まどか「別荘?」
さやか「……ですか?」
マミ「ええ。最近遠い親戚の人たちとも連絡を取るようになったんだけど、その中に別荘を持ってる人がいてね。
よければ友達を連れて遊びにおいでって。せっかくの春休みだし」
まどか「いいんですか!?」
さやか「是非とも行きたいですなぁ~」
電車内
まどか「うわ~、だいぶ山の中に入ってきたね」
杏子「んだよー。別荘っつーからてっきり海辺かと思ったぜ」
さやか「杏子! 誘ってもらっといてその言い方はないでしょ!」
マミ「いいのよ、美樹さん。……ところで暁美さん、大丈夫? 体調が優れないみたいだけど……」
ほむら「……お構いなく」
駅
マミ「ここよ」
杏子「……山しかねーんだけど」
マミ「おじさんの話だと、歩いて一時間ってとこね」
さやか「一時間!?」
マミ「まあ軽いハイキングだと思って。今が11時だから、正午には着くわよ」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん、ホントに大丈夫?」
ほむら「ええ。体調が悪いわけでは、ないの」
杏子「あ、今の見たか!? 猿! な、な、さやか!」
さやか「うっさいわね……。文句言ってた割にはあんたが一番はしゃいでるじゃない」
まどか「はぁ……はぁ……」
ほむら「まどか、大分疲れているようだけど」
マミ「そうね。30分歩いたし、いったん休憩にしましょう」
杏子「うっひょー! 見晴らしいいなー!」
マミ「お弁当作ってきたから、皆食べて」
まどか「わぁ、ありがとうございまーす!」
マミ「まずはおにぎりから……」
杏子「いただきー!」
マミ「ちゃんと人数分あるから慌てなくていいのよ」
さやか「そうだよ、杏子。がっつきすぎ……って、あれ?」
マミ「あら? 4個しかない……。おかしいわね、ちゃんと5個作ってきたはずなんだけど。ま、わたしが我慢すればいいわね」
さやか「壁の中からなにか聞こえるんです。そう、まるで鼠が壁の中を這い回ってるような」
マミ「なにも聞こえないけど…?」
さやか「いるんです!絶対!」
さらに30分後
マミ「見えたわ。あそこよ」
まどか「あれですか? 大きいなー」
杏子「しかし何だってこんな山奥に建てたんだろうな」
さやか「そんなのどうだっていいじゃん! さ、行くよ行くよー」
ほむら「……」
別荘 玄関
マミ「おじさーん。マミです。いらっしゃいますかー」コンコン
シーン
マミ「……おかしいわね」
杏子「なんかそこのポストみたいなところに紙貼ってあんぞ」
マミ「ホントだわ。なになに……」
『マミちゃんへ。急用が出来てここにいられなくなりました。お招きしておいて申し訳ありません。別荘内のものは何でも自由に使ってもらって構いません』
マミ「……残念ね。あ、ポストに鍵が入ってる。とりあえず入ってみましょうか」
キィ……
まどか「なんだか薄暗いね」
杏子「クモの巣もはってるな。まぁ普段来ないんじゃ当然だろーけど」
ほむら「……」
ガタン!
ほむら「ひぃ!!」
さやか「何の音? ……なぁーんだ。壁に掛けてあった鏡が落ちただけじゃん」
ほむら「ゼェーゼェー……」ドキドキ
さやか「……! 転校生、ひょっとして……」
安易に死ぬよりどん底の恐怖で気が変になるくらいやってほしい
ほむら「な、何よ」
さやか「ビビり?」
ほむら「ち、違うわよ」
さやか「なーるほどねぇ。だから電車の中から元気なかったんだ。うんうん、山奥の別荘。いかにもーな感じですなぁ」
ほむら「違うって言ってるでしょ!」
さやか「……」
ほむら「……? ど、どうしたのよ。いきなり黙って」
さやか「ほ、む、ら……後ろ……」
ほむら「!? う、後ろがどうしたって……」
杏子「ばあーーー!!!」
ほむら「きゃああああああ!!!」
さやか「あーっはっはっはっは! まさかあの転校生がこんなに怖がりだったとはねえー」
ほむら「殺してあげるわ……美樹さやか! 杏子も便乗して何やってるのよ!」
まどか「まあまあ。さやかちゃん、ほむらちゃんは怖がりなんだからあまりいじめちゃ駄目だよ」
ほむら「」ガーン
マミ「……そろそろ上がっていいかしら」
さやか「そ、そうっすね。いつまでも玄関にいるのもね」
台所
マミ「ここが台所ね。ちょっと古びた感じはするけど、ちゃんと使えるわ」
杏子「こういうとこの水道は水がポツポツと滴ってなきゃいけない決まりでもあんのかね」
さやか「杏子!」
浴場
まどか「さすがに広いねー」
ほむら「……この蛇口、お湯が出ないわ。どうするの?」
マミ「今時信じられないけど、薪で火を起こして湯船を温めるみたいね」
寝室
マミ「寝室はちょうど5つあるわよ」
ほむら「5つ!? こういうところって普通大部屋に布団敷き詰めるものでしょ?」
マミ「残念ながらここは広いのよね」
ほむら「まどか! 一緒に寝ましょう!!」
まどか「(もう面子とか気にしなくなってきたね、ほむらちゃん……)」
別荘の裏
杏子「こっちはもうすぐに森だな」
さやか「そうみたいだね」
マミ「さて、ちゃんとしたお昼ごはんはまだだったから、まずは昼食の準備ね」
まどか「マミさん、わたし手伝います」
マミ「ありがと。準備は2人もいれば十分だから、他の皆は遊んでていいわよ」
杏子「さやかー! 森の中に遊びに行こうぜ!」
さやか「森の中って、猿じゃないんだから……」
杏子「何だと?」
さやか「それよりこっちの方が面白いでしょ」
ほむらの部屋
ほむら「(……どうもこの昔ながら~な感じの部屋というのは落ち着かないわね……)」
ほむら「(壁にはよく分からない絵が飾ってあるし)」
ほむら「(天井の木目がだんだん人の顔に見えてきたし」
ほむら「(何故か部屋の隅が気になるし……)」
ほむら「(荷物まとめたら早いとこ皆と合流しましょう)」
台所
ほむら「(確かまどかと巴マミは今台所で昼食の準備をしているのよね)」
トン…… トン……
ほむら「(ひっ! ほ、包丁の音!? ……って、料理してるから当たり前か。ん、二人が何か話して……)」
支援
マミ「そうそう、鹿目さん。このあたりに伝わる、怖ーい話があるの」
まどか「へぇー。どんなのですか?」
マミ「ま、単純なんだけどね。この山に幽霊が出るって話よ」
まどか「それだけじゃないですよね?」
マミ「もちろん。で、この山のふもとの村にときどき幽霊が降りてくるらしいのよ」
まどか「それはメーワクな話ですね」
マミ「ときどき勇気のある者が幽霊討伐に山の中に入っていったんだけど、帰って来た者はいないらしいわ」
まどか「そりゃ怖い」
マミ「そして、後に山から降りてきた幽霊は、討伐に出て行った者にそっくりだったらしいわ」
まどか「ミイラ取りがミイラになったと」
アウトサイダー
ほむら「(……)」ドキドキ
ほむら「(聞いてしまった。聞いたら絶対後悔するって分かってたのに聞いてしまった)」
ほむら「(今、その山の中じゃないのわたしたちは!!)」
ほむら「(まどかもまどかよ! 何であんな話を聞いて平然としてられるの!?)」
ほむら「(これ以上一人でいるのは嫌……でも台所に行っても邪魔なだけだろうし……)」
ほむら「(杏子を探しましょう)」
ほむら「杏子ー? どこにいるのー?」
ほむら「杏子ー?」
シーン
ほむら「……」
ほむら「この際美樹さやかでもいいわ。美樹さやかー」
ほむら「(いくらここが広いとはいえ、こんなに探して見つからないってことないでしょう……)」
さやか「呼んだー?」
ほむら「! 美樹さやか!」パアア
これは巧妙なほむさや
ほむら「……!?」
ほむら「今、確かにこっちから声が……」
杏子「悪い、悪い。ほむら、呼んだか?」
ほむら「杏子!」ダッ
ほむら「……またいない」
マミ「ご飯の準備が出来たわよー」
ほむら「……今度はいるわよね」
居間
マミ「はい、召し上がれ」
ほむら「……良かった」
HOUSEってホラー映画思い出した
まどか「いただきまーす」
ほむら「美樹さやかに杏子。さっきは呼んだのにどうして出てきてくれなかったの?」
杏子「呼んだ?」
さやか「何のこと?」
ほむら「……え? あなたたち返事したじゃない!」
さやか「そう言われましても……」
杏子「あたしたち、森の中に遊びに行ってたからな。返事できるわけねーよ」
ほむら「……!?」
ほむら「(じゃ、じゃあ……あれは!?)」
食後 さやかの部屋
さやか「あーっはははは! 愉快愉快!」
杏子「あんなに簡単に騙せるたぁな……。ちょっとアイツのイメージ変わったよ」
さやか「さーて次は何してくれようかねー」
杏子「おい、まだやるのか? せっかく皆で遊びに来てるのにアイツ一人だけ怖がり続けてるってのも可愛そうじゃねーか?」
さやか「そう思うなら別にいいよ。今度のはあたしひとりでも出来るやつだし」
杏子「じゃ、あたしは降りさせてもらうよ……。っと、ほむらにさっきのネタばらししとかなきゃ」
さやか「うししし……。転校生め、たっぷり恐怖するがいい!」
>>39
なんか仕掛けだらけの屋敷の話だっけ?
ほむらの部屋
杏子「……と、いう訳さ」
ほむら「……」ホッ
杏子「脅かすような真似して悪かったな」
ほむら「そ、そんなことだろうと思ったわ」
杏子「さやかはまだ何か仕掛けてくるかもしんねーけど、あたしに関してはもう何もしないから」
さやか「(ククク……転校生め、また恐怖のどん底に叩き落してくれよう……)」
トントン
さやか「ん? 何?」
シーン
さやか「……今、誰かに肩を叩かれたような……」
さやか「……気のせいか」
さやか「(杏子のやつ、なかなか転校生から離れない……。これじゃあ脅かすことができないじゃない)」
さやか「(ひょっとしてほむらを守ってるつもりか? ……やれやれ、とりあえずいったん作戦中止)」
さやか「(夜を待とう)」
さやか「ふぁ~」
さやか「(なんだか眠くなってきたなー。まああんだけ歩いたしね。ちょっと昼寝しよ……)」
ドラえもん思い出した
マミ「美樹さん、美樹さん……」
さやか「ん? その声はマミさん? どこにいるんですか?」
マミ「美樹さん……。ないの……」
さやか「……何が?」
マミ「わたしの首がないのよ……」
さやか「ひぃっ!! マ、マミさん……首が……ない!」
マミ「美樹さん……」
さやか「うわああああ!!!」
>>48
よく分かったな
「しかしユーレイは出た!」っていう話を読んで書こうと思った
さやか「はぁ……はぁ……」
杏子「さやか……」
さやか「その声は、杏子? どこにいるの?」
杏子「どこって、あんたの足元だよ……」
さやか「うっ……これは……手!? ま、まさか……」
杏子「悪いけど拾い集めてくんねーかな。あたしの身体、爆発でバラバラになっちゃったからさ」
さやか「うわあああああああ!!!!」
さやか「一体どうなって……」
「オォォォォォン」
さやか「な、何……この呻き声みたいなのは……」
「オォォォォォンン」
さやか「な、何、アレ……化け物……!? 上半身が人間で、下半身が魚みたいになってる……」
「バケモノ? バカイッチャイケナイ」
さやか「うう……」
「ダッテコレハ……アンタジシンノスガタジャナイカ」
さやか「うわああああああああああああああああああ!!!!!」
ガバッ
さやか「はあ……はあ……」
さやか「……」
さやか「(もう午後6時か……)」
さやか「(何か今、すっごく嫌な夢を見ていたような気がする……)」
さやか「(どんな夢だったか、忘れちゃったけど)」
さやか「(とりあえずそろそろお風呂の時間だよね)」
マミ「というわけでお風呂に入るわけだけど、残念ながらここのお風呂も5人同時に入れるほど広くはないわ」
ほむら「ひ、一人は嫌よ!?」
マミ「ふふ、分かってるわよ。というわけでグッパー」
まどか・ほむら・マミ/さやか・杏子
さやか「まどかたち先に入っていーよ。な? 杏子」
杏子「構わないよ」
まどか「じゃあお先にいただきまーす」
ほむら「(よかった……)」
浴場
まどか「改めてほむらちゃんって髪長いよねー。手入れも大変でしょ?」
ほむら「ま、そうね。でも慣れればなんてことないわ」
マミ「髪の毛と言えば……」
まどか「何ですか?」
マミ「風呂場でシャンプーをしているとき、絶対に頭の中で『だるまさんがころんだ』と言ってはいけないらしいわ」
ほむら「い、言ったらどうなるの?」
マミ「それは分からないわ」
ほむら「も、もうやめてちょうだい……。これからシャンプーするってときに」
まどか「わたしたちもいるから大丈夫だって」
ほむら「……そうね、3人で入れて心底良かったと思うわ」
さやか「(ふふ……マミさんが怪談好きだからムード盛り上げてくれてますなー)」
さやか「(『だるまさんがころんだ』ね……。そのアイディア、いただき!)」
さやか「(この窓から浴場は覗ける……。転校生がシャンプーしているときを見計らって……)」
トントン
さやか「ん? 杏子、どーした?」
シーン
さやか「……誰もいない」
さやか「そういえばさっきもこんなことがあったような」
さやか「!」
さやか「さては杏子の奴……転校生を脅かすあたしをさらに脅かす作戦か!」
さやか「杏子ー!!」
杏子「あんだよ」
さやか「あたしを脅かそうったって、そーはいかないからねー!」
杏子「……? あたしはそんなこと考えてねーぞ?」
さやか「とぼけたって無駄ー!」
杏子「……??」
まどか「ふー。さっぱりしたね」
ほむら「無事にお風呂に入れて良かった」
マミ「美樹さーん、佐倉さーん。上がったわよ~」
杏子「はいよー」
さやか「(おのれぇ……杏子……)」
浴場
杏子「あー、いい湯だなー♪」
さやか「……」
杏子「あたし湯船に浸かってるからさ、さやか先に身体洗ってろよ」
さやか「(杏子、あんたがこのタイミングであたしを脅かそうってのは分かってるんだよ!)」
さやか「(どんなことを企んでるのか、それもだいたい分かってるさ)」
さやか「(例えば……シャンプーしているあたしの背中を後ろから叩く……とかね!)」
さやか「(そうはいかないよ。来ると分かっている以上、肩を叩かれたら即座にその手を掴んでやる!)」
さやか「じゃあ先に身体洗わせてもらうよ」
シャワー
さやか「(あたしは今シャンプー中。さあ、杏子。来いよ!)」
トントン
さやか「(来たぁー!)」
さやか「この人痴漢でーす!!」
さやか「(よっしゃ、握った!)」
さやか「(……でもこの感触、杏子の手とはちょっと違うような……。人間の手にしては小さい……)」
杏子「……さやか、何やってんだ?」
さやか「!?」
さやか「(ここでさやかちゃんはそーっと目を開ける)」
さやか「(するとびっくり。杏子はまだ湯船に浸かったまま。じゃああたしが握っているのは……)」
さやか「きゃああ!!」
さやか「(あたしは反射的に手を離してしまった)」
居間
まどか「ユーレイ?」
さやか「出たんだよ~! シャンプーしてるときにあたしの肩をトントンって!」
マミ「佐倉さんのイタズラじゃないの?」
杏子「あたしは何もしてねーし、あの時さやかの後ろに何もいなかったってのも確認してた」
ほむら「美樹さやか! いい加減にしなさい! そうやってわたしを脅かそうって魂胆でしょうけど、ネタは上がってるのよ!」
さやか「マジなんだって~」
マミ「とりあえず夕食の準備しないとね。鹿目さん、手伝ってくれるかしら?」
まどか「はい!」
狂気が足りない
杏子の部屋
さやか「ホントなんだよー。杏子は信じてくれるよね?」
杏子「まあ幽霊がいるかどうかはともかく、アンタが何者かの存在を感じ取ったってのは確からしいな」
さやか「杏子……」
杏子「あんたの気がふれただけかもしんねーがね」
さやか「杏子!」
マミ「夕食が出来たわよー」
杏子「お、メシメシ! 食いに行こうぜ」
さやか「うーん……」
居間
さやか「マミさん、さっきこの山に幽霊がとかいう話してましたよねー」
マミ「ああ、あれ? まあ単純な話だけどね」
ほむら「も、もう止めましょうよ……そんな話」
マミ「でも、そういうミイラ取りがミイラに系の話ってわたし一番怖いわ」
まどか「……」
さやか「まどか?」
まどか「『ミイラ取りがミイラに』」
さやか「……?」
まどか「どこかでそんな話を聞いたことがある、ような……」
マミ「まあその手の怪談なんていくらでもあるわよね」
マミ「さて、そろそろ寝ましょうか」
さやか「えー!? まだ10時ですよ? 夜はこれからじゃないですかー!」
マミ「まあ形式上の消灯ってやつよ」
さやか「ですよねー」
まどか「あの、わたし寝てもいいですか?」
さやか「まどか?」
まどか「わたしいつも10時には寝てるんで、そろそろ……ふぁ……」
マミ「そう、無理しないでね」
さやか「ちぇー、ノリ悪いなー」
マミの部屋
マミ「で、暁美さんは好きな人とかいるの?」
ほむら「そこまで話すほど場が温まってないわ」
杏子「あたしは出会いって奴がねーからなー」
マミ「あら、せっかく『中学校に通えることになった』んだから。ちょっとは期待してもいいんじゃない?」
杏子「そんなもんかねー」
マミ「美樹さんは……アレよね」
さやか「へへ、あたしが恭介を好きだってのは周知の事実だしなー。ま、『仁美も恭介を好きみたいだけど、お互いまだ告白する勇気はないみたいだし』。負けてらんないけどね」
ほむら「……ちょっとお手洗いに行ってもいいかしら」
マミ「どうぞ」
廊下
ほむら「(……)」
ほむら「(やっぱり一人で行くのは怖いわ……)」
ほむら「(申し訳ないけど、まどかについてきてもらいましょう)」
ほむら「(ここがまどかの部屋ね)」
ほむら「ま、まどか?」
シーン
ほむら「(……熟睡ね。勝手に入ってもいいかしら)」
ほむら「まどか? 開けるわよ」
ほむら「……」ガラッ
ほむら「……!?」
マミの部屋
さやか「まどかが」
マミ「いない?」
ほむら「ええ。今お手洗いに行こうとして……その……怖いからまどかについていってもらおうと思ったの。そしたら……」
杏子「こんな山の中、迷子になったらまずいんじゃねーの?」
マミ「ええ、探しましょう! まずはこの別荘の中ね」
マミ「わたしは台所、美樹さんは浴場、暁美さんはそれぞれの部屋、佐倉さんは居間を探してもらえる?」
ほむら「て、手分けするの……?」
マミ「……しょうがないわね。じゃあ暁美さんはわたしについてきなさい」
ほむら「……面目ない」
杏子「じゃ、あたしは行ってるぞ!」
さやか「あたしも、浴場探してくる!」
浴場
さやか「まどかー」
さやか「湯船の水は抜いてある」
さやか「うーん……ここにはいないみたいだね」
さやか「(そういえばさっきここであたしの肩が……)」
さやか「い、今はそんなことよりまどかを探さなきゃ!」
10分後(11時30分)
さやか「浴場にはいなかったよ」
マミ「台所の方もいなかったわ」
ほむら「ええ。もうこれは外に行ったと見た方がよさそうね」
マミ「じゃあ、今度こそ手分けするわよ。わたしは別荘の奥、美樹さんは山を下った方向、暁美さんは別荘の周辺」
ほむら「そうね……まどかの一大事に、怖いとかもう言ってられないわ。むしろ『もう何も怖くない』」
マミ「……」
ほむら「どうしたの、巴マミ?」
マミ「いいえ。行きましょう!」
夜だし2人ずつのほうが
さやか「まどかー! いるなら返事しろー!」
さやか「うーん……このあたりにはいないみたいだな」
さやか「これ以上行くのはちょっと……。その前に皆と合流した方がいいか」
さやか「……」
さやか「杏子は?」
さやか「さっき集まった時、杏子がいなかった!」
さやか「い、急いで帰らなくちゃ!」
トントン
さやか「!?」
さやか「(ま、また誰かがあたしの肩を……)」
さやか「ええい、今はそんなこと気にしてられるかー!!」
11時40分
ほむら「み、美樹さやか!」
さやか「転校生! 大変だ! 杏子が……」
ほむら「……」ガクガク
さやか「転校生……?」
ほむら「巴マミも、帰ってこないの……」
さやか「!?」
ほむら「こ、このままじゃわたしたちも……」
さやか「……転校生、怖がらないで聞いてほしい」
ほむら「……何?」
さやか「さっき、風呂場であたしの肩を叩いた奴がいるって話、本当なんだよ」
ほむら「……」
さやか「こんな状況であたしが嘘をつくと思う? そして、今も肩を叩かれた!」
ほむら「それってつまり……」
さやか「そう、これは幽霊の仕業だよ! 逃げよう!」
ほむら「で、でも……まだまどか達が……」
さやか「このままじゃあたしたちもやられるんだよ!?」
ほむら「駄目、放っておけない! 『もう誰にも頼らない』!」
さやか「……?」
さやか「て、転校生! 待てっ!」
さやか「……見失った……。ちくしょう!」
11時50分
さやか「転校生……。帰ってきてよ……」
さやか「うう……」
さやか「こんな化け物屋敷に泊まってられるか! あたしは帰るよ!」
さやか「はぁっ……はぁっ……!」
さやか「山をふもとまで下りれば……村があるんだ……」
さやか「そこまで行けば……」
さやか「あうっ!?」
さやか「(つまづいて転んだ……『あたしって、ほんとバカ』)」
さやか「……?」
11時59分
さやか「く、くそ……」
キャハハハ キャハハハ
さやか「……な、何この声……」
0時00分
ティヒヒ・ヒ
さやか「……ここ、どこだろう」
さやか「どこかで見たことがあるような……」
マミ「美樹さん……美樹さん……」
さやか「この声は……マミさんっ!?」
マミ「どこ……どこにあるの……」
さやか「(こ、この光景は……)」
マミ「わたしの首がないの……」
さやか「(そうだ! 昼寝していた時、こんな夢を見た!!!)」
マミ「美樹さん……」
さやか「うわあああああああ!!!!」
さやか「ってことは、次に来るのは……」
杏子「さやか……」
さやか「杏子っ!?」
杏子「ちょっと拾い集めてくんねーか……。あたしの身体、爆発でバラバラになっちゃったからさ……」
さやか「うわああああああああ!!!!」
さやか「(間違いない、あの夢の通りだ!)」
さやか「(そういえばマミさんが話していた……幽霊を討伐に行った者は同じ幽霊になってしまうって)」
さやか「(あの話、本当だったんだ!)」
さやか「(じゃあ、最後に現われるのは……)」
さやか「(怪物の姿をした……あ た し 自 身 )」
オォォォォンン……
>>109
その言い方だと
てけり・り
じゃね?
「『仁美も恭介を好きみたいだけど、お互いまだ告白する勇気はないみたいだし』?」
「ネボケタコトイワナイデ」
「ヒトミトキョウスケハトックニツキアッテルジャナイ」
「『中学校に通えることになった』?」
「ナニイッテルノ」
「サクラキョウコハシンダヨ? アンタトシンジュウ、バクハツシテネ」
さやか「あ……、ああ……」
「ソシテ」
「アンタモシンデルジャナイカ。コンナスガタニナッタアト、サクラキョウコニ コ ロ サ レ タ」
さやか「あたしも……死んで……?」
「サア、コッチヘ……サヤカ」
「そこまでだよ!」
>>114
口に出して発音するとてぃひひ・ひのが良いと思う
さやか「その声……まどか!?」
まどか「とうとう秘密がバレちゃったね……」
まどか「クラスの皆には内緒だよっ☆」キュイーン
ドーン ドーン
「ギャアアアアアアア」
さやか「ふ、風景が……戻った……?」
マミ「危なかったわね、美樹さん」
杏子「ったく、ヒヤヒヤさせんなよね」
ほむら「あなたも結構怖がりなのね」
さやか「マミさん……杏子……転校生……」
まどか「あんまり、長続きはしなかったみたいだね」
さやか「……何のこと?」
マミ「美樹さん、あなた、思い出さないの?」
さやか「思い出す……? ……ああっ!」
さやか「そうだよ……あたしたちがここにいるはずがない……」
さやか「だって」
さやか「マミさんは魔女に頭を食われて」
さやか「あたしは魔女になって」
さやか「杏子は魔女になったあたしと刺し違えて」
さやか「……死んだんだから」
まどか「うん、それは本当」
まどか「でも、わたしが嘘にした」
さやか「……?」
QB「いい夢は見られたかな?」
さやか「QBっ!?」
>>120
済まん、言い方やニトロつながり的にショゴス的な何かと俺が勝手に勘違いしただけだわ
まどか「あのあと、わたしは魔法少女になった」
~~~~~~
まどか「わたしの願いは……『わたしの身近な人たちが不幸になる前の日常を蘇らせたい』」
QB「つまりそれはマミ、さやか、杏子の蘇生を願うということかい? 君の素質なら出来ないことはないけど、願い事は一つまでだ。君自身が魔法少女になるのは避けられないよ」
まどか「構わないよ。だけど、ほんの少しだけ……わがままを言っていいかな」
QB「注文が多いね。何だい?」
まどか「当分の間、皆に魔法少女、そして魔女のことは忘れていてほしい」
QB「……もし再び君たちが『魔法少女』あるいは『魔女』に出会うことがあれば……君たちは嫌でも思い出してしまうよ?」
まどか「うん。でも……束の間でも……夢でもいいから、もう一度あの日常を取り戻したい」
QB「契約は成立だ」
~~~~~~
QB「そうして君たちは蘇った。人間としてね。マミは親せきとの交流を取り戻し、さやかは上条恭介と結ばれるチャンスをもう一度与えられ、
杏子は貧困生活から脱出し、……ワルプルギスの夜が来ることはなく、君たちは夜明けを迎えた」
QB「まどかのソウルジェムは丈夫でね、滅多なことでは濁らない。あのまま、まどか自身ですら自分が魔法少女であることを忘れたままでも、まどかは人並みの寿命を生きただろう」
QB「……もっとも、魔女と出会ってしまった以上、再び忘れる事は出来ないわけだけど」
さやか「今のは魔女だったの?」
マミ「そう。襲う対象の身近な人を模して精神的に攻撃してくる、いやーな魔女よ。わたしたちはあの魔女の結界に閉じ込められていたの。
最初に閉じ込められたのが鹿目さんで良かったわ。おかげで後から閉じ込められた三人は鹿目さんに守ってもらえた」
さやか「なーんだ、そういうことか」
さやか「……ってことは、あたしの肩を叩いていたのは……」
QB「うん、僕だよ。あの別荘の周辺に魔女がいることは分かっていたからね。君たちに引き返してもらおうと思って。
僕なりのフォローのつもりだったんだけどなぁ。(おにぎりを食べたのも僕だけど)」
さやか「はぁ……」
さやか「……。ってことはあんたぁ~……」
QB「!?」
さやか「あたしたちの風呂に紛れ込んでたって事じゃない!!」
QB「きゅっぷい!」バキィ
(まどか以外の4人は魔法少女ではないので、魔法少女に関することを忘れていた間はQBの姿が見えていませんでした)
(魔法少女であるまどかにはQBの姿が見えるはずですが、偶然QBはまどかの前には現れなかったようです)
>>126
いや、その通りだけど
別荘 まどかの部屋
まどか「何で皆わたしの部屋に集まるの?」
さやか「いいじゃんいいじゃん~」
杏子「今夜は電気つけたままで寝よーぜ……」
ほむら「むしろオールしましょうよ」
マミ「賛成~!」
本当に0時になりましたが>>1です
ほむら「……とかいいながら皆すぐ寝ちゃったじゃない」
まどか「まああれだけのことがあったからね、疲れてるんだよ」
ほむら「まどか、ごめんなさい……。あなたひとりに魔法少女の運命を背負わせて……」
まどか「気にしなくていいんだよ、ほむらちゃん。QBが言ってた通り、わたし最強の魔法少女だからさ?
ソウルジェムも滅多に濁らないし、わたしを倒せる魔女なんていないから」
ほむら「でも……」
まどか「(ほむらちゃん、さすがに責任感じてるよね……)」
まどか「(魔法少女であることを自覚してから分かったんだけど、わたしの魔法少女としての力って思ったよりすごいみたいで)」
まどか「(結構いろんなことが出来るんです)」
まどか「(自分自身のは無理だけど……他人の記憶を消したり、ね)」
まどか「ほむらちゃん」
ほむら「?」
まどか「えいっ」
ほむら「!? ……zzz」
翌朝
杏子「んー……」
さやか「ふぁ……おはよ」
マミ「おはよう」
ほむら「……何か……。……?」
まどか「皆、おっはよー!」
電車
さやか「うーん……昨夜なにか恐ろしーいことがあったような……」
ほむら「奇遇ね、美樹さやか。わたしもそんな気がしているの」
杏子「怖い夢でも見たんだろ」
マミ「そうよ、きっと」
さやか「うーん……」
まどか「クラスの皆には、内緒だよっ☆」
おわり
まどマギの評論本に「まどマギはホラー映画がベースになっている」って書かれてたんだ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません