美希「ハニー大好きなの」(344)
春香「美希はホント素直でうらやましいよ…」
美希「そんなにうらやましいの?」
美希「だったら春香も素直になればいいと思うな」
春香「できたらとっくにしてるんだけどねぇ」
美希「美希はハニーがいればなんでもできるの」
…
小鳥「プロデューサーさんは好きなんですか?」
P「えぇ、大好きですね」
小鳥「どういうとこが好きなんですか?」
P「音無さん、ぐいぐいきますね…」
小鳥「気になるので!」
P「しいていえば甘ったるいところでしょうか」
小鳥「なるほどなるほど…」
小鳥「ちなみに控えめなのと大胆だったらどっちですか?」
P「んー難しいですね」
P「でもどちらかと言ったら大胆にですかね」
小鳥「…プロデューサーさんも相当ですね」
P「そうですか?」
…
美希「ハニーのことだったらいっぱい話せるの」
春香「あはは…私はもうその話はお腹いっぱいかな」
美希「えーもっと話したいのに」
春香「あ、私次ぎの仕事があるから行くね」
美希「いってらっしゃいなの」
美希「…」
…
P「まぁでも正直最近は控えめなのもいいかなぁとか思うんですけどね」
小鳥「…」
P「どっちも良いところ、悪いところありますから」
P「そのときの気分でどっちがいいか変わるんですよ」
小鳥「…なかなか難しいです」
P「はぁ…」
貴音「…美希ではありませんか」
美希「あ、貴音」
貴音「1人で何をしているのですか?」
美希「さっきまで春香とハニーのことについて話してたの」
貴音「そうだったのですか」
美希「貴音はハニーのことどう思う?」
貴音「そうですね」
貴音「とても頼りになりますね」
貴音「美希が慕う気持ちもわかります」
美希「だよね!ハニーってやっぱ凄いよね!」
貴音「…えぇ」
貴音「しかし、美希が行動を起こさないかぎりこちらを向いてはくれませんよ」
美希「行動?」
貴音「私は思うのです、まだ貴女はまだ彼の心を捕えられていないと」
美希「そうなのかなぁ?」
…
P「でも今日に限ってどうして音無さんはそんなに聞いてくるんですか?」
小鳥「内緒ですよ~」
P「うーむ、意味がわからん」
小鳥「そのうち多分同じようなことみんなに聞かれますよ」
P「さらにわけがわかりませんよ」
小鳥「気にしないでください」
P「気にしますよ」
小鳥「それにしてもプロデューサーさんが…って意外です」
P「そうですか?」
P「隠してるつもりはないんですけど」
小鳥「それでも本人の口から聞くまではわからないじゃないですか」
P「そういうもんですか?」
小鳥「はい」
…
美希「どうすればハニーの心を掴めるかわからないの」
貴音「…とりあえず行動してみては?」
美希「わかったの、貴音ありがと」
貴音「私はなにもしていませんから、お礼を言うことは…」
美希「いいのいいの」
小鳥さんのはつまらんかった
今回はチョコかよ
>>19
誰と勘違いしてるかわからない
でもつまらないなら消えるよ
美希「ねぇねぇ、ハニー」
P「ん?」
美希「呼んでみただけなの」
P「あんまりからかうなよ、忙しいんだから」
美希「ごめんなさいなの」
P「……」
美希「……」ジーッ
P「……」
美希「……ぷっ、あはははっ!
あーあ、またミキの負けかぁ」
P「勝手に人をにらめっこの相手にするな」
美希「あ、ハニーお茶飲む?」
P「お前お茶のわかし方知ってるのか?」
美希「はい、あげる」
P「ペットボトルかよ」
美希「これでハニーと間接キスなの」
P「……」ゴクゴク
美希「ちゃんと口つけて飲んでなのー!」
P「ありがと」
美希「もー……計画が台無しなの」
P「穴だらけだな」
美希「……」
P「……」
美希「……あ、雪」
P「うわ、ほんとだ」
美希「つもるかな?」
P「ちょっと降ったら止むんじゃないか?」
美希「そっかぁ」
P「わからないけどな。天気予報見てなかったし」
美希「むかし読んだ絵本で、雪だるまと女の子が遊ぶ話があったの」
P「ん」
美希「最後は春になって雪だるまはとけちゃうんだけど」
P「ふむ」
美希「もしミキだったら、その雪だるまと一緒に南極まで行けばいいと思うな」
P「そうきたか」
美希「好きな人とだったらどこにでも行けるの」
P「まぁ、美希の場合はそうだろうな」
美希「好きな人のためなら、空を飛べとかじゃない限りなんとかするの」
P「凄いな」
美希「ちなみに、もしミキがその雪だるまの方だったら」
P「うん」
美希「気合いでとけないの」
P「さすがに無茶じゃないか?」
美希「好きな人のためならそれぐらい出来るよ。
空だって飛べるかも知れないの」
P「美希らしいな」
美希「……」
P「……」
美希「いま、ミキすっごくいいこと言ったの」
P「自分で言うなよ」
美希「惚れる?」
P「まだまだ」
美希「ちぇーなのー」
P「お茶沸かして来るか……」
美希「ミキのもお願いするの」
P「はぁ」ズズッ
美希「あふぅ」ズズズッ
P「甘いものがほしいな」
美希「何かないの?」
P「パッと見たけど切らしてるみたいだな」
美希「コンビニ行こうよ、コンビニ」
P「俺は事務所空けられないぞ」
美希「むー」
P「……小鳥さんのプリンとゼリーなら、ある」
美希「今日のおやつが決まったの」
P「あとで代わりになんか買っておかないとな……」
美希「ダイエットのお手伝いなの」
P「怒られるぞ」
美希「ハニーがね」
P「納得いかん」
美希「んー、おいしい」モキュモキュ
P「……まぁいいか」
美希「後で考えればいいのー」
P「さて、今日はみんな直帰だし、そろそろ引き上げるか」
美希「はーい」
P「鍵の確認手伝ってくれ」
美希「まかせてなの」
P「……なんか仕事した気がしないな」
美希「ミキの癒やしパワーのおかげに違いないよ」
P「わかった、単にだらだらしてはかどらなかっただけだ」
美希「そんなのってないの!」
美希「あっ、見てハニー! 雪がちょっとだけつもってるの!」
P「ほんとだな」
美希「明日の朝まで残ってるかな?」
P「もう雪はやんでるし、朝までは残らないんじゃないか?」
美希「気合いで残っててほしいの」
P「雪だるまでも作るのか?」
美希「プリンとゼリーの代わりにかき氷を冷凍庫に入れとくの」
P「お前な……」
美希「おなか減ったのー」
P「なんか食べてくか。さっきおやつ食べたばっかりだけど」
美希「ミキ的には牛丼の気分かな」
P「マジかよ。俺はそばとかうどんとかの気分だわ」
美希「じゃあそれでいいよ」
P「いいのか?」
美希「肉うどん楽しみなのー」
P「肉の気分なのか今日の美希は」
美希「肉うどんくださいなの!」
P「俺は天そば一つ」
美希「ハニーと晩ごはん一緒なの久し振りだね」
P「そうだったか? まぁ最近はほとんど遅い直帰だからな美希は」
美希「お仕事増えてきて大変なの」
P「まぁ順調だな。こないだも化粧品のタイアップの話来てたし。
そのうちもっと忙しくなるかもな」
美希「ふぅん……」
P「あんまり興味ないか? キラキラのピカピカになれるぞ。
美希にはぴったりの仕事だと思ったんだが」
美希「興味がないわけじゃないよ? ハニーが取ってきてくれたお仕事だし」
P「なら良いんだが」
美希「でもね、ミキ、最近ちょっと考えたんだけど」
P「ん?」
美希「ミキが一番キラキラしてるのって、ハニーとお喋りしたり、
ご飯食べたりぼーっとしたりしてるときなんじゃないかなって」
P「おいおい、それじゃ困るぞ」
美希「困らせてやるの。
カメラもなーんにもないところでキラキラしてやるのー」ズゾゾッ
P「良い顔で食べるなぁ、肉うどん」ズゾゾゾ
美希「ごちそーさまなの」
P「ごちそうさま」
美希「これで今日もぐっすり眠れるの。
って言うかもう眠くなってきたの」
P「待て待て、ちゃんと帰って布団で寝ろよ」
美希「あふぅ」
P「腹膨れたら眠いって子供じゃないんだから勘弁してくれ。
ほら、行くぞ」
美希「うー……ある意味幸せなの」
P「じゃあ、また明日な。
明日は八時には事務所だぞ」
美希「了解なの」
P「気を付けて帰れよ」
美希「はぁい」
P「……いまいち心配だ」
美希「女の子は心配されてなんぼなの」
P「バカ言ってんなよ。さっさと帰れ」
美希「また明日なのー」フリフリ
P「はいはい」ヒラヒラ
ガチャッ
美希「おはよーございますなのー」
P「おはよう。遅刻せずに来たな」
美希「一応プロだからね、ミキ」
P「頼もしいな」
美希「でもやっぱり眠いから、撮影中にあくび出るかも知れないの……あふぅ」
P「頼むから勘弁してくれ」
美希「ねぇハニー、知ってる?」
P「なにを?」
美希「お姫様を眠りから覚ます方法」
P「外の風に当たれば目も覚めるだろ」ガララッ
美希「あんまりなの! 寒いから窓閉めて!」
P「じゃあ、そろそろ行ってこい。場所はわかるな?」
美希「付いてきてくれないの?」
P「次のライブの打ち合わせとこあるんだよ」
美希「そっか。ハニーも頑張ってね」
P「おう、ありがとう」
美希「ミキのために頑張ってね」
P「美希含めみんなのために頑張って来るよ」
美希「むぅー……まぁ今日のところはそれでもいいことにしとくの」
P「聞き分けがよくて助かる」
美希「じゃあ行ってらっしゃいのチューを」
P「あ、お忙しいところすみません、765プロのPと申すものですが、
はい、はい、その件で少し確認したい事案がありまして、はい」
美希「こんなのってないの!」
美希「ただいまなのー」
P「あれ、美希? 直帰するんじゃなかったっけ」
美希「プリンとゼリー買ってきたの」ガサガサ
P「あー、そりゃ一足遅かったな」
美希「え?」
P「もう俺が買ってきた」
美希「えぇー。じゃあ今食べるの」
P「俺プリンがいい」
美希「ミキも」
P「……」
美希「……」
P・美希「「じゃんけんほいっ!」」
P「よっしゃあ!」グッ
美希「なんてこったいなの……」ガーン
P「じゃんけん弱いなー美希は」
美希「春香達にはそんなに負けないのにハニーには全然勝てないの。
なんでだろ」
P「気合いだよ気合い」
美希「ミキのも負けてないと思うんだけどなぁ」
P「まだまだだな」
美希「ちょっと研究が必要なの」
P「と言うか、えらく自然に俺も食う流れになってるけどいいのか?」
美希「ふた開けてから聞くことじゃないよね」
P「まぁな」
希「どうせ自分で食べるなら、
これの隣にあったミックスフルーツのにすればよかったかなぁ」モキュモキュ
P「でもそれ昨日食べたやつとも違うよな。
なんでそれにしたんだ?」
美希「安かったから」
P「なかなかひどいなお前。
……あ、よく見たらプリンにも特売シールが」
美希「……ねぇハニー」
P「ダメだ」
美希「まだなんにも言ってないの!」
P「どうせ『ミキもプリン食べたいから一口ちょーだいなの。あーん』とかだろ」
美希「ぐぬぬ……あ、じゃあミキのゼリー食べて!」
P「なにが『じゃあ』なんだか」
美希「はい、あーん」アーン
P「んうー」ンウー
美希「口あけてなの!」
P「ごちそうさん」
美希「次は……次こそは……!」
P「あ、おい美希、口元にゼリーくっついてるぞ」
美希「えっ、どこどこ?」
P「右の方。美希から見て」
美希「ハニーに拭いてほしいなー」
P「ほれ」スッ
美希「何も箱ごとティッシュ渡さないでもいいと思うの!」
P「そう言えば、残ってなかったな、雪」
美希「あー、朝ちょっとさみしかったの」
P「今日はちょっとだけ暖かかったしな」
美希「春が来る前に一回ぐらいはつもってほしいかな」
P「まぁ一回ぐらいな」
美希「今日はみんなは?」
P「もう帰った」
美希「そっか」
P「美希もあんまり遅くならないうちに帰る準備しろよ」
美希「ねぇ、ハニー」
P「なんだ?」
美希「いま、ミキたち二人っきり……だよね?」
P「いや、社長がいる」
美希「台無しなの!」
P「さて、そろそろ帰るか」
美希「あ、今日も晩ごはん連れてってくれるの?」
P「今日はちょっと遅いからな。また今度だ」
美希「急いで食べるから!」
P「身体に悪いぞ」
美希「食べない方がもっと身体に悪いの!」
P「まぁそれもそうだが……」
美希「ほら! ちょうどいいところに牛丼があるの!」
P「仕方ないな。と言うかまた肉かよ」
美希「お肉食べて運動したら、スタイルとかちょうどいい感じになるんだよ」
P「言っても牛丼チェーンの安肉だけどな」
美希「肉は肉なの。
ミキ的には千早さんももっとお肉食べたらいいんじゃないかなって思うな」
P「確かに説得力はある」
美希「久し振りに食べたらやっぱりおいしいの」
P「俺はしょっちゅうだけどな」
美希「もっと食べもの関係のお仕事とか来ないかな?」
P「そう言うのは大体貴音かやよいに回るからな。
美希のイメージとはちょっとズレる」
美希「そうなのかなー。ミキもグルメレポートとかしてみたいの」
P「まぁ、何かの機会にそんな仕事することもあるかもな」
美希「楽しみなの」
P「……食べるの早いのはいいが、また口元に米粒ついてるぞ」
美希「あれっ、ほんと? じゃあハニー、取ってー」
P「仕方ないな……」スッ
美希「お箸で取ろうとするのはあんまりだと思うの!
しかもミキの!」
P「さて、そろそろ出るか」
美希「うん」
P「ごちそうさま」
美希「ごちそーさまなの」
P「しかし、牛丼食べるアイドルってどうよ」
美希「何人かミキのこと知ってたみたいだよ?
こっち見てひそひそ言ってたし」
P「……今度から牛丼はやめとこう。
有名になってきたのは喜ばしいが」
美希「えー」
P「さすがに目立つからな、美希とか貴音は特に」
美希「ハニーはすっごく馴染んでるの。ザ・サラリーマンって感じ」
P「まぁ実際サラリーマンだしな」
美希「ザ・普通の人。ザ・そこの人かな?」
P「なんかへこむからやめて」
美希「ミキはいまはアイドルだけど、牛丼屋が似合う普通のお嫁さんになりたいな」
P「お嫁さんなのに牛丼屋が似合うのはなんか嫌だ」
美希「そうかなぁ?」
P「もっとエプロンとかさ」
美希「あー、自慢じゃないけどミキはエプロンかなり似合うよ」
P「ほう? そうなのか。で、料理は?」
美希「今後に乞うご期待なの」
P「じゃあ、また明日な。現場直行だ。遅刻厳禁だぞ」
美希「はーい」
P「午後には俺も行くから、それまで頑張れよ」
美希「えっ、午後からずっと一緒なのっ?」
P「いや、ちょっと顔出すだけだ」
美希「ミキはハニーの逆サプライズで深く傷ついたの。
賠償としてハニーに癒やしを請求するの」
P「なんだよ癒やしって」
美希「簡単なの。
ミキをぎゅっと抱き寄せて、耳元で『美希、結婚しよう』って」
P「あ、もしもし、律子か?
明日の打ち合わせなんだけど、俺は近くの現場から直接行くから」
美希「こんなのってないの!」
P「電話中は静かにしてくれよ」
美希「つーんなの」ツーン
P「口で言うのか。
まぁ、また明日な」
美希「えっ、なんのフォローもなしで帰る気なのっ?」
P「え? なにが?」
美希「ハニーは女心が全っ然わかってないの!
別れ際にほかの女から電話が掛かってくるなんてサイテーの中のサイテーなの!」
P「ほかの女って律子だぞ」
美希「そういう問題じゃないの!
もーっ、こんなんじゃバッドコミュニケーションなのー!」
P「何をそんなに騒いでるんだか。
まぁ、なにか至らないところがあったならすまなかったよ」
美希「……理由もわからず謝るのはもっとダメなの」
P「どうすりゃいいんだよ」
美希「そういう時は、とりあえずこうしたら一発で解決するの」
P「ふむ」
美希「『ごめん、俺美希の気持ち全然わかってなかった。だからお詫びにキスを』」
P「あ、もしもし、小鳥さんですか?
はい、今朝、机に置いてあった書類なら社長に」
美希「こんなんばっかりなの!」
P「だから電話してるときは静かにしてろってば」
美希「今度という今度は今度こそ怒ったの。絶対許さないの」
P「やれやれ。なぁ、美希」
美希「つーんなのっ」ツーンッ
P「今度の土曜日は午後からオフだったよな?」
美希「えっ? う、うん、ミキは土曜日の午後はすっごくオフだよっ」
P「そうか。俺は午後も仕事があるんだ」
美希「うん、ハニーは午後も仕事が……あれ?」
P「ん?」
美希「な、な、な、なんで?」
P「なんでって、そりゃお前たちのプロデュースがだな」
美希「そこは『お詫びに美希とデートするよ』って流れじゃないの!?」
P「いや、オフでリフレッシュすればっていう」
美希「ハニーのバカぁっ!」ポカポカ
P「痛い痛い! あ、また律子から電話が」
美希「こんな携帯逆パカしてやるのーっ!」
P「うわっ、よせっ! 危ないって!」
どさくさに紛れてPに抱きついたりしてる星井美希は、
こんな日常が割と嫌いではない。
おわり。
ちょっと休んだら微妙に続き書く
美希「ハニーって、ハニーっていうぐらいだから甘いの好きだよね?」
P「俺をそう呼んでるのは美希だけだけどな。まぁ好きだな」
美希「えっ? ミキのことがっ?」
P「こんがらがってるぞ色々」
美希「なんだ……
『俺』と『美希』と『好き』がこれだけ狭い間隔で出てきたんだから、
間違いなく『俺は美希が好き』だと思ったのに……」
P「そんなことで一々一喜一憂できるお前がある意味羨ましいよ」
美希「で、ハニーは甘党なんだね?」
P「辛いのも好きだけどな」
美希「じゃあ、バレンタインにはチョコレートあげるね」
P「ほほう。期待しとくよ」
美希「任せてなの!」
P「チョコレートは甘いものの特に好きだからな。審査は厳しいぞ」
美希「……」
P「ん? どうしたんだ、急に黙り込んで」
美希「……納得できないの」
P「何がだよ」
美希「ハニーはどんなに迫っても、ミキのこと好きって言ってくれないのに、
ミキ以外の物とか人には結構頻繁に『好き』って言葉遣ってるのが気にくわない」
P「いや、別にそんなことないだろ」
美希「じゃあ、春香のこと好き?」
P「ん? そうだな。まぁ好きだろう」
美希「千早さんは?」
P「好きだな」
美希「やよいは?」
P「好き」
美希「ミキはっ?」
P「もしもし、こちら765プロのPと言う者ですが、
いえいえこちらこそお世話になっております、その節はどうも」
美希「だろうと思ったの!」
P「大事な電話なんだからおとなしくしててくれって」
美希「かくなる上はバレンタインにはぶっちぎりのガッチガチ本命チョコを投げつけてやるの!」
P「はいはい」
美希「鼻血が止まらなくなるような強烈なヤツを一発お見舞いするから!」
P「火薬仕込むとかは勘弁してくれよ」
美希「愛情は爆発なの!」
P「テロだろもはや」
美希「とにかく、楽しみに待ってるがいいの!」
P「悪役のセリフだよな完全に」
美希「ふっふっふっ、一口食べたら絶対ハニーはミキにメロメロになっちゃうんだからね」
P「言っとくけど、俺はチョコは好きだがブランデーチョコはあんまりだからな」
美希「ハニーってひょっとしてエスパーなの?」
P「まぁとにかくさっさと仕事に行ってこい」
美希「あっ、もうこんな時間だったの。
行ってきまーすなのー」
P「気を付けてな。帰りは迎えに行くから」
美希「やったぁ!」
P「律子が」
美希「倒置法やめてなのー!」
P「おはよう、美希」
美希「まさかほんとに律子……さんが迎えに来るとは思わなかったの……」
P「だからそう言っただろう」
美希「サプライズを期待したミキがバカだったって思う」
P「仕事上でのサプライズって、この業界ではトラブルって言うんだぜ?」
美希「ドヤ顔で追い討ちするのやめてほしいな……」
P「で、今日のスケジュールの確認なんだが」
美希「ひとりで現場に行って、ひとりで家に帰る、でしょ?
はぁ……さみしくて死んじゃうの……」
P「そのはずだったんだけど、急遽予定が変わって俺もそっちに行くことになった」
美希「……どうせ『俺もひとりで行ってひとりで帰る』ってオチなの」
P「いや、美希と一緒にだ」
美希「じゃ、じゃあ現場には来るけど、ずっと違う場所にいるとか」
P「基本的には撮影してるところにいると思うぞ」
美希「……」
P「……」
美希「……わかったの。このあとの電話でまた予定が変わるが正解なの」
P「何言ってんだ。ほら、行くぞ」
美希「えっ、あれっ、うそっ、ほんとにっ?」
P「だからそう言ってるだろ」
美希「正直全然信用できないの。どっかに落とし穴があると思うな」
P「ならひとりで行くか?」
美希「ハニーっ! 手繋いで行こっ!」
P「あ、もしもし、律子か?
言った通り、今日は予定を差し替えて美希の方の現場に行くから」
美希「右手は携帯、左手は鞄で塞がれてるの! でも今日ばっかりは許しちゃうの!」
P「さて、じゃあ頑張ってこいよ。
俺はスタッフさんとかに挨拶してくるから」
美希「いつもの3倍ぐらいはキラキラするの!」
P「いつもそのくらいテンション上げてくれよ」
美希「限界の3倍なのっ!」
P「はいはい」
美希「ちなみにハニーのキスで最後の封印が……あれっ、もう居ないの!」
P「美希のやつ、ほんとにキラキラしてるなしかし。
ちょっとした雑誌のカット撮影なのに、表紙を飾る勢いだ」
美希「ふぅっ、はいっ、次はどんなのですかっ?
え、小道具? このチョコをかじりながら? わかりましたなの!
このチョコを……チョコ……
あーーーーっ!!」
P「うおっ! なんだなんだ?」
美希「あっ、ええと、……すみません、続けてくださいなの! 大丈夫です!」
P「? 何があったんだ……?」
美希(せっかくハニーに渡そうと思ってたチョコ、事務所に忘れてきちゃった……!)
P「お疲れさまでしたー、またよろしくお願いします」
美希「ありがとうございましたっ」
P「いやー、会心の成果だったんじゃないか?
頑張ったな、美希」
美希「あのねハニー、ほめてもらえてすっごく嬉しいんだけど、
ミキね、どうしても一回事務所に寄りたいの。出来るだけ急いで」
P「そうか? じゃあ俺はひとりで」
美希「……」ウルウルウル
P「わかったよ、一緒に行けばいいんだろ?」
美希「ハニーっ、ありがとうなのっ!」
P「まぁ今日ぐらいはちょっとのわがままなら聞いてやろう」
美希「そうと決まれば、光の速さで事務所まで帰るの!
ハニーも早く!」
P「無茶言うな」
美希(うぅー、2人っきりの帰り道の別れ際に渡したかったのにぃ!
事務所出るときにあせってすっかり忘れちゃってたの……)
P「なんか忘れ物か?」
美希「すっごく、すっっっっごく大事な忘れ物なの!」
P「そ、そうか。
そんなに大事なのに忘れるって、美希も相当おっちょこちょいだな」
美希「か……返す言葉もないの……」
P「ほら、着いたぞ。もうみんな帰ったみたいだが」
美希「ミキ、ちょっと探してくるね!」
P「おう。手伝わなくて大丈夫か?」
美希「へーきなの! ハニーはそこで待ってて!」
P「あいよ」
美希(確か……ハニーが来るまで事務所の冷蔵庫に入れとこうとして)ガチャッ
美希(……ど、どこにもないの!
なんでなんでなんでっ? 確かにここに入れておいたはずなのにっ)
ガサゴソガサゴソ
美希(どこ? どこにあるのっ? なんでここにないのっ? ううぅ……あっ!)
ガタッ
美希(そうだっ! ハニー来る前にハニーの机の上に置こうとして出したんだ!
そのあとすぐに出発したから、きっとハニーの机に……!)
美希(お願い……ミキの気持ち、ハニーに伝えるんだから……っ!)
パチッ
P「おいおい、探し物なら電気ぐらいつけてだな」
美希「……」
P「ん? 見つかったか?」
美希「……ないの」ペタン
P「美希?」
美希「ハニーのために作ったチョコが……どこにもないの……」ウルウルウル
P「チョコって……あ、そうか。今日がバレンタインだったな。
と言うか、それがない、って」
美希「う……ううっ……ご、ごめんね、ごめんね、ハニー……っ
ミキね……一生懸命つくったんだけど……っ……」ポロポロ
P「お、おいおい」
美希「ハニーに……喜んでもらえるかなって……っ……なのに……っ」ポロポロ
P「ま、待て待て、落ち着いてもう一回探そう。俺も手伝うからさ。な?」
美希「で、でも、ミキが覚えてる場所にはどこにもなくて……」
P「じゃあ覚えてない場所にあるかもだろ? どんなチョコなんだ?
包装紙とかは何色?」
美希「えっと……ひっく……赤のチェック模様なの……」
P「赤のチェックね。それで、あるとしたら大体どの辺なんだ?」
美希「事務所を出発する直前まで、ハニーの机の上においてあったはずなの……」
P「なるほど、赤のチェックで、俺の机の上か。ふむふむ」
美希「誰かが……食べちゃったのかなぁ……」ジワッ
P「なぁ、美希、それってひょっとしてこんな包装紙だった?」ガサガサ
美希「あっ! それなの!
……でも、包装紙だけってことは、中身はやっぱり誰かが……」
P「うーむ、美希」
美希「……なぁに? ハニー……」ポロポロ
P「それ食べたの俺だわ」
美希「……え?」
P「いや、1日事務所空けて出掛けるときは、
たまに小鳥さんが差し入れくれるんだよ。ちょっとしたお菓子とか。
それで、大概俺の机の上においてあるもんだから、てっきり今回もそれかと」
美希「……」
P「いや、すまん。まさか美希のチョコだったとは。
なんかずいぶん凝った差し入れだとは思ったんだがな」
美希「……」プルプル
P「美希が鞄取りに行ってる間に、ありがたく懐に入れて、
向こうの昼休みに食べさせてもらったよ。いやぁ、なかなかうまかった、うん」
美希「……」プルプルプルプル
P「えーと、あー……美希?」
美希「……ねぇ、ハニー……なんでそれがミキのチョコだって気付かなかったの……?」
P「え? なんでってそりゃ、名前も何もなかったからな」
美希「そっか……わからなかったんだ……ハニー、その空き箱、今持ってる……?」
P「あぁ、あるぞ。バタバタしてて鞄に入れっぱなしだったからな」
美希「……そのチョコが入ってたところの、枠を取ってみて」
P「ん? これ取れるのか? よっと」スポッ
美希「……」
P「あれ、底になんか文字が……えっと」
美希「もぉおおおおおおおおっ!!
ハニーのバカぁあああっ!!」ポカポカポカポカ
P「うおあっ! 美希、落ち着け美希! いや、俺が悪かったって!」
美希「ぜっっっっったい許さないの!!
人の本命チョコをよりによって小鳥のと間違えるなんて信じらんないの!!」ポカポカポカポカ
P「ごめんっ、ごめんってば! 痛い痛い!」
美希「許してほしかったらどうすればいいかちょっとは考えるの!
でなきゃ明日からストライキなのっ!」
P「わ、わかったわかった。えーと、そうだな……あ、そうだ。
ローソンおにぎり一週間食べ放題ってのは」
美希「……」
P「……ど、どうですかね?」
美希「ハニーはミキのこと好きなの!? 嫌いなの!?」バァン!
P「おわっ……そ、そりゃ好きだよ」
美希「……」
P「……」
美希「もっかいなの」
P「え?」
美希「いまのをもっかい言うの」
P「だから、俺は美希のこと好きだって」
美希「……」ギュウーッ
P「うわっ! い、いきなりなんだよ」
美希「……今は気分がいいから、今回だけゆるしたげるの」ギュウーッ
P「わかったから、ちょっと離してくれないか?」
美希「いま離したら、いまだかつてない不機嫌になるの」ギュウウウーッ
P「はぁ、やれやれ……」
箱の底には
『ハニー、大好きなの! ハニーのアイドル、美希より』
とあった。
この後、某製菓会社のチョコレートのイメージキャラクターに美希が選ばれたことが、
美希のブレイクの大きなきっかけになるわけだが、
その話とこの話の関連は特になさそうである。
おわり。
明日は朝から出掛けてまどか☆マギカ展を観に行かなきゃなのに何やってんだ俺は
おやすみ
このSSまとめへのコメント
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