女「別にハゲでも気にしないよ?帽子取りなよ」 (48)

女「男君って、いっつも帽子被ってるよね?」

男「……うん」

女「しょうがない事かもしれないけどさぁ~?」

男「……ゴメン」

女「別に怒ってるわけじゃないんだよ?」

男「……ごめん」

女「だから~、そういう事じゃないの!折角一緒にご飯食べにきてるんだからさぁ~?」

男「……うん」

女「……帽子ぐらい取りなよ?」

女「……帽子ぐらい取りなよ?」

男「……わかった」








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男「」ヌギヌギ

女「うん、それでいいの。それじゃあ、ご飯食べよっか?」

男「……うぅ」

女「……どうしたの?」

男「や、やっぱり帽子被る!」

女「ダメっ!」サッ

男「……うぅ」

女「ご飯食べる時は帽子被っちゃダメっ!男君、下品だよ!」

男「だって……だって……」

女「……何よ」

男「……折角さぁ、こんなお洒落なお店に来たのにさ」

女「そうね、このお店雰囲気いいね」

男「……僕みたいなハゲと一緒だったらさ?」

女「ハゲじゃないじゃない。ちょっと薄いだけよ」

男「こんな髪の毛の薄い男と一緒だったらさ……?女ちゃん、恥ずかしいじゃん……?」

女「あのさぁ……?」

男「……帽子返してよ」

女「ハゲはお洒落なお店に行っちゃいけないの?」

男「……えっ?」

女「男君の理屈、わけわかんない。じゃあ、ハゲはどんな店でご飯食べたらいいの?」

男「それは……」

女「居酒屋?」

男「うん……そういう所とか……」

女「じゃあ、居酒屋でいいわよ。今から行きましょうよ」

男「いや……でも、まだ前菜しか食べてないし……?」

女「ハゲはお洒落なお店にいちゃいけないんでしょ?」

男「……えっ?」

女「ハゲは居酒屋じゃないとご飯食べちゃいけないんでしょ?」

男「……そんな事は」

女「ハゲは前菜しか食べちゃいけないの?男君、ここのお肉美味しいとか行ってなかった?」

男「……うん」

女「私は美味しいお肉が食べたくてここに来たの。食事が不味くなるような事、今更言わないでよ」

男「……ごめん」

女「……」

男「うん、僕が間違ってたよ?ここのお肉美味しいからさ、一緒に食べよう?」

女「うん」

男「ごめんね?」

女「……はぁ」

男「……ん、どうしたの?」

女「……男君って、どうしてそうやってすぐに謝っちゃうのかなぁ?」

男「……えっ?」

女「私、そういうネガティブな男の人って、嫌いだなぁ~?」

男「……それは」

女「……どうせ、それも髪の毛が薄い所からきてるんでしょ?」

男「……えっ?」

女「髪の毛が薄いから、自信がなくなって……段々ネガティブになって……」

男「……ごめん」

女「ほら、また。私、そういう男の人って、嫌いだなぁ~」

女「……ねぇ?」

男「……はい」

女「今日、どうして私を誘ったの?」

男「えっ?それは……その……」

女「わざわざこんなお店に誘ってくれるなんて……男君、何か私に言いたい事あるんじゃないの……?」

男「あっ……それは……」

女「……言ってよ」

男「その……あのっ……ご、ごめん……」

女「……はぁ」

女「あのね……?」

男「えっ?」

女「実は私、Aカップなの」

男「えっ?何言ってるの……?」

女「パット入れてるけどね、実は私Aカップなの。おっぱい小さいの」

男「……」

女「男君って巨乳好きなんでしょ?よく、同期の人とそういう話してるよね?」

男「い、いや……!それは……!」

女「私の事、嫌いになった?パット入れて騙してるような女は嫌?」

男「い、いえっ……!そ、そんな事……ありませんっ……!」

女「コンプレックスなんて、そんな物だよ?」

男「……うん」

女「自分では気にしている事でも、他の人から見たら、くだらない事だったりするの」

男「……うん」

女「男君は……確かに髪の毛は薄いよ……?」

男「……ごめん」

女「でも男君にはもっといい部分があるじゃない?私は男君の素敵な部分、沢山知ってるよ?」

男「あ、ありがとう……」

女「ねっ……?だから、こんな高いお店に……私を誘ってくれた理由……ちゃんと、聞かせて下さい」

男「あ、あのっ……!」

女「うん」

男「女さんっ……!」

女「うん」

男「こんな髪の毛の薄い僕ですが……!」

女「……私は気にしないよ?」

男「お、おまけに……ワキガ持ちの僕ですがっ……!」

女「えっ」

男「こんな僕でもよろしければ、付き合って下さいっ!」

女「……男君ってワキガなの?」

男「はいっ!」

女「……」

男「ん……?どうしたの……?」

女「無理無理無理無理無理無理無理無理」

男「えっ」

女「やだ、臭いキモい臭いキモい近づかないで」

男「えっ?」

女「さっきから、なぁ~んか臭いと思ってたら、男君だったんだ?臭い臭い臭い」

女「あのね……?百方譲ってハゲは我慢するよ?」

男「が、我慢……!?」

女「うん、男君お金持ってるから」

男「お、お金……!?」

女「でもハゲとワキガの二重苦は無理。絶対、無理。無理無理無理」

男「……」

女「あっ……!やっぱり、ハゲだけでも無理かな?」

男「はぁ!?」

女「うん、私、お金に釣られて、自分を見失なってた。やっぱ、ハゲは無理だわ」

男「!」

女「あのさぁ……?男君……?」

男「……は、はい」

女「……悪いんだけど、今から居酒屋行ってくれない?」

男「えっ?」

女「理由は言わなくてもわかるよね?」

男「……はい」

女「やっぱり、折角来たんだから、美味しくご飯食べたいもん」

男「……」

居酒屋ーー


男「さよなら~♪さよなら~♪さよなら~♪」

ギャル「おいっ!ハゲが一丁前にオフコースなんか歌ってるんじゃねぇよ!」

男「あ、すいません……」

ギャル「ハゲはハゲらしく、隅っこの方でチビチビ飲んでろよ!飯が不味くなるわっ!」

男「えへへ……す、すんません……」

ギャル「ハゲが笑うなっ!気持ち悪ぃんだよっ!」

男「……す、すいません」


男「……」チビチビ

男「……女って糞だわ」


おしまい

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