苗木「超高校級のアイドル?」 (65)

舞園「はい、今日からは苗木くんが超高校級のアイドルです。」

苗木「それは違うよ!何を言ってるんだよ舞園さん!超高校級のアイドルはキミじゃないか!」

舞園「確かに私でした。けど、苗木くんに負けてしまったじゃないですか……。少し悔しいですけど、正々堂々戦い抜いた結果です。悔いはありません。」

苗木「ど、どうしたのさ舞園さん」

舞園「今日私は希望ヶ峰学園を出て行きます。……でも、必ず苗木くんに勝ってここに戻ってきますから!」

苗木「舞園さん?なにかの冗談だよね?」

舞園「だからその時まで、超高校級のアイドルの看板は任せましたよ!それじゃあ!」

苗木「い、いや……そもそもボクがいつアイドルになったんだよ……」

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十神「おい苗木!」

苗木「と、十神クン!聞いてよ、舞園さんが変なこと言うんだ!」

十神「変なこと?どうせくだらんことだろう。」

十神「それより苗木、今日もスケジュールはパンパンだと話した筈だが?」

苗木「へ?えっ、今日十神クンと約束なんてしてたっけ?」

十神「寝ぼけたことを言うな。今日はまず朝から日曜にあるまこぴょんライブの打ち合わせ、昼からは番組のロケで夜にはダンスの練習だと前々から言っておいたはずだ。」

苗木「まこぴょ……えっ?十神クン、もう一度お願いしていいかな?」

十神「何度も言わせるな。朝から日曜にあるまこぴょんライブの……」

苗木「…………」


苗木「……、あっ!な、なーんだ、十神クン舞園さんと組んでドッキリ仕掛けてきたんでしょ?」

苗木「ちょっとびっくりしたけどもうひっかからないからね!まさか十神クンがこんな冗談言うなんて驚いたよ!」

十神「舞園?……ああ、あの落ちこぼれたアイドルか。」

十神「まあ仕方がないな。俺の手にかかった苗木があいつごときに敗北を期すのはあり得ん。」

十神「苗木、この超高校級のアイドルマネージャー・十神白夜に出会えたことを有難く思うんだな!」

苗木「…………」

苗木(……どうしちゃったんだよ十神クン……)


霧切「ちょっと、十神くん。打ち合わせの約束の時間はもうとっくに過ぎているのだけど?」

苗木「霧切さん?!」

十神「ああ霧切か。こいつがドッキリだの寝ぼけたことを抜かして俺を手間取らせただけだ。」

霧切「苗木くんのせいにばかりしないで頂戴。けど、苗木くんもよ。日曜までもう時間がないの、はやく会議室まで来なさい。」

苗木「……ねえ霧切さん。ボクが超高校級のアイドルだなんて冗談、もう十分驚いたからやめようよ。こういうのって舞園さんに失礼だよ!!」

霧切「……あら。」

十神「だから言っただろう、確認もせず口を開くな愚民が。」

霧切「ごめんなさい十神くん。」

苗木「……霧切さんまでどうしちゃったんだよ……」


苗木(十神くんと霧切さんなんて、こんな冗談一番言いそうにないのにな……)

苗木(と、とりあえず、状況確認だ。ドッキリに付き合うにしても設定を把握しておかないと難しいしね。)

苗木「えっと……、ちょっと確認していいかな?ボクが超高校級のアイドル……なんだよね。」

霧切「そうよ、何を言っているの。」

苗木「それで舞園さんが学園から去ることになった。」

十神「敗者が廃れるのは自然の摂理だ。お前が気にすることではない。」

苗木「それで、十神クンがボクの超高校級のアイドルマネージャー。……じゃあ、霧切さんは?」


霧切「超高校級のアイドルプロデューサーよ。」

苗木「探偵はどうしたんだよ霧切さん……。キミはあんなに探偵の仕事を誇りに思っていたのに。」

霧切「もちろんやめていないわ。」

苗木「じゃあなんでプロデューサーなんて!」

霧切「……苗木くん、私が探偵の仕事をこなすためにいろいろな場所に飛んでいることは知ってるわよね?」

苗木「うん、霧切さんは色んな仕事を頑張ってるよね。」


霧切「私はそうしながらもう一つの仕事もしているの。それがアイドルのスカウトよ。」

霧切「多くの場所をまわり、多くの人間や事件を観て、この探偵としての観察眼を鍛えてきたわ。」

霧切「そしてこの鍛えあげられた観察眼は、一際輝くアイドルの卵までも見極められるようになったの。」

霧切「アイドルプロデューサーは私の天職よ。……苗木くん、これで納得したかしら。さっさと会議に移りましょう。」

十神「ほら行くぞ苗木!」

苗木(うわあ……)


?夜・食堂?

苗木「は、ハードだった……」

苗木「会議がおわったらリボンとか女の子みたいな服着せられて街中に駆り出されて」

苗木「本格的なカメラもたくさんあって一瞬本当にボクがアイドルなんじゃないかって信じかけたし……」

苗木「やっと終わったと思ったらダンスを江ノ島さんに倒れるまで教えてもらって」

苗木「こんなに動いたの久しぶりだよ……」

セレス「あら、苗木くんではありませんか。こんばんは。」


苗木「あ、セレスさん!こんな時間に珍しいね。」

セレス「少々喉が渇きましたのでなにか飲み物をと思いまして。」

苗木「あはは、一日お疲れ様。」

セレス「苗木くんこそお疲れのようですが……、どうなさったのですか?」

苗木「江ノ島さんにダンスをちょっとね……。セレスさんが心配してくれるなんてくすぐったいな。」

セレス「それは勿論。心配するに決まっていますわ。」

苗木「そ、そうかな?」

セレス「勿論です。私の夢の途中で貴方に倒れられては困りますから。」


苗木(セレスさんの夢……確か、)

苗木「えっと、お城に住むんだったよね。」

セレス「そうですわ。Sランクの貴方と共に、という言葉が抜けていますけれど。」

苗木「Sランク?!ボクが?!」

セレス「何を今更。」

苗木「で、でも……」

セレス「私の心をこんなにも掴んで離してくださらないあなたを、Sランク以外のなんと呼べばいいのでしょう。」


セレス「私の夢は退廃的なお城に住むこと。」

セレス「もう少し詳しく申しますと、お城にまこぴょんコレクションルームを作り」

セレス「苗木くんと……いえ、まこぴょんと共にそこで暮らすことです。」

セレス「Sランク級のアイドルの貴方と。」

苗木(冗談が冗談に聞こえない三人衆をコンプリートしてしまった……)


苗木「セレスさん、その話だけどさ……」

セレス「はい」

苗木「誰がこんな冗談始めたのか知らないけど、付き合わないでいいと思うよ。」

苗木「ボクも一日アイドル扱いされて疲れちゃってさ。セレスさんとは普通に話したいな、なんて」

セレス「……普通に、とはどのようにでしょう」

苗木「だからそのボクを超高校級のアイドル?っていうのをさ」

セレス「うふふ、苗木くんったら謙虚ですわね。」

苗木「謙虚というか」


セレス「けれど、その謙虚さはアイドルという世界に入ってしまった以上、いつか貴方の身を滅ぼしますわ。人間とは貪欲に生きるべきなのです。」

苗木「う、うん……」

セレス「お分かりになったようで嬉しいですわ。」

セレス「苗木くんに身を滅ぼされてしまっては、私、困りますの。」

セレス「忠告が無駄にならないことを祈っていますわ。」

苗木「あ、ありがとうセレスさん。」

苗木(滅ぼす機会もないんだけどね……)

書き溜め分終わってしまったので書き溜めてきます
初SSです、完結させるのを目標にしよう……

荒れさせてしまったようですみません。
スレを立てた以上、面白くないのを承知で完結を目指そうと思います。


苗木「今日は一日疲れたなぁ……」

苗木(まあ、明日になれば教室に舞園さんがいるだろうし)

苗木(その証拠が揃えば、こういうドッキリはもうやめてって言えるはずだ!)





苗木「おはよう!……あれ?舞園さんはまだ来てないんだ、いつも朝早いのに……」

不二咲「あっ、苗木くん!おはよぉ、えへへ」

苗木「あっ不二咲さん!おはよう。舞園さん知らないかな?」

不二咲「えっ……」

苗木「?」

不二咲「……そ、それは……そのぉ……」

苗木(えっ?!な、泣いちゃった?!)


苗木「ご、ゴメン不二咲さん!ボクなにかしちゃったかな?!」

不二咲「うぇぇ……その……なんでもない、なんでもないの……ごめんねぇ……」

大和田「オイ苗木テメェなに不二咲泣かせてんだ!!」

苗木「!!大和田クン!えっと、これは……!」

石丸「兄弟、やめないか。」

大和田「でもよぉ……」

石丸「不二咲くんもだ、泣くのはよしたまえ。……舞園くんの転校は僕としてもとても悲しいことだ。……しかし……」


苗木「えっ、転校?!どういうこと?!」

石丸「しかし、しかしだ!ここで泣いてしまえば、新しい超高校級のアイドルである苗木くんを責めることになってしまうぞ!おかしいとは思わんかね!」

石丸「苗木くんは努力をし、超高校級である舞園くんを追い抜かした!」

石丸「その努力は尊いものであり、他人が責められることでは全くないはずだ!」

苗木「ねえ石丸くんまで冗談言うの?!」

不二咲「……!な、苗木くん、ごめんねぇ!苗木くんは全く悪くないのに、ボク……」

大和田「……チッ、すまねぇな」

苗木「ううん、気にしてないよ。それより、舞園さんが転校ってどういうこと?」

不二咲「……、……ええと、ね?」


不二咲「苗木くんの超高校級のアイドルとしての素質が、舞園さんを超してしまったからぁ……」

不二咲「苗木くんが超高校級のアイドルになって、肩書きのなくなった舞園さんは……」

石丸「舞園くんは、この学園を去ることになってしまったのだ。」

苗木「ち、ちょっと待ってよ!そんなの変だよ!!ボクなんかが舞園さんを超えられるわけないじゃないか!!!」

石丸「しかし……」

苗木「ボクはくじで選ばれただけの幸運だよ?!他のみんなならともかく、ボクに【アイドルの素質なんて全くない】じゃないか!」


霧切「それは違うわ!」

BREAK!!

霧切「苗木くんには『美声』があるじゃない。そして、芸能人として行きて行くための『注目の発言力』や『羨望の発言力』も備わっているわ。」

霧切「トークのための『ボキャブラリー』にも溢れていて、『カリスマ』性は勿論のこと。」

霧切「なにより、貴方の持ち前の前向きさ。アイドルとしてみんなに笑顔を届けるためには苗木くんのように前向きに進んでいける心が必要なの。」

霧切「苗木くん。貴方は私が見つけ出したアイドルなのよ。自信を持ちなさい。」

苗木「霧切さんいつからいたの……」

霧切「貴方のライブのグッズの話をしにきたのだけれど、苗木くんが変なことを言っているからつい。」

霧切「石丸くん、苗木くんを借りて行くわね」

石丸「了解だ霧切くん!是非とも彼に舞園くんの件を説明してやってくれたまえ!」

霧切「承知したわ」

苗木「ええー……」






霧切「……苗木くん、あなたは何を考えているの?昨日からおかしいわよ。」

苗木「!……だっ、だって、おかしいじゃないか。ボクがアイドルだとか、舞園さんが超高校級のアイドルじゃなくなっただとか……」

霧切「おかしくなんてないわ。貴方のアイドルとしての素質は素晴らしい。」

霧切「それも舞園さやかを超えるくらいにはね。」

苗木「それにボク、アイドル活動なんてやってないし……ねえ、ドッキリなんだよね?舞園さんがいなくなるなんて、そんな訳……」


霧切「……記憶喪失。」

苗木「えっ」

霧切「苗木くん。あなた記憶喪失なんじゃないかしら?」

苗木「記憶……喪失……っ?!」

霧切「私の記憶では、ここ一年間ずっと、貴方は必死に新米アイドルとして努力していたわ。」

霧切「その記憶がすべて抜け落ちているなんて不自然すぎるもの。一昨日あったことを度忘れするなんてレベルじゃない。」

霧切「だから、苗木くんは何者かの手によって記憶を消されてしまった。」

霧切「こう考えるのが一番自然よ。」


苗木「記憶を……。」

霧切「……ごめんなさい、昨日耳を傾けていればよかったわ。」

霧切「こうなると、仕事を続けるのは記憶が戻るまで難しいかしら……。困ったわね。」

苗木「……な、なんかごめん。」

霧切「ごめんなさい。他の仕事はなんとか都合をつけてみるけれど……、まこぴょんライブだけは難しいと思うわ。もうホールも借りてしまったし、チケットも売り捌いてしまったの。」

霧切「苗木くん、なんとかまこぴょんライブだけでも頑張ってみてくれないかしら。」

苗木「……」


苗木(……記憶喪失…)

苗木(そう考えればボクと周りのみんなの反応の違いにもうなづける。)

苗木(ボクなんかが超高校級のアイドル、なんて考え辛いし、あり得ないと思う。)

苗木(でも十神くんがマネージャー、霧切さんがプロデューサー。江ノ島さんみたいな超高校級の才能を持つ人に教えてもらえるレッスン。)

苗木(ボクじゃなく、みんなの力を合わせた結果だと考えれば、おかしいこともないのかもしれない)

霧切「……苗木くん……」

苗木(なによりも、彼女が困った顔をしている)

苗木(……まだ、みんなに騙されてるんじゃないかって気持ちもある。……けど!)


苗木「分かったよ、霧切さん。」

苗木「ボクなんかで出来るかは分からないけど……ボク、やるよ!」

霧切「苗木くん……!」

苗木「だから、任せて。一年間の記憶がないボクなんて頼りないかもしれないけど……」

霧切「大丈夫よ。記憶にはなくても、体が覚えているはずだもの。」

霧切「ふふ、苗木くんのくせに生意気よ。……でも、助かったわ。」

苗木「霧切さん……」

霧切「記憶喪失のことはみんなには私から話しておくわ、任せなさい。」

霧切「苗木くんは音楽室に行って頂戴。レッスンの相手を待たせてあるから。」


苗木(そう言って、霧切さんはどこかへ歩いていってしまった。)

苗木(ボクが超高校級のアイドル……)

苗木(ついていけないことばかりだけど、みんながボクに期待してくれていることだけは分かる。)

苗木(だからボクは、みんなに期待に応えなくちゃいけない!)

苗木(なるんだ!超高校級のアイドルに……!!)


苗木(それからの日々は早かった。)


山田「苗木誠殿!!ライブのTシャツが出来ましたぞ!!」


苗木(毎日多くの超高校級の仲間たちが集まって、)


腐川「あんたのために、あたしがわざわじ歌詞を書いてあげたのよ。ふふ、ふふふ……有難く思いなさい……。」


苗木(次々にボクのアイドルのステージが整えられていった。)


朝日奈「苗木!水の中での特訓はね、グーンと効果が増すんだよ!」


苗木(そして……)





十神「苗木、ついにこの日が来たぞ
。」


苗木(それからの日々は早かった。)


山田「苗木誠殿!!ライブのTシャツが出来ましたぞ!!」


苗木(毎日多くの超高校級の仲間たちが集まって、)


腐川「あんたのために、あたしがわざわじ歌詞を書いてあげたのよ。ふふ、ふふふ……有難く思いなさい……。」


苗木(次々にボクのアイドルのステージが整えられていった。)


朝日奈「苗木!水の中での特訓はね、グーンと効果が増すんだよ!」


苗木(そして……)




十神「苗木、ついにこの日が来たぞ
。」


十神「苗木、ついにこの日が来たぞ
。」

十神「お前はこの一週間、記憶喪失というハンデに負けず、実にレッスンを努力し続けた。」

十神「この俺が褒めてやる。有難く思うんだな。」

苗木「十神クン……!」

霧切「ええ、貴方は本当によく頑張ったわ。さすが超高校級のアイドルといったところね。」

霧切「お疲れ様、……でも、これからが本番よ。」

苗木「霧切さん……!!」

桑田「まあ頑張って来いよ苗木!こんなチャンス二度とねーぜ!」

苗木「桑田クン……!!うん、頑張るよ!」

霧切「……」ギロッ


不二咲「霧切さん!照明の準備は万端だよぉ!」

アルターエゴ『ボクとご主人タマに任せてねぇ!』

霧切「ありがとう、不二咲さん。」

大神「会場の警備は我と戦刃に任せろ。」

戦刃「苗木くん、不審者は必ず仕留めるから安心してね。楽しみにしてるから……。」

苗木「ち、ちょっと!仕留めるって危ないことはしないでね?!……でも、ありがとう。大神さん、戦刃さん。」

葉隠「苗木っち、今日のライブは大成功と見た!この占いは10割当たると保証するべ!」

苗木「葉隠クン……!うん、必ず成功させてみせるよ!」



苗木(みんなの期待が詰まったこのライブ!)

苗木(必ずボクが成功させてみせる!!)


苗木(希望は前に進むんだ!!!)




苗木誠 ON STAGE!!





まこぴょん『みんなーー!今日はボクのステージに来てくれてありがとうーーー!!』

ワーーーーーーー!!


苗木(眩しいライトの光。湧き上がる歓声。緊張より興奮が勝ち、体が軽いのを感じる。)


まこぴょん『今日はみんなに会えてすっごく嬉しいよ!!!』


苗木(一週間、毎日毎日レッスンに明け暮れた。)

苗木(ボクの一週間がどれ程の価値があるかなんて検討もつかないけど)


まこぴょん『じゃあ早速いくよ!!再生-rebuild-!!』

キャーーーーーーーーー!!!!


苗木(この一週間を無駄にだけは、しない!!!)


MAKOPYON!! MAKOPYON!!!

ワーーーーーーー!!

キャーーーーーーーーー!!!!




・・・・・・・・・



霧切「成功、ね。」

十神「ああ、そうだろうな。俺がここまで手を貸したんだ。失敗などあり得ん。」

十神「それにしても、一週間であそこまで変わるものなのだな。見違えたぞ。」

霧切「彼の努力の成果よ。苗木くんは、凄い人だから。」


霧切(……私の願い、それはただひとつ……苗木くんのアイドル姿をカメラに収めること。)

霧切(我ながら作戦は完璧だったわ。)

霧切(けれど、私と同じ望みの者、ただ単に面白そうだと言う者。理由は様々ではあるけれど、こんなにも賛同してくれる人がいるのは嬉しい誤算だったわ。)

霧切(ありがとう、こうやって成功したのはみんなのお陰よ。)

霧切(私はこのクラスに居られることを誇りに思うわ。)

霧切(……これは、舞園さんが泊まりがけの映画の撮影で学校に来られない6日間を利用した作戦だったの。)


霧切(まず初めは日曜日。苗木くんは出掛ける直前の舞園さんから突然の真実を告げられる。)

霧切(そしてその後、極めて冗談を言わなさそうに十神くん、セレスさん、そして私の三人から自分がアイドルだと告げられるわ。)

霧切(そこで苗木くんは相当な疑心暗鬼に襲われるはずよ。)

霧切(けれど前向きな苗木くんのことだから、明日の学校に舞園さんが来れば……だなんて考えるでしょう。)

霧切(けれどその希望は、逆にそれを砕くことで更に苗木くんの疑心暗鬼を増幅させる。)

霧切(舞園さんは勿論映画の撮影で学校を休むし、泊まりがけだから宿舎にも帰ってこない。)

霧切(あとは昨日と同じように、協力者から苗木くんがアイドルだと告げるだけでこのステージは仕上がるわ。)

霧切(嘘をつけなさそうな上にこの作戦に乗ってくれなさそうな石丸くんは、苗木くん同様に嘘の真実を告げて信じさせることにしたのだけど……)

霧切(彼、苗木くん以上に騙されやすいから……、舞園さんが肯定を示した途端に完全に信じてくれたわ。大丈夫なのかしら。)

霧切(そして、その状況に弱った苗木くんに、私が逃げ場を与えてあげる。)

霧切(“記憶喪失なんじゃないかしら”、とね。)


霧切(案の定、その言葉にすがった苗木くんは、自分が記憶喪失であると信じてしまった。)

霧切(あとはうまいことアイドルらしいレッスンを受けさせ、ボロが出ないように取り繕うだけ、……これが一番難航したわね。)

霧切(苗木くんが、協力者ではない他の生徒や家族と話してしまったり、インターネットを触ってしまえばおしまいだもの。)

霧切(これはレッスンをよりハードに厳しくすることで、部屋に帰ってすぐ寝るように仕向けたわ。)

霧切(正直ここは不安でもあったけれど、現にこうやって苗木くんは笑っている。素晴らしい笑顔でステージを駆け回っている。)

霧切(彼のこの笑顔が私を正しかったのだと教えてくれる。)




霧切(苗木くん。彼は正に、私にとって超高校級の希望。他ならないわ。)







苗木(昨日は楽しかった!アイドルってこんなに楽しい職業なんだ!)

苗木(アイドルを大切に思っている舞園さんの気持ちもすごくよくわかったよ!)

苗木(よし、これからボクも、たくさんレッスンしてもらって、より舞園さんのようなアイドルになれるように頑張ろう!)


苗木「おはよう霧切さん!!」

霧切「あら、おはよう。元気そうね。」

苗木「うん勿論!それよりさ霧切さん、ボクをもっと舞園さんのようなアイドルになれるように」

舞園「おはようございます!」


霧切「おはよう、舞園さん。」

舞園「霧切さんおはようございます。苗木くんも、おはようございます!」

苗木「えっ……、舞園さん、キミ転校したんじゃ……」

舞園「えっ、なに言ってるんですか?……もしかして苗木くん、私に転校して欲しかったりします?」

苗木「そ、そうじゃないけど……、き、霧切さん!」

霧切「それでええと、要件はなんだったかしら?アイドルがどうしたの苗木くん。」

舞園「あっ、もしかして苗木くんアイドルになりたいんですか?任せてください、私の下積み時代の経験全部お教えしますから!」

苗木「」

苗木「なっ……なっ……!」







苗木「やっぱりドッキリだったんじゃないか!!!!」




おしまい

支援に励ましありがとうございました!

とりあえず完結という形に持っていけましたので、これでおしまいということにさせていただきます。
短い間でしたがありがとうございました!

html化依頼出してきます

html化依頼スレの>>886さんありがとうございましたヽ(;▽;)ノ無能ですみません!!!

コメントもありがとうございました!それでは本当に失礼します!

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