出川「バカー! 何で開いちゃうんだよー! このスレは世界中のありとあらゆる災厄が封印されたパンドラのスレなんだよー!」
出川「絶っっっ対開かないでね、ってお願いしたじゃーん! どうしてそういう事するかなー、もー!」
出川「あーあ、知らないよー、俺知らないよー」
出川「しょうがねーなー。災厄がこれ以上出ないようにこのスレそっと閉じるか。俺はそうしてきた」
??「……待って」
出川「あれ? なんか聞こえる?」
??「……スレを閉じるのは待ってください」
出川「あんた誰?」
??「希望の女神です。スレを閉じるたら私まで出られなくなってしまいます……」
出川「わかった。開いたままにしとくわ」
女神「やっと出られた。ありがとう出川」
出川「あれ? アッコさんじゃないですか? なんで封印されてたんですか?」
女神「いいえ、私は女神です」
出川「うっそだー。そんなデカい女神いるわけねーもん」
女神「ちがうっつってんだろうがッ!うるせーぞ出川ッッ!!」
出川「ご、ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
女神「……出川。封印が開かれて災厄が散らばってしまいました」
出川「そッすね」
女神「このままでは世界は滅びます」
出川「えー! ヤバイよヤバイよー!」
女神「大丈夫。この芸能界には災厄を打ち払う能力を持った戦士たちがいます。まずは彼らを見つけなさい」
出川「えー俺が?」
女神「元はと言えばお前の責任です。リアクション芸人なら最後のオチまでしっかり回収しなさい」
出川「それ言われちゃやるしかないなー。でも俺は何の能力もナッシングですよ」
女神「私が能力を引き出してあげましょう……ハッ」
出川「おお! なんか力が湧いてきた!」
女神「すべってもバカにされても努力して、長年リアクション芸を培ってきた『強さ』です」
出川「マジで俺にこんな力が……」
女神「世界の命運は出川、お前に掛かっています。頼みましたよ」
出川「とは言ってもそんな都合良く見付かるわけないよなー。あーやだやだ」
勝俣「あ、出川さん! はざーッス!」
出川「おー」
勝俣「今日は何の収録ですか?」
出川「いや、収録じゃなくて災厄を払う能力を持った芸能人探さなきゃいけなくってさー」
勝俣「あれー!? 俺、能力者なんですけど、まさか知らなかったんすか?」
出川「マジで!? なんの能力よ?」
勝俣「どんなにイジられても一年中半袖半ズボンで耐え抜く『忍耐』です」
出川「よっしゃー! この調子で見付けていくぜー!」
勝俣「じゃあダチョウ倶楽部さんにも声かけましょう」
出川「ええー! あの人達も能力者なの? 付き合い長いのに何で今まで教えてくれないんだよー!」
勝俣「ダチョウさんの能力は三位一体で攻撃する『トライアングルアタック』っつって超強力ですよ」
出川「すげーじゃん。一気に5人なら負ける気がしない……あ、おはようございまーす」
勝俣「はざーっす!」
肥後「よう。2人してどうした?」
出川「災厄が飛び散って世界が滅びそうなんですよ」
寺門「ウッそ! やべーじゃん」
勝俣「なんで災厄を払える芸能人を集めてるんですよ。一緒に来てくださいよー」
肥後「行きたいんだけどさー、今からナレーションの収録あるんだわ」
寺門「俺はグルメ番組のロケ」
上島「俺は……何もなかった」
肥後「じゃあ竜ちゃん頼むよ」
上島「えー、やだよー。大変そうな事はいっつも俺にやらせてさー」
肥後「なら仕方ない。俺が行くよ」
寺門「いや、俺が行くよ」
上島「じゃあ俺も」
肥後&寺門「どうぞどうぞ」
上島「結局俺が行くんじゃねーか! ま、俺が行くからには大船に乗ったつもりでいろよな!」
出川「いや、どう見ても泥船でしょー」
勝俣「一番役に立たなそうな人が来ちゃったよー!」
出川「どうする? これで行く?」
勝俣「もうちょっと戦力が欲しいですね」
上島「俺、良い人知ってるよ。楽屋にいる筈だから行ってみよう」
出川「上島さんの知り合い? 大丈夫ですか?」
上島「大丈夫大丈夫。ちょっと年いってるけど、遠距離攻撃能力が凄いから」
勝俣「えー! 誰だろう?」
上島「お、ここかな?」
コンコン
??「入ってまーす」
出川「いやいや! ここトイレじゃなくて楽屋なのにおかしいって!」
上島「失礼しまーす」
ガチャ
??「こんにちは。デヴィ・スカルノです」
出川「高田さん……何言ってるんですか」
高田「高田純次とデヴィ夫人は双子みたいにそっくりって言われてるよ。目が二つ鼻と口が一つあるところとか」
勝俣「みんなありますよ!」
上島「高田さん、頼みが」
高田「うん、いいよー」
勝俣「早っ!」
高田「災厄が解放されたんだっけ? 俺の気楽に適当にやる『楽しさ』の力だったかなぁ? それが必要なんだろ?」
出川「ホントにこんなんで災厄払えるのかよー!」
女神「……役者が揃ったようですね」
出川「あ、女神様。俺ら芸人ですけどね」
勝俣「あれー!? アッコさん、なんスかその格好?」
上島「アッコさん、それもしかしてコスプレですか? 似合わねー!」
高田「ゴッドねえちゃんがホントのゴッドになっててオーマイゴッドだよ」
女神「テメエらうるせえぞ! アタシは女神なんだよッ! しばくぞオラァッ!!」
出川&勝俣&上島&高田「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
女神「……災厄は7つの個体に集約されました。それらを倒さないと世界の破滅は防げません」
出川「七つの災厄はどこにいるんですか?」
女神「幸い、今は一つの建物に集まっています。そこにお前達を飛ばします」
勝俣「わかりました! 任せてください!」
女神「では頼みましたよ、選ばれし戦士達よ……」
出川「ここが災厄のいる建物かー……」
憤怒「待っていたぞ人間ども」
上島「何だお前ら!」
強欲「災厄だ」
暴食「お前達を倒すために集団で待ち構えておったのよ!」
勝俣「段取り良いなー。じゃあ力を具現化して奴らを倒しましょう」
高田「よしきた。よっこらセックス」
ズドオォォーン
暴食「ウギャアアァァーッ!」
勝俣「高田さんすげー!」
上島「さすが0距離攻撃可能な無反動バズーカ」
出川「ああいう力の具現化ってどうやんの?」
勝俣「大切なものを思い浮かべて形にする感じですかね」
出川「……あれ? 出ないよ?」
勝俣「力はあるのにおかしいなー」
高田「長年リアクションばっかりしてたから、自分から何かするのに慣れてないんじゃないかなぁ?」
出川「そんなのありかよー!」
強欲「ならお前から倒してやるわ!」
勝俣「出川さん! 危ない!」
上島「させるか!」
ガッ!
強欲「なに!? 受け止めただと……!?」
上島「……言い忘れてたな。俺の能力は、どんなに滑っても寒くても全てを受け止める『タフネス』だ」
出川「上島さん……」
上島「本当はリーダーの『スピード』ジモンの『マッスル』と俺の『タフネス』でトライアングルアタックが完成するんだけどね」
勝俣「よし! 一世風靡で鍛えた『さそうおどり』!」
強欲「か、体が勝手に!」
上島「くるりんぱ」
強欲「うおぉぉおっ!」
出川「帽子の回転から生まれた衝撃波がダメージを与えてるぞ!」
勝俣「止めだ! 師匠欽ちゃんにすらツッコミを入れた俺の! シャーイニングナックル──!」
強欲「グハアァァァアッ!」
出川「これが、能力者の力……」
高田「残るは君だけになっちゃったねー。そーれ」
憤怒「畜生おぉぉ!」
ズボッ
憤怒「フハハハハ! 砲身に手を突っ込まれてはバズーカは射てまい! 発射すれば俺の腕と引き換えに暴発だ!」
高田「うーん、おじさんの昔の職業知ってる?」
憤怒「ん?」
高田「宝石販売業。だから宝石を使った能力も使えるんだよね。こんなのなんだけど」
勝俣「高田さんの体の周りに光が集まっていくぞ!?」
高田「エメラルドスプラッシュ!!」
シュババババッ!
憤怒「ぬわあぁ──ッ!」
高田「宝石で喜んでくれる女の子以外には使いたくないんだけどねー」
出川「つ、強い……」
高田「じゃ先を急ごっか」
怠惰「ようこそ皆さん」
出川「出たな災厄!」
勝俣「さっきの奴らとはオーラが違う……」
怠惰「(フフ、ではいきましょうか……)」
上島「こいつ頭の中に直接……!」
怠惰「(出川、あなたはリアクション芸を磨きすぎて、自分からアクションを起こすのをサボってはいませんでしたか?)」
出川「うわああぁっ! 確かにフリと仕込みが無いと何にも出来ないいぃっ!」
高田「気を付けろ! こいつの呼び掛けに耳を貸すとやられるぞ!」
怠惰「(上島、あなたは後輩に目の前で罵倒されて情けなくありませんか?)」
上島「いや、それはまあ……」
怠惰「(芸を途中で邪魔されたりして悔しくありませんか?)」
上島「そ、それも演出の一部、だ……から……」
怠惰「(他のメンバーがピンの仕事で頑張っているのに、あなたは相変わらず寒いままですよね?)」
上島「た、確かに……リーダーはモノマネとナレーションで、ジモンは肉体と食のこだわりを活かしてマルチな活躍をしている……」
怠惰「(あなたは何をしてきましたか?)」
上島「お、俺は、俺は……うわあああぁぁ──っ!」
勝俣「しまった! 上島さんが!」
怠惰「あなたたちはしたたかそうですね……相手してあげますから、2人一緒にかかってらっしゃい」
勝俣「くッ! 『ふしぎなおどり』!」
怠惰「フン、アイドル辞めてから動きにキレが無くなってきたんじゃないですか?」
高田「よっこらショット」
ズガアァン
怠惰「注意してればそうそう当たらないですよ?」
高田「困ったねー。まあどうせ当たるならBIGで6億円当てたいけどね……『スタープラチナ』!」
怠惰「おおっと! さすがに芸能生活40年近いと侮れませんね」
勝俣「2人がかりでも牽制するのが精一杯か……マズいかな」
高田「こりゃ参ったね」
上島「(笑いを取るつもりが、笑われバカにされ虐げられて)」
上島「(面倒を見てきた後輩にも追い抜かれ)」
上島「(メンバーにも差をつけられて……)」
上島「(俺は何にもできないのかな……)」
ドカアッ!
勝俣「ぐはあっ!」
怠惰「やれやれ、人間の力はこんなものですか?」
勝俣「いってええぇぇ……」
上島「(いや! できないんじゃなくて何がなんでもやるんだ!)」
上島「うおおおぉ──ッ!」
怠惰「わ、わたしの精神汚染を自力で解いただと……?」
上島「熱湯風呂で鍛えた体を!」
怠惰「ええいっ! そのまま豚の死骸のように横たわっていれば良いものを!」
グシャアッ!
上島「お笑いウルトラクイズで鍛えた精神をナメるなよ!」
怠惰「く、来るなっ!」
ブシュッ!
上島「殺す気か!」
怠惰「殺す気だ!」
上島「訴えてやる!」
ガシッ
怠惰「は、離せっ!」
上島「……地獄の閻魔様にな!」
怠惰「な、何をする気だ!?」
上島「俺にはこれくらいしかできないかな……」
シュウウゥン
勝俣「羽交い締めにしながらダイナマイトを具現化……まさか!」
上島「笑われようと、笑わせようと、そこに笑いさえあれば関係ない……それが俺のモットーだったけど」
高田「駄目だ竜ちゃん!」
上島「世界が無くなったら笑い自体が無くなっちゃうもんね」
出川「上島さん!」
上島「俺はお笑い大好きだから、最後までお笑いのためにできることをやるよ」
怠惰「やめ、やめろオォォォ──ッ!」
上島「後は任せたぜ」
ドグアァァァ────ン……
出川「俺は、俺は何にもできなかった……」
勝俣「上島さん……」
高田「……先に行こう。竜ちゃんの願いのためにも」
出川「……俺また何もできなかった」
勝俣「出川さん、まだ諦めるのは早いですよ」
色欲「いやー、こっちとしちゃ諦めてもらったほうが都合が良いんだけどねー」
出川「女の子……どうしてこんなところに?」
高田「お嬢さん、ここは危ないよ。おじさんと一緒にラブホテルへ避難しようね」
勝俣「待って! このオーラは……女性型災厄だ!」
色欲「あははー。よろしくねー、ぶいぶい!」
出川「くっ……」
勝俣「出川さんは下がっててください」
高田「なんだ災厄かー。おじさんがっかりしちゃったよ。この落とし前はつけてもらうよー?」
勝俣「早えー! 動きが捕捉できねえ!」
色欲「こっちこっちー」
高田「よっこらセーフティセックス」
ドゴオォン
色欲「いたたた……やるじゃん、ぷんぷん」
高田「実はおじさん下のバズーカのほうがもっと凄いんだけど、歳のせいか持続力がなくなっちゃってねー」
勝俣「さっきの奴より動きは早いけど打たれ弱い! いけるか!?」
色欲「……(じゃあわたしも本気出しちゃおっかなー(」
勝俣「こいつも頭の中に直接……精神汚染か!」
色欲「(出川、抱かれたくない男ランキング殿堂入りなんてすっごーい!)」
出川「それは……過去の、話だ……」
色欲「(リアルに女性に軒並み相手されなくって辛かったねー)」
出川「今は、違う……」
勝俣「出川さん! しっかり!」
色欲「(あんなに苦労してキャラ付けしたのに、実は礼儀正しくて良い人キャラって今言われちゃってるよねー)」
出川「それは……っ」
色欲「(頑張って作ったキャラが壊されるのってどんな感じ? ねえどんな感じ?)」
出川「う、うわあ──っ!」
高田「哲っちゃん!」
色欲「さて、心が壊れたところで、体も壊しちゃおっかなー」
シュンッ
勝俣「で、出川さんを離せ!」
色欲「3人相手はちょっと分が悪いから、1人ずつ壊してあ・げ・る」
勝俣「卑怯だぞ!」
色欲「えー!? 壊しちゃ駄目なのー? じゃああなたこっち来て? 抵抗しちゃイ・ヤ」
勝俣「分かった……」
ボゴオッ!
勝俣「ぐあ……はあっ!」
色欲「あははー、弱肉強食の芸能界に咲いた友情の花は麗しいねい」
出川「ああああぁぁぁ」
色欲「さ、おじさん、あなたも相手してあげるからこっち来て。気持ちよくするから大人しくしててね?」
高田「……君はSかな? それともM? 僕はLだよ」
ドゴオッ!
高田「ぐうッ……!」
ガシッ
色欲「な……何するの!? 離してっ!」
高田「……待ってたよ。近付いてくるのを」
ピキッ ピキピキ…… ピキピキピキピキピキピキ──……
高田「俺の体を水晶化してこいつを閉じ込めた! 勝っちゃん! 君のシャイニングナックルで俺ごと災厄を砕くんだっ!」
色欲「ちょっとッ! 放しなさいよ! 女の子羽交い締めにするなんて犯罪よっ!」
高田「おじさん指名手配になったことあるけど、今度はどんな罪になるか楽しみだなー」
勝俣「高田さんっ! 高田さんまでそんな……」
高田「目の前で俺より若い奴が死ぬのは耐えられないんだよ……それにこいつは危険だ。これしかない!」
勝俣「ううっ……」
高田「俺みたいな適当な人間でも生きていける、笑ってられる、素敵なこの世界を守ってくれ! さあ早く!」
色欲「いやあアァーッ! 離してえぇぇ──ッ!」
高田「さ、おじさんと一緒にあの世へハネムーンに行こうか。きっと楽しいよ。あの世って行ったこと無いけど」
勝俣「う、くっ…………シャ──イニ──ングナックル────!!」
高田「世界を、頼んだよ」
バキッ…… ピシッ パキパキ パキパキパキパキパキッ
パリィ────────ン
出川「う、うわあぁぁーっ! 高田さぁ──んっ!」
勝俣「あと2体か……」
出川「嫌だ……もうやだよー。こんなことして何になるんだよー!」
勝俣「馬鹿野郎!」
バキッ
出川「いてえよぉ……うっ」
勝俣「上島さんも高田さんも、大好きなお笑いや芸能界、そして世界のために戦ったんだよ! あんたお笑いもこの世界も好きじゃないのかよ!」
??「おやおや、先輩芸人にお説教とは偉くなったなぁ? 勝俣?」
出川「あ、あなたは……」
勝俣「翔さん……」
哀川「そうだよ。お前の先輩、哀川翔だよ」
哀川「なあ。お前ら芸人が世界を救えなくっても、誰も責めやしねえよ。やるだけ無駄だって」
出川「ああ、ああぁ……」
勝俣「……俺の知ってる翔さんならそんなこと絶対に言わない。お前……誰だ?」
哀川「ヒャハハハ、もうバレたか。そうだよぉ、俺は七つの災厄の一つ『嫉妬』だよぉ」
勝俣「バカにしやがって……出川さん、こいつは俺がカタを付けますから先に行ってください」
出川「そんな……勝っちゃんまで」
勝俣「こいつは翔さんを、俺達芸人をコケにしやがった。こいつを倒したら追いかけますから」
出川「……」
勝俣「大丈夫。自分の立ち位置を存分に理解して笑いを取ってきた出川さんなら、必ず力を出せます!」
出川「わかった……待ってるからな」
タッタッタッ
哀川「さーて、タイマンといこうか勝俣ぁ?」
勝俣「てめえだけは……絶対に許さねえ!!」
勝俣「マッスルダンス!」
哀川「ダンスで俺に勝てるわけねえだろ」
ドゴオォッ
勝俣「ガッ……ならシャイニング……」
哀川「喧嘩なら負けねえなあ」
バキャアァッ
勝俣「ガハッ……」
哀川「俺は映画で殺陣もやってるからよぉ」
勝俣「み、見かけだけじゃなくて翔さんの動きまで……」
哀川「そしてVシネって言ったらこれだよなぁ?」ジャキッ
勝俣「それは……長ドス!」
哀川「オルアアァッ!」
ズドオォン!
勝俣「ゴファッ……!」
哀川「痛ぇか? 痛ぇよなあ? 痛ぇだろ!?」
勝俣「うアァぁぁ……」
哀川「悔しいか? 悔しいだろ? この姿はなぁ、お前が最も嫉妬してる人間の姿なんだよ」
勝俣「(翔さんは……カッコ良くてモテて、いつも周りに人がいて)」
哀川「嫉妬に狂った人間を容赦なく叩き潰すのって……気持ちいいぜぇ?」
勝俣「(ちょっとトボけてるけど、面倒見が良くって……そんな翔さんを俺は……)」
哀川「さーて、先にいった仲間に会わせてやるよ勝俣ぁ?」
勝俣「(俺は……でも俺はどんなにイジられても半袖短パンで耐えて、芸能界で居場所を作ってきた! 嫉妬をバネにして!)」
哀川「往生せいやああぁっ!」
勝俣「俺は……俺だあアッ!」
バシイッ!
哀川「……まだやるのかい?」
勝俣「言っただろ? てめえだけは絶対に許さねえってな!」
哀川「かかってこいやあぁぁアアッ!!」
勝俣「シャ────────!!!」
哀川「大量出血で立ってるのも苦しいだろ? やせ我慢しなくても良いんだぜぇ?」
勝俣「シャイニング……」
哀川「無駄だってんだよ!」
勝俣「目眩まし!」ビュッ
哀川「うあッ! なんだコリャ!? 前が見えねえ!」
勝俣「お前が叩き潰そうとした俺の血だよ……これは翔さんの分!」ゴッ!
哀川「グエ」
勝俣「これは芸人達の分!」ガッ!
哀川「うぼぁ」
勝俣「そしてこれは俺の怒りだ! シャイニングナックル・エクスプロージョンッ!!」ゴオオオォッ
哀川「ウギャアアァァ────……っ」
勝俣「はあ……はあ……やっと片付いた……うっ! ゴボアぁあぁッ」
勝俣「はぁ……でも、これ以上は進めねえみたいだ……約束破ってごめんな、出川さん……」
勝俣「未来を、お願いします…………」
出川「勝っちゃん遅いな。やっぱり勝っちゃんも……」
傲慢「よくここまで来たな出川」
出川「お前は災厄か……?」
傲慢「そうさ。最後のね。お前達のおかげで俺だけになってしまったよ」
出川「最後の? じゃあ勝っちゃんは……!?」
傲慢「でも人類の希望の戦士もお前だけになったね。見せてあげよう」
ブウンッ……
傲慢「爆死、砕かれて死に、瀕死の重傷で災厄を倒したものの失血死……」
出川「あ、あ、あ、ああ……」
傲慢「残った希望が、力を出せない役立たずとは皮肉だよね」
出川「役立たずか……俺は俳優の仕事も上手くいかなかったし、リアクション芸しか能が無いよな……」
傲慢「そうだよね。でもそれだけでここまで来ちゃったんだから大したもんだよ」
出川「リアクションはスタッフや共演者の協力が無いといけないし……俺一人じゃ何もできないや」
傲慢「そうだよ。人間一人なんて無力で何も成しえないんだよ」
出川「……一人じゃできない!? いや、お笑いは出演者がいて舞台があってお客さんがいないと成立しない。みんな一人じゃできないじゃないか!」
傲慢「ん?」
出川「それだけじゃない。俳優もこの世界全てもそうだ。誰かが誰かのためにいるんだ!」
シュイィィン
傲慢「ふうん……覚醒しちゃったか」
出川「お笑いのために、世界のために……俺は──もう逃げない!」
出川「コーラゲイザー!」ブシャアアッ
傲慢「んぶあっ! た、炭酸の噴出力が……」
出川「鼻水ダイヤモンドカッター!」フンッ
傲慢「うおっ、い、痛いぞおぉっ! 出川アアッ!」
出川「キレたナイフスティンガー!」ズドドドドドッ
傲慢「が、がはっ……これが目覚めたばかりの能力者だと……?」
出川「人は一人じゃない。その事に気付いて、自分の居場所とやるべき事を見付ければ、後は勇気を出すだけだ!」
傲慢「ふふふ、それが人間の可能性か………だがな」
出川「何がおかしい!?」
傲慢「災厄ってのは、様々な原因と結果が結び付いたのが災厄なんだよ」
出川「なっ! 今まで倒した災厄が!」
傲慢&嫉妬&色欲&怠惰&憤怒&強欲&暴食「だから災厄も一つじゃない」
ギュウゥゥ──ン
災厄「この世をつらぬく大いなる力、俺が災厄だ」
災厄「さあ、人間の勇気を見せてくれよ」ボンッ
出川「コーラゲイ……ぐあっ!」
災厄「希望はどうした?」バシュン
出川「鼻水ダイヤ……ゴホッ、さっきまでとは段違い……圧倒的すぎる……」
災厄「もうリアクションも取れないのかい?」ブンッ
出川「ぶほあッ! はあ、はあ……」
災厄「無理みたいだね。お前も世界もエンディングだ」
出川「……いや、まだだ。ここで終わったら世界がリアルにヤバいよ」
災厄「なら何かやって見せろオォォ」ヒュンッ
出川「ああ……盛大なオチを用意してやるよ」キュイイィィィィイン
災厄「こ、これは!? 出川、お前何を具現化した!?」
出川「……俺が今まで爆破ロケで使った火薬だ。何十トンあるかな」
災厄「こんなことをしたらお前もただでは済まんぞ!」
出川「そうだろうね」
災厄「この……クソがあアァァ──ッ!!」
出川「ああ。50目前になっても素人さんや嫁にクソ哲呼ばわりされてるよ」
災厄「なぜそこまでする!」
出川「俺は今まで求められた最高のタイミングで求められた以上のリアクションをして笑いを取ってきた。だから自分のやるべき事をするだけだ」
災厄「やめ、やめ……」
出川「上島さん、高田さん、勝っちゃんがそうしたように……。笑いと世界のために最高のリアクションをする」
災厄「やめろおオォォオォ──ッ!!」
出川「俺は、そうしてきた」
カッ────────!
◇◇◇
女神「災厄は払われ、世界は救われました。戦士達の尊い犠牲によって……」
女神「そして私がここにいる意味も、もう無くなったようですね」
女神「……最後に私の力を解放しましょう。世界に希望が満ち溢れますように──」
◇◇◇
出川「……あれ……ここは?」
勝俣「テレビ局?」
上島「俺ら生きてるのか? 足はあるよな?」
高田「足が二本に腕が二本……大変だ! 尻が二つに割れてるよー!」
上島「もともと割れてますって!」
出川「災厄はどうなった?」
勝俣「世界に満ちていた邪悪さはもう感じられないです!」
出川「てことは……俺らはやったのか!」
勝俣「やったんですよ! 世界を救ったんです!」
和田「おう、お前ら揃って何やってんだ?」
出川「あれ、女神様……?」
和田「あん? 何寝ぼけとんねん?」
勝俣「アッコさん!」
和田「ちょうどええ。みんな一緒に飲みに行こか?」
上島「良いんですか!?」
和田「おう。何か知らんけど、今日はエラい気分ええねん!」
高田「へへー! 神様仏様アッコ様ー!」
和田「よっしゃ! お前ら付いてこい!」
こうして世界の危機は去った。
例えいつかまた新たな災厄が生まれても大丈夫だろう。彼らによって、笑いという『希望』が生まれ続けているのだから。
そう。彼らは今も世界を救っているのだ。
─完─
以上で完結です
ご笑覧いただけましたら幸いです
ありがとうございました
乙乙
面白かったし脳内再生余裕過ぎた
他に書いたものあったら教えてくれ
>>57
ありがとうございます
現行スレだと
↓
「うっひょぉぉおーっ! オ●ニー最っ高おぉぉぉおー」
「うっひょぉぉおーっ! オ●ニー最っ高おぉぉぉおー」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1384805425/)
あとみん暇等に
「何者だ!」「オナラです」「よし通れ!」
がまとめられてます
よろしければどうぞ
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