エレン「平和な世界・・・か」(256)


※キャラ改変あり
※単行本ベースでネタバレあり


「・・・レン・・・ェレン・・・エレン・・・」

エレン「・・・ぅん・・・だ・れ・だ・・・?」

「・・・エレン・・・エレン・・・」

エレン「・・・ミ・・・カサ?・・・」

ミカサ「エレン! 気がついた?」

エレン「・・・ぅう・・・ミカ・・・サ・・・」

ミカサ「エレン!」


エレン(・・・何だ?・・・体中が・・・すげぇダルい・・・)

エレン(・・・巨人化したときより・・・遥かにダルい・・・)

エレン(・・・まるで・・・全身に・・・重りを・・・付けられてるみたいに・・・)

ミカサ「エレン しっかりして」

「ミカサ エレンは気がついたんだね?」

エレン(・・・誰・・・だ?・・・)


ミカサ「うん。まだ、意識は朦朧としているみたいだけどね・・・」

「そっかぁ。こっちはまだピクリともしないよ・・・呼吸しているから、生きてるとは思うんだけど・・・」

ミカサ「アルミン 呼びかけ以外で無理に起こそうとしては駄目よ」

アルミン「うん わかったよミカサ」

エレン(・・・アル・・・ミン?・・・)

ミカサ「それよりも病院に連れて行きましょう」

アルミン「そうだねミカサ。けど、どうやって病院まで連れて行こうか?」

ミカサ「エレンの意識が安定したら、病院に行って病人搬送用の馬車呼んでくる」

アルミン「なるほど、流石ミカサ。伊達に病院でお手伝いしている訳じゃないね」

ミカサ「ありがとう アルミン」フフッ

エレン(・・・は?・・・ミカサが・・・病院の手伝い?・・・)

エレン「・・・おい・・・なんだ・・・それ?・・・」


ミカサ「!?ッ エレン 大丈夫なの?」

エレン「ああ・・・なんか・・・物凄くダルいけどな・・・」

ミカサ「・・・そう・・・」

エレン「・・・悪いミカサ・・・一人じゃ・・・起きれそうにない・・・」

エレン「・・・手を・・・貸してくれ・・・」


ミカサ「・・・わかったわ・・・つかまって」

エレン「すまない・・・」

ミカサ「よい・・・しょっと・・・」ググッ

ミカサ(!?・・・重い・・・エレンって、こんなに重かったかな?・・・)

エレン「・・・ふぅ・・・なんとか上体だけは起こせたか・・・ありがとな ミカサ」

ミカサ「・・・ううん・・・別に・・・」


エレン「・・・」

エレン(・・・あれ?・・・俺は・・・確か・・・)

エレン(・・・巨大樹の森で・・・女型の巨人と戦って・・・)

エレン(・・・首吹っ飛ばされて・・・その後・・・)

エレン(・・・駄目だ・・・全然覚えてない・・・)


エレン「・・・って・・・どうした?ミカサ・・・人の顔ジロジロ見て」

ミカサ「!!・・・何でもないの・・・何でも・・・」

エレン「・・・変なやつ・・・ところで・・・ここ何処だ?」

ミカサ「何処って・・・トロスト区のはずれの野原としか言いようがないよ・・・」

エレン「は!?・・・トロスト区だって??」


ミカサ「それよりエレンはここで何をy・・・」

エレン「おいミカサ・・・冗談はよせよ!!ここがトロスト区の訳ないだろ!」

エレン(・・・そもそも、何で俺、トロスト区に居るんだ?・・・)

エレン(・・・調査兵団の人たちが、運んでくれたのか?・・・)

ミカサ「? エレン・・・一体何を・・・」

エレン「ここがトロスト区だったら、何でウォールローゼが無いんだよ!!」

ミカサ「ウォール・・・ローゼ・・・?」


アルミン「ちょっと、エレン 落ち着いてよ 何言ってるのか、全然わかんないよ」

エレン「はぁ?? アルミンまで・・・どうしちまったんだ?一体・・・」

アルミン「ウォールローズ・・・だっけ?・・・何なのそれ?」

エレン「おい・・・お前何を・・・?」

アルミン「ミカサ知ってる?」

ミカサ「・・・ううん・・・知らない・・・」


アルミン「だよね。僕も知らないよ・・・大体、こんな野原から見えるものなの?」

エレン「見えるに決まってんだろ!!」

ミカ・アル(ビクッ!!)

ミカサ「・・・エ・・・エレン・・・?」

エレン「何だよ?」

アルミン「・・・ちょっと・・・怖いよ・・・エレン・・・どうしちゃったの?・・・」


ミカサ「・・・」スッ

エレン「お前らこそいい加減にしろよ!!二人して俺のことからかってるのk・・・ムグッ・・・」ギュムッ

エレン(・・・ミカサ?・・・)

アルミン「あーっ! ちょっと何やってんの、ミカサ! エレンの顔に胸押し付けちゃってさー!」

ミカサ「・・・」ギュウウ

エレン「!?・・・お・・・おぃ・・・ミカサ・・・///」

ミカサ「・・・大丈夫・・・大丈夫だからね・・・エレン・・・」ギュッ


エレン「・・・」

エレン(・・・何だ・・・凄く・・・柔らかい・・・普通の女の子みたいだ・・・)

エレン(・・・それに・・・もの凄く・・・良い匂いがする・・・)

ミカサ「・・・きっと・・・怖い夢・・・見てたんだよね?・・・」

エレン「お・・・俺は・・・」


エレン「・・・」

エレン(・・・あれ?・・・なんだっけ?・・・)

エレン(・・・なんで俺・・・)

ミカサ「もう大丈夫だから・・・私がいるしアルミンもいる・・・」

エレン「・・・」

エレン(・・・不思議な感じだ・・・とっても落ち着く・・・)

ミカサ「もう怖がらなくても・・・大丈夫・・・」


エレン「・・・」

エレン(・・・何かもう・・・どうでもいいや・・・)クラッ

ミカサ「・・・エレン?」

エレン「スーッ・・・スーッ・・・」

ミカサ「・・・」


アルミン「どうしたのミカサ?」

ミカサ「エレン落ち着いたみたいで・・・また寝ちゃった」

アルミン「そうなんだ」

ミカサ「うん・・・このまま安静にしていた方がいいと思う」

アルミン「そうだね。しっかし、どうしちゃったんだろ? エレン」

ミカサ「・・・」

アルミン「何か雰囲気も変だったし・・・凄みがあるっていうか・・・」


ミカサ「アルミン」

アルミン「ん? 何?」

ミカサ「私が二人の容態を見ているから、アルミンは馬車を呼んできて」

アルミン「あ・・・うん、わかった。行って来るよ」

ミカサ「お願い」

ミカサ「・・・」

ミカサ(・・・エレン・・・)

――――――

――――

――

コメントありがとうございます。m(_ _)m

続きを投下いたします


エレン「んー・・・ふわぁぁぁあ・・・あ?」

エレン「・・・どこだ?・・・ここ?・・・」

「エレン!?やっと、目が覚めたのね?」

エレン(誰d・・・えっ?・・・)ドクン

「先生は、容態は良くなってるとは言ってたけど・・・心配したのよ?」

エレン(・・・嘘だ・・・)ドクン ドクン


「そうそう、ちゃんとミカサちゃんとアルミンちゃんにお礼言うのよ? 2人が病院に知らせてくれたんだから」

エレン(・・・だって、俺の目の前で・・・巨人に食われちまったじゃないかよ・・・)ドクン ドクン ドクン

「聞いてるの?エレン」

エレン「・・・母さん・・・どうして?・・・」

カルラ「どうして?・・って、子供を心配するのは、親として当然でしょ?」

エレン「・・・何で?・・・ここに・・・」

カルラ「何で?って、シガンシナからの定期便で来たのよ」


エレン「いや・・・そうじゃなくって・・・あの・・・」ウッ

カルラ「エレン?・・・」

エレン「母さん・・・かあさ・・・」ウッ ウッ

カルラ「ちょっと・・・泣いてるの?」

エレン「ウッ・・・母さん・・・」ヒック ヒック

カルラ「もう・・・あなた15にもなったってのに・・・まだまだ子供ね」フフッ


「あの~・・・そろそろ良いでしょうかね?」コンコン

カルラ「あら。先生・・・ご免なさいね。こんな所お見せしてしまって・・・」

「いえいえ、構いませんよ」

エレン「えっ・・・ハンジ・・・さん?・・・」グスッ

カルラ「エレン 『ゾエ先生』でしょ?」

ハンジ「あはは。別に『ハンジさん』で構いませんよ、奥様」

カルラ「スミマセンね。先生」


ハンジ「いえいえ。それより、良く覚えてくれてたね」

ハンジ「私が研修医のころ、イェーガー先生のお宅にお邪魔したのって、5年位前でしょ?」

エレン「は?・・・えっと・・・」

ハンジ「ま、今はこうして一端の医者となって、君を診察しているわけだけどね」

エレン(ハンジさんが医者?・・・どうなってるんだ?・・・)

カルラ「それでは先生、私はしばらく外してますね」

ハンジ「スミマセン奥様。30分もあれば、診察は終わりますので」


カルラ「いえいえ、構いませんよ。なにしろ、久しぶりのトロストなものですから」フフッ

ハンジ「あはは。そうですか。では、ごゆっくり堪能してくださいね」

カルラ「はい先生。では、よろしくお願いいたしますね。エレン、また後でね」

エレン「あ・・・うん・・・」

(バタン)

ハンジ「さてと・・・それじゃ始めようか」

エレン「・・・はい」


ハンジ「まず、気分はどうかな?」

エレン「とっても清々しいです。体が軽く感じます」

ハンジ「そうかい。まぁ、ここに運ばれたときは、血中の乳酸が尋常じゃないくらい、検出されたからねぇ」

エレン「にゅうさ・・?」

ハンジ「疲れてたって、考えてもらって問題ないよ。一体、あそこで彼女と何をしていたんだい?」

エレン「彼女?」

ハンジ「君の同級生だよ。アニ・レオンハート」


エレン「アニ? アニも居たんですか?」

ハンジ「覚えてないのかい?」

エレン「はい・・・全く・・・何であそこに居たのかすら・・・」

ハンジ「・・・エレン、ここ何日かで覚えていることはあるかい?」

エレン「え?・・・えっと・・・その・・・」

ハンジ「そうか・・・いや、もう良いよ」

エレン「へ?・・・」


ハンジ「アニ・レオンハートの担当医師から、彼女が軽度の記憶障害であるということを聞いたんだけど」

エレン「アニが?」

ハンジ「君もその可能性がある・・・かな。頭が痛いとかはないかい?」

エレン「特には・・・」

ハンジ「そうかい。しかし、外傷が無いことから考えると・・・」

ハンジ(可能性が高いのは、極度の精神的なストレスかな?)

ハンジ(・・・だとすると、非常にデリケートな問題だ・・・)


エレン「・・・ハンジさん?」

ハンジ「・・・なんだろね?」

エレン「俺に聞かれても・・・」

ハンジ「あはは。そうだよねー。とりあえず、診察はこのくらいかな」

エレン「あの・・・俺は・・・」

ハンジ「ああ、もう動いて大丈夫。だけど、今日一日はここで休んでいってもらうよ」

エレン「えっ?・・・」


ハンジ「折角の休日を、病院で過ごすのは気分悪いと思うけど、我慢してね」

エレン「いえ・・・その・・・」

ハンジ「学校かい? 今日一日安静にしていれば、明日からは問題なく通えるよ」

エレン「学校・・・?」

ハンジ「まぁ、そういうことだから、今日一日は大人しくしているんだよ?」

エレン「はい・・・あの、ハンジさん」

ハンジ「ん?なんだい?」


エレン「アニはどこに?」

ハンジ「えっとねぇ・・・」

ハンジ(・・・記憶障害の原因が、精神的ストレスだとすれば、2人を引き合わせるのは、リスキーな気もするが・・・)

ハンジ(・・・隠しきれるものでもない・・・か)

ハンジ「・・・この病室を出て、二つ右となりだよ」

エレン「ありがとうございます。ハンジさん」

ハンジ「良いって。それじゃ、エレン お大事に。何かあったら呼んでね」

エレン「はい」


(バタン)

エレン(・・・なんだか、勢いに押されちまったけど・・・)

エレン(・・・とりあえず、アニの顔でも見るか・・・)

――――――

――――

――

いつもいつも、コメントありがとうございます。m(_ _)m

>36さん
ほぼ同じ時代をイメージしております

続きです


(コンコン)

「誰?」

エレン「俺だ。エレンだよ」

「・・・入って・・・」

(ガチャ)

エレン「・・・よぉ・・・アニ・・・」

アニ「・・・」


エレン「あのさ・・・」

アニ「・・・温厚な性格で物静か。それ以外の特徴は、これといって特に無い・・・」

エレン「は?・・・なんだそりゃ?」

アニ「アルミンから聞いた、アンタの性格だよ」

エレン「アルミンが? 嘘だろ? どっちかって言ったら、アルミンじゃないか」

アニ「・・・そうかい・・・ついでだから、アンタに一つ聞きたいことがある」

エレン「なんだよ?・・・」


アニ「ここはトロスト区で、この窓は北側・・・これで何か、思いあたる事はある?」

エレン「・・・北側なら、ウォールローゼが見えないとおかしいだろ?」

アニ「・・・そう・・・つまりアンタは、私と同じ世界のアンタなんだね・・・」

エレン「同じ・・・世界・・・?」

アニ「アンタだって、気づいてるんだろ? ここが、私たちの居た世界じゃないって事をさ・・・」

エレン「・・・」


アニ「恐らく、ここには人類を襲う巨人なんか居ない」

エレン「巨人が・・・居ない・・・」

アニ「だから壁なんか必要ないのさ・・・」

エレン「・・・それって・・・」

アニ「・・・平和な世界なんだよ・・・」

エレン「平和な世界・・・か・・・何だって、こんな所に来ちまったんだ?」


アニ「アタシが知るわけ無いだろ・・・」

エレン「そうだよな・・・」

アニ「それに『こんな所』とは、随分な言い様だね」

エレン「・・・悪い・・・平和なのは、いい事だよな・・・」

アニ「・・・別に、謝って欲しい訳じゃないさ・・・」

エレン「・・・そうか・・・」


アニ「それより、この世界って凄いんだよ」

エレン「何が?」

アニ「良いから見てな・・・」

エレン「・・・何だ? その壁から生えた、鉄の突起」

アニ「これをこうすると・・・」キュッキュッ

(ジャアアアー)


エレン「うおおおおおお! スゲェ、水が出た・・・」

アニ「だろ? アタシも驚いたよ」

エレン「マジかよ・・・どうなってるんだ?」

アニ「詳しくは、アタシも知らない」

アニ「けど、ここじゃ、井戸から水汲む奴なんか居ないんだろね」

エレン「だよな・・・こんな簡単に水が出せるなら・・・」


アニ「これだけじゃなんだろうけど・・・どう? いい所だと思わない?」

エレン「楽しそうだな、アニ」

アニ「まあね・・・」

エレン「そういえばお前、記憶障害って聞いたけど?」

アニ「・・・そうね・・・『この世界』でのアタシの記憶なんて無いから・・・」

エレン「!?・・・お前わざと?・・・」


アニ「無いものは無い・・・ただ、それだけのことだよ・・・」

エレン「そうか・・・」

アニ「アンタはどうなの? この世界での記憶があるの?」

エレン「ない・・・」

アニ「そう・・・」

エレン「それどころか、問診でオドオドしてたから、俺まで記憶障害扱いされちまった・・・」

アニ「ふぅん・・・アンタにしちゃ、上出来なんじゃない?」

エレン「うるせぇ・・・」


ちょっと短いですが、今回ははここまでです

見て下さっている皆さん、ありがとうございます。m(_ _)m


皆様、毎度コメント、本当にありがとうございます。m(_ _)m

続きです。


(コンコン)

「アニ 僕だけど、入っていいかな?」

アニ「・・・どうぞ」

(ガチャ)

「あ、居た居た!エレン。探したよ。気分はどう?」


エレン「ああ、アルミンって・・・おまっ!!・・・何だその格好?」

アルミン「ああ。このスカート?・・・ちょっと、短いかな?・・・///」

エレン「いや、そうじゃなくて・・・」

アルミン「洗濯が間に合わなくて、これしか無かったんだよ」

エレン「いや・・・その・・・」


アルミン「半年位前は、丁度良い長さだったんだけど、僕も少し背が伸びたから・・・」

エレン(わっかんねぇ!・・・どういうことだよ?・・・)

アニ(はぁ~・・・コイツ、アルミンが女だって、気づいてなかったんだね・・・)

エレン「アニッ!」クルッ

アニ(こっち見んじゃないよ!)

アニ(・・・つか、今アタシの胸見たろ?・・・どうせ、アルミンと比べたんだろけどさ・・・)イラッ


アニ「アルミン。その格好、エレンにはちょっと刺激が強いみたいだよ」

アルミン「え?・・・ああ、ゴメン。でも・・・つまり・・・それって・・・///」

「ちょっと。皆声が大きい。ここは病院よ。もう少し静かにして」

アルミン「ああ、ミカサ ゴメンね」

エレン「ミカサ・・・」


ミカサ「まったく・・・それよりエレン、具合はどう?」

エレン「ああ。お陰ですっかり良くなったよ。ありがとな ミカサ」

ミカサ「ううん。良いの」

アニ「・・・そうでもないみたいだよ・・・」

ミカサ「どういうこと?」

アニ「エレンもアタシと同じで、記憶が飛んでるみたいだからね」


ミカ・アル「えっ!?」

エレン(アニ・・・)

ミカサ「本当なの?エレン」

エレン「その・・・なんて言うか・・・」

アルミン「エレン・・・僕のこと、覚えてないの?」

エレン「・・・スマン・・・あまり詳しくは・・・」


「ああ、ミカサ。ここに居たのか」

ミカサ「ハンジ先生。何か?」

ハンジ「悪いけど、カルテの整理を手伝って欲しいんだ。私の診察室まで来てもらえるかい?」

ミカサ「分りました」

ハンジ「それと・・・アルミンだっけ?」

アルミン「僕ですか?」


ハンジ「不躾で悪いんだけど、君にも手伝って貰えると助かるな」

アルミン「ええ・・・良いですよ」

ハンジ「助かるよ。エレンと・・・君がアニだね? 2人はゆっくり休んでいてね」

エレン「はい」

アニ「・・・」


(バタン)

エレン「アルミン行っちまったか・・・って、アニ! アルミンって・・・」

アニ「・・・見りゃ分るだろ。 アンタには、女の子以外に見えるの?」

エレン「・・・いや・・・けど、何でアルミンが?・・・」

アニ「知らないものは、答えられない」

アニ「それともアンタは、アルミンが女装趣味の変態って方が、まだマシとでも言いたいの?」

エレン「・・・そうじゃねぇけどさ・・・」


アニ「・・・だったら、受け入れるしか無いだろ? この世界の現実を」

エレン「そうだよな・・・」

エレン「・・・それに、よくよく考えたら、アルミンは俺の大事な親友だ」

エレン「男だろうが、女だろうが関係ねぇ・・・」

アニ「・・・そうかい」

アニ(今のアルミンが聞いたら、どんな顔するんだろうね・・・)


エレン「それより、アルミンにこの世界のこと、少し聞きたかったな」

アニ「大方、アンタが記憶を失ってるから、サポートしてやれと言われるんだろ」

エレン「スゲェなアニ、そんな事分るのか?」

アニ「病院の手伝いでもないアルミンが、何故か連れてかれるんだ・・・」

アニ「普通に考えれば、誰でも分るだろ?」

エレン「そうか?」


アニ「アタシからすれば、分らないアンタの方が、どうかしてるよ」

エレン「んなこと言われてもな・・・ハンジさんとアルミンって、調査兵団ではよく喋ってるから」

アニ「この世界にあるの? 『調査兵団』が」

エレン「ぅ・・・」

エレン(そうだよな・・・現に、ハンジさん医者だもんな・・・)


アニ「とはいえ、この世界とアタシ達の世界とは、重なっている部分があるからね・・・」

エレン「重なっている部分?」

アニ「アンタとミカサとアルミンは、シガンシナの幼馴染らしいよ」

エレン「そうか・・・」

アニ「他にも、色々あるとは思うけど・・・これ以上、アルミンに聞いて回る余裕は無かったよ」


エレン「十分だよ。ありがとな、アニ」

アニ「・・・礼なんていいよ」

エレン「そう言うなって。今日は、アニに助けてもらってばかりだからな」

アニ「・・・そう。 なら、アンタには、アタシを守って欲しいもんだね・・・」


エレン「守る?アニを? 何からだ?」

アニ「・・・それくらい、自分で考えな・・・」

エレン「分ったよ・・・」

アニ(どうせ、何にも分らないんだろうけどね・・・)


エレン「それより、これからどうしたものかな・・・」

アニ「少なくとも、この世界で生きることになるんだ」

アニ「この世界の情報を集めないと、何も出来ないだろ?」

エレン「なるほどな・・・ホント、アニが居て助かるぜ。 やっぱ、憲兵団って凄いんだな」

アニ「・・・そうでもないよ・・・」


(コンコン)

「アニ、エレン 居る?僕だけど、入っていいかな?」

アニ「どうぞ」

(ガチャ)

アルミン「ありがとう」



エレン「随分早かったな」

アルミン「え?・・・あ、うん ミカサも居たから、すぐ済んだんだよ」

アニ「そう・・・」

アルミン「それより、お手伝いのお礼にって、ハンジ先生からリンゴ貰ったんだ」

アルミン「2人とも食べるでしょ?」



エレン「リンゴなんて、凄い貴重品じゃないか・・・良いのか?」

アルミン「え?・・・ああ、うん 勿論だよ」

エレン「ありがとな」

アルミン「いいよ、そんな・・・実際にくれたのは、ハンジ先生だから」



アルミン「それより、皮むいてあげるよ。アニ、ベッドの上に座っていいかな? 少し疲れちゃって・・・」

アニ「構わないよ」

アルミン「ありがとう・・・よいしょっと」ボフッ

アニ「・・・アルミン・・・」

アルミン「何? 手なら洗ったよ」シャリシャリ


アニ「そこにある毛布を、ひざ掛け代わりに使うと良いよ」

アルミン「ん? 別に、寒くないけど?」シャリシャリ

アニ「・・・パンツ見えてる・・・」

アルミン「えええ? ちょっ・・・嘘!?///」

エレン「落ち着けアルミン。ナイフ振り回すなよ」


アルミン「・・・エレン・・・見た?///」

エレン「ああ」

アルミン「わわわ 見られちゃった・・・どうしよう///」アタフタ

アルミン(それで、さっきハンジ先生もクスクス笑ってたのか・・・)


エレン「だから落ち着けって。俺は別に、何とも思っちゃいねぇから」

アルミン「え?・・・」

アニ(コイツは・・・)

アニ「・・・ほら、これでもう大丈夫だから」

アルミン「・・・ああ、ありがとうアニ」


アニ「それよりも、少し話しを聞かせてもらっていいかな」

アルミン「何の話かな?」シャリシャリ

アニ「学校について・・・かな」

アルミン「学校かぁ・・・っと、はい。リンゴ」

エレン「おお、ワリぃな アルミン」

アニ「どうも・・・」


アルミン「で、何が聞きたいの?」

アニ「そうだね・・・アンタ何かある?」

エレン「うっめぇ!このリンゴ。アニも早く食べろよ」シャクシャク

アニ(蹴りたい・・・)イラッ

アルミン「そんなに好きなんだ。リンゴ もう一つあるから、皮むこうか?」

エレン「ああ、頼むよ」シャクシャク

アルミン「うん 良いよ」


アニ「・・・とりあえず、何か教えてもらえる?」

アルミン「学校についてだね。分ったよ」シャリシャリ

――――――

――――

――


いつも、コメントありがとうございます。

更新遅くなって、スミマセン。

>78さん
79さんのおっしゃる通り、女の子をイメージしております。

今回短いですが、続きです。



アニ「・・・なるほどね」

アルミン「どう? 何か思い出せた?」

エレン(同期・・・いや、同級生はほとんどが104期なんだな・・・)

エレン(まぁ、南方面の同世代を集めれば、そうなるか・・・)

エレン(それにしても・・・トーマス、ナック、ミリウス、ミーナ、それにマルコ)

エレン(皆居るんだ・・・俺は、どんな顔して合えばいいんだ?・・・)


エレン「・・・」シャクシャク

アニ「・・・ねぇアルミン」

アルミン「何?」

アニ「同級生に居なかったみたいなんだけど・・・」

アニ「ライナー・ブラウンって名前と、ベルトルト・フーバーって名前が、頭にあるんだ・・・」

エレン「そう言えば・・・何か知ってるか?」


アニ(・・・壁外出身のアタシがここに居るんだ・・・)

アニ(・・・奴らもきっと・・・)

アルミン「ああ ライナー先輩とベルトルト先輩だね」

エレン「先輩?」

アルミン「2人ともサッカー部の先輩で、壁と門って呼ばれている、守備の要だよ。学園の有名人だしね」


アニ「・・・壁と・・・門・・・」

アルミン「そうだよ。ライナー先輩がディフェンダーで『壁』、ベルトルト先輩がゴールキーパーで『門』さ」

アニ(・・・逆なんだけど・・・)

アニ(しかも、『守る側』になるなんて・・・随分な皮肉だね・・・)

アニ(とりあえず、居るのが分かっただけで、良しとするかな・・・)


エレン「ふーん。先輩なんだ」

アルミン「他には何かある?」

アニ「アタシはもういいよ。アンタは?」

エレン「いや、俺も・・・今のところは」

アルミン「そっか・・・何かあったら、何でもいってね」


エレン「助かるよ」

アルミン「お安い御用さ。 と言っても・・・」

アルミン「・・・僕って鈍臭いから、他には勉強くらいしか教えられないけど・・・」

エレン「そんな事無いって、もっと自分に自身持てよ」

アルミン「え?・・・そうかなぁ///」


アニ「・・・話の途中で、悪いんだけど」

エレン「ん?」

アルミン「何?」

アニ「・・・今日は色々あって、少し疲れた・・・」

アニ「そろそろ休ませて貰えると、ありがたいんだけど・・・」


エレン「ああ、ワリイ。すっかり長居しちまったな」

アルミン「そうだね。僕らはそろそろ出てくよ」

アニ「そう・・・悪いね、追い出すような感じで」

アルミン「そんな事無いよ。アニ お大事にね」

エレン「じゃあ、またな」

(バタン)


アニ「・・・」ボフッ

アニ(・・・ふぅ・・・どうなっちまうんだろね・・・これから・・・)

アニ(ただ、今は『戦士』としての勤めは、休業・・・かな)

アニ(・・・だとすれば、少しのんびりさせて貰おうか・・・)

アニ「・・・」ゴロン

アニ(・・・アイツ、気づくかな?・・・)


今回はここまでです。

次回は週末に更新予定です。

お付き合いして下さっている皆様、本当に感謝です。m(_ _)m


毎度、コメントありがとうございます。m(_ _)m

続きを投下いたします。


アルミン「アニ、早く良くなるといいね。エレン」

エレン(アルミン・・・いつも、お日様のにおいがしてたんだけど・・・)

エレン(今は、女っぽいにおいがする・・・)

エレン(・・・俺の知ってる、アルミンじゃ無いんだな・・・)

アルミン「・・・エレン? どうしたの?」


エレン「あ・・・いや・・・」

アルミン「エレンも無理しないで、寝てたほうが良いよ」

エレン「平気さ。それより、アルミン」

アルミン「何?」

エレン「ミカサやアルミン、それに・・・俺のこと、少し聞かせてもらっていいか?」


アルミン「うん、いいよ。どこでお話しようか?」

エレン「そうだな・・・俺の病室でどうだ?」

アルミン「えっ?・・・それって、2人っきりで?///」

「その心配は無いよ。丁度、私も仕事が終わったから」

アルミン「・・・あぁ、ミカサ・・・」


ミカサ「それに、カルラおば様も、エレンの病室で待っているし」

エレン「母さん帰ってきたんだ」

アルミン「そっかぁ・・・じゃ、ゆっくり話せるね・・・」

(ガチャ)

「あら、エレン。お帰りなさい」


エレン「ああ、母さん・・・って、何その袋の量・・・」

カルラ「ああ、これ? 久しぶりのトロストだから・・・つい・・・ね?」

エレン「つい・・・って、こんなに持てるの?」

カルラ「持てるから、ここにあるんでしょ?」

エレン「イヤイヤイヤイヤ・・・」


カルラ「とにかく、そろそろ定期便の時間だから、帰るわね」

エレン「えっ?・・・もう帰っちゃうの?」

カルラ「アナタの無事な姿を見れて、一安心したから・・・」

エレン「そっか・・・」


ミカサ「おば様。私とアルミンで、船着場まで、お荷物お持ちしましょうか?」

カルラ「あら、助かるけど・・・良いの?2人とも」

ミカサ「はい、勿論です」

アルミン「ええ、折角お会いできたんですしね」


カルラ「ありがとうね。 あ、そうだ。良かったら、これ貰ってくれないかしら?」ゴソゴソ

ミカサ「!?・・・おば様、これって・・・」

アルミン「物凄く高級な、チョコレートじゃないですか!」

カルラ「ご近所様へのお土産と思ってたんだけど・・・」

カルラ「エレンを助けてくれた2人に、まだ何も、お礼をしてなかったからね」

ミカサ「そんな・・・良いんですか?貰ってしまって・・・」


カルラ「良いのよ。まだ何個かあるし」

アルミン「凄い・・・こんなの、僕食べたこと無いよ」

カルラ「喜んでもらえて何よりよ」

エレン「俺も荷物運ぶの手伝うよ」

カルラ「エレン 今日一日病院でゆっくり休むって、先生との約束があるでしょ?」

エレン「いや・・・別に、どこも悪くないし・・・」


カルラ「いいから、大人しくしていなさい。いいわね?エレン」

エレン「でもさ・・・」

(どうして、いつも母さんの言うことを聞かないのっ!)

エレン「!?」

(最後くらい言うことを聞いてよっ!)

エレン「ッ・・・分ったよ・・・」


カルラ「そう。じゃエレン、またね。しっかりやるのよ」

ミカサ「エレン。直ぐ戻るから、しばらくゆっくりしてて」

アルミン「戻ったら、またリンゴむいてあげるからね」

エレン「ああ、2人とも悪いな・・・」

(バタン)

エレン(・・・母さん・・・元気で・・・)


 
-------トロスト区 船着き場-------
 

カルラ「2人とも、本当にありがとうね。お陰で、大助かりよ」

ミカサ「良いんですよ、おば様」

アルミン「あのチョコに比べれば、この位、何でもないですから!」

カルラ「ホントに頼りになるわね。 ところで、エレンなんだけど」


ミカサ「・・・何でしょうか?」

カルラ「ちょっと見ない間に、あの子、随分と逞しくなったみたいなんだけど・・・」

アルミン「分りますか?」

カルラ「ええ。これでも母親ですから」

ミカサ「あの・・・」


カルラ「・・・フフッ やっぱりいいわ。 エレンだって、男の子だしね」

ミカサ「そうですか」

カルラ「それじゃあね2人とも。エレンのこと、よろしく頼むわね」

ミカ・アル「はい」

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-------

アルミン「・・・行っちゃったね」

ミカサ「そうね。 で、アルミン エレンの事なんだけど・・・」

アルミン「うん。少し話した限りだけど・・・やっぱり性格が変わってる・・・」

アルミン「なんか、ワイルドな感じ・・・かな」


アルミン「でもね、根っこの部分は、優しいエレンのままだよ」

ミカサ「そう・・・それが、エレンの望んでいた、自分の姿・・・」

アルミン「けどさ、ハンジ先生だって、まだ原因が確定したわけじゃないって・・・」

ミカサ「アルミン。先生の言ったこと、思い出して」


アルミン「・・・えっと・・・」

アルミン「極度の精神的ストレス・・・例えば、絶望的な恐怖を体験をした事によって」

アルミン「自分を守る為、無意識に人格などを含めた記憶を閉ざしてしまった・・・」

アルミン「その際に出てくる性格が、自分の憧れている理想像・・・」

アルミン「・・・いわゆる、精神病の可能性が高い・・・」


ミカサ「私は、先生の診断が正しいと思う・・・」

アルミン「そう・・・かな?・・・」

ミカサ「他の要因が、見当たらないのだから・・・」

アルミン「そうだね・・・」


アルミン「それよりさ、ミカサはエレンの記憶が戻ったほうが良いと思う?」

ミカサ「記憶が戻ると言うことは・・・原因となった、精神的ストレスの事も思い出すと言うこと・・・」

ミカサ「それによって、エレンが苦しい思いをするくらいなら・・・今のままで良いと思う」

アルミン「・・・僕もそう思う。性格が変わろうと、エレンはエレンだしね」

ミカサ「うん。だけど、何がきっかけになって、再びエレンに記憶が戻るか分らない・・・」


アルミン「その時は、僕たちがしっかり、サポートしてあげないとね」

ミカサ「そうね、アルミン。 そろそろ、戻ろうか?」

アルミン「うん。 あ、そういえば、今のエレンってリンゴが大好きなんだよ」

ミカサ「そうなんだ。何でかしらね?」フフッ

アルミン「分んない。アハハハハ」


今回はここまでです。

次回は、来週末に投下を予定しています。m(_ _)m

現パロなのかパラレルワールド的なものなのかわからなくなった


見て下さっている皆様、色々なコメントありがとうございます。

>>117さん
何点か近現代的なものが出ておりますが、
基本パラレルワールドを意識しております。

続きです


 
-------学園前-------
 

エレン「これが学校か・・・スゲエな、シーナ内部の図書館みたいだ・・・」

アニ「ちょっとアンタ、キョロキョロしすぎ。もっと自然に振舞えないの?」

エレン「そんな事言われてもな・・・憲兵団なら、こういう場所に慣れてるかも知れないけど・・・」

アニ(ハァ・・・先が思いやられるよ・・・)


「おはよう2人とも」

エレン「おう おはよう、アルミン」

アニ「おはよ・・・」

アルミン「よかった、ちゃんとこれたんだね」

エレン「まぁ・・・な・・・」

エレン(この場所、訓練兵団の校舎だからな・・・)


「おはよう エレン アニ」

アニ「おはよ・・・」

エレン「おはようミカサ」

ミカサ「教室の場所は分る?」

アルミン「それなら、昨日僕が言っておいたよ」

ミカサ「そう」


アルミン「とりあえず、中に入ろうよ」

ミカサ「そうしましょう。エレン アニ」

エレン「ああ」

アニ「・・・わかった」



-------教室内-------


「オッス エレン」

エレン「よぉ、コニー」

コニー「聞いたぜ、お前記憶無いんだってな」

エレン「まぁ・・・な」

「って事は、俺とミカサが付き合ってる事も、覚えてないのか?」


エレン「ジャンか。ミカサと付き合ってるのか?」

ミカサ「ジャン、いい加減にして。アナタと私は、タダのクラスメイト」

ジャン「そんな怒るなってwww軽いジョークだよwww」

ミカサ「ジョークにしては面白く無いし、品が無い。ついでに、何かめんどくさい」

ジャン「」



エレン「・・・流石に言いすぎじゃねえか?」

アルミン「いいんだよエレン。ジャンはこの位じゃないと、成長しないから」

エレン「そうなのか?」

エレン(兵士としては、物凄く成長したんだけどな・・・)


「アハハ。確かに、ジャンの空気読めなさは、結構ひどいかもね」

エレン「あ・・・」

アニ「・・・ッ」

エレン(・・・マルコ・・・)


マルコ「どうしたのエレン? それにアニまで。2人して、僕の顔見てうつむいて・・・」

エレン「いや・・・何でもない」

アニ「ああ・・・何でもないよ」

マルコ「・・・そう?」

アルミン「・・・」


「おはようございます皆さん。おそろいで、何か楽しそうですね?」

エレン「ああ、おはようサシャ」

サシャ「おや? エレン、何だか雰囲気変わりましたか?」

エレン「・・・そうかもな・・・」


コニー「そういや、そうだな。 お前、マルコとキャラ被ってた位だったのに」

マルコ「そうかな? エレンの方が、僕より大人しかったよ?」

ジャン「ハッ! どうせアレだろ? 女子の気を引くため、イメチェン狙いで、キャラ作ってるんだろ?」

エレン「何言ってるんだ? 良く分からねえけど・・・」

ミカサ「エレン、一々ジャンの言うことを気にしなくていいよ。馬語は、馬にしか理解できない」

ジャン「」


エレン(本当にヒッデェな・・・一体、ジャンが何したって言うんだ?・・・)

アルミン「アハハ。流石に、ジャンが可哀そうになってきたよ」

ジャン「・・・笑いながら、言うなよ・・・傷つくぜ・・・」

アルミン「それより、サシャ。ゴメンね、言ってなかった・・・」

サシャ「ん? 何です、アルミン?」

ジャン(スルーかよ!)


(ヒソヒソヒソ)

サシャ「そうだったんですか・・・」

エレン「そんな顔すんなよ。 別に、サシャが悪いわけじゃ無いんだし」

サシャ「そうですか? それにしても、何か体つきまで変わってませんか?エレン」

エレン「そうか?」


コニー「そういやお前、制服ピチピチじゃねーか」

ジャン「ほんとだ。けど、太ったようには見えねーけどな・・・」

エレン「間違えて、小さい服着ちまったのかな?」

マルコ「・・・エレン、ちょっといい?」

エレン「ん?どうした、マルコ」


(ツンツン)

エレン「お、おい・・・よせって・・・マルコ・・・」

マルコ「ウワッ!?・・・何これ・・・」

ジャン「ん? どした?」

マルコ「エレン・・・すごい筋肉じゃないか・・・」


(ツンツン)

コニー「うおおおお! スゲー! ホントだ! まるで、ライナー先輩みたいじゃねーか!」

ジャン「マジかよ・・・どうして・・・こんな・・・」

エレン「チョッ、おい・・・皆、触るなって・・・」

ミカサ(触りたい・・・)


「わ・・・私も触って・・・いいかな?・・・///」

ミカサ「駄目に決まってるでしょ」

アルミン「そうだよ! 僕だって触りたいのに」

ミカサ「アルミン・・・」

アルミン「あっ・・・いや・・・その・・・///」


「2人とも・・・そんなに怒らなくったって・・・」

ミカサ「別に、怒ってなんかいないよ。ただ、駄目なものは駄目」

エレン「ちょっ・・・いい加減にしろって。 悪いなクリスタ。くすぐったいの苦手なんだよ」

「クリスタ?・・・誰? それ?」

エレン「えっ?・・・お前、クリスタじゃないのか?・・・」

「・・・違うよ・・・」


アルミン「ああ・・・ヒストリアは可愛いから、分ると思って、言わなかったんだけど・・・」

エレン「ヒストリア?・・・」

アルミン「うん。彼女はヒストリア・レイス。レイス家の御令嬢だよ」

エレン「ヒストリア・・・レイス・・・」

エレン(どうみても、クリスタなんだが・・・別人か?・・・)


ヒストリア「ゴメン・・・アルミン・・・家の事は、あまり・・・」

アルミン「あ・・・ああ、ゴメンねヒストリア・・・」

ヒストリア「あ・・・こっちこそ何かゴメンね。それより、アニも私の事、覚えてないの?」

アニ「え?・・・」


アニ(・・・ヒストリア・レイス・・・か)

アニ(確か、ウォール教の連中を尾けてた時、奴等が言ってた、クリスタの本名・・・)

アニ(・・・なるほど。ここじゃ、偽名を使う必要が無いって事ね・・・)

アニ(・・・家の厄介ごとは、ありそうだけど・・・)


ヒストリア「アニ?・・・」

アニ「・・・ゴメン・・・」

ヒストリア「・・・そっかぁ。でも、私だけ忘れられてるなんて、ちょっとショックかも・・・」

エレン「あ・・・」


ヒストリア「ううん、良いの。しょうがないよね・・・」

エレン「ワリイな・・・」

ヒストリア「いいよ。その代わり、触らせて!」

ミカ・アル「駄目ッ」

エレン(何でお前らが答えるんだよ・・・)


ヒストリア「ちぇーっ、残念。アニも触りたかったよね?」

アニ「アタシは・・・別に・・・」

アニ(コイツの体、同期の中じゃ、普通~やや細い位だし・・・)

ヒストリア「ホントに? って、アニ雰囲気変わったよね?」

アニ「え?」


マルコ「うん・・・それ、さっきっから僕も思ってた」

マルコ「何か、大人っぽい、アンニュイな感じだよね」

アニ「そう?・・・自分じゃ、分らないから・・・」

サシャ「う~ん 2人して雰囲気が変わってしまうなんて・・・」

サシャ「ハッ!? もしかして、2人は・・・」


ミカサ「サシャ」

サシャ「何です?ミカサ」

ミカサ「もし貴方が、つまらないジョークを言うつもりなら、私は・・・」

サシャ「あ、いえ、私は別に・・・」

ミカサ「貴方が死ぬまで、殴るのをやめないッ・・・」ゴゴゴゴゴ

サシャ「ヒィィイ・・・何でもないですぅ・・・」


ジャンマルコニ(マジコエー・・・)

アルミン(泣く位で、やめてあげようよ・・・)

アニ(ホント・・・ブレ無いね、コイツは・・・)

エレン(ミカサ・・・そんな細腕じゃ、殴って殺すなんて無理だろ・・・)

ヒストリア(エレン・・・細マッチョって感じで、ちょっと素敵かも///)


(キーンコーンカーンコーン)

アルミン「っと、席に着かなきゃ。先生来るよ」

ミカサ「そうね」

(ガチャ)

「早く席に着け、30秒以内だ」


エレン(!?・・・キース教官じゃない・・・あれは・・・確か、駐屯兵団の・・・)

「イェーガー、レオンハートの2人については、報告を受けている」

エレン(えっと・・・名前が出てこない・・・)

「当面は、アッカーマンとアルレルトが、2人をサポートすると聞いているが?」

ミカサ「はい先生。その通りです」


「よろしく頼む。 どうした、イェーガー? 目が泳いでいるが、私の事も忘れてしまったのか?」

エレン「ええと・・・その、名前が・・・」

アルミン「しまった! エレンに、先生の事言ってなかった・・・」

アルミン「・・・なんて役立たずなんだ、僕は!」

ミカサ「落ち着いて、アルミン。自分を責めないで。 私も忘れてたし・・・」


「そうか。 レオンハート、お前はどうだ?」

アニ「名前は覚えています。リコ・プレツェンスカ先生。ですが・・・」

リコ「私のフルネームが言えれば十分だ」

エレン(そうだ・・・思い出した・・・トロスト区奪還戦の時の・・・)

ジャン「ハァ・・・リコちゃん、今日も凛々しくて、カッコエー・・・」

コニー「オヤジか!? お前は」


リコ「聞こえているぞ、キルシュタイン。出来れば、心の中だけに留めて置いて欲しいものだな」

(ドッ ハハハハ)

ジャン「あ・・・マジサーセン・・・」

リコ「うむ。イェーガーには、多少不安要素があるが、授業を開始する」


今回はここまでです。

次回も来週末に投下を予定しております。

お付き合いして下さっている皆様、改めまして感謝です。m(_ _)m

よいお年を!


あけましておめでとうございます。m(_ _)m

遅くなりましたが、続きを投下させていただきます。


(キーンコーンカーンコーン)

リコ「・・・本日の授業はここまでとする」

エレン(はぁ・・・やっと終わった・・・)

エレン(つーか、何一つとして、巨人と戦うのに必要なものがねぇ・・・)

エレン(・・・当たり前か・・・巨人なんて、いないんだしな・・・)


リコ「イェーガー、レオンハートの2人は、後で、職員室の私のところに来るように」

アニ「はい」

エレン「分かりました」

リコ「うむ。それではな」

(ガチャ)


コニー「っしゃぁー! 終わったー!」

マルコ「元気だね、コニー」

コニー「ったりめーだろ! これから部活なんだ。 意地でもレギュラーとってやるぜ!」

ジャン「ま、オメーのポジションは、ライバルあんま居ないからな・・・」

コニー「フッ・・・当然だぜ。天才であるこの俺に、ライバルなんか、居やしねーんだからな!」


ジャン「誰もやりたがんねーだけだろ! この馬鹿ァ!!」

コニー「んだと! この馬面ァ!!!」

マルコ「アハハ。2人とも、ホントにウマが合うね」

エレン「何の話だ?」

マルコ「ああ、これからサッカー部の練習なんだ」


エレン「そうなのか」

マルコ「・・・って、僕らがサッカー部員だって、覚えてないんだよね・・・」

エレン「ああ・・・その・・・」

マルコ「いや、良いんだ。それより、興味があるなら、入部する?」

エレン「ん~・・・」


マルコ「そっか・・・今は、それどころじゃないよね」

エレン「悪い・・・マルコ」

マルコ「いやいや、こっちこそ強引だったね。じゃ、僕らは部活だから」

エレン「ああ・・・」


サシャ「精々私たちの分まで、頑張ってくださいねぇ~」ムッスー

マルコ「あ、アハハ・・・ゴメンね、サシャ」

サシャ「仕方ないですよぉ~。うちの学園では、サッカー部様様ですしぃ~」ムッスー

サシャ「べ~つに、マルコが悪いわけじゃないですからぁ~」ムッスー

マルコ「アハハハハ・・・それじゃ・・・」


エレン「えらく不機嫌だな・・・どうした?」

サシャ「そりゃそうですよエレン・・・今日は、サッカー部のフィジカルトレーニングをやるからって」

サシャ「私たち陸上部のトラックが、取られてしまったんですからねぇ~」ムッスー

エレン「陸上部?」

サシャ「そういえば・・・覚えてないんですよね?エレン」


エレン「ああ・・・」

アルミン「サシャは陸上部員で、陸上部のエースって呼ばれているんだよ」

エレン「へぇ。凄いじゃないか、サシャ」

サシャ「いやぁ・・・それほどでもぉ///」

エレン「でも、走るくらいなら、その辺りで出来るんじゃないか?」

サシャ「それが、部員のモチベーション下がって、今日はお休みとなっちゃいましたのでぇ~」ムッスー


エレン「・・・」

エレン(モチベーションが下がった程度で、休みになるのか・・・)

アルミン「まぁ、残念だけど、仕方ないよね。サシャは不本意だろうけど・・・」

サシャ「まったくです! 何か怒ったら、お腹すいてきたので、皆でケーキでも食べに行きませんか?」

エレン(どういう理屈だよ・・・)


アルミン「うん。いいよ サシャと同じペースでは食べれないけど・・・」

サシャ「ミカサはどうです?」

ミカサ「いいよ。今日非番だから」

サシャ「ヒストリアは?」

ヒストリア「いくいく~♪」


サシャ「アニはどうします?」

アニ「アタシは・・・行かない」

サシャ「どうしてです? 行くのなら、待っていますよ?」

アニ「少し学校を見て回りたいんだ・・・何か思い出すかも」

サシャ「そうですか・・・それじゃ、無理にお誘いできませんね」


エレン「アニ、俺も一緒に行くよ」

ミカサ「・・・ッ」

アニ「・・・悪いけど、一人で見て回りたいんだ・・・」

エレン「そうか・・・」

アニ「何か思い出したら、アンタにも教えるからさ・・・」

エレン「分った」


ミカサ「・・・」

サシャ「エレンはどうします?」

エレン「・・・女ばっかりだし、俺は遠慮しとくよ」

サシャ「まぁ・・・そうですよね・・・」

ミカサ「エレンは職員室に行った後、どうするの?」

エレン「そうだな・・・俺は、町を回ってみようかな」


ミカサ「なら、私も一緒に行く」

アルミン「あ、僕も」

エレン「悪い・・・その・・・俺も、一人で見てみたいんだ」

ミカサ「でも・・・」

エレン「それに、2人にはここの所、ずっと迷惑かけてるしな」


ミカサ「迷惑だなんて・・・そんな」

アルミン「そうだよ。水臭いよ、エレン・・・」

エレン「とにかく、今日は皆で楽しんでくれよ」

エレン「また今度、別の機会に、町を案内してくれよな」

ミカサ「・・・分った。アルミン、今日はエレンの言うとおりにしましょう」

アルミン「そうだね。エレンがそういうなら・・・」


エレン「じゃ、またな」

ミカサ「うん・・・」

アルミン「気をつけてね」

エレン「ああ。それじゃ、行くか。アニ」

アニ「そうね」


 
-------職員室前-------
 
(コンコン)

エレン「エレン・イェーガー、アニ・レオンハート両名、お呼びにより、参上いたしました」

アニ(このバカっ・・・ここは軍隊じゃ無いんだよっ!)

リコ「・・・何をかしこまっているのだ?・・・良いから、楽にして入ってこい」

エレン「ハッ 失礼します」


(ガチャ)

リコ「・・・表情が硬いぞ、イェーガー。 別に、説教をする訳では無いのだから、もっと楽にしろ」

エレン「あ・・・ハイ」

リコ「お前もだ、レオンハート。 そんな警戒心丸出しの目で、私を見るな」

アニ「・・・すみません」


リコ「まぁいい。 話というのは他でもない。 今日一日の学園生活についてだ」

エレン「学園生活・・・ですか?」

リコ「そうだ。 何か、不自由な事はなかったか?」

エレン「えっと・・・」

リコ「些細な事でも構わない。何でも良いんだぞ」


アニ「・・・部分的に、覚えていない事はありますが、不自由という事はありませんでした」

リコ「そうか、頼もしいな。 イェーガーはどうだ?」

エレン「では・・・授業内容が・・・その・・・」

リコ「それは一大事だ。機を見て、補習を行ってやろう」

エレン「あ・・・それは・・・」


アニ(バカには丁度いいかもね・・・)

リコ「遠慮するな。 学園にいる間は、私もサポートを行う」

リコ「だから、困った事があったら、何でも相談してくれ」

エレン「ハッ ありがとうございます」ババッ

アニ(コンの・・・バカっ!)


エレン(この人、こんないい人だっけ?・・・確か、融通の利かなそうな、頭の固い人だった気が・・・)

リコ「・・・イェーガー・・・それは何のポーズだ?」

エレン「アッ!・・・これは・・・」

エレン(しまった・・・ついクセで、敬礼しちまった・・・)

リコ「何か、敬意を表しくれているみたいだが・・・」

エレン「えっと・・・」


リコ「・・・私は教師として、当然の責務を果たしているまでだ」

リコ「だから、お前が気負う事など何もないのだぞ?」

エレン「はい・・・ありがとうございます」

リコ「うむ・・・とりえず、今日はここまでだ」

エレン「ハッ ありがとうございました!」ババッ


エレン「って、うわああああ」

アニ(もぅ突っ込む気力すらないよ・・・)

リコ「ハハハハハ。イェーガー、お前面白いな」

エレン「・・・スミマセン・・・」

リコ「フフフ。別に誤ることはない。 もう行っていいぞ」


エレン「失礼しました・・・」

(ガチャ)

リコ「ふむ・・・」

リコ(ハンジ・ゾエ医師の診断書によると、2人は心の病の可能性が高いという事だが・・・)

リコ(果たして、本当にそうであろうか?・・・)


リコ(担任を受け持っている私からすると・・・)

リコ(見た目がそっくりな別人にしか、見えないのだがな・・・)

リコ(・・・まぁ、私は医師ではない。余計な詮索はやめよう・・・)

リコ(私は教師として、私に課せられた責務を果たすまでだ)

リコ(それにしても、イェーガー・・・面白いやつだな・・・)フフッ

――――――
――――
――

アニ「・・・まったく。アンタって奴は・・・」

エレン「・・・言うなよ・・・自分でも分かってる・・・」

アニ「・・・まぁ、いいさ。 それじゃね・・・」

エレン「なぁ、アニ。 やっぱ俺も・・・」


アニ「言ったろ? 一人で見たいって」

エレン「けどさ・・・」

アニ「アタシは学校、アンタは町。 分担した方が、効率良く情報を集められるだろ?」

エレン「・・・そうだな。 流石、憲兵様だ」

アニ「・・・馬鹿にしてる?」


エレン「え? 褒めたんだけどな」

アニ「・・・そう・・・」

エレン「ついでだから、憲兵流の情報の集め方とかあったら、教えてくれないか?」

アニ「別に・・・特別な事は何もないよ」

エレン「そうか・・・そしたら、何から手を付けていいか、分かんねえな・・・」


アニ「とりあえずは、気軽に楽しんで来れば十分だろ」

アニ「そこから、得られるものだって、あるはずだから」

エレン「良いのか? それで」

アニ「良いんじゃない? 今のアタシたちは、兵士じゃないんだから」

エレン「・・・そうだな・・・」


アニ「じゃあね・・・何かあったら、明日教えて」

エレン「ああ、任せろ」

アニ「気負うなっての・・・気軽にやりなよ」

エレン「お、おう・・・」

アニ(まったく・・・世話の焼ける・・・)


今回はここまでです。

次回も週末に投下予定です。

よろしければ、お付き合いくださいませ。m(_ _)m


いつもいつも、コメありがとうございます。
大変遅くなってスミマセン。m(_ _)m

続きを投下させていただきますが・・・

今回、勢いで作ってしまったので、
箸休め程度に、生温~く見ていただけたら幸いです。


エレン(あちこち見回ってたら、すっかり暗くなっちまったな・・・)

エレン(アルミンがいってたっけ・・・寮の門限までには帰れって)

エレン(まだ時間はあるけど、そろそろ帰るとするか・・・)

「っしょ、っしょ」グッグッ

エレン(ん?あれは・・・サシャか)


エレン「よぉ、サシャ」

サシャ「あれ?エレンじゃないですか。どうしました?こんな所で」グッグッ

エレン「そりゃ俺のセリフだよ。お前こそ、こんな時間に何やってるんだ?」

サシャ「何って・・・これから、走りこみですよ。エレン」グッグッ

エレン「走りこみ? お前、何か悪いことでもしたのか?」

サシャ「別に、懲罰で走らされている訳ではありませんよ。エレン 自主練です 自主練」フーッ


エレン「自主練か・・・偉いな」

サシャ「ありがとうございます。でも、褒められたいからやってる訳ではありませんよ?エレン」

エレン「そうか?『褒められたい訳じゃない』って考えも、偉いと思うけどな」

サシャ「もぅ エレンってば・・・おだてたって、何も出ませんよ?」

エレン「いや・・・そういうつもりじゃないけどさ・・・」

サシャ「分ってますよ。それより、エレンも一緒に走りませんか?」


エレン「ああ、良いぜ。 鈍りそうな体を目覚めさせるには、ちょうど良いかもな」

サシャ「おやおや?陸上部のエースである私に対して、随分な自信ですね?エレン」

エレン「そうか?」

サシャ「ムッ!なら、走りついでに一勝負といきませんか?エレン」

エレン「勝負?」


サシャ「そうです。今からここをスタート地点とする、一周4キロ程のコースを走ります」

エレン「ああ、それで?」

サシャ「エレンはコースが分らないでしょうから、私が先導します」

エレン「ああ、頼むよ」

サシャ「で、エレンが私から引き離されずにゴールしたら、エレンの勝ち」


サシャ「エレンが私から引き離されたり、リタイアしたら私の勝ち。ということで、どうです?」

エレン「ああ。それで良いぜ」

サシャ「ムムッ!本当に大した自信ですね?エレン」

エレン「そうか?」

サシャ「でしたら、負けた方は勝った方に、お腹一杯ケーキをご馳走する。ということでも、良いですよね?エレン」

エレン「ケーキかよ・・・」


エレン(今日見たケーキ屋って、男が入る場所じゃなかったぜ・・・)

エレン(・・・勝って、取り消させるか・・・)

サシャ「はっはーん。やっと、この私に挑んだことが、どういう意味だか分っちゃったんですね?エレン」ドヤァ

エレン「ん?何のことか分らないけど・・・」

エレン「要は、勝ちゃ良いんだよな? 良いぜ」

サシャ「ムムムッ!・・・まぁ良いでしょう。その鼻っ柱、見事にへし折って差し上げますよ!エレン」フンッ

――――――
 
タッタッタッタッ

エレン「なぁサシャ」

サシャ「何です?エレン」ハッ ハッ

エレン「サシャは何で走るんだ?」

サシャ「それは、『何ゆえ人は走るのか?』ということでしょうか?エレン」ハッ ハッ

エレン「いや・・・そうじゃなくてさ・・・」


サシャ「?」ハッ ハッ

エレン「なんつーかさ・・・平和なんだし、明日戦場に行くって訳でもないじゃないか・・・」

エレン「・・・だったら、体を鍛える必要って、無いんじゃないかと思ってさ・・・」

サシャ「戦場って・・・物騒ですね。エレン」ハッ ハッ

エレン「ああ・・・ワリイ」


エレン「だけど・・・その・・・何ていうのかな・・・」

サシャ「要するに、やる必要が無いことを、何でやるのか。と言う事でしょうか?エレン」ハッ ハッ

エレン「そうだな・・・大体そんな感じかな」

サシャ「ん~そうですね・・・『やる必要』とはちょっと違うのかもしれませんが」ハッ ハッ

サシャ「私は走りたいから、走るのですよ。エレン」ハッ ハッ


エレン「走りたいから・・・走る?」

サシャ「ええ。まぁ、私も最初は体を絞り込むのが目的で、始めた訳ですが・・・」ハッ ハッ

サシャ「今じゃ、走るの好きなんですよ。エレン」ハッ ハッ

エレン「走るのが・・・好き・・・」

サシャ「そうですねぇ・・・分かれと言われても、難しいのかもしれませんが・・・」ハッ ハッ


サシャ「長い時間走ることによって得られる高揚感」ハッ ハッ

サシャ「これはとても心地が良いものですよ。エレン」ハッ ハッ

エレン「ああ、分るよ。こう、フワァーッとした感じのやつな」

サシャ「そうそう!正にそれですよ!エレン」ハッ ハッ

サシャ「それに、心地よく疲れると、グーッすり寝れて、爽やかな朝が迎えられますし」ハッ ハッ

サシャ「何よりも、ケーキを気兼ねなく、いーっぱい食べられる!良い事尽くめなんですよ。エレン」ハッ ハッ


エレン「なるほどな・・・走るってのは、サシャのやりたい事なんだよな?」

サシャ「その通りです!」ハッ ハッ

エレン(訓練・・・って言うよりも、生活の一部になっているのか・・・不思議な世界だ・・・)

エレン「ありがとなサシャ。何かすっきりしたよ」

サシャ「いえいえ。それにしても、エレンと話が合うとは・・・ちょっと意外です」ハッ ハッ

エレン「そうか?」


サシャ「はい。エレンって、こう引き篭もr ゲフンゲフン インドア派なイメージがあったので・・・」ハッ ハッ

エレン「・・・そうかもな・・・」

サシャ「ですけど、今こうして一緒に走って、高揚感まで共感できるなんて・・・」ハッ ハッ

サシャ「私、とっても嬉しいですよ。エレン」ハッ ハッ

エレン「大げさだな」


サシャ「そんなこと無いですよ。スポーツやってる人でさえ、中々理解を得られなくて・・・」ハッ ハッ

サシャ「『ランニング馬鹿』だの『走り屋』だの、散々言われてるんですよ!エレン」ムスッ

エレン「そういうものなのか?」

サシャ「そういうものなんです。エレン」ハッ ハッ

エレン「ふーん・・・ところでさ、なんで体を絞り込む必要があったんだ?」


サシャ「ッ!! それ聞きますか!?エレン」ハッ ハッ

エレン「わ・・・悪い・・・何か聞いちゃまずかったか?・・・」

サシャ「んもぅ・・・良いですよ・・・」ハッ ハッ

サシャ「エレンには、特別に教えてあげますよ」ハッ ハッ

エレン(・・・親の敵討ちか、何か・・・か?・・・)

エレン「・・・無理して言わなくても・・・いいんだぜ?・・・」


サシャ「いえいえ・・・まぁ一言で言うなら、『ケーキの魔力』に魅せられたのですよ。エレン」ハッ ハッ

エレン「は?・・・ケーキの魔力?・・・」

サシャ「そうです・・・食べ過ぎて、お腹のお肉が摘める位になっちゃったんです・・・」ハッ ハッ

エレン「それだけ? 別に、絞る必要無いんじゃないか?」

サシャ「ありますよ!!エレン!!乙女にとっては、一大事なんですよ!!」クワァアアア


エレン「お、おい・・・そんなに怒るなって・・・」ビクゥ

サシャ「流石に今のはデリカシー無さ過ぎです!もっと、乙女に対する気遣いを学ぶべきですよ!エレン」ガルルルルル

エレン「お、おう・・・」

サシャ「んまったくもぅ・・・」プンスコ

エレン「しっかし、そんなにケーキが好きなのか?」


サシャ「ケーキが嫌いな女子なんか居ませんよ。エレン」ハッ ハッ

エレン「そうか?」

サシャ「それはもちろん! それに・・・」ハッ ハッ

エレン「ん?」

サシャ「・・・私の故郷のダウパー村では、ケーキなんて売ってませんでしたからね・・・ど田舎ですから・・・」ハッ ハッ

エレン「ふーん。そうなのか」


サシャ「・・・笑わないんですか?エレン」ハッ ハッ

エレン「何をだ?」

サシャ「・・・私が、ど田舎出身だってことですよ・・・」ハッ ハッ

エレン「何でだ?」

サシャ「・・・フフッ、もういいですよ。エレン 優しいんですね」ハッ ハッ

エレン「そうか?」


サシャ「はい。とっても」ハッ ハッ

エレン「よくわかんねえけど・・・ところでさ、サシャ」

サシャ「何ですか?エレン 今日は、やけに質問が多いですね」ハッ ハッ

エレン「パンは好きじゃないのか?」

サシャ「パンですか? うーん・・・」ハッ ハッ


サシャ「毎日食べるものですからね。嫌いというわけじゃないですが・・・」ハッ ハッ

サシャ「ケーキの様に、とりわけ好きって程でもないですかね。エレン」ハッ ハッ

エレン「そっか」

サシャ「ハッ!?・・・ちょっと待ってくださいよ。エレン」フッ フッ

エレン「ん?どうした?」

サシャ「パンって色々な種類がありますよね?」フッ フッ


エレン「パンの話かよ」

サシャ「例えば、シャキシャキのレタスと、みずみずしいトマト」フッ フッ

サシャ「それにベーコンをパンで挟んだり・・・」フッ フッ

サシャ「ひき肉の塊を平らにして焼いたものを、パンで挟んだり・・・」フッ フッ

サシャ「黄身が半熟のハムエッグを、パンに乗せるのもありですね」フッ フッ


エレン「・・・なぁ・・・それ、パンって言わなくないか?」

サシャ「パンでしょ?エレン」ギロッ

エレン「お、おう・・・」

サシャ「そう考えると・・・」フッ フッ

サシャ「エレン!」フッ フッ

エレン「な、何だよ?・・・」


サシャ「これは新しい発見ですよ!」フッ フッ

エレン「はぁ?・・・」

サシャ「たぶん私、パンが・・・いえ、パァンが大好きなんです!エレン」フッ フッ

エレン「そうか・・・」

サシャ「蒸した鶏もも肉をパァンで挟むのもいいですね・・・」フッ フッ

サシャ「薄くきったチーズとハムをパァンで挟むのも捨てがたい・・・」フッ フッ



サシャ「そういうパァンもあるんですねぇ~・・・こういうパァンもいいですねぇ~・・・」フッ フッ

サシャ「パァン・・・パァン・・・パァン・・・」フッ フッ

エレン「・・・」

エレン(・・・うるせーな・・・前からパンパンパンパンと・・・)

エレン(・・・言うんじゃ無かった・・・)ハァ

サシャ「パァン・・・パァン・・・パァン・・・」フッ フッ


エレン「・・・あのさぁ、サシャ・・・」

サシャ「ぬぁんですか~?・・・エレン」クルリ

エレン「」

サシャ「どぉしました~?・・・エレン」ジュルリ

エレン「な・・・何でもない・・・」

サシャ「そぉ~ですか~・・・」フッ フッ


エレン「・・・」

エレン(・・・『乙女』って顔じゃなかったな・・・)

エレン(・・・何か・・・こう・・・もっと・・・邪悪で禍々しい・・・)

サシャ「ところでエレン」フッ フッ

エレン「なッ・・・何だ?・・・」ギクゥ

サシャ「今更なんですが・・・ちょっと提案が・・・」フッ フッ

エレン「あ・・・ああ・・・良いぜ」


サシャ「ご馳走するものを、ケーキからパァンに変えても・・・良いですか?」フッ フッ

エレン「お・・・おぅ・・・かまわないぜ・・・」

サシャ「ありがとうございます。エレン!とっても素敵ですよ!」フッ フッ

エレン「そうか・・・」

サシャ「♪」フッ フッ

エレン「・・・」


サシャ(・・・ハッ!?・・・ついつい、勢いで提案してしまいましたが・・・)

サシャ(エレンがこんなにも純粋だと、何か気が引けますね・・・折角こうして楽しく走っているのに・・・)

サシャ「・・・」フッ フッ

サシャ(・・・いえ・・・エレンが申し出を受けた以上、勝負は勝負です)

サシャ(申し出を受けてくれた事への、礼儀は尽くしましょう・・・)

サシャ(楽しく走っているエレンでも、手加減はしません。全力でいくことが、私流の礼儀です!)


サシャ(・・・そう、陸上部のエースとして・・・)

サシャ(楽しく走るという事と、早く走るという事は何が違うのかを、エレンに教えてあげる・・・)

サシャ(これは『セミナー』なんです!)キリッ

サシャ(・・・だったら、セミナー代ぐらいもらっても・・・良いですよね?・・・)ウンウン

エレン「・・・どうした、サシャ?・・・急に黙り込んで、一人でうなずいて・・・」

サシャ「何でも無いですよ。エレン」フッ フッ


エレン「そうか」

エレン(やっと落ち着いたみたいだな・・・)

サシャ(それにしても・・・)

サシャ「チラッ」フッ フッ

エレン「ん?」

サシャ(離れませんね・・・一定の間隔でついて来る・・・驚きました。大したものです。エレン)

サシャ(ですが・・・そろそろ私の脚も、本格的に仕事をしたがっているものですから・・・)


サシャ「エレン、次の角を曲がったら、ゴールまでは一直線です」フッ フッ

エレン「ああ。分った」

サシャ(・・・曲がり角を立ち上がって、全速力。そこから、私自身も全開モードです・・・)

サシャ(一瞬で終わりますよ。エレン)

サシャ「ハァァァアッ!」スタッ スタッ ダンッ!

エレン「・・・は?」

エレン(・・・何やっちゃってんの?・・・コイツ・・・)ポカーン


サシャ「フッ」ニヤ

サシャ(このバトルで初めて繰り出す、フェイントモーションからの、このアグレッシブなコーナーワークは)

サシャ(私が勝負を決めに行くという、意思表示ですよ!エレン)

エレン(・・・まぁ、いっか・・・)ダンッ

サシャ(長いストレートとはお世辞にも言えませんが、エレンを振り切るには十分d・・・えっ?)


 
・・・その瞬間、サシャが目にしたのは・・・狂ったように加速してゆくエレンとの距離感!!
 

サシャ「なっ・・・嘘っ・・・」ゼッ ゼッ

エレン(やっと自分のペースで走れるな・・・)

サシャ「そんな・・・どうして?・・・」ゼッ ゼッ

エレン「ラストスパートだろ?サシャ チンタラ走ってんなよッ!」

サシャ「待ってぇ・・・嫌ぁ・・・行かないでぇ・・・パァァァン!!!」ゼッ ゼッ


サシャ(駄目なの?・・・追いつけないの?・・・)

(ビクンビクン)

サシャ「ハッ!?・・・まさか・・・」ゼッ ゼッ

(ビシィィィッ)

サシャ「ぃったぁぁぁい!!!」

――――――
――――
――

エレン「なぁ、大丈夫か?サシャ」

サシャ「ええ。エレンがストレッチしてくれたお陰で、随分良くなりましたよ」

エレン「そうか。力になれて、良かったよ」

サシャ「ありがとうございます。エレン」


エレン「いいって、別に。それより、いつも走ってるコースなんだろ? どうして脚を攣っちまったんだ?」

サシャ「はぁ・・・どうやら、パァンに夢中になりすぎて、いつもよりオーバーペースだったみたいです・・・」

エレン「そうなのか・・・なんか、悪いことしたな・・・」

サシャ「そんな・・・エレンが謝るような事ではありませんよ。それに・・・」

エレン「ん?」


サシャ「『陸上部のエース』なんて言われていたものの、私がまだまだ未熟だったのです・・・」

エレン「未熟・・・か・・・」

サシャ「はい。だから、エレンは気にする必要なんかないですよ」

エレン「そうか・・・なぁ、脚がまだ痛いなら、女子寮までおぶって行こうか?」

サシャ「いえいえ、そこまでしてもらわなくても、大丈夫ですよ。エレン」


サシャ「まだ少し痛みはありますが、クールダウン程度に走るくらいは出来ますし・・・」

サシャ「・・・それに、自主練中に脚攣って、おぶってもらったとあっては・・・流石に、私も立場がありませんから・・・」

エレン「ああ・・・陸上部のエースがそれじゃ、流石にカッコつかないか・・・」

サシャ「ですが、お気持ちはとっても嬉しいですよ。エレン 本当に優しいのですね」

エレン「そうか? 別に普通じゃね?」

エレン(・・・俺だって訓練の時、しょっちゅう皆に助けてもらったしな・・・)


サシャ「フフッ とにかく、この勝負はエレンの勝ちです。約束どおり、パンをご馳走させて頂きますよ」

エレン「それなら、別にいいよ」

サシャ「え? 何でです? 私と一緒に行くのが嫌なんですか?」

エレン「そういう訳じゃないけどさ・・・」

サシャ「じゃ、何で?・・・」

エレン「今日走ったコースさ、上り下りなんかもあって、結構良いコースだったぜ」


サシャ「ええ・・・まぁ、私が開発したスペシャルコースですから」

エレン「だからさ、今日のコースを教えてもらったって事で、チャラにしないか?」

サシャ「ですが・・・」

エレン「折角、サシャが開発したスペシャルコースを教えてもらったんだ」

エレン「これ以上、サシャから何か貰う訳にはいかないよ」

サシャ「そうですか? エレンがそれで良いというなら・・・」


エレン「って訳だからさ」タッタッタッ

サシャ「エレンどちらへ? そっちは寮じゃありませんよ?」

エレン「やっと体が暖まって来たんだ。今のコースを忘れないうちに、何週かしたら帰るよ」

サシャ「・・・は?」

エレン「じゃあな、サシャ。気をつけて帰れよ」タッタッタッ

サシャ「あ、エレン!・・・って、行ってもうたで・・・」

サシャ「・・・アカン・・・何なん?・・・あの子・・・」


今回はここまでです。

次回ですが、ち~っとばかし忙しくなったので、
しばらく間が空くかもしれません。

お付き合いして下さってる皆様には、ご迷惑をおかけしますが、
ご理解よろしくお願いいたします。m(_ _)m

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月02日 (木) 23:24:48   ID: SWPppooj

面白いです! 
これからの展開が凄く楽しみです!

2 :  SS好きの774さん   2014年01月03日 (金) 12:28:32   ID: MWvSQ0ua

すごくおもしろい

3 :  SS好きの774さん   2014年01月08日 (水) 18:03:22   ID: AQjWYkXK

続き早く!!!

4 :  SS好きの774さん   2014年01月27日 (月) 23:03:33   ID: COP1MpE3

面白い!!
続きが楽しみです!!

5 :  SS好きの774さん   2014年01月29日 (水) 09:59:19   ID: wjnuY6JX

期待してます。続きまってま~す。

6 :  SS好きの774さん   2014年06月23日 (月) 23:18:10   ID: NEXgcTNY

続きに期待してます

7 :  SS好きの774さん   2014年09月24日 (水) 12:44:37   ID: ZT8VqKfL

続きお願いします。

8 :  SS好きの774さん   2014年11月29日 (土) 22:28:28   ID: p2ylkhjs

期待!!

9 :  SS好きの774さん   2014年12月14日 (日) 23:30:06   ID: epesFFol

お願いします!!
早く続きを!!
あと期待です!!

10 :  SS好きの774さん   2015年04月06日 (月) 20:12:09   ID: WATmEXx6

放置になってるお

11 :  SS好きの774さん   2016年07月18日 (月) 19:33:35   ID: _pJeFhL1

期待!

12 :  中萩   2016年11月29日 (火) 16:25:22   ID: TT1qEjf3

素晴らしい作品に出合いました。

13 :  土岐市   2016年11月29日 (火) 17:31:04   ID: TT1qEjf3

楽しめました。

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