阿笠「できたぞ新一!全自動光彦潰し機の起動スイッチじゃ!」 (52)

阿笠「影響下にあるあらゆる機械が光彦君の命を狙うぞい!」

コナン「サンキュ博士!」

阿笠「クレグレモ悪用スルンジャナイゾー」

歩美「コナンくんおそーい!」

灰原「あなたが待ち合わせに遅刻なんて珍しいわね」

コナン「わりいわりい」ポチットナ

光彦「それじゃみんなで学校n



次の瞬間、少年探偵団が目にしたものは



大型トラックにひき肉にされた光彦の姿だった

歩美「あぶなーい!もう少しでお洋服汚れるところだったよ」

コナン「ごめん、実はこのスイッチのせいなんだ」

灰原「ああ、博士が言っていた装置がついに完成したのね」

元太「おーい!みんなー!!」

歩美「ほらー!ぐずぐずしてたから元太くんきちゃったじゃない!」

光彦「どうしましょう、服もランドセルもバラバラです……」

元太「すげー!ミンチになった光彦がもうあつまってるぜ!」

コナン「先生に理由を話して正直に謝るしかないな」

灰原「そんなことより、そろそろ急がないと遅刻よ?」


こうして俺たちは、再生を続ける赤黒いソバカススライムとともに学校へ急ぐのであった

小林先生「光彦君、事故には気を付けないとダメよ」

光彦「ごめんなさい先生……」

コナン「せんせー、でも悪いのは運転手さんのほうじゃないのー?」

小林先生「そうね……光彦君もいちおう被害者だものね」

小林先生「もういいわ、席につきなさい」

光彦「コナンくん、庇ってくれてたすかりました」

コナン「いいってことよ、俺たち仲間だろ?」ポチットナ



次の瞬間


電動鉛筆削り器が光彦の指目掛けて飛んできた

光彦「な、なんですかこれは!?」ガリガリガリガリガリガリ


コナン「大丈夫か光彦ぉぉぉおおおおおっ!!!?」ポチットナ



次の瞬間


電動鉛筆削り器が剥き出しの光彦の股間に齧りついた



光彦「うわぁぁぁああああああああああ!!?」ビチャビチャビチャビチャ

小林先生「光彦君、いいかげんにしなさい!!」

コナン「せんせー、ぼく光彦くんを保健室につれていくね!」

コナン「光彦だいじょうぶか? 立てるか?」

光彦「え、ええ……」

――保健室――


コナン「おまえはここでしばらく休んでろ」

光彦「今日は朝から災難でした」

コナン「それじゃ俺は教室に戻るからな」



コナン「……さてと、もう1回このボタンを」

阿笠「わしじゃよ」

コナン「うわあああああああああああああああああああああああっ!!???」ポチットナ

コナン「って博士かよ!ビックリさせんな!!」

阿笠「まあまあ、落ち着かんか新一」

阿笠「実はな、新しいスイッチを持ってきたんじゃ」

コナン「なんだと!?」

阿笠「機能自体は変わらないのじゃが」

阿笠「ボタンを押しっぱなしにすると連打状態になる機能と」

阿笠「その状態でボタンをロックできる機能を追加したんじゃ」

コナン「なるほど」ポチットナ


次の瞬間、背後から爆音が轟いた


保健室からは煙が立ち込め、様々な金属が擦れ合う音と光彦の悲鳴がこだましていた


コナン「さーて、教室に戻るか」

阿笠「ワシも哀くんのブルマとスク水の回収が終わったから帰るぞい」

――翌日――

光彦「みなさんおはようですー」

コナン「光彦、その顔のペイントみたいなのはなんだ?」

光彦「ああ、これは昨日からやたらと機械に巻き込まれるせいで」

光彦「再生時に取り込んでしまった金属粒子が、表面に浮かび上がってるんですよ」

コナン「お前もたいへんだな」ポチットナ

光彦「ほら、またトラックが突っ込んできましたよ」

そういって光彦がやれやれと溜息を吐く
轟音を立てる鉄の塊が、光彦の体を噛み砕こうとした次の瞬間
その巨体のすべてを光彦は吸収していた

コナン「……どうなってんだお前」

光彦「どうもこうも、金属が体に入りっぱなしみたいな状態になっちゃったんで」

光彦「いつの間にか、機械を取り込めるようになっただけですよ」

光彦「おっと、もう時間がないですね」


そういうと、光彦は銀翼を生やし、ジェットエンジンで飛び立っていった

小林先生「じゃあこの問題は光彦君に解いてもらおうかな」

光彦「はいです」


席を立った光彦を狙ってミサイルが飛んでくる

気に留める様子もなく、光彦の左腕が展開し光線を放つ

窓をガラスごと溶解させた光は、容易くミサイルを捉え、爆散させた


光彦「昨日からホントに多いんですよねえ」

歩美「光彦……くん……?」

光彦「ああ、これは電子レンジを集積させてつくったただの陽電子砲ですよ」

小林先生「あ、ああ……ばっ……ば」


小林先生「化け物ぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

暗紫色の金属光沢を放つ皮膚

血管のように蠢くケーブル類

ギシギシと咬みあう歯車とアクチュエーター

そこにいたのは、俺たちの知っている光彦ではなかった


光彦「ばけ……もの……?」


カメラレンズの瞳孔が拡散し、ピントを絞る様に再び収斂する


光彦「違う……ぼくは……」

光彦「バケモノなんかじゃ……はっ!」

光彦「上空より熱源反応?」

光彦「これは……学校全体を巻き込む規模じゃないですか!?」

コナン「おい光彦!!」


コナンが呼び止める声も聞かず、校舎と同化した光彦は屋上へと移動した

光彦「あれを止めるためには……ぼくが直接っ!!」


光彦は体内の冷却装置とコンプレッサを化学プラントに組み換え、大気を圧縮吸収

同時に流線型をした長大な機体を形成してゆく


歩美「やだ……何この臭い」

灰原「アンモニア臭と……オゾンね」

灰原「攻撃は遥か空の上からきてるんでしょう?」

灰原「つまりこれはアンモニアではなくヒドラジン」

灰原「そしてオゾン臭のもとは酸化剤として用意された液体酸素」

コナン「要するにロケット燃料じゃねえか!」

コナン「おい……それじゃまさかっ!!」


次の瞬間、光彦は宇宙へと飛び立ち

数分後、帝丹小学校の上空で大規模な爆発が観測された

――1週間後――

コナン「おはよう、歩美!灰原!」

灰原「おはよう、江戸川くん」

歩美「おはようコナンくん!」


俺たちはこうやって平和な朝を今日も迎えている

これも光彦が学校を救ってくれたおかげだ

光彦のいない通学路は、どこか寂しく感じた













光彦「まだ終わりませんよ!!」

コナン「光彦!!?」


光彦の声とともに、あたりが闇に包まれた

空を見上げれば、そこには青空は無く、代わりに





巨大な光彦の顔が、空を埋め尽くすように浮かんでいた

阿笠「ついに……恐れていたことが起こってしまった……」

コナン「博士!?」

灰原「どういうこと?説明してちょうだい」

阿笠「ああ、実は光彦くんはもともと宇宙からきた機械生命体だったのじゃ」

阿笠「しかし、地球にたどり着いた時には大きなダメージを受け、記憶回路も破壊されていた」

阿笠「だから地球人に擬態し、自己修復による機能の回復を待っていたんじゃ」

歩美「そんな……たしかに地球人にあるまじき顔だとは思ってたけど」

コナン「まさか本当に宇宙人だったとはな」

阿笠「ワシはずっと光彦くんのことを監視していたんじゃ」

阿笠「このまま、ただの地球人として一生を終えてくれることを願ってな」

阿笠「しかし、その願いも空しく、光彦くんの体に異常が起こっていた」

阿笠「機械生命体としての本能が目覚めようとしていたのじゃ」

阿笠「ワシは悩んだ、しかし地球人類全ての危機と、一人のなにも知らない少年」

阿笠「天秤にかけるには、あまりにも残酷な事実じゃった」

阿笠「ワシは用意していた兵器を用いて、光彦くんを消滅させようとした」

阿笠「新一、きみに渡したあのスイッチじゃ」

阿笠「だが、残念なことに逆効果じゃった」

阿笠「生存本能を刺激された光彦くんは有機生命体としての肉体を改変し」

阿笠「凄まじいスピードで機械生命体へと再組織化を図ったのじゃ」

阿笠「更には宇宙に飛び立ち、人工衛星群を取込み建設中の宇宙ステーションを掌握」

阿笠「人類史上最凶最大最悪の敵として、今まさに再び地上へと降り立とうとしておるのじゃ」

阿笠「新一よ、あのソバカスが見えるか?」

阿笠「あれは光彦胞子、アレに侵された者は光彦くんと同じ機械生命体となってしまう」

阿笠「地球上のあらゆる生命体が光彦くんと化してしまうのじゃ」

阿笠「あれが地上へと一斉に発射されてしまえば、もう終わりじゃ……」

コナン「博士、どうにかできないのかよ!!」

阿笠「……光彦くんが地球に降り立つと時を同じくして」

阿笠「もう1つの地球外知的生命体との邂逅があったのじゃ」

阿笠「超テクノロジーによってつくられた機械ウナギと」

阿笠「その機械ウナギによってもたらされた無限情報サーキット」

阿笠「通称『Gストーン』に記録されし人智を超越した超科学」

阿笠「ワシはそれを解析し、もしもの時にそなえて準備を続けていたのじゃ」


阿笠「『黒の組織』とよばれる者たちを指揮してな」

灰原「博士!!」

阿笠「哀くんよ……もうこれ以上は無理じゃわい」

阿笠「光彦くんを監視する体制をつくるために君を利用し」

阿笠「アポトキシン4869を用いて君を幼児化させたのは」


阿笠「何を隠そう、このワシじゃよ」


コナン「博士……そうだったのか」

阿笠「いまさら許してくれとは言わん」

阿笠「ワシを恨んでくれてかまわん」

阿笠「その代り……力を貸してくれんか」

阿笠「光彦くんを止めるために」

コナン「……へっ、バーロー」

コナン「地球の危機だっていうのに、断る理由なんざねえよ」

阿笠「新一!」

蘭「話はついたようね」

コナン「蘭……ねえちゃん?」

蘭「もういいのよ新一、すべてわかってるから」

蘭「それに今の私は」



蘭「サイボーグLANよ」

阿笠「新一や、君も覚えとるだろう」

阿笠「蘭君が小学生の頃、事故に巻き込まれて半年ほど入院したときのこと」

コナン「ああ……まさか!」

阿笠「その時、すでに彼女の体はサイボーグ化されておったんじゃ」

阿笠「落下した光彦くんの素粒子Mによって、通常の治療は効果が無かったからのう」

コナン「畜生……あの事故も光彦に引き起こされたものだったっていうのかよ!!」

歩美「蘭お姉ちゃんってとっても強いと思ってたけど、サイボーグだったからなんだね!」

蘭「ええ、そうよ歩美ちゃん」

蘭「私はとっても強いから……今から光彦くんと戦うの」

コナン「やめろ蘭!お前の手におえる相手じゃねえっ!!」

蘭「心配してくれるのね新一」

コナン「なんで蘭が戦わなきゃならねえんだ!光彦への復讐か!!?」

蘭「違うよ新一、そんなんじゃないよ」

蘭「ただ、他のみんなを私みたいな目に合わしたくないだけ」

蘭「お父さんやお母さん、園子たちを守りたいから」

コナン「蘭……」

阿笠「それに、新一にも戦いに参加してもらうぞい」

阿笠「光彦くんの素粒子Mに対抗できるのはGストーンだけじゃが」

阿笠「Gストーンを身に着けたまま高濃度の素粒子Mを浴び続けることで」

阿笠「人間でも多少の耐性を得ることができるのじゃ」

阿笠「そう、君たちが身につけておった探偵団バッジ」

阿笠「あれにGストーンが仕込まれておったのじゃ」

コナン「つまり、戦いに参加できるのは俺と」

灰原「私ね」

歩美「ええっと……コナンくん?」

コナン「歩美は無理するな、ただの小学生なんだから」

歩美「……嫌だ」

歩美「よくわからないけど、光彦くんのせいで世界が危ないんでしょ?」

歩美「それにコナンくんたちは危ないことしようとしてる!」

歩美「歩美だって少年探偵団だよ!!」

歩美「みんなが辛い思いをしてるのに……ひとりだけ置いてけぼりなんてひどいよ……」

阿笠「光彦くんに対抗するためのウナーマシンは3機用意されておる」

阿笠「歩美くん、大変だとは思うが頼めるかね?」

コナン「博士っ!!」

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