杏子「仲良し姉妹」(238)

マミ「~♪」

ピンポーン

マミ「あら…?ふふ、もう来たのね?」

ガチャッ

杏子「よっ」

マミ「いらっしゃい。今日は来るのが早かったのね」クスッ

杏子「へへ、早くマミに会いたくってねー。なんてな」

マミ「うふふ、そっか。さ、上がって?」

マミ「杏子ちゃん」

杏子「ああ!」

マミルーム

マミ「今日は1人で来たのね」

杏子「うん。でも後から来るってさ」

マミ「そう、なら3人分よういしなきゃね」

杏子「いつも悪いね」

マミ「いいのよ?…でも、ごめんなさい、まだケーキを作ってる途中だったの」

杏子「あぁ…いや、あたしが来るのが早かったしさ」

マミ「今から作ってくるから、杏子ちゃんは待っててくれないかしら?」

杏子「いや、あたしも手伝うよ」

マミ「そう?ふふっ、ありがとう」

杏子「いいっていいって。さっ、作ろうぜ?」

マミ「うん!」

数十分後

マミ「よーし。もうすぐ出来上がるわね」

杏子「うん」

マミ「後は紅茶を準備して…」

杏子「ふふっ」

マミ「…?何かおかしかったかしら?」

杏子「なんかさ、こう…昔を思い出してね」

マミ「昔…あっ、そうね。昔からよくこうして一緒にお料理したものね」

杏子「ああ、あたしら3人でな」

マミ「うふふっ、懐かしいわね」

マミ「2人とも『マミさん、マミさん』って言ってね」クスッ

杏子「へへっ、何か恥ずかしいな」

マミ「ふふ、可愛かったわよ?」

杏子「…ほんと、懐かしいな」

マミ「ええ。思えば出会ってから結構、経ったものね」

杏子「初めて会った時…か」

―――

杏子「はぁっ…はぁっ…!」

魔女「~」

杏子「くそっ…強い」

魔女「~!」

杏子「っ!?」

杏子「きゃぁぁぁっ!」

杏子「うぅっ…」

杏子(だ…駄目…動けな……)

杏子(あたし…こんなとこで死ぬの…?)

魔女「~!」

杏子「モモ…!」ギュッ

シュルル

杏子「えっ?」

杏子(リボン…?)

マミ「間一髪、ってところね」

杏子「!」

マミ「でも、もう大丈夫」ニコッ

杏子(魔法少女…?)

―――

杏子「……」

杏子(あの人…強い…!)

マミ「大丈夫?怪我はない?」

杏子「え?あっ…いや…だ、大丈夫…です」

マミ「そっか、良かった…」ホッ

マミ「見滝原の魔法少女は、わたし1人だと思ってたんだけど…」

マミ「お友だちがいたのね!」ニコッ

杏子「へっ?お友だち…?」


マミ「あっ、そうそう。自己紹介しなきゃね」

マミ「わたしの名前は巴マミ。よろしくね?」スッ

杏子「えっ?あ…」

マミ「てへへ」ニコニコ

杏子(この人なら…)

杏子「…よろしく」ギュッ

杏子「あたしは杏子、佐倉杏子」

マミ「よろしくね、佐倉さん!」

杏子「…えへへ」

―――

マミ「…そっか、隣町から魔女を倒しに来たんだね」

杏子「うん…少しでも強くなって、裏からみんなを救いたかったんだ」

杏子「でも、あたし…弱かった…」

杏子「マミさんが助けてくれなかったら、あたしはきっと……」

杏子「っ…」ゾクッ

マミ「佐倉さん」ギュッ

杏子「マミさん…あたし、弱いよね?」

マミ「ううん。大丈夫だよ、わたしも最初は弱くって…」

マミ「戦い方もよくわからなくってね?」

マミ「それに…1人で戦うのが怖かったの」

マミ「…でも、そんなわたしを助けてくれた人がいるの」

マミ「その人は…わたしの先生で、お友だちで…」

マミ「そして、大好きなお姉ちゃんなの」ボソッ

杏子「…?」

マミ「……今は離ればなれになっちゃったけどね」

杏子「マミさん…?」

マミ「あっ、ごめんなさい!今は関係ない話だったね?」

杏子「えーと…?」

マミ「ねえ。もし良かったら、これからわたしの家に来ない?」

杏子「えっ?でも…」

マミ「一緒にケーキでも食べよう?」

杏子「ケーキ…!」

杏子(最後にケーキ食べたの、何時なんだろう…?)

杏子(食べないなぁ…)

杏子(みんな話は聞いてくれるようになったけど…まだ家にお金はないから…)

マミ「佐倉さん…ダメ?」

杏子「あっ、いや!…お、おじゃましちゃおっかな…?」

マミ「佐倉さん…!」パァッ

マミ「案内するね!ついてきて!」

杏子「う、うん!」

杏子(マミさん…か)

杏子(好い人だなぁ)

マミホーム

マミ「ほら、上がって?」

杏子「お、おじゃまします…!」

マミ「佐倉さん、紅茶は飲める?」

杏子「えと…うん」

マミ「そう、よかった。それじゃあ用意してくるから待ってて?」タタッ

杏子「あっ…」

杏子(紅茶も何年も飲んでないや…)

杏子(やっぱりマミさんって年上なのかな?あたしと違ってしっかりしてるし…)

杏子(部屋も綺麗に片付いてるもん)

カシャン

マミ「きゃっ?」

杏子「わわっ?だ、大丈夫?」

マミ「あはは…いっつもこうなっちゃうなぁ…」

マミ「うん、大丈夫だよ。片付けるね」

杏子「あ、あたしも手伝うよ!」

マミ「そう?ありがとう、助かるよ」ニコ

杏子「えへへ…」

―――

マミ「さ、食べよう?」

杏子「う、うん!」

杏子(ケーキ!ケーキだ!)

マミ「いただきます」

杏子「いただきます…!」

杏子「ぱくっ」

マミ「どうかな?」

杏子「おいしい…!すっごくおいしいよ!」

マミ「てへへ、やった」

杏子「マミさんが作ったの?」

マミ「うん!」

杏子「そうなんだ…マミさんってすごいなぁ」

マミ「ううん、そんなことないよ」

杏子「でも…」キョロキョロ

杏子「部屋も綺麗だし、ケーキ作れるし」

杏子「強いし…」

マミ「佐倉さん?」

杏子「それに比べて、あたしは…」

マミ「…」

杏子「ううん!なんでもないよ」

杏子(あたしは…)

杏子「それよりも、このケーキほんとにおいしいや!」

マミ「…そっか」

杏子「えへへ、ごちそうさまでした」

マミ「あれ?まだ半分残ってるよ?」

杏子「これはモモの分なんだ」

マミ「もも?」

杏子「あたしの妹、モモもケーキは大好きだからさ」

杏子「2人ではんぶんこにしなきゃね」

マミ「そう、佐倉さんには妹がいるんだ」

杏子「うん、大切な妹だよ」

マミ「ふふ、仲良しなんだね」

杏子「うんっ!」

マミ「なら…ちょっと待ってて?」

杏子「?」

マミ「はい、これ全部あげるね」

杏子「えっ?いいの?」

マミ「うん、いつも多目に作ってあるの」

マミ「お姉ちゃんが何時帰ってきても大丈夫なように…」ボソッ

杏子「?」

マミ「だから大丈夫、家族みんなで食べてね?」

杏子「ほ、ほんとにいいの?」

マミ「うん」

杏子「マミさん…ありがとう!」ペコッ

杏子「みんな喜ぶよ!」

マミ「仲良く食べてね」

杏子「もちろん!モモ喜ぶよだろうなぁ…!」

マミ「…」ニコニコ

訂正

杏子「もちろん!モモ喜ぶだろうなぁ…!」

―――

杏子「あのっ!今日はほんとにありがとう!」

マミ「よかったら、また来てくれると嬉しいな」

杏子「じゃあ、今度はモモと一緒に来てもいい?」

マミ「うん、いいよ」

杏子「やった!また来るよ!」

マミ「てへへ、待ってるね」

杏子「またね!」

マミ「うん、またね!」

杏子ホーム

杏子「ただいまー」

モモ「お姉ちゃん、おかえりなさい!」

杏子「モモ、これなーんだ?」

モモ「えー?…わぁ!ケーキだぁ!」

杏子「へへっ」

モモ「お姉ちゃん、どうしたの?買ってきたの?」

杏子「いや、マミさんに…友達に貰ったんだ」

モモ「そうなんだぁ…!ね?食べてもいい?」

杏子「うん、いいよ」

モモ「わーい、やったぁー!」

杏子「ふふっ」

―――

モモ「おいしいー」

杏子「…」ニコニコ

杏子(マミさん、ありがとう)

モモ「お姉ちゃんも食べよ?」

杏子「うん、あたしも…」

杏子「!?」

モモ「どうしたの?」

杏子(魔力を感じる…魔女だ!)

杏子「ごめん!出かける!」タタッ

モモ「えっ?お姉ちゃん?」

モモ(お姉ちゃん…この前から一人で何かしてるみたいだよね?)

モモ(何してるのかな?)

モモ(よーし!)

モモ「…」タタッ

―――

杏子「くそっ!逃がすかー!」

魔女「~!」

杏子(これ以上逃げられたら…もうここはマミさんの…)

モモ「きゃっ!」

杏子「な…!?」

モモ「お姉ちゃん…」フルフル

杏子「モ、モモ?何でモモがここに?」

モモ「わ、わたし…」

魔女「~!」

杏子「あっ?」

杏子(危ない!?)

マミ「ティロ・フィナーレ!」

杏子「!?」

マミ「大丈夫?」

杏子「ま、マミさん…!」

マミ「てへへ、また会ったね」

―――

モモ「うぅ…」

杏子「そっか…モモはあたしを追って…」

モモ「ごめんなさい…」

マミ「…」

杏子「いや…まぁ仕方ないよ。でも、危ないからもうついてきちゃダメだぞ?」

モモ「うん…」

杏子「あと、このことは誰にも話しちゃダメだ…わかった?」

モモ「う、うん…誰にもお話しないよ」

杏子「そっか、わかってくれるならいいんだ」

杏子「このことは後でゆっくり話そうな?それよりも今は…」

杏子「マミさん、ありがとう…また、助けられちゃった」

マミ「ううん、いいの。2人が無事でよかった」ニコッ

杏子(マミさん…)

杏子「マミさん…ほんとにありがとう、マミさんがいなかったら…」

杏子「あたしとモモは…っ…」

モモ「うぅ…」

マミ「大丈夫、大丈夫だから…!」

杏子「…マミさん!」

マミ「なあに?」

杏子「あたしっ…あたし!マミさんの弟子になりたい!」

マミ「えっ?」

杏子「あたしもマミさんのように強くなりたい!」

杏子「だから…!あたしを弟子にしてください!」

マミ「……」

杏子「マミさん…」

マミ「…うん、いいよ」ニコ

杏子「ほんとっ?」

マミ「うん!」

杏子「ありがとう!」

マミ「でも今日は遅いからもう帰らなきゃね」

マミ「モモちゃんも怖がってるし、早く落ち着かせなきゃいけないよ?」

モモ「…」フルフル

杏子「モモ…うん、そうだね」

マミ「わたしは何時でも待ってるから、2人で遊びに来てね」

杏子「うん。ほら、モモ…帰ろう?」

モモ「うん…」

マミ「またね」

杏子「ま、またね…!」

マミ「気を付けて帰ってね」

杏子「うん」

―――

翌日

ピンポーン

マミ「あっ…!」

マミ(お姉ちゃん?)タタッ

ガチャッ

杏子「こ、こんにちは!」

マミ「あっ…佐倉さん、遊びに来てくれたんだね!」

杏子「遊びにも来たけど…それよりも、あたしを特訓してください!」

マミ「特訓?…うん、いいよ」

杏子「あ、ありがとう!」

―――

杏子「はぁっ…はぁっ…」

マミ「今日はこのくらいにしとこうよ、頑張りすぎると疲れちゃうよ?」

マミ「わたしの家でお休みしようよ」

杏子「うん…」

マミホーム

杏子「ふぅ…つかれたぁ…」

マミ「はい、紅茶をどうぞ」

杏子「ありがとう。やっぱりマミさんはすごいなぁ」

マミ「えっ?そうかな?」

杏子「あたしはこんなに疲れてるのに、マミさんは疲れてなさそうだもん」

マミ「わたしはリボンとこれが武器だから、あんまり疲れないのかな?」

マミ「わたしも最初はダメダメだったんだよ?」

マミ「リボンの使い方もよくわからなかったもん」

杏子「…」

杏子(マミさんはリボンが武器…なんだよね?)

杏子(なら何で…?)

杏子「ねえ、マミさん」

マミ「なあに?」

杏子「マミさんの武器って、ほんとはリボンなんでしょ?」

マミ「うん、そうだよ」

杏子「じゃあ何で鉄砲で戦ってるの?」

マミ「あっ、それはね?お姉ちゃんに教えてもらったからなんだよ」

杏子「えっ?マミさんにお姉ちゃんがいたの?」

マミ「うん、わたしの大切なお姉ちゃんなんだ」

杏子「わぁー。じゃあやっぱりマミさんと似てるんだ? 」

マミ「ううん、似てないよ?」

杏子「えっ?姉妹なのに?わたしとモモは似てるよ?」

マミ「たしかに、佐倉さん達は似てるし、仲良しだもんね」

杏子「うんっ!あたし、モモが大好きだよ!」

マミ「わたしもお姉ちゃんが大好き!」

マミ「…家族じゃないけど」

杏子「えっ?」

マミ「わたしのお姉ちゃんだよ」

マミ「大好きなお姉ちゃん」

マミ「ほむらお姉ちゃん…!」

杏子「ほむらお姉ちゃん?」

マミ「これ、わたしとお姉ちゃんの写真なんだ」スッ

杏子「わぁ…!美人だね」

杏子「それに優しそう」

マミ「うん、とっても優しいお姉ちゃんなんだ」

杏子「そっかぁ…本当の姉妹みたいに仲良かったんだね」

マミ「うんっ!」

マミ「今は…離ればなれになっちゃったけど、でもっ!」

マミ「またお姉ちゃんは会いに来てくれるって約束したもん…!」

杏子「そのお姉ちゃんは遠くに住んでるの?」

マミ「…うん。遠い、かな」

杏子「そうなんだぁ…あ、そういえばマミさんの家族は?」

杏子「本当の姉妹はいないの?」

マミ「…わたしは…一人っ子だよ」

杏子「そっか、じゃあ3人で暮らしてるんだ」

マミ「………」

杏子「あれ?マミさん?」

マミ「……わたし、一人暮らしなんだ!」ニコ…

杏子「えっ?そうなの?」

杏子(じゃあやっぱりマミさんは年上なのかな?しっかりしてるし…)

マミ「お父さんもお母さんも…もういないから」

杏子「え…」

マミ「…ごめんね、こんなお話しちゃって」

杏子「あ、いや!あたしの方こそ…ごめんなさい…」

マミ「…ね?ケーキ食べようよ」

杏子「…う、うん」

マミ「用意してくるね」

杏子(マミさん…そっか、ひとりぼっちなんだ…)

杏子(あたしに何かできないかな?)

マミ「わわわっ?」

杏子「あ、あぶないっ!」ガシッ

マミ「あ、ありがとう…」

杏子「あはは、マミさんって意外とおっちょこちょいなんだ」

マミ「う、うん…てへへ」

杏子「ねぇ、マミさん」

マミ「ん?」

杏子「明日…明日はさ!モモと2人で遊びに来てもいい?」

マミ「…うん、いいよ!」

杏子「えへへ、ありがとう」

マミ「ううん、すっごく嬉しいよ。お礼を言うのはわたしの方」

マミ「ありがとう、佐倉さん!」ニコッ

杏子(マミさんはひとりぼっちで寂しいんだ…なら…)

杏子(あたし達がマミさんを!)

―――

杏子「ついたな、ここだよ」

モモ「ここがケーキのお姉ちゃんのお家なの?」

杏子「うん、マミさんの家。ほら、チャイム押して?」

モモ「うん」

ピンポーン

マミ「はーい」

ガチャッ

マミ「いらっしゃい!」ニコッ

杏子「えへへ、こんにちは」

マミ「こんにちは、待ってたよ」

杏子「うん。ほらモモ、あいさつ」

モモ「あ、あの…こ、こんにちは!」

マミ「ふふ、こんにちは」

モモ「んっと、この前は助けてくれてありがとう」

マミ「うん、怖くなかった?」

モモ「お姉ちゃんが守ってくれたから…大丈夫だよ」

マミ「そっかぁ、良かった」

モモ「そ、それから!ケーキすっごく美味しかったです!」

マミ「てへへ、ありがとう」

杏子「昨日も貰っちゃったもんね」

マミ「ふふっ、今日はプリンを作ったの」

マミ「食べる?」

モモ「うん!」

杏子「マミさん、いつもありがと」

マミ「ううん、わたしも作りながら2人が来るのを楽しみに待っていたの」

杏子「あはは、そっか」

マミ「うんっ!」

マミルーム

マミ「用意を…」

杏子「あっ、手伝うよ」

モモ「わたしも手伝う!」

杏子「これ以上割ったらいけないもんね」

マミ「てへへ…うん、ありがとう」

マミ「それじゃあ、モモちゃん…でいいかな?」

モモ「うん!」

マミ「ふふ、じゃあモモちゃんはプリンをお願いするね?」

モモ「はーい」

マミ「ふふっ、可愛い妹だね」

杏子「うん、あたしの大切な妹だよ」

マミ「…そうだ!」

杏子「ん?」

マミ「妹がモモちゃんなら、お姉ちゃんは杏子ちゃんでいい?」

杏子「えっ?杏子ちゃん?」

マミ「だ、ダメかな?」

杏子「いや…ちょっと照れるけど…でもいいよ」

マミ「ほんと?」

杏子「うん」

マミ「てへへ、じゃあ早速…杏子ちゃん!」

杏子「えへへ」

マミ「それじゃあ、杏子ちゃんには紅茶を持っていってもらおうかな?」

杏子「うん、わかった」

マミ「こぼさないように気を付けてね?」

杏子「あはは、マミさんじゃないんだし、大丈夫だよ」

マミ「そっか」

杏子「っと…」ソォー

モモ「スプーンが無いよー」タタッ

杏子「わぁっ?」グラグラ

モモ「あっ、ごめんなさい…」

マミ「あぶないっ!」ギュッ

杏子「っとと…ご、ごめんなさい」

マミ「…ふふっ、無事でよかった」

杏子「モモ、走ったら危ないじゃんかー」

モモ「ご、ごめんなさい…」

マミ「まあまあ、スプーンよね?はい」

モモ「ありがとう」

杏子「マミさん、ごめん…」

マミ「何もなかったんだし、大丈夫だよ?」

マミ「ほら、2人で持って行こうよ」

杏子「うん…!」

マミ「ふふっ」ニコッ

―――

杏子「わぁ…美味しそうなプリン!」

モモ「マミお姉ちゃんすごーい!」

マミ「てへへ、ありがとう」

杏子「マミさんは料理もできて、ほんと凄いなぁ」

モモ「そうだねー」

マミ「2人は料理をしないの?」

杏子「…あたし達は……」

モモ「しないよ」

マミ「そっかぁ…ね?なら、わたしが教えよっか?」

杏子「えっ?」

マミ「2人に料理のレッスンをしてあげる!」

モモ「いいの?やったぁ!」

マミ「何でも聞いてね?」

杏子「マミさん…いいの?迷惑じゃない?」

マミ「迷惑なんかじゃないよ?3人でお料理しようよ!」

モモ「お料理ー♪」

杏子「モモ…うん、よろしくね。マミさん」

マミ「この後さっそく始めようね!」

杏子「うん!」

モモ「わーい」

―――

モモ「マミお姉ちゃん、何を作るの?」

マミ「うーん…何かフルーツを使ったケーキがいいかな?」

杏子「フルーツ…」

マミ「2人な好きなフルーツって何かな?」

杏子「りんご!」

モモ「りんご!」

マミ「…ふふ、じゃありんごケーキを作ろうね」

杏子「えへへ、やったね」

モモ「うん!」

―――

マミ「できたっ!」

杏子「わぁ…!」

モモ「美味しそう!」

マミ「2人とも上手に作れたね」

杏子「マミさんの教え方がうまいからだよ。な?モモ」

モモ「うん、マミお姉ちゃんすごい!」

マミ「てへへ、照れるなぁ」

モモ「ねえ?マミお姉ちゃんはいくつなの?」

マミ「えっ?」

モモ「一人でいっぱいできるから、杏子お姉ちゃんより大きいのかな?」

杏子「そういえば、いくつか聞いてなかったなぁ」

マミ「あっ…たしかにそうだね」

モモ「いくつなの?」

マミ「わたしは―」

杏子「えぇっ?同い年?」

マミ「ほんと?そうだったんだ!」

モモ「杏子お姉ちゃんより、マミお姉ちゃんの方がお姉ちゃんみたい」

マミ「ふふ、そっかぁ」

杏子「一緒だったんだ…年上かな?って思ってた」

マミ「だから『マミさん』って呼んでたんだね」

杏子「う、うん…」

マミ「ならもう『さん』はつけなくていいよ?」

杏子「うーん…でも、やっぱりマミさんは『マミさん』かな」

マミ「そうなの?まぁ…杏子ちゃんの好きに呼んでくれていいんだけどね」

杏子「うん、そうするよ。マミさん!」

モモ「わたしはマミお姉ちゃんだよ」

マミ「ふふ、そうだね」

杏子「ふふっ」

マミ「ねえ、ケーキは持って帰る?」

杏子「えっ?今食べないの?」

マミ「だって、さっきプリン食べたばっかりだもん」

杏子「そっか…モモ、帰ってから食べる?」

モモ「んーと…今食べたい!」

マミ「なら、ここで少し食べて、後は持って帰って食べて?」

杏子「うん、そうするよ」

マミ「じゃあ少しだけ切るね」

―――

杏子「今日はありがとう、マミさん」

モモ「えへへ、ケーキもプリンも美味しかったよ」

マミ「てへへ、ありがとう」

杏子「また遊びに来てもいい?」

マミ「うん、何時でも待ってるね」

モモ「やったね、お姉ちゃん」

杏子「うん!」

マミ「ふふっ、はいケーキ」

杏子「ありがとう、いつかお礼するよ」

マミ「お礼なんていらないよ?」

杏子「えっ?でも、もらってばっかりじゃ悪いよ」

マミ「ううん、杏子ちゃんとモモちゃんが遊びに来てくれるだけで十分なの」

杏子「マミさん…」

マミ「だから、また遊びに来てね!」

モモ「うんっ!」

杏子「…うん、また来るよ。本当にありがとう」

マミ「てへへ、待ってるね」

数日後

モモ「お姉ちゃん、早く行こうよ」タタッ

杏子「あはは、そんなに急ぐなって」

モモ「早くマミお姉ちゃんに会いたいんだもん」

杏子「でも走ると危ない…」

モモ「きゃっ?」ドンッ

「わわっ?」ドンッ

杏子「モモ!もぉ…危ないって言ったのに」

モモ「ごめんなさい…」

「あはは、いいって。それよりも大丈夫?怪我はない?」

モモ「うん、わたしは大丈夫だよ」

「そっか、よかったよかった」

杏子「妹がごめんな?」

「へーきへーき!大丈夫よ」

モモ「あっ…マミお姉ちゃんに上げるりんご汚れちゃった…」

「ん?」

杏子「モモが走ったりなんかするからだぞー」

モモ「うぅ…」

「ねえ。もしかして、マミさんの友だち?」

杏子「えっ?まぁ、そうだけど」

「あっ、やっぱりぃ?そうだと思った!」

杏子「ん?ならあんたもマミさんの?」

「うん!あたしは―」

「さやかちゃーん!先に行かないでよぉー!」

さやか「あはは。ごめんね、まどか」

まどか「あれ?この子達は?」

さやか「今知り合ったとこ、でもマミさんの友だちだってさ」

まどか「あっ!いつもマミさんが話してた?」

さやか「たぶんね!」

杏子「えーと?」

モモ「お姉ちゃんたちも、マミお姉ちゃんのお友だちなの?」

さやか「そうだよ、あたしは美樹さやか!」

まどか「わたし、鹿目まどか。よろしくね」

モモ「わたしはモモ!」

さやか「モモちゃんだね、あんたは?」

杏子「…あたしは杏子、モモの姉ちゃんだよ」

まどか「やっぱり姉妹なんだ!似てるもんね」

モモ「えへへ」

さやか「ね?今からマミさんとこ行くんでしょ?」

杏子「まあね」

さやか「そんじゃ、一緒に行こう!そうしよー!」

まどか「てぃひひ、さやかちゃん元気だね」

さやか「そりゃ友だちが2人増えたんだもん、嬉しくて元気でるじゃん」

杏子「友だち?」

さやか「だってそうでしょ?あたし達はマミさんの友だち同士なんだから」

さやか「友だちの友だち…つまり、あたし達はもう友だちなのだぁ!」

さやか「ってことでよろしく!」

杏子「…そっか。えへへ、よろしくね」

まどか「わ、わたしも…!」

モモ「わたしもー!」

マミホーム

マミ「お姉ちゃん…わたし、お友だちがいっぱいできたよ?」

マミ「杏子ちゃんとモモちゃん」

マミ「それに、さやかちゃんやまどかちゃん達だって」

マミ「わたし、もう…ひとりぼっちじゃないよ」

マミ「でも…やっぱり寂しいよ…」

マミ「早くお姉ちゃんに会いたい…」

マミ「ほむらお姉ちゃん…」

ピンポーン

マミ「!」

マミ(お姉ちゃん?それとも…)

マミ「はーい」

ガチャッ

杏子「遊びに来たよ」

モモ「マミお姉ちゃん!」

マミ「杏子ちゃん、モモちゃん!」

さやか「なんと!今日はさやかちゃんもいるのだぁー」

まどか「わ、わたしもいるよっ」

マミ「さやかちゃん、まどかちゃんも…!」

―――

マミ「そっか、来る途中に会ったんだね」

杏子「うん」

さやか「そんでもって友だちなっちゃいました!」

まどか「てぃひひ!」

モモ「てぇひひ」

まどか「あー!モモちゃん、わたしの真似しないでよぉ」

まどか「気にしてるのに…」

モモ「わわ?ごめんなさい…」

まどか「なんて。えへへ、嘘だよ?」

モモ「あっ、まどかお姉ちゃんの嘘つき!」

まどか「うぇひひ!ごめんね?」

モモ「うぃひひー!」

まどか「あっ、また真似するの?」

モモ「うん!」

まどか「ふふっ、でも似てないよ?」

モモ「えー?」

まどか「てぃひひっ!」

モモ「てぃひー!」

杏子「あはは、なにやってんのさ」

さやか「まどかもね、たぶん自分はお姉ちゃんなのに」

さやか「自分が妹キャラなのが気になってたんじゃないの?」

マミ「ふふっ、たしかにまどかちゃんは妹みたいだもんね」

まどか「わたしはお姉ちゃんだもん!」

さやか「お姉ちゃんになったのは最近じゃん」

まどか「うぅ…でもっ…」

杏子「あれ?最近兄弟ができたの?」

まどか「うんっ!タッくんが生まれたの!」

杏子「そっか、弟や妹って可愛いよな」

モモ「えへへ、お姉ちゃん…」

まどか「うん!わたしに似てスッゴく可愛いよ!」

杏子「あたしもモモと似てるよ、なっ?」

モモ「うんっ!」

マミ「…」ニコニコ

マミ(弟や妹…か、羨ましいなぁ)

マミ(でも、わたしにだってお姉ちゃんがいるもん…!)

さやか「ん?まどかぁ…然り気無く自分が可愛いと?」

まどか「えっ?あっ…」

さやか「けしからぁん!そんなやつには…こうだぁー!」

まどか「きゃっ?あははっ!やめてよさやかちゃーん!」

さやか「うりゃぁー」

杏子「あはは…」

モモ「わたしもやるー!」

まどか「えっ?ちょっと?モモちゃ…やめ…きゃっ?」

さやか「わははー」

モモ「わははー」

杏子「あははっ…」

マミ「ふふっ、みんな元気だね」

杏子「ほんとにね、調子狂うよなぁ」

マミ「…仲の良い本物の姉妹がいるのは羨ましいなぁ」

杏子「マミさん…」

マミ「わたしには…お父さんもお母さんも…」

マミ「それに…お姉ちゃんだって…」

杏子「……」

マミ「わたしも…姉妹が欲しいなぁ…」

杏子「マミさん…」

杏子(あたしに何かできないかな?)

杏子(マミさんにはいっぱいお礼しなきゃいけないのに…)

杏子「……」

マミ「……」

モモ「うりゃぁー」

まどか「きゃっ!も、もうやめ…」

さやか「これでとどめだぁー!」

まどか「てぃひひ!ちょっ…うぇひひっ!」

モモ「てぃひー!」

さやか「うぇひー!」

―――

まどか「…」プンプン

さやか「ご、ごめん…調子に乗りすぎたわ」

モモ「まどかお姉ちゃん…怒ってるの?」

まどか「気にしてるのはほんとなんだもん」ムスッ

さやか「あはは…いやぁーご、ごめん!マジで!」

モモ「お姉ちゃん…どうしよぉ?」

杏子「こら、ちゃんと謝らなきゃダメだぞ?」

モモ「まどかお姉ちゃん…ごめんなさい」

まどか「もぉ…次真似したら怒るよ?」

モモ「ごめんなさい…」

まどか「…ふふっ、うん、モモちゃんは許してあげるね」

モモ「ありがとう、まどかお姉ちゃん!」

まどか「えへへ」

さやか「あれ?さやかちゃんは?」

まどか「さやかちゃんは毎日真似するんだもん」

さやか「あー!いや、だって面白いからさぁ」

まどか「さやかちゃんのおバカ!もういいよっ!」

さやか「わわわっ?」

まどか「…」プンプン

さやか「や、やばっ…マミさん、どうしよー!」

マミ「真面目に謝らなきゃダメだよ?」

さやか「そ、そっか…」

さやか「まどか!ほんとにごめん!もう真似しないから…」

さやか「だから許して!お願いっ!」

まどか「…」

マミ「ほら、まどかちゃんも…ね?」

まどか「マミさん…うん、そうだね」

さやか「まどか…」

まどか「さやかちゃん、今度はほんとに怒るからね?」

さやか「う、うん!もう真似しないから!」

まどか「なら…許してあげる」

さやか「ほんと?やったぁ!」

まどか「もぉ…さやかちゃんったら」

マミ「ふふっ」

杏子「もしかして、慣れてる?」

マミ「うん、何時ものことだからね」

モモ「そうなんだぁ」

杏子「3人はいつからの仲なの?」

マミ「えっ?えっと…」

さやか「何年か経つよね」

まどか「うん」

杏子「そっか…」

杏子(この2人は何年も一緒に遊んでるからマミさんと仲が良いんだ)

杏子(なら…あたし達も何年もたたないともっと仲良くなれないのかな?)

杏子(もっとマミさんと仲良くなりたい…)

杏子(仲良くなって、マミさんに寂しい思いをさせないんだ!)

杏子(そのために…何をすればいいんだろう)

―――

さやか「お邪魔しましたー!」

まどか「今日も楽しかったよ」

マミ「てへへ、ありがとう。また来てね」

さやか「うん!」

まどか「うん!」

マミ「さようなら、気をつけて帰ってね」

さやか「はーい、ばいばーい!」

まどか「ばいばい!」

マミ「ばいばい」ニコ

マミ「あれ?杏子ちゃんとモモちゃんも帰らないと…」

マミ「もうすぐ日が暮れちゃうよ?」

マミ「魔法少女でも、暗いのは危ないから…」

杏子「…うん」

モモ「お姉ちゃん、帰ろうよ」

杏子「…マミさんっ!」

マミ「なあに?」

杏子「あたし…っ!」

杏子「……ううん、何でもないよ」

マミ「?」

―――

杏子ホーム

杏子「よし…!」

モモ「お姉ちゃん、あの時何を言おうとしたの?」

杏子「今その事で話してきたんだ」

モモ「お母さんと?」

杏子「うん。モモ、着替えの準備しるぞ!」

モモ「えっ?」

杏子「行くんだよ」ニッ

マミホーム

マミ「いただきます…」

マミ「もぐ…もぐ…」

マミ「……あんまり、美味しくないや」

マミ「……仲良し姉妹…かぁ」

マミ「いつお姉ちゃんが帰ってきてもいいように、2人分作ってるんだよ?」

マミ「だから、もう帰ってきてよ…」

マミ「ほむらお姉ちゃん…」

ピンポーン

マミ「!?」

マミ(こんな時間に?もしかして…!)

ガチャッ

マミ「お姉ちゃ…?」

モモ「こんばんは!」

マミ「モモ…ちゃん…?」

杏子「マミさん…!」

マミ「杏子ちゃんも…どうしたの?もう夜だよ?」

杏子「その…マミさんが良かったらなんだけどさ」

杏子「今晩、マミさんとこに泊まりたいな…って」

マミ「えっ?」

杏子「マミさんが良かったら…なんだけどさ」

マミ「杏子ちゃん…」

杏子「…ダメ?」

モモ「一緒に眠ろうよ!」

マミ「…モモちゃん」

マミ「うん、いいよ!」

杏子「!」

マミ「わたしの部屋なんかで良ければ、いくらでも泊まってって!」

マミ「大歓迎よ!」ニコッ

杏子「ありがとう…!」

―――

モモ「お風呂気持ち良かったね」

杏子「うん!」

マミ「ごめんね?3人じゃ狭かったよね?」

杏子「ううん、そんな。全然平気だって」

杏子「なっ?」

モモ「うんっ」

マミ「…そっか、ありがとう」

モモ「ご飯も美味しかったよ!」

杏子「へへっ、やっぱりマミさんはすごいよ」

マミ「…そんな」

マミ(わたしは…ただ…)

マミ(ひとりぼっちなのが寂しくて…それを紛らわすためにしてるだけだよ)

マミ(別にすごくなんて…ないもん)

杏子「後は寝るだけかな」

モモ「わぁっ!ベッドだ!」

マミ「ふふ、でも3人は流石に狭いよね」

マミ「わたしは布団で眠るから…」

モモ「3人で一緒に眠ろう?」

マミ「えっ?でも狭いよ?」

杏子「狭いのはあたしも、モモも慣れてるよ」

モモ「いっつも同じ布団で眠ってるもん」

マミ「そうなの?」

杏子「だからあたし達は大丈夫だからさ」

モモ「マミお姉ちゃんも一緒に寝よう?」

マミ「…」

杏子「まあ、マミさんが良ければなんだけどさ」

マミ「…ふふ、あはははっ」

杏子「マミさん?」

モモ「どうしたの?」

マミ「てへへ、なんだか嬉しくって」

マミ「ありがとう…わたしを慰めてくれてるんでしょ?」

モモ「?」

杏子「…バレちゃったか」

マミ「わたしが、ひとりぼっちだなんて言ったから気を使ってくれたんだよね?」

マミ「ありがとう、杏子ちゃん…!」

杏子「…えへへ」

モモ「えっと…寝ないの?」

マミ「ううん、3人で眠ろうね」

モモ「わーい!」

杏子「マミさん…」

マミ「てへへ…ほら、杏子ちゃんも入って?」

杏子「…うん!」

マミ「ふふ、やっぱり狭いね」

杏子「ああ、でも…」

モモ「あったかい!」

杏子「うん、モモの言う通りだ」

マミ「…うん!」

―――

モモ「すやすや…」

マミ「モモちゃん、眠っちゃったね」

杏子「うん…今日ははしゃいでたしね」

マミ「そっか、疲れちゃったんだ」

杏子「……」

マミ「杏子ちゃん?」

杏子「ねえ…マミさん、あたし達…マミさんに迷惑かけてない?」

マミ「えっ?」

杏子「…今日もさ、急に来ちゃったし」

杏子「いっつも、ケーキとか貰ってさ」

杏子「なのに…あたし達はマミさんに何もできなくて…」

杏子「だから…あたし…」

マミ「杏子ちゃん」ギュッ

杏子「マミさん…」

マミ「わたしね?杏子ちゃんとモモちゃんにたくさん貰ったよ?」

杏子「え?何を…?」

マミ「元気…かな?」

杏子「元気?」

マミ「うん、2人と一緒にいるとね?まるでわたしも姉妹みたいだなって」

マミ「そう思うことがあるの」

杏子「マミさんが姉妹…」

マミ「うん、わたしが次女で杏子ちゃんが三女」

マミ「そしてモモちゃんが末っ子なの」

マミ「本当にそうだったら、すごく楽しそうじゃない?」

杏子「…うん、そうだね」

杏子「でも、なんでマミさんが次女なの?」

マミ「それはね?わたしにもお姉ちゃんがいるから」

杏子「あっ…」

マミ「…ほむらお姉ちゃん」

杏子「…ねえ、そのほむらお姉ちゃんって……」

マミ「ほむらお姉ちゃんはね?未来からわたしに会いに来たお姉ちゃんなんだよ」

杏子「えっ?未来から?」

マミ「ほむらお姉ちゃんも魔法少女だからね」

杏子「…!」

マミ「…そして、未来に帰っちゃったの」

杏子「マミさん…」

マミ「でも、わたし…ずっと待ってるの」

マミ「お姉ちゃんが帰ってくるのを、ずっと、ずっと…!」

杏子「そっか…」

マミ「だからほむらお姉ちゃんが帰ってきたらね?」

マミ「杏子ちゃんとモモちゃんみたいに仲良しな姉妹になりたいの」

杏子「仲良し姉妹」

マミ「うんっ!」

杏子「……」

杏子(そんなに、ほむらって人はマミさんにとってかけがえない人なんだ)

杏子(あたしやモモが、その人の代わりになんてなれるわけない…のかな?)

杏子(でも…!)

杏子「ねえ、マミさん」

マミ「なあに?」

杏子「その…あたしたんかが代わりになれるわけない…」

杏子「それはわかってる!でも…それでも!」

マミ「杏子ちゃん…?」

杏子「マミさんっ!あたしさ!」

マミ「う、うん」

杏子「あたし…っ…!」

モモ「なろうよ」

杏子「えっ?」

マミ「!」

モモ「仲良し姉妹に」ニコッ

マミ「モモちゃん…?」

杏子「起きて…?」

モモ「えへへ、途中から起きてたの」

モモ「それでね?マミお姉ちゃんのお話を聞いて思ったんだ」

モモ「わたしと杏子お姉ちゃんも、マミお姉ちゃんの仲良し姉妹になりたいって」

マミ「…!」

杏子「モモ…!」

モモ「えへへ」

杏子「…うん、あたしも同じことが言いたかったんだ」

杏子「さっきマミさんが言ったような、仲良しな姉妹になりたいって」

杏子「あたし達とマミさんは血が繋がってないから…

杏子「本物の姉妹にはなれないよ?でもっ…本物じゃなくても」

杏子「本物の姉妹みたいに仲良くはなれると思うんだ」

マミ「杏子ちゃん…」

杏子「マミさん!だからさ!」

モモ「なろうよ!仲良し姉妹に!」

マミ「杏子ちゃん…モモちゃん…」

マミ「うぅっ…」

杏子「ま、マミさん?」

モモ「どうしたの?大丈夫?」

マミ「うん…大丈夫…大丈夫だよ」

マミ「嬉しくって…」ニコッ

杏子「マミさん…!」

マミ「ありがとう!」

杏子「なら…」

マミ「うん、わたしなんかで良かったら…本物のお姉ちゃんみたいに」

マミ「わたしをお姉ちゃんだと思って!そして…」

マミ「仲良くしてくれたら…すごく…すっごく!」

マミ「嬉しいの!」

杏子「マミさん…!」

モモ「マミお姉ちゃん!」

マミ「てへへ、嬉しいなぁ…」

杏子「マミさん!ならさ!明日からも泊まりに来てもいい?」

マミ「いいよ」

モモ「毎日一緒にお菓子作ってくれる?」

マミ「いいよ」

マミ「これからも一緒に眠ってくれる?」

杏子「うん!」

マミ「一緒にお御風呂に入ってくれる?」

モモ「うん!」

杏子「だからさ、よろしくね?マミさん!」

マミ「杏子ちゃん…!」

モモ「マミお姉ちゃんも、杏子お姉ちゃんも大好きだよっ!」

マミ「モモちゃん…!」

マミ「うんっ!よろしくね!」

杏子「えへへっ!」

マミ「てへへっ!」

モモ「てぇひひ!」

マミ「あっ、まどかちゃんに怒られるよ?」

杏子「あたしら仲良し姉妹の内緒だね」

モモ「うんっ!」

マミ「ふふっ」

―――

杏子「あの日からずっと3人で仲良くしてきたんだよな」

マミ「ええ。それに、まどかちゃんやさやかちゃんとも、ずっと仲良くしてこられたもんね」

杏子「へへっ。さやかのやつ、あの頃から何も変わってないよな?」

マミ「ふふっ、そうね」

杏子「まどかは…少しはお姉ちゃんらしくなったか?」

マミ「うーん…ふふ、どうだろうね?

マミ「まどかちゃんはまどかちゃんよ」

杏子「それもそうだな」

マミ「でも、杏子ちゃんは少しは変わったわよ?」

杏子「…やっぱり?」

マミ「ええ、あの出来事があってから…ね」

杏子「…ああ、あれは……」

杏子「…親父に、魔法少女のことがバレてさ」

マミ「…」

杏子「ほんと…終わったと思ったぜ」

杏子「親父はおかしくなっちまうし、あたしなんてさ」

杏子「…魔女呼ばわりだもんな」

杏子「あの時は…正直、何もかもが終わったって思った」

杏子「あたしが…あたしの祈りが家族を壊しちまったんだってさ」

マミ「…」

杏子「たぶん、あたし一人だったらさ…自分のしてきたこと全部が間違いだったって」

杏子「そう思って塞ぎ込んじまったんじゃないかな」

杏子「でも、あたしは一人じゃなかった」

杏子「モモが、さやかが、まどかがいてくれた」

杏子「そして…マミがいてくれたんだ」

マミ「杏子ちゃん…!」

杏子「さやかとまどかは魔法少女のこと理解してくれてたからさ、あたしを励ましてくれたし」

杏子「モモも必死であたしを庇って親父に言ってくれたよ」

杏子「…そして、マミがあたしを受け止めてくれた」

マミ「…うん」

杏子「一緒に泣いてくれた、一緒に説明してくれた」

杏子「一緒に笑ってくれた」

マミ「…」

杏子「マミは…本物の姉ちゃんだった」

杏子「だからあたしは立ち直れたんだ」

杏子「それに親父も…何とか落ち着いてさ」

杏子「また一からやり直してくれるようになったんだ」

杏子「全部、マミのおかげだよ」

マミ「ううん、そんな…みんなが頑張ったからだよ」

モモ「そうだよ!」

杏子「モモ?」

モモ「2人が話し込んでたから、勝手にお邪魔しちゃった」

マミ「モモちゃん、いらっしゃい」

モモ「えへへ。マミさん、お邪魔してます」

モモ「まどかちゃんとさやかちゃんと遊んでたら遅くなっちゃった」

杏子「モモ…聞いてたのか」

モモ「…うん」

モモ「みんなが頑張ったから、お父さんはまた笑ってくれるようになったんだよ?」

マミ「そうね、私だけじゃきっと…」

モモ「それに、一番頑張ったのは杏子お姉ちゃんだよ」

杏子「え…」

モモ「お姉ちゃんが諦めなかったから、お父さんも解ってくれたんだもん」

マミ「うん、モモちゃんの言う通りよ」

マミ「杏子ちゃんがあの時頑張ったから、今もこうしていられるの」

杏子「マミ…モモ…」

マミ「だからもう大丈夫よ」

モモ「気にするのはやめよう?」

杏子「…うん、そうだな」

杏子「今も、あたし達はこうして一緒にいられるんだ」

杏子「これが一番の幸せかもな」

モモ「うん!」

マミ「ふふっ、それじゃあケーキの用意をしてくるわね」

モモ「あっ、わたしがするよ!」

マミ「そう?」

モモ「だって、マミさんすぐ落っことしちゃうんだもん」

杏子「へへっ、たしかに」

マミ「むぅ…もう大丈夫なのに…」

モモ「えへへ、2人はここで待っててね!」タタッ

マミ「…ふふっ、モモちゃんも変わったね」

杏子「ああ、下手すりゃあたしよりしっかりしてるかもな」

マミ「ただ…2人とも『マミお姉ちゃん』って呼んでくれなくなったのは」

マミ「少し寂しいかも…ふふっ」

杏子「あたしはマミお姉ちゃんなんて言ってないぞ?」

マミ「そうだけど…でも、杏子ちゃんの『マミさん』って」

マミ「なんだか『マミお姉ちゃん』って呼ばれてるような気がしたの」

杏子「ふーん?そっかぁ」

モモ「わたしは…ちょっと照れちゃって」

マミ「寂しいなぁー…」

モモ「でも『お姉ちゃん』って言わなくても、わたし達は本物の姉妹みたいに仲良しだよ?」

杏子「ああ、そうだな!あたしらは仲良し姉妹だ!」

モモ「うん!そうだよ!」

杏子「まぁ『さん』は…やっぱ同い年だから言いにくいしさ」

杏子「呼び捨ての方がなんか良いじゃん」

マミ「ふふっ、それもそうね」


マミ「うん、私達は仲良し姉妹よ!」

杏子「へへっ」

モモ「えへへ」

マミ「うふふっ」

杏子「それじゃ今日は帰るよ、教会の掃除しなきゃいけないしさ」

モモ「最近また人が増えてきたもんね」

マミ「そう、気をつけて帰ってね」

杏子「ああ、また明日も来るからさ」

モモ「明日はわたしとお菓子作ろうね!」

マミ「ふふっ、楽しみに待ってるわね」

杏子「じゃあなー!」

モモ「ばいばーい!」

マミ「また明日ね!」

マミ「…うふふっ」

マミ「うん、私はもうひとりぼっちじゃないんだものね」

マミ「仲良し姉妹…!」クスッ

マミ「ほんとに、あの2人にはいつも助けてもらってばっかりね」


マミ「…ほむらお姉ちゃん、私はもう大丈夫だよ」

マミ「何時でも待ってるからね?」

マミ「…ふふ、さーて!お夕飯の支度をしなくっちゃ」

マミ「買い出しにいかなきゃね」

マミ「いってきます」

モモ「お姉ちゃん」

杏子「んー?」

モモ「わたしね?なんだか良いことが起こりそうな気がするんだ」

杏子「へぇ?何か根拠あんの?」

モモ「ううん、何となくなんだけどね?」

モモ「凄く良いことが起こりそうな気がするの」

杏子「あはは、そっ―」

杏子「!?」

「…」ファサッ

モモ「あれ?どうしたの?」

杏子(今の人って…まさか?)

杏子「…!」

モモ「お姉ちゃん?」

杏子(そっか…やっと…!)

杏子「ああ、モモの言う通りだぜ」

モモ「えっ?何が?」

杏子「凄く良いこと、ってやつだよ」ニッ

モモ「えー?何かあったの?なになに?」

杏子「てぃひひ、内緒だよっ!」

モモ「あー!まどかちゃんの真似してるー!」

杏子「へへっ、とにかく今は秘密ってことさ」

モモ「お姉ちゃんのけちー!」

杏子(だって…あたしらが先にあっちゃ悪いもんな?)

杏子(なあ、マミ…!)

マミ「うん、これでよし…っと」

マミ「さて、早く準備…」

マミ「!?」

「―」

マミ「う…そ…?」

「マミちゃん…」

「…でも、この時間軸の巴マミがマミちゃんである確率は低い…わよね?」

「そうだったとしても、私はもう彼女と敵対したくない…」

「できれば仲間でいてほしい」

「また、お友だちって言ってほしい」

「だから…」

マミ「あ…あぁっ…!」

マミ(間違いない!間違いないよ!)

マミ(だって忘れるわけないもん)

マミ(私の大切な…!)

ポスッ

「?」

マミ「……!」

「!」

マミ(大好きなお姉ちゃん)

マミ(ほむらお姉ちゃん!)

翌日

モモ「ねー!そろそろ教えてくれてもいいでしょ?」

杏子「ああ、だから今から会いに行くんじゃん」

モモ「え?会いに行く?」

杏子「うん、未来の仲良し姉妹にな」ニッ

モモ「えっ?」

モモ「えぇっ?ほ、ほんと?ほんとなの?」

杏子「嘘じゃないぜ」

モモ「じゃ、じゃあ…凄く良いことって…」

杏子「うん、ほむらお姉ちゃんさ」

ピンポーン

マミ「はーい!」

ガチャッ

杏子「よっ」

モモ「こんにちは!」

マミ「杏子ちゃん!モモちゃん!良いところに来たわね!」ニコニコ

杏子「へへっ、上機嫌だな」

モモ「そうだね」

マミ「ほらっ?早く上がって?」

杏子「ああ」

モモ「おじゃましまーす!」

マミ「うふふっ」ニコニコ

ほむら「…!」

ほむら(佐倉杏子!それから…?)

モモ「わぁ!写真と一緒だぁー!」

杏子「あはは、そりゃ本人だからに決まってんじゃん」

杏子(この人がほむらお姉ちゃん…)

杏子(マミの大好きなお姉ちゃんで)

杏子(そして…!)

マミ「私から紹介するね?」

マミ「彼女は暁美ほむら」

マミ「私の大好きなお姉ちゃんのほむらお姉ちゃんよ!」

ほむら「マミちゃん…ふふっ」

マミ「そして彼女が佐倉杏子」

マミ「私の大好きな妹よ!」

杏子「同い年だけど…ま、いっか」ニッ

マミ「そしてこの子がモモちゃん」

マミ「私の大好きな末っ子よ!」

モモ「ほむらお姉ちゃん、よろしくね!」

ほむら「うん、よろしくね」ニコッ

モモ「えへへ」

ほむら(そう…杏子の妹さんね)

ほむら(いえ…杏子の妹と言うよりも…)

ほむら(私達の妹…ね!)

ほむら「ふふっ」クスッ

杏子(暁美ほむら…)

杏子(マミの大好きなお姉ちゃんで…)

杏子(そして、あたし達のお姉ちゃん…か!)

杏子「へへっ!」

マミ「ここにいるみんなが、私の…ううん、私達の」

マミ「仲良し姉妹よ!」ニコッ

杏子「ってこと、よろしくね」スッ

ほむら「ええ、私こそ。よろしく」ギュッ

モモ「わたしも!」ギュッ

マミ「私だって!」ギュッ

モモ「えへへ!」

ほむら「ふふっ!」

マミ「うふふっ!」

杏子(こうして、あたし達4人姉妹)

杏子(歳も血も違うけど、でも…すっごい)

杏子(仲良し姉妹と)

杏子(そして、あたし達の親友2人の)

杏子(6人の新しくて、そしてすっごく楽しい生活が始まったんだ)

杏子(奇跡も…魔法もあるんだよ)

杏子(それも最高の…な!)

杏子「てぃひひ!」

おわり

念のため

このSSは

マミ「大好きなお姉ちゃん」
マミ「大好きなお姉ちゃん」 - SSまとめ速報
(http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335088963/)

のサイドストーリーです

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom