委員長「くすぐりの刑三時間です」不良娘「……は?」 (66)

不良娘「……♪」テクテク

モブ子「……」テクテク

不良娘「お、なんか美味しそうなの持ってんじゃん、君」

モブ子「ひゃい!?」

不良娘「焼きそばパン? いいね~、頂戴よ」

モブ子「こ、これは今、私が購買で……」

不良娘「いいじゃん。ね? ほら、よこしなって」

モブ子「う、うぅ……分かりました……」

不良娘「よし、良い娘だ。ごちになりまーっす」

不良娘「……♪」

モブ子「うぅ……」

委員長「待ちなさい! 不良娘さん!」

不良娘「おっと。誰かと思えば……委員長さん、だっけか?」

不良娘「なにか用?」

委員長「今、貴女、モブ子さんの焼きそばパンをカツアゲしましたね!」

不良娘「は? これは奪ったんじゃなく、この子がくれたんだよ」

委員長「嘘です。私見てましたから!」

不良娘「煩いな。なぁ、モブ子ちゃん。あたしにくれたんだよな? これ」

モブ子「そ、それは……」

不良娘「……な?」

モブ子「……」コクン

不良娘「ほら見ろ。モブ子ちゃんだってこう言ってる事だし良いだろ」

委員長「貴女って人は……!」

委員長「とにかく、この件は委員会に報告させてもらいますからね!」

不良娘「勝手に言ってろ、バーカ」ケラケラ

委員長「ぐぬぬ……」

数時間後

副委員長「どしたん? 急に委員会を開いたりして……」

委員長「今日皆さんに集まってもらったのは他でもありません!」カッ

委員長「あのムカつく阿婆擦れ女、不良娘さんの件についてです!」

委員長「いくらこの学校が自由な校風を掲げているとは言っても校則に抵触する行為を散々侵してきた彼女は許されるべきではありません!」

副委員長「ま、まぁ、そうだな。確かに彼女の行動は目に余るものがある」

委員長「そこで大罪人、不良娘さんへの処罰を私は提案したいと思います!」

副委員長「なるほど。ちなみにそれは……」

委員長「くすぐりの刑です! 三時間!」

副委員長「……」

委員長「停学やら説教程度で彼女の行いが良くなるとは到底思えません!」

委員長「しかしだからと言って暴力に踏み切るわけにもいきません」

委員長「考えた結果、彼女の身体に二度と悪事を働かぬよう教えこむためにはくすぐりが一番適していると判断しました」

委員長「これならば不良娘さんの身体を傷つける事なくみっちりと罰を与える事が可能なのです!」

委員長「これが私の提案です。賛成の方は拍手をお願いします」

副委員長「いや、でも、くすぐりも体罰に含まれ……」

委員長「ほら、拍手ぅ!」

副委員長「ひゃいっ!」パチパチ

一同「……」パチパチ

委員長「では……。満場一致ということでよろしいですね?」ニコッ

不良娘(さてと。そろそろ帰るか。まだ学校終わってないけど……)

不良娘「……♪」

委員長「……」スッ

委員長「ご機嫌よう。不良娘さん。お帰りになる所ですか?」

不良娘「あれ? さっきの負け犬さんじゃん。良いの~? 授業出ないで?」ニヤニヤ

委員長「残念ながら私は生徒会の特別許可を得ています!」

不良娘「あっそ。で? 優等生がサボりまでしてあたしに何の用?」

委員長「貴女を校則違反の罪で拘束させていただきます!」

委員たち「……」ザザッ

不良娘「こんな大人数引き連れて……。集団リンチかよ」

委員長「大人しく降伏してください!」

不良娘「いやだね!」ダダッ

副委員長「逃がすな! かかれ!」

委員たち「うおおおおおお!!」

委員たち「おらぁっ!」ガバッ

不良娘「っ!? このっ」

副委員長「捕まえて縛り上げろ!」

委員たち「了解しました!」

不良娘「くっ、乙女相手に何しやがる……っ!」

委員長「貴女が本当に乙女ならこんな手荒い真似はしなくて済んだんですけどね」

副委員長「いいか。解けないようしっかり縛るんだぞ」

委員たち「了解しました!」

不良娘「いだっ、ちょ、優しく縛れ、馬鹿!」

委員長「拘束が済んだら委員会室に運んでください」

委員たち「はい!」

不良娘(くっそ……。何する気だよ、こいつら……)

委員会室

委員長「皆さん。ご苦労様でした。お陰で不良娘の捕獲に成功しました」

委員長「さて、と」

不良娘「……」

委員長「馬鹿にしていた委員会に無様に捕らえられた気分はどうですか? 不良娘さん」

不良娘「あたしに何する気だよ」

委員長「……罰を与えるつもりです」

不良娘「体罰か? ふんっ、馬鹿馬鹿しい……。そんなんであたしが更生するとでも?」

委員長「ええ。貴女は更生します。私たちは貴女が更生するまでやるつもりですから」

不良娘「!」

不良娘「体罰って……何を……」

委員長「少し表情が強張ってますね? 怖いんですか?」

不良娘「は、はぁ? なんで私が怖がったりなんか……!」

委員長「縛られて抵抗出来ない今、貴女は怖くて堪らないはずです。強がっていても私には分かります」

不良娘「出まかせ言うな。怖くなんかない」

委員長「へぇー? 本当ですか?」スッ

不良娘「……っ、何を……!」

委員長「服を脱がすんです」

不良娘「え?」

委員長「まずはブラウスから……」ガサゴソ

不良娘「や、やめっ! あ、あんた、そういう趣味か!?」

委員長「はい?」

不良娘「レズだろ、絶対! やめろ、ボタン外すな!」

委員長「私は別に女の子に興味はありません」

委員長「大体、日頃から胸元を大きく開けている貴女が上を脱がされた程度で騒がないでください」

不良娘「くっ……う、ぅっ」//

委員長「ふふっ。ブラは意外と可愛らしいのを着けているんですね」

不良娘「見るな、変態……っ」

委員長「案外、女の子趣味なんですか? 可愛い所あるんですね」

不良娘「あぅ、や、やめろ」//

委員長「処女でもあるまいし、同性に脱がされた程度で何を……」

委員長「ん?」

不良娘「な、なんだよ」

委員長「まさか、処女?」

不良娘「ち、ちがうわ、馬鹿!」

委員長「その反応は処女ですね」

不良娘「ちがう……っ」

委員長「別に処女なら処女で良いと思いますけど、普段いきがってる貴女が処女というのは……ギャップが激しいです」

不良娘「う、うるさい!」

委員長「あ、認めた」

不良娘「あー、もう!」

委員長「これで良しと……」

副委員長「結構良い体してるな、あいつ」ヒソヒソ

委員たち「D……いやEくらいでしょうかね」ヒソヒソ

委員たち「てか処女て。意外すぎる」ヒソヒソ

委員たち「未経験の上にあのルックスとプロポーションとか逸材だな」ヒソヒソ

不良娘「……///」カァァ

委員長「貴女があんまりにも恥ずかしがるからスカートは勘弁してあげます」

委員長「それに下は脱がせた所であまり関係はないし」

不良娘「何をするつもりなんだよ……くそっ……」

委員長「知りたいですか?」

不良娘「勿体ぶるな」

委員長「そうですね……」

委員長「不良娘さん。古代ローマで行われたある拷問をご存知ですか?」

不良娘「あ?」

委員長「それは五万人に行われ、五万人全員の気が変になったといわれる恐ろしい拷問です」

不良娘「な、なんだよ、それ……。まさか、それをしようとでも言うのかよ」

委員長「ええ。そのつもりです」

不良娘「し、正気かよ! そんな、拷問なんてっ!」

委員長「怖がらなくても大丈夫ですよ? 痛くて泣き叫ぶようなタイプのものではないですから」

委員長「むしろ、その逆です」

不良娘「……?」

委員長「その拷問とは……」サワッ

不良娘「はぅっ!?」

委員長「…………」コチョ

不良娘「っ、くふ、っはは! く、すぐったっ、ぃひゃはは!」

委員長「そう。くすぐりです」

不良娘「は……はぁ!? くすぐり?」

委員長「そうです。これなら、身体を傷つける事なく長期間相手を苦しめる事ができます」

委員長「勿論、やり過ぎれば古代ローマの五万人と同じ運命を辿ることになりますが」

委員長「まぁ、その前に貴女はきっと更生してくれると信じてますよ」

不良娘「はんっ、何を言い出すかと思えば……くすぐり? 舐めるな、ボケ!」

不良娘「そんな幼稚な責めにあたしが屈服すると思うわけ?」

委員長「不良娘さん……。貴女はくすぐりの恐ろしさをただ知らないだけです」

委員長「言いましたよね? 拷問された五万人全員の気が狂ったって……」

不良娘「そ、それはきっと何日もされ続けたからだろ。それともあたしをいつまでもここに閉じ込めておくつもり?」

委員長「それは流石に無理ですが……」

委員長「今日が終わる迄には貴女をきっと真人間にしてみせます」

不良娘「へぇ。せいぜい頑張れ、真人間の委員長さん」

委員長「その強がりが、いつまで持つのか楽しみです」

不良娘「はっ……。それじゃこっちもあんたらが諦める姿楽しみに待ってるよ」

委員長「それでは、まずは休みなしで三時間……。耐えられるものなら耐えてみてください!」

不良娘「望むところだ!」

三十分経過……

不良娘「ひにゃはははははははははは!!」

不良娘「やめっ、もうっ……あははははははっ! くすぐったい! くすぐったいからぁっ!」

副委員長「意気込んでたわりには結構限界くるの早いのな」

委員たち「委員長さんはピアノをやっているだけあって凄まじい指遣いですね」

委員たち「それこそ、あの残酷な責めに三十分耐えた彼女を褒め称えたいくらいです」

委員長「ふふっ。どうしたんですか? キャラ崩壊してますよ?」

不良娘「う、うるさぃっ! ひゃ!? あは、っ! あはははっ!」

不良娘「んふひゃひゃひゃひゃ!! きゃははははっ!!」

委員長「肋の下のここ……弱いんですか? ここを触るとやけに反応してますけど」ツンツン

不良娘「そ、そんなのっ、知らないっ……ゃははっ!?」

委員長「こちょこちょこちょ……」

不良娘「だ、めっ! うぁははははっ! ひゃひゃひゃ、っ! く、ははははっ!」

委員長「やっぱり弱いですよね?」

不良娘「だからっ、知らな、ぃやはははははははっ!! よ、弱いっ! 弱いですぅっふふふふふ!!」

委員長「よく言えました」

委員長「この調子でどんどん弱点教えてもらえれば助かるんですけど……」

不良娘「ふ、ぁっ、はぁ、はぁ、はぁ……」

委員長「腋の下、とか?」ツン

不良娘「っ、あ、くっ……」

委員長「んー、どうですか~?」コショ

不良娘「ん、ふっ、ふふふっ! くふふふ!」

委員長「ほらほら……」コチョコチョ

不良娘「……ぷっ」

不良娘「うひゃはははははははははははは!!」

委員長「ここも弱いんですね? 分かりやすくて助かります」コチョコチョ

不良娘「んぁはははははははっ! く、るしいっ! やめ、っにゃはははははは!」

委員長「普段はしかめっ面ですけど……」

委員長「笑顔の方がやっぱり断然かわいいですね」ニコッ

不良娘「な、なにいって……っ、くひゃははは! あ、ひゃははっ! うあはははっ!」

委員長「それから、言葉遣い。その荒っぽい喋り方、直してください。みっともないです」

不良娘「は、はぁ!? あんたにそんな事言われる筋合いは……」

委員長「こちょこちょ」

不良娘「きゃはははははははっ! 待って、そこはぁっ、あははははははっ!」

委員長「試しに、私の名前は不良娘です。って言ってみてください」

不良娘「誰がっ、そんな事っ!」

委員長「首筋をさわさわさわ……」

不良娘「んひっ、ひひ、ははははっ!」

委員長「ほら、言わないと次は足の裏ガリガリしちゃいますよ?」

不良娘「わ、わかった! 言う! 言うってば!」

委員長「では、貴女の名前はなんですか?」

不良娘「……っ」

不良娘「わ、私の名前は、不良娘です」

委員長「よく言えましたね。偉いです」

不良娘「ば、馬鹿にしてんのか!」

委員長「……」

不良娘「あ」

委員長「……」ガリガリ

不良娘「ひぎゃ、ぁはははははははっ! ま、間違えた! 間違えただけです、やめてくだひゃ、ひゃひゃははっ!」

委員長「その口調が完全に直るまでやめませんからね?」

不良娘「そ、そんな、無理っ! もう、無理だって……っ!」

委員長「あ、今の言い方かわいかったです」

不良娘「くっ……」//

委員長「では、不良娘さん。私のこと委員長さんって呼んでください」

不良娘「それは……」

委員長「柔らかい太腿ですね。すべすべ」スリスリ

不良娘「んふひゃはっ! 変な触りかたするな!」

委員長「口調……」ワキワキ

不良娘「っ!」

不良娘「へ、変な触りかたはやめてください!」

委員長「良い子ですね。でも、なんだか敬語だと私とキャラ被りしてるような気がしてきました」

不良娘「そんなの知るか。あんたが言えって言ったんでしょうが」

委員長「懲りない人ですね。もしかしてくすぐられたいんですか?」コショコショ

不良娘「にゃひゃははははははっ!! 違うっ! 違いますっ!」

委員長「やっぱりキャラ被ってます」

不良娘「どうしろと……」

委員長「荒っぽくなければ良いので、普通に喋ってください」

不良娘「普通ってどんなのだよ……」

委員長「どんなのだよ……。ではなくて、どんなのよ……。とか女の子っぽくお願いします」

不良娘「は、恥ずかしい」

委員長「恥ずかしい。ではなくて、恥ずかしいですわ。でお願いします」

不良娘「お嬢様だ、それは」

そして時は過ぎ……


委員長「最初から。お願いします」

不良娘「はい。私の名前は不良娘です。趣味はお茶と生け花です。好きな食べ物はお母さんの作る料理です」

委員長「……」パチパチ

委員長「言えましたね。ついに」

不良娘「ありがとう。委員長さん」

不良娘「ようやく、私、普通の女の子になれたみたい……」

委員長「私も嬉しいです。髪も黒に戻すと誓ってくれたし……貴女はもう阿婆擦れではないですね」

委員長「普通のかわいい女の子です」

不良娘「や、やだ。かわいいだなんて、恥ずかしいよ」//

委員長「くすぐったりしてすみませんでした。今、拘束を解きますね」

不良娘「いえ、良いの。委員長さん。こうまでしないときっと私、いつまでも不良のままだったから……」

委員長「そう言ってもらえると嬉しいです。多少強引とは思ってましたが、この方法をとって正解だったのかもしれませんね」

不良娘「……」

副委員長「いやー、良かった良かった。これで学校に平和が訪れたってわけだ」

委員たち「美人の笑い悶える姿も見れたし言うことなしですね」

委員たち「違いねぇや」

委員長「それにしてももうこんな時間なんですね……」

委員長「遅くまで本当にすみませんでした」

不良娘「全然平気だよ。気にしないで」ニコ

不良娘「それじゃ、私帰りますね」

副委員長「おう、お疲れちゃん」

不良娘「今日はどうも皆さんお世話になりました」

不良娘「このお礼はいつか、必ず……させてもらう」

委員長「あらら?」

不良娘「な、なんちゃって。それでは皆さんさようならー!」

委員長「あ、はい。さようならー……」

委員長「あの、最後の不良娘さん、なんかおかしくありませんでした?」

副委員長「え? そうでした?」

委員長「いえ、気のせいなら良いんですけど……」

翌日

委員1「聞いてください! 委員長さん! 今朝、下駄箱を見たら靴の中にぎっしり画鋲が詰められてたんです!」

委員2「委員長さん! 私なんか移動教室の隙をついて何者かにお弁当を食べられたんですよ!」

委員3「うちの机は下品な落書きでいっぱいだったのん」

副委員長「委員長さん! これは一体! 誰の仕業なんです!?」

委員長「……私にも何が何だか……」

委員長「こんな事をする生徒なんて……」

委員長「あ、一人いました」

不良娘「……♪」

委員長「あ、見つけた。不良娘さん!」

委員長「探しましたよ。不良娘さん。あの、聞きたいことがあるんですけど、貴女……」

不良娘「聞きたい事って、画鋲のこと? それとも弁当? 落書きかな?」

委員長「!」

委員長「貴女……! やっぱり反省してなかったんですか!?」

委員長「昨日のあれは全部演技だったんですね!?」

不良娘「ぶわぁぁぁっか! あったりまえだろ! このあたしが反省なんかすると思ってんのか?」

委員長「……なんか、もう呆れました」ハァ

不良娘「あっそー。こっちも暇じゃないんだよね。用はもう済んだ?」

委員長「出直してきます……」

不良娘「やーい、帰れ負け犬ー」

副委員長「で。今日の委員会の議題はなんなんです? 委員長さん」

委員長「もちろん、あのムカつく阿婆擦れ女、不良娘さんの件についてです!」

副委員長「あぁ、やっぱり……」

委員たち「仕方ないですよ。副委員長さん」

委員たち「……なんせ俺たち、不良娘さんを更生させるために立ち上げられた委員会なんですから」

委員たち「これで第何回の会議だっけ?」

副委員長「確か108……」

副委員長「あの小娘……良い加減反省しろよ……」

委員長「今日の処罰は痒み責めにします! さぁ、みなさんとろろ芋を擦ってください!」



おしまい

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom