幼馴染「キミは昔の約束を覚えてるのかな?」(301)

男「約束?」

幼馴染「まったく、予想通りとはいえ少し寂しいかな…」

男「………大きくなったら、ってやつ?」

幼馴染「お、覚えててくれたの?」

男「あんな昔の約束…よく覚えてるな」

幼馴染「え?」

男「俺なんかほっといて幼馴染もそろそろ良い人見つけろよ?そんなに男突っぱねてると後悔するかもしれないし」

幼馴染「あ、いや、だってボクは…」

チャラ男「幼馴染ちゃん一緒に帰ろーよ!…ってなになに?幼馴染ちゃんこのオタク系男子と知り合い?」

男「…」クルッ スタスタ

幼馴染「あ、待って!」


オナシャス!!

幼馴染「男!」

男「……なんでついて来るんだよ」

幼馴染「だ、だって…」

男「言っただろ…俺は昔みたいな男じゃない。落ちぶれたんだ」

男「逆にお前は、みんなから好かれ頼られるみんなの手本のような女になった」

幼馴染「そ、それは…!」

男「…もういいだろ。俺は帰るから」

幼馴染「男!待って!……待ってよぅ…」

幼馴染(それは…ボクが男に相応しい女になるために…)

幼馴染「男…男ぅ……」グスッ

チャラ男「幼馴染ちゃん。急に走りだしたと思ったらここにいたんだ」

幼馴染「……」

チャラ男「って!幼馴染ちゃん泣いてんじゃん!どうした!」

幼馴染「…何でもない」

チャラ男「なんでもないわけないじゃん!まさか男に何か言われたの!?」

幼馴染「……」

チャラ男「たく、許せねぇ。あの野郎…」

幼馴染「待って…男は悪くないんだ…」

チャラ男「はぁ?じゃあ他に何が…」

幼馴染「悪いのは全部…ボクだから…」

チャラ男「ふーん。幼馴染ちゃんが言うなら、まぁ…」

幼馴染「…ボクもう帰るね」

チャラ男「ちょっと!タンマタンマ!俺と帰ろうよ!!」

幼馴染「……すまない。今は一人にしてほしい」

男(懐かしいなぁ…)

男(幼馴染か…あいつが転校して別れ離れになって)

男(あれからもう5年か…)

男(まさか俺の通う高校に転校してくるとはな…)

男「…可愛くなってたなぁ」

男「ただいま」

妹「おかえり。おやつあるよー」

男「わかった。すぐ行く」

妹「早く来ないと私が全部食べちゃうからねー」

男「太るぞ」

妹「ふふふふ太らんしっ!」

男「……」ポケー

妹「……」モグモグ

男「…うーん」

妹「……ふむ」

男「…あれ、ここにあった俺のケーキは?」

妹「兄ちゃん、なにか悩んでるね?」

男「悩んでるっていうか…まぁそうなるのかな…いやそれより俺のケーキは?」

妹「ふふん、やっぱりね。私は勘がいいから」ドヤッ

男「すげぇな…流石は女子といったところか……ねぇ、俺のケーキは?」

妹「というわけで私にぶちまけてごらん。悩み多き思春期の少年よ」

男「お前、俺のケーキ食ったろ」

妹「……」

男「……」

妹「……」

男「……」

NTRだったら怒る

妹「だってだってぇ!」

男「だってじゃありません!お仕置きですよ!」

妹「うわーん!!」

男「こら!待て!」

妹「いやー!」

男「…待ったら許してやる」

妹「ホント!?」ピタッ

男「捕まえた」

妹「謀ったなぁぁ!」


幼馴染「はぁ…」

幼馴染(男…変わっちゃったなぁ……)

幼馴染(せめて、昔みたいに話せたら…)

幼馴染(あの時の約束も…)

幼馴染「…頑張ろう」


幼馴染「ただいま…」

弟「おかえり」

幼馴染「…部屋、戻るから。ご飯できたら呼んで」

弟「お、おう」

幼馴染「…はぁ」

弟「なんか元気ないけど、どうしたの?彼氏と喧嘩した?」

幼馴染「黙れ」

弟「…ごめんなさい」


妹「いひゃい…」

男「食い物の恨みは恐ろしいんだ」

妹「…で、本当は何?他に悩みがあるんでしょ?」

男「あぁ…うん…」

妹「はよはよ!」ワクワク

男「身を乗り出すな…お前さ、幼馴染って覚えてる?」

妹「幼馴染…あぁ、あの女のくせに男の格好ばっかりしていた」

男「酷い認識だ」

妹「それでいて可愛いのがムカつく」

男「可愛いとは思ってたのか」

妹「悔しいけどね」

男「その幼馴染とつい最近再会してさ。そして昔した約束を覚えてるかって言われたんだ」

妹「へぇ。約束ってどんな?」

数年前


男「幼馴染くんって女の子だったんだー」

幼馴染「気付かなかったの?」

男「うん。カッコイイなーって思ってた」

幼馴染「そっか…ボクって君にそんな風に思われてたんだ」

男「…ごめん」

幼馴染「あ…その…こうなったのもボクのせいだから、気にしないで…」

男「うん!じゃあ気にしない!」

幼馴染「ありがとう」

男「これからは幼馴染ちゃんだね!女の子だもん!」

幼馴染「う、うん…なんか急に女の子扱いされると恥ずかしいかな…」

男「ゆくゆくはオレのお嫁さん!」

幼馴染「え、えぇぇ!?」

男「?だって男の人と女の人って仲が良いとけっこんするんでしょ?」

男「そしたら女の人はお嫁さんになるんだよね!」

幼馴染「そ、そうだけど…えっと」

男「幼馴染ちゃんは…オレのお嫁さんになりたくないの…?」

幼馴染「い、いや!そんなんじゃないんだ!ただ、その…」

男「…?」

幼馴染「は、恥ずかしい…」

幼馴染「き、君はまだ結婚をよく分かってないからそんなこと言えるんだ…」

男「失礼な!分かってるよ!仲が良いってことは、好きってことでしょ!」

幼馴染「すすすす好き!?」

男「うん!オレ、女の子の幼馴染ちゃんが大好きだ!」

幼馴染「あわわわわ」アタフタ

男「だから、大きくなったら……


………

……



妹「結婚しようと…」

男「そういうこと」

妹「幼馴染さんもよくそんな約束覚えてたもんだね」

男「だよなー」

妹「でもそれでなんで悩んでるの?いいじゃん。さっさと結婚しちゃいなよ」

男「い、いやだけど」

妹「どうせ、俺には相応しくないとか思ってるんじゃないの?」

男「うっ」ギクッ

妹「あーそういうのウザいですぅー気にしすぎですぅー」

男「だ、だけど!お前今の幼馴染見てみろよ!すごく美人になってたんだぞ!」

妹「だからって手を引くの?無責任じゃない?結婚の約束をしたくせに」

男「う、うぐぅ」

妹「大体さぁ普通は覚えてないと思うよ、こんな約束」

男「そ、そうか?俺は覚えていたけど…」

妹「そりゃ兄ちゃんは本気だったからでしょ?」

男「うーん…あの時は確かに…」



妹「ではここで問題です。何故幼馴染さんは今更約束のことを聞いてきたのでしょうか」

男「うーん…?」

妹「いやいや、そんな難しいこと言ってないよ」

男「約束を果たそうとしている…とか?」

妹「その通り」

男「冗談はよせ妹よ。それじゃあ幼馴染は俺と結婚しようとしてるみたいじゃないか」

妹「だからそうなんだって」

男「………」

妹「よかったね、兄ちゃん。美人なお嫁さんが決まって」

男「……」

男「…」

男「」プシュー

妹「あちゃーショートしちゃったか」

妹「全く、こんな兄ちゃんと結婚しようだなんてね。正気か幼馴染さん」

妹「…兄ちゃんが取られるのは悔しいけど、仕方ないよね」

妹「兄離れ……できるかなぁ」


風呂

幼馴染「はぁ…」

幼馴染(あんなに強引に約束しといてあの態度って…)

幼馴染(ボクはあれからずっと男のことを…)

幼馴染(妹ちゃんに威嚇されても挫けず、男に振り向いてもらえるよう頑張ったつもりなんだけどなぁ…)

幼馴染「……」グスッ

幼馴染「泣いちゃ…ダメだ……」


幼馴染「はぁ…湯に浸かってスッキリしようとしたのに逆効果だったみたいだ」

幼馴染(明日は…どうしよう)

幼馴染(なんとかして男の心を開かないとなぁ…)

幼馴染「はぁ…」

弟(ため息多いな)


妹「兄ちゃん兄ちゃん」ペシペシ

男「うーん…妹ぉ……」

妹「早く目を覚ましてよ」ペシペシ

男「違う…それパンツ……脱がすなよ……」

妹「あぁもう、それリアルにやってしまいたいけど我慢するからぁ。早く起きて」バシバシ

男「あぁ…うん……うん?なんか頬が痛い…」

妹「やっと起きた」バシン!

男「痛い!何すんだよ!」

妹「知りませんよーだ」プイ

男「…?」


男(妹はプンプンと口に出しながらお風呂に行ってしまった)

男「なにか怒らすようなことしたっけ…」

男(まぁ…甘いモンでもやれば機嫌治すだろう)

男(そんなことより幼馴染だ)

男(妹の言うことが正しければ、あいつは俺に好意を寄せているってことだが…)

男「それじゃあ、なおさらあいつと顔を合わせづらいじゃないか…」

男「あぁもう!」

男「明日はどんな顔であいつと接すればいいんだ…」

男「わからんわからん!もう寝よう!」

男「明日の俺に全部任せよう!」


部屋

男(…なんか布団が妙に膨らんどる)

男(妹か…?)

男(どうしよう。普通に布団に潜り込むのもなんか芸がなくてつまらないな)

男(うーん)

男「……」

男「……」

男「……」

男「…」


妹「はよこんかいっ!!!」

男「うおっ」

妹「ずっと布団に潜ってるのって結構辛いんだよ!?」

男「ご、ごめん」

妹「本当に分かってるの?」

男「も、もちろん!」

妹「……じー」

男(だからそういうのは口に出すもんじゃないだろ…)

妹「じー」

男「……」

妹「……仕方ない許す。というわけで、さぁ」ポンポン

男「さぁ、じゃねえよ」

妹「妹のここ、空いてますよ」

男「誘うな馬鹿」

男「全く…お前だって可愛いんだから、俺なんかよりもっといい男見つけて……」

妹「ばかぁぁぁぁ!」ギュー

男「えぇ!?」

妹「馬鹿!アホ!変態!昼行灯!鈍感!」ギュー

男「抱きつきながら言うことかね!」

男「なんだよ……」

妹「……」ギュー

男「…仕方ねぇ。今日は一緒に寝るか?」

妹「初めからそう言え……ばか」ギュー

男「なんだか知らんが…今日は甘えてもいいぞ」

妹「…えへへ」ギュー

男「そういえば、さっき最後になんて言ったんだ?昼行灯のあと」

妹「……なんでもない」

男「一緒に寝るのは久しぶりだな」

妹「そうだね」

男「……」

妹「……」

男「……妹はさ」

妹「…何?」

男「今でも…その、幼馴染のこと嫌いなのか?」

妹「…なんで?」

男「だってお前、あいつが来るといつも威嚇していたじゃないか」

妹「…そうだったっけ」

男「そうだよ。猫みたいだった」

妹「猫みたい…ね」

男「……」

妹「幼馴染さんは……私のライバルだったから」

男「ライバル?」

妹「うん…そして今でもライバル」

男「よくわからんが…まぁそれなら大丈夫かな」

妹「うん…うん…」

男「……」

妹「兄ちゃん…」

男「何だ?」

妹「……今日は、目一杯甘えさせて」

男「…いいよ」

妹「ありがとう……」ギュー

男「よしよし」


翌日

男「ふわぁぁ…朝か…」

男「妹ー起きろ…ってあれ?」

妹「兄ちゃん兄ちゃん!やっと起きたー」

男「もう起きてたのか。早いな」

妹「まぁね!褒めてもいいんだよ!」

男「はいはい、偉い偉い」

妹「おざなり!」

男「とりあえず、着替えるから早く出て行け」

妹「…うん」

男(なんであんなに落ち込んでたんだろう…)

男「まぁいいか…」



妹「それじゃ、行ってきまーす」

男「気をつけていけよ」

妹「うん!兄ちゃんもね」

男「おう」

男(眠い…)

男(昨日、妹と遊びすぎたか…)

男「…ん?」

幼馴染「お、男っ」

男「お、幼馴染!?」

幼馴染「今日は、その…一緒に学校行かないかい?」

男「えーと…別にいいけど…」

幼馴染「や、やった!」

男「そんなに嬉しいかったか」

幼馴染「えへへ…」

男「……」

幼馴染「……」

男「……」

幼馴染「…ね、ねぇ男。なんでさっきからボクの方を向いてくれないんだい?」

男「へぇっ!?あ!あ、えーと、ち、違うんだ!」

幼馴染「へ?何が違うというんだ?」

男「あばばば」

男(ちくしょう!変に意識しすぎて幼馴染とまともに会話できない!)

男「きょ、今日は!」

幼馴染「な、何!?」

男「いい天気ですね!!」(何を言ってんだ俺はぁぁぁ)

幼馴染「え?あ、ああ!いい天気だね!あはは」

男(あわっわわ絶対変なやつだと思われたぁぁぁ)

男「お、俺やっぱ先に行くわ!」ダッ

幼馴染「え?あ、待って!男!」

幼馴染「男…」

幼馴染「はぁ……」

チャラ男「あ、幼馴染ちゃんじゃん!」

幼馴染「……」



学校

男「はぁはぁ…」

友「どうしたお前。汗だくだぞ」

男「死にたい…」

友「はぁ?」

友「なぁ、最近チャラ男のやつが転校生にしつこく付きまとってるらしいぜ」

男「今は幼馴染のことは聞きたくない……」

友「!?お前何時の間にあんな可愛い転校生と名前で呼ぶ関係になったんだよ!」

男「え?あぁ、そういえばお前には言ってなかったっけ」

友「な、なんだっていうんだ……」


友「…なるほどね」

男「俺と転校生が幼馴染だってことはあまり人に言わないでくれよ」

友「わかった。それでさ、お前いいのか?」

男「何が?」

友「チャラ男だよ。あいつ幼馴染ちゃん狙ってるぜ」

男「……」

友「今のまま何もしないでいたら取られちまうぞ」


キンコンカンコン

男「やっと昼だー」

女子「男くん、1組の女の子が呼んでるよ」

男「えっ」

友「おい、あれ幼馴染さんじゃないか?」

男「………」

友「早く行ってやれよ」

男「だがなぁ…」(今朝あんなこと口走ったせいか顔を合わせづらい)

男「よ、よう…」

幼馴染「遅いじゃないか。待ちくたびれよ」

男「何か用…?」

幼馴染「……お弁当」

男「お弁当?」

幼馴染「い、一緒に……その」

男「……いいよ。ちょうど俺も一人だったからさ」

幼馴染「ほ、ほんと!?」パァ

男「あぁ」

幼馴染「じゃあほら!早く早く!」

男「引っ張るなって!」


幼馴染「ここって人通りが少ないんだよ」

男「よくこんな場所知ってるな。転校してきたばかりだろ?」

幼馴染「ボクって言動が男っぽいだろう?だから友達もなかなかできなくてね…一人で歩いていたら偶然見つけたのさ」

男「そうか…なんか、すまん…」

幼馴染「あっ、いや、謝らなくていい。悪いのはボクだからね」

男「俺はいつだってお前の友達だからな?」

幼馴染(友達…か)

男「さぁ腹減ったし、早く食べようぜ」

幼馴染「風が気持ちいいね」

男「そうだな。弁当がいつもより美味く感じるぜ」

幼馴染「ボクもそう思うよ」

幼馴染(ボクは男と一緒だからもあるけど…)

男「なぁ幼馴染。今日の放課後、空いてるか?」

幼馴染「ひぇっ!う、うん!大丈夫だけど」

男「そうか…よかった」

幼馴染(これってもしかしてもしかしちゃうのか?展開早すぎじゃないか?)

幼馴染「………」モンモン

男「?」


放課後

男「……よう」

幼馴染「お、遅いじゃないか。全く」

男「それじゃ……」

チャラ男「あー幼馴染ちゃーん!」

男「……」

チャラ男「それに…いつぞやのオタク系男子じゃん!お前どの面下げて幼馴染ちゃんと一緒にいるんだよ!」

幼馴染「ちょっ、ちょっと」

チャラ男「お前、また前みたいに幼馴染ちゃん泣かせる気か?おい」

男「泣かせるって…どういうことだよ」

チャラ男「とぼけたって無駄だぞ。俺は見たんだからな」

男「……」

チャラ男「だんまりか?たくよぉお前見てるとイライラしてしょうがねぇ」

幼馴染「や、やめて…」

チャラ男「幼馴染ちゃんもさぁ、なんでこんな奴庇うんだよ」

幼馴染「男は悪くないから…」

男「幼馴染!」

幼馴染「っ!」ビクッ

男「もういい…ごめんな」スタスタ

幼馴染「男!待って!」

チャラ男「幼馴染ちゃん、あんな奴ほっとけほっとけ。それより今日こそ俺と…」

幼馴染「離して!」

チャラ男「はぁ?」

幼馴染「離してよ!男が行っちゃうじゃないか!」

チャラ男「だから男なんてほっとけって。あんな根暗で友達も少なそうなやつより…」

幼馴染「男のことを悪く言うな!」

チャラ男「ッチ、なんだってんだ…」

幼馴染「もうボクに近づかないでくれ。ボクも君の顔なんて二度と見たくない」

チャラ男「はん、結局お前も男と同じってことなのかよ」

チャラ男「あーあ、なんか冷めたわ。お前なんてこっちから願い下げだわ」

幼馴染「そうしてくれると嬉しいよ」ダッ


チャラ男「…ッチ。DQNとの、どちらが多く女を落とせるかの勝負、負けちまいそうだな」

男(これで良かったんだよな…)

男(チャラ男は嫌なやつだけど、顔はいいわけだし)

男(俺なんかより全然お似合いだよな…)

男「…ん?」

妹「あ、兄ちゃん」

男「よぉ、いもう…」

幼馴染「男ー!」

妹「げっ」

幼馴染「はぁはぁ…男…」

男「ど、どうしたんだよお前!チャラ男は?」

幼馴染「あんな奴どうだっていいんだ。それより…」

男「?」

幼馴染「用があったんだろ?何だったんだい?」

男「あぁ…それか。えーと」

妹「ストップ」

幼馴染「妹ちゃん?ひ、久しぶり」

妹「ガルルル…」

男「幼馴染。とりあえず俺の後ろに」

幼馴染「う、うん」

妹「フシャー」

男「妹。落ち着け、な?」

妹「兄ちゃんどいて。そいつ殺せない」

男「殺すつもりならなおさらどけないな」

幼馴染(妹ちゃんってあんなに怖かったっけ…)

男「とりあえず家に帰ろうぜ?」

妹「…幼馴染さんはどうするの?」

男「ここで帰すわけにもいかないし、一緒に来てもらうよ」

妹「いーやーだー」

男「わがまま言うんじゃありません!」

幼馴染「あはは…」

妹「幼馴染さんも!いつまで兄ちゃんの後ろにいるんですか!」

幼馴染「え?あ、あぁそうだったね」

男「幼馴染。危ないからまだここにいろ」

幼馴染「う、うん」

妹「ぐぬぬ」

風呂


男の家

男・妹「ただいまー」

幼馴染「お、お邪魔します…」

男「そんなに畏まるなよ。昔はいつも来ていたじゃないか」

幼馴染「う、うん」

妹「ガルルル…」

男「お前はいい加減威嚇をやめなさい」チョップ

妹「あうっ」


男「とりあえず好きなとこ座って」

妹「それじゃあ私はここ」

男「膝の上に座られたら立てないんだけど」

妹「ここじゃないと嫌なの」

幼馴染(いいなぁ…)ジー

男「ど…けぇ……」グググ

妹「うぎぎぎ…」ギュー

幼馴染(妹ちゃんってやっぱり…)ジー

男「おらぁ!」

妹「きゃん!」

幼馴染(あ、落ちた)

男「全く…幼馴染、今お茶入れてくるから」

幼馴染「へ?いや、いいよ。そこまでくつろぐのは悪いじゃないか」

男「いやいや遠慮すんなよ。昔は勝手に冷蔵庫あけて俺のプリン食べてたぐらいだぞ?」

幼馴染「ぼ、ボクそんなことしてたの!?」

男「なんだ覚えてないのか」

幼馴染「申し訳ない…」

男「今更謝らなくてもいいさ」

男「それじゃ、ちょっと待っててくれ」

バタン

幼馴染「……」

妹「……」

幼馴染「……」

妹「……」

幼馴染(き、気まずい!)

幼馴染(どうしよう…妹ちゃん全く喋らない)

幼馴染(しかもずっとボクのことを見てる…怖い)

妹「…どろぼう猫」ボソッ

幼馴染(どろぼう猫って言った!ボソッと呟いたよ!)

妹「…胸は…私の方がほんのちょっと大きいかな…」ボソッ

幼馴染(む、胸って!ボクだって小さいとは思っていたけど、妹ちゃんより小さいなんて!)

妹「…ふふ……」

幼馴染(笑い方が怖いよぅ…)

男「おまたせー」

幼馴染「男ぉぉぉ!」

男「な、なんだ!何があった!?」

幼馴染「遅かったじゃないかぁぁぁ!!」

男「え?そんなに遅かったか?」

妹「もっとゆっくりでよかったのに」

男「えぇ…」

男「とりあえず、粗茶ですが」

幼馴染「…ありがとう」

妹「んまい」ズズズ

男「さて、それじゃあ話を始めるか…」

幼馴染「う、うん」

妹「どんとこい」

男「いやお前は出て行けよ」

妹「」

妹「いーやーだー!」ギュー

男「はーなーせー」グググ

妹「うぎぎぎ…」ギュー

幼馴染「…ふふ」クス

男・妹「?」

幼馴染「二人とも、仲良いね」

男「いやべつ「とっても良いんです!」

男「…は?」

妹「私たち、愛し合ってるんです!」

男「何を言ってるんだ君は」

幼馴染「そっかー」ハハハ

妹「愛想笑いやめる!」

男「じゃあ、ここまま話進めるちゃうけど…」

妹「いいよ」

男「お前に聞いてない」

幼馴染「ボクもいいよ」

男「……まぁ、幼馴染がそう言うなら」

妹「……」

男「えっと…話っていうのは、約束のことで…」

幼馴染「うん…」

男「あんな小さいときにした約束を覚えていてくれたっていうのは素直に嬉しい」

幼馴染「あんなに強引にしてきたら、誰だって覚えているさ」

男「うぅ…ごめん」

幼馴染「責めてるわけじゃないから…」

男「そっか…ははは」

幼馴染「そうだよっ、ははは」

男「ははは」

幼馴染「ふふふ」


妹「はよ進めんかい!!」

男・幼馴染「!?」

妹「人の前でイチャコラしてんじゃねぇ!」

男「イチャコラって…」

幼馴染「そんな風に見えた…?」

妹「見えましたーそれはもうバカップルのようでしたー」

男「バカップルって…」

幼馴染「そっか…バカップルか……ふふ」

妹「はいそこ!ニヤけない!」

妹「もう嫌だぁぁ」ウワーン

男「嫌なら出てけばいいだろ」

妹「それも嫌だぁぁ」ギュー

男「なんなんだよ!女の子ってめんどくせぇなぁもう!」

幼馴染「ぼ、ボクも…?」

男「え?あ、ちがっ!幼馴染は違うぞ!」

幼馴染「よかったぁ…」

妹「ぐぬぬ」

男「ええい、この際妹は無視だ無視!」

妹「えぇぇ」グスッ

男「マジ泣きしないで!」

幼馴染「まぁまぁ…ゆっくりでいいよ。明日は休みだし」

男「確かに明日は休みだが…それがどうした?」

幼馴染「最悪泊まっちゃおうかなぁ…なんて」

妹「な、何をいうちょるけん!!」

男「あぁ、そういうことか。いいぜ泊まってけよ」

妹「」

妹「兄ちゃんの馬鹿ぁぁぁぁ!!」ギュー

男「痛い痛い!締め付けないで!」

幼馴染「あの…えっと…妹ちゃんが嫌がるなら…」

男「気にしなくていいのよ」

妹「気にしてよぉぉぉ!」ギュウウ

男「ギブギブ……」

幼馴染「ふふ……あはははは!!」

男・妹「!?」

幼馴染「あはあは…あはははは!!」

男「お、幼馴染が…」

妹「壊れた…」

幼馴染「ははは!……はぁはぁ、苦しい…」

男「幼馴染があんなに笑ってるところ初めて見た」

妹「わ、私も…」

幼馴染「もう…二人とも、勘弁してくれよ…」

男「なんかごめん」

幼馴染「こほん…もう大丈夫」

男「お、おう」

幼馴染「……」

男「……」

妹「……」

幼馴染「……」

男「……」

妹「……」

男・妹・幼馴染(なんだこの空気)

男「と、とりあえず飯食ってけよ」

妹「!?」

幼馴染「い、いいのかい?」

男「おぉ、いいぜ。こう見えてそこそこ料理できるんだ」

妹「わ、私も」

幼馴染「じゃあ……ご馳走になろうかな」

男「じゃあ決まりだな」

妹「決まっちゃった……」

男「ほーら、お前も手伝え」

妹「わかってるよぅ…」

男「あーらよっと」

妹「ちょっと兄ちゃん!変にフライパン振らないでよ!」

男「いいじゃん。カッコイイだろ?」

妹「カッコイイけどダメ!兄ちゃんが振ると具材がこぼれちゃうんだから!」

男「もーうるさいなぁ。お前は俺のお母さんか!」

妹「この際お母さんでもいいよ!」

ワイワイギャーギャー


幼馴染(微笑ましい…)

男「よし、これで完成っと」

妹「疲れた…」

幼馴染「二人とも、お疲れ様」

男「おう」

妹「…ふん」

男「いつまでもふてくされてんなって」

妹「うるさいなぁ…」

幼馴染「…ふふ」クスッ

男「それじゃあ食うか」

「「「いただきまーす」」」

幼馴染「あ、おいしい」

男「それ俺が作ったんだぜ」

幼馴染「うん、普通においしいよ。すごいじゃないか」

男「だろー」ニコニコ

妹「に、兄ちゃん!私が作った煮物もおいしいよ!」

男「そんなこと言わなくたって分かってるよ」

妹「へ?そ、そう?そっかぁ…えへへ」

幼馴染(可愛いな…)

男「おい妹、これコーラじゃなくて醤油じゃねぇか」

妹「これはてっきり」テヘッ

男「テヘッじゃねぇよ」

幼馴染(面白いなぁ…)

幼馴染「ご馳走さまでした。とってもおいしかったよ」

男「ありがとう。そう言ってくれると作った方も嬉しいぜ」

妹「なによ、ずっとデレデレしちゃって…」

男「してたか?」

妹「してましたー」

男「うーん…自分じゃ気付かないもんだなぁ」

幼馴染「妹ちゃん、よく見てるね」ニヤニヤ

妹「!!み、見てませんー!!」

男「顔赤いぞ」

妹「あわわわ」

幼馴染「ふふっ」クスッ

男「さて、お風呂なわけだが」

幼馴染「君が先に入ってきなよ」

妹「兄ちゃんが先にどうぞ」

男「お、おおう。そうか…」

男(なんだろう…嫌な予感しかしない)

幼馴染「……ふふふ」

妹「……ふふふ」


風呂

男「ふぃーーー」ザパーン

男「気持ちいいなぁ…」カポーン

男「今日は色々あったもんだ」

男「昨日とは大違いだな…」

男「幼馴染とは気付いたら昔みたいに話せていたし、一安心かな?」

男「でも、妹は相変わらず幼馴染に敵意むき出しなんだよなぁ…」

男「どうしたものか…」


脱衣所

幼馴染「妹ちゃん…何をしているんだい」

妹「幼馴染さんこそ」

幼馴染「言っておくが、ボクは決して混浴しにきたわけじゃないぞ」

妹「私だってそうです」

幼馴染「それじゃあなんで君は服を脱ぎ始めているんだい?」

妹「幼馴染さんだって」

幼馴染「ちょっと暑くてね…」

妹「私は兄さんとお風呂に入るためです」

幼馴染「!?」

妹「兄妹ですから」

幼馴染「堂々と言ったね…」

妹「幼馴染さんは混浴しにきたんじゃないんですよねー?」

幼馴染「ぐっ…」

妹「ですから、お風呂にはいけませんよねー?」

幼馴染「ぐぬぬぬ…」

妹「ふふふ…今回は私の勝ち…」


男「なにが勝ちだなにが」

妹「に、兄ちゃん!」

幼馴染「お、男…」

男「全く…なんとなく予想はしていたが…ていうか聞こえてたが」

男「タオル持ってて良かったぜ…とりあえず前は隠せるし」

妹「ぐぬぬ」

男「ほら二人とも、服脱いでるから丁度いい。風呂入っちゃえな」

幼馴染・妹「……はーい」

男(一緒にお風呂…)

男(これを機に仲良くなってくれればいいが…)



妹「……」

幼馴染「……」

妹「……」

幼馴染「……」

幼馴染(き、気まずい!)

幼馴染(気まずい!気まずいよ!)

幼馴染(妹ちゃん、やっぱり喋らないし!さっきより体見てくるし!)

妹「……」

幼馴染(なめまわすように見てるよ!体中じっくり見てる!)

妹「……」

幼馴染(胸は…いや、ボクの方が大きいよこれ!ほんのちょっと!)

妹「幼馴染さん」

幼馴染「は、はい!」

妹「肌、スベスベですね」ピト

幼馴染「あ、ありがとう…」

妹「それにとても白い…」

幼馴染「運動はあまりしなくて…大体家の中にいるからかな…?」

妹「運動しないのにこんなにいい体してるんですね」

妹「細すぎず太すぎず…羨ましい…」

幼馴染「い、妹ちゃんだっていい体だよ!」

妹「もちろんです」フフン

幼馴染(ない胸張ってる…可愛い)

妹「今、無い胸とか思ったでしょ?」

幼馴染「ひぇっ?い、いや!そんなこと思ってないよ!!」

妹「じー」

幼馴染「あは、あははは」

妹「じー」

幼馴染(怖いよぅ)


ザパーン

幼馴染(二人で入ってるのにあまり狭くない)

幼馴染(妹ちゃん、細いからなぁ)

妹「幼馴染さんだって細いですよ」

幼馴染「人の心を読まないでほしいな…」

妹「当てずっぽうだったんですけどね」

幼馴染「謀ったね…」

妹「ふふ…」クス

幼馴染「あ…」

幼馴染(初めて笑ってくれた…)

妹「幼馴染さん」

幼馴染「ん?なんだい?」

妹「私になにか、聞きたいことがあるんじゃないですか?」

幼馴染「聞きたいこと…か」

妹「はい」

幼馴染「じゃあ…聞いてもいいかな?」

妹「はい」

幼馴染「……妹ちゃんは、お兄ちゃんが好き?」

妹「…えっ?」

幼馴染「えっ?」

妹「それですか…?」

幼馴染「違った?」

妹「……」

幼馴染「……」

幼馴染(き、気まずい!)

妹「私が聞きたかったのは…何故あなたに敵意を持っているかです」

幼馴染「そ、それだったの?」

妹「はい。私って幼馴染さんにはいつも威嚇していたでしょ?」

幼馴染「そうだけど…」

妹「それは、幼馴染さんが言ったことの通りです」

幼馴染「言ったこと…」

妹「私は、兄さんが好きなんです」

妹「兄妹なのに、血がつながっているのに、兄ちゃんに惚れてしまったんです」

妹「兄ちゃんとずっと一緒にいたい。色んなところに行きたい……エッチなことだってしたい」

妹「それほど私は、兄ちゃんのことを好きになってしまったんです」

幼馴染「……そうだったんだね」

妹「引きました?……引きますよね」

幼馴染「そんなことないよ」

妹「え?」

幼馴染「そもそも、妹ちゃんが男を好いているのは薄々感じていたからね」

妹「そうでしたか…」

幼馴染「愛は人それぞれさ。なんだって引きはしないよ」

幼馴染「近親相姦だって、なんだかロマンがあるじゃないか」

妹「ろ、ロマン?ありますか?そんなもの」

幼馴染「ボクの中ではある」

妹「……こういうのも悪いと思いますが、幼馴染さんって結構変わってますね…」

幼馴染「照れるなぁ…」

妹「褒めてません」

幼馴染「ははは。でもそっか…妹ちゃんも…うんうん」

妹「?」

幼馴染「妹ちゃんの熱い想いを聞かされたとなれば、ボクだって言わないわけにはいかないね」

妹「何をですか…?」

幼馴染「ボクが男をどう思っているのか」

妹「わかってますよ…そんなの。好きなんですよね」

幼馴染「いや、わかってない。ボクはそんなもんじゃないよ」

妹「え?」

幼馴染「ボクは昔、男と約束をしたんだ」

妹「……」

幼馴染「ボクはいつだって男と結婚する準備ができている」

幼馴染「ボクは男を、愛している」

妹「愛している……」

幼馴染「好きなんてとっくに過ぎているんだ」

妹「わ、私だって!」

妹「私だって兄ちゃんを愛してます!結婚したいぐらい!」

幼馴染「ボクはしたいじゃなくてする、だよ」

妹「私だってする!結婚するもん!」

幼馴染「ボクだってするさ!」

妹「私だって!絶対絶対するもん!」

幼馴染「ボクだって絶対絶対だ!」

……



妹「はぁはぁ」

幼馴染「……」

妹「…熱くなっちゃいましたね」

幼馴染「全くだ。男に聞こえていなければいいけど」

妹「そうですね…」

幼馴染「ふふっ」クス

妹「なんで笑うんですかー…」

幼馴染「いや、これで妹ちゃんとも仲良くなれたかなと思うとつい」

妹「仲良くなれてますか?これ」

幼馴染「なれたとも。二人とも同じ人間に好意を寄せているからね」

妹「えぇ

幼馴染「なれたとも。二人とも同じ人間に好意を寄せているからね」

妹「えぇ?そうですか?それじゃあ昼ドラ並のドロドロ展開になると思いますが…」

幼馴染「大丈夫さ。妹ちゃんはそんな子じゃないって信じてるから」

妹「…無茶苦茶です」

幼馴染「男は鈍感だからねぇ。よほど強くアピールしないと気付いてくれない」

幼馴染「だから妹ちゃん、一緒に頑張らないかい?」

妹「一緒って…」

幼馴染「今からボクたちは、ライバルであり親友だ!」ニコッ

妹「もう…本当、勝手ですね」ニコッ

脱衣所

妹「そういえば幼馴染さん。着替えはどうするんですか?」

幼馴染「あっ忘れてた…」

妹「仕方ありませんね…幼馴染さん、あなたはもう少し湯に浸かってください」

幼馴染「分かった」

妹「なるべくすぐに戻ってきますから」

男「妹、やっと上がったか。長かったな」

妹「うん、幼馴染さんとたくさんお喋りしたんだ!」

男「ふーん、そっか。もう威嚇しないか?」

妹「保障しかねる」

男「なんだそりゃ」


妹の部屋

妹「これなら幼馴染さんも着れそうかな」

妹「早くもって行かないと」

幼馴染「助かったよ。ありがとう妹ちゃん」

妹「次からはちゃんと考えて泊まりに来て下さいね」

幼馴染「善処します」

妹「それじゃ、兄ちゃんも待っていますしいきましょう」

幼馴染「そうだね。随分と長風呂してしまったよ」

妹「楽しかったですよ?」

幼馴染「ボクも」

男「二人とも長かったなー。何話してたんだ?」

妹「秘密ー」

男「この…幼馴染、何話してたんだ?」

幼馴染「ナイショ」

男「ちぇ、なんでいなんでい!」

妹「兄ちゃん、いい歳して拗ねないでよ」

男「拗ねてませんよーだ!」

男「さて、夜も更けてきたところだし、そろそろ寝ようか」

男「二人は妹の部屋で寝るといいだろう」

男「俺は自分の部屋にもどるから、じゃあおやすみ」


男の部屋

男「……」

妹「……」

幼馴染「……」

男「なんで居る」

男「お前たち、別の部屋に行くよう言ったよな?」

幼馴染「単刀直入に言おう。ボクは男と一緒に寝たい」

妹「私も私も」

男「アホ言うな。妹はいいがお前はダメだ、幼馴染」

幼馴染「ひ、酷い!」

妹「あー兄ちゃん、幼馴染さん泣かしたー。せんせーに言ってやろー」

男「小学生か!」

幼馴染「チクられたくなければ一緒に寝よう」

男「しかし…」

男「そもそも三人も布団に入れないだろ」

妹「ぬかりはないよ、兄ちゃん」

男「自分の布団を持ってきた…だと…」

妹「これを繋げれば……じゃーん!」

幼馴染「おお、結構広いじゃないか」

妹「これで三人で寝れるでしょ?」フフン

男「ぐぬぬ」

男「……で」

妹「どうしたの、兄ちゃん」

幼馴染「どうした、男」

男「なんで俺が真ん中なんだよ」

妹「こうしないと平等じゃないから」

幼馴染「そうだぞ。これなら取り合いの喧嘩も起こるまい」

男「取り合うって…なにをだよ」

妹・幼馴染「内緒!!」

妹「ねぇねぇ兄ちゃん。明日どこかに行こうよ」

男「どこかって…どこだよ」

幼馴染「どこでもいいんだよ、男」

男「近くの公園でもいいのか?」

幼馴染「この際それでもいい」

男「いや、さすがにそれはないな…どうせなら街のデパートでも行くか」

妹「ホント!?やったー!」

男「子供かお前は」

妹「だってだって!みんなで行けるんだもん!嬉しいに決まってるじゃん!」

幼馴染「ボクだってすごく嬉しいんだ。今必死に我慢しているんだぞ」

男「そ、そうか」

妹「楽しみで眠れないよー」

男「明日に響くぞ。楽しみなら寝ろ」

妹「頑張る!」

幼馴染「ふふっ」クス

男「…くかー…」

幼馴染「寝つきいいなぁ」

妹「そうですね」

幼馴染「女の子二人に抱きつかれてるのに…男として、それでいいのだろうか」

妹「兄ちゃんらしいですね」

幼馴染「全くだ」

男「うーん…幼馴染ぃ……妹ぉ…それはパンツだって……」ムニャムニャ

幼馴染「なんの夢を見てるんだろう」

妹「私たちに襲われてる夢…?」

幼馴染「やっぱり男だな」クスッ

妹「そうですね」クスッ

男「うーん……らめぇ…」ムニャムニャ

幼馴染「いつか、夢じゃなくて現実でこうしたいね」

妹「はい。兄ちゃんとなら、とても…」

幼馴染「ボクたちも男のことを悪く言えないな」

妹「むしろ私たちの方がエロいですね」

幼馴染「そうだな、その通りだ」

妹「認めましたねー。私もですが」

幼馴染・妹「ははは」

妹「さて、そろそろ寝ましょう」

幼馴染「実は、ドキドキして中々寝付けない…」

妹「最初はそうですが、少ししたら眠くなりますよ。兄ちゃんに抱きついていると、なんだかとても安心するんです」

幼馴染「なるほど、安心か…」

妹「そして気がついたら朝です」

幼馴染「そう…か…なら……あん…し……」

妹「寝ちゃったかな…?」

妹「私が最後かぁ…」

妹「おやすみ、幼馴染さん、兄ちゃん」

男「……すぅすぅ」

幼馴染「……男ぉ……大好きぃ…」ムニャムニャ

妹「……兄ちゃん…好きだよぅ……」ムニャムニャ


男「…妹ぉ…幼馴染ぃ……俺だって……お前たちのこと……」ムニャムニャ




おしまい


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