勇者「だって俺勇者だし」(115)
勇者「…朝だ…」
母「起きなさい、勇者くん?」
勇者「もう起きてるよ」
母「…今まで黙ってたけど、今日は大事な話があります」
勇者「あ、出発の話っすか?」
母「え!?」
母「いや、じ、じつはね? お父さんの…」
勇者「父さん勇者だったんだよね?」
母「あ、あ、そうなの。でね…」
勇者「んで今日が父さんが暗黒城に棲む大魔王を倒しに行く旅にでた日なんでしょ?」
勇者「しかも直前で暗黒四天王にやられちゃって、それが間の悪いことにまた今日だったんだよね?」
母「そ、そうなんだけど…知ってたの?」
勇者「いや、だって昨日、無駄にその辺うろついてる爺さんに意味深なこと言われたし」
勇者「友達の村人Aくんも『お前は…』みたいなこと言われたもん」
母「…ま、まあいいわ。話が早いわねあんた…」
勇者「しかも父さん、勇者の癖に一発目の戦闘で瀕死の重症負って帰ってきたんでしょ? 正直ないわ~」
母「なんで知ってるの~? あんた何者なのよ…」
勇者「あなたと父さんの息子だが」
母「もう! あの人のことはいいのよ! そんな言うならさっさと行っちゃいなさいっ!」
勇者「金。はやく」
母「…ぞんざいねぇ~…」
勇者「あと装備は?」
母「そこのクローゼットに旅立ちの服と、あとこれね。ブロンズナイフ」ホイ
勇者「いや、あるでしょう?」
母「…え?」
勇者「いや、親父が置いてった銀の剣、はやく出してよ」
母「めざといわね~…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇者「さて、行ってきます」
母「準備早いわねあんた、遊びに行くんじゃないのよ?」
勇者「どうせそのうち何でも出てくるから。あれだろ? まず隣町の教会で冒険の書つければいいんだろ?」
母「ふふふー」
勇者「何がおかしいんです?」
母「残念だったわね! 隣町じゃなく、まずこの町の教会よっ!」ドヤァ
勇者「…一本とられたなー」
母「ふふん」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇者「じゃ」
母「涙の別れじゃないのここは!? お母さん悲しいよ!」
勇者「まあそのうち帰ってくるし。この銀の剣、そのうち渡す気だったんでしょ?」
勇者「そのちょくちょく渡す系アイテム、取りに来るから。換金したいし」
母「どこで育て方間違えたのかしら…」
勇者「老後が心配だから今から銀行で積み立てとこうと思って」
母「将来に不安感じてるの!? その歳で!?」
勇者「いや、魔王倒した勇者の約七割が老後が辛いって…」
母「なにゆえ!?」
勇者「いや、燃え尽き症候群ってやつかな、生き甲斐なくしちゃって、病気したり…ボケちゃったり」
母「どこで聞いたのよ!?」
勇者「まあ気にしなくていいよ。じゃ」トコトコ
母「全く…たまには帰ってきなさいよ~!」
勇者「…」トコトコ
母「…振り向かず手だけ振るとことか、ほんとそっくりねぇ…」
勇者「さて。狭い村だしすぐだな」
待てぇー! 泥棒だぁー!
勇者「ん? なんだ?」
村人「あいつが、あれを…」
??「どけぇ!」ダダダダ
勇者「うわっ」
ドンッ
??「なんだお前! 邪魔すんなよ!」
勇者「俺は勇者だ。お前こそ何者だ」
??「俺は盗賊! 今もこの町の教会の冒険の書を盗んでやったぜ! へへ、じゃあな!」ダッ
勇者「まて」スッ
盗賊「うわあ!」ドサッ
盗賊「足を掛けるなんて卑怯なっ!」
勇者「どうせこれはおまえのアジトまで行って冒険の書を取り返した後お前を仲間にするイベントだろ。めんどいから今来い」
盗賊「は、はぁ!?」
勇者「どうせ後々バトルになるんだろ。ほれ、かかってこいよ」
盗賊「な…なめやがって! いくぞ!」
盗賊があらわれた!
勇者の攻撃!
57のダメージ!
盗賊「ぎゃあああ!」
盗賊をたおした!
勇者「さすが銀の剣は切れ味がいい」
村人(こえ~)
勇者「おい、ちょっと、起きろ」
盗賊「いたい…しぬぅ…」
勇者「なけなしのやくそうをやろう」ピロリーン
盗賊「…ど、どうして助けた…?」
勇者「いや、理由とかいいから、はやく仲間になれよ」
盗賊「は…?」
勇者「俺は勇者だから。そういうことだ。お前は仲間になる。必ずだ」
盗賊(全く意味不明だが何かかっこいい///)
勇者「それに後半入ったくらいで暴かれるべき秘密なんだろうけど、お前実は女だな?」
盗賊「!!」
勇者「とりあえずはだけた部分はこれでも羽織っておけ」ファサッ
勇者「これでも俺はフェミニストなんでな。早くしろ、教会行くぞ」
盗賊「…おう///」
村人(フェミニストてあんた今半殺しにしただろ…)
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fうl;;;ミミ、 ``丶 、::::::::,: - ''"´ リ;;;;;;f-、
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t !;;;リ _,,...,,_ _,,..,,_ l;;;// 女盗賊とな…
゙l ヾ;l :'ィテヘ9ンミ ,: ',シヒ9ン、 l;//
`ーll! `''==ヲ' l:.:^''==彡'" ,!リノ
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li, ,r .: :.ヽ、 ,:,り
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勇者「ここが教会だな…」
盗賊「この村に住んでるくせに来たことなかったのかい?」
勇者「ああ、無神論者なんでな」
盗賊「ふーん…」
勇者「失礼します」コンコン
牧師「おやおや。あなたは昨日の少年ではないですか」
勇者「ああ、意味深なこと呟いてたじいさん!」
盗賊「知り合いなのか?」
牧師「あ! さっきわしの冒険の書奪ったやつじゃな!! 返せ!! 神罰が下るぞ!!」
勇者「じいさん、実はこいつ謝りに来たんです。今回のも含めて、今までの泥棒、神の前で謝りたいって」
牧師「…なるほど、それはよい考えじゃ。ではこっちの懺悔室まで来てくだされ」
盗賊「はい…ごめんなさい」
勇者「じゃあ暫く待ってます」
牧師「おお、お若いの。冒険の書に書き込んでおきなされ。そこの机に置いての」
勇者「はい」
勇者(今のうちか…盗賊のやつ、なかなか良いこと思い付くな…)
勇者「『…旅に出ることに。まだまだこれからだ』っと。さてと…」カリカリ
勇者「この奥かな…? 物置部屋は」
勇者「ここか…」
勇者「俺の予測では…これだ!」ギイ
勇者はとだなをしらべた
小さなメダルをてにいれた!
勇者「これ集めときゃいいことあるやつだな。これは換金しないでおこう」
勇者「あとは…」ガサゴソ
勇者はツボをしらべた
やくそうをてにいれた!
勇者「よし、他のツボにも色々あるな」ガサゴソ
力の指輪をてにいれた!
やくそうをてにいれた!
小さなカギをてにいれた!
勇者「お、カギだな。これでそっちの宝箱が…」
牧師「おーい、お若いの! どこにおるんじゃ~?」
勇者「チッここまでか」
牧師「神はこやつの罪を許しなさった。冒険の書は書いたのう? では、もう行っていいんじゃが…」
牧師「ちょっと頼まれてはくれんかのう」
勇者「隣町へ何か渡すんでしょ?」
牧師「あ、そうじゃが…なんで分かったんじゃ?」
勇者「えてしてそういうものです」
盗賊「なんでもわかるんだな…」
牧師「いやな、隣町の教会で暮らしとる子の母親がの、特別な薬がいる病気なんじゃが、ここにしか無いんじゃ」
勇者「そいつ自身は看病でこれないしあんたはそのご老体で隣町まで行けない。だからお前が行け。そういうことでしょう?」
牧師「まあざっくばらんにいえばの。どうせ…」
勇者「どうせ暗黒城までの道のりの途中だ。いってやりますよ」
勇者「どうせここで拒否したら会話が無限ループするんでしょう?」
牧師「む…」
牧師(こやつが根負けするまで気長に待つつもりじゃったが…)
牧師「そこまで見通すとは…おぬし、何者じゃ…?」
勇者「ただの勇者ですよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
盗賊「うまくいったかい? 俺が教えたやり方」
勇者「ああ、色々くすねてきた。役に立つなお前は」
盗賊「えへへ///」
勇者「あとお前、『俺』はやめとけ。『あたし』とかにしとけ。折角かわいいのに台無しだ」
盗賊「え!? お…おう///」
盗賊(可愛いって言われた///)
勇者「さて。まずこの村の井戸にはいるか」
盗賊「はやく行った方が良いんじゃないか?」
勇者「大丈夫。どうせ薬渡せばすぐ治る」
盗賊「そういうもんなの?」
勇者「そういうもんだ」
盗賊「でも、なんで井戸?」
勇者「大概なんか落ちてる」
盗賊「よく知ってんなあ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇者「行ってくるから待ってろ」
盗賊「おう」
ザッザッザッ
勇者「お、やっぱり地面が光ってる」
勇者は地面をしらべた
ポイズンダガーをてにいれた!
勇者「うっし。行こう」
??「まって…」
勇者「?」
??「たすけて…」
勇者「誰だ? どこにいる?」
??「あの…ぼく、スライムのスラーっていいます」
勇者「魔物だな。死ね」ブン
スラー「うわあ待って!! まず喋ってることに疑問を抱いて!!」
スラー「ぼく悪い魔物じゃないよ! 人を襲ったりしないよ! 弱いものいじめしないよっ!」
勇者「俺も弱いものいじめはしないけど魔物いじめはするよ?」チャキ
スラー「やめて! まず話を聞いてっ!」
勇者「なんだ、俺は気が短い。簡潔にな」
スラー「このあいだここに落ちちゃったんだ。それで出れなくなっちゃって。お願いだからそとに出して! お礼はするから!」
勇者「お礼だと?」ピクッ
スラー「うん、何かいいものをあげるよ!」
勇者「どうせ上やくそうとかなんだろ? 後々買えるし、メリットないなぁ」
スラー「わかった! なんでもするからここから出してっ!」
勇者「仕方ない、つかまれ」
スラー「ありがとう!」
ザッザッザッ
盗賊「お帰りー」
盗賊「って! なんだそいつ! 殺るか?」
スラー「きゃー!」
勇者「まあ待て。こいつ助けたら何でもしてくれるらしい。つれてこう」
スラー「えっ」
盗賊「ふーん? そりゃいいな。つれてくか」
スラー「えっ、お礼するって言ったけど…」
勇者「何でもするって言ったのはお前だぞ」
勇者「とりあえず、お前、女の子の形状になれ」
スラー「ええ~ぼく男なんだけど…」
勇者「俺は男には興味は一切ない。戦闘能力に乏しいお前を連れてくメリットを全く感じない」
盗賊(あたしがいるのに~…)
スラー「こう…かな」ムニムニ
勇者「おお! 可愛いな」
盗賊「ふ、ふんっ! どうせあたしは女の魅力がないわよ!」
スラー「うう~…保持するの、けっこう力いるんだけどな…」
勇者「あ、服がいるな。一旦うちへ帰ろう」
勇者「ただいま」
母「あら、早かったわね。まだ一日たってないじゃない。どうしたの?」
勇者「こいつに服をやってくれ」
盗賊「…」プルプル
母「まあ、かわいい子ね! 私のお古でいいならどうぞ」
盗賊「あ…ありがとう…」
勇者「さて、行くか。あ、武器なんかくれ」
母「現金な子ね~…こんなのしかないわ。はい、木の弓矢」
勇者「サンキュ。じゃ」
勇者「おい、もどったぞー」
盗賊「なんであたしがこんなことしなきゃならないのよ…」
スラー「あ、ありがとうございます! でもこの服…」
勇者「ん? 不服か?」
スラー「いえ…なんでも…」
スラー(フリフリのスカートとか…カチューシャとか…)
盗賊「ったく…着方は分かるか?」
スラー「いえ…でも何とかする」ニュル
ムニムニ ニュルニュル ムニムニ
スラー「こっ…これで…いい?///」
盗賊「なんでメイド服なのさ!?」
勇者「母の趣味だ」
スラー「恥ずかしい…」
勇者「ん? 似合ってるぞ? 可愛い可愛い」
スラー(可愛いだなんて…///)
スラー(でも、なんかこの人に言われたら…なんか…うれしい///)
盗賊「もう! ほらいくぞ! 隣町へ」
勇者「ああ、行くか」
スラー「あっ、ぼくもいきます!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
勇者「ここから数キロ歩けば着くな」
盗賊「魔物が出るから気を付けてね」
スラー「ぼくケンカ弱いけど…」
勇者「よく聞けスラー。これはケンカじゃない。命の取り合いだ」
スラー「…っ! がんばるよっ…」
勇者「ほれ、出やがった」
スライムがあらわれた!
勇者「めんどくさい。盗賊、やっとけ」
盗賊「なんであたしが!?」
勇者「同族殺しは可哀想だろ」
スラー「…」ドキ
盗賊「…たしかにね…分かった。任せろ」
スラー(気遣ってくれてる…)ドキドキ
盗賊のこうげき!
2のダメージ!
スライムのこうげき!
盗賊はこうげきをかわした
盗賊のこうげき!
会心の一撃!
スライムをたおした!
盗賊「こんなもんだね」
スラー「すごいです」
勇者「よくやった。そうやって経験値ためてけよ」
勇者「おっとまただ」
いっかくウサギA B C があらわれた!
勇者「複数か…こいつらはちょっと手強い。俺も手伝うよ」
スラー「こんどはぼくもがんばります!」
盗賊「よっしゃ! いっちょバトるか!」
勇者「まず一体ずつ集中して倒してくぞ!」
勇者のこうげき!
いっかくウサギAに60のダメージ!
いっかくウサギAをたおした!
スラー「すごい…」
盗賊「やるねぇ…次はあたしだ!」
盗賊のこうげき!
いっかくウサギBに7のダメージ!
盗賊「効いてる効いてる!」
スラー「いくぞう! えいっ!」
スラーのこうげき!
いっかくウサギBはこうげきをかわした
スラー「うわっ!」スカッ ドテッ
スラー「だめですぅ~…」
盗賊「あぶねぇ! 避けろッ!」
スラー「えっ」
スラー「うわわぁ!」ガサガサ
盗賊「こっちこい!」ダッ
スラー「あぶなかった…」
盗賊「全く…しっかりしなよ」
スラー「ごめんなさい…」
勇者「まだCが攻撃してくるぞ!」
盗賊「くっ!」ブン ザシュッ
勇者「何とかカウンターできたか…」
勇者「今度こそ行け! スラー!」
スラー「はいぃ!」
スラーのこうげき!
いっかくウサギBに5のダメージ!
いっかくウサギBをたおした!
スラー「やった! やりましたよ!」
盗賊「やったわね!」
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