男「不老不死?」少女「はい」(18)

少女「貴方も不老不死と聞いてやって来ました」

男「・・・とりあえず中に入って」

少女「お邪魔します」カチャ

男「ここ、座って」

少女「はい」ストン

男「えっ・・・と、まず君の名前は?


少女「あっ、申し遅れましたっ!私、少女と申します」

男「俺は男、ところでいきなりで悪いけど君は不老不死なの?」

少女「はい、あなたは不老不死ではないのですか?」

男「俺はちょっと違うかも知れない」

少女「というと?」

男「俺は『不老』じゃないし、ある意味『不死』でもないかもしれないから」

少女「じゃあ不老不死じゃないんですか?」

男「いや、俺は寿命じゃないと死ねないから」

少女「それはただの健康なひとじゃないですか」

男「そーじゃなくて、例えば心臓をえぐりとられても生きてるよ~!、みたいな」

少女「なるほどそう言うことですか」

男「君は完璧に不老不死な訳?」

少女「あ、私は不老不死ですけど自殺で死ねます」

男「自殺で・・・」

男「寿命じゃ死なないわけ?」

少女「はい・・・・たぶん」

男「たぶんってどういうこと?」

少女「私の家系、不老不死の人がたまにいるんです。
その人達皆が自殺でしか死ねないから私もそうかと思って」

男「なるほど、そういうことか」

男「ところでお前は何処で俺のことを知ったんだ?」

少女「あの、実は私逃げ出してきたんです」

男「逃げ出す?何から?」

少女「んー・・・よく分かりませんが、あえて言うなら『研究所』でしょうか」

男「研究所?」

少女「と言っても監禁されていたので断言は出来ませんけど」

男「監禁!?」

少女「不老不死の実験みたいなものです」

少女「ある時は一ヶ月間ご飯がなかったり、
またある時は水筒一本でジャングルに放り込まれたり、
あと・・・普通の人なら死んじゃうような拷問をされたり・・・」

男「なんてことを…」

少女「不死でも痛みは感じますから、その生活が嫌で逃げ出してきたんです」

少女「混乱してた方逃げやすそうだったんで、資料をばらまきながら逃げたんです」

少女「その時の資料の中に男さんの事が書いてあったんです」

男「そこで俺の事を知ったというわけか」

少女「なので男さんの事、ばれてますよ♪
それにその紙、住所や電話番号までこと細かに記してありました!」

男「うあぁ!!やべぇ!!」

少女「私達はここにいてもいずれ捕まります。男さんも拷問を受けるでしょう」

男「ぐっ…」

少女「そこで…私と一緒に逃げませんか?」

男「逃げるってどういうことだ?」

少女「捕まって拷問を受けたくないのなら、おとなしく一緒に逃げましょ?
ということです」

男「逃げるあてとかある?」

少女「逃げるアテかは知りませんが、奪った資料に他の不老不死の人のことが書いてあります」

少女「とりあえずはその人のところにいこうかと」

男「・・・わかった、痛いのは嫌だしな」

少女「そうと決まれば時間がありません!早く用意して目的地へ・・・」

男「ん?どうした?」

少女「お金、どうしましょう!?」

男「お前、考えてなかったのか…」

少女「私お金持ってません!」アタフタ

男「まぁいいや、俺が出してやんよ」

少女「ええ!?悪いですよ!」

男「いいっていいって、不老不死の人がいる家は皆金持ちらしいし」

少女「え?そうなんですか?」

男「あぁ、なんでも不老不死の人がいる家には不老不死の神様がいて、
その神様がお金の神様でもあるからってことらしいよ?」

少女「神様…ですか。これまたファンタジックな…」

男「不老不死がいるんだし、神様がいたってオカシクないさ!」

少女「そういうもんですか…」

男「てか、まずはここからどうやって逃げ出すか...」

少女「え?普通に出ちゃ駄目なんですか?」

男「なんか、滅多にいない不老不死の人には神様が宿っていらっしゃるので、
大切にしましょうって」

男「だからここからあんまり出してもらえない」

少女「監禁…ですか?」

男「いや、監禁というより軟禁かな。送り迎えつきで学校もいってたし」

少女「そうだったんですか」

男「そんなことより!俺荷造りしてくる。ちょっと待ってて」

少女「あ、はい」

10分後…

男「お待たせー」

少女「ずいぶん少ないですね」

男「元々荷物は少ないしな」

少女「ところで、どうやって逃げ出すんです?」

男「ああ、ちゃんと考えてある」

少女「本当ですか!」

男「ああ、突っ走る!!」

少女「・・・ヘ?」

男「これ以外思い付かなかったんだ」

少女「だからって無謀過ぎじゃないですか・・・」

男「いいんだよ!とっとといくぞ!」

少女「あっ、待ってくださぁーーい!!」

ー男宅  庭園ー

男「良し、行くぞ」ゴクリ

少女「はい」ドキドキ

男「3、2、1」

少女「・・・」ドッキンドッキン

男「0!!いっけええええぇぇぇ!!!!」ダダダダダ

少女「てやあああああああぁぁ!!!!」タタタタタ

庭師のじぃさん「あれは男様!?見慣れない少女も・・・」

警備員「男様がにげたぞー!!追えーー!!」

警備員達『うおおおおおおおーーー!』

少女「きゃああああああ!!なんか来てますよ!?」ダダダダダダ

男「警備員だ!もう見つかったか!」ドドドドドド

少女「いやああああああ!!!」ギュイイイイイイイン

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____最寄り駅___

男「はー、はー、疲れた・・・」

少女「はぁはぁ、ぐふぅ・・・」ギロリ

男「悪かったって、無理に引きずり回して」

少女「死ぬかと思いましたよ・・・」

男「そう言えば他の人はどこに住んでるの?」

少女「ええと・・・この資料に載ってるのは私たちを含めて5人みたいです」

少女「1人はアメリカ、2人目はスウェーデン、3人目はトルコに住んでいますね」

男「おお、結構散らばってんな」

少女「どこから行きましょう?」

男「アメリカかな、一番親しみがある」

少女「確かにそうですね、ではアメリカに行きましょう。・・・追ってが来る前に・・・」

男「あー、忘れてた。ま、結構な距離逃げたし大丈夫だろ」

ガヤガヤ オトコサマー  ザワザワ オトコサマー

男「よし、タクシー捕まえよう」

少女「はい!」
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____空港____

男「久しぶりだなー」

少女「私、初めてです!」ワクワク

男「さっさと済ませるか」

少女「わぁー!お土産たくさんですねー!」

男「おいこらウロウロすんな」ズルズル

少女「あうぅぅー」ズリズリ

___飛行機___

少女「うわわわわ、り、離陸しますですよ!」ドキドキ

男「おい、シートベルト締めろ」カチャ

少女「すみません、何だかドキドキしてしまって」

男「見ればわかる、景色でも見とけ(うるさいから)」

少女「はい!」

機内アナウンス「まもなく離陸します。シーベルトをお確かめください」

少女「ぐっ」バックンバックン

男(そんなに力まなくてもいいんだけどなー)

シュゴォォォーーーー

・ ・ ・ ・ ・

少女「ふいー、無事でした」

男「当たり前だろ」

少女「それにしてもこんな鉄の塊がよく空を飛びますねー」ガンガン

男「ん、そうだな・・・」

少女「とっても不思議です」

男「なぁ、ちょっと聞いていいか?」

少女「はい?」

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