結衣「さて、今日も鉢植えにお水を上げるか……」
結衣「早く生えないかなあ」
チョロチョロチョロ
結衣「ん、今、土が少し動いたような……」
モゾモゾ
京子「」ヒョコッ
結衣「あ、小さい京子が生えてきた」
京子「……」
結衣「動く、のかな?」
結衣「ちょっと突っついてみよう……」ツンツン
京子「……」パチッ
結衣「あ、目が開いた」
京子「ユ」
結衣「ん?」
京子「ユイー」
結衣「あ……」ドキン
結衣「凄い、こんなに小さくても私の名前、呼んでくれるんだ……」
京子「ユイー、ユイー」
結衣「あ、うん、きょうこ、きょうこー」
京子「ユイ」ニコ
結衣「か、かわいい……」
結衣「そ、そうだ、綾乃に報告しておこう」
ピッピッピッ
結衣「綾乃?今さ、京子が生えてきたんだよ」
『何言ってるの船見さん』
結衣「だから、鉢植えから京子が生えてきたんだって」
『ごめんなさい、意味が判らないわ』
『今、歳納京子と食事中だから、切るわね』
プツッ
ツーツーツー
結衣「切れちゃった」
京子「ユイー」ブンブン
結衣「あ、はいはい……私はここにいるよ」
京子「ユイー、ユイー?」
結衣「うん、ここにいるよ、京子」
京子「ユーイー」
結衣「どうしたんだろ、京子、何かを訴えかけてきてる」
結衣「……あ」
≪今、歳納京子と食事中だから、切るわね≫
結衣「もしかして、京子、食事がしたいとか?」
京子「……!」パアッ
結衣「やっぱりそうなのか、もう、しょうがないなあ、京子は」
結衣「けど、鉢植えから生えてきた京子って何を食べるんだろ」
結衣「食虫植物とかなら、虫を食べるんだけど……」チラッ
京子「……」ブンブンブン
結衣「違うみたいだな」
結衣「えーと、京子、何を食べたいのか言える?」
京子「オニクー」
結衣「肉か、肉食なのか」
結衣「てっきり、ラムレーズンとかを食べるのかなと思ってたんだけど」
結衣「取りあえずお肉を炒めて小さく刻んでみたけど」
結衣「これで食べられる?」
京子「タベサセテー」
結衣「ん、じゃあ、お箸で少しずつ食べさせてあげよう」
結衣「はい」スッ
京子「ハムハム」
結衣「かわいいな……」
結衣「はい、これでおしまい」
京子「マンプクー」ケフ
結衣「じゃあ、私はそろそろ学校に行かなきゃならないんだけど……京子はここで大人しくしててね?」
京子「ウンー」
結衣「まあ、まだ上半身しか生えてないから動けないだろうけど……」
結衣「いってきます、京子」
京子「イテラー」
~2-5~
綾乃「それでね、今日も歳納京子と一緒にご飯食べたんだけどっ」
綾乃「ほっぺにご飯粒ついてたから、私が取ってあげたの///」
結衣「そ、そっか、良かったね、綾乃」
綾乃「それで、あの、学校行く前も行ってきますのチューを///」
結衣「は、ははは……」
綾乃「船見さん?どうかした?」
結衣「え?」
綾乃「いえ、何かちゃんと聞いてくれてないみたいだったし」
結衣「気のせいじゃないかな、綾乃」ニコ
綾乃「そうかしら」
結衣(ああ、早く家に帰りたい)
~娯楽部~
あかり「それでね、結衣ちゃん、あかり、昨日も京子ちゃんと手を繋いで帰ったんだぁ」
結衣「そっか」
あかり「京子ちゃんの手、凄く柔らかかったよ!」
結衣「良かったね、あかり」
あかり「それでね、おうちに帰った後も、ずっとあかりを撫で撫でしてくれてたんだ!」
結衣「京子は優しいからな」
あかり「うん!京子ちゃん、凄く優しいよね!」
結衣(早く帰りたいな……)
~結衣宅~
結衣「ただいま」
シーーン
結衣「……京子?」
結衣(え、返事がない、ひょ、ひょっとして、あれって幻が何かだったの!?)
結衣「きょ、きょうこ!?」タッ
京子「……」zzz
結衣「な、なんだ、寝てただけか……」ホッ
結衣「びっくりさせないでよ、京子」
結衣「……もう、いなくなったりしないでね、京子」
結衣「ずっと、ずっと私の傍にいてね」
モゾモゾ
結衣「ん?鉢植えの土がまた動いた……?」
ちなつ「」ヒョコッ
結衣「……小さい、ちなつちゃんだ」
ちなつ「……」
結衣「どうしてちなつちゃんまで、生えて来るんだろ」
結衣「……そうだ、あかりに電話して聞いてみよう」
ピッピッピッ
結衣「あかり?今さ、ちなつちゃんが生えてきたんだけど」
『何言ってるの、結衣ちゃん』
結衣「だからね、京子が生えてきた鉢植えからちなつちゃんも生えてきたんだよ」
『ごめんね、結衣ちゃん、意味判んないや」
『今、京子ちゃんに頭撫でて貰ってるから、切るね』
プツッ
ツーツーツー
結衣「切れちゃった」
京子「チナツチャーン」
ちなつ「……」
京子「チナツチャーン」
ちなつ「キョ」
京子「チナツチャーン」
ちなつ「キョウコセンパーイ」
京子「チナツチャーン」
ちなつ「キョウコセンパーイ」
京子「チナツチャーン」
ちなつ「キョウコセンパーイ」
結衣「……ねえ」
京子「チナツチャーン」
ちなつ「キョウコセンパーイ」
京子「チナツチャンニゲテ」
ちなつ「キョウコセンパイタスケテ」
結衣「どうして私を無視するの?」
あかり「どうしたんだろ、結衣ちゃん、鉢植えから京子ちゃんが生えてくるはずないのに」
あかり「それに、ちなつちゃんだって、もう居ないんだし」
あかり「おかしいよね、京子ちゃん」
「……」
あかり「ほら、京子ちゃん、何時もみたいにあかりを撫でて?」
「……」
あかり「ありがと……京子ちゃんの手、本当に綺麗だよね///」
あかり「あかりは、あかりは京子ちゃんが、大好きだよ」
あかり「例え、手だけでも、大好き」
あかり「ずっと、一緒だよ」
綾乃「はい、歳納京子、今日もスプーンでご飯食べさせてあげるわね」
「……」
綾乃「おいしい?」
「……」
綾乃「あー……もう、こぼしてるじゃない、駄目よ、ちゃんと口の中に入れないと」
綾乃「歳納京子は私がいないと本当に駄目ねえ……」
綾乃「ほら、またご飯粒、頬についてる」
綾乃「私が、舐め取ってあげるわね……」ペロッ
綾乃「……歳納京子、私、貴女の事が大好きなの」
綾乃「例え、頭部だけでも、大好きなの」
綾乃「だから、ね、何時もみたいにキスしましょう……」チュッ
結衣「私が間違ってたのかな」
結衣「ちなつちゃんが凄く可哀そうだったから、京子の心臓と一緒に鉢植えに埋めてあげたんだけど」
結衣「それがいけなかったのかな」
結衣「だから、京子だけじゃなく、ちなつちゃんまで、生えて来ちゃったのかな」
京子「チナツチャン、ゴメンネ、ゴメンネ」
ちなつ「キョウコセンパイ、タスケテ、タスケテ」
結衣「そうだよ、変な仏心を出さなければ良かったんだ」
結衣「元々、ちなつちゃんが悪いんだから」
結衣「だって、だって京子と」
結衣「京子と付き合い始めたりするから」
結衣「ねえ、綾乃、あかり、死体をどうしよう?」
綾乃「私、歳納京子の頭部が欲しいわ」
あかり「あかり、京子ちゃんの手が欲しい」
結衣「じゃあ、私は京子の心臓が欲しい」
あかり「ちなつちゃんはどうする?」
綾乃「西垣先生の焼夷弾があるから、焼いちゃいましょう」
結衣「……ちなつちゃんを全部焼くのは、可哀そうだよ」
結衣「髪の一部だけでも、残しておいてあげようよ」
あかり「結衣ちゃんは、優しいよね」
あかり「あかりには出来ないよ、大好きな京子ちゃんを奪った女に同情なんて」
京子「ゴメンネ、ゴメンネ」
ちなつ「タスケテ、タスケテ」
結衣「あかりの、言うとおりだった」
結衣「同情すべきじゃなかったね」
結衣「……ちなつちゃん」
結衣「ばいばい」
ブチッ
京子「チナツチャン、チナツチャン」
結衣「さ、京子、これでまた2人っきりだ」
結衣「ご飯に、しよっか」
結衣「今日は、ちょっと良い肉を買ってきたんだ」
京子「……」
結衣「京子?お腹空いてないの?」
京子「オニク、タベタイ」
結衣「そっか……沢山食べて、早く大きくなってね」ニコ
京子「ウン」
結衣「京子、随分成長したよね、もう足の付け根まで土から出てるや」
結衣「あ、ご飯、今作るね」
京子「ユイー」
結衣「はーい、ちょっと待ってて」
京子「ユイー」
結衣「もう、しょうがないなあ、京子は、もう少しだからさ」
京子「ゆいー」
結衣「はい、ご飯出来たよ、京子」
京子「結衣ー」
結衣「……え?」
京子「結衣、育ててくれて、ありがとう」
結衣「あ、ああ……京子、京子だ」
京子「うん、私だよ」ニコ
結衣「きょうこ、きょうこおおっ!」ダキッ
京子「どうしたの、結衣」ダキッ
結衣「ごめんなさい、ごめんなさい!こ、殺しちゃって、ごめんなさい!」
京子「……うん」
結衣「わたし、わたしずっと、ずっと後悔して、それで、もう1回やり直したいって!」
京子「そっか……」
結衣「許して、許してほしいの、京子に、京子だけに許して欲しいの!」
京子「うん、許すよ、結衣」
結衣「わたし、わたしどんな償いでもするから、お願い、嫌いにならないで、きょうこぉっ!」
京子「大丈夫、嫌いになんてならないよ、結衣」
結衣「ほ、ほんと?」
京子「うん」
結衣「よ、よかった、よかったぁ……」グスン
京子「けどね、結衣、一つだけお願いがあるんだ」
結衣「な、なに、わたし、京子のお願いなら、何でも聞くよ!」
京子「ありがとう、結衣」
京子「わたし、凄くお腹空いてるの、結衣」
京子「愛してるから、食べさせて」
京子「ごちそうさまでした」ケフ
結衣「……」
京子「心臓だけ、残っちゃったな」
京子「……よし」
ガサゴソ
京子「うん、上手く鉢植えに収まった」
京子「結衣、元気に育ってね?」
京子「大丈夫、今、お肉持ってきてあげるから」
完
うん…
最近鬱多いね…
乙
>>80
ごめんね
ごめんね
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません