杏子「あー!ねこ来た!ねこー!」(87)

ねこ「にゃーん」

杏子「にぼし食うかい?」すっ

ねこ「にゃーん」すたこら

杏子「あー…ねこ行っちゃう…ねこー…」

「にゃーん」

杏子「あー!またねこ来た!ねこー!」くるっ

QB「にゃーん」

杏子「おまえかよッ!」ぺちんっ

QB「きゅぷッ!?」ふらっ

杏子「なにが『にゃーん』だよ!騙しやがったなキュゥべえこのやろう!」

QB「騙してなんかいないよ。僕はねこの鳴き声を真似していただけさ。それよりも僕にはにぼしをくれないのかい?」

杏子「…食いたきゃ食えよ」すっ

QB「なんやかんやで優しいね。君は」もぐ

杏子「うるせー!」

QB「それにしても…君にも意外と可愛い一面があるんだね」もぐもぐ

杏子「んあ?」

QB「……あー!ねこ来た!ねこー!」

杏子「!」ドキッ

QB「あー…ねこ行っちゃう…ねこー…」

杏子「…」プルプル

QB「あー!またねこ来た!ね…」

杏子「やめろォッ!」ぺちん

QB「きゅぷぷッ!?」ふらっ

杏子「しゃべるなよ!?そのこと誰にもしゃべるなよ!?誰かにしゃべったら耳毛をモヤイ結びにするぞこのやろう!」

QB「やれやれ…わかったよ。さっきの杏子のことは誰にもしゃべらないよ」

杏子「絶対だぞ!絶対の絶対だぞ!」

QB「インキュベーターウソツカナイ」

杏子「…ふん…じゃああたしそろそろ行くから」すくっ

QB「どこに行くんだい?」

杏子「山にカブトムシをつかまえに行くんだよ」

QB「へぇ、ちょっと興味があるな。僕も連れていってよ」

杏子「え?別にいいけど…」

QB「つかまえたカブトムシはやっぱり食べるのかい?」

杏子「食うわけねーだろ!」ぺちんっ

QB「きゅぷら!?」ふらっ

―――
――

――見滝原郊外の山

とことこ

杏子「うーん…3時間も探しているのにカブトムシなかなかいないな」

QB「いないね」

杏子「なんでいないんだろ」

QB「よく考えればまだ春先だからカブトムシなんているわけないよね」

杏子「な、なんだってー!?どうしてそれをはやく言わないんだよー!」ガーン

QB「君はアホ可愛いね」

杏子「はぁ…帰ろうぜキュゥべえ…」しゅん

QB「落ち込みすぎだよ」

杏子「あれ?ここどこ?どうやって下山すりゃいいんだ?」キョロキョロ

QB「わかんないよ。どうやら迷っちゃったようだね」

杏子「な、なんてこった…」ガーン

「グルルル…」

杏子「ん?なんだ…?」くるっ

くま「グガァー!」

杏子「う、うわー!くま来た!くまー!」

QB「くまだね」

杏子「くそーッ!やってやるぜーッ!」ジャキンッ!

QB「待ちな、杏子」すっ

杏子「えっ…キュゥべえ?」

QB「人類みな兄弟…ここは僕が平和的に話し合いで解決してみせよう」

杏子「おまえが言うと胡散臭いぞ!」

くま「グルルル…!」

QB「やあ、くまくん。こんにちは。僕の名前はキュゥべえ。ねぇ、ちょっと僕と平和について語り合わないかい?」

くま「グガァァーッ!」ブンッ

グシャアッ!

QB「」

杏子「キュゥべえーー!」

しゅたっ

QB「やれやれ。気の短いくまくんだな」

杏子「あっ…復活した」

QB「彼が納得するまで僕はがんばるさ」ぴょんっ

くま「グルルル…!」

QB「ねぇ、くまくん?争いは何も生まない。君だってそう思うだろ?だから…」

くま「グガァァーッ!」ブンッ

グシャアッ!

QB「」

杏子「キュゥべえーー!」

しゅたっ

QB「ぐぬぬ…!話を聞こうとすらしないとはこれ如何に…!」

杏子「あっ…また復活した」

QB「僕は負けない!」ぴょんっ

くま「グルルル…!」

QB「ねぇ、くまくん?君はなんでも暴力で解決するつもりかい?君はそんな生き方で満足なのかい?どうなんだい?」

くま「グガァァーッ!」ブンッ

QB「無駄ァッ!」ひょいっ

杏子「避けた!」

QB「君がその気ならッ!僕も全力でいくぞッ!」ビュンッ

くま「!?」ビクッ

QB「きゅぷァッ!」ドゴォ

くま「…!?」がくんっ

杏子「あっ…耳毛で殴った」

QB「くまくんッ!覚悟しろッ!」バッ

くま「!?」

QB「きゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷゥーーッ!!」ズドドドドドドドッ!

QB「きゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷきゅぷゥーーッ!!」ズドドドドドドドッ!

QB「QPYYYYYYYYYYYY!!」ズドドドドドドドッ!

QB「きゅっぷいィーーーッ!!」ドカァッ!

ズドォォォンッ!

くま「」ばたっ

杏子「やっつけた…」

くま「」ぴくぴく…

QB「はぁはぁ…」

杏子「おい。平和的に解決するんじゃなかったのか?おもいっきり暴力で解決してんじゃん」

QB「あれれー?そうだったっけー?僕そんなこと言ったっけー?」

杏子「しらばっくれるなよ…ていうかおまえ、感情ないとか言ってたけど本当はあるだろ」

QB「~♪」すー すー

杏子「無視すんな!あと口笛吹けてないぞ!」

QB「ん…?あっ!杏子!あれを見るんだ!」びしっ

杏子「んあ?なんだよ…?」じっ


おまえら「…」ずーん…


杏子「あ、あれは…!いかにも陰鬱な顔をした男がロープを木にくくりつけてるぞ!こ、これはやばい空気がぷんぷんだぜ!」

QB「ぷんぷんだね」

タッタッタッ

杏子「待ちな!」

おまえら「!」ビクッ

QB「死ぬつもりかい?」

おまえら「な、なんでこんなところに女の子が!?ていうかこの白い生き物はなんだ!?」おろおろ

杏子「あれ?こいつキュゥべえの姿見えてんの?」ひそひそ

QB「僕が姿を見せようと思った人間には僕の姿は見えるというご都合主義設定さ」ひそひそ

杏子「あんた!死ぬなんてバカな真似はやめときなよ!家族が悲しむぜ?」

おまえら「い、いいんだ俺なんて…もうこんな世の中嫌なんだ…!俺みたいなやつはさっさと死んだほうがいいんだァーーーーッ!」

杏子「そんなこと言うなって…えっと…」おろおろ

おまえら「ははは…心配してくれてありがとよお嬢さん…でも俺、逝くよ…さよなら…」ぐいっ

杏子「ちょ、ちょっと待てよ!おい!」

QB「きゅぷァッ!」ドゴォ

おまえら「ぬごぉッ!?」ずしゃぁぁ

杏子「いきなり殴った…」

QB「やれやれ…君は実にバカだなぁ。生きていれば無限の可能性が君を待っているんだよ?」

おまえら「はは…無限の可能性か…今さらそんなもん信じる年齢でもないんだよ…だからもうほっといてくれ…俺はもう死ぬよ…」

QB「君はもしこの場で女の子の脱ぎたてパンティーがもらえるとしても死ぬのをやめないのかい?」

おまえら「え?」ピクッ

杏子「は?」

おまえら「脱ぎたてパンティーだって…?」

QB「一生懸命生きるって約束するなら君にプレゼントしてあげよう」

おまえら「生きます」キッパリ

杏子「え?」

QB「決まりだね…杏子」じろっ

杏子「えっ……えっ?」おろおろ

QB「君のパンティーが1人の尊い命を救うんだッ!」がしっ

杏子「!」

QB「えいっ!えいっ!」ぐいぐい

杏子「ちょ、ちょっと!ホットパンツを下ろそうとすんな!や、やめろ!」ぐにぐに

QB「えいっ!えいっ!」ぐいぐい

杏子「やめろっ!お、おいっ!」ぐにぐに

QB「えいっ!えいっ!」ぐいぐい

杏子「やめろって言ってるだろ!このやろぉーーーッ!」ばしっ

QB「きゅっぷぅッ!?」がくんっ

杏子「はぁはぁ…!キュゥべえのアホ!変態!くたばれくそやろう!」

QB「まったく…こんなに嫌がるなんてわけがわからないよ」

杏子「嫌に決まってんだろ!」

おまえら「あの…パンティーは…?」

QB「しかたない…君にはこれをあげよう」すっ

おまえら「こ、これは…!?」

QB「こっそり拝借してきた洗濯前のマミのタイツさ。脱ぎたてじゃないけど我慢してね」

杏子「おい」

おまえら「ありがてえ!ありがてえ!」ぽろぽろ

QB「これを励みに強く生きるんだよ」

おまえら「はい!がんばります!ありがとう君たち!さよなら!」くるっ

タッタッタッ…

QB「いいことするって気持ちがいいね。杏子」

杏子「こいつ…」

QB「ん…?はっ!?あれを見るんだ杏子!」びしっ

杏子「今度はなんだよ…」じっ


「…」のそのそ


杏子「あ、あれは…!ワカメみたいなモノが二足歩行していやがる…!新手のクリーチャーか!?」

QB「クリーチャーかな」

仁美「あら?」

杏子「え…?あんたは…えっと…さやかとまどかの友達の…仁美だっけ?」

仁美「はい!あなたは…杏子さんですよね!えっと…そっちの白い方は…?」

QB「僕はキュゥべえ。よろしく」

仁美「こちらこそ!よろしくお願いしますわキュゥべえさん」にこっ

QB「…ワカメのクリーチャーじゃなかったね」ひそひそ

杏子「…ああ」ひそひそ

仁美「?」

杏子「で、仁美はこんな山奥でなにしてんの?」

仁美「カブトムシをつかまえに来たのです!しかし、3時間以上歩いているのにまったく見つかりませんの…」

杏子「あっ…あたしと一緒だ」

QB「仁美、まだカブトムシがいる季節じゃないよ」

仁美「な、なんですってー!?」ガーン

QB「君もアホ可愛いね」

仁美「うぅ…ショックですわ…帰ります…」しゅん

杏子「あ!帰り道わかるの?あたしたち迷っちゃってさ…」

仁美「ええ、大丈夫ですわ。わたくしにおまかせください!」

杏子「やった!ありがとな仁美!にぼし食うかい?」すっ

仁美「いただきますわ!あっ、わたくしも非常食におしゃぶり昆布と茎わかめを持ってきたのですが…あなたたちも食べますか?」すっ

杏子「いただきます!」もぐ

QB「きゅっぷい」もぐ

―――
――

とことこ…

杏子「無事に下山できたな!」

QB「よかったよかった」

仁美「はい!カブトムシは手に入りませんでしたが代わりに…」

ドッサリ!

杏子「タラの芽にコシアブラ…山菜が大量に採れたな!」

仁美「下山途中にあんなに見つかるとは思いませんでしたわ」

QB「道の駅で買い取ってもらおうよ」

―――
――

――道の駅

杏子「ろ…ろろろろろろ、6000円で売れたぞ…おい…」ふるふる

QB「売れたね」

仁美「売れましたわね」

杏子「そ、それじゃあ3人で山分けしようぜ…ひ、1人2000円だな…」ふるふる

QB「僕はいいよ。お金なんて持っていても使う機会がないからね」

仁美「わたくしも…おこづかいを十分もらっていますし…それに一番張り切って山菜を採っていたのは杏子さんですわ。だからそのお金は杏子さんがもらってください!」

杏子「キュゥべえ…!仁美…!あ、ありがとう…!」ほろり

仁美「うふふふふ!」

QB「きゅぷぷぷぷ!」

杏子「で、でもやっぱり悪いよ…あたし1人で全部もらうなんて……あっ!そうだ!このお金で3人でなんか食いに行こうぜ!おなか空いてるだろ?」

仁美「たしかに…」ぐぅ

QB「おなか空いたね」ぐぅ

杏子「よっしゃ!決まりだ!鮎の塩焼きとか食べに行こうぜ!」

仁美「美味しそうですわ!」

QB「食べたい!」

杏子「おーし!出発だー!」

仁美&QB「おー!」

わいわい! きゃっきゃ! うふふふふ…! きゅぷぷぷぷ…!

――そのころ

マミ「あれぇ…おかしいなぁ…」がさごそ

マミ「私のタイツ…1つ足りないわ…どこにいったのかしら…」がさごそ

おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月26日 (木) 18:19:22   ID: RwYQa6Za

なんすかこのほのぼのーーーッ!!

いいけどッ!!

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