千早「籠の中の鳥」【R-18】 (37)

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部屋の中の冷たい空気が私の身体を撫でる。
ベッドの上に横たわりながら、まだ寒いのね、と場違いな事を考えている。

私のお腹の上には、上気した表情の真美が座っている。
真美は、私の鎖骨をなぞりながら、顔を近づけて、そのまま私の唇を奪う。
されるがままの私は、ぼんやりと、この状況に至るまでを思い返していった。

――――


変化の兆候は、真美とオフが合ったときに良く遊びに誘われるようになっていた事から始まっていた。

その時の私は真美の誘いを『出不精の姉を心配して、外に連れだしてくれる世話焼きの妹』、なんて風に考えていた。
オフが合う度に『千早お姉ちゃん、どっか行こうよ!』と、声を掛けてくれる真美が可愛い妹みたいで、何となく嬉しかったのを覚えている。

『真美はいつも私を誘うけれど、私と遊ぶのは楽しいのかしら?』

『うん、楽しいよ!千早お姉ちゃんと一緒なら何だって楽しいっしょ!』

『ふふ、ありがとう、真美。』

オフの度に私たちはショッピングに行ったり、映画を見に行ったり、カラオケに行ったり。

まるでデートをしているみたいだった。いや、真美はデートのつもりだったのだろう。

一度だけ言われた事がある。まるでデートみたいだね、と。

私は、仲の良い友人にしか見えないでしょう、とすぐに否定してしまった。

恐らく、引き金はここだったのだろう。一瞬だけ真美は悲しそうな目をして、それから笑った。

『そっか、そうだよね!千早お姉ちゃんみたいなべっぴんさんと一緒だと勘違いしちまいますぜー、えへへ。』

『何の真似かしら、それは。ふふっ。』

私はその悲しそうな目に気が付けなかった。今思い返して、そう言えばと思い至ったのだ。

それから、真美は事務所でも何処でも、スキンシップが過剰になってきた。

最初は受け入れていた私も、だんだんおかしい、と感じるようになってくる程に、べったりとくっついてくる。

それに、私が誰かと話している時に良く割り込んでくるようになってきた。

事務所のみんなは、仲が良いと受け取っていたようで、特に何も言ってこなかった。

さて、どうすればこのスキンシップをやめさせられるのだろうか?と考えている内に、今日を迎えた。

今日も真美と私のオフは重なっていて、プロデューサーが何か変な気を遣っているのだろうかと思わず疑ってしまう。

私は、事務所で真美と待ち合わせをしている。どうやら、真美が私の部屋に遊びに来たいそうだ。

まあ、私は過剰なスキンシップがあまり好みではないだけで、真美と遊ぶ事は好きだから、と承諾した。



それが、最大の間違い。

事務所で真美と合流して、私の自宅まで電車で揺られていく。

流石に公共交通機関ではあまりはしゃいでいなかったが、最寄り駅に着くと、真美はとても嬉しそうにぴょんぴょん跳びはねながら歩いていた。

こういう所は、年相応なのね、と思わず笑みがこぼれ、私も嬉しくなっていった。

自宅に着いて、荷物を置くと、真美は物珍しそうにきょろきょろと部屋を見渡し、それからベッドに座った。

『千早お姉ちゃん家のベッドふかふかだねぃ!』

『そうかしら。…まぁ、寝心地は少し重視したわ。疲れが取れないと意味がないもの。』

『あ、ねえねえ。千早お姉ちゃんもこっち来てよ!』

『?ええ。分かったわ。』

真美に誘われて、私はベッドに腰掛ける。何となく変な感じだ。

普段はクッションに腰掛けるのに、って思っていると。






どんっ、と。

真美に突き飛ばされ、そのままベッドに倒れ込む。

何が起きたのか一瞬理解出来ず、天井を見上げる。

すると、真美の顔が現れ、そのまま覆い被さり、真美の顔が近づき、唇に何かが触れる感覚がした。

それはすぐに離れると、また同じように触れてくる。

ここでようやく、私は真美に押し倒されて、キスをされていると言う事に気がついた。

ショックだった。




真美が、




そう言う事を、



してくるなんて。

『千早お姉ちゃん、好き、大好き。愛してる。真美が独り占めしたいの。ねえ、真美だけ見てよ。真美も千早お姉ちゃんだけ見るから。』

更に混乱する。真美は、私の事を愛している、と…。一体、どういう事なのだろう。

訳も分からず、放心状態の私の上に、真美はまたがる。

『ま、真美…?』

『千早お姉ちゃん、捕まえた。』

そう言った真美は、私のブラウスのボタンを一つずつ外していく。

『や、やめて、真美、お願い…。』

『やだ。もう、離さない。』

――――


唇を離した真美が、じっとこちらを見つめてくる。

それから、また顔を近づけ、また唇を重ねてきた。

目を瞑って、抵抗もせずにぼんやりとしていると、突然、真美の舌が私の舌に触れた。

「……っっ!!……ん、ふぁ……。」

身体の奥から痺れるように何かが登ってきて、思わず声を漏らす。

真美は、私の声を聞いて、舌を更に絡め合わせてくる。

「あぅ…ちゅ……ん、は……。」

自分の声じゃないような、そんな感覚を覚えながら何かに耐える。

やがて、真美が唇を離し、私に向かって微笑んでくる。

「千早お姉ちゃん、可愛いね…ねえ、もっと、していい?」

真美の気が済むまでされれば、解放されるだろう。そう思って、私は投げやりに答える。

「………好きにすれば、いいじゃない………。」

「ホント!?やった、じゃあもっとキスしちゃうよん。」

真美は玩具を与えられた子どものように私の唇にむしゃぶりつき、また舌を絡めてくる。

「は、う……、ん、んんっ、んはっ……。」

真美から漏れる声を聞き、自分の鼓動が早くなっていくのを感じて、それから、また痺れるような何かが登ってきて。




この痺れる何かがもっと欲しい、と感じてしまった。



自分から舌を絡める。もっと登ってきて、それから。



その何かがはじける様な感覚を覚えたと同時に、幸福感がやってきた。

何も考えられないような――――。

気が付くと、肌寒さが増している。

身体を見ると、既に一糸纏わぬ姿だった。そして、真美も同じ裸。

「ま、み…。」

「何、千早お姉ちゃん?」

…私が、甘かった。解放される事はなかったのだ。身体を起こそうとするけれど、真美がしがみついて離さない。

「なんで…どうしてこんな事を…?」

「何でって、大好きなんだもん。いいでしょ?」

「好きだから、って、許される筈が―――あうぅっ!」

今、何処を触られたの?

身体が一瞬反応して、またさっきみたいな声が出てくる。

「千早お姉ちゃんの身体は正直なのにね。」

「あ、あ、う、はぁ、んんっ…!」

真美は、私の大事な所を、指で弄っているようだった。その度に私の身体は小刻みに跳ね、痺れる感覚が何度も何度も押し寄せてくる。

くちゅ、くちゅ、と、卑猥な水音が響き、身体が気持ち良くなっていくのを感じていく。

ぴちゃ、ぴちゃ。だめ、やめて。

抗議をしようと、顔を少しだけあげると、丁度真美が股の間に顔を持って行っている所だった。

「な、や、やめて、真美!お願い!」

じろじろと見られている。それだけで、恥ずかしさが増していく。誰にも見せた事がないのに。

「やだ、千早お姉ちゃんが好きって言ってくれないと。」

「わ、私も好き、真美の事好きだから!お願い、見ないで!!」

やめてもらおうと、必死に好きと連呼する。

だけれど。

「千早お姉ちゃんの好き、嘘くさい。やめないよ。」

必死に懇願するも、真美は聞き入れてくれなかった。

私の大事な所を、あろう事か舐めているのだ。

身体がびくんと無意識に跳ねる。


「あっ、ああっ、や、やああっ!」

湿った感触と共にぞわぞわ、と下から何かがこみ上げてくるのを感じる。

いや、おかしくなりそう。やめて。




「千早お姉ちゃん。真美、我慢出来ない。一緒に、気持ち良くなろう?」

そう言った真美は、U字をした何かを取りだして、それを自分の中と、私の中に入れてきた。

何かが裂けるような感覚がして、その裂けた所から酷い痛みを感じた。


「い、いた、痛いっ!」

「我慢して、千早お姉ちゃん。すぐ気持ち良くなるから。」


私の中に入れられた何かが、いきなり震えだした。

震える何かは先端が更に動き出し、それが痛みと共に気持ちよさを運んでくる。

「あああっ!千早、おねえ、ちゃんっ!ふあぁっ!」

「あっ、や、いやっ、いやぁぁ!!」


真美は私にしがみつき、そして何度も愛を私に伝えるかのように唇を合わせ、舌をねじ込んできて…。





だめ、何も考えられない。気持ちがいい。もう、なんでもいい。



気がついた時には、私も、真美も、お互いの気持ちいい所を触り合っている。

それがとても心地よくて、蕩けそうで、さっきの痛みなんか、どこかに飛んでいったような。




もう、だめ。

「あっ、あぅぅぅぅぅ!!」

「いやぁああぁっっ!」


思わず漏れた声が部屋に響くと共に、私の意識はまた途絶えた。



とても、幸せな気持ちで。

――――


それ以来、私と真美は時々身体を重ね合わせるようになった。

人気のない事務所でした事もあったし、音無さんが事務作業をしている中応接間で隠れて唇を重ね合うときもあった。


私は、真美の籠に入れられてしまったのだ。

真美は、籠の中の私をとても可愛がってくれる。

真美が気持ち良くしてくれるから、とても幸せ。

これで、いい。私は、籠の中の鳥だから。餌をもらえるだけで、幸せなの。






そして今日も、私と真美は身体を重ね合わせる。


おわり

昼間から、何やってんだ俺ぁ……。

病み気味真美に襲わせる妄想が形になったので残してみました。
とりあえず、少しでもWake Up Boys!したら幸いでございます

見てくれてありがとう

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