ダイの大冒険-After- (29)

ダイが行方不明となり半年が経ち、仲間たちはそれぞれの道を進み始めていた。旅をする者、乱れた国を治める者、師を仰ぐ者。

そんなある日の朝、今も変わらぬ輝きを保つ【ダイの剣】の元にフードを被った者が立っていたのをレオナが撃した所から物語は始まる。


レオナ「怪しい…まあダイ君以外には重すぎて扱えないから盗まれたりしないだろうけど」

マリン「でも姫様の気配を感じたら直ぐにルーラで逃げたのですよね?」

レオナ「そうなのよ、暫く見張ってようかしら?」

アポロ「ふむ…公務も疎かにされては困りますし、交代で見張ってみるのはどうでしょう?」

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レオナ「う?ん…ま、とりあえずそれで我慢しましょ」

バダック「姫様!!一大事!一大事ですぞ!!」

レオナ「何よ騒々しい、お財布でも落としたの?」

バダック「そ、そんなお戯れを言っている場合ではありません!勇者の…【ダイの剣】が!!」

レオナたちは顔を見合せバダックへ詰め寄ると、肩を掴み大きく体を揺さぶらせ続きを促した。

レオナ「剣がどうしたの!!早く!!」

バダック「姫…ちょっ…と揺さぶ…るのを…お止め下さい…」

喋ることすら困難にさせたことに気付き、肩から手を離し一息つくと改めてレオナはバダックを見据えた。

マリン「そ、それで…剣がどうしたの?」

バダック「ふぅ…それが観光に来ていた者が衛兵に連絡してきたのですが、フードを被った者が剣に近寄ると、それを引き抜いてしまったそうで…」

剣を引き抜かれた事に皆驚いた、その剣は持ち主であるダイ以外にはクロコダインでさえ一人で持ち上げられぬ重量がある。ならば引き抜いた人物は一人しかいない。

レオナ「ダイ君よ!間違いないわ!!それで、フードの中は見えたの?」

思わぬ知らせに大きく跳ね喜ぶレオナに対し、バダックは肩を落としていた。

バダック「観光客が言うには、抜いた者は背丈は高く仮面を被っていたそうです。おおよそダイ殿とは違うかと」

バダック「また、その男はその…剣を…剣をその場で折ってしまったのです!!」

アポロ「お、折った!?」

バダック「今此方に運んでいるのですが、何分重く…」

バダックの報告を聞きレオナは部屋を飛び出し走り出した。ちょうど城の入り口まで運ばれて来ていた剣を見つけると、嘘ではないかと刀身が二つに折れた剣の柄に手を掛けた。

レオナ「んっ!!んんっ!!…本物…だわ…」

兵士たちが見守る中自らで贋作疑惑を否定したレオナは、剣を見ると直ぐ様指示を出し始めた。

レオナ「…ロン・ベルクさんとノヴァ君を呼んで、早急に。それと、女王様たちに連絡を。あとポップ君たちを探して、チウ達に依頼すれば早いわ」

レオナ「全員に伝えて、『ダイ君に関わる用件だ』と」

それから3日が経過した。剣を折ったフードの男は観光客を振り向き見た後ルーラで飛び去り足取りは掴めなかった。周囲に何か手掛かりは無いか探してみたが、何も残されてはいなかった。

レオナ「皆、集まってくれて感謝するわ」

ポップ「本当驚いたぜ、空からクロコダインのおっさんが降ってきて説明も無く俺たちを捕まえるんだから…」

チウ「フフン、どうせたいした事してなかったんだろ?」

ポップ「うるせぇ、人助けしたり財宝探したり忙しかったんだよ」

クロコダイン「すまん、ダイの事と言われいの一番にお前を見つけてやらんと焦ってな」

マァム「あと…ヒュンケルたちはいないのね」

レオナ「エイミも一緒だから連絡は付けられるわ。だから少し依頼したの…ダイ君の為に作られた【ダイの剣】を折った人の探索をね」

全員「!!!」

アバン「それは…色々と問題ですね」

ロン・ベルク「俺とノヴァは一足早く見たが…綺麗に真っ二つだ。それと復元は無理だな、なにせ肝心なダイがいないからな」

ポップ「そんな…嘘だろ!?」

レオナ「フードを被って顔に仮面をつけた…そう、ミストバーンとキルバーンを足して割った様な男がやったそうよ」

マァム「でも…あの剣はダイ以外には簡単には持てない筈じゃ…」

ロン・ベルク「それについては俺も補足すべきだな。正確に言えば持てなくもない。まあ大魔王バーンぐらいの実力はいるが…少なくとも地上にいる人間や魔物はおろか、クロコダインにだって持ち上げたりおったりするのは不可能だ」

レオナ「…以上の事から、幾つかの仮説が出てくるわ。一つ目、ダイ君本人である。二つ目、魔界や天界の実力者。他にもあるかもしれないけど…現時点ではこの二つに絞っています」

レオナ「ただ、目撃した人によると、背丈はポップ君ぐらいだったそうよ。そうなると…魔界や天界の実力者がやった可能性が高いわ」

フローラ「新しい…敵かもしれないわね」

メルル「あの…そのフードの人の特徴は他にありませんか?少し占ってみたいので…」

マリン「一応目撃者にも聞いたのですが、それぐらいしか…。あ、あとはルーラの方角が南の方向だったそうです」

レオナ「それを踏まえてヒュンケルたちには捜索して貰っているわ。メルル、とりあえず占ってみて貰える?」

メルル「はい…では」

水晶玉を取り出すと、メルルは静かに瞑想を始めた。するとメルルから思いもよらぬ地名が発せられた。

メルル「デルム…リン…デルムリン島…何か見えます、ほこら?洞窟…」

ポップ「デルムリン島だって!?ダイの故郷じゃねぇか!」

アバン「幸い私とポップはルーラで行けますね、二組パーティを作って向かいましょう」

本日は以上です。構造しながら書いているので、遅筆かもしれませんがお付き合いください。ではまた後日。

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