さやか「まどかー、久しぶり!」まどか「ど、どちら様ですか?」 (557)

さやか「やだなーもー、3年ぶりの親友美樹さやかちゃんだよ?」

まどか「ご、ごめんなさい何のことだか……」

さやか「まさかそのジョーク海外で覚えたのかな?」

まどか「……え?」

さやか「え?」

恭介「やめないか、さやか」

恭介「鹿目さんが困っているだろ」

まどか「ありがと上条くん、3年ぶりだね」

恭介「元気にしてたかい」

さやか「え?」

さやか「えっと、二人はどういう関係?」

恭介「僕と鹿目さんは小学生のときからの幼馴染だよ」

さやか「あれれ、おかしいなー」

さやか「それって私もだよね?」

恭介「何を言ってるんだい?」

恭介「さやかは鹿目さんが海外に引っ越したのとほぼ入れ替わりで小学校に転校してきたじゃないか」

さやか「え?」

恭介「だから鹿目さんはさやかのことを知らないはずだけど……」

まどか「うん」

まどか「ごめんね、美樹さん」

まどか「もしかしたらどこかで会ったことがあったのかな……?」

さやか「……さやかでいいよ」

マミ「久しぶりね」

まどか「えっ誰ですか」

マミ「え・・・やぁね忘れちゃったの?私よ」

まどか「誰ですか」

ほむら「……」フフッ

杏子「さやかー、そんなことより早く飯食いに行こうぜ」

杏子「あっ、あたしは佐倉杏子」

杏子「よろしくな、転校生」

まどか「よろしく、杏子ちゃん」

恭介「佐倉さんは見た目怖いけどいい人だから頼るといいよ」

杏子「見た目怖いとか言うなよなー」

さやか「……」

杏子「そうだ、転校生も一緒に昼飯食おうぜ!」

まどか「まどかでいいよ」

杏子「そっかサンキューな、まどか」

杏子「じゃあ案内がてら先に屋上まで行ってるからさ」

杏子「さやかもマミの奴連れてすぐ来いよ!」

さやか「……うん、わかった」

ほむら「ふふっ、無様ね美樹さやか」

さやか「なんだとー!」

さやか「確かにまどかと私は幼馴染で親友なのに……」

さやか「ってあんたに言ってもしょうがないか」

ほむら「いいえ、信じてあげてもいいわ」

ほむら「自分一人だけが覚えているなんて辛いものね」

さやか「ほむら……あんたいい奴だったんだな」

ごめん今から夕飯だわ
落としていいわ、それか誰か続き書いて

>>1 まどか劇場版、公開二日目にして初回推移が下落率6割 絶望の超初動型ならぬ超初日型か
    さいたま 宇都宮  仙台  日吉津  亀有   川口   倉敷  伊勢崎  八尾   京都   つくば   三好   周南  柏の葉
土曜 504/504 504/504 383/383 *38/310 250/460 239/427 456/456 244/508 174/260 383/451 381/471 457/519 143/451 371/473
日曜 274/502 225/504 182/284 *20/310 *96/234 *55/427 178/456 *31/508 *72/260 108/451 *82/471 198/332 *59/452 153/473
合計 4527/6177 1733/5664 38%

二日目にして、この有り様 果たして累計であの花に勝てるかどうか… まどマギのスレを見にいったら「まどマギの本スレがけいおんスレ抜きそう!!!!」って  大騒ぎしてたわ…w これが現実逃避か
 パート数自慢はアニプレックス公式だからね  売り豚を広げたのも化物語の時に他のアニメ叩きまくったからだし
マジでまどかオタは他の作品の事ばっかり気にしてるんだよな  けいおんとかどうでも良いだろ
 流出騒動で運営()がけいおんスレとまどかスレ行き来して対立煽ってるのがバレてたな
なんかつぶれ大福みたいなキャラでほんわかアニメと思わせて実はエグイ内容でギャップでびっくりさせるってだけのアニメ
 ストーリーなんて分かりやすく言えば友達いない妄想ストーカー女が魔法を手に入れたので自分の思い通りにしようというだけ アホ信者がそいつに自分を重ねて感動してる

魔法少女まどか☆マギカ 前編
・動員ランキング
 1位『アウトレイジ ビヨンド』、2位『踊る』、3位『ツナグ』、4位『神秘の法』、5位『バイオV』、6位『ロラックス』、
 7位『まどか☆マギカ前編』、8位『ボーン・レガシー』、9位『新しい靴』、10位『ハンガー・ゲーム』、11位『最強のふたり』
・10/8の入り(数字は1館当たり 土日平均との比較
 [ツナグ - 99.7%]  [ロラックスおじさん - 131.7%]  [アウトレイジ - 78.4%]  [神秘の法 92.4%]  [新しい靴をかわなくちゃん - 95.5%] [あなたへ - 169.7%]
[魔法少女まどか - 56.9%] ←←←←←←←←←←←←←←←
 [TIGER & BUNNY - 88.5%] [バイオハザード - 99.7%] [天地明察 - 128.0%] [ボーン・レガシー - 86.0%] [踊る大捜査線 - 91.3%] [るろうに剣心 - 92.7%]
・MOVIX予約状況

さいたま 8日 10:15_168/502  13:05_*91/502  15:50_*87/502  18:30_*45/502  21:10_*50/502
三好 8日 10:30_*78/332  13:20_*54/332  16:10_*33/332  18:20_*13/228  21:00_*30/228
仙台 8日 10:10_*13/284  13:00_*25/284  15:50_*10/284  20:40_*10/284
つくば 8日 09:30_*26/471  12:15_*27/471  15:00_*29/471  20:20_*17/471
宇都宮 8日 10:30_125/504  13:10_*41/504  15:50_*15/504  18:30_*17/504  21:10_*17/504
倉敷 8日 09:20_*60/310  12:05_*43/310  14:45_*27/310  20:20_*32/310


QB「集めてきたよ」

ほむら「………」

ほむら「敬語」ゲシ

QB「ぅっ!っ!」

QB「わからないのかい?僕達には感情がない。君のその暴力にも脅しにも、恐れなんていだッ!くっ!ないのさ」

ほむら「ふふ、インキュベーター。ならムダを嫌うお前達が、なぜこうされると分かっていながら、かたくなに敬語を使おうとしないのかしらね」ゲシゲシ

ほむら「それはね、意地よ。インキュベーター。下等な生物として扱ってきた人間に、心まで隷属されまいと抗っているの」ゲシ

ほむら「喜びなさい、あなた達は感情を手に入れたのよ」

QB「………」

ほむら「星に帰れれば、あとはいくらでもあなた達の望む感情エネルギーを自家発電できるわよ」ゲシゲシ

QB「…っ!……」

ほむら「でも、ふふ。こんな立場じゃあどうしようもないわよねえ」ゲシ

QB「っ!…ぁっ!」

ほむら「いまのあなたは、こうして私のために魔獣エネルギーを収集するだけの奴隷だものね」ゲシゲシ

ほむら「楽しいわねQB!これからはたっぷりと感情を教えてあげるわ!」

ほむら「ふふふ…ふふ」

QB「……どう、したんだい?」

ほむら「…早く仕事に戻りなさい」

QB「不可解だ。さっきまで笑っていた君が、なぜ急に不機嫌になる」

QB「感情を、理解し始めた僕にもよくわからない」

ほむら「早く行け」

QB「…わけがわからないよ」

ほむら「むりよ。私を理解するなんて。もはやマトモな感情なんて残ってやしないんだから」

ーさやか宅ー

さやか「はぁ。まどかー」

さやか「ほんとに私のこと覚えてないや」

さやか「はは、結構きっついなーこれ」

さやか「…ん?メール?しかもあたしから?」

さやか「へんなの。メール予約なんてしたっけなあ」

さやか「なになに?『日記を忘れるな』」

さやか「あたしみたいなのが日記なんて続くはずないじゃん!まったくもう」

さやか「大体、あたし日記なんてつけて…」

さやか「あれ?このへんにあったかも。一年前に三日坊主にしたやつだけど!」

さやか「ん、あったあった」

さやか「…昨日の日付で日記がつけてある。おかしいな、そんな記憶なんてないのに」ペラペラ

さやか「………!!」

さやか「こ、これに書いてあることって!」

さやか「なにがほむらはイイやつだ。忘れてた…あいつは……」



さやか「あいつは悪魔だった…!!」

ー翌日ー

さやか「どうしよう」

さやか(とりあえず昨日と同じ手で、あたしの記憶が改ざんされても大丈夫)

さやか(でも、すごいスピードで世界の改変が進んでる。このままじゃ、この世界のまま安定しちゃうかも)

さやか(なるべく早くアクションを起こさないと)

さやか(でも、どうやって?)

さやか(あたしじゃあどう逆立ちしてもほむらに敵わないし。でももうきっと元の世界を覚えてるのはあたし一人だ)

さやか(あたしがなんとかしないと!)

さやか(そろそろまどか達と合流する。頭からほむらのことを締め出さないと)

さやか(ほむらは鋭い。あたしが記憶を継承したままならすぐに勘付かれる)

さやか(学校にいる間は、大人しく記憶を改ざんされよう。あたしがほむらに噛み付けるとしたら)

さやか(あたしが洗脳済みだというほむらの油断。そこにつけ込むしかない)

さやか「おはよーっ!みんな」

杏子「おーっす」

恭介「おはよう」

さやか「おはよう!まどか」

まどか「うん。おはよう、さやかちゃん」

さやか(………)

さやか(………まどかは今日もかわいいなー、なんて抱きついたらまどかドン引きだろうな)

さやか(なるべく馴れ馴れしくしないようにしよ)

まどか「上条くーん、ここ教えて!」

恭介「ここかい?ここはね…」


杏子「なーに、羨ましげに見てんだよさやか」

さやか「へっ!?あたしは別になにも見てないよ!」

杏子「なにも、ってなんだよまったく」

杏子「うかうかしてらんないんじゃねーの?昔馴染みの転校生が恋のライバルなんて」

さやか「いや、恭介には仁美がいるじゃん」

杏子「いーや!わかんねえぞー?転校生の参戦で上条の心は揺れる」

杏子「まだまだ付け入るスキはあるってモンよ!」

さやか(…なんでだろ。あたしは恭介が好きなはずだけど…なにも心が動かない)

さやか(まどかが親友じゃないって思うとこんなにも胸が締め付けられるのに)

さやか「まーどか」

まどか「えと、さやか、ちゃん?」

さやか「お、覚えててくれたんだ。嬉しいな。今日もお昼、一緒しない?」

まどか「うん!喜んで!」

恭介「ずるいよさやか。僕が誘おうとしたのに」

さやか「なに言ってんの。どーせ一緒に食べるのに」


仁美「………」
杏子「しょげるなしょげるな」ポン

マミ「どう?鹿目さん。学校は慣れた?」

まどか「ウェヒヒ。それが、あんまり…」

杏子「まあ三年のブランクもあるし、小学校と中学校じゃだいぶ勝手も違うもんな」

まどか「そうだね…。特に国語は向こうじゃ勉強できなかったから。漢字とか、読めなくて」

さやか「お、それならさやかちゃんを頼ってくれちゃっていいんだよ?代わりに英語教えてよね!」

杏子「おいまどか、こいつは信用するなよ。英語だけ都合よく教えてもらって、漢字なんか教えるつもりさらさらねえからな」

さやか「なにをーっ!あたしだって、知ってたら教えるよ!」

杏子「お前はその引き出しが極端に少ねーじゃんよー」

さやか「くーっ!杏子だって似たようなもんでしょ!」

まどか「ウェヒヒ、賑やかですね」

恭介「あのふたりは、いつもあんな感じだからね。そのうちやかましく感じるようになるよ」

マミ「まあ、良くも悪くもいつもの光景ね」

恭介「鹿目さん。いろいろわからないこともあるだろうし、良かったら今日僕の…」

仁美「…」コホン

恭介「いや、なんでもないや」

まどか「?」

まどか「あの、みんな」

マミ「なあに?」

まどか「私、良かったら他のクラスメイトの話も聞きたいなって」

まどか「あ、ごめんね、仲良くしてもらってるのに!あの、みんなといたくないって意味じゃなくて、私が言いたいのは、その、こーゆー人がいるよーみたいな」

まどか「そう!みんなにクラスメイトを紹介してほしいの!」

さやか「ほほう、話は読めたよ!」

さやか「さてはまどか、もう気になる人がいるんだ!クラスメイトを紹介させて、どさくさでそいつの情報をゲットする気だな~?」

恭介「そうなのかい!?」

まどか「ち、違うよ!?」

杏子「その反応、怪しいな!問い詰めるぜさやか!」

さやか「おうよー!覚悟しろまどかー!」

マミ「あのふたり、変なところで息ぴったりなのよね」

仁美「………」ブスッ


まどか「わかったよ!言う!言うからくすぐらないでー!」

杏子「お、やっと観念したか。さあ言ってみろ!」

まどか「その…あ、暁美、さん」

まどか(あ、あれ?私、へんなこと言っちゃったかな。みんな急に静かになっちゃった)

まどか「あっ!」

まどか「ち、違うよ!?女の子が好きとかじゃなくて…」

さやか「まどか。悪いこと言わない。暁美さんには近づかない方がいいよ」

杏子「そうだな。あいつだけ纏ってる空気が尋常じゃない。あたしはあいつが人を殺したことあるって聞いても驚かねえぜ」

仁美「そうですわね。あの方には先生すら気を使ってらっしゃいます。触らぬ神に、ですわ」


まどか「そ、そうなんだ…」

まどか(じゃあ初日の…あれはなんだったんだろう)






ほむら「………………」

ー夜ー

さやか「っ!思い出した…!」ペラッ

さやか「さらに世界改変が進んでたよ…。こりゃあ本気でやばいかも」

さやか「でも、ほむらの目的はなんなんだろう。てっきりまどかにベタつくかと思ったけどそんなこともないし」

さやか「むしろ自分のことを危険人物って設定して、人除けをしてるようにも思えるし
…」

さやか「それと、どーゆー訳か『私がまどかと親友だった』って記憶だけは改ざんする気がないみたいね」

さやか「今日のあたしは、世界が改変されたことは覚えてないけど、まどかと親友だったことは覚えてた」

さやか「そして、それを不審に思うこともなかった」

さやか「うーん、わからん!」

さやか「はあ、しんどいなあ。事情を知ってるのはあたしだけ。あたしがやるしかない」

さやか「しかも、出来るだけ早くしないと」

なにを?どうやって?

何の指針もない…。

さやか「うあー、まるで迷路だ。何をすればいいのかもわかんないなんて、絶望的だねあたし!」

さやか「あははは、…はあ」

さやか「ほむらもループしてた時は、こんな気持ちだったのかなあ…」

さやか「強かったんだな、あいつ」

さやか「そもそも、なんであたしは戦ってるんだっつーの!まどかもあたしも蘇った!めでたしめでたしだよ!」

さやか「戦う理由もわかんないや」

さやか「いっそこんな日記捨てちゃって、大人しくほむらの世界に馴染もうかな」

さやか「その方が、きっと」


ピリリリリ!!!

さやか「ん、電話」

さやか「もしもーし?」

杏子『もしもしじゃねぇーよ!今日は魔獣退治の日だろ!?なにすっとぼけてんだ!』

さやか「えっ!そ、そっかー(やば、記憶が改ざんされてないから知らなかった)」

杏子「またいつものとこで戦ってるぞ!早くこい!」

さやか「(いつものってどこだよ!)ご、ごめん杏子!それどこだっけ!?」

杏子『寝ボケてんのか?公園だよ、いつもの』

さやか「りょーかい!ちょいと待ってて!」

さやか(とりあえずは、魔獣退治しよう)

改ざんされてなくても魔獣の存在は知ってるだろ

>>125
さやかは「魔獣退治をする日」を知らなかった
わかりづらくてすまん

ー数時間後ー

マミ「これで、全部ね」

杏子「ああ。だけど…くそっ!なんで死んじまうんだよ…!」





「なぎさ…!!」

この世界ではどうも、マミさん、杏子、あたしとなぎさの四人でチームを組んでたみたい。

でも、そのなぎさはいまさっき…死んでしまった。

さやか「ごめんなさい、あたしがもう少し早く到着してたら…!!」

マミ「いえ、美樹さんのせいではないわ」

杏子「ああ。限界だったんだ、あいつ」

マミ「しかし、魔法少女の消えるところって、残酷ね」

杏子「ああ。この世界のために戦ってたってのに、最後はひでーもんだ」

さやか「……?」

さやか(ふたりとも…円環の理への印象が、変わってる?)

さやか(…そうか!まどかが、こっちに来ちゃったからだ!)

さやか(まどかの祈りそのものは、『全ての魔女を生まれる前に消し去りたい』だけ)

さやか(円環の理の、慈愛とか労いとか、そーゆー物をもたらしてたのは、魔法少女の力じゃなくて、まどか本人の意思だったんだ!)

さやか(だからいまの、まどかの人間性が抜かれた円環は、ただの無機質な法則なんだ)

さやか(ただ、魔女を消し去るためだけの…)

さやか(だから魔法少女達は、その最期に希望を抱けない)

さやか(もちろんそんなの、導かれないとわかんないだろうけど、それでもみんな敏感に感じとってるんだ)

さやか(温かさの、優しさのない円環の理が残酷だって…)

まどか『魔法少女の祈りを、絶望で終わらせたくない!』

さやか(それが、まどかの祈りだった!)

さやか(確かにまどかは概念になって、悲しい思いや寂しい思いをしたかもしれない!)

さやか(でも、それでもまどかは後悔してなかった!自分の祈りに誇りを持ってた!)

さやか(それをほむら。あんたは踏み潰したんだ)

さやか(この世界では、やっぱり魔法少女の最期は絶望だよ)

さやか(いまの円環は、形だけだ)

さやか(やっと決まった。戦う理由。やること。全部)

さやか(ほむら、あんたからまどかを取り返して、あるべき円環の理を再生させる!)

さやか(そんで、あたしはまた導かれるよ。ほむらと一緒に…)

杏子「おい、どうしたよさやか。ボーッとして」

さやか「あ…。うんごめん、なぎさが可哀想で…」

さやか「あ、ところでグリーフシードは?魔獣を倒したのに出てきてないけど…。あとQBも」

マミ「…?グリーフシード?QB?なんの話?」

さやか「え、ほら、魔力を回復させる…」

杏子「まだ寝ぼけてんのかよ、さやか。ほんと今日のお前おかしいぞ?」

さやか「う、だって」

さやか「!!!」

杏子「ん?なんだこれ」
マミ「なんだかイヤな感じね…」

さやか(やばい、世界が乱れてる!『この世界の常識』について詮索しすぎたんだ!)

さやか(ほむらに気づかれた!?)

さやか(とにかく、あたしが記憶を改ざんされてると誤認させなきゃ!)

さやか「いやー、ごめんふたりとも!なんかふとそんな単語が頭に浮かんだんだけど、意味が思い出せなくて」

杏子「頼むぜ、おい」

マミ「九兵衞って、ひょっとして柳生十兵衛のことじゃない?時代劇で小耳に挟んだとか」

さやか「あ、それですそれそれ!いやー思い出せてよかった!(ありがとう柳生十兵衛さん。あたし知らないけど)」


杏子「じゃあ、さ。なぎさのことは残念だけど、くよくよしててもしゃーないし」

マミ「ええ。また明日」

さやか「はい!また明日!」


さやか(世界の揺れがおさまった。なんとか切り抜けた…かな?)








ほむら「…………………美樹、さやか」

寝てしまってた

ーさやか宅ー


さやか「うーん、勘付かれたかなあ」

さやか「さすがに怪しまれたよねえ…」

さやか「どうしたもんか」

さやか「まだあたしはこの世界の常識を、把握しきってないからなー」

さやか「まずはここを知りたいね」

さやか「グリーフシードもQBもない世界、このあたりが突破口になりそうな気がするんだけど…」

さやか「てゆーか、魔法少女がいるのにQBがいないって不自然だよね」

さやか「この世界の魔法少女達はなにと契約したんだろう」

さやか「…人に常識を聞くほど不自然なことってないよね」

さやか「きっとほむらのマークが強くなってるだろうこの状態で、そんな危ない橋は渡れない」

さやか「うーん、人に聞かずに常識を知る方法…。やっぱ、大人しく洗脳されるしかないのかな」

さやか「きっとほむらは、毎日特定の時間に洗脳してるんだよね」

さやか「これから必要になる情報を、時間帯に分けて」

さやか「朝→学校関係、夕方→家族関係、夜→魔法少女関係って感じで」

さやか「そんで、あたしみたいに記憶継承してるやつには効きづらい。うん、この仮説ならあたしが魔法少女関係の情報だけすっぽり抜け落ちてるのも納得がいくね」

さやか「つまり、あたしは明日は終日ほむらの洗脳に付き合えばいいわけだ」

さやか「…なんか怖い!予約メールをちょっと先延ばしにするだけなのに、めちゃくちゃ怖いよ!」

さやか「思えば、ほむらのは洗脳なんて生易しい能力じゃないんだよなあ」

さやか「世界ごと書き換える能力…それなら、反世界的なこの日記も危ないかも」

さやか「毎日書き続けてるからいいものの、明日丸一日、日記を書かないでいたら…気づいたら日記は白紙でしたーなんて」

さやか「結構な賭けだなあ。でもこのままでもなにも前進しないし、とにかくやってみよう」

さやか「よし!そうと決まればいろいろ考えないと!」

ー翌日ー


さやか「はーっ!やっと終わったー」

杏子「だなー。あたしはもうダメかと思ったよ」

恭介「まだ2時間目が終わったばかりじゃないか。ねえ?鹿目さん」

まどか「うーん、私もさっきの国語がちんぷんかんぷんで…。いつも悪いんだけど、上条くん教えてくれないかな?」

恭介「お安い御用さ」

杏子「まどかはすげえよなー。向上心が」

さやか「英語、国語。さらにこの後は数学が続く悪夢の時間割なのにねー。休み時間まで勉強なんて」

杏子「ところでさやか。お前なんかやつれてねーか?」

さやか「んー?やっぱわかっちゃう?実は昨日遅くてさー」

杏子「ああ。まあ、あんなことがあればな」

さやか「うん、なぎさの事もだし、他にも大事な…あれ?なにしてたんだっけ」

杏子「大丈夫かよ…。最近のさやか忘れっぽいなんて次元じゃねーぞ」

さやか「うーん、待って待って…」

さやか「あ、そうだ!思い出した!」


ほむら「………!」チラ


さやか「これ!まどかにプレゼント!」

まどか「これって?」

さやか「プロフィール帳だよ。みんなにプロフィールを書いてもらって、ここに挟むの」

さやか「そうすれば、まどかの友達で構成されたオリジナルのプロフィール帳が完成するわけ!」


ほむら「………」フン

さやか「あたしが小学生のころ流行ったやつだから、ちょっとデザインが子供っぽいけど、転校したばっかのまどかにはちょうどいいかなって」

まどか「嬉しいよ、さやかちゃん!ありがとう」

杏子「へー、さやかにしては気がきいてんじゃん」

さやか「はい、これ。プロフィール書く用の紙だから。あたし達以外にも気になるクラスメイトに書いてもらったら?」

まどか「うん、ありがとう」

さやか「そしてもうあたしは書いてきたからさ、はい。ほら、みんなにも」

杏子「いや、あたし達にも書いて来てんの?いまさらだろ。まあせっかくだから貰っとくけど」

恭介「僕の分もあるのかい?僕はどちらかと言えば鹿目さんのが欲しいな」

仁美「……」ジロ

まどか「………」スック

さやか「ん?まどか?」

タタタ…


杏子「お、おい…!」


まどか「はい、これ。書いてきてくれたら嬉しいな。暁美さん」

ほむら「…なぜ、私に?」

まどか「だって、初日にお話したっきりだし。仲良くしたいなって」

さやか「おお、勇気ありますなあ」ヒソヒソ
杏子「あれは只者じゃないぜ…」ヒソヒソ


ほむら「…………」

まどか「だめ、かな?」

ほむら「…………………」

ほむら「いいわ。書いてきてあげる」ニコッ

まどか「わあ!ありがとう!」


さやか「微笑んだ!あの暁美が!」ヒソヒソ
杏子「さすがアメリカン育ちはちげえや!」ヒソヒソ

ーお昼ー


杏子「いやー、まどかすげーな!まさかあの暁美とプロフィール交換するなんて」

マミ「意外と話に聞いてたよりいい人なのかもしれないわね」

さやか「あたし、あいつが笑ってるの初めて見ましたよ」

まどか「でも緊張したなあ。本当にキレイなんだもん、ほむらちゃん」

さやか「下の名前呼びいい!恐れ知らずすぎるよまどか!」

杏子「フランク極めてやがるなー」

恭介「鹿目さん、そっちの気があるのかい?」

仁美「上条くんちょっとこっち来てください。お話がありますわ」

杏子「あーあ、上条のやつバカだなー」

さやか「仁美もあんな無神経なのと付き合うから」

まどか「ウェヒヒ、それはそうだね」

さやか「まどかも昔なんかあったの?」

まどか「うーん、そう聞かれると何かあったわけじゃないけど、なんとなくそう思っただけ」

まどか「あと、さやかちゃんがなんか可哀想だなって」

さやか「えっ!?まどかさん?」

杏子「あはは、すげーよまどか!なんでこいつが失恋したってわかったんだ?」

まどか「えと、ごめんね?さやかちゃん」

さやか「謝らないで…余計しんどい」

マミ「鹿目さん、大物になるかもね」

杏子「おっと、あたしこれから用事あるからさ。先行ってるな」

さやか「ん?そうなの?」

杏子「ああ。ひょっとしたら授業までに戻れないかも知れないから、うまく先生に言っといてよ」

さやか「ちょっと!またそうやって好き勝手する!こっちの身にもなれっつーの」

マミ「そうよ。学生なんだから、授業より優先するものなんてないはずよ」

杏子「あっマミ!あんたも付き合ってよ」

マミ「なんで私が!?佐倉さんと違ってこれでも優等生で通ってるのよ?」

杏子「まじめ一辺倒じゃつまんねーだろ?こーゆー遊びが、人間性に深みを持たせるんだよ」

杏子「それになー。マミが手伝ってくれれば5時間目に間に合いそうだなー。ああ、マミさえいてくれれば!」

マミ「わかったわよ!付き合えばいいんでしょまったく!」

杏子「サンキュー!マミもさやかも、あとでうまいラーメン奢ってやるよ。あとまどかも転校祝いで行こうな!」

さやか「……なんかさ、その用事あたしも行きたいなーなんて。面白そうだし」

杏子「だーめだ。お前には先生への言い訳という役割があんだろ?」

さやか「おいっ!」

マミ「ちょっと佐倉さん!5時間目に間に合うんじゃないの?」

杏子「あーうるさいうるさい。ほら行くぞ、マミ。あっあとまどかならついて来てもいいぞ!」

まどか「わっ私はいいよう」

杏子「そっか。んじゃさやか!あとよろしくなー!」

さやか「こら杏子ー!なんでまどかが良くてあたしじゃだめなのさ!」

杏子「自分に聞いてみなー!」

さやか「はあ?意味わかんない」

まどか「杏子ちゃんって本当に自由だね…」

さやか「そのシワ寄せはいつもあたしだよ」

まどか「ウェヒヒ、大変だねえ」

さやか「あっ、仁美おかえり。恭介は?」

仁美「知りません」

さやか「…………」

さやか「大変だね、仁美も」

ー夜・さやか宅ー

さやか「ふーっ!今日も一日お疲れ様、さやかちゃん!」

さやか「自分で言って恥ずいなこれ」

さやか「さて…魔獣狩りまで時間もあるし、宿題でもしますか!」

さやか「と、その前に杏子から借りてたマンガ読まないと」

さやか「………」ペラペラ

さやか「……ふふ」ペラペラ


さやか「……ん?メール?おかしいな、今日は来るはずないんだけど」

さやか「…あれ?なんで今日は来るはずないんだ??」

さやか「まあいいや。ん、これあたしからじゃん。こんなの送った覚えないんだけどなー、気持ち悪い」


『杏子に従え』


さやか「また文面も謎すぎるし!なにこれ杏子のイタズラかな」

さやか「……でもなにか、大事なことな気がする。判断次第では、取り返しのつかなそうな」

さやか「あれ?よく見たらこの3日間連続してあたしからメール来てる。おかしいな、そんな記憶ないのに」

さやか「文面はどれも『日記を忘れるな』」

さやか「まったく、あたしみたいなのが日記なんて続くはずないじゃん!」

さやか「あれ?でも確か、前に三日坊主にしたやつならこの辺に…」

さやか「お、あったあった」





さやか「ってなにこれ。全部白紙じゃん!三日坊主ですらなかったか。あたしひでえ」

さやか「ま、いっか。今日もいつも通り魔獣狩りしよーっと」

こうして、あたしはいつも通りマミさんと杏子と魔獣を狩った。

その後、いつも通り焰石(ほむらいし)でソウルジェムを浄化すると、マミさんの家でちょっとお茶して帰った。

本当に、いつも通りの代わり映えしない日常。





ほむら「………………」
ほむら(杞憂だったかしら)

ー翌日ー

まどか「これ、昨日さやかちゃんが欲しいって言ってたCD」

さやか「おお!ほんとに貸してくれるの!?ありがとー!今月ピンチでさー」

まどか「ウェヒヒ、私も洋楽語れる人が欲しかったから。貸して欲しいのあったら遠慮しないで言ってね」

さやか「まどかー!あんたいい子すぎるぞー!そんな子はこうしてやるー!」

まどか「ウェヒヒ、もうやめてよさやかちゃん!」

杏子「おーいさやか!」チョイチョイ

さやか「ん?」

杏子「ちょっと来てくれよ!すげー虫がいるんだ!」

さやか「あんた…女子中学生が虫って」

杏子「いいから早く来いって!」

さやか「はいはい、いま行きますよーっと」

さやか「ちょっと杏子!どこまで行くの?」

杏子「あとちょっとだ!」

さやか「まったく、あたし虫になんて興味ないんだけどな」

杏子「ここだ、ここ!」

さやか「んー?どれどれ」

さやか「!」ガッ

さやか「な、なに杏子?」

杏子「そのままで聞けさやか」ボソボソ

杏子「返事はしなくていい」ボソボソ

杏子「いいか?今日学校が終わるまでに、『QBって知ってる?』『なにか思い出さない?』このふたつの質問をまどかにしろ」ボソボソ

さやか「え…?」

杏子「もう一度言うぞ『QBって知ってる?』『なにか思い出さない?』このふたつだ。タイミングはいつでもいい」ボソボソ

さやか「な、なに言って…」

杏子「じゃあ、頼んだぞ!」

杏子「あと最後に。あたしも虫になんか興味ねえよ」ケラケラ

すまぬメシ食べてた


ーお昼ー

まどか「それでね!パパが時代劇にハマってて…」

さやか(お?いまなら…)

さやか「あ、まどか。『キューベーって知ってる?』」

まどか「えー?それは聞いたことないなあ。有名なの?」

さやか「さあ?あたしも知らない」

まどか「なんだ、さやかちゃんも知らないんじゃん!」ウェヒヒ

さやか(あ、これはコンボできる!)

さやか「んーちょっとでいいからさ、『なにか思い出さない?』」

まどか「ずっと日本にいたさやかちゃんが分からないんなら、私だって知らないよう」ウェヒヒ

さやか「いやさ、意外と外国にいた方が日本文化に興味持ったりするじゃん!」



さやか(これでいいの?杏子)

ー放課後ー

杏子「ようさやか!」

さやか「あっ杏子!もーどこ行ってたのよ!あれ以来授業もサボって!」

杏子「まあまあ。あたしにだっていろいろあんだよ」

杏子「ところでさ、あたしもまどかに紙もらってプロフィール書いたんだ。さやかにもやるよ」

さやか「うん?ありがと…」

杏子「ちゃんと読んでおけよな!じゃ!また後で!」

さやか「ちょっと!…行っちゃった」

さやか「プロフィールって…こーゆーの似合わないなあ、杏子」

さやか「どーせ腹減ったしか書いてないんでしょ」


さやか「どれどれ…」


さやか「…….………!」ニヤニヤ

ー夜・見滝原市・焰石前ー

さやか「焰石、か」

記憶を取り戻したあたしは、焰石の前にいた。

焰石。ほむらのもたらした、新たな概念。

地域毎に存在する焰石の前で祈った素質ある少女は、自らの祈りと引き換えに魔法少女となる運命を背負う。

戦いで消耗した魔力は、焰石にソウルジェムを掲げることで浄化される。

魔法少女を見守る聖なる石。

それが、表向きの姿。

だがその実態は、円環の理の制御装置だ。

ソウルジェムの穢れや、魔獣を倒した際に放出される感情エネルギー。

そういった物をQBがかき集め、蓄積させる。

そのエネルギーを用いて、円環の理がまどかを取り戻そうとするのを押さえ込んでいるらしい。

そのエネルギー収集・制御の役割を担っているのがQBらしい。

これはQBが言っていたらしいので、確かな情報だと思う。

つまりほむらが人間のまどかを押さえ込み、QBが概念のまどかを押さえ込む二段構え。

ここまでしてようやく、ほむらはまどかを人間に保たせているんだ。

さやか「これを、壊せば」







「なにをしているのかしら」



さやか「!?…ほむ」


ゴッ!

ほむら「…美樹さやか。少々おいたが過ぎたわね」ゴリゴリ

さやか「へへ…。ほむら、久しぶり」

いつの間に…。気づけば私は壁に頭を擦りつけられていた。

ほむら「やっぱりあなた、記憶を保持していたのね。どんな手を使ったか知らないけど」ゴリゴリ

さやか「日記だよ。日記をつけてたんだ」

ほむら「へえ。この私の影響力が安定してきた世界で、そんなチンケな物が書き換えられていないなんて意外だわ」ゴリゴリ

さやか「いやまあ。最近見たら日記消えてたしね」

さやか「あたしだって分かってた。日記なんかじゃいつか消されるって」

さやか「だからまどかに渡したんだよ。プロフィール用紙を」

さやか「あんたは意識的か無意識かはわからないけど、まどかの所有物は書き換えない」

さやか「まどかのバッグの中に演歌のCDが入ってた。でもこの帰国子女のまどかが好きなのは洋楽だ」

さやか「多分あんたはまどかとの接触を極力避けようとこーゆー設定にしたんだろうけど」

さやか「だから一度まどかの手に渡ったプロフィール用紙は書き換えられない」

ほむら「へえ、自慢げにどうも。この石のことはどこで知ったの?実態はQBしか知らないはずだけど」

さやか「そのQBからだよ」

ほむら「嘘おっしゃい。あなたとインキュベーターが接触した形跡はなかったわ」

さやか「…やっぱり、あたしを集中的に監視してたんだ。なら分かるはずないね」

ほむら「…どういうこと」

さやか「あたしは途中で作戦をシフトしたんだ。恐らくほむらに記憶の件はバレた。バレなくとも、マークは強まる」

さやか「だったら逆に、マークを徹底的に集中させればいい。さやかちゃんお得意の陽動作戦よ!」

さやか「あたしをマークするあまり、杏子とマミさんがノーマークにしちゃったね」

ほむら「佐倉杏子と、巴マミ…?」

さやか「あれ?見てなかったかな。あたしが杏子達にもプロフィール用紙あげてたの」

さやか「さてはまどかに話し掛けられて動揺しちゃったかなー?」

ほむら「くっ!」ガン!

さやか「ぐぅっ」

さやか「あのタイミングで、あたしと杏子・マミさんコンビの記憶継承の関係が入れ替わったんだよ」

さやか「あたしがマークされてる以上、これ以上不審なところを見られたら即消されかねないしね」

さやか「だけど、まったくあたしが怪しくなければあんたはあたしを意識しなくなるかもしれない」

さやか「だから杏子は、あたしに思わせ振りな発言をさせたんだよ。効果はてきめんだったよね?」

さやか「おかげであの二人はずいぶん好きに動けたみたいだよ。QBと接触したのもあの二人だし」

ほむら「あの二人が、あなたの味方になるって確証はあったの」

さやか「そこは賭けだったねえ。でも、なぎさの死を悼んだ二人なら大丈夫だって信じてた」

ほむら「………!」

ほむら「待ちなさい。その二人が仲間だと言うなら!」

さやか「あ、やっと気づいた?二人はもうまどかを連れて風見野の焰石に行ってるんじゃないかな」

さやか「焰石は円環の理の制御装置。なら、アクセスポイントだって考え方もあるよね」

さやか「まどかと、石の管理者たるQBが揃えば。本来の円環の理に戻すことができる!」

さやか「ここまでが作戦だったんだよ。あんたがあたしに釣られてここに誘導されるところまでが」

さやか「こーんなところで油売ってていいのかなー?」

ほむら「くっ!なんてことを!」バッ

さやか「おっと。油断大敵」バリン

ほむら「……!石を」

さやか「この石さえなければ、見滝原では円環の理が制御されることはない!」

ほむら(……!空間が歪んでいく)



さやか「ようこそほむら。さやかちゃんの、ーいや、Oktavia von Seckendorffちゃんの魔女結界へ!!」






さやか「まあ、ゆっくりしてきなよ」

QB「こっちだ!まどか!」

まどか「うん!」

杏子「しっかし、未だに信じらんねーよなあ。クラスメイトは女神様って…」

マミ「美樹さんの手紙を読んだ時は半信半疑だったけど、あの記憶が蘇っちゃうと、ね」

杏子「ああ。ほむらが女神を引き裂いて悪魔になる瞬間…。」

マミ「それに、私達の希望だったはずの円環の理も」

杏子「だけどなあ…。親友を、概念に戻すための戦いってのもなあ」

マミ「そうね。私達は残酷なことを鹿目さんに強いようとしているのかもしれない」

まどか「いいんだよ、杏子ちゃん。マミさんも。これは私にしかできないことだから」

杏子「あんた自身はどうなんだ?辛くねーのか?」

まどか「うーん、あの状態はなんというか…?大変だけど、辛くはなかったよ」

まどか「すぐさやかちゃんも来たことだし」

マミ「神様の仕事の話って冷静に考えるとすごい状況よね」

まどか「それになにより、ほむらちゃんを助けてあげなきゃ…!悪魔なんてあんまりだよ」

杏子「…友達のために、か。やっぱすげえよ、まどかは。敵わねえや」

マミ「ところでQB。美樹さんに勝ち目はあるの?」

QB「そんなの、ゼロに決まってるじゃないか。悪魔相手に一介の魔女風情が敵うはずないだろう」

QB「だから君も、そうして背後に糸を張り巡らせて警戒してるんだろう」

マミ「……!」

QB「これは僕たちに分が悪すぎる勝負だ。さやかがどれだけ時間を稼いでくれるかにかかっているが、期待はできない」

杏子「まあとにかく、いまのあたし達にできるのは、全力で走ることだけだな」

まどか「うん…!!」

マミ「!!!佐倉さん後ろから来てるわ!」

杏子「マジかよ!?早すぎねーか、おい!」

まどか「えっ!そんな…」

杏子「…行けっ!まどか!!ここはあたし達で食い止める」

まどか「杏子ちゃん…!」

マミ「あなたしか出来ないことがあるんでしょう?なら立ち止まってはだめ!走り続けなさい」

まどか「マミさん…っ!」


まどか「ごめん!ありがとう!」ダッ

この世界の利点は焔石でSG回復できるから無駄に縄張り争いする必要もない
戦闘中の魔力切れにだけ気をつければよい
いっそ戦い放棄してもよい?と良いことづくめなんだよな
マミ杏が協力した理由が気になる

>>276
あんまりさやかの独白が長くなるのはアレなので詳しくは触れませんでしたが、一応そのへん考えてはいます。

焰石はあくまでも円環の制御という機能が主眼に置かれています。

ソウルジェムの浄化というのは副次的な機能で、魔獣エネルギーを集めた報酬です。

ソウルジェムを浄化してくれる程度というのは魔獣討伐数に比例するため、見滝原という一等地ならともかく、魔獣の出現率の低い不毛の地では魔法少女ひとりぶんも賄えないかと。

そのため、より魔獣の出現率の高い町の方を求めて、この世界でも縄張り争いはあると思います。

また、魔獣のエネルギーとソウルジェムの濁りは同質の物ですが、魔獣エネルギーの方が圧倒的に効率が良いのでこのようなシステムになっています。

焰石というか、ほむら的には円環を効率良く抑えられればそれで良いのです。

この辺の調整はQBに一任されています。

ほむら「あら。今度はあなた達なの?」

マミ「ご不満かしら?」

杏子「連れねーな、あたし達チーム組んでた仲じゃねーか」

ほむら「別に。そこをどいてくれるなら、どうでもいいわ」

ほむら「あなた達に興味なんてないし」

杏子「そう言われると、余計構いたくなるのがあたし達だよな」

マミ「そうね。久しぶりに遊びましょうか、暁美さん」

ほむら「…私に敵うと思ってるの?」

ほむら「あなた達と組んでた私よ。手の内は知り尽くしてるわ」

マミ「あら。そうとも限らないわよ」

杏子「思えば、お前にこれを見せるのは初めてだよな。ロッソファンタズマを見せるのは」

ほむら「…分身?取るに足らないわね」

杏子「甘えよ。これを絡めたマミとの連携はすごいんだぜ?」

マミ「いくわよ!」

マミ「」
杏子「」

ほむら「だから言ったじゃない、敵うはずないって」


ほむら「本当に愚かなんだから…」ザッ






「待てよ…おい」


ほむら「…杏子。やめなさい、それ以上は本当に死ぬわよ」

杏子「ふざけんな。死ぬまで勝負ってのはつかねーんだ」

杏子「逃げんなよ」

ほむら「理解できないわ。なぜあなたはそこまでするの?円環の理に希望を求めすぎていない?」


杏子「そんなの…」

杏子「そんなのお前のために決まってんだろ!!」

杏子「なにひとりで背追い込んでんだよ!!あたし達に相談しろよ!仲間じゃねーのか、あたし達は!!」

杏子「何が悪魔だ!!痛々しいんだよ!見てらんねえんだよ!!無理しすぎだバカ!!」

杏子「がんばりすぎなんだよ!!もう疲れたんだろ?擦り切れちまったんだろ?じゃあもういいじゃん!なんでそこまでして戦おうとするんだ!」

杏子「もうお前は休んでいいんだ!さっさと導かれちまえ馬鹿野郎!!!」

ほむら「…………」

杏子「…わかってるよ。お前をそこまで追い込んじまったのは…あたし達だ」

杏子「もう少し真剣に、お前の話を聞いてやれてたら…こんな事にはならなかったんだよな」

杏子「ごめんな…ほむら。本当にごめん。気づいてやれなくて…」

杏子「仲間だなんて…言う資格ないよな。チーム失格だ」



ほむら「泣いているの?こんな私のために?滑稽だわ」

ほむら「本当に愚かね」

ほむら「そして、傲慢だわ」

ほむら「私は望んでいまの姿になった。これが私の幸せなのよ。あなたは本質がまるで見えていない」



ほむら「だからこうして死ぬことになるの」




杏子「へへ、くっそ…」


グシャ

杏子「」

まどか「はぁっ!はぁっ!」

QB「まどか早く!!こっちだ!!」

「そっちじゃないわよ」

QB「そうだった、実はこっち…違うよ!合ってるよ!誰だい僕を惑わすのは!?」

ほむら「ご主人様の声も忘れたのかしら」

QB「…ほむら」

ほむら「ノリツッコミまで覚えるなんて。順調に感情を理解できてるようで安心したわ」

ほむら「お前がペラペラと事情を話すもんだから面倒くさいことになってしまったのだけど」

ほむら「あとでおしおきね」

QB「」

まどか「ほむらちゃん…!」

ほむら「まどか」

ほむら「帰りましょう、まどか。独りぼっちは寂しいんでしょう?早く帰って、夕飯を食べて、お風呂に入って、寝てしまいましょう」

ほむら「起きればあなたの望む、幸せな日常が待ってるわ」

ほむら「なにもかも忘れて、楽しいことだけして過ごしましょう。きっと素敵な日々だわ」


まどか「イヤだ!」

ほむら「……まどか。あなたがそこまで自分を犠牲にする必要なんてない」

ほむら「ただひとりの人間として、普遍的な幸せを手に入れられればそれでいいじゃない」

ほむら「わかって。貴女のためなの」

まどか「わかってないのはほむらちゃんだよ」

まどか「そこまでほむらちゃんが傷ついてまで、私はこの世界にいたくない」

まどか「私はほむらちゃんを助けたいの。お願い、ここを通して」

ほむら「なに言ってるのまどか。私が傷ついてる?そんなわけないじゃない」

ほむら「私は幸せよ、まどか。だから安心して、あなたもここにいていいのよ」スッ

まどか「っ!!」

ほむら「ああ…。愛しているわまどか。貴女の全てが愛おしい」

ほむら「ただそこにいてくれるだけで、私はこんなにも満たされる」スッスッ

ほむら「いいじゃない、まどか。私の望みはあなたが存在していることだけ」

ほむら「いいでしょう?私のワガママ、聞いて欲しいわ」チュッ

ほむら「さあ。もう一度、記憶を書き直してあげる」

ほむら「今度こそ思い出すことのないように、緻密に入念に徹底的に」

ほむら「まどか…」

まどか「だめっ!やめて。ほむらちゃん…!」

「ほむらあああああっ!!!」

ほむら「!」バッ

さやか「まどかは、やらせない!」ハアハア

まどか「さやかちゃん!?」

さやか「早く!走ってまどか!あたしじゃ一分もたない!」

まどか「さや」
さやか「早くっ!!」

まどか「うん…!」

ほむら「ふん」

さやか「うっ!」

さやか「がはっ!」

「ぶっ!」
「くっ」
「かはっ!」

さやか「げほっげほ」


ほむら「サンドバックじゃない。なにしに来たのあなた?」

さやか「うう…」

さやか「ま、まど、は…たさない…!」ヨロヨロ

ほむら「しぶといわね。いい加減目障りよ」

さやか「あたしの回復力、舐めないでほしいね」ヨロヨロ

さやか「それに、あんたのそんな苦しそうな表情みてたら、頑張らないわけにはいかないじゃない」

ほむら「あなたも私に同情してるクチなの?やれやれだわ」

さやか「本当に、まどかさえいれば、それだけでいいの?」

ほむら「そうよ。それこそが私のすべてだから」

さやか「じゃあなんで!なんであたしがまどかの親友じゃない設定にしたの!?」

さやか「ご丁寧に、あたしの記憶だけそのままにして!」

さやか「そんなの、リスクだけしかないじゃない!ぜんぜん合理的じゃないのになんで!?」

さやか「まるで、誰かに自分の痛みを分かってほしがってるみたいじゃない!」

ほむら「違うわ。ただの気まぐれ。もっと言えば嫌がらせ。あなた、生意気だから」

さやか「あんたの立場になって、ほむらの痛み、苦しみ、よくわかったよ。でもだからって魔法少女の希望を奪っていいわけない!」

ほむら「黙りなさい」

さやか「あんたがまどかを救いたがってるのはわかってる。でもそれは、違うよ!まどかは自分で納得して…」

ほむら「私が、納得いかないの」

ほむら「無意味な問答だったわ。さっさとそこをどいて」

さやか「…まったく。お互いを助けようとしてるだけなのに、なんでこんなにこじれるかなあ」


さやか「あたしの親友は二人とも不器用で参っちゃうね…!」



マミ「まったくよ。本当に不器用だわ」

杏子「ほむら!いつまでも強情張ってんじゃねーぞ!」

さやか「マミさん!杏子!」

ほむら「リボン人形に、幻覚ってところかしら。せっかく命拾いしたのにわざわざそれを捨てに来たの?」

マミ「命拾い?そんなこと思ってないわ。殺す気のない攻撃なんて怖くないもの」

杏子「急所外した攻撃ばっかしやがって。手ぬるいったらありゃしねえ」

ほむら「あなた達のためではないわ」

杏子「素直じゃねえな!」

さやか「……」

さやか「やっぱり、ほむらはほむらのままだ。気弱で臆病で、優しい。あんたの本質はなにひとつ変わらない!」

マミ「手のかかる後輩ほど可愛いのかもね」

杏子「すぐに目ぇ覚まさせてやるよ」

さやか「あんたの結界を見たからわかる。ほむらが本当に望んでるのはこんな世界じゃない!」

さやか「いくよ!」



ほむら「なにこれ。勝手に盛り上がっちゃって」
ほむら「寒くて、安い展開だわ」
ほむら「あなた達は私を理解した気になって、悦に浸って自分に酔って、意気揚々と私を助けようだなんて思ってるみたいだけれど」
ほむら「悪いけど、私は誰にも理解できない。私自身ですら」
ほむら「だって私は、悪魔だから」

まどか「つ、ついた…!これが、焰石」

QB「そうだまどか!早く近づいてくれ!君と円環の理を接続する!」


「それには及ばないわ」


ほむら「散歩は終わりよまどか」ズルズル

ほむら「なかなか楽しかったわよ。何もかも思い通りじゃつまらないもの」ズルズル

ほむら「でも、さすがにこれはやり過ぎね。私も楽しみよりイライラが勝ってきたから」ズルズル

ほむら「だからもう、終わりにしましょう」ズルズル

まどか「…ほむらちゃん。ほむらちゃんが引きずってるそれって」

ほむら「ああ、これ?こいつだけは殴っても蹴ってもしつこくしがみ付いて来るもんだから、四肢を砕いてみたの」

ほむら「そしたらなんと、私の服に噛み付いてきたのよ。滑稽よね」

ほむら「だから記念に、こうして引きずってたわけだけど…」

ほむら「飽きたわ」ポイ

さやか「ぅあ」ベシャ

まどか「さ、さやかちゃん!」

さやか「ご、ごめんまどか…。あたしじゃ、ダメだったわ…」

まどか「こんな…!酷い…!」

まどか「マミさんや杏子ちゃんにも、こんなことを!?」

ほむら「安心してまどか。あなたの仲間は全員生きてるわ」

ほむら「友達がいないと寂しいものね。本当はイライラして殺しちゃおうかとも思ったけど」

ほむら「まどかのためを思って、生かしておいたのよ。私の愛、伝わったかしら」

まどか「ほむらちゃん。やっぱり私、あなたを救わないと」

まどか「そこまで壊れちゃった魂は、私じゃなきゃ救えない!」

ほむら「それなんだけど。本当に私を救えると思ってるの?」

まどか「ほむらちゃんの幸せって話でしょ!?それなら…」

ほむら「違うわ。物理的に」

まどか「え…?」

ほむら「この宝石を見なさい。ソウルジェムとも、グリーフシードとも違う。新たな魂の在り方」

ほむら「ダークオーブ」

まどか「………!」

ほむら「貴女は所詮、魔女のみを救済する女神よ。なら、私は救えない」

ほむら「悪魔だから」

まどか「そ…そんな。あんまりだよ、ほむらちゃん…!それじゃあほむらちゃんは、ほむらちゃんの魂はどうなっちゃうの!?」

ほむら「さあ、前例なんてないし。でもまあ、ろくな最期ではないでしょうね」

まどか「諦めちゃダメだよ!なにか方法があるから!きっと…!」

ほむら「無理よ」

ほむら「茹で玉子を生玉子に戻せるかしら?無理よね。物が変質するって、そういうことよ」

まどか「ほ、ほむら…ちゃん。私は…私じゃあ、あなたを救えないの…?」

ほむら「そうよ。肉体的にも、精神的にも」

ほむら「あなたに出来ることなんてないの」

ほむら「ただ…そう、私の世界に身を委ねること以外には」

まどか「そんな…そんなあ……」ポロポロ

さやか「ま…まどか」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「こりゃあ…だめかもね」

さやか「いくらなんでも、ほむらのソウルジェムが…ダークオーブになってるなんて予想もつかないし」

さやか「せいぜい、人格を保持したままの超強い魔女、くらいの認識だったのに」

さやか「頼みの綱のまどかがだめなら、打つ手なし、だ」

ほむら「どうするの、まどか」

ほむら「私は邪魔しない。円環の理に戻るも、私の世界に住むも、あなたの自由よ」

まどか「わたし…私は…」

さやか「まどか…」

まどか「私は、も…戻らない」

まどか「円環の理に戻っても、ほむらちゃんは救えない…」

まどか「その上、また私を覚えてるのはほむらちゃんだけになっちゃう…」

まどか「だめ…できない……!そんなの、ほむらちゃんが救われなさすぎる…」

ほむら「わかってくれて嬉しいわ、まどか」

まどか「ごめん…ごめんねさやかちゃん。みんな。私のためにこんなになるまで戦ってくれたのに…」

さやか「いいんだよ…あたしがまどかの立場でも多分そうしたと思う」

まどか「私は…概念失格だよ」

まどか「他にも、たくさん導かなくちゃいけない子達がいた。なのに私は…。その子達を全員見捨てるんだ」

さやか「大丈夫だよ、きっとみんなわかってくれる」

さやか「まどかが責任感を持ってやってたのはみんな知ってるから」

さやか「悪いことしちゃうけど…。みんなそうゆうまどかが好きだったんだ。わかってくれるよ…」

力士、巴真実さん(15)。

  ,'.:       〃 ,:1  ,  __/  // /         } ,     ',
__彡ァ       乂_ノ :!  ,′ ./ ̄/7=‐.、__ノノ     ,'∧      '
.. /            /i::, {  彳ア:::抃<     ( (、__,/'  i     }
 ,'/リ.,   ,イ  ./`¨´i.|:∧. 、 .c弋匕Z_         >、_`ヽ、」     ,'
_彡'厶イ./iヽ,′   |:::∧ {?Y//             ア:::抃、 |    /
       / i|:::{:     `(( .?Y .))       ‘     弋匕Zっ    /
     /  ∨:、     }}_口_{{     ,_-‐- 、      / //
.    i.|   ∨:\ .γ´,...-‐-ミメ、 └‐―-、、、    .辷´五ニ=一、
.    ヾ、   \,:´,´./ ,.-‐-、.刈ハ.     `~    /          \
-‐…‐-'_ヾ   / l l. {::::::::::::} l l≧:.. ___.... -‐=¬=-、― _....___〉

  /¨,-‐… 7 . 八圦 `‐-‐' ,' 厂`Y   /        `ヾ´/////

. /  {    /.Y¨Y .ゞ.,`=‐-‐ 彡.1辷7―‐-/               ∨―‐- 、
. !   ',     /  !:::::::::`¨ニ¨´::::::|// `ヽ/                 ∨   .〉
. | >'´`ヽ:. /.i⌒i:::::::::::::::::::::::::::::::|/⌒) (  , -―-         j   ./

\! .Уヽ   (./ ./:::::::::::::◯:::::::::::::!  / ∧/ , -‐-、. \        〈‐‐-、 j
. /   ヾ .〈  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::! 入 _〈_/    \ \       ∨_)'
――――「お菓子が脂肪を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない!!」

テレビアニメ「脂肪少女まみか☆デブガ」の登場人物で、力士。愛称は「デミ」。(「マブ」のタイプミスとの説も)。
デブという設定は当初から明らかにされていなかったが、
その見事な肢体のパンパン張りと肉の垂れ下がり、直ぐに発砲する高血圧特有の気性の荒さ、そして腹の太さに痛々しいまでの厨二病っぷり、肥満のヲタクファンからは「同胞ではないか」と言われていた。
好きな物は三食のケーキ。特技は三食ケーキ。三食ケーキ。すりーけーく。ティロ☆フィナーレ。

目の前でまどかが泣きじゃくっている。

それをさやかが慰めつつ、仕方ないと諭す。

ああ。ようやくこの茶番が終わるのね。

まだ気持ちの整理はついていないようだが、結論は出ているだろう。

これからまどかは私の世界で過ごすのだ。

私の感情は常に混沌としていて、自分でも自分の感性がよくわからないが、まどかが泣いているところを見るのだけは嫌なんだとハッキリわかった。

正直、美樹さやかや佐倉杏子、巴マミを半殺しにした時も感情がざわついたが、何を感じているのかはわからなかった。

だが、まどかに向けられた感情ほどはハッキリしていなかったので、どうせ取るに足らないものなのだろう。

もうこれ以上まどかの涙を見るのは耐えられない。

心が痛くて壊れてしまう。

さっさと世界を私色に染めてしまおう。

今度は美樹さやかの記憶をいじるなんてお遊びはしない。

ただただ、まどかを顕現させ続けるだけの存在になろう。

これで、終幕だ。





QB「待ってくれ」

ID変わりました

QB「さやか。これでは話が違う。契約違反だ」

QB「僕はまどかを円環の理にするのを手伝う代価として、ほむらの隷属からの解放を要求したはずだ」

QB「僕にこれだけ協力させておいて、やっぱりやめますだって?冗談じゃない」

QB「この結末は、僕の背負ったリスクにそぐわない」

QB「だから、君たちの了承は得てないけれど、僕好みの結末にさせてもらうよ」

QB「リスクを背負った僕には、その権利があるはずだからね」キュップイ

まどか「う、あああ!」

さやか「QBあんたまさか!」

さやか「やめて!まどかは円環の理になることを望んでない!」

QB「もう遅い。円環の理にアクセスしてしまったからね。こうなっては、誰にも止められないよ」

ほむら「…ふん」

裏をかいたつもりかしらインキュベーター。

舐めないで欲しいわね。

ここは私の世界なのよ?いまからそこに瞬間移動してお前を捻り潰した後、まどかを取り戻すくらい造作もないわ。

ほむら「……っ?!?」ガクッ

なに?

身体の力が抜けてーー。

QB「君はまどかの力の一部を取り入れていたんだ。それで初めてこの世界を安定させていられた」

QB「だが、まどかが円環の理になろうとしているこの瞬間、まどかの力を手放してしまったようだね」

QB「そうなれば、君ひとりの力でこの世界を保つには負担が大きすぎる」

QB「そうなるのは当然じゃないかな」

ほむら「っ!インキュベータぁぁあぁあああ!!!」

QB「残念だったね。なにもかも、手遅れだ」

QB「さて、じゃあ僕はこの絶好のスポットでまどかーーいや、円環の理を観測するとしよう」

さやか「観測!?」

さやか「お前っ!最初からそのつもりで!!」

QB「まさか、いま気がついたのかい?」

QB「てっきりメリットとデメリットをよく考慮したうえで交渉してきたのかと思っていたが…やれやれ、君は僕が思うほど利口ではなかったようだ」

さやか「くそっ!まどかーっ!!」

くそ!くそっ…!

そんな…なんてザマなの。


このままじゃ、まどかが、私のまどかが、観測されて……支配される!


ほむら「まどかぁぁあぁああああっ!!!」

ふふ…。なにが悪魔よ。バカじゃないの私。

結局、大切なものひとつ守れやしない。

…とんだピエロだわ、まったく。

デルピエロ「呼んだかい?」

かつての私なら、この場面でもまだ挽回のチャンスはあったでしょうね。

時間停止さえ使えれば…。

でもそれは、その能力はもう私にはない。

私が悪魔だから……!!

ほむら「なにが悪魔よ…っ!」

ダークオーブを握り締める。

まどかを、まどかを助けたい!
なにを差し置いてでも!この魂でも差し出そう!!

ほむら「私は…まどかを助けたいっ!!」

ひょおおおおお!!ほむあんだああああ!!

ごめん誤爆しました

かつての私なら、この場面でもまだ挽回のチャンスはあったでしょうね。

時間停止さえ使えれば…。

でもそれは、その能力はもう私にはない。

私が悪魔だから……!!

ほむら「なにが悪魔よ…っ!」

ダークオーブを握り締める。

まどかを、まどかを助けたい!
なにを差し置いてでも!この魂でも差し出そう!!

ほむら「私は…まどかを助けたいっ!!」

良純「そんな時はこれ!タウンページ!」

QB「……?焰石が反応している」

QB「まさか!暁美ほむら…君は…!」



なんだろう、この気持ちは。

すごく温かい。冷えた身体にどんどん血が巡る。

これまで水中から聞いていたように浮世離れしていた世界の音が、どんどん鮮明になる。

ノイズだらけでどろどろしていた心が晴れていくーー。

そうか。

長らく忘れていた。魔法少女って、こんなにも希望に溢れた存在だったんだ…!

QB「ぐぶっ!」

ほむら「やってくれたわね、インキュベーター」

QB「ここは?時間が止まっている…?」

ほむら「私の能力よ。魔法少女としての」

QB「君は…なんて馬鹿なことを。エントロピーの法則を知らない君じゃないだろう」

QB「エネルギーは形を変えればロスが生じる。君はもう3回もその魂の在り方を変えた」

QB「君の感情エネルギー、すなわち魂はもうボロボロだ。まともな魔法少女としての生活は期待できないよ?」

ほむら「…ふん。まどかを守るという私の魂の在り方を曲げるくらいなら、どれだけこの魂がすり減ろうと構わないわ」

QB「…なんて執念だ。この一瞬を僕に観測させないために、魂を投げ打つとは」

ほむら「理解できる?インキュベーター。感情を手に入れたんでしょう」

QB「…いや。難しいね。やはり感情というものは奥が深い」

ほむら「…っ!そろそろ魔力が持たない。殺させてもらうわ」

QB「…ふう。次の個体が来るころには、円環の理は観測できなくなっているか」

ほむら「ええ。私の勝ちよ」

QB「そうだね」

ほむら「ひとつ聞かせて。私の隷属から逃れたあなたはどうするの?」

QB「もう感情エネルギーはこりごりだ…と、言いたいところだが、残念ながら宇宙のことを考えると、そうも言ってられない」

QB「まあ、これまで通りの関係じゃないかな。僕たちと君たち人類は」

ほむら「そう」パァン

杏子「痛てて…ちょい待ってくれマミ」

マミ「なに言ってるの!私たちも駆け付けるのよ!」

杏子「つってもな…。あたしはもう全身バキバキなんだよ。ほむらのやつ容赦ねえから」

マミ「!!?」

マミ「待って。なんなの、あの光は…!」

杏子「お、まどか達がうまくやったんじゃねーの?」

マミ「走るわよ!」

杏子「いやだから待てって…」

マミ「美樹さん!鹿目さん!どうなったの!?」

さやか「マミさん。杏子も」

杏子「説明してもらおうか」ゼエゼエ

さやか「まどかは…円環の理になりました」

マミ「成功したのね!」

さやか「…まあ」

杏子「ほむらはどーした?」

さやか「…あそこだよ」

ほむら「……マミさん?杏子?」

マミ「これは…どうしたの、一体」

さやか「よくわかんないけど、悪魔の自分を否定して、焰石と契約して魔法少女になったみたいです」

杏子「魔法少女!?じゃあ、また一緒に…」

ほむら「むりよ。もう私は…限界だから」ビキビキ

ほむら「見て、このレーズンみたいにしぼんで干からびたソウルジェムを。たった一回時間停止しただけでこのザマよ」

さやか「ほむら…」グス

ほむら「ああ。そろそろ本当に限界ね…」

ほむら「その前に、みんな…迷惑、かけたわね」

杏子「まったくだ!」グス

ほむら「みんな。こんな私を…可愛い後輩だって、仲間だって、…親友だって言ってくれて…ありがとう。嬉しかったわ…!」

マミ「ええ、忘れないで。私達はいつまでも仲間よ」

ほむら「ふふ…」

ほむら「」カクン

マミ「…行ってしまったわね」

杏子「ああ…。あの馬鹿野郎、幸せそうなツラしやがって」

さやか「…ん、あたしもそろそろ行かないと」

杏子「さやかも行っちまうのか!?」

さやか「仕方ないよ。あたしは元々あっちの人間だし」

さやか「ほむらが導かれたことで、世界がまた改変ーーいや、元に戻ろうとしてるみたい」

さやか「だからさ、お別れだね」

杏子「ざやが…」グス

さやか「そんな顔しないで!また会えるんだから!」

マミ「美樹さん。こう言うのも変かもしれないけど…元気でね」

さやか「はい。あたしはいつでも元気です」

マミ「それもそうね」クスクス



さやか「それじゃーねー!ふたりともー!またいつかー!」

杏子「あいつ、風情もなにもあったもんじゃねえな」

マミ「ええ。でも、美樹さんらしいわ」

杏子「…また、ふたりっきりになっちまったな」

マミ「…ええ」

杏子「やべえ。けっこう寂しいや」

マミ「じゃあ、すぐに導かれる?」

杏子「まさか!戦い抜いてからじゃねーと恥ずかしくてあいつらに顔向けできねえよ」

マミ「なら、ふたりきりでも頑張りましょう?」

杏子「そーだなー」

杏子「なあ。マミ」

マミ「ん?」

杏子「あたし達のしたことって…正しかったのかな」

マミ「そんなの、誰にもわからないわよ」

マミ「ただ…最後の暁美さんの表情に、ウソはなかったと思うわ」

杏子「そっか。そうだといいな…」

ほむら「なんで、かっこ良く退場決めた直後にあなたが来ちゃうのよ…恥ずかしいじゃない」

さやか「いやいや、不可抗力だって!」

ほむら「なんか、さよなら言ったのにまた合流しちゃいましたー、みたいな気まずさがあるわ」

さやか「まあまあ。お互い魔女結界の中まで晒した仲なんだしさ、いまさら恥ずかしがることないよ」

ほむら「そういえばさやかって私の結界で最初から記憶保持してたのよね」

ほむら「ということは」

さやか「………」

さやか『ちがっちがいますぅ~私はかぼちゃ☆』

ほむら「ふんっ!」バシ
さやか「痛いっ!?」

http://i.imgur.com/qBYBvkr.jpg

ほむら「黙れっ!黙りなさいこのラズベリー!」バシバシ

さやか「ちょっ!痛い痛い!」

ほむら「なによ!普通そーゆーのって人の闇とか見ないように配慮とかするじゃない!」

さやか「だって、あたしも登場人物なんだから仕方ないじゃん!」

ほむら「あり得ないわ。私は志筑仁美のバックダンサーくらいしか見てないのに」

さやか「おーっと、それは地雷だぞ」

>>517
!!?まじか書き直させてパクリみたいじゃん!

ほむら「ここが円環の理…」

さやか「賑やかでしょー?」

ほむら「うるさいわ」

さやか「さて、まどかは普段こっちに…」

ほむら「ま、待って!緊張するから!」

さやか「まどかー」バーン

ほむら「ちょっと!?」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「……」オズ

ほむら「…まどか?」

まどか「あれ、ほむらちゃん緊張してる?」クスクス

ほむら「しっ!してないわよ」

ほむら「その、まどか…」

ほむら「ちゃんと、謝っておこうと思って」

ほむら「ごめんなさい…!!」

ほむら「私だってわかってたのよ!あなたの祈りを踏みにじる行為なんだって!」

ほむら「でもしょうがないじゃない!本当に寂しかったんだから!!」

ほむら「だいたい、いつもいつもまどかが私を置いて行くから!!」

まどか「うん、ごめんね、ほむらちゃん」

ほむら「私の気も知らないで…!なんであなたは…」

ほむら「うっ…うっ…く」ズズッ

まどか「大丈夫だよ、ほむらちゃん。これからはずっと一緒だから」

ほむら「本当に本当よね!?」

まどか「うん、本当だよ」

ほむら「まどか…」

「まどか」


「なあに?ほむらちゃん」


「その、受け取って欲しいものがあるの」


「これ、なんだけど」


「それって…」


「私の、プロフィール。貰ってくれないかしら」


「ほむらちゃん…」

「うん!喜んで!」


「ありがとう」


「この紙をもらったとき、本当に嬉しかったのよ」


「ほむらちゃん無表情だったじゃん!」


「釣り上がる口角を抑えるので必死だったわ」


「ティヒヒ、そうだったんだ」


「その、まどか」


「なあに?」


「これからも、よろしくね」

「もちろんだよ!」

終わりです

誤爆したりいろいろありましたがなんとか完走できました

見てくださった方ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月11日 (金) 18:26:17   ID: QKpJIsAp

良かった

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom