千早「二人目のちーちゃん!」千鶴「わたくしのことですの!?」 (35)

※ミリマスSSです


千早「劇場ができて早一年、なんやかんやあって私たちは仲良くなれた」

千早「しかし、そんな平穏な日々も長くは続かないもの!」

千早「最近気付いたのよ! 私のほかに……ちーちゃんと呼ばれるべき人間がいることに!」

千早「さぁ出てきなさい! 第二のちーちゃん!」


二階堂千鶴「い、いったい今のはなんですの?」


千早「ここで会ったが百年目! 二階堂さん! どっちが真のちーちゃんか、勝負よ!」

千鶴「意味がわかりませんわ! それにちーちゃんってわたくしのことですの!?」

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千早「ちーちゃん……それは、名前の頭文字が『ち』で始まる人間のこと」

千鶴「ちで始まる……確かにわたくしは『千鶴』ですから合ってますわね」

千早「そして、『めんどくさい性格であること』! それがちーちゃんの条件! そう、あなたにも当てはまるのよ!」

千鶴「めんどくさい!? わたくしがですの!?」

千早「そうです。二階堂さんにはちーちゃんの座をかけて私と戦ってもらいます」

千鶴「ちょ、ちょっと! 勝手に話を進めないでください!」


千早「ちなみに今回は審査員として春香と水瀬さんに来てもらいました」

春香「あはは、天海春香です。よろしくお願いします」

伊織「水瀬伊織よ。よろしく」

千鶴「春香に水瀬さん!? どうしてここに!?」

春香「さっき千早ちゃんに頼まれたんです。こうなった千早ちゃんには何を言っても無駄なので……」

千早「無個性リボンさん、今日はよろしくお願いします」

春香「無個性リボン!? さっき春香って呼んでたよね!?」


千早「さすが春香。ツッコミなら誰にも負けないわね。でも、いまいち捻りが足りないわ」

春香「ツッコミキャラみたいに言わないでよ! しかもダメ出しまで!?」

千早「当然よ。春香にはこれから雛壇芸人として活躍してもらうんだから」

春香「お笑い芸人じゃなくて私はアイドルだからね?」

千早「私はアイドルと言えば水瀬さん、今日はよろしくお願いするわ」

春香「……こんな感じなんですよ千鶴さん……」

千鶴「春香、同情しますわ……」


伊織「今日は千鶴が来るって聞いたから来たのよ。せいぜい私を楽しませなさい」

千鶴「わたくしのため?」

千早「水瀬さんは二階堂千鶴ファンクラブの名誉会長よ」

千鶴「名誉会長!? そもそもファンクラブなんてあったんですの!?」

伊織「そうよ。あんたのステージ予定からスーパーの購入品まで、全部お見通しよ」

千鶴「うぇっ!? それは犯罪ではなくて!?」

伊織「その点は心配ないわ。会員は私一人だから」


春香「それはファンクラブとは言わないよ! もはやストーカーだよ! どっちにしろ犯罪だよ!」

千早「さすがは春香ね。二階堂さんがツッコむところに無理やり割り込むなんて」

春香「あっ! ごめんなさい、千鶴さん!」

千鶴「べ、別に構わないですわ」

千早「そろそろ自己紹介も終わりにして本題に入りましょう」

千鶴「そうですわ! わたくしがめんどくさいってどういう意味ですの!?」

千早「そうね……ここは春香に聞いてみましょうか」


春香「えっ私? うーん千鶴さんは優しいし頼りになるし、めんどくさいってことはないような……」

千早「正直に言いなさい。あんたのニセレブキャラで私の個性が霞むのよ、って」

春香「そんなこと言わないよ!」

伊織「確かに千鶴のめんどくさいところの1つはそのキャラね」


千鶴「二、ニセレブ? いったいなんのことかしら? おーっほっほっほゴホッゴホッ」


千早「そのセレブでもないのにセレブっぽく振る舞おうとするところです」

伊織「無理やりセレブっぽいワードを使って墓穴を掘ったりしてるわね」

春香「そういえば紅茶を飲むときはティーバッグを使ってたような」

千鶴「それは……事務所にはティーパックしかないからですわ!」

千早「知ってますか? ティーパックじゃなくて、正しくはティーバッグなんですよ。春香は合ってたわね」

伊織「これはポイント高いわね。紅茶をティーバッグ、いえティーパックで飲んでるなんて」

春香「えーっと、千鶴さん、1ポイント!」

千早「くっ! 先制点を取られてしまったわ!」


千鶴「ちょっちょっ! なんですの1ポイントって! このまま続けるとわたくしのイメージが崩壊しますわ!」

伊織「大丈夫よ千鶴。そんなところもかわいいから」

千早「ここにきて大胆な告白。二階堂さん、どう答えるんですか?」

千鶴「えっ? えーっと……ありがとう、ですわ」

千早「もちろん春香もかわいいわよ」

春香「対抗するようにかわいいって言わなくていいからね!? 嬉しいけどさ!」


伊織「は…春香……私…もう死んでもいいかしら……?」


春香「それはダメだよ!? ていうかそんなに嬉しかったの!?」

伊織「当然じゃない! 千鶴のデレなんて滅多に見れないのよ!」

千鶴「そ、そこまで言うほどのものではないと思いますけど」

千早「いいえ、それは違いますよ二階堂さん。あなたのデレにはそれほどの価値があります」

伊織「そうよ。普段は見栄張ったりしてなかなか本心を出さない千鶴がデレたのよ。やよいでは味わえない感動だわ」


春香「確かにやよいならまっすぐ好きって言ってくるだろうね」

千早「あなたごときダメリボンがやよいを語るなんて百年早いわ!!」

春香「ダメリボン!? やよいを語るのってそんなハードル高いことなの!?」

千早「ええ。高槻さんを語るなんてこの地上にいる下賤な人類にはできないことなのよ。彼女は天使であり、高槻やよいなのだから……」

春香「気持ちはわかるけど大げさすぎるでしょう……」

千鶴「まぁやよいが天使なのは認めますわ。いつも笑顔で、わたくしも元気をもらっていますわ」


伊織「私は千鶴から元気をもらってるけどね」

春香「あれっ? 伊織ってやよいとも仲良くなかったっけ?」

伊織「もちろんやよいとは親友よ。ずっと一緒にいたいぐらいだわ」

千早「私が春香と高槻さんを好きなように、水瀬さんは二階堂さんと高槻さんが好きなのね」

伊織「その通りよ。さすがは千早ね」

春香「さりげなく私にも好きって言ってくるね」

千鶴「春香は愛されてますわね」

春香「これは愛されてると言えるんですかね?」


千早「それでも、私が高槻さんを一番愛しているわ。そこは譲らない」

伊織「ふっ、お互い譲れないってわけね。望むところよ!」

千早「高槻さんを賭けて勝負よ!」

春香「私が千鶴さんと話してる間になんか別の勝負が始まってない!? 最初の話はどこにいったの!?」

千早「何言ってるの春香。これはどちらがめんどくさい人間かを決める戦い。話を二転三転させて何が悪いの?」

千鶴「それならもう千早の勝ちでいいんじゃないかしら?」

千早「いいえまだよ! まだ二階堂さんのめんどくさいところを挙げきってないわ! そうでしょ水瀬さん!」


伊織「そうね。あとわかりやすいのは努力を隠すところかしら?」

千鶴「ど、努力? なんのことでしょうか?」

伊織「とぼけなくてもいいわよ。千鶴が陰で努力してるってことは皆知ってるわ」

千早「この前レッスン室に一人残って練習してましたね」

春香「そういえば雑誌を読んでると思ったら台本を挟んでたことがあったような」

千鶴「なんで皆さん知ってるんですの!?」

伊織「そのほうがいいって私とプロデューサーが判断したのよ」


千鶴「プロデューサーに水瀬さんが?」

春香「練習の邪魔になっちゃうかもしれないですし、皆黙ってようって」

千鶴「そんなこと、別に気にしませんのに……」


伊織「それにバレてないと思わせたほうがかわいいと思ったからよ。プロデューサーも同意したわ」


千鶴「え」

春香「それ言ったら全部台無しだよ!?」


千早「バレてないと思って一人練習している二階堂さんかわいい」

伊織「その後本番で成功して、なのに嬉しいのを隠して『セレブですから当然のことですわ』と言い張る千鶴かわいい」

春香「ま、まぁ私はすごいって思いますよ!」

千鶴「あはは、ありがとうですわ……」

伊織「まだまだあるわよ。次は差し入れに持ってくる自家製コロッケ」


千鶴「コロッケ!? あれは、近所の行きつけのお店で買っているもので!」

千早「この前二階堂さんが持ってきたとき紙袋に入れて持ってきましたよね?」

千鶴「ええ……はっ! でもあれはわたくしが処分したはず!」

伊織「現物がこちらになります。春香、なんて読めるかしら?」

春香「えーっと、NIKAID…SEINI…KOROKKE。二階堂精肉コロッケ?」

伊織「少し擦れてしまっているけど、動かぬ証拠ね」


春香「伊織なら調べればもっと簡単にわかるんじゃないの?」

伊織「バカね春香。こういうのは本人から話してもらったときのほうが距離が縮まったみたいで嬉しいのよ。プライバシーの問題もあるしね」

春香「プライバシーのほうが先ならまともに思えたんだけどなぁ」

伊織「バレないと思って自家製コロッケを持ってきておいしいって言ってもらえると喜んじゃう千鶴かわいい」

春香「でも本当においしいですよ。もっと食べたくなっちゃいますもん。あ! 千鶴さんバレてても気にすることは!」


千鶴「」


千早「大変よ! 二階堂さんが!」

春香「うわわ! 頭から煙出しそうなぐらい真っ赤になって倒れちゃったよ!」

伊織「今まで隠し通せていると思ってたものが実はバレバレだったんだもの。こうなってもおかしくないわね」

春香「そんな落ち着いて言ってる場合じゃないよ! 早くどうにかしないと!」

千鶴「わたし…セレブ…じゃない…? おほ…おほほ…」


千早「これは私でも勝てないめんどくささね。ふっ、負けましたよ。二階堂さ、いえ、千鶴さん」

春香「千早ちゃんも何言ってるの!? と、とりあえずそこのソファに寝かせよう!」

伊織「しかたないわね。もう少し眺めていたいけど、千鶴が病気にでもなったら大変だしね」

春香「千早ちゃんはそっち、伊織はそっちね。せーっの!」

…………


千鶴「……あれ? いつの間に眠ってましたの? もしかして、今までのは全部」

千早「夢じゃないですよ。千鶴さん」

千鶴「ひっ! なんだ、千早でしたの……」

伊織「私もいるわよ」

千鶴「水瀬さんも? ということはやっぱり夢じゃなかったのですわね……」

春香「千鶴さん、大丈夫ですか? はいっお水です!」

千鶴「ありがとうですわ」


千早「今回は負けを認めます。ですが、いつかリベンジしますよ」

千鶴「ははは、嬉しくないですわ……」

千鶴「それにしても、バレているなら皆さんに嫌われてもおかしくないですわね。ある意味お似合いですわ……」

春香「えっ? どうしてですか?」

千鶴「だって皆さんに隠し事をしているのですよ? 嫌われてるに決まってますわ」

伊織「なにバカなこと言ってるのよ。あんたが隠し事していようと二階堂千鶴であることに変わりないわ」


春香「そうですよ! 私も皆も千鶴さんが好きだから一緒にいるんですよ!」

千早「それに一つ言い忘れていましたけど、ちーちゃんの条件には愛されていることも入るんですよ。千鶴さんならそれを満たしています」

春香「千早ちゃんは満たしているのかな?」

千早「もちろんよ。愛されているから春香もここまで付き合ってくれたのよね?」

春香「うーんそう言われるとなにも言えないけど……」

伊織「まっ、あんたは嫌われてなんかいないわ。もっと自信を持ちなさい?」


千鶴「そう……ですわね! ありがとうですわ! なんだか吹っ切れましたわ!」

千早「それじゃ、今日はこのぐらいにして解散しましょう」

伊織「今日は色んな千鶴を見られて楽しかったわ」

春香「そうだね。なんだか得しちゃった気分!」

千鶴「これからも色んなわたくしを見せてあげますわ! おーっほっほっほっほっほ!」

春香「えへへ! それじゃ外に」

やよい「おはようございまーっす! あれっ? 千早さんに春香さんに伊織ちゃんに千鶴さん! なにしてるんですか?」


千早「たたたたたた高槻さん!? ぶはっ!!」

春香「千早ちゃんが鼻血を出しながら倒れちゃった!?」

伊織「おはようやよい」

千鶴「今までの水瀬さんとは明らかに目の色が違いますわ!?」

やよい「あわわっ! 大変ですーっ!」

春香「とにかくタオルっ! タオルーー!」

やよい「今取ってきますーーーっ!」

伊織「私もついていこうっと。やよいー待ちなさーい!」

千鶴「……やっぱり一番めんどくさいのは千早ですわね。あと水瀬さんも……」

春香「……はい。異議なしです……」

おわり

以上で終わりです。読んでくださった方ありがとうございました。
ギャグは初めて書くしミリマスSSと言いながら一人しか出てないし。楽しんでもらえたのなら幸いです。
もっとたくさんSSを読んで勉強しないとですね。

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