春香「じゃあプロデューサーさんのことは譲ってくれるよね? 千早ちゃん」
千早「それとこれとは話が別よ、春香」
春香「プロデューサーさんってさ、結構ドジなところあるでしょ?」
千早「そうね。書類の出し忘れ、予約の取り忘れ、記入ミス、etc」
春香「だからさ、ドジばっかりしてる私ならプロデューサーさんの支えになれると思うんだ」
春香「いつもはプロデューサーさんにドジしちゃってる私だからこそプロデューサーさんのミスに気づいてあげられるとおもうの」
千早「なるほど。それはいい考えだと思うわ」
千早「でも果たして上手くいくかしら」
春香「……どういうこと?」
千早「マイナス足すマイナスはマイナスのまま、ってことよ」
千早「最近になってようやく仕事のミスも減ってきたという時に春香がドジをかましてしまったら、どう?」
千早「優しいプロデューサーのことだもの、きっと春香の為に努力するでしょうね」
千早「でもそれでは支えになっているとは到底言えない。むしろ足を引っ張るだけのお荷物でしかない」
春香「……」
春香「流石は千早ちゃん。私の事よく知ってるね」
千早「勿論親友だもの。ねぇ?春香」
千早「支えになると言えば、私のほうが適していると思うわ」
春香「それはどうして?」
千早「簡単よ。それはプロデューサーのスケジュールを逐一確認してるから」
千早「私がひよっこだった時、プロデューサーがどれほど私の為に汗を流してくれたのか、私はちゃんと知ってるわ」
千早「私達の人気が安定してきた今、その恩に報いるべきだと思ってね。プロデューサーのスケジュール帳を読んでは私のほうでレッスンの調整してるの」
千早「目に見える所より、目に見えない所で想い人を気遣うのが大和撫子の理想像でしょう?」
春香「素晴らしいね。千早ちゃんは将来とてもいい奥さんになれると思うよ」
千早「ありがとう。現在進行形で花嫁修行中よ」
春香「……でもね千早ちゃん。いい奥さんだったら犯罪になんか手は染めないと思うな」
千早「……犯罪?」
春香「当たり前の様にスケジュールを確認してるって言ったけど、それって立派なストーカー行為だよ?」
千早「馬鹿を言わないで。性欲でしか動かないようなストーカーと私を一緒にしないでほしいわ」
春香「それなら試しにアンケートでも取ってみようか? 千早ちゃんはそうでも、街の皆さんはその行為をどう思うかな?」
千早「……」
春香「私、千早ちゃんが犯罪に手を染めるの見たくないなぁ」
千早「……ありがとう春香。あなたのお陰で自分を少し見つめ直せた気がするわ」
春香「よかった、わかってくれて。千早ちゃんと離れ離れになんかなりたくないからね」
春香「だって千早ちゃんのことが大好きだから」
千早「ありがとう。私もよ、春香」
春香「私ね、千早ちゃんの為ならどんなことだってできるよ? あ、勿論犯罪行為は除くけど」
千早「私こそ。春香が望むことならなんだってして上げるわ」
春香・千早「「プロデューサー(さん)を渡すこと以外で」」
千早「……ふふっ、流石ね」
春香「えへへっ。千早ちゃんのことならなんだってわかるよ」
千早「やっぱり私達、親友ね」
春香「そうだね。私達、親友だね」
千早「ふふふ」
春香「えへへ」
ガチャッ
P「お、春香と千早。おはよう」
春香「プロデューサーさんっ。おはようございます!」
千早「おはようございます、プロデューサー」
P「今日は二人はオフのハズだが……」
千早「ええ、ですから春香と二人で談笑してたんです」
P「ふむ。相変わらず仲がいいな、二人は」
春香「はいっプロデューサーさん! 今日も焼いてきましたよクッキー!」スッ
P「おうっ。 ……んっ、んまいんまい」モグモグ
P「コレ食ったお陰で今日も元気に働るよ。いつもありがとう、春香」
春香「えへへ」
千早「……」
千早「良かったわね、春香」
春香「?」
千早「今日はクッキーに『下剤』が入ってなくて」
春香「……」
春香「うん、そうだね。この前は何故か持ってるはずのない下剤がクッキーに紛れ込んでたからねー」
千早「お陰でプロデューサー、仕事が捗らなくて散々だったらしいわね」
春香「ほーんとっ。いい迷惑だよねー」
千早「ええ、許せないわね」
春香「……」
春香「下剤入れたの、千早ちゃん?」
千早「まさか。そんなことしてメリットが有るわけでもないのにするわけないわ」
春香「あははっ、だよねだよね。千早ちゃんがそんなことするわけないかっ」クスクス
千早「ふふっ、当たり前じゃないっ」クスクス
千早「……」
P「っと、そうだそうだ。 千早、お前この前携帯録音機無くしたって言ってたよな?」
千早「え? あ、はい。いつの間にか無くなってて……一昨日まではあったんですけど……」
P「ほらっ」ポイッ
千早「…………これ、どこに?」
P「昨日の夜、お前ら皆帰った後に俺の机ん所で見つけた。 あ、いや、俺は勿論盗んでないぞ?」
千早「……」
千早「あの、中身聞いてませんか?」
P「ん?いや。 見た目からして千早のだって分かったし、一応プライバシーは考えてるよ」
千早「そう、ですか…………ありがとうございます」
千早「…………」
ピッ
【データ は ありません】
千早「っ、」
千早「………」
春香「録音機、見つかったんだって? 良かったね、千早ちゃんっ」
千早「ええ。全く、何処行ってたんだか」
春香「見つかっただけでも良かったんじゃない? こんな小さな録音機、普通落としたら見つけらんないよ」
春香「どこか壊れたりはしてない?」
千早「それが、故障はどこも見当たらないのだけど困ったことに録音データが消えちゃってるのよ」
春香「え?それってどういうこと?」
千早「誰かが意図的に録音データを消したってこと、かしら」
春香「えー!それは酷いね!」
千早「ほんと、困ったものね。最高で一週間分の録音が可能だって言うのに、今までとった録音が全てパァだもの」
春香「うわちゃー」
春香「ちなみに、何を録音してたの? そんなに長時間の録音が出来るだなんて、歌の練習以外にも使えそうだね!」
千早「……秘密」
春香「……」
春香「そっかー秘密かー。 秘密ならしょうが無いなー」
千早「…………」
P「これとこれとこれ……よっし、大丈夫っ。そんじゃ俺は行ってくるな」
春香「あれ、もう行くんですか?」
P「置き忘れてた資料取りに戻ってきただけなんだ。 ……これ、皆には言うなよ?」
千早「ふふっ、相変わらずプロデューサーはドジっぽいですね。春香といい勝負出来るんじゃなですか?」
春香「そ、それは酷いよ千早ちゃ~ん!」
P「ははっ」
千早「っと、待ってくださいプロデューサー」クイッ
P「ん? またなんか忘れ物でもしたか?」
千早「いえ、ネクタイが解けかけてます。直してあげますね」スッ
P「お、おお。悪いな」
千早「いえいえ」スッスッ
千早「……こうしてると夫婦みたいですね」スッスッ
P「ははっ、返答に困ること言うなぁ」
春香「……」
千早「はい、これで大丈夫ですよ」
P「おう、サンキュ。それじゃ行って」
春香「待ってくださいプロデューサーさん! これっ、忘れ物ですよっ」スッ
P「っと、そうだったそうだった。せっかく春香が焼いてくれたんだ、忘れるわけにゃいかんな」
春香「小腹が空いたら食べてくださいね。愛情た~っぷり入ってますからっ」
P「マジか、それは嬉しいな」
春香「ふふっ。いってらっしゃいませ、あ・な・た♪」
P「バーカ、何言ってんだ」クスクス
春香「えへへ」クスクス
P「んじゃあ行ってくる。留守番頼んだぞー」ガチャッ
春香「はーい!」
千早「お気をつけてー」
バタンッ....
千早「……」
春香「……」
春香「ネクタイ直しだなんて主婦みたいだね、千早ちゃん」
千早「そう?ありがと」
千早「春香こそ、『あ・な・た♪』のセリフ。似合ってたわよ」
春香「うひゃあ。思い返したら恥ずかしくなってきちゃった~!」
千早「ふふ」
春香「まぁ、急いでるプロデューサーさんの時間を取ったのはいただけないと思うけどね」
千早「あら、それなら春香こそ、足止めしてまでクッキーを渡す必要は無かった気がするけど」
春香「忙しいプロデューサーさんの為にすぐ食べられる間食を渡したいと思うのは普通じゃないかな?」
千早「だらしない格好を見られてプロデューサーが恥かくことに比べたら遥かにマシだと思うのだけど」
春香「……」
千早「……」
春香「なーんて!うんうんそうだよね!ああしてまでクッキーを渡す必要は無かった気がする! ちょっとやり過ぎだったかな!」
千早「私も言い過ぎたわ。プロデューサーのことだから途中で身だしなみをチェックするくらいするわよね。プロデューサーの邪魔をしちゃった気がするわ」
春香「どっちもどっちだね!」クスッ
千早「ええ、そうね」クスッ
千早「ねぇ春香」
春香「なに?千早ちゃん」
千早「私達、親友よね」
春香「勿論、そうだよ」
千早「それなら今度、クッキーの作り方教えてもらえない?」
春香「いいよいいよ!是非!一緒につくろうよ!」
春香「あ、それならさ、今度良い録音機教えてもらえないかな?」
千早「いいわよ。私のオススメ、教えてあげる」
春香「わーい!」
春香「千早ちゃん、だーいすきっ」
千早「私もよ、春香」
―はるちは編、終わり。
あ、ごめん。これで終わりです
他のカプ編はまた思いついたら建てますわ
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