~七森商店街~
結衣「たまご、お砂糖、牛肉……」
結衣「まぁこんなもんかな、あとメモには……」
結衣「あ、ラムレーズンか」
結衣「いや、確かラムレーズンは買い置きがあと2ダース分あるし」
結衣「うん、買い物はおしまいかな」
結衣「……最近家計がちょっとキツイんだよな」テクテク
結衣「節約してると思うんだけど……ま、いいか」
楓「お、おねえちゃん、櫻子おねえちゃんどこ……」グスッ
結衣「……おや」
結衣「……」
楓「お、ねえちゃん……どこっ」グスッ
ヒソヒソ ザワザワ
結衣「(可愛そうに、こんな小さい子が迷子だってのに)」
結衣「(……だれ一人声をかけようとしないなんて)」
楓「うっ、ひっく、おっねえちゃん……」ポロポロ
結衣「……見てられないな」
結衣「こんにちは、家族の人とはぐれちゃったのかな?」
楓「……こ、こんにちは」グスッ
結衣「えっと、私の名前は結衣、船見結衣です」
楓「結衣おねえちゃん……」
結衣「うん、七森中学校の二年生だよ」
楓「ほ、ほんと?」
結衣「ほら、これが学生証、信じてもらえるかな」
楓「……おねえちゃんたちと一緒の学校の人なの」
結衣「そっか、そのお姉ちゃんたちとはぐれちゃったんだね」ナデナデ
楓「……うん」
結衣「そうだ、キミのお名前教えてもらえるかな?」
楓「えっと、楓、古谷楓……なの」
結衣「楓ちゃんか、素敵なお名前だね」
結衣「……1人で怖かったよね」ナデナデ
楓「……」グスッ
結衣「……私に楓ちゃんの家族見つけるの手伝わせてもらえるかな?」
楓「……ほ、ほんとうにいいの?」
結衣「うん、絶対見つけてあげるよ」
楓「あ、ありがとう、結衣おねえちゃんっ!」
結衣「うーん、近くに交番とかあればいいんだけど」
結衣「ちょっと歩きながら探してみようか」
結衣「……はぐれちゃいけないし、手貸してくれるかな?」
楓「えへへ」ギュッ
結衣「……良かった、やっと笑ってくれたね」
結衣「あれ、確か楓ちゃんの名字は古谷って言ってたけど」
結衣「お姉ちゃんの名前、もしかて向日葵……?」
楓「うん、そうなの」
結衣「あはは、そうなんだ」
結衣「確かに目のあたりなんか似てるもんね」
結衣「……良かった、古谷さんとは顔見知りなんだ私」
楓「おねえちゃんのこと知ってるの?」
結衣「うんうん、生徒会で頑張ってるよね」
楓「そうなの、頭も良くて優しくてね、お料理も上手で」
楓「楓の自慢のおねえちゃんなのっ!」
結衣「ふふふ、そうなんだ、お姉ちゃんが大好きなんだね」ナデナデ
楓「えへへ」
結衣「……交番も見当たらないな」
結衣「そうだ、どこら辺で迷子になったか分かる?」
楓「ええっと……」
楓「そこの雑貨屋さんで気づいたら1人になってたの」
結衣「……ここの雑貨屋さんか」
楓「楓ね、このお店大好きなの」
結衣「ふふ、かわいい小物がたくさんあるもんね」
楓「うんっ!」
結衣「楓ちゃん、なにか欲しいモノでもあったの?」
楓「……これと、これ」
結衣「わあ可愛いね、向日葵と桜のヘアピンか」
結衣「ふふ、楓ちゃんにきっと似合うと思うよ」
楓「……ううん、楓のじゃないの」
楓「おねえちゃんと、櫻子おねえちゃんに付けてもらいたくて」
結衣「古谷さんと大室さん……」
結衣「……なるほど、だから向日葵と桜なんだね」
楓「うんっ!」
楓「あのね、2人ともいつもケンカしてるの」
楓「お互いきっと両想いなのに、にぶちんだから」
楓「いつもつまらないことで意地はっちゃって……」
楓「だから……」
結衣「……2人がコレをプレゼントし合えば、って考えたんだね」
楓「そうなのっ!」
結衣「……いい子だね、楓ちゃんは」ナデナデ
楓「えへへ、だから楓ね、頑張ってお小遣い溜めてるの」
結衣「……そっか」
これはまた珍しい組み合わせだ
楓「きっとおねえちゃんたち喜んでくれるよねっ?」
結衣「そうだね、絶対喜んでくれるよ」ニコッ
楓「えへへ……ゆ、結衣おねえちゃん」
結衣「うん?」
楓「お、おトイレ行きたい……」
結衣「ああ、すみません、トイレ貸していただけますか?」
店員「ええどうぞ、こちらです」
楓「はーい」トテトテ
結衣「向日葵と桜、か……」
結衣「ふふ、ほんとにお姉ちゃん思いの良い子だ」
結衣「……私からのプレゼントだよ、楓ちゃん」
結衣「すみません、この向日葵と桜のヘアピンいただけますか」
店員「はい、ありがとうございます!」
店員「……お待たせいたしました!」
結衣「どうもありがとう」
結衣「……あ、私が買ったこと、あの子にはまだ秘密にして下さいね」
店員「もちろんです」ニコニコ
楓「結衣おねーちゃんっ!」
結衣「っと、一人で出来るなんてエライエライ」ナデナデ
楓「えへへ、楓もう大人だねっ!」
結衣「うーん、さすがにまだ子供かな」
結衣「……それじゃ、古谷さんたち探しに行こうか」
楓「うんっ」
結衣「……」ペコッ
ともこ「ありがとうございました!」
ともこ「……ふふふ、いいもの見せてもらっちゃった」
ともこ「赤座さんにあとで話してあげようっと♪」
結衣先輩をロリコン言ってるとピンク髪のもふもふが襲ってくるぞ?
結衣「……そうだ、あかりなら古谷さんの連絡先知ってるかも」
結衣「携帯、携帯っと」ゴソゴソ
結衣「あ……」
楓「ゆ、結衣おねえちゃんどうしたの?」
結衣「ゴメン、携帯家に忘れちゃったみたいだ……」
結衣「携帯あったらすぐ古谷さんたち見つかったのに」ポリポリ
結衣「ほんとゴメン、もう少し我慢してね楓ちゃん」
楓「……えへへ」
楓「なら、結衣おねえちゃんともう少しお話しできるねっ!」
結衣「ふふ、ありがと」
結衣「すみません、この辺で女子中学生の二人組を見ませんでしたか?」
結衣「片方の髪色は紺色、もう片方は金髪の……」
モブ「うーん、見覚えがありませんね」
結衣「そうですか、ありがとうございました」
結衣「……あの、すみませんこの辺で」
モブ「ごめんなさい、先を急いでるので」
結衣「……いえ、失礼しました」
楓「……」グスッ
楓「……ふう」
結衣「楓ちゃん、そこの公園でちょっと休もっか」
楓「ううん、楓まだ歩けるよっ」ニコッ
結衣「無理しちゃだめだよ」
結衣「……ここの公園なら人目に付きやすいから」
結衣「古谷さんたちが私たちを見つけてくれるかもしれないし」
楓「……うん」
楓「……」
結衣「楓ちゃん元気出して、すぐ古谷さんたちに会えるから」
楓「あ、えっと……」
結衣「それとも、他になにか心配事があるのかな?」
楓「……結衣おねえちゃん」
楓「どうして、おねえちゃんと櫻子おねえちゃんは喧嘩しちゃうかな」
楓「……2人ともどうして好きって言えないの?」
結衣「……難しい質問だね」
楓「おねえちゃんたちね、子供のころからずーっと仲がいいの」
楓「小さいころに婚姻届けも書いたって」
楓「……それくらい仲がいいの」
結衣「ふふ、婚姻届けか……でも今は喧嘩しちゃうんだね」
楓「そうなの、どうして喧嘩しちゃうのかな……」
結衣「……楓ちゃん、喧嘩するほど仲がいいって言葉を知ってるかな?」
楓「……喧嘩しちゃうのに仲がいいの?」
結衣「うん、確かに変な言葉に聞こえるかもしれないけど」
結衣「お互いが本当に嫌いだったら、口も聞かないと思う」
結衣「……相手を信頼しているから、本音を言い合えるんじゃないかな」
結衣「古谷さんと大室さんはね、きっと素の自分を出してるんだよ」
結衣「だから遠慮しないで言い合える」
結衣「それは相手を信頼しきってないと出来ないことなんだ」
結衣「喧嘩になっちゃうけど、きっと2人とも……」
結衣「……っと、まだ楓ちゃんには難しかったかな」
楓「……ううん」
楓「おねえちゃんたち、喧嘩しちゃうくらい仲がいいってことだねっ」
結衣「そうそう、分かってくれたみたいだね」ナデナデ
楓「えへへ……」
楓「そうだよね、嫌いだったら一緒に寝たりしないもんねっ!」
結衣「……い、一緒に寝る?」
楓「そうなの、お姉ちゃんが櫻子お姉ちゃんを腕枕したり」
楓「櫻子お姉ちゃんが、お姉ちゃんにぎゅっと抱き着いたり」
結衣「……そ、そうなんだ、あはは」
結衣「間違いなく両想いだよその2人は……」
楓「えへへ、だねっ!」
結衣「けど、好きって伝えるのは簡単なことじゃないと思う」
楓「そうなのかな……」
結衣「幼なじみだったらなおさら言いづらいよ」
結衣「断られたら、もう友達としてすら気まずくなっちゃうからね」
結衣「私も同じような感じだから2人の気持ちがよくわか……」
楓「結衣お姉ちゃんも幼なじみに好きな人いるの?」
結衣「ひゃっ!?」
結衣「わ、私は好きな人なんていないよっ!?」
楓「結衣お姉ちゃん声裏返ってるの……」
結衣「あはは、そんなことないよ」
楓「……」ジーッ
結衣「うっ……そ、そうだ楓ちゃんにプレゼントがあるんだ」
結衣「はいコレ、きっと喜んでもらえるよ」ゴソゴソ
楓「こ、これ楓がもらっていいの?」
結衣「うんうん、開けてみて」
楓「……」ゴソゴソ
楓「こ、これ、さっきの向日葵と桜のヘアピンだっ!」
結衣「……ふふ」
結衣「向日葵のほうは大室さんに渡して」
結衣「桜の方は古谷さんに渡すんだよね」
結衣「それでお互いがプレゼントし合って……」
楓「ひっくっ、ゆ、結衣……おねーちゃん……」ポロポロ
結衣「ちょ、ちょっと楓ちゃん!?」
楓「あ、ありがと、結衣お姉ちゃん……ぐすっ……」
結衣「ううん、私が出来るのはここまでだから」
結衣「楓ちゃんはあの2人のキューピットになってあげて」
結衣「……なんか臭いセリフだなぁ」
楓「……えへへ」グスッ
<コラアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
結衣「なんだろうこの声は」
櫻子「楓を泣かせるなあああああああああっ!!!!」
ゲシッ!
結衣「ふぎゃっ!?」
櫻子「……ったく、櫻子キック思い知ったか」
櫻子「こんな小さい子を泣かせる変態がいるなんて、世もすえだな」
向日葵「櫻子、急に走ってどうしたんですの!?」
向日葵「……正確には世もまつですわ」
櫻子「ぐぐ、おっぱい大きいんだから細かいことは気にするな!」
向日葵「はぁ……って楓!……良かった、探したのよ」ギュッ
楓「……」
向日葵「……楓?」
楓「櫻子お姉ちゃんのバカぁあ!!」
櫻子「なんで!?」
楓「結衣お姉ちゃん、結衣お姉ちゃん!!」
結衣「ふにゃ……」
櫻子「ありゃ、船見先輩がどうしてこんなところで寝てるの?」
向日葵「さ、櫻子、あなた、とび蹴り誰かにかましてましたけど……」
櫻子「うん、楓を泣かしてた変態にキックを……」
櫻子「……あれ?」
向日葵「……楓、このお馬鹿は放っておいて船見先輩を運びましょう」
向日葵「船見先輩が楓のこと見ててくれたんですよね」
楓「うん……」
~古谷自宅~
結衣「……あれ、ここは?」
櫻子「ふ、船見先輩、ごべんなさい!!」ガバッ
結衣「うわっ、ちょ、ちょっと大室さん」
向日葵「船見先輩、だいたいの事情は楓から聞きました」
向日葵「本当になんてお礼を言っていいのやら……」
櫻子「本当にごめんなさい……」
結衣「いや、大丈夫だよ」
結衣「大室さんのは、楓ちゃんを思ってのとび蹴りだろうし」
結衣「それに私、体だけは頑丈だからさ」
ひまさく「船見先輩……」
櫻子「はぁ、ほんと船見先輩は人間が出来てるなぁ」
櫻子「どこかの胸だけ星人とは違って」
向日葵「う、うるさいわね!このまな板星人!!」
櫻子「あんだとこのォ!!」
櫻子「だいたい楓が迷子になったのも向日葵のせいだろ」
櫻子「向日葵が偶然あったちなつちゃんと、お話しばかりしてるから!」
向日葵「さ、櫻子だって赤座さんとばかり話してたじゃない……」
櫻子「ぷぷ……なんだ向日葵、おもち焼いてたのかー」
向日葵「は、はぁ?冗談は頭の出来だけにしなさいな」
結衣「ちょ、ちょっと2人とも……」
向日葵「船見先輩、申し訳ないですけどここは譲れません」
向日葵「毎回毎回突っかかってくるんですあの子ったら」
櫻子「そ、それは向日葵が私にかまわないから……」ゴニョゴニョ
向日葵「はっきり言わないと聞こえませんわよ」
櫻子「むぐぐ、とにかく向日葵が悪いんだ!」
ガラッ
楓「ゆ、結衣お姉ちゃん、大丈夫?」
結衣「ああうん、平気だよ」
結衣「それより……」
ひまさく「ギャーギャー!」
楓「また2人ともケンカしてるの……」
楓「ね、ねえお姉ちゃん、櫻子お姉ちゃん」
楓「2人とも仲がいいからケンカするんだよね?」
向日葵「……」
櫻子「……」
楓「2人とも好きだからケンカしちゃうんだよね?」
向日葵「す、好きって……私は」
櫻子「す、好きなワケないじゃん!」
櫻子「向日葵とは仲が悪いからケンカしちゃうんだよ!」
向日葵「な、な……」
>>64
やだ恥ずかしい、逆だった……
>>64 訂正
櫻子「……ったく、櫻子キック思い知ったか」
櫻子「こんな小さい子を泣かせる変態がいるなんて、世もまつだな」
向日葵「櫻子、急に走ってどうしたんですの!?」
向日葵「……正確には世もすえですわ」
櫻子「ぐぐ、おっぱい大きいんだから細かいことは気にするな!」
向日葵「はぁ……って楓!……良かった、探したのよ」ギュッ
楓「……」
向日葵「……楓?」
楓「櫻子お姉ちゃんのバカぁあ!!」
櫻子「なんで!?」
櫻子「そ、そうだよ、私はあかりちゃんが好きなの」
櫻子「向日葵みたいにガミガミうるさいのは、私嫌だもん」
向日葵「そう……」
楓「い、嫌ならどうして一緒にお昼寝したりするの?」
楓「どうして毎日お家に遊びに来るの?」グスッ
楓「櫻子お姉ちゃん……」
櫻子「そ、それは向日葵の匂い嗅いでると安心……」
櫻子「じゃ、じゃなくて、遊びに行けばご飯とかくれるし?」
櫻子「そうだよ、便利屋みたいなもん!」
向日葵「……」
櫻子「わはは、だから向日葵も私とあかりちゃんの仲を応援――」
向日葵「ごめんなさい櫻子、私はあなたの便利屋ではありませんの」
向日葵「もう止めにしましょうか」
向日葵「一緒にご飯食べたり、一緒にお昼寝したり、学校で話したりするのも」
向日葵「赤座さんに誤解されてしまうものね」
櫻子「えっ……」
向日葵「今日はもう帰っていただけます?」
櫻子「な、なんでそんなこと言う――」
向日葵「お願いだから帰って、櫻子」
櫻子「……」
ガラッ パタン
向日葵「……すみません、船見先輩」
向日葵「見苦しいところをお見せしてしまって」
向日葵「いま、お茶でもお持ちしますね……」
結衣「いらないよお茶なんて」
楓「……」グスッ
結衣「……古谷さん、どうして素直になれないの?」
結衣「確かにいまのは大室さんが悪いとは思うけど」
結衣「古谷さんが好きだって言うのを、大室さんは待ってると思うよ」
向日葵「……船見先輩はなにも分かってませんわ」
結衣「どうして、明らかに2人とも両想いじゃないか」
向日葵「100パーセントそう言い切れますか?」
向日葵「船見先輩には分かりませんわ、幼馴染みを好きになる気持ちなんて」
向日葵「……もし思いのたけをぶつけて」
向日葵「ひ、否定されたら、もう友達としてすらギクシャクしてしまうのに」グスッ
向日葵「き、気持ち悪いって言われたら……」
向日葵「……うっ」グスグスッ
結衣「……私もその気持ちは痛いほど分かるよ」
結衣「こっちも同じような幼馴染みがいるからさ」
結衣「……怖いよね、ずーっと一緒だと思ってたのに」
結衣「違う誰かとくっ付いてしまうんじゃないかって」
結衣「でも好きって伝えて拒絶されたら……」
結衣「そんな気持ちの板挟みになっちゃってさ」
向日葵「……歳納先輩のことです?」
結衣「ふふ、さあね」
結衣「きっと大室さんも同じような気持ちだと思うよ」
結衣「100パーセントとは言い切れない」
結衣「けどこのままだったら、大室さんは違う誰かと……」
向日葵「そ、そんなの絶対嫌ですわ!!」
結衣「それなら早く大室さんのところに行かないとね」
向日葵「で、でも私、櫻子にあんなひどいこと言ってしまって……」
向日葵「合わせる顔がありませんわ」
結衣「そうだね、なにかプレゼントでもあればいいんだけど」
結衣「ね、楓ちゃん」
楓「あっ、うん、お、お姉ちゃん、コレ使って!」スッ
向日葵「これ、桜のヘアピン……」
楓「お姉ちゃんから櫻子お姉ちゃんに渡してあげてほしいの」
向日葵「……楓、あなたって子は」ギュッ
楓「お、お姉ちゃん苦しいの……」
結衣「……ふふ」
結衣「楓ちゃん、大室さん呼んできてもらえるかな」
結衣「もちろんさっきみたいに、向日葵のヘアピンを……」ゴニョゴニョ
楓「えへへ、りょーかい、なのっ!」
楓「……」トテトテ
向日葵「楓と船見先輩には頭が上がりません……」
向日葵「本当にありがとうございます」
結衣「……お姉ちゃん思いの本当にいい子だね」
結衣「迷子の時も、2人のこと心配してたよ」
結衣「どうしてケンカしちゃうのかな、どうして好きって言えないのかな、って」
向日葵「……そうですか」
向日葵「楓は、私の自慢の妹ですわ」ニコッ
結衣「ふふ、そっか」
結衣先輩いいお姉ちゃん
ガラッ
櫻子「……向日葵」
向日葵「さ、櫻子……」
結衣「おっと、私たちは外で待ってようかな」
楓「うんっ!」
向日葵「す、すみません……」
ガラッ
結衣「……楓ちゃん、紙コップ大至急持ってきて」
楓「はーい!」
楓「持ってきたの!」
結衣「じゃあその紙コップにおしっこするんだ」
楓「はいなの!」
櫻子「嫌いじゃないもん!」
楓「結衣お姉ちゃん、はい紙コップだよっ!」
結衣「ああ、どうもありがとうね」
結衣「……」イソイソ
楓「結衣お姉ちゃん、戸に紙コップ当ててどうしたの?」
結衣「良い子だから、静かにしててね」
結衣「……やっぱやめとくか」
結衣「盗み聞きなんて間違いなく京子と行動被っちゃうし」
結衣「……ま、あの調子なら上手くいくだろうな」
ガラッ
向日葵「あ、あの、楓、船見先輩」
櫻子「えへへ、このヘアピン似合ってます!?」
結衣「2人とも、よーく似合ってるよ」
結衣「その様子じゃうまく仲直り出来たみたいだね」
櫻子「いやいや、仲直りどころか」
結衣「?」
櫻子「……」チュッ
向日葵「な、な、なにするのよ櫻子!!」
櫻子「こういう仲になっちゃいました」
楓「……はわわ」
結衣「へえ、良かった良かった」
結衣「あかりやちなつちゃんにいいお土産話ができたよ」
向日葵「ちょ、ちょっと絶対に言わないで下さいね船見先輩!?」
櫻子「えーなんでだよ、どんどん言ってもらったほうがいいじゃん!」
向日葵「な、なんでよ!?」
櫻子「広まったら、向日葵に言い寄る人がいなくなるし」
櫻子「私だけの向日葵になるじゃん?」
向日葵「……ですの」
結衣「いやーいいもの見せてもらったよ」
向日葵「……次は船見先輩の番ですわ」
結衣「へ?」
ひまさくと結京をやるというのか
櫻子「どういうこと、向日葵」
向日葵「うふふ櫻子、船見先輩も幼なじみに恋してるんですって」
櫻子「はーん……なるほどねえ」
結衣「ちょ、ちょっと2人とも……」
向日葵「これは私たちも協力してさしあげませんと」
櫻子「いけないよなー」
楓「結衣お姉ちゃん、正直になったほうがいいの!」
櫻子「歳納先輩ここに呼んじゃいましょうよ」
向日葵「あら櫻子、それはいい考えですわ」
結衣「ちょ、ちょっと待ってよ!!」
あかり「結衣ちゃんの幼なじみ・・・」ドキドキ
結衣「そもそも私が京子を好きなんて言ってないよね?」
結衣「アイツとはただの腐れ縁で幼馴染み」
結衣「ただそれだけだよ」モフ
櫻子「座布団で顔隠しちゃったよ……」
向日葵「てっきりクールな方かと思ったら」
櫻子「杉浦先輩より分かりやすい人だったんだ」
櫻子「そうだ、先輩のケータイ貸して下さいよ」
櫻子「歳納先輩ここに呼ぶんで」
結衣「はは、残念だったね、今日は携帯家にわすれちゃ」
ゴーユルリット ニャニャニャー
向日葵「あれ、この着信って」
結衣「……」
結京か結あかか
櫻子「……このケータイから鳴ってるけど」
向日葵「歳納先輩から着信が来てますわね」
結衣「……」ダラダラ
櫻子「冷や汗出してないで、早く出てあげたほうが……」
結衣「……もしもし」
結衣「ああ、うん」
結衣「……」
結衣「い、いやいいよ、バレンタインのお返しなんて!!」
櫻子「……」ニヤッ
向日葵「……」ニコッ
京子→櫻子の呼び方がよく分からない
ちっぱいちゃん?
ちっぱいちゃんか櫻子ちゃん
ひまっちゃんみたいにあだ名にするのだろうか
>>170
サンクス、後者でやってみるわ
結衣「うんうん、また今度でいいからさ」
結衣「いま家にいないんだよ、そうそうだから――」
櫻子「むふふ」ガバッ
結衣「こ、こら私の携帯!」
櫻子「向日葵、楓、船見先輩は抑えておいてくれ!」
ひま楓「ラジャー、ですわ、なの!」
結衣「こ、こらあ!!」ジタバタ
京子『あ、もしもし、歳納先輩ですか?』
京子『おおう、その声はちっぱいちゃん?』
櫻子『もーそのちっぱいって止めて下さいよ!』
>>170自分はSSでさくらっちゃんと呼ばせたことがあるが後々考えてみたら言い辛かった
普通に櫻子ちゃんじゃないのかね
京子『あはは、わりーわりー』
京子『あ、あれところで、なんで結衣の携帯に櫻子ちゃんが』
櫻子『いやーそれが、結衣先輩にはキューピットになっていただきまして』
櫻子『私たちもキューピットになれたらなと思って』
京子『へ?』
櫻子『あ、いや、えっと、いま向日葵の家にいるんですけど』
櫻子『良かったら歳納先輩も遊びに来ませんか?』
京子『うおーマジで!?絶対行くよ!』
櫻子『すぐ近くにコンビニがあるんでそこに来て下さい!』
京子『うはは、りょーかい!』
櫻子「……と言うことです、船見先輩」
結衣「……こんなのあんまりだ」シクシク
これでフラれたら地獄やな
>>179そのときは・・・ほらもう一人の幼なじみをだな
結衣「……か、帰る」
櫻子「ダメですよー、船見先輩!」
櫻子「私、歳納先輩迎えに行ってくるからね!」
向日葵「……あ、あの、船見先輩」
向日葵「つい櫻子の悪乗りに乗っかってしまいましたけど」
向日葵「私たち本当に感謝してますの」
向日葵「先輩には素直になって幸せになってほしいんです」
向日葵「だから……」
結衣「……確かにここで逃げたら説得力なくなっちゃうもんな」
結衣「……」
結衣「せめてアイツと2人きりにさせてくれるかな」
向日葵「ええ、もちろんです」
俺の櫻子が幸せになっただけで満足だ
うふふ、あかりはちゃんと幸せにするから大丈夫よ
>>186お姉さんはお帰りください
京子「へえ、ここがひまっちゃんの家かー」
櫻子「おっぱい同様なかなか立派ですよね!」
京子「あはは、櫻子ちゃんは面白いなぁ」
櫻子「この部屋にみんないますよーっと」
ガラッ
結衣「……」
櫻子「あれ、船見先輩1人……ああなるほど」
櫻子「それじゃごゆっくりーっと」
京子「おっとっと、急に押しちゃ危ないよー」
パタンッ
緊張してきた・・・結衣が
向日葵「櫻子、コレ紙コップですわ」
櫻子「おー、さすが向日葵、盗み聞きするつもりだな」
向日葵「あなたも同じこと考えてたでしょうが」
櫻子「へへへ、まあね」
ひまさく「……」スッ
結衣『悪いな京子、古谷さんの家に呼んじゃって』
京子『いや、いいんだよ、にしても意外だったなー』
結衣『へ、なにが?』
京子『ひまっちゃんと結衣がそこまで仲良かったなんてさ』
京子『家に呼んで遊ぶくらい仲がいいとはねぇ……』
結衣『い、いや、そういうワケじゃ……』
おいこら、盗み聞きするのか
結衣『……』
京子『……ま、いいけどさ』
結衣『でもバレンタインのお返しなんて無理しなくても良かったのに』
京子『にしし、今日はホワイトデーだからな』
京子『……一つ質問していいかな、結衣』
結衣『あ、ああいいよ』
京子『……あ、あのさ、結衣がくれたチョコって義理?それとも本命?』
結衣『え……そのあのチョコは』
櫻子「がんばれー船見先輩」ボソッ
向日葵「脈ありですわ、船見先輩」ボソッ
ごめん飯です、30分くらい
こんないいところでご飯とは・・・
あかり「わぁいオムライス あかり結衣ちゃんのオムライス大好き」
京子「もちろん義理だ!^^」
結衣ちゃんのために頑張るよぉ!
京子『なんかね、あかりとちなつちゃんのと大きさとか違ったし』
京子『もしかしたらって、ずーっと考えてたんだ』
京子『もちろん……ぎ、義理だよね、あはは』
結衣『……』
結衣『違う、義理なんかじゃない!!』
京子『ほ、ほんと?』
京子『い、言わされてるとかじゃない』グスッ
結衣『……あれは本命だよ、京子』
結衣『……ずっと好きだったんだ京子のことが』
櫻子「いやー甘酸っぱいですなぁ」ギュムッ
向日葵「ちょ、ちょっとくっ付きすぎですわ櫻子……」
結衣『本当は子供のころからずっと好きだったのかもしれない』
結衣『でも、ずっと逃げてた』
結衣『京子に好きだって言って、断られたら……って』
結衣『それが怖くて、今までこの気持ちから逃げてばかりいた』ギュッ
京子『えへへ、ゆ、結衣……温かいや』
結衣『もう離さない、大好きだよ京子』
京子『私も大好きだよ、結衣』
京子『あ、えっと、バレンタインのお返しするからちょっと目閉じてて?』
結衣『え……うん』
京子『ん……』チュッ
結衣『……ん……』
櫻子「そっと戸を開けたら先輩たちがキスしてた」
向日葵「……すごいですわ」
キマシだよぉ
京子『えへへ、結衣は私のもんだからな』
結衣『はいはい、お前も浮気したら許さないからな』
京子『浮気なんかしないもん!』
京子『……もーいっかいキスするー』チュッ
結衣『ん……』
京子『ぷは、結衣、ぎゅーってして!』
結衣『はいはい』ギュッ
京子『結衣の匂い大好き……』
結衣『ふふ、私も京子の匂い大好きだな』チュッ
櫻子「私も向日葵の匂い大好きー……」
向日葵「あーもう、引っ付きすぎですわ……」ギュッ
櫻子「と言いつつぎゅっとする向日葵であった」
向日葵「……うるさい」
櫻子「ねーねー、昔みたいにひまちゃんって呼んでいい?」
向日葵「ええ……さすがにそれはちょっと」
櫻子「ひーまちゃん」
向日葵「……」
櫻子「悪くないって顔してる、へへへ」ギュッ
向日葵「さ、さーちゃん……」
櫻子「くふふ、ずっと一緒だからな、向日葵」
向日葵「ええ、すっと一緒ですわ、櫻子」
ガラッ
結衣「廊下で抱き合うとはなかなかレベルが高いな」
京子「こりゃ私たちも負けてられませんなー」
ひまさく「……」
フヘヘ
2ダースって24個だよな?
え?
>>242ハーゲンダッツのラムレーズンを200円だとすると4800円
なんだゆるゆりのDVDより安いじゃないか
向日葵「あ、えっと、先輩方これはその……」
櫻子「いやー、先輩たちのキスが素晴らしかったので」
結衣「……しっかり見てたんだね」
京子「は、恥ずかしい……」
向日葵「……でも上手くいったようでなによりですわ」
結衣「うん、おかげでしっかり伝えられたよ、京子に好きだってね」
京子「や、や、改めて言うの恥ずかしいから禁止!!」
櫻子「あはは、歳納先輩、顔真っ赤ですよ!」
京子「……ちくしょー結衣のやつ」
結衣「それじゃ私たちこのへんで失礼させてもらうよ」
京子「だね、そろそろご飯の時間だし」
櫻子「えーもう帰っちゃうんですか?」
櫻子「良かったら晩ご飯食べていってくださいよ!!」
向日葵「ええ、お時間さえあればぜひ」
結衣「……どうする?」
京子「もちろん食べて行きます」ビシッ
結衣「即答か」
いいぞ
結衣「……まあこうなるのは予想できたけどね」
向日葵「ですね」
京子「いやー結衣とひまっちゃんの料理楽しみだなー」ゴロー
櫻子「ですねー」グダー
京子「結衣のオムライスってね、ほんと美味しいんだよ!」
櫻子「いやいや、向日葵のスープも絶品ですよ!」
結衣「わ、悪い気はしないけどさ」
結衣「……ちょっと照れるかな」
向日葵「ふふ、船見先輩、顔真っ赤ですね」
結衣「古谷さんもね」
向日葵「……こほん」
結衣「楓ちゃんの分はこれくらいで大丈夫かな?」
向日葵「ええ、大丈夫です、ありがとうございます」
結衣「おーい、出来たぞだらだらシスターズ」
京子「呼んでるよ、櫻子ちゃん」
櫻子「えっと、歳納先輩のことじゃないんですか?」
向日葵「早く来ないとご飯抜きになりますわよ」
京子「はーい!」
櫻子「すぐ行きまーす!」
京子「えへへ、ケチャップでLOVEだってさ」
櫻子「くふふ、こっちは大きなハートですよ」
結衣「……」
向日葵「……」
楓「2人ともリンゴさんみたいに顔真っ赤だねっ!」
櫻子「おや楓、今までどこに行ってたんだ?」
楓「花子お姉ちゃんと遊んでたのっ!」
京子「ひまっちゃんの妹さん?」
櫻子「はい、楓って言うんです」
京子「へえこんばんは、京子だよん!」
楓「知ってるよ、結衣お姉ちゃんの恋人さんだよねっ!」
京子「……」
ニヤニヤ
楓「わあ、オムライスとスープ美味しい!」
結衣「ほんと?喜んでもらえて良かったよ」
櫻子「……くふふ、いいこと考えちゃった」
櫻子「楓、ちょっと耳貸して」
楓「え、どうしたの櫻子お姉ちゃん」
櫻子「……」ゴニョゴニョ
楓「うん、分かった」
楓「結衣お姉ちゃん、京子お姉ちゃんのどこが好きなの?」
結衣「なっ……!?」
京子「ほほう……」
ほほう・・・
結衣「な、なんで、いきなりそんなこと……」
楓「ごめんなさい迷惑だったよね……」
結衣「い、いや、楓ちゃんは悪くないよ」
京さく「……」ニヤニヤ
結衣「ぐっ……」
結衣「一言で言うと、優しいところかな」
結衣「この間風邪引いたときも、わざわざ家に寄ってくれたし」
結衣「私のことをいつも一番に考えてくれてる」
結衣「一人暮らしも京子のおかげで寂しくなかったんだ」
結衣「……ありがとう、大好きだよ」
京子「……あ、いえ、こちらこそ」
ひまさく「(なんだこのバカップル)」
結衣「……楓ちゃん」ゴニョゴニョ
楓「うん、任せて!」
櫻子「なんか嫌な予感が……」
楓「櫻子お姉ちゃん、お姉ちゃんのどこが好きなの?」
櫻子「ぐぬっ……」
京子「ぷっ、そりゃいいや、みんな聞きたいよね」
結衣「ああ、ぜひ聞きたいな」
向日葵「自業自得ですわ、往生なさいな」
櫻子「むむむ……」
櫻子「ひ、向日葵のことなんて……」
櫻子「だ、大好きだもん!」
向日葵「……そ、そうですの」
櫻子「いつも私に勉強教えてくれたり」
櫻子「いつも私に美味しいご飯食べさせてくれたり」
櫻子「……いつも優しくしてくれるもん」
櫻子「だから向日葵は、ずーっと私といるんだからな!」
櫻子「浮気なんかしたら絶対許さない!!」
向日葵「し、しませんからそんなこと」
向日葵「私が好きなのは櫻子1人だけですもの」
櫻子「そっか、へへへ」
結京「(なんだこのバカップル)」
結衣「京子、そろそろ帰ろうか」
向日葵「すみません、お皿洗いまで手伝ってもらって」
京子「なあに、私はなにもしてませんよ」
結衣「ああ、ほんとにテレビを見てるだけだったな」ムニムニ
京子「ほっぺむにょーん」
櫻子「先輩たち、また遊びにきてくださいね!」
京子「こんどは結衣の家に遊びにおいでよ」
結衣「うん、そうだね」
結衣「ふふ、もちろん楓ちゃんも連れてね」
向日葵「はい、ぜひ!」
櫻子「絶対行きます!!」
結衣「……もう少しで4月だっていうのに冷えるな」
京子「結衣、もっと寄り添っていい?」
結衣「当たり前だろ、もう気にするような仲でもないし」ギュッ
京子「……そっか、だよね」
京子「結衣はいま幸せ?」
結衣「……幸せだよ、京子の隣を歩けて」
結衣「京子の恋人になれて」
京子「えへへ、私も幸せー」
結衣「……今度古谷さんたちと遊びに行こうな」
京子「えへへーだね、アナタ」
結衣「その呼び方はやめろ」
京子「あーん、いけずうー」
おしまい!
ひまさくは書くの初めてだったから口調おかしいとこあったらごめん
結衣ちゃんとひまさくを絡ませたかった、後悔はしてない、乙でした
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