「……」

八幡(刺されたりしねぇかな、俺)

八幡(……で)

美也「お兄ちゃん」

八幡「おう、すまんな、美也。わざわざ呼び出して」

美也「いいんだよ、お兄ちゃん。それより話って?」

八幡「いや、中多のことなんだが」

美也「紗江ちゃんの?」

八幡「あいつ、やっぱモテるのか?」

美也「まぁね。紗江ちゃん、小動物的な可愛さがあるでしょ?だから男の子は守ってあげたいとかなんとかで、ファンクラブ
   もあるらしいよ」

八幡「そうか」

美也「でもいきなりどうしたの?」

八幡「いや、なんでもない」

美也「なんでもないのにそんなこと聞いたの?」

八幡「悪いかよ」

美也「ううん、別に。……!そっかそっか。にしし」

八幡「んだよ」

美也「べっつにー」

八幡「気持ちわるいな」

美也「いいじゃんいいじゃん!でもお兄ちゃん、そっかー」

八幡「……」

八幡(あれ、こいつなんか変な勘違いをしてる気が)

八幡「おい、美也勘違いしてると思うが」

美也「いいのいいの、美也はわかってるから」

八幡(ダメだこいつ。早くなんとかしないと)

美也「……あ、チャイムなったから美也行くねー」

八幡「あ、ちょっ」

美也「ばいばーい」

八幡「……え?」

―放課後―

八幡「……え?」

中多「ですから先輩。その……」

八幡「ごめん、もう一回頼む」

中多「はい、先輩のおウチに……行きたいです……」

八幡「……」

八幡(待て待て。お前はもっと、こうなんというか、奥ゆかしい娘だったろ?人と話すのも難しいくらいの)

中多「ダメ……ですか?」

八幡「ダメじゃないが……」

中多「本当ですか!?」

八幡「でも、美也もいないし」

中多「いいんです」

八幡「なにが」

中多「私は、先輩と遊びたいんです」

八幡「……あぁ、そう」

八幡(こりゃあ美也に触発されたな)

八幡(まぁ、確かに美也に少し言われただけで俺のこと先生とか呼んじゃうような娘だったし、一般とは微妙にズレてる気
   もしていたが)

中多「ど……どうかしましたか?」

八幡(これはないだろ)

八幡「あー……中多よ」

中多「はい」

八幡「美也に何吹き込まれたんだ?」

中多「え……えーっと、その」

八幡「……」

中多「せ……先輩は、イナゴマスクが好きだって」

八幡「……はい?」

中多「いえ、先輩はイナゴマスクが好きで、本当はそのあとにやってるプリキュアを見るために仕方なく見てるって最初は
   言ってたけど、最近は先輩も結構ハマってきてるって、美也ちゃんが……」

八幡「……中多ってさ」

中多「はい」

八幡「特撮ヲタなの?」

中多「……はぃ」

八幡(中多紗江の秘密、ピュアレッツ)

八幡(……で)

中多「あ、コミック版だ」

八幡(俺の杞憂を知らず、中多はビデオに録画してあるイナゴマスクと本棚にある最近購入したコミック版のイナゴマスク
   に興味津々なのであった)

中多「読ませてもらってもいいですか?」

八幡「あぁ、いいよ」

中多「ありがとうございます!」

八幡「……」

八幡(しかしまぁ、なぜこう金持ちの娘はオタク趣味に関わってしまうのだろうか)

八幡(乃木坂さん家の娘さん、三千院さん家の娘さん、柏崎さん家の娘さん)

八幡(そして中多も金持ち。おかしい、何かがおかしい)

中多「やっぱかっこいいですよね、あ、ゴールドウルフだ」

八幡(まぁ、別にオタク女子が悪いとは言わないが、本物は初めて見たな)

八幡「……」

中多「……?どうしたんですか?先輩」

八幡「あぁ、いや」

八幡(しかし、注意力が足りなすぎるよ君は。男の部屋に二人で、そんな足崩したら襲われるよ?よかったな、俺が別の
   ベクトルの紳士で)

中多「そういえば……先輩」

八幡「なんだ?」

中多「実は、もう一つ美也ちゃんから聞いていた事があるんです」

八幡「ほう」

中多「先輩は……なんで私がモテるかどうかを、美也ちゃんに聞いたんですか?」

八幡「……え?」

八幡(なん……だと?お、思いっきり爆弾しかけてるじゃねぇかあの妹!)

中多「その……先輩」

八幡「あぁ、いやまぁ。なんだ」

八幡(まずい、次の言葉が紡げない。このままじゃジリ貧だ。正直に言うか?いや、しかし)

中多「……」

八幡(えぇい、ままよ!)

八幡「俺みたいなのと人気者のお前がつるんでたらよ、周りはいい気しないんじゃねぇかと……思ってだな」

八幡(言ってしまった)

中多「……そうですか」


今回はここまで

それじゃあ読んでくれた人、おつかれちゃーん

どうも、>>1です

それじゃあ、次レスから↓

八幡「……」

中多「……」

八幡(気まずくなってしまった。いや、まぁ俺のせいなんだけど)

中多「先輩は……」

八幡「ん?」

中多「先輩は、私と一緒にいて、楽しいですか?」

八幡「……まぁ、つまらなくはないが」

中多「私は、とても楽しいです」

八幡「そうか」

中多「先輩は、初めて会った時のこと、覚えてますか?」

八幡「覚えてるよ」

中多「……あの時、先輩は見ず知らずの私を助けてくれました」

八幡「まぁ、そうなるのかな」

中多「私、とても嬉しかったです」

八幡「……そうかよ」

中多「その後も、先輩は私を助けてくれました。男の人にあんなに優しくしてもらったの初めてで……それで」

八幡「まぁ、そんだけ喋れりゃあ、もう俺も必要ないだろ」

中多「……え?」

八幡「俺は別にお前だって知ってて、それで恩を売ったわけじゃない。感謝とか感じてるなら、そういうのはやめろ」

中多「……」

八幡「まぁ気持ちはわかるぜ。俺だって人と話すのは苦手だし、でもだからと言ってそれで誰かにすがっても、別に悪い
   ことじゃないさ」

中多「なら……」

八幡「だが、すがるべき人間は俺じゃない」

中多「な……」

八幡「だって、俺だぜ?たまたま美也がいたから俺はなんとかここまでやってやれたが、それ以上は無理だろ」

中多「せ……先輩」

八幡「……俺な、昔ある女に告白したことがあんだよ」

中多「……?」

八幡「その女は……ずっと一人ぼっちだった俺を気にかけて、話しかけてくれてたんだよ。まぁ、実際気にかけててくれた
   のかは知らんが。そのへんは俺の勝手な解釈だ」

八幡「それで、俺は勘違いしちまったんだ。『こんなに俺に話しかけてくれるんだ。相手も俺と同じ気持ちに違いない』って
   な」

中多「……」

八幡「でも、違った。錯覚だった。俺は勝手に期待して、勝手に振られて、勝手にそんな過去にトラウマを持ってるんだよ」

中多「でも、先輩は」

八幡「つまり、何を言いたいかって言うとだな、お前の心にある俺への感情は、俺が勝手に売りつけたお節介による錯覚って
   ことだ。それにお前だって言ってたろ?学校の先生が授業を受け持ったからってそれが恋愛に発展するか?」

中多「そんなことは……ない……ですけど」

八幡「だろ?だから忘れろ。これからは楽しくバイトやって、そのうち錯覚じゃなくしっかり生まれた……」

中多「せ……先輩……」

八幡「お……おいおい」

八幡(泣かないでくれよ)

中多「先輩は……先輩は最初からそう思っていたんですよね」

八幡「まぁな」

中多「ずるいですよ……だって私は……そんな気持ちで先輩と一緒にいたわけではないですから……」

八幡「……」

中多「もし……もしも本当にこの気持ちが錯覚だったとしても……やっぱりちゃんと伝えたいです。先輩だって、そうした
   んですよね?」

八幡「あ……あぁ」

中多「だから言わせてください。あ……あの日話しかけてくれたのも、相談に乗ってくれたのも、一緒に働くところを探し   てくれたのも、全部先輩だった……だから私は先輩を……八幡先輩を好きになったんでしゅ……!」

八幡「……しゅ?」

中多「~~~~っ!!」

八幡「……」

八幡(言わせてしまった。ったく、全然ダメじゃねぇか、わかったのによ。中多と違って経験もあったのに。そして、その
   辛くなる思いを、中多にも味あわせるのか?俺は……)

八幡(……頼られるのは正直悪くなかった。いや、嬉しかった。本当に嬉しかったな。……俺よ、そう思うなら、多分ここ   で言ってやるセリフも、変わってくんじゃないのか)

八幡「……俺も確か、そんな感じだったな。大事なところで噛んで、その上みっともなく振られたっけか」

中多「先輩……」

八幡「でもまぁ、教え子に同じ道を歩ませるわけにはいかないかな。せめて、反面教師でくらいはいないとな」

中多「……!」

八幡「もうちょっとだけ、一緒にいてみるか。中多」

中多「は……はい!」
   


―クリスマス―

八幡(あれから数日が過ぎ、気づけばクリスマスになっていた)

八幡「……」

男「そういうわけだ……比企谷くん、紗江を頼むよ」

八幡「はい、わかりました」

男「……それじゃあ」

八幡「……」

八幡「……ふぅ、疲れた」

八幡(さて、今の男が誰だったか、まぁぶっちゃけると、中多の親父さんだった)

八幡(なんでって?数日前から俺が何度も感じていた視線の正体、実はなんと中多の家の人間だったらしい)

八幡(俺にバレるのもどうかと思うが……まぁそのへんは別にいいだろう。問題はなぜ俺が付けられていたかだが)

八幡(どうやらここ最近、中多は家で俺の話を頻繁にしていたそうだ)

八幡(普通の家なら別になんともないんだろうが、さすが社長令嬢、素性の知れない男に近寄られたらたまらないということ
   で、俺の身辺調査を行っていたらしい)

八幡(お金持ちマジぱねぇっす。でも、どうやら調査の結果、俺は親父さんに信用されたようだ。その証拠に、こんなもの
   をもらったんだ)

八幡「……プライベートシートの映画チケットねぇ……」

八幡(『紗江と一緒に、見に行ってあげてくれ』とのこと。正直恋愛映画は趣味じゃなく、あまり気が進まないところだが、
   しかし受け取ってしまったものは仕方ない)

八幡(というわけで……)

中多「先輩!」

八幡「おう」

中多「お父さんとは、もう話終わったんですか?」

八幡「あぁ、見ての通り」

中多「それで……どうでしたか?」

八幡「いや、まぁいい親父さんなんじゃないの、うちとはまるで大違い」

中多「ふふ、そうですか」

八幡「……そんで、こんなものをもらったんだが」

中多「あ……はい」

八幡「日付が今日なんだ。だから、今から行かないか?」

中多「はい!行きます先輩!」

八幡「そうか、なら行こうか」

中多「はい!」

八幡(ふぅ、きっちりした服を着ておいてよかったぜ)

八幡(……で)

八幡「暗いな」

中多「そうですね」

八幡「……もうすこし時間があるな」

中多「そう……ですね」

八幡「なぁ、中多」

中多「なんですか?先輩」

八幡「ここで確認しておきたいことがあるんだ」

中多「はい」

八幡「どうだ。その……お前の気持ちは……」

中多「……?」

八幡「錯覚じゃ……なかったか?」

中多「……はい、本物です」

八幡「そうか」

中多「はい……」

八幡「それじゃ、言わなきゃいけないことがあるな」

中多「なんですか?」

八幡「今度こそ、俺はお前の先生を辞める」

中多「……え?なんで……ですか?」

八幡「ジョブチェンジってやつだよ。先生のままじゃ、生徒と……そのなんだ。付き合うとか、ダメだろ」

中多「それって……」

八幡「……俺をこれからも頼ってくれないか、中多」

中多「……っ……嬉しいです、先輩」

八幡「うん、そりゃよかっ……!?」

中多「……んっ」

八幡「……い……いきなりだな、中多」

八幡(キス……甘いな、いろんな意味で)

中多「私の中では、最初から決めてましたから。先輩」

八幡「最初から……か」

八幡(こりゃやられたな。立派すぎる仕返しだ)

中多「でも、もう一つ、聞いてないことがあります」

八幡「……」

中多「先輩は私のこと、好きですか?」

八幡「……あぁ」

中多「錯覚じゃないですよね」

八幡「……もちろんだ、中多」

終わり

2ヶ月以上もかかってしまった、ごめん

原作の紗江ちゃんのイベントは橘さんじゃないと無理なものばっかだったから、大変だったよ
ほかのヒロインと違って、ほとんどオリジナルの展開だったからクオリティは下がってるけど、勘弁してくだちい
次は七咲かな、また難しそうだね

それじゃあ、見てくれた人、おつかれちゃーん

=七咲逢編=

八幡「……」

八幡(どうやら、足繁くここに通ううちに、すっかりなつかれてしまったようだ)

ぷー「ナーオ」

八幡「……」

八幡(こいつ、一体どっから来てるんだろうな。この辺に巣でも作ってんのかね。……あれ、猫って巣作るの?)

七咲「……」

八幡「……」

七咲「あの……」

八幡「……?あぁ、この前の」

七咲「えぇ、先日はお世話になりました」

八幡「いや、まぁ」

七咲「……」

八幡(あれ……なんでそこに突っ立ってるの?俺なんか悪いことした?)

七咲「ちょっと、いいですか?」

八幡「え?あ、あぁ」

七咲「……もっと堂々としてくださいよ、二年生ですよね」

八幡「そうだけど。なに、それが言いたかったの」

七咲「いいえ、そうではないです」

八幡「じゃあなに」

七咲「先輩の名前、聞いてもよろしいですか?」

八幡「え?なんでよ」

七咲「一応助けていただいたわけですし。それともなんですか?名前も聞いちゃダメなんですか?」

八幡「……比企谷八幡だ」

七咲「比企谷……先輩ですね」

八幡「うん」

七咲「そうですか。それでは比企谷先輩、改めてこの前はありがとうございました」

八幡「いや、別にいいって」

七咲「そう言ってもらえると助かります。実はそこまで恩を感じているわけではないので」

八幡「あはは……あぁ、そう」

八幡(なにこの子。すっげぇぶん殴りたい)

七咲「かわいいですよね」

八幡「え?」

七咲「先輩が今撫でている猫です」

八幡「あぁ。まぁそうだな」

七咲「それでは、私は行きますね」

八幡「あぁそう」

八幡(なんなんだよ)

七咲「……あ」

八幡「なに、まだなんかあんの」

七咲「比企谷先輩、妹さんがいますよね」

八幡「いるけど」

七咲「そうですか」

八幡「それがなに」

七咲「いえ、聞いてみただけです」

八幡「……」

七咲「それでは、今度こそ私は行きますね」

八幡「さいですか」

七咲「えぇ、それでは」

八幡「あいよ」

八幡「……」

八幡(あれ、俺あの子の名前聞いてないじゃん)

八幡(……まぁいいか。どうせ脳みその中に一生使わないメモリが6バイト程度増えるだけだろうしな)

八幡「……」

八幡(ん?美也の知り合いなのか?)

―放課後―

八幡「……」

八幡(ブランコって好き。一人で遊べるから……ってセリフ。エコエコアザラクだっけか?あの漫画、小学生の時読んで
   トラウマになったランキング2位だわ。ちなみに1位は神の左手悪魔の右手。というか、あれは今読んでも結構怖い)

八幡「……」

八幡(とまぁ、そんな感じで公園にやってきた)

八幡(……なぜ来たかって?ぼっちが行く先に理由なんてない。大抵行きどまったところでゆっくりするもんだ。それがたま
   たまこの公園だったわけだ)

八幡(しかし、偶然ってあるもんだね。俺も大好きなブランコで遊ぶ知った顔が一つ、そこにあるんだ、これが)

八幡(だからな、俺はこの境遇に対して、ある主人公に敬意を払ってこう言うことにしたよ)

八幡「やれやれ」

七咲「なにがやれやれなんですか?先輩」

八幡「そりゃお前、俺が街の中で知った顔に遭遇するなんてバラバラにした時計を箱に入れてシェイクしたら元に戻るくらい
   の確率だからな」

七咲「それ、面白くないですよ」

八幡「くっ……。別に狙ってねぇよ」

八幡(本当だよ?別に笑いを狙ったわけではないんだよ。別の的は狙ったかもしれないけどさ)

七咲「よっ……と」

八幡「……む」

八幡(黒か)

七咲「……見えましたか?先輩」

八幡「え?なにを?」

七咲「スカートの中。今見えたんじゃないですか」

八幡(見えてないアルね!言いがかりアルよ!)

八幡「ばっか。俺のどこがスカートをはいてるように見えるんだよ」

七咲「……普通に考えたら私のだってわかりませんか?」

八幡「さぁな」

七咲「まったく、先輩は変な人ですね」

八幡「……」

七咲「別に、見てもいいですよ?」

八幡「結構。金をもらっても見るもんかよ」

七咲「へぇ。男の人はこういうの、好きなんじゃないですか?」

八幡「あぁ、大好きだろうな。というか、大抵の男の頭ん中は半分くらいそんなんばっかだ。多分」

七咲「……じゃあ、なんで見ないんですか?」

八幡「残りの半分で損得勘定ができる男なんだよ。俺は」

七咲「案外冷静な人なんですね」

八幡「そりゃそうさ。冷静で頭が切れる。その切れすぎる頭で考えれば、大抵の揉め事を先読みできるからな。だから他人と   は関わらないんだよ」

七咲「……ふふっ」

八幡「んだよ」

七咲「いえ。美也ちゃんに聞いた通りの人だなぁと思いまして」

八幡「やっぱ知り合いだったか」

七咲「ええ」

八幡(なにを聞いたかは聞かないほうが良さそうだな)

七咲「それにしても、名前も知らない後輩にそんなこと言って、恥ずかしくないんですか?」

八幡「名前も知らないからこそ言えるんだよ。どうせもう二度と会わねぇだろ」

七咲「……」

八幡「んだよ」

七咲「残念ですね。先輩」

八幡「……?」

七咲「私の名前は七咲逢です。先輩の妹さんの美也ちゃんの友達です。これで知り合っちゃいましたね?先輩」

八幡「……そうだな。残念だ」

七咲「残念ついでもう一つ。先輩、こっち向いてください」

八幡「んだよ……ってうお!……ん?」

七咲「そうです。下に着てるのは水着ですよ」

八幡「……」

七咲「先輩の今の顔、とても面白かったですよ?」

八幡「うるさいよ君は」

七咲「それでは、また学校で」

八幡「……」

八幡(あ……会いたくねぇ)


今日は寝る

それでは、おつかれちゃーん

今晩書きます

危ない、寝過ごしてやるやる詐欺になるところだった

書くます

―翌日―

八幡(相変わらず静かでいいところだ、猫もいるし)

七咲「ところで先輩」

八幡「なんでしょうか」

七咲「なんでいきなり敬語なんです?」

八幡「いえ、別に」

八幡(この子がいなければの話だが)

七咲「そうですか。それはそれとして」

八幡「はい」

七咲「なんで今日もここにいるんですか?」

八幡「いや、ここで飯食っちゃいけないのかよ」

七咲「いえ、そうではないですけど」

八幡「ならいいだろうが」

七咲「……先輩」

八幡「なによ」

七咲「なぜこっちを見ないんですか?」

八幡「いきなり目の前でスカートをめくるような痴女と目をあわせて話したら、それでけで犯罪者扱いされかねん」

七咲「ひどい言いようですね」

八幡「普段の行いがものを言うという言葉を知らんのか」

七咲「なるほど、つまり先輩は普段からそんなんだから一緒にご飯を食べる友達もいないわけですね」

八幡「ぐっ……」

八幡(こ、こいつ、なかなかできるな)

七咲「それに、先輩がここでご飯を食べちゃいけない道理があるんだから、私がいちゃいけないのもおかしいですよね」

八幡「そうですね」

七咲「ふふっ」

八幡(なんだよ、そのしてやったり顔はよ)

ミス 食べちゃいけない道理→好きに食べていい

八幡「というか、お前こそここでなにやってるんだよ」

七咲「別に、ただふらっと立ち寄っただけです」

八幡「ふらっと俺のエデンを壊すんじゃないよ」

七咲「ところで先輩」

八幡「んだよ」

八幡(こいつ、さらっと流しやがったな)

七咲「なんで私のこと知ってるのに名前で呼んでくれないんですか?」

八幡「じゃあお前は」

七咲「ほら、そのお前って呼び方、あまりいい気分しないんですよ」

八幡「じゃあなんて呼びゃいいんだよ」

七咲「普通に七咲とか逢とかでいいじゃないですか」

八幡「じゃあ……七咲」

七咲「はい、なんですか?先輩」

八幡「うっ」

八幡(しまった。こいつ、かわいい。あいかわいいと言うセリフが一瞬頭に浮かんだが、それだと危うく俺の中のセピア
   を一世風靡しそうだから黙ってこの言葉は飲み込むことにしよう)

八幡「ゴクリ」

七咲「……?今のなんですか?」

八幡「いいんだよ。それより、そろそろ授業始まるんじゃないの」

七咲「そうですね。それでは、私は行きます」

八幡「おう、じゃあな」

七咲「先輩も遅れないように」

八幡「はい」

八幡(なに、お前は俺のかーちゃんか?まぁ俺のかーちゃんはそんなこと言わないけど)

八幡「……行くか」

―夜―

八幡「……」

美也「にぃに」

八幡「いきなり部屋に入ってくるなよ」

美也「いいじゃん、どうせいっつもゲームしてるだけなんだから」

八幡「んで、なによ」

八幡(あ、ずいぶん遅くなったけど結婚おめでとうございます。グレンラガンのときから割と好きです。これからも頑張って
   ください)

美也「……?なに、その顔」

八幡「いや、ちょっとしたあれだよ」

美也「よくわかんないけど、まぁいいや。にぃにさ、逢ちゃんになんかした?」

八幡「なにかってなんだよ」

美也「わかんないから美也が聞いてるんでしょ?」

八幡「俺もわかんないから美也に聞いてるんだろうが」

美也「かっちーん!その言い方ムカつく!」

八幡「おいおい、落ち着けよ」

八幡(美也がそんな顔するの、兄ちゃんちょっち辛い)

美也「じゃあ答えてよ」

八幡「えーっと、まぁ昼間少し話したくらいだな」

美也「それだけ?」

八幡「兄ちゃん嘘つかない」

美也「……そっか」

八幡「なんで?」

美也「いやね?今日の放課後に逢ちゃんににぃにのこと聞かれたからさ」

八幡「なんも言わなくていいよ」

美也「まぁにぃにについて話すことなんて特にないからあんまり言うことなかったけどね」

八幡「ちょっと待て、そんなにないか?」

美也「うん、使い切ったと思った歯磨き粉の方がまだでるよ」

八幡「そですか」

美也「まぁいいや。そんじゃあね」

八幡「んー」

八幡(部屋閉めてけよ)

―翌日―

八幡「……あら」

七咲「あぁ、先輩」

八幡「うーす、じゃ」

七咲「待って下さいよ」

八幡「んあ?」

七咲「なんで無視しようとしたんですか?」

八幡「いや、ちゃんと挨拶したでしょ」

七咲「ドライすぎますよ」

八幡(なに?ちょっと前からこの子、いくらなんでもつっかかりすぎじゃないの?俺なんもしてないよ)

八幡「んで、なんだよ」

七咲「いえ、特に理由はありませんけど」

八幡「じゃあいいじゃんよ」

七咲「そうですけど……」

八幡「俺、行くからな」

七咲「ええ、わかりました」

八幡「……」

七咲「あ、先輩」

八幡「……?」

七咲「昨日言ったこと、覚えてますか?」

八幡「あぁ?……あぁ、覚えてるよ、七咲」

七咲「ふふっ、ならいいです。それじゃ」

八幡「おう」

―放課後―

八幡(本屋寄ってみたけど、あんまいいのなかったな)

八幡「……む」

七咲「……」

八幡(あいつ、あんな買い物袋下げなにしてんだろうか)

七咲「……あ」

八幡(すっ転びやがった。ベタにもほどがあるだろ。こりゃフロイト先生も爆笑だぜ)

七咲「……」

八幡(見てらんないよ)

八幡「ほれ」

七咲「あ、すみません。ありがとうござ……あれ、比企谷先輩」

八幡「おう」

七咲「なんでここに?」

八幡「今はどうでもいいだろうが。早く拾っちまおうぜ」

七咲「……はい」

八幡(意外とおっちょこちょいなところもあるんだな。こいつ)

八幡「ほれ」

七咲「……?」

八幡「持つから、それ」

七咲「あぁ、ありがとうございます」

八幡「いいって」

八幡(さすがに知り合いの年下の女の子放置とかは俺でも無理だ。良心の呵責ってやつね。これ)

七咲「大丈夫ですか?」

八幡「なにがよ」

七咲「持ってもらってしまって」

八幡「気にすんな。一応知ってる仲だからな」

七咲「……ありがとうございます」

七咲「どうしてあんなところにいたんですか?」

八幡「本屋に寄ってたんだよ」

七咲「先輩。本とかも読むんですね」

八幡「まぁな。暇つぶし程度だけど」

七咲「先輩」

八幡「どうした」

七咲「ここに町内会の福引券があります」

八幡「ほう」

七咲「これを助けてくれたお礼に先輩にあげます」

八幡「いや、いらないけど」

七咲「貰ってくださいよ」

八幡「別にそういうの求めて助けたわけじゃない。勘違いするな」

七咲「……先輩って、そんなかっこいいこと言える人だったんですね」

八幡「おうおだてろおだてろ。なんも出ないけどな」

七咲「……まぁ、それならこれ、今使っちゃいましょう」

八幡「そうしとけ」

七咲「ちょうどこの先に会場があるので、行きましょう」

八幡「おう」

休憩

すいません、眠いので寝ます

おつかれちゃーん

おまたせ、書くよ

書き方がかなり変わりますが、>>1ですのでご安心を

八幡(会場にたどり着いた俺と七咲は、ガラガラの前でニコニコ笑うおっちゃんに薄っぺらい、ヒラヒラとなびく福引券を
   手渡し、グルグルととガラガラを回した。なんだこれ、超ややこしい)


八幡(ちなみに、ガラガラを回したのは七咲だ。別に俺は、昔っから美也に取られて回したことがなかったからやりたかった
   なんて、これっぽっちも思ってないんだからねっ)

七咲「あっ」

八幡(七咲がそう呟くと、屋台のおっちゃんが盛大にガラガラを鳴らしながら六等の500円分の商品券の当選を叫んだ。いや
   さ、確かに嬉しいけどさ……)

七咲「やりました。先輩」

八幡「おう。そうだな」

八幡(やけに嬉しそうだな。そんなに喜ぶなら俺が500円あげてもこのくらい喜ぶんじゃないの?違うか?違うな)

七咲「けれど、他はラップとかティッシュばかりです。最後に当たってよかったですっ」

八幡(そう言うと、七咲は口元に軽く握った拳を当てクスッと笑った。それに釣られて俺もにこやかになりかけたが、間一髪   軌道を修正し、クールな顔を取り繕った。それは反則だろ)

八幡「じゃあ分けるか。俺はそのティッシュもらうから、あとは全部もってけ」

七咲「えっ?」

八幡(一瞬、七咲の顔に驚きが見えたのは気のせいだろうか)

八幡「どうせ断ってもお前は俺に渡したがるだろ?だから分けるんだよ」

七咲「分けるのは、普通こっちなんじゃないですか?」

八幡(商品券を指で挟みながら首をかしげる七咲のその顔は、えらく不思議そうな顔をしていた。)

八幡「いや、ほら。俺荷物持っただけだし。バブル崩壊した時なんて、主婦がこぞって買ったくらい貴重なものもらおうとし
   てるし」

七咲「それはトイレットペーパーですよ」

八幡「それに、500円ぽっち、何に使うんだよ」

七咲「……そうですね」

八幡「だろ?ならば……あ?」

八幡(言いかけたとき、ぐぅ~っと空腹を知らせる鐘がなった。ただし、その音の主は俺ではない。とすると……)

七咲「……聞きました?」

八幡(赤く頬を染めてお腹を押さえる七咲の姿を見ると、途端に優位に立った気がした。小さいな、俺)

八幡「……なんか食べるか」

八幡(しばらくお腹に手を当て、背中を丸めながら俺の隣を歩く七咲を横目でチラ見していると、その視線の向こうにおうば   ん焼きなるものを焼き売りする屋台が現れた)

八幡(そっちを指さしながらあれはどうかと問くと、その心はいたってシンプルで、首を縦に振るというものだった)

八幡(七咲の思いを汲み取った俺は、これ以上彼女に恥をかかせぬように一人足早に屋台へ向かい距離を取った。(音的な
   問題で)だが七咲の好みのフレーバーを知らない俺は結局店の前で立ち尽くすことになった)

七咲「待ってください。せんぱ……」

八幡(思いっきり裏目ったようだ。俺に追いつくために早足で追いかけてきたせいか、七咲のお腹はもう一度唸りを上げた)

七咲「……」

八幡(なにを言っていいか分からなかった俺は、とりあえず頭に浮かんだ言葉を口から発射してみることにした)

八幡「すいません。クリームと、小倉」

× × ×

八幡(味は二つしかなかったし、七咲が選ばなかった方を食べればいいと思っていたんだが、彼女は俺の予想を少しだけ上   回る行動をとった)

七咲「先輩は最初いらないと言ったんですから、やっぱりあげません」

八幡「あぁ、そう」

八幡(そう言って、七咲は小倉とクリームの二つを手にとった。それを見て俺は、かわいいなくらいにしか思わなかったの
   だが、なにを勘違いしたのか、七咲は食べたいですか?なぞと言って、右手の大判焼き(おそらくクリーム)を千切
   って俺の口の前に差し出した)

八幡「もらえるなら食べるけどよ」

七咲「ふふっ。嘘です。あげません」

八幡(いや、知ってたよ?だって君、小学生の頃に俺に匂い付き消しゴムの匂いを自慢して『嗅いでみる?』って言った
   赤沼さんと同じ目をしてもの)

七咲「おいしいです」

八幡「そりゃよかったな」

八幡(はふはふ言いながら大判焼きを頬張るその姿は、さしずめほっぺにひまわりの種を詰め込んだハムスターと言った
   ところだろうか)

七咲「これ、あげます」

八幡「いいのか?」

七咲「ええ。先輩がかわいそうなので」

八幡(どうやら、今度は本当によかったらしい。素直に受け取ると、俺は大判焼きの端をちぎって口に放り込んだ)

七咲「どうですか?」

八幡「普通にうまい」

七咲「そうですか」

八幡(ただ、残念なのは俺がもらった部分にクリームが入っていなかったところだ。くそ、性悪女め)


七咲「とってもおいしかったですね。先輩」

八幡「そうだな。特にあのクリームがな」

八幡(100%の皮肉を濃縮還元する勢いで言葉に詰め込むみそれをお見舞いすると、七咲は勝ち誇ったように右の眉毛を釣り
   上げた)

七咲「さてと、先輩。もう帰りますか?」

八幡(言葉よりも行動が先に脳内にインプットされ、思わず返事を返さないでいると、今度は眉毛を八の字にして七咲が俺に
   問を投げかける)

七咲「先輩?どうしたんですか?」

八幡「あぁ、いや。なんでもない」

七咲「……?そうですか」

八幡(ナチュラルに自分のカバンに大判焼きの包み紙を入れたが、そういうこと出来る子は将来いい子に育つと思いますよ。
   なんて、何様のつもりかもわからないような意見を頭で創造し、そしてそれをしばらくの間頭の片隅にしまっておくこ
   とを決意した)

八幡「そうだな。今日はもう遅いし、寒いし。帰るか」

七咲「はい。今日はありがとうございました」

八幡(頭を下げた彼女は、どうやら下に落ちていたらしいチラシのような紙くずを拾い上げた。街を綺麗にしたいってか。
   えらいなぁ)

八幡「おう。俺はこっちから帰るから」

七咲「ええ。それではまた明日」

八幡(返事はしないでおいた。学年違うのに、そう頻繁に会ったりもしないだろうからな)

七咲「せーんぱいっ」

八幡「どうした」

七咲「ほっぺにクリーム、ついてますよ」

八幡「……ははっ。ありがとうよ」

八幡(まだ怒ってんのかよ。腹の音くらい別にいいだろうに)

八幡「……ん」

八幡(どうやら風に流されてここまで転がってきたようだ。まぁ目の前にゴミがあるのもあれだしな。今日は持って帰って
   やるとしよう)

八幡「まぁ、たまにはいいことしてみるか」

八幡(そういえば、あれれ?なにか忘れてる気がするぞぉ~)

八幡「……テッシュもらってねえや」

今日はここまでにする、眠いからさ

近いうちにまた書くよ。絶対にね

それじゃあ、おつかれちゃーん

おかしいな、すぐに書けると思ったんだけどな

どうも、>>1です、少しだけ書くよ

× × ×

八幡「だから、俺は数学が嫌いなんだ」

七咲「何度もわかったって言ってるじゃないですか。ところでこの公式はどうやって使うんですか?」

八幡「……」

八幡(ダメだこいつ。早く何とかしないと……)

八幡(数学の小テストを当然のように落第した俺は、課題である数学のプリントを片手に学校の図書室に来ていた)

八幡(なんて厄日だ。家の鍵を忘れた上に財布には金が入っていない。くそ、昨日本屋で新刊を買わなければこんなことには
   ならなかったんだ)

八幡(……まぁ、そこまではいい。8割がた俺が悪いんだし、甘んじて受け入れよう。(もう二割はたっぷりの小遣いを渡し
   てくれない母親のせいってことで)だが……)

七咲「先輩、それなら私わかりますけど、教えましょうか?」

八幡「おっ、おん」

七咲「ふふっ」

八幡(なぜこいつがここいるんだ?)

八幡(図書室の机の上で教科書を広げて頭を抱えていた俺の正面に、いつの間にか彼女は座っていた)

八幡(どうやら、七咲は他人の弱点を即座に見つける能力に長けているらしい。俺が数学が苦手なことを見極めると、親の敵   のように俺を馬鹿にし始めた)

七咲「全く、プリントを睨んでも問題は解けませんよ?先輩」

八幡(前言撤回だ。見極めたのではないらしい)

七咲「先輩のクラスと私のクラスの数学の先生は同じ人だったみたいですね」

八幡「そうですね」

八幡(悔しい。こんなに悔しいのはいつ以来だろうか)

七咲「あっ、先輩。この問題は多分こっちの問題の応用です」

八幡「ふむふむ」

八幡(しまった。素直に説明を聞いてしまった)


七咲「……」

八幡(どうやら俺をからかうより、自分がやばいことに気がついたらしい。七咲は手元にあるプリントにシャーペンでカリカ
   リと数字を書くことに集中しているようだ)

八幡(しかし、いくらからかわれなくなったとはいえ、俺が絶望的にやばい状況であることには変わりななく、ただぼーっと窓
   の外を見上げ、たまに思い出したかのようにプリントを見つめては落胆することを繰り返していた)  

七咲「……」

八幡(視界の端に映る彼女の頭が少し動くと、黒髪が揺れてあどけない少女の顔(かわいい)がこっちを見るのがわかった)

八幡(なにをチラチラ見ているかわからんが、これ以上俺のライフを削るようならばこっちもそれ相応の態度を取らせて頂くぞ!)

八幡(とはいえ、こっちが彼女に対抗できるだけの武器はない。さっきのやっぱなしで)

七咲「先輩」

八幡「どうした」

八幡(即座に返事ができるようになったあたり、俺も成長しているのかもしれないな。違うか)

七咲「私、小学生の弟がいるんです」

八幡「ほう」

八幡(そう言うと、七咲は俺に相談事を持ちかけた)

八幡(簡単に説明すると、どうやらその弟くんが最近七咲にべったりらしい。それに対してどう接したらいいかわからん。という事だった)

七咲「どうしたらいいでしょうか」

八幡「なぜそれを俺に聞くんだ」

七咲「なんだかんだ先輩は悪い意味で大人びていますし。美也ちゃんとの仲もいいみたいなので」

八幡(悪い意味で大人びている、という言葉がやけに的をいていると関心していると、七咲は無視するなとプンスカ怒り出した)

七咲「ちょっと、聞いてるんですか?」

八幡「あぁ、悪い悪い」


八幡(そんなに見つめられると、どんな顔すればいいのかわからなくなるのでやめてもらえませんかね。と言いたくなるくら
   いにその目は俺を見据えている。怖い、怖いよ)

八幡「そうだな。質問を質問で返すようで悪いが、お前はそうされて嫌だと思ってるのか?」

七咲「いえ、そんなことはありませんけど」

八幡「じゃあいいじゃねえか。好きにさせてやれよ」

七咲「いいんですか?それで」

八幡「小学生なんて、まだまだガキもいいところだ。そんなのに理論で接しても向こうが納得するわけないだろ。だから怒った
   ら勝手に怒らせておけばいいし、泣いてたら泣かせとけ。甘えてきたらそれと同じようにしてやればいい)

七咲「……先輩って、きっといいお兄さんなんでしょうね」

八幡「散々美也で苦労したからな」

七咲「美也ちゃんも先輩に甘えたりしてたんですか?」

八幡「その辺は直接聞いてくれ。俺が答えると多分引っかかれる」

七咲「ふふっ。それもそうですね」

八幡「そうだよ」

七咲「……」

八幡(言うと、七咲は黙り込んでしまった。眉間に皺を寄せたその顔はどうやら何かを考えているようだった)

八幡(弟のことをどうしようと考ええいたのか、はたまた脳を切り替えて目の前の数学のプリントを見て問題を解こうとしているのか、俺には
   わからなかったがな)

七咲「……、お兄ちゃん」

八幡「……?」

八幡(どどどどうやら俺の考えはどちらも正解ではなかったらしい。いや、そんなことはもうどうでもいい。ちょっと待て。こいつには兄貴もいた
   のか?)

七咲「お兄ちゃん。……ふふっ、なんだか変な感じですね。くすぐったいです」

八幡(一応乗っておいたほうがいいのか?これは七咲なりのボケなのだろうか。……まぁ、とりあえず)

八幡「なんだ?逢」

七咲「あっ…………。んぅ」

八幡(今の声はなんだよ、おい。柄にもなく照れているのか?こいつは)

七咲「そ、そういえば部室に忘れ物してたの思い出しました。取ってくるので先輩は帰っていいですよ」

八幡「は?」

七咲「さようなら!」

八幡(教科書やらなにやらをまとめると、七咲はさっさと図書室を出て行った)

八幡「さ、さよなら」

八幡(もう見えなくなった七咲の背中に、俺は一応別れを告げた。しかし、俺の本来の目的は数学の勉強だ。帰るわけにはいかん)

八幡「……わかんね」

× × ×

八幡(まるで何一つ間違っていない青春の一ページのような経験を経て自宅へ戻ると、リビングで美也がみかんの皮をむいて
   いた)

美也「ふぁ、ひぃひおふぁえりー」

八幡「飲み込んでからいいなさい」

美也「……んんっ。にぃにおかえりー」

八幡「ただいま」

八幡(こたつの布団を持ち上げ、吸い込まれるように中に足を突っ込むと途端にじんわりとした寒さがほかほかと温められていくのが
   わかった。こたつ最強説は未だ健在だな)

美也「ふんふんふーん」

八幡(……昔は何かと甘えていた美也だが、果たして今はどうだろうか。しっかりと甘えてくれているのだろうか)

美也「あっ、にぃに。みかんの皮剥いてくれる?」

八幡「へいへい」

美也「にしし。やっぱりお兄ちゃん頼りになるー!これからも甘えるからねん」

八幡「そうか」

八幡(これは甘えているのではなく、顎で使っているの間違えではないだろうか)

美也「あっ、ついでにアイスとってきてー」

八幡(七咲、すまん。ある程度におさめておかないとこうなるらしい)

美也「ついでにジュースもねー」

八幡(注文を受けた俺は重い腰を上げるとキッチンへ向かった)

八幡(冷蔵庫を開けると中にはりんごとみかんの二種類のジュースがあった。果たして美也はどっちを飲みたいのだろうか)

八幡(考えた末に、俺はりんごジュースと、冷凍庫から取り出したソーダ味のアイスを2本持ってリビングへと舞い戻った)

八幡「ほらよ」

美也「にぃにありがと!やっぱわかってるねー」

八幡(どうやらお気に召したらしい。俺の兄スキルにさらに磨きがかかったな)

美也「あっ、ドラマが始まっちゃう。にぃに、リモコン取ってー」

八幡「……自分で取りなさい」

気づいたらもう四時じゃないか、もう寝る

読んでくれた人ありがとう、おつかれちゃーん

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月11日 (金) 20:37:35   ID: odVlAqpC

おもしろいです(^^)

2 :  SS好きの774さん   2014年06月06日 (金) 21:42:19   ID: c3qWZiGt

きてた

3 :  SS好きの774さん   2014年06月26日 (木) 18:07:54   ID: duqbCB1L

すごく面白いです次楽しみにしてます+ (0゚・∀・) + ワクワクテカテカ +

4 :  SS好きの774さん   2014年08月20日 (水) 00:12:40   ID: 8fY0ncV2

待ってます

5 :  SS好きの774さん   2014年12月15日 (月) 23:56:10   ID: uBDWSoJA

え、終わりなの?(´・ω・`)…

6 :  SS好きの774さん   2015年11月07日 (土) 15:01:12   ID: C2B9BtNy

誰か…続きを…。

7 :  SS好きの774さん   2015年11月20日 (金) 14:08:11   ID: Oda3r5MI

ちゅ、中途半端……めちゃめちゃ面白いのに……

8 :  SS好きの774さん   2016年01月12日 (火) 20:47:04   ID: vk0xCDv_

続きは…無いのか…(´・ω・`)

9 :  SS好きの774さん   2016年04月22日 (金) 15:40:07   ID: 8ivTzwsf

え?綾辻さんはまだですか

10 :  SS好きの774さん   2016年07月28日 (木) 02:03:26   ID: Hev2LZgM

こんなに面白いのに残念

11 :  SS好きの774さん   2016年08月14日 (日) 23:09:52   ID: Ddu6GkZa

これで終わりとかうせやろ?

12 :  SS好きの774さん   2016年09月07日 (水) 18:04:11   ID: S6BJucsR

今読んでも気になるなぁ(*´ω`*)

13 :  SS好きの774さん   2016年10月27日 (木) 12:36:19   ID: BWUI0qWA

まじでか

14 :  SS好きの774さん   2016年12月08日 (木) 21:19:45   ID: RqZQRze5

もう無理なのか…

15 :  SS好きの774さん   2017年12月29日 (金) 05:43:59   ID: EbU8RjUN

いつか……きっと……

16 :  SS好きの774さん   2018年02月12日 (月) 01:07:20   ID: LI7VajMF

続きを、、、

17 :  SS好きの774さん   2018年06月23日 (土) 02:26:09   ID: aJ0f_Ocv

もう、四年か……

18 :  SS好きの774さん   2018年07月05日 (木) 12:59:17   ID: 5--2u-27

ここで終わりなのか…

19 :  SS好きの774さん   2018年08月26日 (日) 20:21:39   ID: RB5g6CHs

落ちたのか...

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