杏子「巻きますか、巻きませんか」(413)
杏子「……あ~あ」
杏子「……魔女もいねーし、何かすることねーかなー」
杏子「何か金目のもんないかなぁ。不法投棄されてないかなぁ」キョロキョロ
杏子「お?何かめっけ」ヒョイ
杏子「大きな鞄だな……」
杏子「……ギッシリと金が詰まってたりして」
杏子「とりあえず開ける」ガチャリンコ
杏子「ん~……?」
杏子「……人形?」
杏子「人形かよ……。札束とかじゃないのかよ……。いやそりゃそうかな……」
杏子「しかしこれは……あたしは人形に関してはど素人だが……よくできている」フニフニ
杏子「うはぁ、ほっぺ柔らけぇ……。服の生地も……多分いいやつだ。綺麗だなぁ」フニフニサラサラ
杏子「これは高く売れる!ひゃくまんえんは手堅いな!」
杏子「お、ねじ発見」
杏子「と、言うことは……お、あった。きっとこの穴に挿すんだな」
杏子「巻いたらどうなるんだ?」
杏子「……喋るのかな?」
~あんこイメージ~
キリリ…キリリ…
人形「ワタシ、リカチャン、アナタ、ワタシノ、トモダチ」カタカタ
人形「ヒトリボッチデ、サミシカッタ。ナノデヒャクマンエンヲサシアゲマス」
~~~~~~~~~
杏子「……い、一回くらい動かしてみても、悪くないよな…」wktk
杏子「そ、それに捨ててあるってことは、壊れてるかもしれねーからな!」スッ
杏子「壊れてたら高く売れねえもんな!ちゃんとこいつのことを知っておかないとな!」キリ…キリ…
杏子「こんなもんかな?」
杏子「…………?」
人形「」フワッ
杏子「!?」
人形「……」ストン
杏子「人形が浮いた!そして立った!」
人形「……」クリッ
杏子「こっち見た!」
人形「……」トコトコ
杏子「自動で歩いた!すげええええ現代カラクリ人形すげえええ!」
人形「うるさい」バシン
杏子「あんっ!」
杏子「ぎゃああああ喋ったああああ!?」アトズサリ
杏子「っていうか人形に殴られた!」
人形「問おう、貴女が私のマスターか」
杏子「」
人形「冗談はさておき」ポンポン
杏子「……な、何だてめぇ!使い魔の類か!」
人形「レディの体を小汚い手でべたべた触った上に売り飛ばそうとするなんて、下劣にも程があるわ」トコトコ
杏子「お、おうこらぁ!近寄んな!」
杏子(魔女の気配はないが、一応魔法少女に……)ヘンシン
人形「……何かしらその格好は。ナンセンスだわ」トコトコ
杏子「だ、か、ら!これ以上近寄るなっつってんだ!」チャッ
人形「貴女は今まで出会った中で一番野蛮な人間よ。レディに槍を向けるなんて何様のつもり?」
杏子「使い魔か?!それとも別の魔法少女の力か!?何者だ!」タジ…
人形「貴女から名乗るべきだとは思うけど……まあ、いいわ。名乗りましょう」
人形「私は誇り高きローゼンメイデンの第五ドール。名は真紅」
杏子「ろーぜん……めいでん?」
真紅「そしてこの子は私の人工精霊、ホーリエとベリーベルよ」チカチカッ チカッチカッ
杏子「ローゼン……?えっと……真紅と堀江由衣とベリーゲラ……?」
真紅「ホーリエとベリーベルよ。……さ、私の自己紹介は済んだわ。貴女のことを教えて頂戴」
杏子「うぅむ……」
真紅「その変なコスプレのこととか、ほら早く」
杏子「コスプレって……」
杏子(落ち着けあたし。目の前に動く人形と赤とピンクの蛍みたいなものがあるだけだ。使い魔と比べりゃ可愛いもんだ)
真紅「この真紅が名乗ったのよ。早く名乗りなさい」
杏子「お、おう……」
杏子「あたしは、佐倉杏子。……その、魔法少女だ」
真紅「魔法少女?」
杏子「うん」
真紅「ふざけているの?」
杏子「生憎、マジだよ。なんつーか、そのー……こう、戦うんだよ。魔女と……。変身したし槍も出しただろ?」
真紅「そうね。わかったわ」
杏子「うん」
真紅「大変ね」
杏子「まあな。……しかし随分冷静だな。目の前にいる奴が魔法少女なんだぞ」
真紅「伊達に長生きしてないもの。そういう貴女こそ、呪い人形だとか言いながら震えたりしないのね」
杏子「ビックリはしたけどな」ヘンシンカイジョ
真紅「それはそうと、貴女は私のゼンマイを回したのだから、私と契約なさい」
杏子「何言ってんだてめぇ。契約ゥ?確かに回したけど……」
真紅「簡単に言えば、貴女の力を私に貸しなさい、ということよ。返さないけど」
杏子「ソウルジェムに対する魔法少女みたいな物かな……」
真紅「何を言ってるのかわからないけど、貴女の力を私に吸い取らせなさい。それで貴女は私の下僕になるのよ」
杏子「しもっ……誰がなるか!っていうかなんだよ!私にメリット一切ねぇじゃねーか!」
真紅「あるわよ。せめて、この真紅がレディーとは何たるかを教えてあげるのだわ」
真紅「第一に貴女、口調が乱暴すぎるし、何かと小汚いわ。可愛い顔が台無しよ。洗顔の習慣はあって?」
杏子「かわっ……、ふ、ふん。知ったことか」
真紅「さて、貴女の左手の薬指の指輪に口づけをすれば契約は完了するのだけど」
杏子「聞けよ。っていうか指輪って……」チラッ
杏子「げっ、なんじゃこりゃあ!いつの間に!?」
杏子「と、取れねぇ!」グイグイ
真紅「無理に取ろうとすると肉が削げるわよ」
真紅「中指と薬指。指輪を二つはめているのは不格好ね。中指の方を外しなさいな」
杏子「それこそ無理だよ。こいつは魔法少女の証みたいなもんだから」
真紅「あら、そうだったの。ならいいわ。とにかく指輪に口づけをなさい」
杏子「やだ!」
真紅「……」
杏子「……で、真紅、つったか。お前からは魔女とも使い魔とも言わない未知の臭いがする」
杏子「今はよその魔法少女の人形を操る能力か何かではないかと疑っている」
杏子「結局何なんだ?」
真紅「だからローゼンメイデンと言ったじゃない」
杏子「そのローゼンメイデンがわからねえんだが……。あぁ……頭がこんがらがってきた。あたしってほんとバカ」
真紅「私と契約して力の媒介になるのだわ」
杏子「うぜぇ!」
真紅「契約したらローゼンメイデンが何なのかという疑問にも細かく答えてあげる」
真紅「それだけでなくて……」クドクド
…………。
杏子「――で、結局言いくるめられて結局契約しちまった……二重契約だ……」
真紅「それにしてもここは汚らしい場所ね。貴女の家へ案内しなさい」
杏子「汚らわしいって……。まあ、いいけど。……家はないよ」
真紅「……何ですって?」
杏子「だから、家はないんだよ」
真紅「……ああ、ほーむれす、というやつね。実在したのね」
杏子「都市伝説レベルかあたしはよ!?さぞあんたはイートコに住んでたんだろーなー?え?」
真紅「そこそそこね。とにかく何とかしなさいよ」
杏子「何とかしろったってないもんはどうしようもねえよ。ここでも雨風はまあ凌げるし」
真紅「魔ホームレス少女」ボソ
杏子「……」
真紅「この真紅に野宿させると言うの?」
杏子「いいだろ別に。元々あんたは捨てられてたんだから。お菓子あるぞ。食うかい?」
真紅「捨ててあったわけじゃあないのだけど……」
真紅「で、紅茶は出るのかしら?」
杏子「あるわけねーだろ。蛇口から水を直飲みだろ」
真紅「はあ……。最悪だわ」
杏子「ああ、あたしもだよ。嫌なら別の奴んとこいけよ」
真紅「契約しておいて随分身勝手なのね」
杏子「自分のためにならない上に半強制的に二重契約させられたこっちの身にもなれよ。願いとか叶えろよ」
真紅「見返りを求めるとは汚い流石人間汚い。……何でもいいけど、契約した以上責任は取って貰うわよ」
杏子「はあ……。最悪だよ」
猫「にゃあ」
杏子「ん?」
杏子「おっ、パイじゃねえか」
真紅「……」
杏子「あっ、いや、こっ、こいつと出会った時パイのお菓子を食ってただけだからな!」
杏子「け、決してあたしのネーミングセンスな訳では……」
杏子「雨風から逃れるためによく来るんだよ。一人ぼっちは寂しいもんな。な?」
真紅「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」
杏子「!?」
猫「!」
真紅「きょっきょきょきょきょ杏子!いいい今すぐ帰りなさい!家に!室内に!屋内にぃぃぃ!」ガッシ
杏子「お、おい落ち着けよ!」
真紅「ねねねね猫はここここの世で最も恐ろしい動物なのなのなのだわだわ!それこそくんくんの敵に抜擢される程……!」パタパタ
杏子「くんくんってなんだよ。だから帰るも何も家なんかないって」
真紅「ならば早く私を抱っこしなさい!早く!」ピョンピョン
猫「にゃあ」
真紅「ひぃ!」
杏子「わーったよ……」ヒョイ
真紅「抱き方が違う!」バシッ
杏子「あん!」
真紅「ほら!早く猫を追い出して頂戴!」
杏子「えー。しゃーねーな。ほれ、シッシッ」
猫「解せぬ」トコトコ
真紅「……行ったわね?」
杏子「落ち着いたか」
真紅「はぁ……。全く。不衛生な上にろくな食べ物もなく紅茶は出ない上に猫が沸くだなんて、こんなとこにいたらダメになるわ。こんなとこにずっといたら円形脱毛症になるわ」
杏子「人形のくせに……。そんなん言うならホテルに……」
真紅「ホームレスなのだから、どうせ忍び込むとかするのでしょう。私はそこまで落ちぶれてないわ」
真紅「全く……貴女は今までで最も人としてどうしようもない下僕だわ」
杏子「誰が下僕か」
真紅「それなら引きこもりやボッチが下僕だった時の方が、屋内で紅茶が飲めた分遥かにマシだったわ」
杏子「ボッチ……」
真紅「……」
杏子「紅茶、ねぇ……」
真紅「マミという人間のとこに行きましょう」
杏子「は!?何でここでマミが出てくるん……って知ってるのかよ!」
真紅「知らないわ。指輪で繋がってるから少しだけ考えがわかるのよ」
杏子「んな……ッ!?心を読まれるなんて聞いてねえぞ!」
真紅「言ってないもの」
真紅「貴女は真紅の力の媒介になったのだから、考えがなんとなくわかるのよ。でも安心なさい。貴女の心を無闇に覗いたりは今後しないし他言もしないわ」
真紅「それにしても、貴女はそのマミという人間をそれなりに慕っているのね。頼りにしている先輩か何かかしら」
杏子「そ、そんなんじゃねえよ……」
杏子(キュゥべえ並にうぜぇ……。いや、厄介という表現が的確……)
真紅「ほら、私は鞄の中で休んでいるから、着いたら教えなさい」パタム
杏子「えー行くのぉ~?……めんどい……」
真紅「ほら。小言を言わない。行かないという選択肢はなくてよ」
杏子「はいはい……」ヒョイ
真紅「返事は一回」
杏子「……うぃ」
真紅「うぃじゃないわよ。ほら、キビキビ歩く。……ちょっと、揺らさないで頂戴。髪が乱れるじゃないの」
杏子(うっぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!)
――マミハウス前(見滝原)
杏子「……結局、ついちまったよ」
杏子「どうするかなー。もう夜だしなー。迷惑だろうなー」
杏子「真紅は屋内屋内言ってたけど結局鞄で寝るんだから別に野宿とかでもいいじゃん……」
杏子「明日の朝……は学校だろうな。朝から来るってのも……ん?」
カチャ
ピンポーン
杏子「ゲッ!?」
杏子「おい、真紅!てめぇ!鞄からちょっと隙間を開けてステッキのようなものを伸ばしてチャイム押しやがったな!」
真紅「だって、貴女がいつまで経ってもチャイムを押さないのだもの」
杏子「心の準備ってもんがあるし!気まずいんだよ!夜も遅いし!」
真紅「夜……そう言えばもう外は暗いわね。でも私なら大丈夫よ。寝る時間まではまだあるのだわ」
杏子「聞いてねぇよ!捨てるぞ!」
真紅「『ボッチ』という言葉から真っ先にマミを連想したことをバラすわよ」
杏子「それは勘弁してください」
ガチャ
マミ「はい……。あら!?さ、佐倉さん!?」
杏子「お、おう……」
マミ「……久方ぶりね。その、どうして見滝原に……?」
杏子「あーいやーそのー、何て言うか……そのー」
マミ「テリトリーに入るのは御法度でしょう?私を倒して奪おうと言うの?」
マミ「しかもこんな夜中。……あら、その鞄……」
杏子「あうぅ……そ、そんなんじゃ……なんて言うか、ほら、偶々散歩を……いや、違くて」ワタワタ
マミ「?」
杏子「その……だな」
真紅in鞄「あたしと一緒に暮らしてくれ(裏声)」
杏子「!」
マミ「え!?」
杏子「ち、違っ!」
マミ「一緒に暮らすだなんて……そんないきなり///」
杏子「あ、いや、そ、空耳だから!何顔赤くしてんだよ!」
杏子(テメェ!人形は人形らしく黙ってろよ!話がこじれるだろうが!)
真紅(素晴らしいアシストじゃない。ちゃんと拾いなさいよ)
杏子(ど、こ、が、だ、よ!)
マミ「……コ、コホン。それで……佐倉さん……」
杏子「あ、あぁ……その。そうだ。んっと……そうだ……ん。……そう!相談!相談があって来た!そうなんだよ!」
マミ「えっと……同居受け入れる分にはいいのだけど……一ついいかしら?」
杏子「同居ておい」
マミ「佐倉さんも……ローゼンメイデンと契約したのね」
杏子・真紅「……も?」
デコ人形「あ!真紅ゥ!会えて良かったのかしらァー!」
真紅「あら金糸雀。貴女も目覚めていたのね。そしてマミと契約してたのね」
金糸雀「そうなのかしら!とっても優しい人かしら!」
マミ「お姉ちゃんに会えてよかったわね。金糸雀ちゃん」
金糸雀「……カナのがお姉ちゃんよ。カナは第二ドールで、真紅は第五ドールかしら」
マミ「あ、あらごめんなさい。真紅ちゃん、落ち着いてて大人びてるからつい……」
マミ「それに、赤と言ったら大抵一番目だから……」
金糸雀「何の話?」
マミ「それにしても……」ジー
真紅「…………」
マミ「可愛いわぁ~」ナデッ
真紅「触れるな」バシッ
マミ「マミんッ!」
マミ「……き、気むずかしい子なのね」
杏子「……」ニヤリ
杏子(猫でピャーピャー言ってたことを晒して恥かかせてやる!)
杏子「マミ。こいつ実は猫がk…
真紅「それよりマミ、紅茶を淹れて頂戴」
杏子「真紅は猫g…
マミ「え、えぇ。勿論ご馳走するわ。丁度準備しようとしてたの。それじゃ淹れてくるからちょっと待っててね」スクッ
杏子「ねk……
真紅「杏子が言うにはマミの紅茶は美味しいとのことだから、期待しているわ」
マミ「も、もうっ、佐倉さんたら。来てくれればいつでもご馳走するのに///」
杏子「い、言ってねぇよ!」
マミ「そ、それじゃ、淹れてくるわね。待っててね三人共」
トテトテ
真紅「……そう思ってはいるのでしょう?」
杏子「ひ、人の考えとかは他言しないって言っただろうが!」
真紅「貴女の考えのことは言ってないわ。ここまで来る途中に実際に言ってたことじゃない」
杏子「えっ……そっ、そんなこと言ったっけかなぁ……」
真紅「あら、自分で言ったことも忘れたの?マミの家に行くのは久しぶりだなー楽しみだなー、みたいなことも」
杏子「……言った?」
真紅「嘘よ」
真紅「……でも、考えを他言するな、と言ったということはマミのことを好意的に考えてはいるのでしょう?」
杏子「ンガーッ!」
金糸雀(相変わらずのマスター振り回しっぷりかしら……)
真紅「ところで金糸雀。貴女はいつ目覚めたの?」
金糸雀「真紅達が来る少し前かしら」
真紅「そう。だったら私の方が早起きね」
金糸雀「他の姉妹は?」
真紅「まだ見てないわ」
杏子「他にもいるん……だろうな」
真紅「ローゼンメイデンは七姉妹よ」
杏子(こんなのが七体も……)
真紅「取りあえず今日は色々あって疲れたわ」
杏子「お前鞄の中で揺られてただけだろ」
金糸雀「かしらー。それにしても、大変だったわ」
真紅「そうね」
金糸雀「この一件、ラプラスの魔あたりは何かわかるかしら」
真紅「知ってても意味の分からないことを言ってはぐらかすでしょうね。あの道化兎は。何にしてもnのフィールドには近い内に行きましょう」
杏子(何か難しい単語が出てきたぞ)
マミ(…ッ!何かカッコイイっぽい言葉が聞こえたような……。……えぬのフィールド……ラプラスのま……)コポポ
真紅「私達のことを話した?」
金糸雀「少しは……。囓りだけ話してマミがお茶を淹れるって言ったところで真紅達が来たのかしら」
マミ「はい。どうぞ」カチャ
真紅「ありがとう。マミ」
金糸雀「いただきますかしらー」クピ
マミ「はい、佐倉さんも」
杏子「お、おう……」
金糸雀「美味しいわ!」
マミ「ふふっ、ありがとう」
真紅「実に完成度の高い紅茶なのだわ。茶葉もちゃんと開いているし、温度もなんたらかんたらミルクが云々」
マミ「そこまで誉められちゃうと、て、照れちゃうわ///」
真紅「それに、優しい味だわ」
マミ「そ、そうかしら……?そういうのって、わかるの?」
杏子(紅茶なんてどれも同じだろ……?)
真紅「勿論。誰かを思って淹れると美味しくなるものよ」
マミ「ふーん……そうなのねぇ……」
真紅「……思われているのね。杏子」ニコッ
杏子「あたしかよ!」
マミ「///」
杏子「照れてんじゃねーよ!」
杏子「ああ!もう。人形に振り回されたり見滝原まで歩いてきたりで腹減ったよ!ごはんくれごはん!」
マミ「はいはい。これから用意するわ」
金糸雀「私もお腹ぺこぺこかしらー」
杏子「人形のくせに食うのか?」
真紅「もちろん。生きているんだもの」
杏子「人形だろうがお前は」
真紅「お前?口が過ぎるわ」
杏子「うっせー」
真紅「……おしおきが必要ね」バシバシ
杏子「あんっ!痛い!やめれ!」
マミ「こんな賑やかな夕食はいつぶりかしら……。ふふっ」
真紅「……と、いうことで、夕食を済ませたわ。そこで、ローゼンメイデンのことを話しましょう」
真紅「私達ローゼンメイデンは全部で七体。七つに分けられたローザミスティカが一つになることで究極の少女、アリスとなり――」
真紅「なんたらかんたら……と、いうことで姉妹でバトルロイヤルをするのが私達の運命」
真紅「既に第六ドールの雛苺は末妹に敗れ、ボディを奪われてしまった」
真紅「彼女の……人で言うところの魂であるローザミスティカは今、私の元にあるわ」
真紅「そういう理由で私には人工精霊が二体いるのよ」
マミ「そ、そんな酷い話だわ……!」
金糸雀「酷くなんかないわ。それが私達が産まれた理由なのかしら」
杏子「なんつーか……身勝手な奴だな。ローゼンってのは」
真紅「お父様を悪く言わないで頂戴」
真紅「取りあえず私達のことを話したのだから、魔法少女について聞かせて貰える?」
マミ「え、ええ……。私達は契約によって願いを叶えてもらう代わりに魔法少女となって、魔女と戦ってグリーフシードがどうこうソウルジェムが何とか――」
マミ「なんたらかんたら……と、いうことで願いを叶えた代償に魔女と戦う運命を背負ったのよ」
金糸雀「カナ達は目的は違えど、戦う運命を背負った仲間かしら!」
真紅「大変ね。……さて、と。もう九時だわ。金糸雀。寝るわよ」
マミ「ええっ、リアクション薄っ。……というより、もう寝ちゃうの?あの、お風呂とかは……」
真紅「人形だから垢の類は出ないわ。また明日」パタン
金糸雀「おやすみかしらー」パタン
マミ「え、ええ。お休みなさい……」
杏子「何だってんだよ」
杏子「しかし九時に寝るなんてよい子ちゃんかっつーの」
マミ「……もう。お洋服の洗濯もしないの……」
杏子「さて、それじゃああたしも寝……」
マミ「いくらなんでもあなたはお風呂に入らなきゃだめよ。一緒に入りましょう」
杏子「えぇっ!?一緒に!?冗談じゃねぇ!」
マミ「いいでしょ。ご飯も食べたんだし。一緒にお風呂ってのはお約束じゃない」
杏子「ぐぬぬ……」
in 風呂
マミ「佐倉さんの背中、綺麗ね」ゴシゴシ
杏子「それに比べてマミのはプニプn……いや、何でもない。だから露骨に力を込めないでくれ痛いよ」
杏子「そ、それよりマミ……あたしはよくわからん内に契約しちまったんだが、信用していいのか?ローゼンメイデン……」
マミ「あら、どうして?あんなにかわいいのに」
杏子「だってさ、もしかしたらそうやって人に寄生して力とかを奪う、魔法少女の力かもしれないじゃん」
杏子「動く人形と契約だなんて、突然すぎんだろ。設定も凝りすぎだ」
マミ「魔法少女も十分突飛な話じゃない」
マミ「私は信用するわ……。姉妹で闘い合う運命なんて……万が一嘘だとしても私には無下にできない……!」
杏子「あたしにも妹がいたからマミが同情する気持ちはわからないでもないけど」
マミ「だったら、様子を見てみましょ?絶対にあの子達は悪い子じゃないわ!」
杏子「うーん……妹……ねぇ」
マミ「雛苺ちゃん……。いい子だったんでしょうね。金糸雀ちゃんと真紅ちゃんの顔、とても辛そうだった……」
< キャイキャイ
金糸雀「真紅……起きてるかしら……」カチャリ
真紅「少し考え事をしていたのだわ」カチャリ
金糸雀「マミ達にカナ達がここに来た理由を話さなくても大丈夫かしら?」
真紅「ええ。急に言われても混乱させるだけでしょうし、他の姉妹との合流が先決だわ」
金糸雀「そうね……。本当にこの世界は何なのかしら……」
真紅「本来のマスターとの契約が行き届かず無効になるくらい遠い世界。と言った所ね」
真紅「何にしても、今のままでは私達は元の世界に帰れないわ」
金糸雀「…………みっちゃん」グスッ
真紅「ほら、泣かないの。私だってジュンのことがそれなりに心配なのだから」
金糸雀「うん……」
真紅「おやすみ。金糸雀」
――外
ほむら「……どういうこと?」
ほむら「この時間軸では転校前に巴マミと接触してみようと思って夜分遅くにここまでやってきた……のはいいのだけれど」
ほむら「佐倉杏子がこんな早くに見滝原に来るなんて…。あ、今、佐倉杏子が巴マミの部屋に入ったわ。鞄が一人でに動いた気がするけど気のせいね」
ほむら「こんな事は初めてだわ。バタフライエフェクトがごとく、何かが影響したのかしら」
ほむら「ほむ……。心当たりがないわ。今後の時間軸でもこんな早くに来ることあるかしら……?」
ほむら「……ああっ!もう!『今後の』だなんて考えてはだめよ。今回で終わらせるつもりで全力でやらなくちゃ」
ほむら「……しかし、家無き子が大きな荷物を持って来ているということは…以降同居すると考えても早計ではないわ」
ほむら「佐倉杏子がいれば巴マミもボッチ回避でまどかを魔法少女に誘わない可能性も…」
~ほむほむイメージ~
ほむら「まどか。その白豚を渡しなさい」
まどか「だめだよほむらちゃん!このボロ雑巾ケガしてるのに!」
青「マドカニゲテーワーナンダココー」
敵「うぃーっすwwwwwwww」
ほむら「えい」ドーン
敵「あべしwwwwwwww」
まどか「ほむらちゃんが助けてくれた!ありがとう!この薄汚いゴミはポイしようね!」
淫獣「」
ほむら「実は私、魔法少女なの。とても怖いのよ。だからなっちゃだめよ」
まどか「はい!誓います!」
ほむら「もうそこの白カビの言うことを聞いちゃだめよ?」
まどか「うん!もう二度とそこの便所虫とは目も合わせない!」
乳「気配はあったけど佐倉さんの世話でそれどころじゃなかったわ。まあいいや」
~~~~~~~~~~
ほむら「……いける!」
ほむら「巴マミと佐倉杏子。どちらか片方を味方につければ自然ともう片方も取り入れられる可能性は高いわ」
ほむら「逆に言えばどちらかに敵意を持たれると両方厳しくなるかも……」
ほむら「巴マミと接触しようと思ったけど、今日の所はやっぱり帰りましょう」
猫「にゃあ」
ほむら「あ、猫。エイミーと他猫の空似。……かわいい」
ほむら「チチチ……おいでおいで、にゃあにゃあ」
猫「ふにゃー!」
ほむら「あ」
翌日
さやか「おはよう!まどか!」
まどか「あ、おはよう。さやかちゃん、仁美ちゃん」
仁美「おはようございます鹿目さん」
さやか「お、新しいリボンだね」
まどか「うん。で、でも、ちょっと派手かな?」
仁美「似合ってましてよ」
まどか「ウェヒヒ、ありがとう仁美ちゃん!」
さやか「まどかはあたしの嫁になるのだー!ンッン~名言だなこれは」
仁美「ところで今日は転校生がくるという風の噂を聞きましたわ」
さやか「え、マジで!?ヒャッハー!」
まどか「さやかちゃんって、相変わらず忙しいね……」
仁美「悩みとかなさそうですわー」
まどか「ウェヒヒ、言えてる」
さやか「な、何をぉー!?」
先生「きのこの畑とたけのこの村、どっちがおいしいか。はい、中沢君」
中沢「どっちでもいいんじゃないでしょうか」
先生「廊下に立ってろ」
先生「というわけで転校生です」
さやか「ウヒョー」
ガラッ
ほむら「暁美ほむらです」
ほむら「……」ジト…
まどか(あれあれ?夢の中で、会ったような)
ほむら「……」ジー…
まどか(……!?わ、わたしの方を見てる?)
ほむら(今度こそ……あなたを救うわ!まどか!今回は佐倉杏子の件もあるから色々戸惑うこともあるかもしれないけれど、絶対に……!救ってみせる!)
ほむら(……しかし、佐倉杏子と巴マミの対処はどうしたものか。悩み所ね……ほむぅ)
ほむら(そういえば佐倉杏子がもう見滝原に来ているということは、佐倉杏子がまどか達と出会うのも時間の問題、下手したら今朝あたり既に会っているかもしれないってことになるわね)
ほむら(そうなると美樹さやかはどういう立ち位置になるだろうか……。佐倉杏子は巴マミに懐柔されているとして、佐倉杏子は手出ししにくいかもしれない……?)
ほむら(今のところ言えるのは美樹さやかも魔法少女にならないに越したことはない、ってとこかしら)
まどか(な、なんかわかんないけどそんなに目を合わされると照れるよ///)ソワソワ
まどか(うーん……いつの夢だったかな……。確か暁美さん似の女の子と、小さいお人形さんが……)
さやか「――転校生、まどかのこと睨んでたね。あたしの嫁にガン飛ばすたぁ~いい度胸だわ」
まどか「に、睨むだなんて、そんなことないんじゃないかな!」
仁美「あの眼差しからは殺意や悪意というより慈愛に近いものを感じ取りましたわ」
さやか「えっそうなんだすごい」
ほむら「鹿目さん。私を保健室に連れてって」スッ
まどか「は、はいぃ」
さやか「転校生ーまどかを見てたように見えたけどあれはどういう……」
まどか「あ、待ってぇ」トテテ
仁美「いってらっしゃいませ」
さやか「スルーかちくしょ」
まどか「あの……えっと……」
ほむら「家族があーだこーだ」
ほむら「――自分を大事に。いい?」
まどか「えーっと……うん」
まどか「ところで……あの、暁美さん……」
ほむら「ほむらでいいわ」
まどか「じゃあ、その……ほむらちゃん……。その手の包帯、どうしたの?」
ほむら「う……」
ほむら「……ね、猫に、引っ掻かれて」
まどか「ちょっと見せて」スッ
ほむら「あ……」
まどか「保健室行くついでに、包帯新しいのに変える?」
ほむら「……ありがとう。でも、その必要はないわ」
まどか「猫の爪って鋭いよね。爪をとぐポーズはかわいいんだけど」
ほむら「そ、そうね……ところで私の話は聞いてたかしら?」
まどか「え?……あ、そ、そうだよね。引っ掻かれた手前で爪とぎかわいいって言うのは無神経だったね……」シュン
ほむら「え、いや、あ、あの、そういう意味じゃ……!」アタフタ
まどか「ウェヒ、なんちゃって。焦っちゃった?」
ほむら「……もう」
ほむら(ほむむ……包帯一つでこうもかっこつかなくなるなんて……。ノンスタイリッシュほむほむなう。全く、昨夜はあんなことになるとは……)
まどか(やっと違う表情見れた……。ほむらちゃんの手をさりげなく触ったり割と打ち解けられた気がして、それはとっても嬉しいなって思ったのでした)
まどか「……ほむらちゃんのケガ、大丈夫かな……」
さやか「んー?そんなに気になるの?一目惚れかー?」
まどか「ふぇっ!?い、いや、そ、その……もしかしたら化膿とかしてるのかもって……」
さやか「まどかの口から化膿という言葉が出るとは思わなかったよ」
さやか「それにしても猫に引っ掻かれるだなんて、クールキャラが台無しだね。あたしの中では鉄仮面を被った冷酷マシーンなイメージだったんだけど」
まどか「ギャップ萌えってやつかな?ウェヒッ」
さやか「やはり転校生の傷は化膿したんかのう?」
まどか「……………………」
まどか「あ、あれ?何か声が聞こえるよ……タスケテマドカーって……」
さやか「このCD、買いだね」グスン
さやか「まどかぁ……少し一人にして欲しいから先行っててよぉ……」
まどか「え?あ、うん……。うん?じゃあ、また……?」
(チョ、ワリトマジデタスケテー…ギャース)
まどか「ただならぬ……」
ほむら(くっ……結局まどかとの接触を許してしまったわ)
QB「助けてまどか……!」
まどか「うわ、酷い怪我……!」
ほむら「まどか、そいつから離れなさい」
まどか「ほ、ほむらちゃん!?え!?な、なにその格好!?かっこいい!!」
ほむら「か、かっこッ…?」
ブシャアアアアアア
ほむら「くっ……?!」
さやか「まどか!消化器の消化剤に紛れて逃げて!こいつヤバイよ!」
まどか「え!?あ、うん!ほむらちゃん!またね!」
さやか「なに挨拶しとんねん!」
ほむら「……チッ」
QB「」
さやか「っていうか何これ……。猫?兎?ぬいぐるみ?」
まどか「わからない……でも結構生々しいよね」
さやか「生々しい言うな」
ほむら「またしくじってしまったわ……!全く、余計なことを……!」
グニャァ…
さやか「わーわー」
まどか「わーわー……って逃げたと思ったら何か変な空間に迷い込んじゃったよ!」
使い魔「シラナイハナガナントカカントカ」
まどか「きゃー!異形の物体が襲いかかるぅぅぅ!」
さやか「美少女のさやかちゃんが死んだら世界の損失だよー!怖いよー!」
バ キューン!
使い魔「ギャース」グシャァ
マミ「大丈夫かしら?」スタッ
さやか「た、助かった……?」
マミ「キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう」
まどか「あ、あなたは……!?」
さやか「やったー!かっこいい!」
ほむら「…………」スッ
マミ「――成る程ね。あの子がキュゥべぇを襲ったのね……」
マミ「魔女は逃げたわよ。ちなみに追っても無駄だから」
マミ「お互い余計なトラブルとは無縁でいたいと思わない?」
ほむら「魔女を追って去ってしまう。というのが私としては最もうれしいのだけれど」
マミ「その必要はないわ。魔女は絶対に逃がさない」
ほむら「それは魔女を仲間に処理させておいて一般人に使い魔相手にドヤ顔な人間が言う台詞かしら」ファサ
マミ「……言ってくれるわね。ところで包帯巻いてるけど、まさかそれくらいの傷も何とかできない初心者だったりするのかしら?」
ほむら「あなたは人にヒトデ扱いされたいの?」
マミ(何でこんなに冷たいのかしら……悲しくなってくるわ。昨日の今日だから温かくなった心に冷たく刺さるわ)
金糸雀「マミかっこいいのかしら!話で聞くよりもずっとかっこいいのかしらー!」ピョンコピョンコ
マミ「え、あっうん……ありがとう。金糸雀ちゃん」
まどか「……え!?何!?この子!?」
さやか「に、人形……!?……すごい高そう!」
金糸雀「ふっふっふ……カナはローゼ
ほむら「そこの人形は、あなたの魔法?ボッチで寂しいものだから適当な人形を自立させたの?」
マミ「ち……違うわよ!初対面でずいぶん毒を吐くのね……」
マミ「この子は私の友達よ。魔法少女見学ツアーということで連れてきちゃった」
QB「……一体何者なんだいマミ」ピョン
さやか「あ、生きてた」
金糸雀「よくぞ聞いてくれたのかしら!カナはローゼ
さやか「あの、あ、あなたは一体……?」
マミ「私は、巴マミ。あなた達の一つ上の学年ね。そして、私……いえ、私達は魔法少女なの」
さやか「魔法……」
まどか「少女……」
まどか「えと……『達』と言うと……マミさん……と、ほむらちゃん……?」
金糸雀「そしてカナはローゼ
ほむら「そう。確かに私も魔法少女、よ。……でも、巴マミが言ってるのは私でない。……佐倉杏子でしょう?」
マミ「あら?……知っているの?話が早くて助かるわ」
マミ「……それで、何故キュゥべえを襲ったの?」キッ
マミ「答えによっては、四対一よ」チャキ
まどか「あわわわわわ……」
ほむら(……四人?巴マミと佐倉杏子とそこの黄色い人形と……?)
ほむら「……喋る呪い人形を連れた怪しい魔法少女に、答える必要はないわ」ファサ
金糸雀「の、のろっ……カ、カナは、ローゼ
グニャァ…
まどか「あっ、景色が元に戻った……」
――その頃
真紅「ローズテイル!」
バシッ
魔女「ヒャクマンーノバラノベッドニー」フラフラ
杏子「逃がさねえよ……っと」ザシュ
魔女「ウモレタイ」ブシャー
杏子「よっしゃー魔女を狩ったぜー。あたしから逃げようだなんて一昨日来やがれ」
真紅「貴女達の言う魔女というものは、私の想像する魔女と別のベクトルで気色悪いわね」
杏子「まあね。しかしあの魔女。やけに薔薇推しだったけど薔薇乙女的にアレと通ずるものはあった?」
真紅「心外だわ」
グニャァ…
真紅「……あら、気味の悪い風景が元に戻ったわ」
杏子「魔女の結界な。魔女を倒したからだよ」
真紅「魔女の結界というものはnのフィールドに近い物を感じるわね」
杏子「……nのフィールドって何だ?」
真紅「少し誤解を招きそうな言い方だけど、異空間みたいなものよ」
杏子「ふーん?……しかし真紅が人の力を使うってのは本当なんだな。指が熱くなってそれっぽいよ」
真紅「これからしばらくは貴女一人の体ではないということよ。体力はなるべく温存なさい」
杏子「何か釈然としねぇな……それにしても、真紅がまさか魔女狩りで役に立つとは思わなかったよ」
杏子「薔薇の花びら的なもんで魔女にダメージを与えられるとは思わなんだ。いい迎撃だった」
真紅「媒介がいるからこその威力よ。それにまだ、まだ本気を出していなくてよ」
杏子(……魔女狩りの捗りっぷりを考えたら、悪くない契約だったのかもわからんな)
真紅「貴女って人間の割に強いのね。予想外なのだわ。下僕兼用心棒しては上出来よ」
杏子「誰が下僕か。まあいいや。グリーフシードはどこに落ちたかな?」
真紅「グリーフシードというと魔法少女のMP的な概念を回復するアレね」
杏子「うん。……にしても、どこだぁ?」
「ふふ……」
杏子「!?何だ、変な声がするぞ!」
真紅「こ……この声……!」
黒い翼の生えた人形「貰っちゃった貰っちゃったぁ……」
杏子「何だこいつは!新手の使い魔か!?」
真紅「水銀燈……!?」
杏子「知っているのか真紅!」
真紅「私達、ローゼンメイデンの長女よ……」
杏子「な……こ、こいつが……!」
水銀燈「なんだか綺麗な物、拾っちゃったぁ」チラッ
杏子「……あっ?!それはグリーフシード!てめぇ!それはあたしんだ!返せ!」
水銀燈「やぁよ……これは私のよ……だって綺麗なんだもの」
真紅「カラスは光る物が好きとはよく言ったものね」
水銀燈「真紅ぅ……いたのぉ?」
真紅「いるわよ。真っ先に目が合ったのに白々しい」
水銀燈「……相変わらず怒った顔もブサイクね」クスクス
真紅「……目障りかつ耳障りだわ」ギロッ
何分初めてのSSでしたのでバイバイさるさんのこと存じませんでした。ご迷惑をおかけしました。
これからはもう少し時間をおきつつ投下致します。
杏子「グリーフシードを返しやがれ!」ダッ
真紅「杏子!」
水銀燈「ふぅん」
ブアッ
杏子「うわっ!」
ガッ
杏子「……は、羽根が、体を締め……ぐぐっ」ギギギ…
水銀燈「私は他の姉妹の中で特に力が強いのよ」
杏子「うぐぐっ……人形のくせになんて力だ……!」ギリギリ…
水銀燈「やぁねぇ。私はまだ全然力を出してないわよぉ?その気になればもっともっと強くできるけど……それが何を意味するかわかるぅ?」
真紅「離しなさい水銀燈!今は貴女と争っている暇はないわ!」
水銀燈「うるさいわねぇ……」ポイッ
ドサァッ
杏子「ぐへっ……!……投げ捨てるこたぁないだろぉが……」
水銀燈「帰らせてもらうわね。怒っちゃやぁよ。乳酸菌摂ってねぇ。またねぇ真紅ぅ」バサバサ
真紅「ふん……そうね」
真紅「……行きましょう。杏子。その程度でへこたれちゃだめよ」
杏子「げ、ゲホッ……。す、すいぎん、とう……か……。ちっきしょう……いてて」
杏子「その気になれば……か。あいつも契約してんのか?」
真紅「あの子は契約をせずとも人から力を奪い取れるのよ」
杏子「まじかよ……」
真紅「まあ、あんな性悪な子と契約しようなんて普通は思わないわ」ツーン
杏子(……姉妹仲悪いんだな)
真紅「マミ。戻ったわよ」
マミ「お疲れさま。佐倉さん……。ケガ、してるけどそんなに強い魔女だった?……無茶しては駄目よ」
杏子「いや、ちょっとトラブっちまってな……。それに、あたしはマミと違って魔女を倒すことが第一だから口出しはしねーでくれ」
杏子「……で、この青とピンクと紫のあんたらは何者だい?紫は魔法少女のようだが」
さやか「何か赤いのがダブルで来た!」
杏子「あぁん?」
真紅「失敬ね。下僕と一緒にしないで頂戴」
杏子「泣くぞ」
ほむら「……人形」
真紅「……えぇ、そうよ」
ほむら(この赤い人形を含めて四人ということね)
マミ「佐倉さん、この子知ってる?彼女はあなたを知ってるようだけど」
杏子「知らないね。……どっかで会ったっけ?名乗りなよ」
ほむら「……私は暁美ほむら」
真紅「私はローゼンメイデン第五ドール。真紅」
さやか「こっちはなんつーか、いかにもな人形だね」
まどか「ね、ねぇ、その……真紅ちゃん?」ヒソヒソ
真紅「何かしら」
まどか「わたしと真紅ちゃんって前にどっかで会ったことあったような……なんて思ったんだけど」
真紅「……?気のせいね」
まどか「ご、ごめんね。変なこと聞いて」
金糸雀「カナはかなr
QB「やあ、マミと杏子が一緒にいるだなんて驚きだ。何があったんだい?」
マミ「あら、キュゥべえ。随分余裕そうだけどケガは大丈夫なの?」
QB「まあね。それと、この人形は何なんだい?」ピョイ
金糸雀「この人形って……デリカシーがないかしら」
マミ「あ、金糸雀ちゃん、真紅ちゃん。この子は私の友達のキュゥべえよ。それでキュゥべえ、この子達は……
真紅「ね、猫!!??」バッ
一同「!?」
真紅「ま、マミィッ!!それをこっちへ近づけないで頂戴!」アタフタ
さやか「な、何だぁ!?」
杏子「こいつ猫ダメなんだぜ?キュゥべえは猫じゃないけどさ。ほら、ちょっと猫っぽいだろ?」
まどか「言われてみれば……」
真紅「あ、あ、貴女でいいわ!抱っこしなさい!」アタフタ
ほむら「えぇっ!?わ、私っ?」
真紅「早く抱いて頂戴!」ピョンコピョンコ
ほむら「わ、わかったわ……」ヒョイ
QB「……」
真紅「ま、まだこっち見てるじゃないの!」
どうしようさるさん怖い
真紅「ね、ね、猫なんかと友達だなんて見損なったわマミィ!」
QB「僕は猫じゃ……」
真紅「ひぃ!しかも喋ってるわ!?こっち見ないで!向けないで!」
マミ「ど、どうしちゃったの!?」
真紅「猫はこの世で最も野蛮な生き物よ!」
マミ「え、えっと……キュ、キュゥべえはそんな子じゃないわ!猫じゃないけど」
真紅「いいえ!猫は悪魔の手先よ!」
QB「だから僕は猫ではないよ」
真紅「善良な市民の皮を被って仲間面をし、裏で悪事を働く卑劣漢、怪盗キャットが如く……!」
杏子「……」ニヤニヤ
ほむら(何よこの状況……。でも大体的を射てるわ)
まどか(真紅ちゃんを抱っこして困った表情をしてるほむらちゃん可愛い!)
マミ「あのね、キュゥべえはね――」
真紅「……はぁ、はぁ。と、取りあえず猫じゃないのね。わかったわ。でも気持ち悪いから私の側におかないでよ」
QB「わけがわからないよ」
ほむら「あの、もう降ろしても」スッ
真紅「ええ。そうね。ありがとう。情けないところを見せたわ」スタッ
真紅「杏子。今のが相手を気遣った優しく正しい抱き方、及び降ろし方の作法よ。覚えたわよね」
杏子「あ?そんなまじまじと見てねーよ」
真紅「まあ、勉強しない子ね。おしおきが必要ね」
ほむら「……あの、それじゃあ、私はそろそろ」スッ
まどか「あっ、ほむらちゃ……」
さやか「ほっとけほっとけ」
まどか「また明日ね!」ノシ
さやか「おい」
起きてる余裕があるなら6分1回ペースならかからない
別スレに書きこむとさるにかかりづらくなる
支援はするけど、無茶はしないでくれ
QB「……ところで、二人とも。僕と契約して、魔法少女にならないかい?」
真紅「こっち見んなだわ」
QB「君を見たわけじゃないけど……」
マミ「それで……二人共、魔法少女に興味あるかしら?」
さやか「はい!」
まどか「え、えーっと……は、はい」
杏子「えー、二人も魔法少女が増えたら取り分が減っちゃうじゃん」
マミ「お互い口出ししないって言ったじゃない」
杏子「ちぇー」
杏子(なるなよ……絶対なるなよ……いいか絶対だぞ……!)ギロ
まどか「な、何か睨んでるよ?」
真紅「だから、こっち見ないで頂戴」ギリッ
QB「僕は君を見ているんじゃなくって……」
金糸雀「こっちはこっちで睨んでるかしら」
>>104
教えていただきありがとうございました。徹夜します。
マミ「……と、いう訳で魔法少女体験ツアーの詳細は後日お話するということで」
杏子「腹減ったっ」
金糸雀「それじゃあ私達も解散かしら!」
さやか「うぇーい」
杏子「腹減ったっ」
真紅「うるさい」
杏子「あんこはんぐりぃ……」グー
真紅「ところでマミ。キュゥべえを私に近寄らせないで頂戴ね」
QB「ひどいなあ」
マミ「真紅ちゃん。さっきの子みたいにキュゥべえを苛めちゃダメよ?」
真紅「…………」
QB(さっき……か。別に暁美ほむらにやられた訳じゃないんだけどね)
――ほむホーム
ほむら「ただいま……っと」ガチャ、ガチャリ
ほむら「……ハァ~~~……」トスン
ほむら(ローゼンメイデン、佐倉杏子。それらを抜きにしてもあの時、あの結界で、何とも言えない違和感があった……)
ほむら(本来逃げるはずだった魔女も、佐倉杏子によって滅んだ。そのパラドックスが違和感の正体かしら)
ほむら「…………しかし、疲れたわ」
「大丈夫?疲れてるみたいね……」
ほむら「白々しいわね。人の力を堂々と使っておいて……」
「あら、何のことかしら?」
ほむら「白を切る意味がないことくらいわかってるでしょ水銀燈」
水銀燈「ふふ……すごいでしょ?私の力……」
ほむら「あなたが余計なことをしなければキュゥべえのまどかとの接触を阻止できたのに……」
水銀燈「私はただ喋る小生意気な小動物を投げ飛ばしただけよぉ?あの白い生き物を苛めろと言ったのは貴女じゃなぁい」
ほむら「……はぁ。……もう、やってしまったものは仕方ないわ。で、何で力を使ったのよ?」
水銀燈「言うまでもないわ。そんなことより、そろそろその包帯を取りなさいよ。格好悪いわ」
ほむら「貴女と契約していることを隠しているのよ」
水銀燈「どうしてぇ?」
ほむら「個人的な理由で、よ」
水銀燈「……ふぅん。まあ、そうねぇ。真紅が知ったら面倒くさいものね」
ほむら「ところで、夕食は?お風呂は?」
水銀燈「うるさいわね」バサッ
ほむら「夕食は冷蔵庫に入れておくから……って、もう行っちゃった。……かわいくないわね」
ほむら「水銀燈が力を無駄遣いしてくれたものだからお腹空いたわ」クー
ほむら「ついボリューミーな手料理を作ってしまったわ。ごちそうさ……」ホムー
「手際がいいのね」
ほむら「!?」バッ
「夜分遅くに失礼するわ」トコトコ
ほむら「あなた……っ!どこから!」
真紅「洗面所の鏡からよ」
ほむら「か、鏡……?それはそれは、ずいぶんとマナーが悪いのね」チャキ
真紅「玄関から入らなかった無礼は詫びるけれど、あなたが突きつけているのは拳銃というものね。先々週のくんくんで犯人がそれを使って自害したのよ。危ないものとわかって?」
ほむら(くんくんって何かしら……)
真紅「食後に悪いわね。貴女個人とお喋りがしたいの。……まず私は敵ではないわ。貴女が信頼するしないはおいておいて」
ほむら「……巴マミのスパイって所かしら?」
真紅「私個人的なことなのよ。他言しないと誓うわ。ただ、それを信じるのは貴女の自由だから貴女自身で情報量を調節なさい」
ほむら「私が嘘をつくということもあるわよ」
真紅「かもしれないわね。それでも私は貴女の言葉は基本的に信じるわ。別に長居はしない」
真紅「さて、真紅が問うわ。貴女はマミ達に敵意はあるかしら?」
ほむら「……ないわ。信じられないかもしれないけど」
真紅「そう。私は信じるわ。それでは、あのキュゥべえという生き物を襲った理由を教えて頂戴」
ほむら「……守るためよ(襲ったというより襲わせた、ね)」
真紅「守る?……まどかとさやかのことかしら。あの二人は貴女にとってどういう存在なの?」
ほむら「…………今は、言えないわ」
真紅「そう。今は、ということだからいつか教えてもらうとして……本当はもっと色々聞きたいところだけど、あまり時間がないから質問はこれくらいにするわ」
ほむら「そう」
真紅「それと、先の結界で、私はローゼンメイデンの長女に会ったわ。水銀燈といって、黒いドレスに銀色の長髪をしているわ。もし出くわしたら気を付けなさい。これは忠告よ」
ほむら「そう」
真紅「さて、水銀燈のことに触れながら、私達ローゼンメイデンの話を聞かせてあげる――」
さるさんについては完全に無知でした。誠に申し訳ありません。
知らなかったが故に調子に乗って話を膨らませ過ぎたため、終わる気配が……。
――巴家
杏子「ふ~ん……ほむらって奴、キュゥべえを襲ってたんだ」グータラ
金糸雀「あの敵意はただならないかしら。何かしたんじゃないかしら?」
マミ「キュゥべえはあんな子に恨まれるような子じゃないわ!」
杏子「あいつはデリカシーってもんがないからな。覗きとか無自覚に色々してそうだ」
マミ「当のキュゥべえは何だか帰ってこないし……」
真紅「戻ったのだわ」チョコン
マミ「真紅ちゃん!急にいなくなったと思ったら……どこ行ってたの?」
真紅「レディに詮索は野暮というものよ」
金糸雀『……真紅!カナに黙って勝手にnのフィールドに行くなんてひどいかしら!』ヒソヒソ
真紅『ごめんなさいね。個人的に気になることがあったのよ』ヒソヒソ
ご迷惑おかけしました。以後約5分に一辺のペースに努めます。
――学校の屋上(翌日の昼)
まどか「ほむらちゃんをお昼に誘ったよ!」
まどか「ほむらちゃんって少食なイメージあったけど、結構食べるんだね。お弁当箱大きい……手作り?」
ほむら「ええ」ホムホム
ほむら(水銀燈がいつ力を無駄使いするかわからないから栄養を補給しなくちゃいけないものね。名付けて、ほむ弁作戦)
まどか「へえ~……。ほむらちゃんの手作りかあ……」マドマド
ほむら「……食べてみる?」
まどか「いいの?わーいありがとう!それじゃお礼にこれをあげるね」
ほむら「ええ、ありがとう。とってもおいしいわ」ホム
まどか「ウェヒヒ、嬉しいな。……手作りじゃないんだけどね。ほむらちゃんのもとってもおいしいよ!」
ほむら「そう。ありがとう」
マミ「……………………」モグ…モグ…
さやか(マミさんにお昼を誘われて、まどかが友達を連れてきたいというもんだから、マミさんが承諾しちゃうもんだから……その結果がこの空気!)
さやか(すっごい気まずいよ!っていうかまどかはいつの間に転校生とお弁当のおかずを交換するくらい仲がよくなったんだよ!)
さやか(マミさんと転校生の間に険悪なムードがあったと知りながら転校生を誘うまどか色々とすげぇよ!)
マミ「んっん!あーあー、ゴホンゴホン。……か、な、め、さん?」ジトー
まどか「……は、はい」
マミ「あなたが昨日の今日で私と暁美さんがどういう間柄かわかってこのシチュエーション?」
まどか「あ、あの……お、同じ魔法少女ですし……ほむらちゃんはわたしの友達ですし……」モジモジ
まどか「……」チラッ
さやか(無理無理無理無理無理!目配されてもフォローできないから!!)サッ
マミ「……ま、まあいいわ。それより、魔法少女体験ツアーのだけど……」
さやか「は、はい!あたしはオッケーです!」
まどか「あ……その……」
まどか「昨日ほむらちゃんにメールで相談したら『魔法少女は危険だからなっちゃダメ』って……」
マミ「こっ、これは鹿目さんの問題なの。暁美さんは関係ないわ。余計な口出しは無用よ」
ほむら「魔法少女はそうそうなるものじゃないし、まどかの相談に対する私の答えなだけよ。私はまどかが心配なのよ」
まどか(心配してくれて……嬉しいなぁ)
さやか(あたしは?)
ほむら「あなたの実力は私も認めるし、ツアーとやらの参加だけならまどかを安心して任せられる」
マミ「え?えぇ……と、当然よ……」
まどか「ほむらちゃん……何だか、ごめんね?」
ほむら「まどかが謝る必要なんてないわ。しっかりなさい。ほら、ご飯粒がついてるわよ」ヒョイパク
まどか「は、はぅ……///」マドマド
さやか・マミ「」
ほむら「ところで中指と薬指にデザインの方向性が全く違う指輪って正直ダサいと思わない?」
マミ(なんでそういうこと言うのよ……)
――帰路ほむ
ほむら「みんなとお昼を食べられて今日は楽しかったわ」
ほむら「しかしこの時間軸。佐倉杏子の見滝原入をこんなに早める程イレギュラー」ブツブツ
ほむら「魔女の真実、ワルプルギスの暴露、ときめき美樹さやか、巴マミの首……山場はこの先まだまだあるのにこのてんやわんやっぷり……」ブツブツ
ほむら「それらに加えてローゼンメイデンの件もある……他のドールもいるらしいし……」ブツブツ
ほむら「これから何が起きるかまったく予想ができない……。はたして水銀燈を取り入れたことは吉と出るか否か……」ブツブツ
杏子「おっす、こないだのロンゲ~」ポンポン
ほむら「……佐倉杏子?……ロンゲ?」クルッ
ほむら(そっか、まだ私は誰に対しても接点が少ない。未知な部分が多い。リークする噂もイレギュラーっぷりもないものね)
杏子「まあ気にすんなって……で、さ。あのさ……、もしかしてあんた、あたしに恨みとか……ある?」
ほむら「……?恨み?」
杏子「ほら、あんたあたしの名前知ってたじゃん。あたし、名前を覚えられるようなことした覚えないんだよ。だから、そういう線かなって。万引き関連とか」
ほむら「特に怨恨はないわ。知ってたのは風の噂ってやつよ」
杏子「そ、そっか?ならいいや(逃がした使い魔に知り合いを殺されたとかそんな厄介な話がなくてよかったぜーフィー)」
ほむら「……あなた、自分のテリトリーとやらはいいの?」
杏子「ちょっと面倒だけどマミの家に世話になって、日中はマミが作った弁当持って向こうで活動っつー形になってる。今はその帰りさ」
杏子「あ、そうそう。ところであの人形、鏡と鏡の間をワープできるんだってよ」
ほむら「……そう。羨ましいわね」
杏子「さあて、と。そんなことより、互いに恨みがないってわかったし、もやもやしたのも取れたし……一緒にアレやろうぜ!」グイグイ
ほむら「えっ、ちょ、ちょっとっ」
杏子「別にいいだろ~丁度ゲーセンの近くなんだから遊ぼ~ぜ~」グイグイ
ほむら(何この佐倉杏子めっちゃフレンドリー!)
杏子「タイミングを合わせて矢印を踏むゲーム!」
ほむら「ちょっと」
杏子「さあ対決だ!恨みっこなしの真剣勝負だ!」チャリン
ほむら「ちょっとっ」
杏子「ゲーセンの中ってジャカジャカうるさいからそんな小声じゃ聞こえねえやレッツスタート!」ジャカジャンジャン♪
ほむら「ちょっとッ!……ってちょちょちょちょちょい!」アタフタ
杏子「――動きが致命的にダサかった割に悪くないスコアだな。しっかし魔法少女のくせに体力ねえなあ……」
ほむら「はぁ……はぁ……私は初心者よ……い、いきなりベリーハードはないわ……しかも元々私は、虚弱体質で……げほっ」
ほむら「ああもう髪が……で、結局何の用で私をつけてたの?」ファサ
杏子「何だよ気付いてたのかよ。だったらさっさとそう言ってくれればいいのに」
ほむら「……巴マミのスパイかしら?」
杏子「そんなじゃねーよ」
杏子「何かあたしとあんた、気が合うんじゃないかなって」
ほむら「え?」
杏子「ほら、アレだろ?キュゥべえを殺そうとしたのは魔法少女を増やしたくないからだろ?取り分が減るもんな」
ほむら「……理由は否定しないわ。動機は違うけど」
杏子「しっかしマミに見られたのは運が悪かったなー。マミはキュゥべえに依存してるとこあるから」
ほむら「そう……ね。それで佐倉杏子、私にどうしてほしいの?一緒に説得でもしてほしいの?」
杏子「……マミにさー、あたしのやり方はおかしいってクドクドクドとさー。真紅と金糸雀を取り入れやがって三方向からクドクドとさー」
杏子「あたしだって必要以上に馴れ合うつもりはないんだよ。ただ、四分の三に攻められるんだぞ?」
杏子「しかも全員髪の毛がくるくるしてるし……あたしだけ紅茶のこと全くわかんないし……一人だけ浮いてるって、寂しいんだぞ?」
ほむら「わ、わかったわ。わかったからそんな切ない顔で詰め寄らないで」
杏子「真紅は仲良くしろって言うし、マミは余り関わらない方がいいとか言うし、金糸雀はかしらだし……」
ほむら「佐倉杏子。友達になりましょう。ええそうしましょう」
杏子「やったーっ。……っていうか佐倉杏子ってフルネームで呼ばないでくれよぉ。むずむずするぅ」ウリウリ
ほむら「どうでもいいじゃない(馴れ馴れしい……)」
杏子「じゃああんたはいいってのか!?えぇ?穂村あけみ!」
ほむら「逆よ!絶対わざとでしょ!……まあ、そうね。うん。取引でもしましょう」
ほむら「まどかとさやかに手を出さない。それが約束できるのであれば、あなたを下の名前で呼ぶわ」
杏子「うん?……ああ、あのちっこいのとバカっぽいのか。魔法少女にならないってんなら元よりさ」
ほむら「取引成立ね。杏子」
杏子「お、おう……。……それは取引なのか?ま、いいや。ロッキー食うかい?」
ほむら「盗品はちょっと……」
杏子「違ぇーよ!マミから貰ったお小遣いでUFOキャッチャーで取ったんだよ!そんなん言うならやらん!」
ほむら「じゃあいいわ」ファサ
杏子「…………食え!」ズイッ
ほむら「……あ、そうだわ。あと巴マミの使い魔退治にはなるべく協力してあげなさい。トラブルは避けるべきよ」ポリポリ
杏子「えー」
ほむら「それに使い魔にまどかが襲われたなんてことがあれば私との契約を一方的に破棄したとして暴力も辞さないわよ」
杏子「え、えぇ~……何かハメられた気がする。……まあ、いいけどさ」
ほむら(ワルプスギルの話は早すぎるかしら。まずはローゼンメイデンの件を把握しておきたいわね)
杏子「……なあ、ところで中指と薬指に指輪ってダサいかな」
ほむら(と、とりあえず巴マミとは対立しても佐倉杏子を取り入ることには成功……した?)
――さやかルームof美樹ハウス
さやか「うへぇぁ……疲れた……。今日のお昼と魔法少女体験ツアー。精神的に疲れた」ドサッ
さやか「何か真紅にテーブルマナーがなってないとか怒られたし。常にあの調子だと思うと杏子とやらも大変だぁねぇ」
さやか「まどかの魔法少女ノートを見た時、真紅ったらやけにフォローしてたけど……」
さやか「まるでオリジナル衣装のデザインを全校集会で晒されてトラウマになって引きこもりになった知り合いでもいるかのようだったよ」
さやか「それにしても願い事が叶う上にかっこいい力が手に入るなんて、なんておいしい話を聞いてしまったのだろう」
さやか「変な銃で戦うマミさんとバイオリンから何か出して援護する金糸雀。かっこよかったなあ」
さやか「しかしバイオリンかぁ……恭介に見せたらどんな反応するだろう」
~さやさやイメージ~
上条『人形が弾けるなら僕も負けてられない!』
上条『僕のが上手い(キリッ』
上条『ドール……そうか!全身を作り物……サイボーグに改造すればまた弾けるのでは!』
~~~~~~~~~~
さやか「…………」
さやか「さて着替え――ん?」
さやか「タンスの横に大きな鞄が……」
さやか「うーん……?何だこりゃ?お父さんが置いてったのかな?」
さやか「年頃の娘の部屋に無断に入って何も知らせずに得体の知れない物を置いていく不届き者とは思いたくないよ?」
さやか「うぅ~ん。ただ思い当たる節があるとすれば…………すれ、ば…………」
~~~回想~~~
さやか「いやー、マミさん、魔法少女、変な人形。びっくりしたなー」
さやか「しかし転校生。キュゥべえを痛めぶるとは、やはり私のイメージ道理、冷酷鉄仮面だったでござる」
さやか「それはさておき……さやかちゃんは今、amazonasでバイオリンのCDを探しているだー!」
さやか「恭介へのお土産CDは既に買ってあるけど、今後のことも考えてレビューを参考にしてみようかと思っているわけですが」
さやか「目が疲れたよ!眠いよ!」カチカチ
PC【 巻きますか?巻きませんか? Y/はい N/いいえ [×]】ティロッ
さやか「ほぇ?何か変なメッセージウィンドウが出た!巻くって……何を?」
さやか「こ、これはまさか噂のブラクラ?!さやかちゃん畏怖るよ!」
さやか「はい」カチッ
さやか「……あ。消えた。……な、何かやばいことしちゃった予感!どうしよう……」
さやか「あたしってほんとバカ……」
さやか「……でも、何も出てこないし……、大丈夫かな……?」
~~回想終~~
さやか「あれしか思いつかないな……」
さやか「新手の押し売りかちくしょー!!amazonasはワンクリ詐欺をする悪徳サイトだったのか!」
さやか「クーリングオフ!クーリングオフ!」
さやか「でも……中身気になる……。あ、開けてみよう」
さやか「開けてみる分には大丈夫……だよね?」
カチャリ
さやか「…………流石に食べ物ではないよね。生モノだったらどうしよ」ドキドキ
さやか「何じゃらほいっ!」ソーッ
さやか「お?」
さやか「おおっ!?に、人形!?」
さやか(こ、こ、これはまさかラブドールという奴か!?性的な食べ物だった!?)
さやか「男の子人形か……か、可愛いな……これはヤバイ」
さやか「……よし、ズボンを脱がしてみよう!あそこが本物がどうか確かめてみよう!」
さやか「…………やめとこ」
さやか「そしてゼンマイを見つけたので巻いてみようかなぁと思ったけど気が付いたら既に巻いてしまっていたのでした」
フワッ
さやか「人形が浮いた?!」
人形「……君が、僕のゼンマイを……?」
さやか「え……あ……はい」
人形「僕はローゼンメイデン第四ドール。蒼星石」
さやか(ですよねー。ローゼンですよねー)
蒼星石「えっと……まず僕は女だよ。……それと」
蒼星石「あの……その……ぼ、僕に、乱暴しないで……」モジモジ
さやか「」
さやか「あ、あの……その……ズボンを脱がすだなんて冗談だから……ちょっとした好奇心だから……落ち着いて。落ち着かせて」
さやか「――ローゼンメイデン、か……。あたしのとこにもやってきちゃったわけか……」
蒼星石「も?と言うことは他の姉妹に会ったんだね。名前はわかr
さやか「それってオッドアイってやつだよね」
蒼星石「……うん」
蒼星石「お父様が間違えて入れてしまったんだ」
さやか「え!?」
蒼星石「冗談だよ」
さやか「……」
蒼星石「それで他の姉妹n
さやか「ねえねえ!やっぱり私と契約するの?」
蒼星石「契約は特に強制はしない……けど、やっぱり今は何があるかわからないから力になってくれるといいな」
蒼星石「これが僕の指輪だよ」スッ
さやか「ほほう」ヒョイ
さやか「じゃあさ、ゴニョゴニョ……って言ってみて!」
蒼星石「え?……う、うん。……わかったよ。……コホン」
蒼星石「ぼ、僕と契約してマスターになってよ!」
さやか「うん!なる!」スッ ムチュー
さやか「契約完了……! いやあ、あの白いのよりずっとクる物があるね」ナデナデ
蒼星石「……白?」
さやか「あ、いや何でもないよ」
蒼星石「白い……。マスター、詳しく聞きたいんだけど、いいかな」
さやか「ふぇ?」
蒼星石「お願い」
さやか「いいけど……、別にマスターだなんて呼ばなくていいよ水くさい!」
蒼星石「え、じゃあ何て呼べばいい?」
さやか「好きに呼ぶといいよ」
蒼星石「好きに……。じゃあ、さやか。例の白いの、について教えてくれないかい?」
さやか「おう!」
さやか「――あーだこーだ……ってことがあったんだよ」
蒼星石「きゅう……べえ……?どうやら僕の勘違いだったようだ。ごめんよ」
蒼星石「しかし、真紅と金糸雀はマミさんという人の所にいるんだね。水銀燈も目覚めているけどどこにいるかは不明、と」
さやか「あたしは水銀燈には会ってないからね」
蒼星石「何にしても、マミさんという人の所に連れてって欲しいな」
さやか「おう!……あ、明日は用が……」
蒼星石「用?それならさやかの都合に合わせてくれていいよ」
さやか「そう?いやぁ悪いねー。幼なじみの見舞いに行くんだー。このCDを持ってね!」
蒼星石「そうなんだ。嬉しそうだね」クス
――翌日(放課後)
さやか「――ってことがあって、あたしもマスターになりました。これが蒼星石の写メです」
マミ「まあ、男の子のドールね!」
まどか「マミさん私と同じリアクションしてる……」
マミ「……この子に悪いことを言ってしまったわ」
マミ「それにしてもすごいぎこちない笑顔でピースしてるわね……。無理矢理させたでしょ?」
さやか「だってかわいいですもん。あたしの嫁にするのです!それに鋭いんですよ。あたしの部屋を少し見ただけで名前が書かれたノートを発見しちゃいましたからね。すっかり名乗り忘れてたってのにびっくりですよ」
マミ「そう……。それで早速姉妹に会わせてあげたいけど、美樹さんにも都合があるのよね……」
さやか「あたし『にも』ってとこは気になりますがはいそうです」
まどか「また明日ということになるのかな?」
さやか「蒼星石には悪いけど、あたしの用事を優先してくれるそうだからね。そうだね」
マミ「そうよね……。私の家の場所なんてわからないでしょうし、かと言って鹿目さん以外美樹さんの家知らないし……」
マミ「……それに今から佐倉さんとちょっとした急用が、今できたもの」
まどか「お互いに当事者なしにわたしが連れて行くわけにもいかないもんね」
マミ「明日連れてきてあげてね」
さやか「はい!」ビシッ
マミ「それじゃあ私はこれで」ノシ
まどか「また明日マミさん」ノシ
さやか「真紅と金糸雀によろしく伝えてくださーい」ノシ
さやか「お、仁美発見。一緒に帰ろー」
仁美「あ、すみません……今日も……」
さやか「そっか……習い事か……」
仁美「はい……。残念ながら」
さやか「それじゃ仕方ないか」
まどか「うん。それじゃあ、また明日ね!」
仁美「ええ。それでは」ノシ
さやか「そしてあたしは恭介んとこ行くのだー」ノシ
まどか「イテラー」ノシ
まどか「…………」
まどか「……孤独だよ!」バーン
まどか「一人で帰るのは寂しいよぉ」
ほむら(ほむ……これでローゼンメイデンは七体中四体の名が割れたわ。蒼星石……。真紅みたいにnのフィールド経由で行けないのかしら?)コッソリ
ほむら(まあいいわ。これで後は第三、六、七ドール。六番目の雛苺は脱落しているらしいから、実質残りは二体……)
ほむら(それにしても疲れたわ……。水銀燈め……また勝手に力を使ったわね……!何に使っているのかしら。全く)
ほむら(食材を買って帰らないといけないのに、こんなお腹が空いてたらつい買いすぎてしまうじゃない)
まどか「……これは……ほむらちゃんの気配だ……」クンカクンカ
まどか「ほむらちゃん見っけ!」バッ
ほむら「ほむっ!?」ビクッ
まどか「一緒に帰ろ?」
ほむら「え……あ、ええ。ただ、私は帰りに食材を買わないといけないわ」
まどか「わたしもついてく!」
ほむら「そ、そう」
仁美「……はあ」トボトボ
――病院
さやか「かわいい女の子と思った?残念!さやかちゃんでした!」
上条「さやかは僕を苛めてるのかい…?」
さやか「いやそのセリフはおかしい」
さやか「ほれほれ。お土産にCD買うてきてやったでー」
さやか「せやけどほんまは、さやかは僕を苛めてるのかい…?弾けやしないバイオリンのCDなんか……!(低音)」
さやか「とか思ぉとるんやないか?」
上条「お、おう……せやな」
さやか「そこであたしはバイオリンと違うCDを持ってきたのであった」
上条「え?」
さやか「買ったには買ったんだけど、昨日色々あって、やっぱり持ってくのやめたんだ」
ほむら「タイムセールスによる主婦達の行軍にまどかが巻き込まれた」
まどか「」
ほむら「まどかァーーーーーーー!!」
~~さや回想~~
蒼星石「そう。バイオリンが弾けなくなった幼なじみに」
さやか「うん。こういうのがいいかなーって、買ってみました」
蒼星石「でも、それってあんまりよくないんじゃないかな」
さやか「えー?よし、腕を治そう!って気になるかな、と、さやかちゃんは思ったのです!」
蒼星石「多感な時期だからね。僕も、さやかや上条君と同じくらい年齢で引きこもり体質の子を知っているけど、そういう時ってネガティブな気持ちになるものだよ」
蒼星石「それに、どうせ同じバイオリンなら金糸雀の生演奏を聴かせてあげた方が絶対いいと思うね」
さやか「え……でもあれ音で使い魔殺すよ?それに、生バイオリンを見たらそれこそ心身共にブチ壊れそう」
蒼星石「加減くらいできるよ……。でも、うん。そういう考え方もあり得るね」
さやか「というかまず動く人形を見て発狂するかも」
蒼星石「……」
さやか「うーん。折角買ったけど一理あるし、別のCDにしとくかー。CD棚からテキトーに持ってちゃお。……げ、埃被ってる」パッパッ
~~~~~~~
さやか「恭介の精神は今、不安定なんだろうなって思って、思い直したんだ(思い直させてもらったんだ)」
上条「さやか……。……何かごめん。気を使わせちゃって」
さやか「いいのいいの。ほら、聴いてみて!」
上条「それで……これは何のCDなんだい?」
さやか「雅楽」
上条「まさかすぎるチョイスだよ」
ほむら「何とかまどかを主婦雪崩から救出できたわ。……大丈夫?」
まどか「割とガチで怖かったよぅ…」
ほむら「もうはぐれないように手をつなぎましょう」ギュッ
まどか「あっ……」
ほむら「怖い思いをさせてごめんなさい。集団は避けて普通に回りましょう」
まどか「ぅ、ぅん……」マドマド
まどか(ほむらちゃんと手をつないでるよぉ…ほむらちゃんの手温かいよぉ///)
まどか(……は!このときめき……!これが吊り橋効果というやつなのかな!?)
さやか「――それじゃあ恭介。また来るよ」ノシ
恭介「うん。また」
さやか(一つのイヤホンを二人で使うアレをやったよ!雅楽で!!)バーン
さやか(えへ)
まどか「今日はほむらちゃんとお喋りと寄り道ができて嬉しかったよ!」
ほむら「そう。よかった」ニコ
まどか「あ!」
ほむら「ん……どうかした?」
まどか「……やっとほむらちゃんの笑顔が見れたなって」
ほむら「そうだったかしら?」
まどか「ほむらちゃんの笑顔、かわいいよ!」マドマド
ほむら「え?そ、そう……」
まどか「えへ」
――その日の夜
さやか「――と、いうことで若干引きつってたけど笑顔で受け取ってくれたよ!」
蒼星石「そっか。それは、よかっ……たのかな?」
さやか「明日みんなに会わせるからね!」
蒼星石「うん。ありがとう」
さやか「今日一日蒼星石ちゃんは何をしてたのかな?」
蒼星石「食べていいって言われたお菓子を食べたり、読んでいいって言われた本をずっと読んでたよ。充実してた」
さやか「……お、おう。……しかし不便だよね。姉妹同士で連絡は取れないって。携帯とかそういうのあればいいのに」
さやか(携帯と言えばマミさんのアドレス知らないな……)
蒼星石「nのフィールドへ行ければ何とでもなるよ。人工精霊もそういう感じに使えるし」
さやか「ふ~ん……って、え?なに?会おうと思えば会えたの?」
蒼星石「うん。鏡とかからnのフィールドに入れるんだ。そこからマミさんの鏡に繋ぐ扉を探して……」
さやか「nのフィールドが何なのかは知らないけどさ……どうして行かなかったの?」
蒼星石「鏡を使う許可を貰ってない」
さやか「…………」
さやか「……これからは自由に使いなさい」
蒼星石「ありがとう。じゃあ早速行かせてもらっていいかな」
さやか「何かごめんね」
蒼星石「ううん」
はよ
>>181
さるにビクビク怯えながら書いてます。ご了承を……
――志筑家
仁美「ただいまですわ……」
仁美「最近、皆さんと遊んでないですわ」
仁美「是非とも明日こそは……って」
仁美「はぁ、明日もお稽古でしたわ……」
仁美「もっと皆さんと寄り道とかお茶とかしたいです」
仁美「私の知らない間に鹿目さんも美樹さんも、暁美さんと仲良くなってて……私は……」
仁美「私も暁美さんと仲良くしたいですわ。とは言え、両親の期待を背負ってますし……」
仁美「……何だか私、両親のお人形みたいですわ」グスッ
仁美「……あっと、そうでしたわ。届け物がきてたのでしたわ。部屋に置いてあるんでしたわね……」
仁美「何でも差出人が不明で怪しいから赤外線で調べたけど特に怪しいものではないとわかったとか……」
仁美「……何か怖いですわ」
仁美「えっと……あっ、これですわね」
仁美「あらまあ、大きな鞄……。何が入っているのかしら?お稽古の道具かしら?」
カチャリ
仁美「まあ……綺麗なお人形さん」
仁美「あらあらまあまあ……クロワッサンみたいな髪。お服も綺麗で……肌触りの良いレースなこと」フニサワサラ
仁美「でもなんでお人形さん何か……」
仁美「……も、もしかして、お父様お母様からのプレゼントかしら?いつもお疲れさま的な意味を込めた……」
仁美「照れくさいから色々設定を作って装ったのね!うふふ」ギュッ
仁美「嬉しい……」
仁美「はぅ……柔らかいですわ。手触りもさらさらで……」プニサラナデサラ
仁美「あら、ゼンマイ……。お人形の背中にそれらしき穴が……」
仁美「オルゴール機能でもついているのでしょうか?」キリキリ
ムクッ
仁美「に、人形が動っ……!?」
人形「や~~っと起こしやがったか!!ですぅ!」
仁美「」
人形「開けるのが遅いのですぅ!多分、いや絶対他の姉妹はもう起きてるに違いねーです!」
仁美「ぎゃああああああああああああああ!?」
人形「ぎゃあ!!きゅ、急に大きな声を出すなですぅ!心臓が止まるですぅ!」
ドン ドン
< ナニヲサワイデイルンダー
仁美「え!?い、いいえ!何でもないですわ!ちょっと……その、む、虫に驚いただけですわ!」バッ
人形『も?!もががっ!は、離しやがれですぅ!』バタバタ
仁美「ええ!ええ!なんとかなりましたわ!だから大丈夫!」
人形『誰が虫ですかー!翠星石はドールですー!』ジタバタジタバタ
仁美「ふぅ……何とかごまかせましたわ」
仁美「それで……あの……」
翠星石「放置プレイの後は全身を触られた上に無理矢理押さえつけられるなんて、今日は翠星石の厄日ですぅ」
仁美「私に何かご用ですか……?」
翠星石「ハァ!?ちゃんと電話したじゃねーかですか!ゼンマイを巻くって言ったです!」ツーン
仁美「え?」
翠星石「ん~はい巻きますわ~(裏声)……と電話口で約束したからわざわざ来てやったってのにほったらかし!」プンスカ
仁美「あ……!そ、そういえばこの前……深夜に携帯に電話があったような……寝ぼけてて明確には……」
翠星石「な、ななな何て薄情な……!……仕方ねーですけどお前をこのローゼンメイデン第三ドール。翠星石のマスターにしてやるですぅ」
翠星石「翠星石は姉妹の中で一番物静かで容姿端麗頭脳明晰ですから、光栄に思うがいいです」
仁美「はあ……」
翠星石「ところでワカメ人間。お前の名はなんですか?」
仁美「…………」ジド…
翠星石「……そ、そんな怖い顔することないじゃないですか」プルプル
仁美「私は志筑仁美と申しますわ」
翠星石「ひ、仁美ですね。お、覚えてやるですぅ」
翠星石「な、何にしてもこれからは翠星石のマスターとしてキビキビシャキシャキしてもらうですよ」
仁美「……はい?」
翠星石「うーん……やっぱ一から説明しないといけないようですね。取りあえず契約です契約」
仁美「契約……そんな……私達会ったばかりじゃないですか……」モジモジ
翠星石「何を照れているのかはわかりませんが……別に契約は今でなくてもいいですよ」
翠星石「翠星石にはやることがあるですぅ。取りあえず大きな鏡を貸しやがれですぅ」
仁美「え、えっと……」
仁美「……こちらでどうでしょうか」
翠星石「上等な姿見です」
仁美「あの……何をなさるおつもりで?」
翠星石「nのフィールドに行ってくるです」
仁美「えぬの……?」
翠星石「それっ」ピョン
トプン
仁美「え!?か、鏡の中に……入って……」
仁美「……これは夢なのでしょうか」
仁美「そうですわ。夢ですわ。少し寝ましょう。そうしましょう」ポフン
仁美「くー……」スヤァ
翠星石「あ、そうでした」ニュッ
仁美「ひゃあ!」ガバッ
翠星石「鏡に布をかけるとかして塞がないようにするですよ」
仁美「は、はあ……」
――nのフィールド
「うーん……」
蒼星石「確かにここは、紛れもなくnのフィールドだ……扉も散在しているし、雰囲気も相違ない」キョロキョロ
蒼星石「だけど……何となくわかる。……やっぱりだ。やっぱりこの世界は……」
「蒼星石ィッ!!」
ダキッ
蒼星石「うわっ、びっくりした」
翠星石「良かったですぅ~……やっと会えましたです……」スリスリ
蒼星石「う、うん。そうだね。僕も会えて嬉しいよ翠星石」
翠星石「ところで蒼星石。この世界は……」
蒼星石「うん。やっぱり、僕達の知っている世界とは違う」
翠星石「雪華綺晶……の影響でしょうか」
蒼星石「雪華綺晶の世界……というわけでもないようだよ。本当の意味での異世界さ」
翠星石「翠星石は目覚めたばっかりだから何とも言えませんですぅ。とにかく他の姉妹と合流するです」
蒼星石「真紅と金糸雀はマミという人の所にいて、水銀燈はどこかにいる。これで全員目覚めていることになるよ」
翠星石「翠星石が目覚めたのが最後ですか……なんか癪です。今はマミという人間の元へ行けばいいのですね」
蒼星石「やあ」
翠星石「です」
真紅「あら」
金糸雀「あ」
杏子「お」
マミ「キタ━━(゚∀゚)━━ !!」
――翌日
まどか「帰り道で杏子ちゃんに会ったよ」
まどか「ほむらちゃんと帰りたかったけど、忽然といなくなってたよ」
まどか「それにしても相変わらずほむらちゃんとマミさんの仲が険悪すぎて困るよぉ」
杏子「そうだな。でもそれは本人同士の問題だ。ロッキー食うかい?」
まどか「だってぇ、仲良くしてもらいたいんだもん!」ポリポリ
杏子「ほむらは知らんが、まずマミにその気がないんだよ。何せマミが大好きなキュゥべえをぶち殺そうとしてたんだから」
杏子「それどころか昨夜はローゼンメイデンが二体も現れたんだ。てんやわんやで敵視してる奴と仲良くなんて余裕は今はない」
まどか「うん……まさか仁美ちゃんもあの指輪してただなんて……翠星石ちゃんだったっけ?」
まどか「契約自体はまだしてないみたいだけど、何かビックリし慣れちゃったよ」
杏子「……ま、まあとにかく。魔法少女同士ってんならあたしとほむらはそれなりに仲がいいし、それでいいんじゃね?」
まどか「そういえば杏子ちゃんはほむらちゃんと仲いいよね」
杏子「色々あってな。なんやかんやで仲良くして貰ってるよ。愛想は悪いがな」
杏子(……結局あいつも使い魔は倒す派だったけど、なんやかんやで一緒にいて結構楽しいし、それでもいいかなと思えてきている)
まどか「ほむらちゃんと仲良し……。それは、とっても羨ましいなって」
まどか「何にしても杏子ちゃんと仲がいいなら保護者的ポジションのマミさんともほむらちゃんと……!」
杏子「何が保護者か」
杏子「んー、それをあたしに言ってもなあ」
まどか「杏子ちゃんもマミさんとほむらちゃん。仲良くしてもらいたくない?」
杏子「ん~……別に?ほむらと仲がいいってことは隠してるからな。下手したら飯がなくな……」
マミ「へ~そう。佐倉さんが暁美さんとね~」ジトー
まどか「あ」
杏子「げ」
マミ「そうなのね……佐倉さんは暁美さんの味方なのね~ふぅんそ~。そんな隠し事をね~」チラッチラッ
杏子(うわクッソ面倒くせぇ)
マミ「そんなに仲がいいなら暁美さんの家で世話になればいいんじゃない。一人暮らしらしいし」チラチラ
まどか「そ、そんなぁ。二人の問題なのに杏子ちゃんを巻き込むなんて可哀想です」
マミ「あのね鹿目さん。私達は魔法少女なの。共闘か競争か……。ぎくしゃくしてたら命に関わるわ」
まどか「で、でもそれは育児放棄していい理由には……」
杏子「おいこら待て育児て何だ」
杏子「……まあ、バレちまったら仕方ねぇ。マミがそういうならほむらんちに世話になろうかね」
まどか「えっ、ほむらちゃんちにお泊まり?いいなあ」
杏子「おいおい」
マミ「……ふ、ふ、ふ~んだ!結局ご飯さえあれば誰でもいいのね!佐倉さんは!」ツーン
杏子「うん」
マミ「ひどい」シュン
杏子(面倒くせええええ)
マミ「いいもん。美樹さんと志筑さんは家庭の都合上、蒼星石ちゃんと翠星石ちゃんのご飯は私が用意することになったんだもん」
マミ「ドールが四人もいるもん。佐倉さんがいなくてもキュゥべえ含めて六人。大所帯だもんっ。寂しくないもん」
杏子(マミ以外人外じゃねぇか……)
杏子「あー……もう、冗談だって。あたしがほむらの家には世話になれない事情ってのがあるからさ」
まどか「そうなんだ……」
杏子「何せあの真紅もセットになりかねんからな。よっぽどのことがない限り真紅の世話なんてやってられねーだろうよ」
マミ「やっぱり佐倉さんには私がいないといけないのね!うふふふふ」
杏子「うぜぇ」
「やっほぉ~~い」
「ほいほ~い」
まどか「はっ、この声は……!」
杏子「話がよじれそうなやつが来たぞ」
さやか「さやかちゃん見参んんんん!」バーン
マミ「あら美樹さん。元気ね」
さやか「あ、どうも。皆さんお揃いで」フフーン
杏子「ずいぶんご機嫌だなおい」
さやか「そうかなぁ?ふっふーん♪」
まどか「あれ?さやかちゃん、確か病院に行ってたんじゃ……」
さやか「そうなんだよ!大ニュースなんだよまどか!」ブンブン
杏子「うるさいうるさい」
さやか「聞きたい?杏子聞きたい?」
杏子「別に」
さやか「聞いてよぉ……」シュン
さやか「実は、恭介の腕が治ったんだよ!」
まどか「な、何だってー!」
杏子「あ?誰だよ?」
まどか「さやかちゃんの幼なじみで、入院してて腕がどーたらこーたら」
マミ「あら、それはおめでたいわね」
さやか「それで、明日、みんなで病院に行きませんか!?」
マミ「え?私達も?」
さやか「はい!恭介は早速練習してて、明日にでも演奏をみんなに聴かせたいって!」
杏子「えーめんどい」
すいません。妙なタイミングですが少し休ませていただきます。
落ちないようになるべく急いで用事を済ませたいと思う次第です。
さやか「あの、実は、恭介に蒼星石のことを知られちゃったの。それで、恭介がローゼンメイデンのみんなも是非って!」
さやか「少なくともあたしと仁美は行きますよ!あたしが蒼星石も。蒼星石が来るなら双子である翠星石も来るはずです!」
マミ「そうね。金糸雀ちゃん達に聞いてみるわ」
まどか「ほむらちゃんも誘わないとね!」
マミ「……」
さやか「マミさん……まどかは一緒の時間が増えれば自然と仲良くなるって思ってるんです……」
さやか「それで、転校生なんだけどさ……実は来る途中で会ってさ」
さやか『お、転校生!明日の放課後暇かい?』
ほむら『ごめんなさい。外せない用事があるの』
さやか『どうしても?』
ほむら『人の生死が関わってるわ』
さやか『お、おおぅ……』
さやか「――とまあ何と言いますか、残念ながら転校生は明日欠席」
まどか「そっか……」
ただいま
杏子「何をそんなに残念がってんだ?気になるのか?」
まどか「あ!いや、そうじゃなくて……!あの、ほむらちゃんに上条君のこと紹介してないと思うから……」
さやか「あー、うん。転校生は恭介のことよく知らないし、紹介したくはあったけど……用事があるなら仕方ない」
さやか「ただ、恭介は是非ローゼンメイデンに会いたいって行ってたし、せめて蒼星石達は紹介したくて!」
まどか「私も翠星石ちゃんに会ってみたいなって」
さやか「……と、いうことで明日は病院にローゼンメイデン連れて集合!」
マミ「ええ。魔女でも出ない限りは行かせてもらうわ」
杏子「仕方ないな……。今更だが仁美って誰だよ」
さやか「そこでそれ言う?」
――病室(次の日)
仁美「あ、皆さん、ごきげんよう」
まどか「あ、仁美ちゃんっ」
恭介「やあ、みんな。……そちらの人達がさやかのお友達かい」
マミ「三年生の巴マミです。初めまして上条君」
杏子「佐倉杏子」
恭介「そして彼女達がローゼンメイデン……。僕はさやかの幼なじみの上条恭介です」
真紅「二女から五女なのだわ」
仁美「私も初にお目に掛かります翠星石のマスターの……」
翠星石「あ、まだ契約してないですよ」
仁美「あら?そうだったんでしたの?」
翠星石「そうですぅ。ところで渡した指輪は?」
仁美「机の中ですわ」
翠星石「……」
真紅「しかし杏子の運び方はとても揺れるから気分が悪かったのだわ」
杏子「そうかよ」
さやか「にしても全く恭介め。動くようになったなら真っ先に連絡をよこせってのに。あたしが見舞いに来てなかったら……」ブツブツ
仁美「忘れる程テンションが上がってたんですわね……」
翠星石「よっぽどのバイオリン馬鹿なのですね」
蒼星石「その言い方はどうかと思うよ翠星石」
まどか「賑やかだよ~」
上条「いや本当に。こんなに賑やかな病室は初めてだよ」
上条「お医者さんもびっくりしてたよ……。何せ、昨日、目が覚めてから、指一本動かなかった腕が動くようになってんだ……。全員口々に言ってたよ。奇跡だって」
上条「それで、早速バイオリンを弾きたくて……すぐに用意して貰ったんだ。色んな検査の合間合間に、屋上と病室で演奏することを特別に許可してくれたんだ」
マミ「気前のいい病院ね」
上条「感覚は全く衰えていなかったよ……。ブランクなんて関係なかったよ」
上条「そして今日、こんなに多くのローゼンメイデンとそのマスターに来て貰った。本当に嬉しいよ」
まどか(マスターじゃないけど私もいるよ!)
さやか(恭介すごい生き生きしてるなあ)
上条「これがローゼンメイデンか……さやかからその話を聞いた時はトチ狂ったかと思ったものだよ」
さやか「おいこら」
仁美「仕方ありませんわ。ローゼンメイデンだなんて、突拍子がなさすぎますわ」
杏子「昨日まで動かなかった腕が動くのも突拍子のない話だがな」
上条「まだ足は動かないから、寝たままの演奏で失礼するよ」
上条「それじゃ、演奏する曲は……手始めに葉加瀬次郎あたりで」
さやか「手始めでそれはまさか過ぎる」
金糸雀「お手並み拝見かしら」
~♪ ~♪
真紅「いい音色ね」
さやか「でしょでしょ?」フフーン
上条「腕が動くようになった時のこと、もう少し細かく話していいかな」
翠星石「喋りながら弾けるもんならどうぞです」
上条「……実は、昨日、夢の中で天使に会ったんだ」
まどか「天使?」
上条「そう……何だか変な話だけど、すごい綺麗な天使が夢の中に現れてね」
上条「にこりと微笑んで僕の腕を撫でてくれたんだ」
杏子「なにこいつキモい」
さやか「杏子、屋上」
上条「そしたら『力になります』みたいなことを言ったんだ」
仁美「何だかロマンチックな夢ですわ……」
上条「そして、目が覚めたら腕が動くようになっていたんだ……」
金糸雀「わけがわからないのかしら」
上条「まさに奇跡だよ。魔法のようだよ……」
上条「僕は、夢の中の白い薔薇に囲まれた美しい景色を、一生忘れないだろう」
蒼星石「白い薔薇……!?」
真紅「ちょ、ちょっと!今……なん……て……」フラッ
上条「まさに奇跡だよ……魔法だよ……」
ユラッ
翠星石「まさ……か……き……」クラッ
マミ「あ、あれ……何だか……眠く……」
金糸雀「うーん、腕が治るまでのブランクを考慮してもまだまだ旋律が甘いかし……グゥ」
まどか「むにゃ……」
蒼星石「こ、これは……夢の……」
パタリ…
ほむら「昨日は美樹さやかに暇を聞かれたけど、今日はあの日……」ゴクリ
ほむら「……巴マミの首の有無がかかった菓子魔女の日!」
ほむら「何やらみんなで出かけるようだったけど……ちょっと寂しいだなんて思ってないわ」
ほむら「……さて、と。今までの時間軸で言えば、お菓子の魔女が現れる時間まで少しある」
ほむら「少しだけ、そこのベンチで休もうかしら……」ヨッコイショ
ほむら「水銀燈は普段何に力を使って私に疲労感を与えているのかしら。無益なことだったら容赦しないわ」
クー
ほむら「う……お腹が鳴っちゃったわ///」
ほむら「少し小腹が空いたわね。コンビニで何か買って食べようかしら。でもお金の無駄遣いはしたくない」
ほむら「こんな時は、盾に入れておいた非常食。栄養補助食品だわ。……結果的にはお金使うけど」ホムホム
チカッチカッ
ほむら「チーズ味は至高……んむ?」
人工精霊「……!……!」チカッチカッ
ほむら「メイメイ?……いや、色が違う」
ほむら「えっと……確か、由衣…じゃなかった。ホーリエ、よね?」
ホーリエ「!」クルクル
ほむら「そう。確か真紅の人工精霊……。それで、何か用?」
ホーリエ「……!……!」スィー
ほむら「ちょっと、どこへいく気?まさか、ついてこいとでも言うの?」
ホーリエ「……!」クルクル
ほむら「……わかったわ。でもその前に口の中がパッサパサだから水を……」ングング
ホーリエ「……」
ほむら「……で、やはりこの病院に来るのね。……でも早すぎるわ」タッタッタ
ホーリエ「?」クルクル
ほむら「何でもないわ。ホーリエ。ただ、ちょっと待っててくれる?」キョロキョロ
ほむら「……変ね。いつもの時間軸では確かこの辺りにグリーフシードがあったはずなのだけれど……。キュゥべえもいないみたいね」
ほむら(確かまどか達が来ていたはずだわ……。まさか、予定よりも早く孵化して……?)
ホーリエ「……!」フワァーッ
ほむら「急いでいるのね。寄り道して悪かったわ。……上ね。……大丈夫。外壁くらい上れるわ」ヘンシン
ほむら「ここは……上条恭介の病室?それに……」
水銀燈「スー…スー…」
ほむら「……」ツンツン
水銀燈「……んゅ……ほむらぁ?……あら?私ってばいつの間に居眠りしてたのかしら。鞄の中でもないのに寝てたの?私ぃ?」
ほむら「水銀燈。何てとこで寝ているの。病院の外壁に座って、カラスみたいよ」
水銀燈「飛び回ってたら音楽が聞こえてきたものだから、ここで聴いてたのよ。そしたら居眠りをしてたようね……。って誰がカラスよ」
ほむら「音楽……?誰もいないわよ?取りあえず開いてる窓から入りましょう」ヒョイ
ホーリエ「……!」クルクル
水銀燈「あらぁ?変ねぇ。この部屋には確か結構な人数いたはずよ?この目でチラ見したもの」
ほむら「上条恭介までいないわ……。その代わり、ベッドの上に……靄のようなものが……」
水銀燈「あれは夢への扉ね……」
ほむら「何ですって?」
水銀燈「言葉の通りよ。……その割にはいつもより澱んでいるわね」
ほむら「これは……妙だけど、魔女の結界に似ている……!」
水銀燈「魔女の結界ぃ?……ということはまたあの薔薇園のグロテスクなのがいるわけぇ?やだぁ~」
ホーリエ「……!」ヒューン
ほむら「ホーリエ。……そう。あの中にみんないるのね?今行くわっ」スッ
水銀燈「あっ、待ってぇ」スッ
――魔女の結界
マミ「私達、いつの間に魔女の結界にきていたのかしら……」
まどか「う、うぅ~ん……」
杏子「おぉ……すげぇ……お菓子で出来ている……ゴクリ」
マミ「食べちゃだめよ」
杏子「ギクッ……や、やだなぁ、食うわけないだろ!」
真紅「差詰めお菓子の魔女といったところかしら」
杏子(でも……そこのクリームだけ……ちょっと舐めるくらい……)ヒョイ
チクッ
杏子「痛っ!」
杏子「クリームの中に異物が!何か刺さった!」
まどか「な、舐めようとしたんだね……」
さやか「何だバカか」
杏子「んだと青二才!」
さやか「意味知らないだろ!絶対カラーリングで言っただろそれ!」
マミ「喧嘩しないの!」
翠星石「気を付けるですよ!魔女とお菓子と言えば迷い込んだ人間を誘い込んでじっくりコトコト調理して喰いやがるです!」
蒼星石「絵本の話だね」
さやか「頭の触覚から光線出して人間をチョコやクッキーにするのもあるよね」
まどか「それは魔女じゃ……、あ、でもこっちの魔女ならあり得るかな……」
金糸雀「漫才してないでどういうことなのかどうしてこうなったかしら!」
蒼星石「僕は上条君の演奏を聴いている内にうたた寝しちゃった……ってことまでは覚えているけど……」
真紅「右に同じなのだわ」
さやか「恭介のスタンドかな」
金糸雀「漫才してないでどういうことなのかどうしてこうなったかしら!」
蒼星石「僕は上条君の演奏を聴いている内にうたた寝しちゃった……ってことまでは覚えているけど……」
マミ「何故か全員うたた寝しちゃって、その内に偶々近くにあったグリーフシードが孵化した……?」
真紅「いいえ。少し違うわ。そこをご覧なさい」
まどか「あ!仁美ちゃんが倒れてる!……あ、寝てる」
仁美「……んぅ」スヤスヤ
さやか「あれ?そういえば恭介はどこ……?」
マミ「……まさか!」
真紅「そう、偶々寝てた、なんてのはあり得ない話よ。上条という人間が仕掛けた罠か、彼自身が疑似餌だったと考えるのが自然」
まどか「魔女が上条君を利用したの……?」
真紅「かもね」
さやか「恭介のスタn……えぇっ!?恭介がルアーに?!ホワィ?何故!?」
杏子「あの坊やがルアーだったら、さやかはすぐに釣れそうだな」
さやか「さやかちゃんは魚類じゃありません!」
真紅(魔女なんかじゃないわ……そんなことするのはあの子しか……)
薔薇水省の者ですが
彼女の出番について解答を頂きたい所存
/ 「fトォ ゞ!|´⌒ヽノ `ヽ
/ ,朴_二_ノ / / /  ̄ 'ヽ \
. // 〃`--、ヽ , / / / l/ ー-- イ ヽノヽ__,..‐ 、
// // γ_j l/l/ / / / ゝニニノ Vー 、 !
// // / /`^.ィ / / /l ,' !/! | ! | ! ヽ { (ftト} l'^ヽ
// '/ ,ノ_j / / '/ | | l! ! ! // l! | ! ゞーイ| | |
// !|!| /イ// /l |! ' | l! | | // / ノ | 乂ノ ! !
イ! |l |!(( |!'' /! | __ _)) | l ' l! l// /, イ ,. | ( ヾ ! !
/ ! |l | |,.>',ニ_ヽム'~l!'´|i!| !/,/ // /,ハl / | ノ | ''
' | ハ ヽ/ | Vrォゝl!ヽi| 'l!|/‐/-/ 、//! , / ! | / / |/
' | | |!∨ ハ ゞしjイ! ヾリ!//'_/_//, \/ /!/ / !/ / / l
/ , | ハ| { lヘゝ二ノ 〃,. ‐/メノ\ , ,イ/ / / !
r‐-、 ,...,, / ハ ゝニ、、 l:::し::j j|ノイ / ' / / / !
:i! i! |: : i! / . ヘ `冖'' `ー ' '' レ' / / / / l
! i!. | ;|! / ハ ヽ __ イ/ / / / // |
i! ヽ | ||! γフ\ // / /|/ / / |
ゝ `-! :|ノヽ!ヽ 「ヽ!\ __ イ! / .イ / / ,イ| |
r'"~`ヾ、 i___ `ーj V ノ ̄ノ、j ̄!._ ノ レ' / | ノ´| / | |
,.ゝ、 r'""`ヽ、i 〆 , イ / `ーγ" / , ' ,. イ|γ´ _| | |
!、 `ヽ、ー、 ヽ⌒j r-ノヽ,イ '´ ' イ /ーハ ´ ヽl!| |
| \ i:" ) |( _ノーv / / \ ,| !' ノ ヽ' \_ |
>>233 残念ながら……
マミ「取りあえず奥へ進みましょう。私が先頭を歩くわ。佐倉さんは志筑さんを背負ってあげて。ローゼンメイデンのみんなは使い魔に気を付けながら鹿目さんと美樹さんをお願い。使い魔はなるべく私が相手するわ」
さやか「さすがマミさん。頼りになるなあ」
翠星石「任されたですぅ……あ、でも私契約してないから力が使えないです……」
まどか「そういうものなの?」
翠星石「はいですぅ。契約していないと現実の世界では媒介の力がないと如雨露が出せな……あ、出せたです」パァッ
まどか「えぇー……」
真紅「魔女の結界というものがnのフィールドに似てるからかしら」
蒼星石「都合がいいね。でもゼンマイが切れやすくなるには変わらないから、なるべく使わないようにね」
翠星石「はいですぅ。マミに基本全部丸投げですぅ。頼りにするですよ~」
マミ「……うふふ」
蒼星石「途中使い魔と呼ばれる生き物のような何かに襲われたけど、僕の鋏でなぎ払ったり」
金糸雀「カナのバイオリンで吹き飛したりしている内に最奥っぽいとこに来たかしら」
さやか「ローゼンメイデンってほんとに人の力を使うんだね。指輪が温かくていかにもって感じだよ」
マミ「さあ、気を引き締めて。いよいよ魔女とご対面よ」
魔女「……」モッモッ
マミ「……あれが、魔女ね。お菓子を食べてるわ……。呑気ね」
真紅「あら、いつぞやと違ってぬいぐるみみたいなかわいらしい魔女ね」
翠星石「しっかし脚の長いテーブルと椅子です!首が痛いですぅ」
杏子「で、あの弱そうなのが魔女としてさ……魔女の向かいに座ってるのは……何だ?いや、誰だ?」
さやか「……恭介だ!?なんで恭介が魔女とお茶会してるのさ!?」
金糸雀「落ち着いて!よく見て!仁美同様、眠っているだけかしら!」
マミ「一般人を巻き込むなんていただけない魔女ね……!」
まどか「ね、ねえ……上条君の膝に、何かいない……?」
マミ「あら、確かに。……白い……人形?」
雪華綺晶「ウフ……」ピョイ
金糸雀「雪華綺晶が魔女から離れたかしら!」
真紅「金糸雀、目を離しちゃだめよ。貴女はマミのとこで雪華綺晶の動きを観察よ。妙な動きをしたら攻撃なさい」
魔女「……」コロッ
マミ「一般人が巻き込まれてるとあれば、お友達であっても速攻で決めさせてもらうわ」ゲシッ
マミ「私は魔女を引き離すから、佐倉さんは彼をお願い!真紅ちゃん達は鹿目さん達をお願いね!」ダッ
杏子「お、おう!」 真紅「ええっ」
マミ(ああ……これよ……こうやってみんなに指示する感覚……私がリーダー……うふふ)
杏子「よっと」ヒュッ
使い魔「チョコレートーワーメーイージー」
杏子「チッ、邪魔だ!どけ!」ザシュッ
杏子「よっ、助けに来たぜ。大丈夫か?……ってそうか、寝てんのか」
上条「」
杏子「何だぁ?茨がグルグル巻きだなぁ……。解くのもめんどいし、椅子ごと持っていくか」バキッ
杏子「っと、ほれ、椅子ごと連れてきたぜ。無事……だと思う。取りあえずこの物陰に……仁美の隣でいいか」ズリズリ
さやか「恭介!ケガしてんじゃん!」タタッ
杏子「茨が巻き付いてたからな。棘が刺さってんだよ」
まどか「で、でもどうしよう。すごいきつく巻き付かれて……解こうとしたら絶対に痛いよ……」
蒼星石「ちょっとごめんよ。……僕の庭師の鋏で、この茨を切るね」チョキチョキ
杏子「よし、じゃああたしはマミの援護に――」
真紅「ローズテイル!」バシッ
翠星石「ガンバレ真紅ぅ!ファイトですぅ!」ブンブン
杏子「と、言いたいとこだが真紅一人で使い魔の相手はチトきついか。ちょいと使い魔退治といきますかね」
金糸雀「雪華綺晶はさっきからあんなとこに座り込んで何をしているのかしら?」
マミ(佐倉さん、ローゼンメイデン、そしていつか魔法少女になる後輩二人…!)
マミ(体が軽い……こんな気持ちで戦えるなんて、いつぶりかしら!)
マミ(小さいからよく吹き飛ぶわね。ここまで距離をとれば巻き込まないでしょう……それでは)
マミ「ティロ・フィナーレ!」
バシュン!
魔女「――!」
ドスン
金糸雀「やったかしら!大技が決まったかし……あら?」
金糸雀「……アアッ?!」
金糸雀「あ、あそこにいるのは……、いや、あるのは……私が今まで雪華綺晶と思って監視していたのが……雪華綺晶じゃないかしら!!」
マミ「もう一発いくわよ……」シュル
金糸雀「まずったかしら!雪華綺晶そっくりの砂糖菓子だったわ!雪華綺晶を見失ったかしら!」キョロキョロ
マミ(もう、何も怖くない!勝った!これで終わ――)
魔女「……」プクゥ…
金糸雀「……ッ!マミ!」
マミ「え?……キャッ!」
ニュルンッ
魔女(第二形態)「……」
マミ「な、なにあれ……」
魔女(第二形態)「……」キョロキョロ
金糸雀「ひっ……な、何か出てきたのかしら」
マミ「あ、あんなのが……さっきの小さい体から出てきたの……?明らかにサイズがおかしいじゃない……」
マミ(か、完全に油断していたわ……もし、あの黒い恵方巻のお化けみたいな魔女が、そのまま私に攻撃してきてたら……)ゾクッ
マミ(それにしても、何をしているの?何で攻撃しないの?何かを……、探している……?)
魔女(第二形態)「……!」
グゥーン
マミ「え!?ど、どこへ行っちゃうの!?」
金糸雀「あ、あっちの方角は……!ピチカートッ!終わりのない追走!」
マミ「な、何で私を無視して……向こ……あ!あっちの方向は……!」
金糸雀(ダメ、ま、間に合わな……)
ガブッ
マミ「あ……」
金糸雀「え……」
杏子「よし、そろそろ後はあんたらに任せるとして、マミの加勢にい……くぜッ?!」グイッ
杏子「……なっ!?」
杏子「あ、あたしの腕にも……茨が巻き付いて……!」
杏子(さ、さっきクリームを舐めようとした時についた傷から……茨が生えてきてる……?!)シュルシュル
杏子「や、やべぇ!きめぇ!いてぇ!い、茨があたしの腕がキャンディに巻き付いて……動けねぇ!」
まどか「杏子ちゃん!」
蒼星石「き、君の腕にもかい?!今切るよ!」
真紅「金糸雀は雪華綺晶の監視、杏子は捕縛、マミは魔女と戦闘中……。襲ってくる使い魔を倒すのに私と契約をしていない翠星石とでは荷が重いわ……!」
杏子「い、急いでくれ!棘が腕に食い込んできてる!」
真紅「翠星石!ゼンマイが切れないギリギリまで力を使うのよ!」
翠星石「わ、わかったですぅ!」
マミ「……キャッ!」
真紅「あれは……マミの声!?」
杏子「……な、何だァこいつァ?!」
魔女(第二形態)「――!」
翠星石「ナメクジピエロみたいなのがこっちに見てるですぅ!」
蒼星石「まさか杏子を狙ってる……!?」
さやか「マ、マミさんがやられたの!?」
まどか「マミさんは……ぶ、無事みたいだよ!」
真紅(動揺しているマミを差し置いてこっちを狙う理由……。何故?)
真紅(あの魔女の視線の先をよく見るのよ……視線の先にいるのは誰?)
真紅(そこに……いる……のは……)
真紅「まどかッ!!」
まどか「へっ?!」
真紅「そこは危ないわ!離れてっ!」
まどか「えっ!?……あ、わわッ!?」
シュルル
まどか「な、こ、これって……!」
翠星石「雪華綺晶の茨が、まどかの体を縛った!?」
こんな時に居眠りしてしまってた……。保守本格的に感謝です。
杏子「くそっ!何でまどかに!?」
ギリッ……
まどか「い、痛……!か、体が締めつけられ……」
ギゥギゥ……
翠星石「スィドリー……す、翠星石の如雨露にも茨が!」
杏子「もがけばもがくほど棘が食い込みやがる……!早く何とかしてくれ!」グィグィ
蒼星石「くっ、僕の鋏も茨が絡まって……!さっき上条君から切り落とした茨が……伸びてきて……!」
真紅(私の足にまで……!)
まどか「い、痛いよぉ……!い、茨がどんどんと……」
ギリギリ…
魔女(第二形態)「――」グゥゥーン
真紅「魔女が来――は、早いわ!」
さやか「ど、どうし、よ……し、親友が、ヤ、ヤバイって、のに……こ、腰が、抜け、ちゃっ……」ガクガク
魔女(第二形態)「――」ズイッ
まどか(え、魔女が…わたしの目の前に……?……え?)
魔女(第二形態)「……」
グパァ
雪華綺晶 in 魔女「ごきげんよう」
真紅(ま、魔女の口の中に雪華綺晶が……!?)
まどか(え……何でさっきのお人形が、魔女の口の中にいるの……?)
真紅(ローズテイルッ!)バッ
雪華綺晶 in 魔女「いただきます……」ズ…
まどか(いただきます……?)
まどか(あれ……?これってわたし、食べられちゃう……?)
真紅(……だ、だめ、このままでは……!)
さやか「ま、まどかアアァッ!!」
まどか(……わたし、死んじゃうの?)
ガツッ
マミ「――ッ!」
マミ「い……い……」
マミ「いやああぁぁ……ッ!」ガクッ
金糸雀「あ……あわわ……」
マミ「か、鹿目、さ、が……鹿目さん、が……わ、私……かな……」ガクガク
金糸雀「マッ、マミッ!お、おおちおちおちち落ち着いててっ……!」
マミ「か、かなっ……わたっ……私が……鹿目さん……巻き込ん……から……」ブルブル
マミ「私のせいで……鹿目さんが……」ガクッ
さやか「……え?嘘……だよね」プルプル
翠星石「……ま、まどかが、食べられ……」
杏子「くそ……!こんなことって……!」ワナワナ
蒼星石「……ん?」
蒼星石「ま、待って!いつの間にか茨が切れてるよ……」
翠星石「あ、そういえば……それに……辺りに羽根が散らばって……。黒い羽根……!?」
ごめん、また少し席を外す。なるべく急いで戻ってきます…
: : : /: /.:.:.:.〆:.:.:.:.:.イr ゝ=ノ ゝ==ノゝ=.イ「 __ 》ーく\\:.ヽ
: : / :/:.:. 〃:.:.∠))ニイ : : : ′: : : : : : : : ::`T: :T K V_) )ゝー_‐ 、
:/: /:.:.:./:. イ 「 ¨:.:: : : : :¦: : : :.¦: : : : : :|: : : : : ゝ,ニ、Y´1 ( \ヽ
: : : :/:.:.:.:.:./_ノノ: : |: : : : : . |: :|: : : :|:|:|: : : : :|: :¦: :| {: : : :} l |\\/ /
: : V:.:.:.:.:./|:「 : : : : |: : : : : : |: :|: : : :|:|:|!: : :i! |、:.|:..: L二二ァに二.ヽ/
: :/:.:.:.:.:/= イ : : :¦|: : : : :|:| |: : : :|:|:|!: : :l! | ! :ト、: :|イ_ イ \ \ヽ
:/:.:.:. イ l: ¦: : : :! | : : : :.|:|i:!: : : :!:!:!: : :.| :-|升 一└┬'丁 |ヽ\__) )
:.:./:.¦:!: .:! : : : :! | : : : :.|:||: : : : !:|:|イ:丁:| !: | V:.:¦:∥ |: : ト― ' -':
:/: : : イ:..!.: :!: : : : ! |: !: :..|:|:.|!: : : 从川 : !:ィニメ=z |: : | /:| /.:. :|! i /:.:.:.:.:
i!_/ イ: : : : : : : : ヾ! | : : :|:¦|!: : / / | 'イ芝少 ¦: / : イ:..:..: ト、i ′:.:.:.:.:
一;/:人!ヽ: :、 : : >:.|-一ト:!从 ,. ´ /: :ア: :l |.: : :¦!: '. _..ノ :.:.:.:.:..
:../://∧: :ヽ:\: :ヽ レ: .:ニ ゞ / イ|:.リ.: : : | |: :ハ 「 .:.:.:.:.:.:.:.:.
/ 二イ小: : : \:\:ト イ代少 / レ′ : : : : :ル' : : :i j:.:.:.:.:.:.::.:.:.::.:.
: : : : |:||: ヘ: : : ::ゝ :\ ´ 、 /: : : : : : : ト、: : : :ヽ , ' .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.
: : : : |:||: :i∧: : : : : ゝ:ミ=-__ 7 ,.イ: : : : : : : ∧ \ : : :\ / .:./ :.:: / .:.:.:.:.
: : : : |从::|: 人: : :V: : :| :へ ` _ |.:|: : : :人 _ゝ.._: _ ...>‐く .:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.
: : : : | : :|:!: : : :>‐… ⌒Y> ∠ノ::|:.| : : ′: : : : :./:.:.:.:.: ( : く :.:.:.:.:.::.:.::.:.:.
: : : : |!:.¦_ イ _ ム ⌒ヽァ ‐z - イ「冂¦:.|:.¦: ∧ミ_ __彡′:.:.:.:.:.:.:.:.::.:. :.:. ヽ:.:.:.::.:.:.:.:.:
: : : : | V´ ヽ ´ 〉 \/イ介1 ||::|:レ' : ヘ \/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: .:.:.:.:Y:´. ̄ ̄
: : /Lj 〉 イ i \ij//∧l ! |:v.:/ :/ >.´ . .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:. | :.:.::.|.:.:.:.:.:.:.::.:.:
レ′ イ ー( ゝ ._ ヽ/|:.:.乢j://. イ´ :.:.:.:.\ :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:: | :.:.:.:|:.:.:.:.::.:.:.::.
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イ_ j | {__ ) |¦ r‐ー |:r- 、く :.:.:.:.:.:.: \:.  ̄:.:.:. 一-::人 :.:.:.:.:.::.
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 ̄ },イ_ し'´ 厂  ̄ `V |:/ ヘ .:.:.:.:.:. ` :.:.:.:.:.:.::.:. ゝ:.: / :.:./
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真紅「……何とか間に合ったようだわ」
さやか「ふぇ?」
杏子「な、何にしても動けるようになったからには!覚悟しやがれ魔女てめぇ!!」ダッ
魔女「――?」パクパク
まどか「あ……ああ……わたし……死んじゃった……いやだよぉ……いやだよぉ……」ガタガタフルフル
――まどか
まどか「……誰か、わたしを、呼んでる……?ここは……天国?」
――まどか
まどか「わあ……天国だよねここ。だって、お菓子が一杯あるもぉん……」
「まどか!」
まどか「……は!……こっ!……この声は……!」
まどか「ほむらちゃん!?」
ほむら「まどか……助けに来たわ」
まどか「ほ、ほむらちゃん……どうしてここに?」
ほむら「聞くまでもないわ。それより何故あなたが魔女に襲われていたの?」スタッ
まどか「わ、わからないよ……」
ほむら「取りあえず降ろすわよ?」
まどか「……え?降ろす?」
まどか「……あっ!わ、わたしってば、ほ、ほむ、ほむらちゃんに、お、お姫様だっこされて……///」アタフタ
ほむら「……降ろすわね?」スッ
まどか「あ、うん……」シュン
ほむら「茨の束縛は解けたわね。大丈夫?まどか」
まどか「う、うん……ありが……あ!ほ、ほむらちゃん!?」
ほむら「何?」
まどか「手が傷だらけだよ!!だ、大丈夫?!」
ほむら「……ええ、茨が刺さったからかしらね。大した傷じゃあないわ」ダラダラ
まどか「そ、そんな……腕も血が滲んでる……まさか、す、素手で解いたの!?」
ほむら「まさか。アーミーナイフくらい持ってるわ。腕はまどかに絡まった茨の棘が抱えた際に刺さったもののようね」
ほむら「それよりも私の血でまどかの制服を汚してしまったわ。ほら、肩や背中にべっとり」
まどか「あ、ほんとだ……ってそんなことよりも」
まどか「ほむらちゃん……こんなケガしてまでわたしを……!」ウルウル
まどか「ほむらちゃぁん……うぅ……ひどいケガだよぉ……ひぐっ……」フルフル
ほむら「大した傷ではないってば。大丈夫よ。刺さっただけだから。……さて、散々まどかを危険な目に遭わせないと自負していた巴マミは、っと……」
まどか(ほむらちゃん怒ってる……?)
ほむら(あんなところで落ち込んじゃってなにしてるのかしら)
ほむら(テレパシー)『巴マミ。SAN値が大幅に減ったみたいになってないで合流しなさい。まだ魔女が生きているのよ』
マミ「あ……あ……?暁……美さん……?わ、わたし……」
ほむら(テレパシー)『まどかなら無事よ。だからさっさと来なさい』
マミ「え!?……か、鹿目さんが無事?!」ガバッ
マミ「……ほ、ほんとだ……生きていたのね!!」
マミ「よ、よかったぁ……」ヘナッ
金糸雀「ほむらがまどかを抱えてるわ!ヒーローみたいかしらー」
金糸雀・マミ「でも……」
金糸雀(何で水銀燈までいるのかしら……!)
マミ(暁美さんの声のトーンが怖いわ……!)ビクビク
ホーリエ「!」チカッチカッ
真紅「おかえりなさい。ホーリエ。よくほむらを誘導してくれたわ」
水銀燈「真紅ゥ~。こんなの相手にこぉんなに束になってるくせに苦戦しちゃってるのぉ~?ねぇ今どんな気持ち?どんな気持ちぃ?」ニヤニヤ
真紅「……貴女、どうしてことある毎に私がいる所にいるのかしら?ストーカー?」
水銀燈「せぇ~っかく巻き付いた茨を切ってあげたのに。ほんっとかわいくないわね」
真紅「私はほむらを人工精霊で呼び出したのであって、貴女は本来お呼びでなくてよ」
水銀燈「何よブサイク」グヌヌ
真紅「黙りなさい性悪」グヌヌ
蒼星石「えっと……取りあえず助かったのは事実だよ」
翠星石「癪ですが取りあえず礼を言うです」
水銀燈「双子の妹は割と素直ね。真紅は姉を見習いなさぁい」
真紅「フン!」
水銀燈「まあいいわ。末妹退治の見学でもしてるといいわ」
杏子「くっそ!魔女め……!何てパワーだ……ちっきしょっ!」バシッ
ほむら「杏子。後は私に任せて」スッ
杏子「ほむら……!」
ほむら「巴マミのとこへ行ってあげて」
杏子「お、おう!あ、ほむら!茨の傷口には気を付けろ!」
ほむら「ありがとう。でも心配には及ばないわ。すぐ終わる」
マミ「……佐倉さぁん」トボトボ
杏子「おいマミ!魔女がこっち来た時はやられたかと思っ……」
マミ「よかったよぉ……鹿目さんが助かって……よかったよぅ……ひぐっ……鹿目さんにもしものことがあったら……私……うえぇぇん……」プルプル
杏子「お、おいおいおい……泣くなよ……仕方ないって。誰だって魔法少女無視して一般人を襲うなんて思わないって。……ほれっ」ポイ
マミ「え……?グリーフシード……?」パシッ
杏子「何かほむらが渡せって……ってマミのソウルジェムめっちゃ黒いな!」
マミ(ほ、ほんとだ……。…………暁美さん、それも見越して……)
杏子「えーっと……それはさておき、水銀燈もいるのはどして?」
金糸雀「それはわからないわ。……とにかく今は目の前の敵を何とかしないと!」
さやか「まどかァーーーーーー!」ダダダダダ
まどか「わわっ!さやかちゃん!」
さやか「無事でよがっだあ゙ぁぁーーーー!!」ギュゥー
まどか「ちょ、さやかちゃん……ちょ、強っ!茨とは別に痛いよさやかちゃん!」
さやか「って制服血まみれじゃないかまどかァーー!」アタフタ
まどか「こ、これはほむらちゃんの血だよ」
さやか「この言葉だけ聞いたらすげー怖いんですけど」
ほむら「お菓子の魔女……」
水銀燈「頭がジャンクな白薔薇の末妹もいてよぉ」
雪華綺晶 in 魔女「黒薔薇のお姉様……ごきげんよう。……紹介しますわ。こちらは私のお友達。名はシャルロッテ……」グパァ
ほむら「こいつが末妹、雪華綺晶……。魔女の口内に取り憑くなんてまるでタイノエね」ファサ
水銀燈「こんなどブサイクな魔女を取り入れようだなんてホンット、悪趣味ぃ」
ほむら(……普段の時間軸ではマミと戦いマミを食そうとしてきた。しかしわざわざ離れた位置のまどかを襲った……。そう考えると確かに魔女の行動を操って……魔女を取り入れているようにも見えるわ……)
ほむら(何故戦っていたはずのマミよりもまどかを襲った?あの魔女と戦っていたのが最初から杏子で、その側にまどかがいたから襲われたというのならわかるけど……)
ほむら「……水銀燈。魔女を倒すに至って、中にいる妹も巻き込むかもしれないわ」
水銀燈「どうぞぉ♪」
ほむら「そうさせてもらうわ……。早急に終わらせる」
真紅「気を付けてほむら。雪華綺晶はこの結界内、自由に茨を生やし、束縛するのだわ」
ほむら「ご忠告ありがとう。でも、それまでもないわ」
ほむら「さ、悪食の魔女には苦い薬を飲んでもらう」
カチッ
ほむら「私のお手製C4爆弾よ。じっくり味わいなさい」ポイポイ
ほむら「そして時は動き出す……」
ドガァァァァン
魔女「!」
翠星石「ま、魔女が丸ごと爆発したですぅ!?」
杏子「あの一瞬で……何をしやがったんだ」
真紅「……時間を止めたようね。さらにあの盾から武器を取りだしている」
さやか「四次元ポケット+ザ・ワールドだなんて……チートかよっての」
「ああ…私のお友達が……」
マミ「……」
杏子「おい!キラ何とかの声がするぞ!?」
蒼星石「どうやらすんでの所で魔女の中から逃げ出したみたいだね」
水銀燈「言うにことかいて友達ですってぇ?ちゃっかり逃げ出しといて白々しいわよ。所詮は寄生虫のジャンクね」
「口惜しい……口惜しい……口…し……」スゥ…
真紅「あの子……」ボソッ
さやか「?」
金糸雀「雪華綺晶は逃したけど、魔女は倒せたかしら!」
杏子「おいおいおい……あの爆発で生きてるって何者だよ……」
グニャァ…
まどか「あ…空気が歪むぅ……」
――病院
マミ「……病院ね」
さやか「も、戻ってこれた……」ヘナヘナ
蒼星石「さやか、大丈夫かい。初めて力を使わせてもらったけど……無理そうなら……」
さやか「蒼星石は優しいなぁ……。大丈夫だよ。気が抜けたというか、ホッとしただけだから」
上条「スー…スー…」
仁美「バスタブニ フエルワカメヲ ヒトフクロ………ムニャ」スヤスヤ
翠星石「取りあえず堕落した貴族みたいな体制で寝ている仁美を起こすですぅ」ユサユサ
仁美「……あら?」ムクリ
まどか「おはよう。仁美ちゃん。熟睡しちゃって、お疲れだねっ」
仁美「わ、私ってば、床で寝ちゃうなんて、ど、どうしちゃったのですか!?は、はしたないですわ///」
翠星石「仁美、もう門限近いから帰るですよ」
仁美「え、……ええっ!?も、もうこんな時間ですの?!す、すみません!お先に失礼しますわ!」ダバダバ
杏子「おー慌てとる慌てとる」
さやか「それじゃ仁美、また明日ね」
仁美「ですわー!」ダバダバ
杏子「眠ったままだな」
さやか「だ、大丈夫なの?」ソワソワ
蒼星石「上条君はもうしばらく眠ったままだろうね。でも大した負傷もないし、大丈夫だよ」
真紅「ただこれだけ騒いでも起きないのは雪華綺晶の栄養にされて疲労している証拠だわ。仮宿主だった、というところかしら」
マミ「……とにかく安静ってことね」
まどか「よかった……」ホッ
マミ「…………」チラッ
まどか「……マミさん?」
マミ「あ、あの……鹿目さん……」
まどか「マミさん?」
マミ「あの……本当にごめんなさい!!」バッ
まどか「え!?ま、マミさん!?そ、そんな、頭を下げないで……」
マミ「私がいながら、鹿目さんが魔女に襲われるなんて事態に……全部私の責任だわ」フルフル
まどか「そ、そんな!責任なんて……」
マミ「でも、私、完全に油断していたの!だから……だからあんな怖い目に……」
杏子「あ、あたしも……その、何か……茨くらっちまったし……。……悪ぃ」バッ
さやか「その、あたしも……まどかを助けようと思ったのに腰が抜けて……ただ見てるだけしかできなかったし……」バッ
まどか「そ、そんな……、み、みんな頭をあげて!」
マミ「うぅ……」
真紅・蒼星石・金糸雀「私(僕・カナ)達も不甲斐なかったわ(よ・かしら)……」
水銀燈「そうね」
真紅「貴女は黙ってなさい」
ほむら「巴マミ あなたはなんて 愚かなの 仲間がいると 油断しないで」
マミ「57577で説教された!」
ほむら「お馬鹿さん 佐倉杏子の お馬鹿さん」
杏子「手抜きで怒られた!」
ほむら「美樹さやかのばーか」
さやか「ちょっ!」
ほむら「巴マミ。貴女はローゼンメイデンの力を見下しているの?」
マミ「なっ、そ、そんなことは……!」
ほむら「あの結界に雪華綺晶がいるってわかっていたでしょ?その上で雪華綺晶に対しての警戒を特にしなかったから、まどかが襲われた。襲われても何も対処できなかった……と見受けられるけど」
マミ「ううっ……その通りです」
ほむら「まどかや金糸雀達にいいとこ見せようとカッコつけようとするから慢心や油断が生じたってとこでしょう。どうせ」クドクド
ほむら「何故魔女が、もとい雪華綺晶がまどかを狙ったかはさておき、私が来なかったらどうなっていたことか。危険な目に遭わさない等と自信満々だったあなたの姿はお笑いよ」クドクド
マミ「はうぅ……ご、ごめんなさい。全部その通り……。しかもあろうことか……あなたからグリーフシードまでもらっちゃったし……」
ほむら「でも……助かってよかった」
マミ「えっ……(デレた?)」
ほむら(雪華綺晶の影響で予定より早くグリーフシードが孵化したとすれば……下手したらマミを救えなかったかもしれなかった……危ない綱渡りでもあった……)
ほむら「ま、これに懲りたらもう二度と何も怖くないとか調子乗ったこと抜かさないことね」
マミ「う……返す言葉もないわ……」
ほむら「杏子は雪華綺晶がいたとは言え何故ベテランの魔法少女が二人もついていながらこうなったのか、という意味を込めて。美樹さやかは何か謝ってたから流れで言わせてもらったわ」ファサ
杏子・さやか「「えっと……ごめん」」
水銀燈「帰っていい?」
真紅「駄目よ」
ドヨーン
まどか(く、空気が……重い……)
まどか「……あ!そ、そうだ!」
ほむら「過ぎた事は仕方な……何?まどか」
まどか「ほむらちゃん!さっきの手の怪我は?!」ニギッ
ほむら「……あ、ちょっ、まどか。これくらい大丈夫って何度も……」
ほむら「それよりも私の血がベッタリついた制服だけど……、ちゃんと弁償するわ」
まどか「そ、そんな必要ないよ!私を助けてくれたんだもん!そんな……」ウルウル
まどか「うぅ……包帯もこんなボロボ……あれ?」
まどか「……包帯の中に何か……」
ほむら「ッ!」
杏子(そういえばあいつ、ずっと左手に包帯を巻いてるな……)
真紅(…………)
ほむら「そ、それは魔法少女の方の指輪ね。気にすることはないわ。まどか。は、離してもらえる?」グイグイ
蒼星石「……魔法少女『の方』?」
ほむら「あっ」
まどか「……ほむらちゃん!」ギュウッ
真紅「ほむら。包帯を取りなさい。もう、無理よ」
ほむら「……」スッ
杏子「……おっと、妙な動きはすんなよ」ガッシ
ほむら「く……」
杏子「別に取って食いやしねえさ。包帯を取るだけさ。ほれ、まどか」
まどか「うん……」シュル…
パラッ…
ほむら「…………」
マミ「……暁美さん」
さやか「転校生……」
まどか「……ほむらちゃん。その薬指の指輪って……やっぱり……」
蒼星石・杏子・金糸雀・水銀燈「……」
真紅「やはり、貴女、水銀燈と契約して、それを覚られないためにわざわざ包帯を巻いて隠してたのね」
ほむら「やはり……というと、どこで気が付いていたの?」
真紅「質問を質問で返す不躾失礼。ホーリエが貴女をここへ導いた訳だけど、よく貴女の居場所がわかったと思わない?」
ほむら「ッ?!」
ほむら「は、背後に何か……っ」チカッ
真紅「紹介するわ。彼女はベリーベル。私の第二の人工精霊。この子には常に貴女を監視させてもらったわ」
ほむら「桃色の人工精霊……い、いつから?」
真紅「貴女と出会った後お部屋で密会した時から」
マミ「み、密会?」
真紅「貴女は隠し通せていたつもりでしょうけど、貴女が水銀燈のマスターであることは私は知ってたわ」
杏子「いつの間にお前は……」
マミ「真紅ちゃん、密会のこともだけど、暁美さんがローゼンメイデンのマスターだってこと、何で黙ってたの!?」
真紅「……あの夜のことは私だけに止めてある。他言しないと約束したからよ。……この通りマミ達にも他の姉妹にさえ黙っておいた」
真紅「これで少しでも私のことを信用してくれると嬉しいのだけれど?ほむら」
ほむら「…………水銀燈は知ってた?ベリーベル?……がいたことに」
水銀燈「まぁねぇ」
まどか「ほむらちゃん……何で、秘密にしてたの?」
さやか「そ、そうだ転校生!まどかはあんたを心配してんのに……こんな重大なことを隠すなんて!」プンスカ
ほむら「……まどかに契約するなと言っておきながら、私はちゃっかり二重契約しているなんて、格好がつかないもの……」
マミ「それだけじゃないんでしょ……?」
ほむら「……」
蒼星石「事情が……あるんだね」
真紅「格好だなんて、特別に力が強い水銀燈と契約した理由にならないわ。言ったらどうかしら?」
真紅「ベリーベルに監視させていたから、貴女が何のために行動していらのかは私にはある程度わかってる。でも今はその全ては内密にする」
真紅「貴女の口から話してあげなさい。みんな力になってくれるわ。この真紅が保証する。私は貴女の味方よ」
真紅「あと杏子は私の下僕だから貴女の味方するにあたって杏子に拒否権はないわ」
杏子「おい」
ほむら「…………戦力に……なるからよ」
マミ「……戦力?」
ほむら「……ワルプルギスの夜が……見滝原に現れる……から」
杏子「!」
マミ「!」
さやか「え?何それ」
まどか「もしかしてマミさんが前にチラッと話してた、あの伝説の……?」
杏子「……何故わかる?」
ほむら
(……どうしたものか。今、未来から来たと言って、信じてもらえるかどうか……。
仮に信じてもらったとしても何故戻ってきたのか聞かれるだろう。今それは話せない……。
真紅や水銀燈も知っているのだろうか?いや、その件ばかりは口にしていないから大丈夫……)
ほむら「……今は秘密」
杏子「手札を見せてくれたっていいだろ」
ほむら(言えるわけ……ないわ……今、巴マミは危うく絶望しかけた。こんな状況で話したら……)
マミ「……私、あなたに救われるまで、あなたのことを悪い人だと思ってた。でも……今は……その全てが演技だとしても、真紅ちゃんを買収していたとしても、暁美さんを信頼したくて仕方ないわ」
ほむら「……巴マミ」
マミ「フルネームで呼ばないでいいわよ?私、これからあなたの仲間になりたい……いえ、なるわ!」マミンッ
蒼星石「君が言いたくないことは、今でなくとも、いつか話して欲しいな。今は秘密のままでいい……僕も、できる限り協力する」
さやか「こらーっ蒼星石!マスターの私を差し置いて何を言うか!とにかく転……ほ、ほむら!さやかちゃんも胸を貸すからね!」
杏子「……あたしも見滝原が好きになったから、滅ぼされるなんてごめんだよ。それにあんたとは気が合うからな」
真紅「杏子は私の下僕だから理由どうこう関係なく……」
杏子「あーはいはい……」
金糸雀「かしらかしらー」
まどか「みんな絆があれば、大丈夫だよ!私には……そんな力はないけど、私もほむらちゃんを支えたいよ!」
水銀燈「絆……はぁ、くっさい……。まあ、利害は一致しているし、私も利用できる限りさせてもらうからぁ」
さやか「きっと仁美も事情を話せばわかってくれるよね!……魔法少女のことは素質がないっぽいからさっぱりかもだけどさ」
真紅「翠星石は……聞くまでもないわね」
ほむら「あなた達……」
ほむら「……ありがとう」コクッ
まどか「ほむらちゃん……」
QB「それで、結局どこでワルプスギルのことを知ったんだい?」
一同「!?」ザワッ
マミ「……キュゥべえ。あなた、いつから……」
QB「そうだね。君達が病室から白い茨で引きずり込まれたあたりからずっと近くで見てたね」
杏子「……ずっといたのかよ」
QB「うん。忙しそうだから黙ってたよ」
さやか「何でよ?!何でいるって言わなかったのさ」
QB「別に悪気はないよ。ベテランの魔法少女が二人もいるし、僕が説明するまでもないと思ってね」
QB「しかし雪華綺晶、か……彼女は一体何者なんだろうね」
QB「何にしても、僕も協力するよ。ほむら。一緒にワルプスギルを倒そうじゃないか」
水銀燈「目障りだわ。消えなさい。出ていかないとまたいじめるわよ」
QB「……やれやれ、わかったよ」キュップイ
ほむら「……(危うく気安く呼ぶなドグサレ淫獣野郎と口を滑らすとこだったわ)」
クー
まどか「あれ?何の音?」
マミ「佐倉さん。こういう時くらいお腹鳴らさないでよ……」
杏子「あたしじゃねぇよ」
ほむら「……私のよ」クー
さやか「え?……これって、お腹の虫?しかもほむらの?」
翠星石「空気の読めない腹の虫ですね」
ほむら「……///」クー
まどか(かわいい)
杏子「あたしもお腹減った」
――数日後の昼。学校の屋上
まどか「ほむらちゃん。さやかちゃん。仁美ちゃん。そしてマミさんとお昼ご飯を食べるよ!」
まどか「私以外全員ローゼンメイデンのマスターなもんだから、疎外感を感じるよ!」バーン
まどか「いいもん。ほむらちゃんとお弁当のおかずの交換ができるもん!」
マミ「あ、あの、クッキー焼いたんだけど、食べる?」
さやか「いいんですか!やったー!」モグモグサヤサヤ
まどか「わーい!」ハムハムマドマド
仁美「ですわー」モフモフヒトヒト
マミ「暁美さんもどう?」
ほむら「ええ、いただくわ」サクサクホムホム
マミ「ねぇ、放課後うちに寄っていかない?ケーキあるわよ」
ほむら「……私に気を使っているの?」
マミ「えっ」
ほむら「私が偉そうに説教をしたことなら気にしないで。ドールに憑かれた魔女の行動なんて、読めなくて当然なのだから。……まあ普通は警戒すると思うけど」
マミ「……と、とにかくうちに来ないかしら?手作りのマドレーヌもあるわよ」
仁美「折角のご厚意ですが……習い事ですわ」
ほむら「用事があるわ」
マミ「そう……」
さやか「あの、あたしも今日も無理です。恭介のとこに行こうかな、と」
マミ「そう……。あれから大変だったものね……。やっぱり、私達も行きましょうか?」
さやか「それには及びませんっ!」
まどか「ここんとこ毎日上条君のとこに行ってるね」
さやか「お?まどか?妬いてるのかい?ん~?」
まどか「ありえないよ!」
さやか「お、おう……そんなはっきり言われるとさやかちゃんでもちょっと傷心……」
ほむら「ふふ、残念ね」クス
まどか「あ」
さやか「お、やったね」グッ
ほむら「え?」
さやか「ついにほむらの笑顔を見れた!」
ほむら「は?」
マミ「暁美さんの笑顔が見てみたいって美樹さんボヤいてたものね」
さやか「まどかがめっちゃかわいいと豪語するほむらスマイルが見れて……余は満足じゃ」
仁美「普段クールな方ですから、とても新鮮ですわ~。鹿目さんの仰る通りの……」
ほむら「……まどか?」ジト…
まどか「ウェ、ウェヒヒ///」
真紅「――と、いうことで、学校へ行っているほむら宅を借りて、第二回、薔薇乙女会議を始めるのだわ」
真紅「第一回は私と金糸雀だけだったからろくに話せなかったけど、今回は五人なのだわ」
翠星石「イメージと違って案外生活感あるですね。ほむら宅は」
水銀燈「初めて来た時はインスタントか栄養調整食くらいしかなかったわよ。私のおかげね」
金糸雀「それにしても水銀燈ったら、結構ほむらと仲良くしてるようかしら」
真紅「私も意外だけど、どうやら取引をして平等の立場になっているようだわ」
翠星石「はーっ、あの水銀燈と対等ですか……ほえーっ」
真紅「『余計な力を使わない』『ある程度の言うことを聞く』『余計なことを言わない』というほむらの条件に対して『力』と『食事』と『鞄を時限爆弾で破壊されない権利』という条件で……」
金糸雀「え、それって脅迫……」
水銀燈「…………」
真紅「ほむらの逆鱗に触れてしまったようね」
蒼星石「えっと……これがワルプルギスの夜の資料かな」ゴソゴソ
金糸雀「勝手に漁っちゃっていいのかしら」
水銀燈「いいわよ。私達に黙って魔法少女だけで会議しようとしたんだもの。いつの間にかマミが私をどう呼ぶべきかっていう議題になってたようだけど」
真紅「その話は聞いたわ。ローゼンメイデン抜きにそういう話はどうなのかという意見が出てそうなったのよね」
金糸雀「水銀燈ちゃんと呼ぶと水銀父ちゃんみたいになるとかなんとか」
翠星石「Hgパパ……」
金糸雀「で、紆余曲折の末『銀ちゃん』に落ち着いたのかしら」
水銀燈「…………」ムカムカ
真紅「さて、銀ちゃん。話を進めるわよ。まずはワルプルギスの夜の資料を見ましょう」
水銀燈「あんたら全員潰……でも羽根を散らかしたらほむらが怒るし許してあげる」
翠星石「……」
蒼星石「この辺りの地理が無知の状態だから、こんな初見の地図を眺めてもよくわからないね」
真紅「仕方ないわ。ワルプルギスの夜を倒す話はまた役者が揃ってからするとして……」
真紅「……少女達の集会に乱入だなんて、無粋なやつね」
水銀燈「魔法少女極秘会議後に乱入して、ろくに話し合いができなかったほむらに八つ当たりされてたわ。だから今度は私が……」
QB「何故ワルプルギスのことをほむらが知ってるかと思ったんだけど、酷い目にあったよ。……君達は何か知らないかい?」
金糸雀「……そろそろ解散の時間かしら」
蒼星石「僕は家に帰ってさやかと出かけるんだ」
翠星石「私も帰るですぅ」
QB「無視かい。やれやれだ」
真紅「この通りよ。話すことは何もないし、話も聞きたくないの」
QB「君達に嫌われる覚えはないのに……。ほむらの入れ知恵かい?」
水銀燈「ラプラスの魔みたいで苛立つのよあんた」
QB「ラプラスの魔……?」
真紅「そうね。顔が白くで目が赤くて何でも知っていながら言葉を変な言い回しで濁したり、やたらと秘密にしたがるところとか似てるわ」
QB「やだなぁ、秘密だなんて……。でも、嫌われているなら僕はさっさと帰るよ」ピョン
――病院
上条「……………………」(腿の上に置かれたバイオリンを見つめている)
さやか(恭介がこんな落ち込んでるとこはみんなにゃ見せられないからなぁ)
さやか「えっと……体調はどう?恭介……」
上条「さやか……。……うん」
蒼星石「体力も戻ってきたし、雪華綺晶の影響はもうないと言えるね」
さやか(蒼星石が連れてってほしいと言うのでつれてきた次第であります)
さやか「大丈夫だよ。恭介……。雪華綺晶に取り憑かれたこと、誰も攻められないもん」
上条「……さやか。……僕……腕が動いたんだよ」
さやか「え?」
上条「さやかも見ただろ?僕の腕が動いたのを。聴いただろう?僕は、このバイオリンを弾いたんだ。僕の目の前のバイオリンが再び音を奏でたんだ」
さやか「う、うん」
上条「正直、うれしかったよ……幸せだったよ。あの時は僕、もう全てを失ってもいいとさえ思ったんだ……」
さやか「きょ、恭介……?」
上条「確かに雪華綺晶っていうのは酷いやつなのかもしれない、けど、あの時の僕にとっては本当に天使か何かに見えたんだ。聖母マリアの生まれ変わりかのようにさえ見えていたんだ」
上条
「でも、また動かない今に逆戻り。医者からも絶望的だと言われていたのに、奇跡だとか魔法だとか神の力だとか言われたけどさ。
僕からすれば、一瞬だけ希望を見せてから叩き落とされているんだよ。さらに深く冷たいどん底に落とされる前兆だったんだよ」
さやか「恭介……」
上条「二度目はないよ……奇跡は、二度も起こらないんだ……。だから、二度と、僕は、このバイオリンは弾けないんだ……」
上条「もう……こんな物はいらないよ……。弾けないバイオリンなんか……もう……!」
さやか「……バカ」
さやか「……恭介のバカ!!」
上条「えっ……」
さやか「私は恭介の演奏をまた聴きたいのに!治ったって聞いた時、また聴けるってわかった時……、私が、私がどう思ったか想像できる!?」
さやか「……もう知らない!もう勝手にすればいいじゃん!!」
コンコン
上条「……窓?」
翠星石「開けるです」コンコン
上条(あの鞄飛ぶんだ……)
蒼星石「待ってたよ。翠星石」カチャリ
翠星石「仁美が帰ってこなくて退屈で仕方ないですぅ」ストッ…
翠星石「……?バイオリンが落っこちてるですぅ」
上条「はは……さやかには困ったよ。こんなものに……」
翠星石「……!ま、まさか……」
蒼星石「かくかくしかじか……という訳なんだ」
上条「全部その通りさ……バイオリンなんかもういらないんだ。見ているだけで気が滅入る……」
翠星石「人間……!」ギリッ
蒼星石「翠星石。上条君は今、戸惑っているだけなんだ。冷静になって」
翠星石「……お前なんかのために力は使いたくないですが、仕方ねえです」プイッ
上条「……?何をする気だい?」
翠星石「今から眠ってもらうですぅ」
上条「え?そ、そんな急に言われても…………あ、言われてみれば……眠くなってきた」
蒼星石「ごめんよ。君が飲んでたその飲み物に睡眠薬を混ぜたんだ」
上条「すい……みんやく……?」
ほむら「ほむっ」
翠星石「そこのドヤ顔乙女がお薬の提供者ですぅ」
ほむら(別にドヤ顔してるつもりは……)
上条「え……暁美さ……いつの間……に……ぐぅ」
ほむら「大丈夫よ。割と強力だけど危ない薬ではないわ」ファサ
翠星石「それじゃ、夢を開くですよー」ポワァ
ほむら「その靄……」
蒼星石「これのことかい?これは彼の夢への扉だよ。……ほむらはこれを見るのは二度目になるのかな」
ほむら「そうなるわね」
翠星石「私達双子は人の夢こそホームグラウンドですぅ」
ほむら「魔女の気配はなし……この前みたいなことはなさそうね」
蒼星石「これは純粋に彼の心……。だから、覗かないであげてね。見られたくない記憶とかもあるはずだから」
ほむら「ええ」
――――。
ほむら「……」
上条「暁美さん。奇跡も魔法もあるんだよね。僕は、雪華綺晶の魔法なんかより、僕自身の腕に奇跡が起きるのを信じたい。もう二度と挫けない。奇跡はあるんだ」
上条「今、やっとわかった……。そのためにも、僕には……さやかが必要なんだ……!謝りたい……」
ほむら「そ、それは私に言うことじゃないでしょう?」
上条「うん……。さやかだけじゃなくても、雪華綺晶の件でみんなにも迷惑をかけてるし……申し訳ないと思ってる」
ほむら「反省しているなら、まあいいでしょう」
上条「それと、差し支えなければ……頼まれて欲しいことが……」
ほむら「…………ねえ。何があったの?」
翠星石「夢の中に入って、心の樹をガーデニングしたです」
蒼星石「萎びた樹に翠星石が栄養を与えて、樹に絡みついて成長を妨げる他の苗を僕が切ったんだ」
翠星石「時間の都合上色々と割愛はしましたですぅ」
さやか「恭介のばかちん!」プンスカ
まどか「さやかちゃん……」
まどか(何があったのか知らないけど……上条君と何かあったんだね)
さやか「……ねえ、そういえば、雪華綺晶はどうしてまどかを狙ったのかな」
まどか「え……?あ、そうだね……。ローゼンメイデンと契約してないから……かな?」
さやか「女の子じゃなきゃ駄目ってこともないみたいだし、それこそ恭介で済む話だし……いや、済まされないけどさ」
QB「まどかが類希ない素質を持っているからじゃないかな」ピョコン
まどか「キュゥべえ!?」
さやか「おわっ!神出鬼没なんだよあんたは!」
QB「ローゼンメイデンが何者なのかはわからないから推測でしかないけど、まどかの潜在的な力に惹かれたんだと、僕は思うな」
まどか「私の……?」
QB「まどか。言わなかったけど君には、魔法少女としてはこれ以上ないくらいに優秀な素質があるんだ」
さやか「まどかが……」
QB「雪華綺晶が魔女に寄生したとすれば、宿主はより優秀な方がいいに決まってるからね」
さやか「ふぅーん……?」
QB「ところで二人とも。願い事は決まったかい?」
まどか「……(ほむらちゃんは危険だから魔法少女になっちゃだめって言われてるし……)」
さやか「……(……恭介の腕……か)」
QB「さやか。君は確か幼なじみの腕を治すという候補があったね。あれから考えてくれたかい?」
さやか「……恭介なんか知らん!」
QB「わけがわからないよ」
仁美「ワカメ~ワカメ~」フラフラ
まどか「あれ?仁美ちゃんだ」
さやか「ほんとだ。おーい仁美~。こんな時間にどーした~?」
仁美「素敵な場所へいくのですわ~お二人とも行くですわ~」
まどか「え?素敵なとこ?」
さやか「いってみようやってみよう」
\ジサツージサツーシューダンジサツー/\ワカメー/
まどか「ふぅ、何かよくわからないけど集団自殺を食い止めたよ!」ハフー
さやか「危ないところだった。魔女の口づけに気付くのが少しでも遅れていたら死んでいたぜ……」フィー
魔女「(・∀・)」
さやか「魔女の結界だああああああああ!」グニャァ…
まどか「うわああああああん!」グニャァ…
QB「まどか、さやか。今こそ契約する時だ!」
さやか「!」
QB「残念だけど、魔法少女でない二人じゃ、ここにいたって殺されてしまう。死なないためには戦うことだよ!」
まどか「え、で、でも……!」
QB「このまま守られる立場のままでいいのかい?君もそろそろ力を持たないと、またあの時のように魔女に襲われ、ほむらにケガを負わすような事態になる」
まどか「!」
QB「君が無力であるが故に、悩む所があるんじゃないかい。ほむらからワルプルギスの夜の話を聞いた時、君は……」
まどか「……」
QB「ワルプルギスの夜に戦力的に協力したい。力になりたい。……そう考えたんじゃないかい?」
さやか「……」
QB「さあ、まどか、さやか。急に願い事だなんて戸惑うだろう。でも、マミのように助かりたいと願うだけでもいい。とにかく戦うカを手に入れないと、死んでしまうよ」
QB「さあ早く!僕と契約して魔法少女になってよ!」
さやか「……きゅ、キュゥべえ。あ、あたし……」
まどか「……」
「その必要はないよ」
QB「!」
翠星石「やいやいそこの小汚い白チビ!人の足下見やがって!ですぅ」スタッ
蒼星石「マスターが帰ってこないから探してたんだけど、こんなとこにいたんだね」スタッ
さやか「蒼星石!それに翠星石まで!」
蒼星石「さやかもまどかも無力なんかじゃないよ。さあさやか。また僕に力を!」
さやか「蒼星石……!」
翠星石「まどかは、何というか……こう……。……え、えぇい!守られることに引け目に感じてる場合じゃないです!黙って守られるです!」
まどか「う、うん……?」
魔女「(・ω<)v☆」
蒼星石「……ぱそこんってやつだね。この姿は」
翠星石「ジュンが常日頃にらめっこしてる箱ですね。差詰めヒッキーの魔女というとこですね」
QB(危なくなったら彼女達も引き合いに出して交渉を迫ってみようかな)キュップイ
蒼星石「魔女が出てきたんだ。すぐに誰かしら来てくれるだろう」
翠星石「それまではこの伝説のスーパー双子姉妹のコンビが相手するですぅ!」
蒼星石「レンピカ!」
さやか「そういえば翠星石はまだ仁美と契約は……」
翠星石「スィドリィーーーーーム!」
まどか「如雨露?」
翠星石「伸びやかにぃぃぃぃ!!」
ズオッ バシィッ
使い魔「」
魔女「^^;」
翠星石「をーっほっほっほ!翠星石が本気を出せばちょちょいのちょいのすけですぅ!」シュルシュル
まどか「地面から何か……あれは……ツタ?」
翠星石「スイーツ魔女の一件から仁美は翠星石との契約に踏み切ったのですぅ!皆の衆ぅ!翠星石の真の力を見て戦き崇めるがいいですぅ!!」
スルルルシュルッバシッバシッ
翠星石「仁美の唇は翠星石が貰ったです!」
さやか「!?」
蒼星石「語弊があるよ」
魔女「(´;ω;`)」ギチギチ
翠星石「ふふん!私がツタで魔女を取り押さえて逃がさないですよぉ!」ギリギリ
蒼星石「僕は魔法少女が来てくれるまでさやか達を狙う使い魔を倒してるよ」ジャキジャキ
さやか「ををぅっ、指が熱いよぉ」
まどか「魔女を束縛して、使い魔を手際よく退治する様は最強に見えるよ!」
QB(やれやれ……少しくらい苦戦してくれないと困るな。でも蔦ごときになぎ払われる使い魔も束縛される魔女もどうかと思うよ)
「でも決定打がないわね」
ほむら「RPG-7」バシュッ
翠星石「おいしいとこ持ってかれた気分ですぅ」
蒼星石「別にこれでいいんだよ」
ほむら「さて、と……みんな無事かしら?」
まどか「ほむらちゃん!怖かったよぉ!」ギュゥ
ほむら「い、いきなり抱きつくだなんて、随分怖い思いをしたのね……よしよし」ナデナデ
まどか「ウェヒィ……///」
さやか「怖かったよぉー!!」
ほむら「うるさい」
さやか「ひどい」
ほむら「冗談よ」ナデナデ
さやか「お、おぉう……これはこれで気持ち悪いな」
ほむら「……」ペシペシ
さやか「チョップしないでちょ」
まどか「ほむらちゃん……ごめんね」
ほむら「……まどか?どうしたの?」
まどか「わたし……キュゥべえと契約しようと思っちゃった。わたし、ドジでのろまだから……ほむらちゃんに迷惑かけてばっかりで……今回だって、また助けてもらっちゃって……」
まどか「ワルプルギスの夜ってのを倒すのに……協力したいって、ほむらちゃんの力になりたいって……」
さやか「あたしも……魔女からまどかを守ろうと思って……さっき契約しかけた……」
ほむら「二人とも…………汚い手を使うわね。キュゥべえ」
QB「僕はただ、まどか達を思って言っただけなんだ。ローゼンメイデンが来なかったら、確実に二人は死んでいたんだよ」
まどか「……あれ?ちょっと待って?」
さやか「魔女は……倒したんだよね?」キョロキョロ
ほむら「ッ!?」
ほむら「ど、どういうこと!?魔女の結界が消えていない!?」
QB「そんな馬鹿な。魔女は確かに死んだよ。ほら、グリーフシードだって落ちているじゃないか」
翠星石「……気を抜いちゃだめですよ」
蒼星石「君は、一体何が目的なんだい?こんなところにまで……」
「…………ウフ」
まどか「あ……ああ……!」
まどか(若干のトラウマ……)
蒼星石「雪華綺晶!」
翠星石「しつこいやろーですッ!」
雪華綺晶「…………」トコトコ
ほむら「下がって。ここは私が」スッ
蒼星石「待って!ほむら」
ほむら「……何かしら」
蒼星石「多分、いや、間違いなく雪華綺晶には何をしても無駄だよ」
翠星石「そ、蒼星石?」
雪華綺晶「私は、ローゼンメイデン第七ドール。雪華綺晶……」トコトコ
雪華綺晶「マドカ……私と契約して下さい」
まどか「……え?わたし……?」
雪華綺晶「そうですわ。貴女は私のマスターになっていただきたいのですわ」
ほむら「まどかに近づかないで!」チャッ
QB「そうだよ。まどかは僕と契約するべきなんだよ」
ほむら「うっさい退け」ゲシッ
QB「わぁ」
さやか「お菓子の時魔女を狙ったのって……契約のため……?」
蒼星石「ほむら。君達は雪華綺晶に触ることすらできないと思う」
ほむら「え……」
翠星石「と、とにかくここは私たちが相手するです!」
雪華綺晶「庭師のお姉様達、私の邪魔をしな……
「どきなさいッ!」
ドバァッ
雪華綺晶「!」
ほむら「黒い羽根……!?水銀燈!」
水銀燈「チッ、あの末妹……また逃げたわ」スタッ
蒼星石「……また君に助けられたね。水銀燈」
水銀燈「助けた?何を抜かしてんのよ」
まどか「あっ、結界が消えた……」
ほむら「雪華綺晶も……消えた……」
グニャァ
ほむら「魔女が消えるよりも雪華綺晶が消えたことがフラグとなって魔女の結界が解除された……という点も気になるけれど、今はそれより」
ほむら「何故私が何をして無駄なのか、説明して欲しいわ」
水銀燈「いいわ。私が説明してあげる。まず、雪華綺晶には元々、ボディがない。アストラル……要するに幽霊みたいなものなのよ」
さやか「幽霊?」
水銀燈
「究極の少女、アリスになるためには体は不要なのでは、というお父様の考えの下に、雪華綺晶が作られた。
しかし雪華綺晶は体を求めた。だからこそ、雛苺のボディを奪いエーテル体となった……。
エーテル体は私達と同じで、銃弾のような物理的な干渉を受けるわ……要は実体があるということ」
まどか「ボ、ボディを奪うって……!」
ほむら「実体……」
水銀燈
「雛苺のボディを奪い、取り憑いた雪華綺晶は、何故かはわからないけど現在そのボディを放棄している。
今の雪華綺晶は魔女あるいは魔女の結界に取り憑いて動く悪霊か何かだと想像してもらえればわかりやすいわ。
そして幽霊ドールに干渉できるのは、ローゼンメイデンである私達のみ。だから銃器は無駄という訳よ」
まどか「えっと……」
蒼星石「お菓子の魔女の時を思い出して。ほむらのあの爆弾に巻き込まれないわけがないのに、また無傷の姿で現れただろう?」
ほむら「えぇ……」
蒼星石「nのフィールドでしか姿を維持できない魔女の幽霊に過ぎなかった。だから爆発という干渉を受けなかったんだ」
水銀燈「雪華綺晶は、寄生虫のように宿主を選び、その者から力を奪って生きている。そして今、雪華綺晶は未契約ドール」
水銀燈「宿主を魔女、今の言動からするにまどかをマスターにしたいようね」
まどか「わ、私を?……どうして?」
水銀燈「そんなの知らないわよ」
翠星石「……何故わざわざチビ苺のボディから抜け出しているのですか?」
水銀燈「そんなの知らないわよ。とにかく、今の雪華綺晶にはボディがなくて、まどかを狙っているってことがようやくわかったわ」
ほむら「ようやく……?そう。nのフィールドをずっと回って調べていたのね。私の力を無駄遣いしてまで……」
水銀燈「うるさいわね」
さやか「……」ジー
水銀燈「……なによ」
さやか「いや……こうやって見てみれば高級な猫みたいだなって」
水銀燈「三枚に卸すわよ」
さやか「こ、怖ぇよ……」
蒼星石「nのフィールドでしか姿を維持できない魔女の幽霊に過ぎなかった。だから爆発という干渉を受けなかったんだ」
水銀燈「雪華綺晶は、寄生虫のように宿主を選び、その者から力を奪って生きている。そして今、雪華綺晶は未契約ドール」
水銀燈「宿主を魔女、今の言動からするにまどかをマスターにしたいようね」
まどか「わ、私を?……どうして?」
水銀燈「そんなの知らないわよ」
翠星石「……何故わざわざチビ苺のボディから抜け出しているのですか?」
水銀燈「そんなの知らないわよ。とにかく、今の雪華綺晶にはボディがなくて、まどかを狙っているってことがようやくわかったわ」
ほむら「ようやく……?そう。nのフィールドをずっと回って調べていたのね。私の力を無駄遣いしてまで……」
水銀燈「うるさいわね」
さやか「……」ジー
水銀燈「……なによ」
さやか「いや……こうやって見てみれば高級な猫みたいだなって」
水銀燈「三枚に卸すわよ」
さやか「こ、怖ぇよ……」
仁美「う~ん……あら……?ここはどこですの?」
仁美「あ、翠星石さん」
翠星石「全く、何やってたのですか!」
仁美「す、すいません……よくわかんないですけど……あっ、みなさ~ん」トテトテ
ほむら「ああ、さやか。卸される前に一つ伝言」
さやか「死んでも卸されてたまるか……。で、何?」
仁美「よくわからないけど迷惑おかけまし……」
ほむら「上条恭介が今晩大切なお話があるそうよ」
さやか「……!恭介が……?」
仁美「!」
ほむら「詳しいことは蒼星石に聞いて頂戴」
さやか「……う、うん」
仁美「……」
まどか「あ、仁美ちゃん。気が付いたんだね」
仁美「え、ええ……。その……私、どうしたんでしょう」
蒼星石「魔女の襲われていたんだよ」
仁美「魔女と言いますと……この前翠星石さんが話してた……何だかよくわからない何かですね。にわかには信じがたいのですが……記憶が部分的に吹っ飛んでまして……」
ほむら「この世界には不思議だらけなのよ。ローゼンメイデンと
さやか「あれ?そういやキュゥべえは?」
仁美「?」
まどか「仁美ちゃんには見えないんだったね。……さっきまでいたのにね?」
翠星石「どうでもいいですぅ」
ほむら「そうね。さて……そろそろ解散しましょう。送っていくわ。まどか」
まどか「ウェヒ……ありがとう///」テレテレ
蒼星石「さあ、帰ろうか」
さやか「うん、帰ろうっか」
仁美「ですわー」
ほむら「あ、水銀燈も一緒に帰る?」
水銀燈「馬っ鹿じゃないの」
ほむら「じゃあ先に帰ってて。帰ったらすぐに夕飯にするから」
水銀燈「要らないから用意しなくていいって言うのに……」
ほむら「そうは言うけど用意すればちゃんと食べはするわよね。いつも食べたことを覚られないように勝手に片付けるけど」
水銀燈「よ、余計な貸しを作らないためよ。食べて貰えなかったって拗ねられても困るし」
ほむら「ええ、拗ねるわ」
まどか「拗ねたほむらちゃん……ちょっと想像できないな……」
翠星石(食器をお片づけする水銀燈の方が想像できないです……)
ほむら「たまには一緒に食べましょうよ。冷めたご飯を食べるのは寂しいものよ」
水銀燈「フン」
ほむら「ちゃっかり電子レンジ使うくらいならできたてを食べた方が……」
水銀燈「フ、フン……私の勝手でしょう」
蒼星石「……」
翠星石「……」
水銀燈「そこ!こっちを見ない!」ギロッ
まどか(ほむらちゃんの手作りが食べられるだなんてなんと羨ましいことか、と思ってしまうのでした)
――さやかroom
さやか「恭介が、大事な話……か」
さやか「……恭介ェ」ジワッ
さやか「……めそめそ。めそめそ……涙が出ちゃう。女の子だもん」ゴシゴシ
さやか「……ウジウジしてても仕方ないかっ!」
蒼星石「さやか」
さやか「あ、うん。蒼星石……あたしはどうすればいいの?電話?」
蒼星石「ううん。なんてこともないよ。ベッドに横になってもらえれば」
さやか「え?う、うん」ポフッ
蒼星石「それじゃ、おやすみ」
さやか「え、おやす……?……すぅ」ポゥ
蒼星石「後は二人で、夢の中で……」
――翌日
さやか「おはようで候」
仁美「おはやうですわ」
ほむら「さやか。昨晩の夢の内容を二〇文字以内に晒しなさい」ヒソヒソ
さやか「んなっ……そ、そんなん言えるわけ……///」
ほむら「一言でいいわ」
さやか「うぅ……///仁美が見てるよぅ……///」
仁美「?」
ほむら「せめてあなたがどう思ったか教えなさい」
さやか「……ちょ、ちょっと臭いとこあった……かな?///」
ほむら「どこがよ。どこが臭かったのよ」
さやか「や、やけに食い下がるな……」
ほむら(あの告白……一部、私が監修したとこがあるのよ。それが今朝になってものすごく恥ずかしくなったから変じゃなかったか聞きたいのよ……///)
さやか「異性として見れなかったけど、一生気付かなかったであろう気持ちにあの双子が気付かせてくれたとかなんとか///」
ほむら「ほむっ」コツン
さやか「痛っ!何で!?」
ほむら「そういえばまどかはまだ来てな……と思ったら来たわ」
まどか「ごめ~ん、待った?」パタパタ
ほむら「おはよう。まどか。寝坊かしら?」
まどか「はぁ、はぁ……、ちょ、ちょっと、眠れなくて」
ほむら(昨日のことを気にしてたのかしら……)
仁美「そんなに急いじゃって。息が切れてますわよ」
まどか「ウ、ウェヒッ。みんなと一緒に行きたいんだよっ」
さやか「嬉しいこと言ってくれるじゃないの」
まどか「……はぁ」
ほむら「まどか。言ってみなさい。何でも相談に乗るわ」ファサ
まどか「えへ……ほむらちゃんにはお見通しだね。あのね、わたし……寂しいの」
ほむら「え?」
まどか「わたしってさ……魔法少女でもなければローゼンメイデンのマスターでもないから、ほむらちゃんやマミさんは勿論……杏子ちゃん。さやかちゃんや仁美ちゃんにまで、遠くに感じちゃうんだ」
ほむら「まどか……」
まどか「翠星石ちゃんは、守られるのに負い目を感じるなって言ってくれたんだけどさ……こうもほむらちゃんに助けられてばっかりだと……頭ではわかってても心が辛いの。わたしもみんなの力になりたい……」
ほむら「……大丈夫よ。まどか。あなたが気にする必要なんて何もない。あなたはあなたでいればいいの。でも、ありがとう。私は、あなたのそんな優しいところが好きよ」
まどか「えっ……///」ドキッ
ほむら「まどかはまどかでいて頂戴。自分を犠牲にしようだとか責任があるだとか、考えないで」
まどか「う、うん……」
ほむら(……そうね。そう言えばまどかだけ指輪を着けてないのよね。きっと寂しいんだわ)
まどか「……はぁ」
ほむら「まどか。言ってみなさい。何でも相談に乗るわ」ファサ
まどか「えへ……ほむらちゃんにはお見通しだね。あのね、わたし……寂しいの」
ほむら「え?」
まどか「わたしってさ……魔法少女でもなければローゼンメイデンのマスターでもないから、ほむらちゃんやマミさんは勿論……杏子ちゃん。さやかちゃんや仁美ちゃんにまで、遠くに感じちゃうんだ」
ほむら「まどか……」
まどか「翠星石ちゃんは、守られるのに負い目を感じるなって言ってくれたんだけどさ……こうもほむらちゃんに助けられてばっかりだと……頭ではわかってても心が辛いの。わたしもみんなの力になりたい……」
ほむら「……大丈夫よ。まどか。あなたが気にする必要なんて何もない。あなたはあなたでいればいいの。でも、ありがとう。私は、あなたのそんな優しいところが好きよ」
まどか「えっ……///」ドキッ
ほむら「まどかはまどかでいて頂戴。自分を犠牲にしようだとか責任があるだとか、考えないで」
まどか「う、うん……」
ほむら(……そうね。そう言えばまどかだけ指輪を着けてないのよね。きっと寂しいんだわ)
ほむら「そうだわ。じゃあ今度まどかに指輪をプレゼントするわ」
まどか「ほ、ほむらちゃんの指輪っ///」
ほむら「どんな指輪が好きかしら?」
まどか「ほむらちゃん、そ、それってやっぱり……」マドマド
ほむら「何かしら」
まどか「く、薬指に///」チラッ
ほむら「あら、ローゼンメイデンの方に憧れていたのね」
まどか「え?」
ほむら「魔法少女に憧れてたものだから中指にと思ったのだけど」
まどか「……ごめん、やっぱいいや」
ほむら「そ、そう……?」
まどか(ほむらちゃんのおバカ……)
まどか(……ハァ。私も何か欲しいな――)
仁美「美樹さん」ヒソヒソ
さやか「ん?どしたの仁美」
仁美「小声でお願いしますわ……実は私、上条君のことをお慕いしておりましていたの」
さやか「え……」
仁美「いつか、美樹さんと宣戦布告をしようと考えておりました」
さやか「そ、それって……」
仁美「でも、踏ん切りがつきました」
さやか「ふ、踏ん切り?」
仁美「美樹さん。おめでとうございます」
さやか「お、おう……///」
仁美「そ、それでなんですが、その……、こんな思いを一方的に抱いていた私ですが、できれば、これからも仲良く……してほし……」
さやか「な、な~んだ!恭介は美少女二人にモテていたのか!……す、隅に置けないなー!」
仁美「あ、あの……」
さやか「何を改まってんのさ!仁美は私の親友なんだから、気にすることはないんだよ!」
仁美「美樹さん……。上条君とお幸せに」ジーン
ほむら「感嘆符を使うような大声だしたらそりゃ筒抜けになるわよ」
まどか「おめでとうさやかちゃん!」
さやか「あ、あぅ……///」
仁美「うふふ」
仁美「友情を再認識したところで、放課後寄り道いたしませんか?」
さやか「あれ?でもたしか今日は習い事が……」
仁美「実は、昨日の自殺の件の独り言と、部屋で泣いていた時の声を聞れてしまったのです。そこで何故だか習い事の一部を親公認でおサボりを認めてもらいましたのよ」
さやか「oh...」
――数日後
ほむら
(ときめき美樹さやかも攻略した……これでさやかの魔法少女化を防いだと言っていい。ワルプルギスへの共闘だって結んだ。後の山場と言えば……魔法少女の真実と私の時間遡行について……今の段階で断定できることは少ないけど、これなら……この時間軸なら……)
ほむら(そして、今、気になることは……)
先生「えーと、鹿目さんは……体調不良で欠席」
さやか「まどかどうしたんだろう……。メールまだ返ってこないや」
仁美「風邪でも拗らせて、メールさえもうてないのでしょうか……」
ほむら(まどかがいないと、こんなにも寂しい)
ほむら「変ね……。昨日はそんな兆候全くなかったのに……」
さやか「体調なんていつ崩れるかわからないもんね」
先生「暁美さん、志筑さん、美樹さん。ちょっといいかしら」
三人「あ、はい」
先生「あのね、落ち着いて聞いてくれる?」
仁美「何でしょうか……」
先生「今朝、鹿目さんが病院へ搬送されたわ」
ほむら「え……?まどかが……病院……?」
先生「……ええ、あなた達三人はいつも一緒にいるから言っておこうかと」
先生「今朝から何やら様子が変みたいで……」
さやか「…………そうですか」
先生「いつも一緒にいるから、あなた達に話しておいたんだけど……昨日何かあったりとか……ない?」
仁美「何か……?」
先生「頭を打ったとか、ショックになるようなこととか……」
さやか「いえ、全く……」
仁美「あの、先生。鹿目さんは……」
先生「安静にしているみたい……。私も詳しいことは聞いてないから何とも言えなくて」
ほむら「…………」
ほむら(まどか……ずっと、あの時のことを気にしてたけど……)
ほむら(まさか……夢の中で雪華綺晶と……)
――休み時間
ほむら「私、早退するわ」
さやか「え……まさかあんた」
ほむら「大丈夫。顔色の悪さには自信があるわ」
マミ「血色いいじゃない」
ほむら(くっ、水銀燈へのエネルギー対策のほむ弁の弊害か……)
仁美「……何とか言いくるめますわ」
ほむら「ええ。ありがとう。では早速」タタッ
マミ「ええ、気をつけて」
さやか「……仁美から言いくるめるという言葉を聞くとは思わなんだ」
マミ「真紅ちゃん達に報告しなくちゃ……あ、でも佐倉さんは今見滝原にはいないのよね」
QB「なら僕が杏子に報告へ行こう」ヒョッコリ
さやか「あ、キュゥべえ」
マミ「最近見なかったわね……」
QB「僕にも色々あるんだよ」
QB「それよりもまどかが倒れただなんて大変だ」
QB「ほむらはまどかの所へ行ったらしいけど、君達はどうするんだい」
マミ「放課後に病院へ行くわ」
さやか「……ほむらがバックれてまで行ったら、あたし達も今行かないといけない気がしますね」
マミ「暁美さんが特別なのよ。こんなに大事に思っているだなんて……」
マミ「とにかく、佐倉さんへの報告。お願いするわ」
QB「うん」ヒョーイ
仁美(何かしらこの疎外感)
――病院
ほむら「到着したわ」
ほむら「……まどか」ガチャ
詢子「お?」
ほむら「あ……」
詢子「ほむらちゃん……かい?」
ほむら「は、はい……(まどかのお母さん……)」
詢子「いつもまどかから聞いてるよ。かわいくてかっこいい友達だって。……ほほーう?」ミサダメ
ほむら「……は、はあ……。あの、まどかは……」
詢子「ん、この通りさ」
まどか「………スー………スー」
ほむら「まどか……。あ、あの……何があったんですか?頭を打ったとか……」
詢子「今朝、起こそうとしたら、何をやっても起きないもんだからさ……それで、何かヤバイと思ってね……」
詢子「脳波とか何とかを調べても何の異常もなく、最終的な診断は『眠っているだけ』……だとさ。でも何をやっても起きやしない」
ほむら「…………」
詢子「眠ってるだけでも体力は消費するから点滴はしてるけど……、とにもかくにも、起きるのを待つしかないってさ」
詢子「嘘みたいだろ……?寝てるんだぜ?これ……。寝言も言うし寝汗もかくし寝返りだってうつ」
ほむら「そう……ですか」
詢子「……さて!息子を旦那に押しつけて仕事放っぽって来たけど、頼れるお友達が来たならもう大丈夫かなっ」
詢子「いや、待てよ?学校を放っぽってまで来る不良に娘を任せて大丈夫だろうか……」
ほむら「……」
詢子「いや、冗談だ。寝言に出る程の子だ……。まあ、後は任せる」ヒラヒラ
ほむら「え?……あ、はい」
詢子「叩き起こそうと乱暴するなよ?」
ほむら「あ、当たり前です」
詢子「もうやったからさ」
ほむら「…………」
ガラッ
ほむら「……強い人」
まどか「……スー……ホム……チャ……」
ほむら「……なぁに?まどか?」
まどか「…………スゥ」
ほむら「……あ、まどかにデコピンされた跡が……」
真紅「緊急第三回薔薇乙女会議プラス杏子なのだわ」
杏子「急いで帰ってきたぜ……疲れた……」
金糸雀「お疲れさまかしら」
QB「まどかはどうなんだい?」
蒼星石「……翠星石と病院に行ってみて夢の扉を開こうとしたけど、ダメだった」
真紅「成る程……。やはり今回のまどかの件、雪華綺晶が絡んでいると見て間違いないわね」
翠星石「ヒッキー魔女以来ですぅ」
杏子「まどかへの執念はマジもんだな。キュゥべえ並に」
QB「まどかは素質が――」
真紅「さて、これからの私達の行動を説明するわ」
真紅「金糸雀と私はマスターと行動しましょう。翠星石と蒼星石は二人でnのフィールド探索、もといまどかの捜索を続けて頂戴。水銀燈はテキトーに」
QB「無視されたよ」
金糸雀「えぇー……水銀燈だけずいぶんアバウトかしら」
真紅「どうせ水銀燈が私の指示を素直に聞くわけないじゃない。ただ、言うなら今、ほむらは大分弱っているはず。なので力は使わないことよ」
水銀燈「はいはぁい」
杏子「あたしは?マミは?」
真紅「基本、魔女狩りね。ほむらにはまどかの看病に徹底してもらいましょう。そしてマミは――」
ほむら「…………」
まどか「スー……スー……」
看護師A「あの子……朝からずっとこうね。もう日も暮れるわよ」
看護師B「他のお友達もお見舞いにきてたけど、よっぽど大事な……」
看護師A「キマシタワー?」
看護師B「キマシタワー」ゴクリ…
看護師C「持ち場に戻れ」
「すいません、ちょっと失礼」ガチャ
ほむら(私がまどかを看てる間、魔女は杏子に任せることになった……何だか、私、不甲斐ないというか……)
ほむら「……まどか…………起きてよぉ」
「ほらっ、いつまでもションボリしてないの」
ほむら「あっ」
マミ「お待たせ。暁美さん」
ほむら「……別に待ってないわよ」
マミ「目が赤いわよ」
ほむら「赤くないわ。カマかけないで」ファサ
マミ「う……」
ほむら「それで、何か用?」
マミ「用も何も……お見舞いよ」
ほむら「金糸雀を連れて?」
マミ「えぇ。急ぎの用なんで、美樹さん達とすれ違う形になったわ。残念ながら」
金糸雀「まどかの精神はnのフィールドを迷子になってるのかしら」ガチャリ
ほむら「迷子?」
金糸雀「そこでカナ達が迎えに行くのかしら。それには媒介がそばにいた方がいい」
マミ「佐倉さんと真紅ちゃんは魔女を任せてるし、銀ちゃんには暁美さんの力を使わせたくない」
金糸雀「だからかしら。翠星石蒼星石も既に探索中かしら」
ほむら「nのフィールドに……行くのね」
多くの助言、支援、応援をいただき誠にありがとうございました。
また、初めてのSSだったので、さるさんを知らなかったためたびたび規制にあったり、勝手にPCを離れたり等でご迷惑をおかけしました。
ついさっき、急にPCの調子が悪くなり、これ以上書き込むのが難しい状況となってしまいました。
なので身勝手ながら、一旦ここで打ち切らせていただきます。
長時間に渡って書いていましたが、この様な自体に至り、非常に残念でなりません。
ちなみにこの話は、さるさんの存在を知らなかった、一時間に10レス程度しか書き込めないことを知らなかったために、
調子ぶっこいて、ここまででやっと半分程度の全然ショートじゃないストーリーでした(加えてカットした場面も少々あります)
勿論完結させたいので、PCが直り次第、さるさんがいないとされるSS速報VIPにて、
カット部分の補完などをしてまた最初からまた投稿し直そうと考えております。目標は今週中に。
この度はご迷惑をおかけして誠に申し訳ありませんでした。
QB
「ローゼンメイデンの言うこの世界とは、雪華綺晶にボディがない理由とは、雪華綺晶と魔女との関係とは……
そして眠ったまどかの運命は……。ほったらかしな展開を語る術が僕にどうあろうか
そろそろ時間だ……。それじゃあね」
せめてバーズコミック版のローゼンメイデンのラストっぽくしてみました。
バッシングの嵐を覚悟してましたが、そうでもなくて本当に良かったです……。ふぇぇ……優しさが染みるよぉ……。
取りあえずPCに詳しい友人を呼びだしたので、直れば、あわよくば今夜にでも書いてしまいたいところです。
こちらの不都合の結果なので、二日連続徹夜する覚悟もあります
それでは、失礼します <(_ _)>
>誘導
本腰入れて書き始めるとなると夜9時から10時の間だと思うので、向こうでスレ立てしたら
杏子「巻きますか、巻きませんか」を書いた人だけど みたいなスレタイでスレを立てようと思います。
勿論残っていればここに書きますが、もし今夜書けるのなら9時30分くらいになれば早い方かな……と
>墓場
……完結を目指します。面白いって言ってくれたから、大丈夫だと思う!自信がつきました。
と、いうことで今度こそ失礼致します。なまら重いです。もう無理です。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません