春香「菊花戦争」 (63)

春香(一致団結。なんて素晴らしい言葉だろう)

春香(手と手を取り合い、未来へと進む言葉)

春香(私たち765プロを表す言葉として、これ以上のものはないと思っていた)

春香(……そう、思って、いた)


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春香(今の私たちは、真っ二つだ)

春香(きっかけは、ほんの些細なことだった)

春香(とてもありふれた意見の相違)

春香(いつもなら笑って流せるような、軽口の応酬)

春香(でも、この日は違ったんだ)

春香(ゆずれないことだから……プロデューサーさんのことだから、みんなは一歩も引かなかった)

春香(私もそうだった)

春香(止めるつもりが、つい熱くなって、気づけば渦中で声を張り上げていた)

真「伊織は何も分かってない!」

春香(ああ、また怒声が事務所に響く)

伊織「なによ! 私の言ってることが間違ってるって言うの!?」

春香(刺々しい音が、何度も行き交う)

美希「でこちゃんの言ってることは間違いだらけなの!」

亜美「そうだそうだー!」

あずさ「あらー……でも、私は伊織ちゃんに賛成よ?」

響「自分もだぞ! 伊織は正しいことを言ってるさー!」

雪歩「真ちゃん。真ちゃんこそ、分かって。プロデューサーは絶対……」

美希「違うの! ハニーは絶対、美希が考えてる通りの人なの!」

春香(言い争いは、なおも続く)

春香(喧々諤々。両者一歩も譲らず)

春香(仕方がない、とは思う)

春香(だって、プロデューサーさんのことだ)

春香(好きな人のことは、絶対に譲れない)

春香(それも……)

千早「美希。私は、プロデューサーの肛門はキツキツだと思うわ」

春香「それは違うよ、千早ちゃん! プロデューサーさんは、絶対ゆるふわだって!」

春香(後ろの穴の話ともなれば、妥協するわけにはいかない)

律子「あり得ないわ。身持ちの固いプロデューサー殿は、菊門も固く閉ざされているに決まっています」

貴音「しかし、律子嬢。あの方の包容力、器の広さは、アナ○の伸縮性なしには語れません」

春香「そうですよ! プロデューサーさんは、見た目通り、優しいア○ルの持ち主です!」

真「ボクの腕ぐらいなら、どんと受け入れてくれそうだよね」

美希「夢がある話なの」

伊織「象じゃないんだから、フィストなんてできるわけないでしょ。あんたたち、現実的に考えなさいよ」

亜美「だよねー。兄ちゃんは男なんだから、腕どころか、鉛筆程度でも括約筋でバキッといくと思うよ」

あずさ「私もそう思うの。プロデューサーさんの後ろの穴は、処女の唇みたいにきゅって締まってるって」

響「誰にでも穴を開くようなアナ○は変態ア○ルなんだぞ!」

雪歩「そうです、そうです!」

美希「むっ、聞き捨てならないの!」

ちなみに

○ゆるふわ派
春香、真、美希、貴音、真美

○キツキツ派
伊織、あずさ、律子、千早、響、亜美、雪歩

○???
やよい、小鳥

美希「考えてみるの! クッションみたいに受け止めてくれるハニーのお尻を……その中心が硬かったら、全部台無しなの!」

春香「そうだよ、美希の言う通り! プロデューサーさんのケツ○ナは、ゆるふわですよ、ゆるふわ!」

貴音「柔よく剛を制す、ですよ。柔らかければ柔らかいほどよいのです」

真美「んっふふ~。ま、お子ちゃまな亜美には分かるはずないよね~」

亜美「真美こそ、柔らかいものしか駄目だなんて、赤ちゃんみたいだよね~」

律子「固く閉ざされた門ほど、安心感があるわ」

あずさ「そうね、ゆるふわ菊門だと、寄りかかっていいかも迷っちゃうわ」

千早「ゆるふわって、言い換えるとガバガバってことよね」

伊織「やだ、はしたない。それじゃゆるふわじゃなくて、ゆるゆるじゃない」

真「っ! 言ったな! 取り消せ!」

伊織「何よ! 要するにそういうことでしょ!」

雪歩「プロデューサーはキツキツケツマ○コ! ゆるふわなんてビッチなだけですぅ!」

春香「違うよ! プロデューサーは絶対ゆるふわア○スだよ!」

響「うがー! ゆるふわ好きは全員変態だぞ! ビッチ大好きな変態さー!」

美希「処女厨にはもううんざりなの! 硬い穴が好きなら、一日中ネジ穴でも弄ってるの!」

律子「ゆるふわ派は目を覚ましなさい! ケツ○ナは閉じているのが正常なのよ!?」

真「だから、違うって言ってるでしょー!?」

春香(一生続くかに思われた、プロデューサーさんのア○ル議論)

春香(しかし、混迷極まる765プロに、一人の女神が舞い降りたのです)

小鳥「ふふふ……みんな、落ち着いて」

アイドルたち「小鳥さん!」

真「聞いてくださいよ、小鳥さん! 伊織たちったら、プロデューサーのケ○マンのことをキツキツアヌ○だって……」

伊織「何よ!? あんただって、あいつの穴はゆるふわだってバカみたいなこと言ってたでしょ!?」

真「絶対、ゆるふわだよ! 間違いない!」

伊織「根拠は何よ、根拠は! だいたいあんたたちゆるふわ派はねえ」

小鳥「はいはい、ストーップ」

真「小鳥さん」

小鳥「いいから、お口にチャック」

伊織「……はーい」

小鳥「みんな、飽きもせずに同じ話をずーっと続けてるけど……大事なことを忘れてないかしら?」

真美「大事な、こと?」

亜美「ピヨちゃん、それってなあに?」

小鳥「うふふ、とっても簡単なことよ……『事実確認』」

春香「っ!?」

千早「それ、は……!」

貴音「小鳥嬢。あなたは、聖域を暴こうというのですか」

律子「だ、駄目ですよ! そもそも、プロデューサー殿に何て言えばいいのか……」

あずさ「そういうのは、結婚してからだと思うんですけど」

響「そっ、そうだぞ! 穴を見せ合うのは、結婚してから……」

小鳥「こっそり見ちゃえばいいのよ」

アイドルたち「っ!?」

春香(それは、悪魔の誘いだった)

小鳥「昨日、事務所のトイレに仕かけていたカメラを回収したわ」

春香(うら若き乙女たちの心をくすぐる、魔の誘惑)

小鳥「プロデューサーさんは深夜の戸締り前に、事務所のトイレで脱糞して帰るの」

春香(みんな、罪悪感を顔に浮かべていた)

小鳥「その一部始終が、ここに収まっている」

春香(でも、みんな、頬を赤く染めていた)

小鳥「これを見れば……全てが明らかになるわ」

春香(見たいんだ、みんなも。そして、私も)

小鳥「見るわよね? 見たいわよね? プロデューサーさんの……ケツ○ナ」

春香(誰も、首を横には振らなかった)

美希「暗いの……あっ、電気が点いたの!」

律子「スーツのズボンが映って……あっ、ベルトに手をかけたわ」

貴音「脱ぐ――いえ、ゆったりと動いていますね」

千早「動きに余裕を感じます」

亜美「この焦らし加減。なんていうか……」

真美「エロい、ね」

響「な、何だか心臓がドキドキうるさいぞ」

あずさ「きゃっ!? 黒くて、ツヤツヤしたトランクスが」

真「じゃ、じゃあ、次は……」

伊織「そう、ね。次は」

小鳥「待望の」

春香「お尻、そして、肛門……!」

春香(プロデューサーさんが、くるりと振り返った時、『来る』と思いました)

春香(決定的な瞬間が)

春香(真実が舞い降りてくる刹那の時が)

春香(とある論争に決着をつける一つの証明が、私たちの眼前に現れるのです)

春香(便座への着陸。一瞬の暗転)

春香(祈るように目を閉じて――)

春香(私は、まぶたを開けました)

千早「そ、そんな……!」

律子「こんなことが……!」

あずさ「――」

響「うそだ。うそだぞ、こんなの」

雪歩「プロデューサー、さん」

亜美「兄ちゃん」

春香(聞こえたのは、キツキツ派の静かな驚き)

真「へへっ、やーりぃ♪」

真美「ふむふむ、これは見事なドテケツマ○コですなあ」

貴音「まこと、見事な菊門です」

美希「ポンデリングみたいなの!」

春香(目に見えたのは、ゆるふわ派の喜びの舞)

春香(そうです。プロデューサーさんのケツマ○は、見るからにゆるふわだったのです!)

春香(それも、曖昧な判定すら許さないほどのゆるふわケツマ○コ)

春香(プロデューサーさんは、やっぱり、優しく、包容力のあるプロデューサーさんだったんです)

春香(私たちを――ううん、どんなものでも受け入れてくれる器)

春香(プロデューサーさんは、プロデューサーさんだったんです!)

ゆるふわ派「やったあ!」

千早「プロデューサー……信じていたのに」

律子「嘘よ、こんなこと。嘘に決まっているわ」

あずさ「プロデューサーさんは、私の運命の人ではなかったの……?」

春香(キツキツ派の呆然自失とした姿を肴に、私たちはテレビモニターに映された菊花を観賞しました)

春香(来たるべき開花に身じろいで、でも、どっしりと構えるプロデューサーさんのア○ス)

春香(それは、私たちゆるふわ派の勝利の象徴として、誇らしく映っていました)

春香(――次の、瞬間までは)

真「えっ!?」

美希「――ウソなのっ!」

真美「ちょ、ちょっと待ってよー!」

春香(菊花が紅色に染まった)

春香(排泄物に押し広げられ、大輪の花を咲かせた菊花は――)

春香(端が裂け、驚くほどの出血を見せた)

貴音「あなたさま……あなたさま……」ポロポロ

春香(勘のいい貴音さんはいち早く真実を悟り、一人、涙を零していた)

伊織「ふん、やっぱりね」

春香(伊織は不敵に笑い、動揺するゆるふわ派を一瞥した)

響「自分は完璧だからな! こうなるって分かってたぞ!」

春香(響ちゃんは誇らしげに胸を張る)

亜美「残念でしたー!」ケラケラ

春香(亜美は異常なテンションで、愚かな私たちを嘲笑う)

春香(悔しい……悔しくてたまらない)

春香(栄光の座からの転落は、敗北の味を余計に苦く、辛くした)

あずさ「プロデューサーさん……」

律子「プロデューサー殿」

春香(キツキツ派の面々は、うっとりとした表情でプロデューサーさんの切れ痔を見ていた)

春香(処女信仰にも似た妄執に囚われている彼女らにとって、己が排泄物にも耐えられないケツア○は、まさしく垂涎ものだろう)

春香(これで、彼女らの中の迷いは消え去った)

春香(あのキツアナを守るためならば、彼女らは身を挺することも厭わないだろう)

春香(私たちの敗北だ)

千早「プロデューサー!」

亜美「プロデューサー!」

雪歩「プロデューサー!」

律子「プロデューサー!」

春香(鳴り響くアンコール。止まらない喝采)

春香(声援に応えるかのように、映像の中のプロデューサーさんは振り返り、)

春香(満足げに、便器に浮かぶ己が産物をのぞき込んだ)

春香(……………………)

春香(………………社長?)

雪歩「ひっ!? い、いやああああっ!?」

春香(雪歩が悲鳴を上げた)

千早「おろろろろろろろ」トシャー

春香(千早ちゃんがいきなり吐いた)

響「うぎゃー!? 社長が、社長が何で!?」

律子「小鳥さん!!」

小鳥「ぴよー!?」

春香(響ちゃんが叫び、律子さんが怒声を上げ、小鳥さんは戸惑い、鳴いた)

真「プロデューサーじゃない、なんて」

美希「いや……いやなの……!」フルフル

貴音「あなたさま。私、汚れてしまいました」

春香(私たちが、愛する人のア○スだと思って観ていたものは……中年男の、小汚いケツ○ナだったのだ)

春香(キツキツ派だけじゃない。ゆるふわ派陣営も、等しく壊滅していた)

社長『うーん、我ながら見事な一本糞だ!』

律子「何で録音装置までつけているんですかーっ!」

小鳥「さっきまでみんな喜んで――ぴよーっ!?」

真「うああああああああああっ!」

伊織「いやああああああああっ!」

真美「ゆきぴょんが白目むいて倒れたーっ!?」

春香「何で、こんなことに……」

春香(何で、こんなことに)

春香(何でこんなことになったのだろう)

春香(悪魔の誘いに乗ったのがいけなかったのか)

春香(過ぎた好奇心は例外なく身を滅ぼすのか)

春香(分からない……私には何も分からない)

春香「プロデューサーさん……」

春香「貴方の顔が、見たい――」

おしまい

今さらだけど、Pのケツ○ナ談義とか、誰得だったんだろう……

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