京子「結衣ってヤンデレっぽいよね」(167)
結衣「はぁ、なんだよ藪から棒に」
京子「なんとなーくそう思った」
結衣「私がヤンデレねえ」グダー
結衣「いまいちパッとしないなあ……」
京子「んー例えばだよ」
京子「幼少のころに自分に引っ付いてた気弱で人見知りな幼なじみがさ」
京子「気付いたらクラスで人気者の明るい子に大変身して」
京子「どんどん知らない子と仲良くなっていって」
京子「……自分だけの幼なじみじゃなくなったら結衣はどうする?」
結衣「ず、ずいぶんと具体的なシチュエーションだな」
京子「結衣なら思い当たる節があると思うぞー」
結衣「……はて」
京子「またまたすっとぼけちゃってさぁ、このこの」ギュ-
結衣「引っ付くな暑苦しい」
結衣「……まぁ確かに寂しいとは思うだろうね」
結衣「ずーっと一緒だと思ったのに離れていっちゃうなんて」
京子「でしょでしょ!」
京子「……頭もいいから県トップの高校に進学していく幼なじみ」
京子「……どんどん離れていく2人」ウルウル
京子「寂しいよな!きゅんきゅんするよな!?」スリスリ
結衣「あーもう犬かお前は、引っ付きすぎだ!」
京子「へへへ、結衣ならきっと病んじゃうだろうなぁ」
京子「部屋に監禁しちゃったり、ストーカーしちゃったりさぁ」ギュー
結衣「おいなんだそれ、勝手に犯罪者扱いするな」
京子「私はほんと心配だよ」スリスリ
京子「常識人のキャラだからさ、いろいろと溜めこみそうだし」
京子「いつか爆発しちゃうんじゃないかーって」
結衣「おあいにく様、しっかりゲームで発散してますから」
結衣「……」ピコピコ
京子「むむむ……」
結衣「さっきのシチュエーションの話の続きだけどさ」
京子「お?監禁、ストーカー、それとも――」
結衣「……その立場だったら私は幼なじみを尊敬するよ」
京子「えっ?」
結衣「クラスの人気者になって、自分と関係が希薄になっちゃうけどさ」
結衣「人見知りを直して、明るい子になるのに苦労したと思うんだ」
結衣「拒絶されたり、上手く目を見て話せなかったり」
結衣「……それでも諦めないでいろんな子に話しかけて」
結衣「クラスの皆から好かれる素敵な子になってさ……」
結衣「そんな頑張り屋さんと私は幼なじみなんだって、自慢しちゃうな」
結衣「……」ピコピコ
京子「……」
結衣「ということで私は病まないから」
結衣「その幼なじみとはずっと仲良しだと思うよ」
京子「……うぅ」
結衣「なんで顔真っ赤にしてんのアンタ」
京子「う、うるさい!!バーカ、結衣のバーカ!」
結衣「はぁ?」
京子「い、いいから早く晩ご飯食べるぞ!」
結衣「まだ午後の4時だよ」
京子「な、ならわたしお茶淹れてくるもん!」ガタッ
結衣「そりゃどうも」
京子「……」
京子「……」ニヘラッ
京子「……んへへ」
京子「そんな頑張り屋さんと私は幼なじみなんだって、自慢しちゃうなきっと」
京子「……くふふ」
京子「……いやー、照れるなぁ」
京子「もー結衣ったら可愛いやつ」
京子「……」ニヘラッ
京子「あーやばい、顔のニヤケが止まらない」
京子「結衣ー、緑茶入ったよ」
結衣「あぁ悪い、いまおせんべい持ってくるよ」
京子「おせんべいなら台所の戸だなにあるよ」
結衣「オッケー、ってなんでお前が知ってるんだよ」ゴソゴソ
結衣「……ほら、お皿にあけておいたぞ」
京子「おー」
京子「……」パリッ
京子「そりゃ結衣の家のことなら何でも知ってるよ」
結衣「何でも、ねえ……」パリッ
京子「むふふ、結衣ー私が可愛いからって病んじゃだめだぞ」
結衣「はいはい」ズズッ
結衣「にしてもヤンデレの話題引っ張るね」
京子「そりゃそうだ、結衣が人の道を外さないようにしっかり忠告しなきゃ」
結衣「はは、だから私は大丈夫だって」
京子「どうだかねえ、私は心配だよ」
京子「あ、そうだそろそろ卵の賞味期限きちゃうよね」
結衣「え、本当に?」
京子「おいおい、8日前に買っただろー?」
京子「あと冷蔵庫に2日前に買った鳥胸肉と玉ねぎがあるでしょ?」
京子「その時ラムレーズンのアイスも買ったよね~、へへへ」
京子「晩ごはんは結衣のオムライスがいいな」ニコッ
結衣「あ、うん……」
結衣「……」
京子「ふふ~ん♪」
結衣「さてと、夕飯の前にお風呂洗ってくるかな」
京子「あー結衣、リンスとシャンプー切れてるから詰め替えたほうがいいよ」
結衣「え、そうだったっけ」
京子「詰め替え用が洗面所の戸棚に入ってるから」
京子「あと結衣の歯ブラシ変えた方がいいんじゃない?」
京子「毎日チェックしてるけどさ、もう毛先ボロボロじゃん」
結衣「……」
京子「結衣?」
結衣「あ、うん……」
結衣「……」ゴシゴシ
結衣「なんか私よりこの家の事詳しいな京子」
結衣「……」ゴシゴシ
結衣「まぁそれなりの頻度で泊まりに来てるしな」
結衣「……」ゴシゴシ
結衣「い、いやそれでも詳しすぎるだろ」
結衣「なんで2日前に鶏肉と玉ねぎ買ったって知ってるんだ」
結衣「買い置きのラムレーズンのアイス買ったことも……」
結衣「……」
結衣「そもそも歯ブラシなんて普通見るか……?」
結衣「……まぁいいか」
結衣「おーい京子、オムライス出来たぞ」
京子「……は、はーい」ゴソゴソ
京子「えへへ、いっただきまーす!!」
結衣「……」
結衣「あ、あのさ、さっきゴミ箱漁ってなにしてたの?」
京子「んぐっ?」
京子「えっと、あの、綾乃に渡すアンケート捨てちゃったかなって思って」
結衣「……はぁ、あまり綾乃に迷惑かけるなよ」
結衣「あそこまで甲斐甲斐しく仕事頑張ってるんだからさ」
結衣「京子も協力してあげないとダメだろ?」
京子「へへへ、りょーかい」ポリポリ
京子「ごちそーさまでしたっ!」
結衣「おそまつさま、お皿は水に浸しておいてね」
京子「ラジャーッ!」トテトテ
ひらひら
結衣「……あれ、これのスーパーのレシートか」
結衣「おーい京子、レシート落とし――」
結衣「(日付が2日前、鳥胸肉、玉ねぎ、ラムレーズン、なもりスーパー……)」
結衣「(時間もぴったりだし、これって私の……)」
結衣「……」
京子「結衣、どうしたの?」
結衣「や、なんでもないよ、お風呂入っておいで」
京子「……いっしょに」
結衣「お、お断りだ」
京子「……」
結衣「捨てられた子犬みたいな顔してもダーメ」
京子「く、くぅ~ん」スリスリ
結衣「いいから早く入ってこい」
京子「ちぇー」
京子「ふいー、湯上り気持ちいい……」
結衣「ホラ、京子お茶だよ」
京子「お、さんきゅー」
結衣「……食後のお茶は最高だな」
京子「ゆ、結衣って好きな人の家のゴミ箱漁りそう……」ズズッ
結衣「おいおい、さすがにそれはないだろ!」
結衣「それに漁ってどうするんだよ」
京子「れ、レシートとか拾ってさ、大事にしまってそう」
結衣「えぇ、レシートなんてただの紙切れだろ」
京子「むむ……」
京子「……むむむ」
京子「れ、レシートをバカにするなっ!」
京子「レシートは紙切れなんかじゃないもん!!」
京子「その人がどこでなに買ったとか!」
京子「その日一日の行動がだいたい分かるんだよ!?」
京子「それを紙切れだなんて、結衣はなにも分かってない!!」バンバンッ
結衣「……」
京子「早く謝って」
結衣「ご、ごめん……」
京子「いやいや、分かってくれればいいよ」ニコッ
京子「うむうむ、レシートの素晴らしさが分かったみたいだね」
結衣「で、でもそれってストーカーみたいなもんだろ」
京子「うん、だから結衣がやりそうで心配なんだよ」
京子「私が可愛いあまりに、私のことが好きすぎて」
京子「……怖い怖い」ズズッ
結衣「いやいやしないから」
京子「えっ、しないの?」
結衣「なに、京子はしてほしいの?」
京子「ま、まさか……」ズズッ
京子「……えへへ」
結衣「最近やたらベタベタしたくるな京子」
京子「えっ、わたしが?」
結衣「今だってさり気なくひざ枕状態だし」
京子「……」チョコン
京子「まさか、気のせいでしょ」
京子「私が結衣に甘えるなんてないない」
結衣「そっか、そうだよな」ナデナデ
京子「んっへへ、そうそう気のせいだよ結衣ー」
結衣「……気のせい気のせい」
京子「結衣ってさ、私と一緒の高校に行けなかったら駄々こねそう」
京子「私も京子と一緒がいい!!って」
京子「泣きながらジタバタしそうだよね」
結衣「……おもちゃ売り場の子供か私は」
京子「えー、結衣は私と一緒じゃなくて平気なの?」
結衣「そりゃ寂しいとは思うけど」
結衣「別に駄々をこねるまでではないだろ」
京子「またまた、結衣は寂しがり屋さんだからなー」
京子「私が側にいてあげないとなっ!」
結衣「はいはい」ズズッ
結衣「……」カリカリ
京子「あ、結衣その紙って進路調査?」
結衣「うんうん、第二志望まで書かないといけないからさ」
結衣「京子は第一志望、七森女子高だろ?」
京子「まぁ一応はね、綾乃や千歳もそこって言ってたなー」
結衣「そっか、県トップの偏差値だけど京子たちなら余裕だな」
結衣「……私は一つ下のランクの八森高校を第二志望にして」
京子「そこが第二志望って事は!?」
京子「ゆ、結衣も第一志望は七森女子高――」
結衣「第一志望は県外の高校だな」
京子「え……」
結衣「第一志望は県外の百合姫女学院だよ」
結衣「親戚のお姉さんがそこで陸上のコーチやっててさ」
結衣「もし興味があったらって誘われてるんだ」
結衣「……高校で新しく部活やってみるのもいいと思って」
結衣「それなりの難易度だから勉強しっかりしないといけないけど」
結衣「……まぁみんなと離れるのは寂しいけど――」
京子「そ、そんなのダメーッ!!!!」
京子「やだやだやだやだやだ!!」ジタバタ
京子「ゆ、結衣と同じ高校行けないなんて絶対いやだ!!!」ギュッ
結衣「……こいつ」
京子「き、京子は私が守るって言ったじゃん……!」
京子「県外の高校なんて行ったら私のこと守れないじゃん……」
京子「そ、そんなのぜったいいやだ!!」ギュッ
結衣「い、いや確かに小さいころに言ったけど」
結衣「まだ効果あるのかよ」
京子「あ、あるもん……」
京子「わ、わたしが死ぬまでずっと……」
京子「……」グスッ
京子「うっ、うっ、いやだ、いやだよゆい……」ポロポロ
結衣「……はぁ」
結衣「京子、お前さっきなんて言った?」ムギュッ
京子「ほ、ほっへのばひゃないでー」
結衣「『結衣ってさ、私と一緒の高校に行けなかったら駄々こねそう』」
結衣「ん?駄々こねてるのどっちだ」ムニムニ
京子「んみゅむむ」
京子「だ、だっへ……ゆひ、ゆいが……」
京子「うっ、うっ……」ポロポロ
結衣「あぁ、もう分かったよ、私が悪かったって」
結衣「だから泣き止めって、な?」ナデナデ
京子「うっ、うぇ、ひっぐ……」ギュッ
結衣「……ったく」
結衣「おい、もう泣き止んだだろ、そろそろ離れろ」
京子「……い、いやだ」ギュッ
京子「わ、私が勉強をお、教えるっか、から」グスッ
京子「ゆ、ゆいも、七森女子高、にいこっ……」グスグスッ
結衣「……」
結衣「まぁ、私もみんなと離れるのは寂しいし」
結衣「やれるだけやってみるよ、だからもう泣くなって」
京子「……ほ、ほんと?」
結衣「あぁ、ホントだって」
京子「り、りくっじょうやらなくっ、ていいの?」グスッ
結衣「それ以上に京子のこと放っておけないって」
結衣「……ったく、泣き虫なのは昔から変わってないな」
京子「……」グスッ
結衣「笑顔が可愛いのも昔から変わってないな」
京子「く、くさいセリフ言うの禁止……」ギュッ
京子「ゆ、結衣も昔と一緒でカッコイイよ」
結衣「カッコイイより可愛いの方が嬉しいんだけど……」
京子「ならかっこ可愛いいってことで」
結衣「はいはい、どうも」ナデナデ
京子「えへへ……」
結衣「第一志望は七森女子高、第二は八森高校……っと」
結衣「頼りにしてるからな、家庭教師さま」
京子「うむ、四六時中付きっきりでいてあげよう」ベタッ
結衣「おいコラ、なんのための家庭教師だ」
京子「ゆ、結衣のストレスを発散させるための」フニッ
結衣「ど、どこ触ってるんだバカッ!」ガンッ
京子「あいたっ!」
京子「……で、でも溜まったらムリしないで言ってね」ギュッ
結衣「……変態」
京子「顔真っ赤だよ、結衣」
結衣「……うるさい」
結衣「……明日の朝ご飯のホットケーキでも作るかな」
京子「うん、あ、あれ……?」ゴソゴソ
結衣「どうしたの、なにか探し物?」
京子「あぁえっとね、ちょっとレシートが……」
結衣「……さっき拾ったコレのことか?」ガサッ
京子「あっうん、それそれ、良かったー」
結衣「……コレ私の家のレシートだよな」
京子「うんそうだよ」
結衣「……いやいやいや、なんで京子が持ってるんだよ」
京子「へ?」
京子「だ、だって結衣が変なもの買ってないか心配じゃん……」
京子「ブランド物のバッグとか、アクセサリーとか」
結衣「……頭が痛い」
結衣「す、ストーカーするなって言ったのはどの口だ……!?」ツネッ
京子「いはい、いはいから、ほっへつねらなひで!!」
結衣「他にも持ってるのか?」
京子「……」
結衣「今すぐ出せ、出さないと離婚だ」
京子「え、り、離婚なんていやだよ……」
京子「……」スッ
結衣「何十枚とよくもまぁここまで溜めこんだな……」
京子「……す、好きな人のことは全部知りたいんだもん」
結衣「ストーカーする人はみんなそう言うな」
結衣「だからゴミ箱漁ってたのか……」
京子「……」グスッ
結衣「京子、レシートだけなら可愛いもんだけど……」
結衣「それ以上いったらほんと犯罪者の仲間入りだよ?」
京子「ご、ごめんなさい……」
結衣「……はぁ、反省してるみたいだし、今回は許す」
京子「ほ、ほんと?」
結衣「……そ、そんなに心配だったら一緒に家計簿つけようか」
京子「え」
結衣「……それなら京子も安心だろ」
京子「う、うん……」
京子「で、でも家計簿共有だなんてさ」
京子「もう私と結婚して下さいって言ってるようなもん……」
結衣「……」
京子「……」ニヘラッ
結衣「そ、そのにやけ顔やめろ!!」
京子「……○月×日、結衣がデレる、プロポーズをもらう」メモメモ
結衣「……はぁ、なんでこんな奴好きになったかな」
京子「えへへへ」ギュッ
結衣「ほら、ホットケーキできたよ、少し食べる?」
京子「おおう、相変わらずうまそう!」
京子「……すでにホイップでハートが作ってある」
結衣「……さっさと食え」
京子「顔真っ赤だよ」
結衣「……うるさい」
京子「……」ニヘラッ
結衣「次のそのニヤケ顔したら1週間イチャイチャ禁止な」
京子「……イチャイチャ禁止で結衣は耐えられるの?」
結衣「……たぶん無理」パクッ
京子「……可愛いやつ」
京子「……もう付き合ってるってことでいいの?」
結衣「たぶん」
京子「まぁプロポーズもらったくらいだし」
結衣「……」
結衣「浮気したら、絶対許さないからな」
京子「まさか、私は結衣にゾッコンである」
結衣「まぁレシートかき集めるくらいだしな」
京子「うっ……」
結衣「……どんだけ私のこと好きなんだよ」
結衣「ほんとはさ嬉しかったんだ」
京子「んぐっ、なにが?」
結衣「いや、京子がレシート集めてまで私を気にかけてくれて」
結衣「ほんとに心配してくれてるんだなって」
結衣「……嬉しかった」パクッ
京子「……えへへ」
京子「デレデレじゃないですか結衣さん」
京子「……○月×日、結衣が陥落っと」カキカキ
結衣「か、陥落ってなんだよ……」
京子「むふふ」
京子「結衣、その余ったホットケーキ……」
結衣「おいおい、さすがにやめておけって」
結衣「残りはまた明日でいいだろ」
京子「……はーい」
結衣「ほら、私の最後のあげるから」スッ
京子「……あーん」
京子「えへへ、結衣の味がする」
結衣「……その言い方やめろ、気味が悪いから」
京子「ごちそうさまでしたーっと」
結衣「はい、おそまつさま」
結衣「さてと……」
京子「イチャイチャしますか」
結衣「まさか、勉強に決まってるだろ」
京子「えー、まだ私たち2年生だよ?」
結衣「今からやるくらいじゃないと私は追いつかないだろ」
京子「でも結衣って半分よりずっと上でしょ」
結衣「まぁ半分よりはうえの位置だな」
京子「なら大丈夫だって」
結衣「いいから、10時までビッシリやるぞ」
京子「……だるーい」
結衣「……」カリカリ
京子「……」カリッ
京子「……にしし」
京子「……」スッ
結衣「言っておくけど、お触りは厳禁だからな」
京子「えぇ……」
結衣「メリハリ付けないと意味ないだろ」
結衣「……」カリカリッ
京子「……ぐすっ」
結衣「……」
結衣「……」カリカリ
京子「……」カリッ
結衣「京子、この数学の問題どう解くの?」
京子「うん、これはこうしてこうだよ」
結衣「なるほどな、ありがと」
京子「ん……くぁ、ねむ」
結衣「……」カリカリ
結衣「……」カリカリ
京子「……」カリッ
京子「……あと10分」
結衣「……」ピクッ
結衣「……」カリッ
結衣「……」カリカリ
京子「……」カリッ
京子「……」
京子「……あ、あと1分」
結衣「……」ソワソワ
結衣「……」カリカリ
結衣「……」カリカリ
京子「……」カリッ
京子「よーし、今日の分はこれでおーしまいっと!」
京子「えへへ、結衣さっそくイチャイ――」
結衣「きょーこ!!」ガバァッ
京子「ふぎゃっ!?」
結衣「京子、京子……」スリスリ
京子「ちょ、ちょ、結衣さん?」
結衣「今からいっぱいイチャイチャしような、な?」ギュッ
京子「ま、まさかの展開だよっ――」
結衣「ん……」チュッー
京子「ふっ………にゃ……」ググッ
結衣「……」ガシッ
結衣「ちゅっ…………ん」チュッ
京子「ひゃ……し……した……ふぁっ……」
結衣「……ぷはっ」
京子「あぅ、はう……」クタァ
結衣「ふふふ、可愛いなほんと京子は」ギュッ
京子「結衣ぃ……」ギュッ
結衣「はっ」
結衣「……ごめん、ちょっと我を忘れてた」パッ
京子「……」カリカリ
京子「……○月×日、結衣に舌まで入れられるっと」
結衣「そ、その日記やめろ!!」
結衣「まいったな、ここまで京子に依存してたとは」
京子「うはは、そんなに私が好きか結衣」スリスリ
京子「んー?」
結衣「ああ、大好きだよ」
京子「なっ……」カァー
結衣「ふふ、ほんと京子って押しに弱いよな」
京子「うぐぐぐ……」
結衣「ほんと可愛いやつ」ナデナデ
京子「結衣、そこの座椅子に座って?」
結衣「ん、ああ」
京子「それで私が結衣のひざの間に座ってと」
京子「むふふ……後ろからぎゅっとしてー」
結衣「はいはい」ギュッ
結衣「……落ち着くな」
京子「……ですなぁ」
結衣「……」ナデナデ
京子「……えへへ」
結衣「……」ナデナデ
京子「~♪」
<続いての話題は、同性愛についてです
<いわゆるレズビアンと呼ばれる人たちの苦悩を――
結衣「……京子、チャンネル変えよう」
京子「ううん、私たちに関係あることだから」
結衣「……辛くなったらすぐ言えよ」
京子「……結衣が側にいるから平気だよ」
結衣「……」ギュッ
<都内に住む元OLのAさん
<あることがきっかけで、同性愛が同僚たちにばれてしまいました
<その日から明らかに同僚たちの態度が変わり
<ついには陰湿なイジメを受けるまでに
<耐えかねたAさんは職場を辞め……
京子「……」ブルブル
結衣「京子、もう見るの止めよう」
京子「……さ、最後まで見る」
結衣「……分かったよ、私も付き合ってやる」
「同僚たちには無視から始まり」
「デスクに同性愛者とでかでかと張り紙まで貼られました」
「……とても辛かった」
「……自殺することも考えました」
「でも恋人がずっと側にいてくれました」
「それだけですべてが報われるような気がして」
「私は彼女と生涯をともにするでしょう」
「……社会は私たちを祝福してくれません、でもこれが現実なんです」
結衣「……」ギュッ
結衣「あのさ、今ならまだ戻れるよ」
結衣「今日のことはなかったことにして」
結衣「明日からはまたいままで通り仲の良い幼なじみ」
結衣「……だから京子」
京子「……そんなの、絶対いやだ」
京子「お母さんとお父さんも反対するかもしれない」
京子「それでも私は結衣とずっと一緒にいたい」
結衣「……そっか」
結衣「……なら私は誓うよ」
結衣「この先なにがあっても京子のことを守る」
結衣「私はずっと京子の側にいるよ」
結衣「絶対お父さんたちを説得してみせる」
結衣「……なんか改めて言うと照れくさいな」
京子「……」
結衣「……目閉じてどうしたの?」
京子「誓いのキスに決まってるでしょ!」
結衣「……あぁ、なるほど」チュッ
京子「ん、へへへ」
結衣「そろそろ電気消すぞ」パチッ
結衣「……」
京子「……」
結衣「実はさ、嬉しい知らせがあるんだけど」
京子「奇遇だね、わたしもだよ」
結衣「じゃあいっせのーでで同時に言うか」
京子「……いっせのーで」
結衣「……私もう両親に京子が好きだって伝えてるんだ」
京子「……私もう両親に結衣が好きだって伝えてるんだ」
結衣「……マジ?」
京子「……いや、そっちこそマジ?」
結衣「自分が好きなようにしなさいってさ」
結衣「その代わり、絶対に後悔するなって」
京子「……私も同じようなこと言われた」
京子「昔からその気があったように思われてたのかな私たち」
京子「擦り傷ペロペロしちゃうくらいだし」
結衣「……あれはもう忘れてくれ」
京子「にしし」
京子「じゃあさ、結衣は私のことずっと好きだったの?」
結衣「……そうだな」
京子「な、ならどうして県外の高校に行くなんて言ったんだよ!!」
結衣「……」
結衣「……言葉が悪いけど、賭けのつもりだったんだ」
結衣「京子が私のことを好きなら、本気で止めてくれるだろうし」
結衣「恋愛感情がなかったら、最終的に私の県外の進学を応援するだろうし」
結衣「……私を止めなかったら、京子のことは諦めるつもりだった」
結衣「……こんなの卑怯だって分かってる」
結衣「でも本当に怖かったんだ」
結衣「本当に怖かったんだ……」
結衣「思いのたけを京子に伝えて否定されるのが」
結衣「だからこんな方法で……」
京子「……いいんだ」ギュッ
京子「結衣の気持ちは痛いほど分かるからさ」
結衣「……やっぱり優しいな京子は」
結衣「……大好きだよ」
京子「くふふ」
京子「……○月×日、デレメーターが振り切れるっと」
結衣「な、なんだよデレメーターって……」
結衣「……私のこと引き留めてくれてありがとな」
京子「いっぱいなでなでしてくれたら許してあげる」
結衣「……ふふ、分かったよ」ナデナデ
京子「えへへ、結衣温かい」
結衣「なでなでだけでいいの?」
京子「あ、あとぎゅーってして」
結衣「仰せのままに、お姫様」ギュムッ
京子「そ、そのお姫様って言うのやめろ!!」
結衣「京子のほっぺ熱いぞ、きっと真っ赤だな」ムニムニ
京子「……ちくひょー」
結衣「……感謝しないとな」
京子「お父さんとお母さんたちに?」
結衣「うん、好き勝手やらせてもらってるんだからさ」
結衣「絶対恩返ししよう」
結衣「いろいろな方法があると思うけど」
結衣「まずは七森女子高に絶対入ってみせる」
結衣「あと2人ずっーと仲良くしてさ」
京子「……だね、明日あいさつしに来ない?」ギュッ
結衣「……さ、さすがに気が早いと思うんだけど」
京子「えーいいじゃんいいじゃん」
結衣「ま、明日また考えようよ」
京子「だね、とりあえず寝るか」
結衣「……大好きだよ、京子」
京子「……私も大好きだよ」
結衣「おやすみ」
京子「おやすみなさい……」
結衣「……」
京子「……」
結京「……」zzz
おしまい!
監禁ブームに乗っかって鬱ゆりにするつもりだったけど
甘々にしておいた、後悔はしてない
おつでした
このSSまとめへのコメント
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