京子「結衣って別にとりえがないよな」(135)
結衣「……」
あかり「ちょ、ちょっと京子ちゃんいきなりどうしたの?」
ちなつ「……三枚におろしてほしいんですか、京子先輩?」ギロッ
あかり「お、落ち着いてちなつちゃん!!」
京子「いや、ありのままを伝えただけだよ」
結衣「ふーん」
京子「前々から言おうとは思ってたんだけどね」
京子「なかなか言い出せなくてさ、ははは」
結衣「……」
あかり「ゆ、結衣ちゃん……」
ちなつ「……本気で言ってるんですか京子先輩?」
京子「えーなんで?みんなだってそう思ってるでしょ」
結衣「……そうなの?」
あかり「ううん、ぜんぜん!」
ちなつ「答えるまでもありませんよ結衣先輩」ニコッ
結衣「……そっか、ありがと2人とも」
あかちな「えへへ」
京子「むっ、じゃー具体的に結衣のいいところ挙げてみてよ」
ちなつ「いいですよ、いくらでも出してあげます」
ちなつ「……その前に」
ちなつ「なんで結衣先輩に後ろから抱き着いてるんですか!?」
京子「……」ギュムッ
結衣「……」
京子「だ、だってさ、こうやって後ろから抱き着けば」ギュッ
京子「大嫌いな結衣の顔見なくて済むじゃん?」
結衣「どういう理屈だよソレ!?」
ちなつ「……はぁ」
ちなつ「と、とにかく、このクールで大人の雰囲気」
ちなつ「ショートヘアの髪型に、美しい黒髪、ボーイッシュな感じ」
ちなつ「もう全部です、全部好きです」
ちなつ「結衣先輩がかもしだす色気に私はもう……」クネクネ
ちなつ「えへへ♪」
あかり「うんうん、結衣ちゃんの大人っぽい雰囲気は憧れちゃうよぉ」
結衣「ちなつちゃん、あかり……」
京子「……むむ」
結衣「ちなつちゃん、あかり、ほんとありがと」
京子「あっ……」
結衣「ふふ、おかげでなんか元気が出てきたよ」
京子「……」ギュッ
ちなつ「物憂いに落ち込んでる結衣先輩もそれはそれでアリです……」
結衣「あはは、なにそれちなつちゃん」
京子「……」ギュッー
あかり「結衣ちゃんもっと自信持ってね、素敵なところ一杯あるんだから」ニコッ
結衣「あかり……」
結衣「ありがとな、でもここまで言われると恥ずかしいかな」
あかり「ふふふ、顔ちょっと赤いよ結衣ちゃん」
結衣「……う、うるさい」
京子「……」ギュギュ
結衣「……おい、私を絞め殺す気かお前は」
京子「ふ、2人とも結衣のこと買いかぶりすぎだろ!」
ちなつ「……はぁ」
あかり「……あはは」
京子「ボーイッシュってちなつちゃん言ったよね」ギュッ
結衣「……苦しい」
ちなつ「はい、だからさっさと結衣先輩から離れて下さい」
京子「逆に言うと女っ気がないってことじゃない?」
京子「す、スタイルだって貧相だし」ギュゥー
結衣「……お前が言うか」
京子「う、うなじにだって全然色気ないし!」スンスン
結衣「んっ……」
ちなつ「な、なに結衣先輩の後ろ髪に顔突っ込んでるですか!?」ガタッ
あかり「……」ドキドキ
京子「ん、髪の匂いだってシャンプーの薬品臭い匂いだし?」スンスン
結衣「や、やめっ……きょ…こ…!」
京子「暴れないの……」ギュッー
京子「……ほんと結衣のどこがいいのか分からないね私は」
京子「ちなつちゃんとあかりも早く目覚ました方がいいよ」ギュッ
ちなつ「……」
あかり「……」
ちなつ「……どう思うあかりちゃん」
あかり「ま、また階段から落ちて頭打っちゃったとか?」
ちなつ「でもコブっぽいのは見つからないし……」
あかり「だよねぇ……」
京子「なんというかさ、結衣って全部が中途半端だよね」
結衣「……」
京子「髪の長さだってそうだしさ」
京子「む、胸の大きさもまたしかり……」フニッ
結衣「ひゃっ!?」
京子「……気持ち悪い、なに一丁前に反応しちゃってるの?」
京子「恥ずかしくないの?ねえ結衣」ギュッ
結衣「っ……う、う、るさい!」
京子「なんか汗ばんでない?はぁ、抱き着いてる私の身にもなってよ結衣」スンスン
結衣「っ、に、匂い、かぐなぁ……」ジタバタ
京子「ほらすぐ暴れるから男の子みたいって言われるんだよ?」ギュッ
結衣「だ、誰にだよ……!」
京子「私に」
結衣「お前かよっ!?」
京子「はーほんと結衣って気持ち悪い」ギュッ
結衣「んっ……」
京子「……へへ」
結衣「いまへへって笑っただろお前」
京子「なんで笑わないといけないんだよ……」
京子「結衣と同じ空気吸ってただでさえ機嫌悪いってのにさ」
結衣「ご、ごめん……」
京子「ふん」
京子「……へへ」ギュッ
結衣「……」
京子「……」
結衣「おいそろそろ離せよ、私のこと嫌いなんだろ?」
京子「き、嫌い……?」ギュッ
結衣「……」
結衣「わ、わたしおかしい事言ってないよね?」
あかり「……」コクコク
ちなつ「無理にでも引き離しましょうよ、ね?」
あかり「ち、ちなつちゃん顔怖いよぉ……」
結衣「うーん、それじゃお願いしようかな」
京子「……」ギュッ
結衣「……」
ちなつ「うふふ、あかりちゃんも手伝ってね」
あかり「う、うん」
京子「結衣なんて嫌い……?」ギュッー
結衣「……はぁ」
結衣「あ、あのさ2人とも、やっぱこのままでいいよ」
京子「……!」
ちなつ「な、なんでですか!?」
結衣「いまコイツ離したらちなつちゃんにベタベタ触っちゃうかもしれないし」
ちなつ「う、確かにそうですね」
京子「……ぇへへ」ギュッ
結衣「……」
京子「……」ギュッ
あかり「あ、このお洋服可愛いなぁ」
ちなつ「どれどれ?」
ちなつ「うーん、あかりちゃんはもう少し明るい色のほうがいいかも」
ちなつ「ほらこの白っぽいワンピースとか」
あかり「ホントだかわいいねコレ」
結衣「こっちのジャケットなんかあかりにピッタリかもね」
あかり「じゃ、ジャケット……!」
あかり「ぇへへ、なんかお姉さんっぽくて素敵だよぉ!」
結衣「お姉さんっぽいあかりも見てたみたいな」
ちなつ「ふふふ、そうですね」
京子「……」zzz
結衣「……」
京子「……ゆ、い」zzz
結衣「やけに静かだと思ったら寝ちゃったのか」
結衣「あかり、私のコート京子にかけてあげてくれないか?」ボソッ
あかり「ふふふ、任せて」
結衣「しかしなんて体勢で寝てるんだコイツは……」
京子「……んへへ」zzz
あかり「座ってる結衣ちゃんを後ろから抱きかかえて寝てる……」フワッ
結衣「よくこんな恰好で寝つけるよな……」
あかり「くすっ、コアラみたいで可愛いね」
結衣「はは、コアラか、ほんとそんな感じだよな」
ちなつ「……ほーんと大人しくしてれば可愛いのに」
京子「……」ギュッ
京子『うっ、え、ひっく……ぐすっ……』
結衣『きょーこどうしたの、なんで泣いてるの!?』
京子『う、うう、ううん、ひっく、っないて、ないよ……』
結衣『ひざすりむいてる……、また同じクラスのあいつとあいつだな?』
京子『うっ、ゆ、ゆい……』グスッ
結衣『ほらほら、すぐ泣かないの!』
京子『だ、だって、こわ、こわかったよぉ……』ギュッ
結衣『……』ナデナデ
結衣『んむむ、ゆるせない、ちょっとここで待っててきょーこ!!』
京子『えっ?ゆいどこいくの?』
結衣『すぐもどってくる!』バヒューン
京子『……』
結衣『あはは、おまたせきょーこ!!』
京子『ゆ、ゆいそのきずどうしたの!?』
結衣『きょーこをいじめたやつをこらしめてきたぞ』フフン
結衣『わたしがあいつらに4回ゆいキックをおみまいしてきた!』
京子『で、でもゆいもボロボロ……』グスッ
結衣『わたしはつよいからへーきなの』
結衣『にしし』
京子『ぷっ、えへへ……』
結衣『やっと笑ってくれた、よかったー』
結衣『きょーこのおうちにいこ?きず治してもらおう』
京子『う、うん』
京子『っ!いた……』グスッ
結衣『ひざいたむの?ならおんぶしてあげる』
京子『ありがと……』ギュッ
結衣『よーし、きょーこのおうちまでしゅっぱーつ!』
京子『……ねえゆい』
結衣『んー?』
京子『わたしどうしてあの子たちにいじわるされるの?』
京子『なにかわるいことしちゃったのかな……』グスッ
結衣『ううんそんなことないよ』
結衣『……ぜったい、きょーこは何もわるくない』
京子『な、ならどーして……?』グスッ
結衣『あの子たちはね、きっときょーこが好きなんだよ』
京子『えっ!す、好き……!?』
京子『す、好きなのにいじわるしちゃうの?』
結衣『うん、きょーこがかわいいから、きょーこにかまってほしくて』
結衣『……だからいじわるしちゃうんだ』
京子『……ほんとに?』
結衣『うんうん、すきな人にはいじわるしたり、ひどいこと言っちゃうの』
結衣『っておかーさんからきいた』
京子『……そっか、すきな人にいじわる』ギュッ
結衣『ぐぇっ、きょーこちょっと苦しい!』
結衣『よーし到着!』
結衣『おばさーん、おとどけものでーす!』ピンポーン
京子『うぅ、わたしたっきゅーびんの荷物じゃないよ!』
結衣『あははは』
京子『……もー』ギュッ
ママ『はーい、あらあら、ずいぶん可愛い郵便屋さんだこと』
ママ『2人とも傷だらけじゃない、すぐ消毒してあげるからね』
京子『うん、ありがとおかーさん!』
結衣『ふいーつかれた』
京子『わ、わたしおもかったよねゆい……』
結衣『おもかったらここまでおんぶできないだろー』ニコッ
京子『……!えへへ、ありがと』
ママ『結衣ちゃん京子のこといつもありがとね』
結衣『いいのいいの、おばさんは気にしない!』
結衣『それにきょーこはわたしが守るって言ったもん』ニコッ
京子『うぅぅ…』
ママ『あらあら、この歳でプロポーズもらうなんてねぇ』
ママ『ふふ、消毒も終わったしいまお菓子持ってくるからね』
結衣『えへへ、たのしみー』
京子『……』ツネリッ
結衣『い、いったぁ!?なんでほっぺつねるんだよ!』
京子『え、だ、だって、好きな人にはいじわるするって……』
結衣『うー……なんか今のはちがう!』
京子『ち、ちがうの!?』
結衣『い、いやちがうというか……』
京子『ど、どういうこと?』
結衣『わ、わたしはすきな人にはぎゅってしてもらいたいから』
結衣『あ、あとき、きき、きっすとか……』
京子『……!』
京子『わ、わたし、ゆ、ゆいとだったら、き、きすしたい……かな』
結衣『いきなり、な、なに言ってるんだよきょーこ!?』
結衣『と、とにかくきょーこにはまだ早い!』
結衣『もー少しおとなになってから!!!』
京子『お、おとなってどれくらい?』
結衣『んー中学生くらいかな』
京子『えぇ、あとなんねんだろ……』ヒーフーミー
結衣『……』ドキドキ
京子「……」zzz
京子「ん……?」
京子「(また子供のころの夢見ちゃった……)」
京子「(あれ、私いま結衣におんぶされてるのかな……)」
結衣「今度また私の家においでよ2人とも」
あかり「えへへそうだね、また結衣ちゃんのオムライス食べたいし」
ちなつ「はい!ぜひお邪魔させてください!」
結衣「それじゃ私こっちの道だから」
あかり「だ、大丈夫結衣ちゃん?」
ちなつ「背中に京子先輩背負って、両手にかばんって……」
結衣「ん、大丈夫だよこれくらい、心配してくれてありがと」
結衣「またね2人とも」
結衣「……」
京子「……」ギュッ
結衣「……苦しいんだけど京子」
京子「子供のころから何も変わってないね、結衣」
結衣「……起きてたのか」
京子「……ん」
京子「結衣の背中はぽかぽかして、いつも私を安心させてくれる……」ギュッ
結衣「どうしたんだ?みょうに素直じゃないか」
京子「……」
結衣「……昔もよく京子をおんぶしてこの道を歩いたよな」
結衣「いじめられて泣きべそかいてる京子を私が背負ってさ」
京子「……うん」
京子「……好きな人にはいじわるしちゃう」
京子「私の初恋の人が言ってた言葉なんだ」
京子「その人が可愛いから、その人にかまって欲しいから」
京子「だからいじわるしたり、ひどいこと言っちゃうんだって」
結衣「……へえ、京子の初恋の人がそんなこと」
京子「……」ギュッ
結衣「……まだその初恋は続いてるのか?」
京子「もちろん、片思いかもしれないけどね」
結衣「そっか、叶うといいな初恋が」
京子「……自分が言ったこと忘れるなよ」
結衣「え、なにか言った?」
京子「べっつにー」ギュッ
結衣「ぐえっ、く、苦しいって京子……」
結衣「どうする、このまま京子の家まで行く?」
京子「……結衣と」
結衣「うん?」
京子「……もう少し結衣と一緒にいたい」ギュッ
結衣「な、なんだよ、調子狂うな」
結衣「それなら晩ご飯でも食べていきなよ、オムライスだ今日は」
京子「……へへへ、まーたオムライスかよ」
結衣「うるさい、減らず口叩いてるとここでおろすぞ」
京子「っと、それは困りますなぁ結衣さん」
結衣「なら静かにしてな」
京子「……ん」ギュッ
結衣「……」テクテク
結衣「よーし、ここらへんでもう降りてくれ」
京子「えーなんで?」
結衣「……お前は私に階段まで登らせるつもりか」
京子「うむむ、エレベーター壊れてるのか」
京子「よっと」スタッ
結衣「ふいー疲れた……」
結衣「ひざ擦りむいたとかじゃないのになんでおんぶなんか……」
結衣「ん、ひざ擦りむく、おんぶ……?」
京子「どしたー早く行こうよ?」
結衣「ああ、いま行くよ」
結衣「……デジャブっていうのかなこういうの」
結衣「ただいまーっと」
京子「あぁー疲れた、お腹空いちゃった」
結衣「アンタ今日なにか疲れるようなことした?」ジトッ
結衣「部室で昼寝して、私におんぶされただけだろ」
京子「てへっ♪」
結衣「てへじゃねえ」ペシッ
京子「まぁまぁ、私も料理作るの手伝うからさ」
結衣「へえ、京子にしてはなかなかいい心がけじゃないか」
京子「むむむ、してはって失礼だろうが」
結衣「ふふふ」
京子「ぶー」
京子「……玉ねぎ」グスッ
京子「玉ねぎのやつが憎い、あいつとは分かり合えない……」サクサク
結衣「なに言ってんの1人で」
結衣「ほら、左手は丸くしないと、指切っちゃうよ」ソッ
結衣「……包丁持つ手もおかしいし」ギュッ
京子「あ、あのさり気なく両の手が握られてるんだけど」
結衣「……」
京子「ゆ、結衣?」
結衣「さっきの話をもう少し聞きたいな」
結衣「……京子の初恋の人の話が」ギュッ
京子「うっ……」
京子「……いいよ、なんでも聞いて」
結衣「ありがと、それじゃ」
結衣「……どうしてその人を好きになったの?」
京子「そうだなぁ」
京子「……その人はいつも私に優しくしてくれるんだ」
京子「私に辛い事や、悲しい事があるといつも側にいてくれた」
京子「いつも優しい目で見守ってくれた」
京子「他にもいっぱいあるけどね」
京子「にしし、面倒見が良くて後輩に好かれたりとかね」
京子「……本当に優しい人なんだ」
結衣「……へえ、そうなんだ」
京子「でもさーなんか変わってるところあるんだよね」
結衣「ん、例えばどんなところ」
京子「素直じゃなかったりさ」
結衣「っ……」
結衣「ほ、他にもあるの?」
京子「うんうん、ダジャレが大好きで――」
結衣「っ!!……いい」
結衣「も、もういいよ京子……」
結衣「も、もうじゅうぶんっ、きけた……から」フルフル
京子「ゆ、結衣どうしたの?」
結衣「……な、なんでもないっ、から」グスッ
結衣「……」
結衣「……京子、私たち何があっても友達だからね」
結衣「それだけは変わらないよ」
結衣「ずっと、ずーっと友達だからな」ギュッ
京子「……」
結衣「……ごめん、ちょっと具合悪いからトイレ行ってくる」スッ
京子「……」サクサクッ
京子「ずっと友達」
京子「ずっと、ずーっと友達」
京子「それだけは変わらないよ」
京子「……あはは、告白する前に、脈無しって釘刺されちゃった」グスッ
京子「うっ、えぐっ、……た、玉ねぎがめ、目にしみ、る、な」
京子「……うっ、うっ」グスッ
結衣「……」
結衣「……」グスッ
結衣「綾乃は京子が好き、京子は綾乃が好き」
結衣「ははは、良かったじゃないか、片思いなんかじゃないよ」
結衣「これでっ、うっ、い、いいはず、なんだ、えぐっ……」グスッ
結衣「う、うっ、ひっく……」ポロポロ
結衣「こ、心のどこかで京子の初恋は、わ、私なんじゃないか」
結衣「そうおも、思ってた……」ポロポロ
結衣「……」グスッ
結衣「ふ、2人のこと応援しよう、それが、わ、わたっしに出来ること……」グスッ
結衣「……う、うぅ、うわぁあああああ」ポロポロ
京子「おー結衣、ずいぶん長いトイレだったな」
結衣「あ、ああちょっとな」
京子「もうオムライス作り終わっちゃったよ」
結衣「悪い悪い、よく出来てるじゃないか」
京子「へへへ、だろー?」
結衣「それじゃさっそく食べようか」
京子「まったまった、最後にまだやることがあるだろ?」
京子「にしし、ケチャップで……ゆいLOVEっと」
京子「はいどーぞ!」ニコッ
結衣「っ……」
結衣「も、もう私たち子供じゃないんだからさ、こういうのは止めない?」
京子「えっ……ご、ごめん結衣……」
結衣「い、いや私も強く言い過ぎた、ゴメンな」
京子「ううん、大丈夫……」
結衣「さ、京子特製のオムライス食べようか、いただきます」
京子「……」
結衣「……」モキュモキュ
京子「んー結衣みたいには上手く作れないなやっぱり」
結衣「卵の殻でじゃりじゃりするし、ケチャップが多すぎて味が濃いな」
京子「うぐっ……」
結衣「……でも京子が一生懸命作ったんだ、美味しくないわけない」モグモグ
京子「……結衣、えへへ」
京子「どれどれ……っ!」ジャリッ
京子「(よくこんなもん平気な顔して食べられるな……)」
京子「うぷっ、ご、ごちそうさま……」
結衣「なかなかの味だったよ、ごちそうさま」
京子「……ウソばっかり」
結衣「はは、本当にマズかったらぜんぶ食べきれてないだろ」
京子「……むぅ」
結衣「まぁ人に食べさせるにはもう少し練習が必要かもな」
結衣「練習台にならいくらでもなってやるから」
京子「へへへ、それじゃ今度お願いしようかなー」
結衣「……綾乃にはちゃんと上手く作れるといいな、京子」
京子「ん、なにか言った?」
結衣「いや別に、アイスあるから持っておいで」
京子「おおう、悪いねえ!」トテトテ
結衣「……」グスッ
京子「へへへ、ラムレーズンだよねえやっぱり」
結衣「京子好きだよなぁそれ」
京子「うむっ!」ハムハム
京子「……」
結衣「……」
京子「ゆ、結衣、ほら、あーん……」
結衣「あっ、えっと、テレビのリモコンどこにあったかな……」ソソクサ
京子「……あーん」パクッ
京子「……美味しくない」
京子「……」グスッ
結衣「京子、そろそろ帰った方がいいんじゃない?」
京子「……もう少し、お腹いっぱいで動けないから」
結衣「ん、ならゆっくりしていきな」
京子「……読書?」
結衣「……そうそう、ちょっと静かにしててな」
結衣「あ、ナモクエの新しいシリーズ出るんだ」ペラッ
結衣「ふふふ、買いだなコレは」
京子「……結衣、ほっぺにご飯粒付いてるよ?」
結衣「ん?うそ、どこだろ」ペタペタッ
京子「ちがう違う、取ってあげるよ」
結衣「あぁ、悪いな京――」
京子「……」チュッ
京子「へへへ、しっかり取れましたー」
結衣「……くせだ」
京子「え?」
結衣「京子の悪い癖だって言ってるんだよっ!!!」
京子「っ!?」ビクッ
結衣「そうやって好きでもない人にベタベタ触って!!」
結衣「好きでもない相手にキスまでして!」グスッ
結衣「京子だって薄々気づいてるんだろ!?」
結衣「……私は、京子が好きなんだよ」
結衣「そ、それを、ひっく、し、知っててこんな事……えぐっ」ポロポロ
結衣「お前なんて、だいっ、嫌い……だ……」グスッ
京子「……」
結衣「……う、うぅ、うわぁあああああ」ポロポロ
結衣「も、もう、おねっお願いだから、帰って……」
結衣「帰ってよ……」グスッ
京子「帰らない」
京子「なんて言われようが、蹴られようが、叩かれようが」
京子「……私は絶対に帰らないよ」
結衣「なんでだよ……も、もう嫌いだ京子なんて……」
結衣「私のことなんて何とも思ってないんだろ!?」
京子「……」ツネッ
結衣「いったぁ!?なんでほっぺつねるんだよ!」
結衣「……あ、あれ、このセリフどこかで」
京子「……くふふ」
京子「だって、結衣が好きな人にはいじわるするって」ニコッ
結衣「あっ、あ……昔、わたしが言ったんだ……」グスッ
結衣「きょ、京子の初恋の相手って……」
京子「ホラホラ、続きのセリフ早くー」
結衣「……い、今のはなんか違う」
京子「……どうして?」
結衣「わたしはっ、好きな人に、ぎゅってされたり」ポロポロ
京子「……うん」ギュ-
結衣「き、キスしたりして、ほっほしいから……」グスッ
京子「……」チュッ
結衣「京子、京子……」ギュッ
京子「ぐぇ、ちょっと結衣さん力強いって」
結衣「う、うぅ、うわぁあああああ」ポロポロ
京子「ありゃりゃ、昔と立場変わっちゃったな」
京子「……へへへ」ナデナデ
結衣「……」チュッ
京子「ん……」
京子「……むふふ」
結衣「あーもう、そのにやけ顔やめろ」
京子「泣いてる結衣も新鮮で可愛かったぞー」スリスリ
結衣「ええい暑苦しい」
結衣「……それにしても、人前で泣いたのなんて久し振りだ」
結衣「……できれば京子の前では泣きたくなかったな」
京子「どうして?」ギュッ
結衣「昔言っただろ、私が京子を守るってな」
結衣「私が泣いたら京子が不安になっちゃうから……」
結衣「だから……」
京子「……」
京子「……結衣」チュッ
結衣「んっ……」
京子「いいんだよ、辛いときや悲しいときは泣いても」
京子「溜めこめんで結衣が苦しそうな顔してるの見たくないよ私」
結衣「……ありがと、京子」
京子「というわけで早く泣くんだ、結衣!」
結衣「やかましい」ペシッ
京子「あぁん」
結衣「……本当に感謝しているよ、普段は照れくさくて言えないけどさ」
結衣「京子にはいつも助けてもらってる」
結衣「ありがとう、大好きだよ」
京子「……」ニヘラッ
結衣「あーもう、そのニヤケ面やめろ!!!」
京子「顔真っ赤にして可愛いやつー」スリスリ
結衣「うぐぐぐ……」
結衣「……帰らないの?」
京子「んー帰ってほしいのかい?」
結衣「か、帰って……」
京子「ん?」
結衣「か、帰ってほしくない」
京子「そうそう、素直が一番だよ結衣ー」スリスリ
結衣「……はぁ、なんでこんな奴好きになったんだか」
京子「お言葉だなぁ、ご希望ならあまりベタベタしないけど?」
結衣「……う、やっぱり、ベタベタしてくれ」
京子「りょーかい♪」ギュッ
結衣「……」ナデナデ
京子「ねえ結衣?」ギュッ
結衣「うん?」
京子「子供のころにさ、まだ京子には早いって言ったじゃん」
京子「キスとか、ぎゅーっとするのは」
京子「大人になってからだーって」
結衣「あぁ、言ったな、中学生になってからだって」
京子「どうして中学生で大人なの?」
結衣「えーっと……」
結衣「ちゅ、チューするから中学生……」
結衣「なんて言ったり言わなかったり」
京子「……」
結衣「……」
結衣「せ、せめて何か言ってくれよ……」
京子「私は結衣が大好きだよ」
結衣「は、話逸らすな頼むから」
京子「どんなことがあっても結衣を愛し続けるよ」
結衣「うぐああああああ……」ジタバタ
京子「……まぁ今回は許してあげるよ」
結衣「……以後気を付けます」
京子「うむ、よろしい」
結衣「……面白いと思ったのに」
京子「……」ギロッ
結衣「な、なんでもないです」
結衣「……お風呂入ったしそろそろ寝るか」
京子「おーそうだね」
京子「むふふ……」モソモソ
結衣「あーもう、こっちまで入ってくるなよ」
京子「えーいいじゃん、もう恋人の仲なんだし?」
結衣「……ったく」
京子「にしし」ギュッ
結衣「……」
京子「……いろいろあったね今日は」
結衣「あぁ、そうだな」
結衣「今日はぐっすり寝れそうかな」
結衣「……正直言うとさ、たまに寝つけない時があったんだ」
京子「考え事でもしてたの?」
結衣「……中学校卒業したら京子と離ればなれになるんじゃないかって」
結衣「もしかしたら疎遠になっちゃうんじゃないか」
結衣「そう考えたら自分は急に一人ぼっちなんじゃないかって……」グスッ
結衣「もうこんな歳なのに、おかしいよな」
京子「おかしくなんてないよ」
京子「……私も結衣と同じこと考えてた」ギュッ
京子「自分の気持ちを伝えるまま結衣と離ればなれになったら」
京子「本当に怖かった」
結衣「……そっか」ギュッ
結衣「……京子、ずっと私と一緒にいて」
結衣「中学、高校、大学卒業しても、それから先もずーっと」
京子「……うん」
京子「はは、また結衣にプロポーズされちゃったな」
結衣「……何回でもしてやる」ギュッ
京子「愛されてるなぁ私」
京子「……へへへ、ずっと一緒だよ結衣」
結衣「……ん」
京子「おやすみ、結衣」
結衣「おやすみ、京子」
京子「……」zzz
結衣「……」zzz
おしまい!
あかり「結衣ちゃんって別にとりえがないよね」
もよろしくお願いします
次ネタ出来たら結ちなver.も書けたらいいなと思ってます、乙でした
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