さやか「恭介をカツアゲする。そして、返り討ちにあおう」(126)

さやか「恭介をカツアゲする。そして、返り討ちにあおう」

ほむら「はぁ?」

まどか「さやかちゃん、頭大丈夫? インフルエンザ?」

さやか「凡人には分かるまい」

さやか「このさやかちゃんの計画が」

さやか「まずカツアゲする。これは成功してもしなくてもいい」

さやか「成功したら、失敗するまで数日ごとにカツアゲする」

まどか「うん、それで」

さやか「失敗。つまり恭介が怒って、私に襲いかかってくる。私はあっさり負ける」

さやか「このまま襲われればよし。襲われなければ、体で償うと持ちかける」

さやか「既成事実ゲット」

ほむら「お断りされたらどうするの」

さやか「それはない。相手は男子中学生。エロの化身だ」

まどか「ああ、うん、頑張ってね」

さやか「まどかは応援してくれるんだね。ありがとう」

まどか「さやかちゃん・・・」

恭介「体育館裏になんか呼び出して、どうしたの?」

恭介「もしかして告白とか?」

恭介「そんなわけないよね」

さやか「恭介」

さやか「財布出せ」

恭介「え?」

さやか「今、ちょっとお小遣い足りなくて困ってんだよねー。ちょっと貸してよ。恭介の財布の中身全部」

恭介「3000円と小銭しかないけど、はいどうぞ」

さやか「え、あれ、なんで」

恭介「なんでって、さやかが欲しいって言ったんじゃない」

さやか「いや、そうだけど、普通嫌がるよね。そんな笑顔であっさり渡すかな」

恭介「いいんだよ」

恭介「さやかは僕が入院しているとき、毎日のようにレアCDを持ってきてくれていたよね」

さやか「あれは、その、ね」

恭介「さやかが困っている原因は僕にある。少しでも償えるなら、僕も嬉しい」

恭介「だから、受け取って欲しいんだ」

恭介「全然足りないだろうけど、僕にできることならなんでもするから今日はこれで許して欲しい」

さやか「う、うん、ありがとね」

恭介「それじゃこれからバイオリンのレッスンがあるから。また明日」

さやか「あ、バイバイ」



さやか「あれ?」

さやか「なんか予想と違う」

翌日


まどか「おはよ、さやかちゃん」

さやか「おはよう、まどか仁美ほむら」

ほむら「昨日、上条恭介を体育館裏に呼びつけたようだけど」

さやか「うん、カツアゲ成功したよ」

仁美「本当にカツアゲしたのですのね」

さやか「でも、怖がりも嫌がりもせず笑顔で渡された」

まどか「そうなんだ。今日はどうするの?」

さやか「とりあえず恭介が怒るまでやってみる」

さやか「半月くらいでせいこうすればいいけど。それ以上時間がかかると危ない」

ほむら「そう、適当に頑張ってね」

放課後

恭介「昨日と同じ場所に呼び出されたってことは、要件も一緒なんだよね」

さやか「まぁね。恭介、財布だして」

恭介「空っぽの財布でよければどうぞ」

恭介「ごめんよ、来月のお小遣いまで待ってくれないかな。月の頭に貰うんだ」

恭介「それでも3000円だから、昨日渡した分より少ないんのだけれど」

さやか「あ、そんなの気にしないでよ。なんかごめん」

恭介「そうだ。明日から、お弁当の代わりにパン代貰うことにするよ」

さやか「パン代?」

恭介「いつも僕はお弁当だろう」

恭介「お弁当を作ってもらう代わりに、昼食代を貰うんだ」

恭介「中沢なんかは毎日500円貰って、購買でパンを買ってるらしい」

恭介「僕も同じように出来ないか、親に聞いてみるよ」

さやか「いや、そんな」

恭介「たった500円で申し訳ないけど、さやかそれで我慢してくれ」

さやか「あの、恭介」

恭介「それじゃ、また明日。さやかも気をつけて帰るんだよ」

さやか「行っちゃった……」

翌朝


さやか「はぁ」

まどか「さやかちゃん、なんだか落ち込んでない?」

さやか「なんか、自己嫌悪におちいってる」

仁美「不謹慎ですが、面白くなってきましたわ」

さやか「仁美酷い」

仁美「自業自得ですもの」

ほむら「志筑仁美に同意」

まどか「ごめんねさやかちゃん。わたし」

さやか「大丈夫。3人とも恨んでない。大好きな友達のままだよ」

まどか「なんか私の方が申し訳なくなってきた」

ほむら「まどかが気に止む必要は一切ないわ」

昼休み



恭介「悪いが中沢、今日から別の場所で昼食とることにするよ」

中沢「ああ」

恭介「今日は天気が良い。屋上にでも行こうかな」



さやか(恭介は屋上に……)

屋上

さやか「あの、恭介」

恭介「おや、さやか。奇遇だね。今日はどうしたんだい?」

恭介「普段は教室で鹿目さん達と一緒に食べてるだろう」

さやか「ああ、その、気分転換、みたいな?」

恭介「そうか。僕と一緒、でいいのかな」

さやか「えーと、恭介。お昼ご飯は?」

恭介「借りがあるさやかに対して嘘は付かないよ。500円、今渡してもいいのかい?」

さやか「え、あの、うん」

さやか「そうじゃなくて、パン買ってこなくていいの」

恭介「一食くらい抜いたって大丈夫さ」

さやか「あー、その。偶然」

恭介「ねぇ、さやか。そんなところ立っていないで、隣座りなよ」

さやか「え、うん。それじゃ失礼します」

恭介「そんなに離れなくてもいいじゃない」

さやか「ちょっ、恭介なんで寄ってくるの。なんで手を握る」

恭介「さやかの手はあったかいね」

さやか「いきなり何を言い出すかな。恭介さんは」

恭介「ああ、ごめん。親しき仲にも礼儀あり。馴れ馴れしすぎた」

さやか「恭介、なんかおかしいよ」

恭介「春の日差しが気持ちよくて」

恭介「さやかはお昼ご飯もう食べたのかい?」

さやか「昼休み始まったばかりだよ。食べ終わるわけないじゃん」

恭介「そうだよね。もう邪魔しないから、食べなよ。昼休み終わっちゃうよ」

さやか「その件、なんだけどさ」

恭介「うん」

さやか「あたし、今日さ、お弁当ってピッタリの量のおかず作れないじゃん」

恭介「そうなんだ」

さやか「少し余ったから、もう一つだけお弁当作ってきてあげたんだ」

さやか「恭介が、可哀相だから、一つあげる」

恭介「それは助かるよ」

さやか「そんな嬉しそうな顔しないでよ」

恭介「ごめんごめん。でも、嬉しかったから」

さやか「昼休み終わるから早く食べろよ。ふんっ」

恭介「いただきます」

さやか「おあがりください(小声)」

なんか今日はえらく重いですね

恭介「ふぅ、美味しかったよ」

さやか「ほとんど冷凍食品だよ」

恭介「卵焼きは手作りだと思ったんだけど、違った?」

さやか「それは私が作ったけど」

恭介「美味しかったよ」

さやか「ただの余り物だから」

恭介「それでありがたかった。またおかずが余ったら作ってきてほしいな」

さやか「もしも余ったら作ってあげてもいいけど、期待しないでよね」

恭介「楽しみにしてるよ」

てす

ほむら「へぇ、いいふいんきだったのね」

さやか「でね、『これ今日の分』って500円渡された」

まどか「ぶふおぁ」

さやか「手作りお弁当食べてもらったのに、なんか悲しい」

まどか「さやかちゃんの愛情弁当500円也ってか。ってかwwwwww」

仁美「なんだかもう私がさやかさんに惚れそうですわ」

まどか「返り討ちにあって、少女卒業するのいつになるのかな。かな」

さやか「焦っちゃダメ。じっくり落とす。いつか必ず我慢の限界が来るから」

仁美「上条君、好きです。付き合って。返事は放課後でよろしいですわ」

さやか「ひとみぃ!?」

恭介「突然の告白ありがとう。放課後までに誠意を込めた回答を用意するよ」

さやか「恭介!?」

放課後


仁美「上条君、屋上で待ってますわ」

恭介「分かった。少し時間をずらして、5分後くらいに行くよ」

さやか「うぐぐ・・・」

さやか「仁美が相手じゃ敵わないよ。仁美も恭介のこと好きだったなんて」

さやか「親友のことなのに、全然気がつかなかったよ」

さやか「あたしって、ホントバカ」

まどか「さやかちゃんのバカ!」

まどか「大バカ!」

まどか「救いようのないバカ!」

まどか「そんなだから戦う前から負け犬になるんだよ。負け犬バカ!」

まどか「どうして最初から諦めるの。バカだよね。死ぬの?」

まどか「馬鹿なら馬鹿らしく、当たって砕けてそれから自分のバカさ加減に絶望しなよ」

ほむら「いや、まどか。いくらなんでも」

さやか「まどか・・・励ましてくれるんだ。マシンガントークの応援、まどかの心は伝わったよ」

ほむら「ここ、怒るところよね?」

さやか「あたしなりにやるだけやってみるよ」

まどか「うん、その方がさやかちゃんらしいよ」

まどか「大丈夫、きっと上手くいく」




さやか(私は恭介が好き)

さやか(馬鹿だし、美人でもない。元気だけが取り柄のダメな子だ)

さやか(そんな私が出来ること。仁美というライバルに万が一にでも勝てるかもしれない唯一の方法)

さやか(もう私は、手段を選ばない)



私は、屋上の扉を、全力で駆け上がる勢いのまま、開いた

さやか「上条恭介っ」

バタッ



さやか「上条恭介っ」

恭介「さやかっ」

仁美「さやかさんっ」

さやか「恭介、わたしは」

さやか「あなたを」

さやか「あなたを殺す」


恭介「」

仁美「なぜ」

さやか「悔しいけど、私じゃ仁美に勝てないよ」

さやか「仁美は優しいし、可愛いし、お嬢さまだし、肌はスベスベで、髪の毛フワフワ」

さやか「女の子女の子してる。それに比べてわたしなんて」

恭介「そんなに自分を卑下するな」

さやか「私なんてガサツだし、馬鹿だし、良いところなんて全然ないよ」

恭介「うん、まぁ、バカだよね」

仁美「ガサツなところ、多々ありますわね」

さやか「恭介、腕治ってよかったね」

恭介「ああ、まるで奇跡や魔法だ」

さやか「それ、私が治したんだよ」

さやか「その奇跡も魔法も、私が起こしたんだよ」

恭介「・・・・・・・・・・・何を言っているんだ」

さやか「見て、恭介。変身」

パァ

さやか「私の姿、変わったでしょ。これが奇跡の代償」

恭介「その格好は」

さやか「これは魔法少女の衣装。わたしは恭介のために」

恭介「さやかって意外とスタイルいいんだな」

仁美「スクール水着じゃ分からない魅力ですわね」

恭介「写メ写メ。くそっ、起動が遅い」

仁美「さやかさん、お似合いですわよ」

さやか「え、ありがと」

恭介「今度、撮影させてくれよ。それ、よく似合ってるぜ」

さやか「そ、そうなの、かな」

さやか「じゃなくて。危うくごまかされるところだった」

さやか「恭介、お前を殺す」

恭介「理由は?」

さやか「恭介と仁美を殺せば、奪われることもない」

さやか「ずっと私の胸の中で生き続ける」

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