真「お願いします!」P「ダメ」(138)

真「ボクだってフリフリのスカート穿いたり、リボン付けたりしてみたいんです!」

P「ダメなもんはダメだ」

真「お願いしますよー、プロデューサー!」

P「絶対にノゥ」

真「どうしてなんですかぁ!」

P「オフならいいが、アイドル活動にまで持ち込むのはダメだ。お前の人気に関わる」

真「ぐぬぬ……」

真「着てみたいんです~、そのままアイドルしてみたいんです~」クネクネ

P「クネクネしてもダメだ」

真「むーっ」プクー

P「頬膨らましてもダメだ」

真「ぷ・ろ・でゅ・う・さぁ~」ダキダキ

P「抱きついてもダメだ」

真「……フゥ~」


ガタタッ


P「み、耳に息を吹きかけるんじゃない!」ゾクゾク

真「まこりんが、こんなにお願いしてるんだよ?」ウルウル

P「まこりんでもダメ!」


ガチャッ

伊織「あっつー……」パタパタ

P「お、今日も時間通りだな伊織」

伊織「……何?真、あんたまた頼み込んでんの?」

真「いくら断られても、ボクは絶対に諦めたりしないぞ!」

P「あのなぁ……」

伊織「あんたはカッコイイ女の子をウリにしてんのよ。それが事務所の方針」

伊織「その真逆の格好なんかさせる訳ないじゃないの」

真「そ、それは、そうだけど……でも!」

伊織「大体真がカワイイ女の子の格好したって……ねぇ?」ヤレヤレ

真「……何だよそれ」ムカッ

伊織「だって事実じゃない。一体この世界のどこにそんな需要があんのよ」

真「い、言わせておけば……!」ワナワナ

P「はいはい、二人ともそこまで!」パンパン

P「伊織は余計なこと言い過ぎ。真もあんまりカッカするな」

伊織「……ふん」プイッ

真「………」ギリッ

P「はぁ……さてと、時間だ。準備できてるんなら行くぞ、伊織ー」ガタッ

真「あっ!プロデューサー、逃げるんですか!」

P「仕事だ仕事!あずささんも途中で拾わなきゃいけないんだよ」

ガチャッ バタン


真「……んべぇーっだ!」ベェー

~翌日~

あずさ「今日は、婦警さんの格好なんですね~」

P「何てったって、犯罪ゼロを目指す強化週間のキャンペーンガールですから」

P「あぁそうそう、三人ともこのインカムを付けてくださいね」

貴音「あなた様」

P「どうした、貴音?」

貴音「にゅうなんぶ式りぼるばぁは、ないのでしょうか」キリッ

P「ありません」

貴音「そうですか」シュン

真「………」ムスッ

P「……ちゃんと台本通りに頼むぞ、真」

真「……分かってますよ」

ガヤガヤ ザワザワ

「それではキャンペーンガールの皆さん、挨拶をお願いしまーす」

P「壇上に立ったな……」

真「」ニヤッ

P「!……二人とも、手はず通りに」ボソッ



真「……きゃっぴぴp」

貴音「強盗、殺人、交通違反!」

あずさ「ぜ~んぶ、私達がタイホしちゃいま~す!」


お前ら「「「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」」」


真「なっ……」

あずさ「大人しく、捕まってくれないと~?」

貴音「わたくしの拳銃で、あなたの臓物……ブチ抜いちゃうゾ☆」バッキュン


お前ら「「「「「ぐはああああああああああああああああ!!!」」」」」


あずさ「ですから、犯罪は犯さないでくださいね~」ヒラヒラ

貴音「わたくし達との、お約束ですよ」ニコッ


お前ら「「「「「Yes, ma'am !!!」」」」」

P「ふぃ~……逆に犯罪は増えそうだが、何とかなったな!」

真「……プロデューサー、インカムのマイク」

P「あ、悪い……こっちで電源切ってたようだ」ポリポリ

真「………」ムスッ

貴音「あなた様」

P「ん?」

貴音「三十八口径で良いのですが」

P「だからありません!一般人に持たせられる訳ないでしょう!?」

貴音「わたくしは、あいどるです!」キリッ

P「アイドルでもダメ!」

貴音「……いけずです」シュン

真「(くっそー、さっきのアドリブはプロデューサーに感づかれてたみたいだ……)」

P「おーい真ー、もう着替えたかー?」

真「もうちょっと待ってくださーい!」

P「握手会までそんなに時間ないからなー、早くしろよー」

真「(でも次の仕事は大丈夫!)」

真「(ボクがあらかじめ持ち込んだ、このカワイイ衣装が……!)」ゴソゴソ



真「………あれ?」ゴソゴソ

真「う、嘘だろ……黒ズボンと、カッターシャツだけ……!?」ワナワナ

ハラリ

真「なんだ、この紙切れ……字がすごい汚い……」

『真ちゃんへ
   真ちゃんがおしごとに出かける前に、お茶こぼしてよごしちゃった(*´ω`*)
   だから代えの服を入れておきましたぁ→ ごめんなさいですぅ→
                     ゆきぴょんより』


真「………」イラッ


『ぴーえす  わざとじゃないよ、ホントだよ→真美たちウソつかないもん
       ってゆ→かゆきぴょんってこんなカンジ?←わかんない』


グシャッ

真「っ~~~!!」ガンッ ガンッ ガンッ

P「おーい、あんま暴れんなー」

P「何だか良く分からんが、今日は衣装の評判が良かったな」

真「(うぐぐ……せ、せめて、せめて自主トレの間だけでも……!!)」

真「そ、それじゃプロデューサー!ボクはこれで……」

P「おう、お疲れ~」



真「…」キョロキョロ

真「…」キョロキョロ

真「……よし、誰もこのレッスン場は使ってないな……」

真「よっしゃぁぁぁぁぁっ!バリバリカワイイポーズの練」

響「やる気いっぱいだなー、真!」

真「」

真「……ひ、響?何でここに?」

響「プロデューサーから頼まれたんさー」

響「自主トレサボらないか見ておいてくれって」

真「ぼ、ボクがサボるわけないじゃないか!」

響「自分もそう思うんだけど、真のダンス技術は勉強になるって言われたんだー」

響「だから、真をしっかり見て勉強するさー!」キラキラ



真「…」

響「?……ど、どうしたんだ真!もしかして、お腹減ったのか!?」ユサユサ

真「………あ、あはは……はは………」ユサユサ

~翌日~

真「………」グデーン



春香「何か、真が……ものっすごい、やる気ナッシングなんですけど」

美希「あんな真君、今まで見たことないの……重傷なの」

P「うーん、少しやり過ぎたかな」

やよい「真さんの気持ち、私には分かります!」ハイ

P「やよい……」

やよい「私も、もやしを食べちゃいけないって言われたら……言われたら……!」プルプル

P「(やよいはもうちょっと良い物を食べような……)」ホロリ

美希「ミキもおにぎりダメーって言われたら……」

美希「……そ、想像できないの……」ガタガタ

やよい「か、考えるだけで、恐ろしいですねぇー……」ブルブル

春香「あっ、私も」

P「リボンだろ?」ハイハイ

春香「ち、違いますっ!」

P「はぁ……分かった。社長と少し話してくるよ」ガタッ

春香「リボンじゃありませんって!!」

P「お前たちは、真の様子を見ててくれ」スタスタ

春香「ちょっと!聞いてます!?」プンスカ

美希「いってらっしゃいなの~」ヒラヒラ

春香「聞けよっ!!!」バンッ

P「おーい真ー」

真「………」ダラーン

P「……社長と話し合った結果、明日一日だけ許すことにした」

真「ほ、ホントですか!?」ガバッ

真「……って、明日はボク……」

P「あぁ、オフだ。雪歩と出かけるんだろ?」

P「明日一日中、カワイイ格好、カワイイ言動を貫き通してみろ」

P「お前もアイドルを自負するのなら、な」

真「!」

P「そしたら考えてやらんことも無い、だそうだ」

真「……って事は」

P「そうだ。逆にいえば、少しでも素に戻った時点でアウト」

P「明日俺は仕事でいないけど、ちゃんと確認はするからな」

真「……あ、アウトになったら……?」

P「………今度雪歩が出る映画なんだが、恋人役が空いてるそうだ」

真「え゙っ」

P「監督曰く『おたくの人選なら誰でもいい』だそうだが……」ニヤニヤ

真「………」



真「……やります。やらせてください」

P「え?恋人役を?」

真「いや、そっちじゃなくて」

~翌日~

雪歩「真ちゃん、遅いなぁ……」ソワソワ


「ゆーきほー!」


雪歩「真ちゃん?」クルッ





真「どる~ん☆待ったぁ~?」キラッ

雪歩「」

雪歩「」

真「?……どうしたの、雪歩?」

雪歩「………ど、どちら様でしょうか」

真「きゃっぴぴぴぴ~ん♪765プロのアイドル乙女、菊地☆真ちゃんナリよ?」キャピッ

雪歩「」

雪歩「」

雪歩「」プルプル

真「?」

雪歩「(……全体的にピンク一色、フリフリスカートにヒールはまだいい……)」

雪歩「(頭よりデカいリボンが、胸と頭に……どこの魔法少女?)」

雪歩「(……え?ゲロッパのポーチ?それってかわいいの?)」

雪歩「(プロデューサーから聞かされてたけど……こ、ここまで酷いなんて……)」

真「んもう雪歩ったら、さっきから黙っちゃって……」キャルルンッ

雪歩「ま、真ちゃん!あ、あのね……」

真「何かな?」

雪歩「そ、その……無理、しないでね」

真「……無理なんかしてないけど?」

雪歩「そ、それなら、いいんだけど……」

真「……雪歩なの?ボ、私のこと、プロデューサーの代わりに確認してるのって」

雪歩「え?……う、うん。そうだけど……」

真「………絶っ対に嫌だからね。雪歩の映画に、恋人役で出るのは」

雪歩「えぇっ!?」ガーン

真「(……何があろうと今日一日、この姿で居続けてやるんだ……!)」

雪歩「(……そ、そんなに嫌だったんだ……)」グスッ

ウィーン

真「なんかホラー映画ばっかり借りてたけど、雪歩ってそういうの好きだったっけ?」

雪歩「今度の映画の、参考にしようかと思って……」

真「……っていうか、結局ビデオ借りにきただけなの?」

雪歩「う、うん……私の用事はこれだけ、なんだけど……あn」

真「ふーん……じゃ、もう帰っていい、かしら?」

雪歩「えぇっ!?」ガーン

真「(一日中このままってのも楽じゃないんだなぁ……ちょっと疲れてきた)」

雪歩「(……こ、この後真ちゃんと一緒にショッピング、行きたかったのに……)」

雪歩「(グスッ………私、真ちゃんに嫌われてるよね……絶対そうだ………)」ドヨーン


ドンッ

雪歩「きゃっ!」

「おっと、ごめんよォ」スタタタ



真「雪歩、大丈夫!?」

雪歩「う、うん、大丈夫………あれ?」ゴソゴソ

真「どうしたの?」

雪歩「………な、ない……私の、財布………」

真「!!」

真「(まさか……さっきのあいつ!)」

雪歩「!……真ちゃん、ダメ!!」

真「な、何で!?」

雪歩「だ、だって、真ちゃん……今日は………」


『……社長と話し合った結果、明日一日だけ許すことにした』

『ほ、ホントですか!?』


真「っ……!」

『そうだ。逆にいえば、少しでも素に戻った時点でアウト』


真「………」ギリッ


『……あ、アウトになったら……?』

『………今度雪歩が出る映画なんだが、恋人役が空いてるそうだ』


真「………確かに、嫌だよ。こんなチャンス、自分から捨てるなんて」

『明日一日中、カワイイ格好、カワイイ言動を貫き通してみろ』キリッ


雪歩「………」


『お前もアイドルを自負するのなら、な』キリリリッ


真「……でも自分に嘘付くのは、もっと嫌だっ!!」ダッ

雪歩「真ちゃんっ!?」

スリ「チョロいねェ、甘いねェ、チョロ甘ですねェ……っと」チャリチャリ

スリ「うほっ、ガキの癖に万札持ってんじゃねぇか。こいつぁいけないガキだねェ」

スリ「こういうありがたぁいものは、おじさんが有効活用して然るべきだねェ」


真「こらぁぁぁぁぁっ!財布返せぇぇぇぇぇぇぇっ!!」ダダダダダッ


スリ「!なんだあいつ……さっきの連れか!?」

スリ「なぁんて動揺してみたり。裏路地までついてこれるかぁ?」スタスタ



真「(クソッ……靴ずれ!?)」ズキズキ

真「(ヒールじゃ思うように走れない……!)」ズキズキ

真「……えーいっ!」ポイポイ

真「うぅっ……せ、狭い……」ギュウギュウ

スリ「ハハッ!そんな大道芸人みてぇな格好で俺に追いつけるかよ!」タタタタッ


グイグイ


真「(リボンとスカートが引っかかって……!)」

真「うぅっ……た、高かったのにぃ!」グスッ


ビリビリビリビリ

ブチブチッ


真「待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」ダダダダダッ

スリ「失敗したプ○キュアみてぇな格好しやがって、俺に追いついてくるだと……!?」

真「ハァ、ハァ……観念しろ!ここで行きどまりだっ!」

スリ「……へっ、馬鹿言っちゃいけねェな」

スリ「捕まれと言われて捕まるアホがどこにいるんだ、よっと」ヒョイ

真「っ!」

スリ「あばよっ!」ピョーン


ドポーン

バッシャバッシャ


真「……こ、ここまで来て、逃がすかぁぁぁぁっ!」


ドポーン

バシャッ バシャッ

スリ「ゲホッゲホッ……ゼェ、ゼェ………あー、畜生」ビチャビチャ

スリ「何だって川にまで飛びこまなきゃいけねェんだ……ったくよォ」ポタポタ

スリ「だが、これでようやく――」


ガシッ


真「……へへっ……」ビチャビチャ

スリ「!……こ、このガキ……!!」

真「捕まえたぞ……泥棒……!」

スリ「……あァ!?」ビキィ

ブロロロロロ…

貴音「……あなた様、これは何なのでしょう?」

P「無線機じゃないのか?」

貴音「なるほど、これを使って応援を呼ぶのですね……」キラキラ

P「……つーかあんまり触らないでくれよ、ウチの社用車じゃないんだから」

貴音「♪」ベタベタ

P「(……何で俺はパトカーに乗ってパトロールに回ってるんだろう……)」

あずさ「すみませんプロデューサーさん、無理を言ってしまって~」

P「いや、別に構いませんけどね。宣伝効果高そうだし」

P「(……貴音に言い寄られてホイホイ貸し出す方が悪い。うん)」

貴音「あなた様、この機械は一体何なのでしょうか」サワサワ

P「だから勝手に触るんじゃない!……サイレンのスイッチだよ、多分」

貴音「なるほど、これでサイレンを鳴らすのですね……」キラキラ

P「頼むから大人しくしてくれよ……貴音を助手席に置くんじゃなかった」ハァ

あずさ「!プロデューサーさん、車を」

貴音「あなた様!だっしゅぼおどからこのようなものが……!」

P「うわっ、ば、ばか!それをこっちに向けるな!!」

あずさ「プロデューサーさんっ!!」

P「は、はひっ!?」ビクッ

あずさ「車!止めてくださいっ!!」

ドゴッ

真「あぐっ……!」

スリ「あんまりなぁ……おじさんをナメてんじゃねェぞ、コラァ!」

ドカッ ゴスッ


スリ「ヒーローごっこは楽しかったかぁ?えェ!?」

ゲシッ ゲシッ


スリ「とっとと手ェ離せよオラァっ!クソガキィ!!」

ガスッ ガスッ ドカッ

スリ「ハァ、ハァ……クソッ、このガキ……脚にまとわりつきやがって……!」

スリ「あぁ畜生!いい加減離せっ!離しやがれってんだよォ!!」

「離したら、どうするんですか?」

スリ「あぁ!?そりゃ逃げるに決まって――」


ガシッ


あずさ「もう、逃げられませんよ?」

スリ「な、何だ姉ちゃん?……新手のコスプレか?そういうプレイか?」

貴音「犯罪ゼロを目指す強化週間のきゃんぺぇん中です」

P「真っ!大丈夫か、おい!しっかりしろ!!」

真「………」ボロッ

貴音「……ぱとろうるを行うのは、間違いではなかったようですね」

スリ「お、俺は悪くねぇからな!このガキが勝手に……!」

ヒョイ

あずさ「……これ、雪歩ちゃんの財布ですね。刺繍が入ってます」

スリ「そ、そいつは俺が持ってたんじゃねぇよ!」

スリ「ハ、ハハ……そ、そうだ、このガキが持ってたんだ!俺は関係ねェ!」

P「っ……!」ギリッ

スリ「いきなり襲ってきたガキが悪いんだよ!これは正当防衛だ!!」

P「こ、この野郎っ……!!」

貴音「あなた様」

P「何だ!?」

貴音「この場はどうか、このわたくしにお任せを」


チャキッ


P「えっ」

スリ「お、おい、銀髪の姉ちゃん……そ、それって……」

貴音「ぱとかぁのだっしゅぼおどの中に入っておりました」

カチリ

P「あのー、貴音さん?……少し、落ち着こう。な?」

貴音「わたくしは至って冷静です」

スリ「ま、ままままさか……ほほほ本気で、ううう撃ったり」

貴音「…」

スリ「……ひぃぃぃぃ!や、やめてくれぇぇぇ!」

スリ「わ、悪かった!謝るからよ!!ささ財布盗んだのは俺だよ!俺が全部悪かった!!」

スリ「か、かか金も返す!だ、だから!命、命だけは」


パァン

ファンファン ファンファン

スリ「」ニョワワワワー


P「……何で撃った」

貴音「あの殿方が謝ったのは、財布を盗んだことだけでしたので」

P「……それにしたって、普通撃つか?」

貴音「普通では、あいどるは務まりません」キリッ

P「いやいやいやいや……普通ってさ、一番大事だよ?」

警官「あー……スリの常習犯捕まえられたのは良いとして」

警官「そこのキャンギャルさん」

貴音「はい」

警官「空に向けてても撃っちゃダメでしょー、流石にね。運動会じゃないんだから」

貴音「申し訳ありません」ペコリ

警官「まー、一応聴取は取らせてもらうから。あんたも一緒に来てくれるかな」

P「す、すんません……」ガックリ

キキーッ バタン

律子「遅くなっちゃってごめんなさい……真は?」

あずさ「……立てる?真ちゃん」

真「………」ブルブル

律子「話はプロデューサーから聞いてる。着替えも持ってきてるから」

律子「……怪我が酷いようなら、病院に寄るわ」

真「ズビッ……ご、ごめん……」ブルブル

あずさ「………」

バタン

ブロロロロロ……


律子「ったく、川に飛び込んでまで追いかけるなんて無茶し過ぎよ……もう」

真「………へ、平気だよ、あのくらい……え、へへっ………」ブルブル


ギュッ


真「ぁ……」

あずさ「もう、大丈夫だから……怖かったわね」ナデナデ

真「………う……っ……ぅ、あぁぁ………」ポロポロ

ガチャッ

P「ただいまー……」

貴音「ただいま戻りました」

小鳥「お疲れ様でした、プロデューサーさん」

高木「おや、随分早かったようだね。もっと掛かると思っていたのだが」

P「いや、それがですね―――」


『車内に拳銃置き忘れた奴の方がこっちとしては問題で、それどころじゃなかったり……』

『って言うかぶっちゃけ、そちらの協力でスリも逮捕できたし、公にしたくない?』

『いんぺいするよーーーーーーーーーーーーー!!!』


小鳥「(……この国の警察ダメだ……)」

高木「さて……菊地君の件だが」

P「…」

高木「まだ何とも言えん状況だ。彼女の今後の活動云々については、ひとまず保留しよう」

P「真は、どこに……?」

高木「律子君がここに連れて帰ったよ。幸い、軽い怪我で済んだようだが」

高木「……君には今君に出来ることをしてもらいたい。できれば、早急にね」

P「……はい」

高木「それと君以外にはもう伝えてあるが、今回の事はくれぐれも、他言は……」

P「……分かっています」

高木「うむ。無関係なあの子達にまで、余計な心配をさせたくはない」

P「真も相当参ってるようですしね……」

高木「……あぁそうだ。萩原君にはちゃんと連絡を取っておいてくれたまえ」

P「……あ」

高木「君が携帯に出ないので、かなり心配していたようだからね」

P「(……いっけね、忘れてた……)」ポリポリ

真「くちゅんっ………ゔー」ズビー

P「……まだ帰ってなかったんだな」

真「あ……プロデューサー」

P「雪歩から聞いたよ。今日は災難だったな」

P「……で、怪我は大丈夫だったか?」

真「えぇ、大丈夫です……昔っから、体は頑丈な方ですから。へへっ」ズビー

P「ったく、無茶し過ぎなんだよ。どいつもこいつも……」

真「……約束、破っちゃいましたね。服も、ボロボロにしちゃいましたし……」

P「…」

真「あの時も………体が、思うように動かなくて……」

真「バカ、ですよね……自分から首突っ込んで、逆にやられるなんて……」

P「…」

真「ボク、あんな……一方的にやられるなんて、初めてで………」

真「………殺、されるかも……って………」

真「グスッ………すごく……怖く、なってっ………」ポロポロ

P「……真は本当に馬鹿だなぁ」


ギュッ


P「約束なんかどうだっていいんだよ……そばに居てやれなくて、悪かった」

真「グスッ……や、やめてくださいよぉ………」グシグシ

真「あずささんに、もう大丈夫だがらっで………言っだ、ばっがりっ………」ポロポロ





小鳥「(……社長室から戻ってきたらこれだよっ!!)」

小鳥「(写メ取りたい、すごく写メ取りたい……いやダメよ、落ち着け私……!)」

小鳥「(空気を読むべきか、写メを取るべきか………ぬわぁぁぁぁぁっ!!)」モンモン

真「グスッ……ヒック……ご、ごめんなさい、プロデューサー」

P「……落ち着いたか?」

真「……恥ずかしいトコ、見られちゃいましたね……」ズビー

P「………あーもー、何だよもー」

真「……ふぇ……?」グスッ

P「別に着飾んなくてもお前、最高にカワイイじゃねーかコノヤロー」

真「……かわいくなんか、ないです……」

P「いーや、カワイイ。カワイイったら、カワイイ」

真「かわいくないです!」ズビー

P「俺がカワイイって言ったらカワイイんだよ!文句あるか!!」

真「グスッ……なっとく、できません……!」

P「……よぉし分かった、ちょっと待ってろ!」ポパピプペ

千早「………」ヌギヌギ

千早「準備、良し……!」ゴクッ

千早「(まずは両手を使って直に胸を揉みしだき、同時に以下の呪文を……)」チラッ

千早「ひなひなひなひなあおたのり……」モミモミ

prrrr prrrr prrrr

千早「チッ………」ピッ

P『千早、お前に聞きたいことがある!』

千早「……一体何です?こんな時間に」

P『今から送る写メを見ろ!』プツッ ツー ツー ツー

千早「写メぇ?」

千早「(……目ぇ真っ赤にして泣き腫らしてる真の写真……これが何?)」


prrrr ピッ

P『見たか!?』

千早「えぇ、まぁ」

P『真はカワイイよな!な!?』

千早「……はぁ」

P『ホォラ見ろォ!千早もお前の事カワイイって言ってるだろ!!』プツッ

ツー ツー ツー



千早「………何だったの?」

P「ゼェ、ゼェ……う、うちのアイドル全員……今の真は、カワイイってさ」

真「っ~~~~///」ポッポー

P「……まだ足りないかっ!?」

真「も、もぉいいですっ!お、お願いですから、もうやめてくださいっ!!///」

P「分かってくれたか……」ウンウン

真「(うぅぅ……あ、明日からどんな顔して皆に会えばいいんだよっ……///)」



P「ま、それはそれとして、だ……雪歩の件なんだが」

真「あ……ビデオ屋の前で別れて、それっきりでした……」

P「いや、そうじゃなくて」

真「……えっ?」

雪歩「ようやく、会えたね……」

真「………」


ピシャーン……ゴロゴロゴロ……


雪歩「あんたみたいな害虫に、お兄ちゃんは渡さない……絶対に」ギリッ

真「……いいよ、来なよ」ユラァ

真「あの人は、最初からボクのものだって……教えてあげるからさ」ガシャッ

雪歩「……あんたさえ、あんたさえいなくなれば……お兄ちゃんは……!!」


ピカッ


雪歩「お兄ちゃんはぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ドドドドドドドドドド

真「どぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」ドドドドドドドドドド



監督「はァい、カットォー」

監督「いいねいいねェ、最ッ高だねェ!」

P「さいですか」

監督「やっぱおたくのアイドルはいいわァ。こう、胃薬が欲しくなるンだよねェ」

監督「あァ、萩原クン!もうちょい瞳孔を開いて笑うといい感じだよォ」

雪歩「……こ、こう、ですか?」クワッ

監督「そォ!あと出来るだけ口を開く時、歯に唾液を滴らせておいてねェ」

真「……プロデューサー、これ、何なんです?」

P「えーっと、タイトルは『ヤンデレ妹と削岩機~お兄ちゃんはどっちの味方?~』」

P「仲睦まじい親友だった二人の女が一人の男をめぐり殺し合う、気分崩壊バイオレンスアクションムービー」

真「いや、そうじゃなくてっ!」

P「あん?……誰も雪歩の恋人役になれだなんて、一言も言ってないだろ~?」ニヤニヤ

真「むむむ……」

P「何がむむむだ」

監督「はァい菊地クン、次のシーンいってみよォか」

真「!……は、はい!」

監督「次は片手で削岩機振り回してェ、そのまま接近するところからァ」

真「え゙っ……こ、これ結構重さあるんですけど……」

雪歩「大丈夫、真ちゃんなら出来るよ!」グッ

P「そうだ!俺も、真を信じてるからな!」グッ

真「……分かりましたよ、やりますよ!やればいいんでしょう!?」ドドドドドドドドド

小鳥「――で、今はどうなんです?真ちゃんの様子」

P『んー、怪我も完治しましたし……精神的にも、立ち直りつつあるみたいですね』

P『あと、カワイイ格好をさせろとせがまなくなりましたよ』

小鳥「(アイドル全員に『真はカワイイだろ』なんて聞いて回れば、そりゃね……)」

P『……まぁ、それだけで済めば、良かったんですがねぇ』



真「小鳥さん!その電話、プロデューサーからですか!?」

真「プロデューサー!今度の映画のヒロイン役なんですけど、ボクに」

グイッ

春香「メインヒロインと言えば天海春香さん、天海春香さんですよ?大事な事なので二度言いまs」

グイッ

伊織「雑魚は黙ってなさいよ、主役の座はこのあたしのものなんだから」

グイッ

響「完璧な自分以外にヒロインが務まるはずないさー!!」



真・春香・伊織・響「~~~~~~!!」バチバチ

雪歩「あ、あの」

真・春香・伊織・響「「「「雪歩は黙ってて!!!」」」」

雪歩「」ジワッ

ワーワー ギャーギャー


小鳥「……見事にメインヒロイン争奪戦、激化しちゃってますね~」

P『これで美希辺りもやる気出したら、もう収拾付かなくなりますよ、ハハハ』

小鳥「ハハハじゃないですよね、4人の相手するのが嫌で逃げただけですよねこれ」

P『………ファイナルアンサー?』

小鳥「ファイナルアンサー」イラッ





P『……正解っ!』グッ

小鳥「バカな事やってないで、さっさと帰ってきてくださいっ!!」ガチャンッ



おわり

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