御坂「彼女は、佐天涙子。天を佐(たす)ける童子、なんだって」(49)

注意

はじめまして…もしかしたらお久しぶりです。
この作品は、


佐天(6)「わたし、さてん!天を佐(たす)ける童子なの!」

から

佐天(N)「私、佐天涙子は…天を佐(たす)ける童子です!」(予定)


にかけての中継ストーリーという位置付けの修業編SSです。
時間が空いてしまい、および本編再開というわけでなくて申し訳ありません。

関連項目: 任天童子(3DS特典ダウンロードソフト)


それでは、相変わらずの亀更新ながら…始めていきたいと思います。
よろしくお願い致します。
設定が複雑なので、初見の方は前作からご覧になることを推奨します。

人通りの少ない、とある裏道…。

不良らに囲まれた、か弱い少女が1人……。

腕を掴まれ、壁に背を押し付けられ、絶体絶命――。

仕舞には、服にまで手を掛けられて…………。



???「や、やめてくださいっ!――だ、誰か助けてっ!」

不良A「グへへ、俺たちに連れ込まれたのが運のツキ…」

不良B「そう叫ぶなっての、俺たちとちょっくら遊んでくれるだけで…いいんだぜえ?」 ニヤリ

???「……そ、そんなっ!いい、から、放して下さいっ!」  ジタバタ ジタバタ


――ザザッ!!シュタタッ!!――


不良C「お、おい、後ろ」

不良A「…チッ、邪魔が入ったか」

御坂「…………」  キッ

御坂「…アンタ、何してんのよ――」  バチバチッ

…さて、この物語にはまだ続きがあります。
主人公は誰ですかって?

それはこのSSを読み切ったあなた方1人1人です

今の世の中、たくさん辛いこともある。たくさん嫌なこともある。もう誰も信じられない、信じたくない。そう思っている人がたくさんいるでしょう。

私もかつてその1人でした。でもこのSSの「男」のように(というかモデルは作者自身だったり…)懸命に生きて、今では細々とですが暮らしています。

開けない夜は、ありません。

これが、このSSで伝えたかったことの全てです。

最後の最後に、登場人物たちからのメッセージをお聞き下さい。

男「おう!まあなにやら辛いこともあるが、生きてみようぜ!開けない夜は、ないってな!」

作者「ちょっ、俺のパクったな!」

女「やれやれね、この二人は…クスッ」

友「見てくれて、ありがとな!お前らも頑張れよ!…イテッ!」

作者「(友の頭をはたきながら)読者様にお前らとか言うな!失礼だろが!」

まあなにはともあれ…

全員「読んでくれてありがとう!」

ありがとうございました!(続編をもしかしたら投下するかも…ゴホンゴホン)

不良A「なんだ、また女か――怖い目に遭いたくなけりゃとっとと――」

不良B(ちょ、ちょっと待て。アイツ…間違いねえ、常盤台の) ヒソヒソ

不良A(――何?…そりゃ、やべえな…だが、人質さえいれば…)

御坂「ちょっと、聞いてる?」 イラッ

不良C「聞いてる聞いてる、だがおとなしくこの子を逃がすなんt」

御坂「いや、アンタらなんかに回答は求めてないから」

御坂「…で、不穏な空気を察して駆けつけてみれば…これ、なに?」 バチバチバチッ

御坂「そこの『か弱い』らしい、女の子?」



佐天(泥)「あ、あらら……凄くお冠な気がします」 タラリ

佐天(泥)「いや、御坂さんが帰ってくるまで暇だったもので」

佐天(泥)「空いた時間を有効活用してならず者たちを炙って遊んでt」

佐天(泥)「うおおおおっと!?」  ヒョイッ!!

不良A「は」

不良B「ひ」

不良C「ふ」

――――バチィッ!!

不良s「「「」」」

御坂「ま ぎ ら わ し い っ ! ! !」

佐天(泥)「御免なさい」 ペコリ

初春「まったく…佐天さん、御坂さんがいなかったらどうなってたか!」

初春「わかってるんですか!気を付けてくださいよっ!」 プンプン!

黒子「全くですの!馬鹿にするわけではありませんが、貴方にとって」

黒子「正義感だけで不良どもと争うだなんて、危険極まりないですの!」

黒子「私やお姉様が受け持てばよいことですの!」

佐天(泥)「あ、あはは、反省します、猛省しまーす!」

佐天(泥)「あ、でも金属バットくらいあれば十分…」

初春黒子「「いい加減にしなさいっ!!」」

佐天(泥)「はははははいいっ!!」 ケイレイッ



御坂「…………」

御坂(かつての光景、いつものありふれた光景)

御坂(佐天さんがちょっとふざけて、周りのみんながちょっと呆れて)

御坂(友達として凄く心配したり、友達だからこそ凄く怒ったり)

御坂(……でも、そんな日常も…様変わりしちゃった)

御坂(彼女は佐天涙子、中学生。Lv.0の無能力者)

御坂(…というのは過去の話というか、嘘っぱちというか)

御坂(本当の佐天さんは年下どころか途方もなく長生きしてて)

御坂(学園都市に敵なしのLv.7で…目の前の彼女は分身体で)

御坂(その分身体ですら、私が勝てないくらい強くて…ああもう、笑うしかない)

御坂(表向きは『怪我が治ってまた元気に学校に通い出した佐天涙子』)

御坂(裏の顔は…『私たちを毎日鍛える先生』)

御坂(まあ…まだ実践は僅かだけど)

御坂(私たちの、Lv.5勢の1日は夕方から、時には朝っぱらから『始まる』)

御坂(初春さんや黒子に隠し通す後ろめたさは…やっぱりあるわね)

御坂(……いつか、打ち明けられると、いいな)

~『いつもの』ビル~

御坂「…ただいまー…ハッ!?」

佐天(泥)「…御坂さん、大分毒されてきましたねえ」

御坂「……そりゃ、頻繁過ぎる位ここに来てれば…こうなるわよ、多分」

一方「やれやれェ、学生さンは修業に不真面目ですねェ、あァン?」

御坂「…これでも大分割いてるわよ…寮で待ってる黒子の寂しがりようったら」

御坂「理由聞かれて答えられず、挙句の果てに男ですの!?とか叫ばれて」 ゲンナリ

御坂「その反動で日頃は前まで以上に一緒にいる気がする」

御坂「…で?そっちは通学すらしなくなったの?徹底的ねえ」

上条「上条さん、しっかり通学してますから!?単位は度外視だけどねっ!」

御坂「……度外視してる時点で学生の本分は?」

上条「……全うしてないです、はい」  イジイジ

禁書「いじけてないで、『講義』までにとっとと料理を完成させるんだよ!」 ゲシゲシ

上条「不幸、だ…」  サメザメ

佐天(泥)「だいたい、予定外ですよ…」

佐天(泥)「上条さんには早いうちから座学を走らせて」

佐天(泥)「後続の参加者たちを引っ張って貰いたかったのですが」

上条「ぐっ」

佐天(泥)「…結局、余裕で追い抜かれて行きましたねえ」

上条「Lv.5の皆さんがLv.0の私めに比べて賢すぎるんだと思います」 キリッ

佐天(泥)「…………」

御坂「…………」

一方「…………」

禁書「…………カッコ悪いよ、とうま」

佐天(泥)「…まあ、すこしは頭に入りました、よね!」

上条「あ、ああ!少しなら入った!うん!」



佐天(泥)「頃合いとみなして今日から本格的な実践行ってみますので」

佐天(泥)「ガイドのほど、よろしくお願いします」 クスッ

上条「……おお、任せろ!…………へっ?」


御坂「…本格、的」  ゴクッ

御坂「…これまでは、座学と泥佐天との対峙だけだったけど」

佐天(泥)「…ええ、おおよそ予測はついていると思いますが――」

佐天(泥)「アレイスターさん作、異形絡繰りとの…ドキドキ★勝負です」

御坂「…あれ?ドキドキがこんなに恐ろしい響きなのはなんで?」 ブルッ

・・・・・・・・
・・・・・・・・
佐天(泥)「…逃げずにお集まり頂き、ありがとうございます」

佐天(泥)「今日は…これまでの教鞭が意義を為しているかのチェックと致しまして」

佐天(泥)「みなさんに…ちょこっと、命の危険に晒されてもらいます」


――――シーン――――


佐天(泥)「…なにか、ご意見は?」

食蜂「え、えっと。私は不参加で、構わない、のよねえ?」

佐天(泥)「何言ってるんですか、今回はLv.5の皆さんは全員強制参加ですよ」

食蜂「」 フラッ

佐天(泥)「…いつまでも傍観していられると思ったら大間違いです」 ハア…

佐天(泥)「絡繰りにも精神操作が通用するように仕込んでありますから」

食蜂「…怖い、わあ…」  ヨロヨロ

削板「何を弱音吐いてる!そんな暇があったら少しは精進するんだっ!」 ガーッ

佐天(泥)「そうそう、その意気です」

佐天(泥)「では…まずは上条さん、確認の小テストです」

佐天(泥)「佐天涙子の存在と現状について少し説明してみてください」

上条「お、おう。佐天涙子は天を補佐する子として地上に現れた存在で、
    人々を襲い震え上がらせる異形というものを退治することが使命だ。
    数百年かけて魔楼閣と呼ばれる異形の巣窟に潜入し続け、
    異形出現を根本的に食い止めるために強い浄化の力を持つ三種の神器を
    すべて回収するに至ったんだけど、その結果は止まない異形たち。
    絶望したものの俺たちの説得がなんとか功を奏して思い止まり、
    佐天本人は念のため魔楼閣の監視を続行。
    そしてその隙というか間というか、学園都市にいる佐天の分身体の泥人形、
    通称『泥佐天』の一人である目の前の泥佐天個体にLv.5陣営を鍛えさせ、
    5年の間に共闘に足り得る戦力を身に付けるかどうか試すことにした」

上条「…どうよ?」  フフン

佐天(泥)「…まあ、そんな感じですね。粗筋説明どうも」

上条「軽すぎるぞ、ちょっとはホメテヨ!!忘れてた人だって多いだろ!」

佐天(泥)「ええ~……」

佐天(泥)「では続いて。魔楼閣の歩き方四元要素を答えなさい」

上条「…………」

佐天(泥)「…………?」

上条「……………………アハ☆」

佐天(泥)「ここで詰まるんですか!?酷いですねえ…!」

御坂「何やってんじゃゴラァーーっ!」  バシィッ!!

上条「イデエ!?」

佐天(泥)「…麦野さん?」

麦野「探索、察知、索敵、対処よね。散々聞かされたわよ」 フン

佐天(泥)「よくできましたー」  ワシャワシャ

麦野「ちょ、ちょっと!?頭掻き回さないでよ恥ずかしい!///」

佐天(泥)「上条さんの出来の悪さにちょっとガックリきていたもので」

麦野「その気持ちは分からないでもないけど…」

上条「くそっ、味方は、味方はいないのか!」

佐天(泥A)「か、上条さんは土壇場だけは頑張れる子です!」

佐天(泥B)「いざというときだけは頼りになる人ですー」

上条「OKOK、神などいない」 フッ

佐天(泥)「上条さんは放っておきまして…いえ、改めまして説明を」

佐天(泥)「上条さーん、今度こそしっかり頭に叩き込んでくださいね…?」

――パチッ――

佐天(泥)「まずは探索。字のごとく、ひたすら空間把握のため歩き回ります」

佐天(泥)「魔楼閣の階層は、潜るたびに若干ながら壁配置等が変化してます」

佐天(泥)「自分がどこにいるのか、下の階層への階段はどこか…」

佐天(泥)「捨てる位ならばと、余らせた式札を本体が残しているときもあります」

佐天(泥)「とにかく暗中模索してあちらこちらへ進みましょう」

佐天(泥)「効率よく廻れればベストですが、これは慣れるしかありませんね」

佐天(泥)「…次に、察知」

佐天(泥)(周囲を見渡す)

佐天(泥)「正直なところ。察知を少しでも早くできるようになること」

佐天(泥)「貴方達には…絶対的に足りていない、超必須事項です」

佐天(泥)「異形の察知を怠ると…死が待っている、と言っていいでしょう」

御坂「…………死」

一方「死ぬのは、御免だなァ」

上条「…でもさ、素直に目視すりゃ察知くらい余裕じゃないか?」

佐天(泥)「…ああ、さすが上条さん」

上条「おおっ!俺なんかいいこと言ったな!な!」

佐天(泥)「当たり前すぎて誰も尋ねないことを愚直に尋ねるだなんて」

上条「…そんなことだろうと思ったよコンチクショー!」

佐天(泥)「あ、でもいいこと言ったというのは確かに間違ってないですよ」

上条「…え、そうなの?」

佐天(泥)「はい♪」  ニコッ

御坂「そうそう、私も目視でいいと思ってた。どんな裏があるの?」

御坂「逆におっかなくて聞けなかったんだけど…」

佐天(泥)「…まあ、後で嫌というほど思い知らされますから」

佐天(泥)「楽しみは取っておいて次に行きましょう――索敵です」

佐天(泥)「厄介なことに、異形が近くにいることは察知できても…」

佐天(泥)「必ずしも、位置まで一気に特定できるとは限りません」

佐天(泥)「むしろ、察知してからもひと労力要るのが大多数です」

佐天(泥)「察知から索敵が完了するまでは基本的に釘付けにされるため…」

佐天(泥)「これもかなり重要な要素になってきます」

佐天(泥)「…と、口で説明を受けて頭で理解したつもりでも」

佐天(泥)「ぜっったいに把握しきってはいないでしょうからね、これも実践待ちで」

佐天(泥)「対処、これは話が早いですね。倒すか逃げるか、縛るか」

佐天(泥)「ちなみに現状では十中八九逃げるしかありません、戦力的に」

佐天(泥)「異形1体に対し袋叩き、みたいな超ラッキーなケースのみ攻撃という感じです」

★「…よし。絡繰り『ヒヌコ』、動作確認、終了」

★「泥佐天、こちらはいつでも大丈夫だが」

佐天(泥)「わかりました。それでは上条さん、ゲスト席、もとい指令室へ」

上条「お、おう…責任重大だな…インデックス、補佐頼む」

禁書「当たり前でしょ、心配でほっとけないんだよ」

・・・・・・・・
・・・・・・・・

上条「へえ、これだけカメラがありゃ部屋一面見渡せるな。ひい、ふう、みい…」

禁書「それにしても…さっきまでいた部屋、改めて見て、広いねー!」

佐天(泥)「もともと、陣の形成の候補地でもありましたから」  ボソッ

禁書「??……長い地下通路通ってまで広い空間を求めに別館に来たけど…」

禁書「縦横ともに100mは優にあるんだよ、贅沢にも!」

佐天(泥)「…魔楼閣地下一層の方が広いんですけどね」

禁書「…………えっ」

佐天(泥)「…ついでに地下に向かうほど階層が広がるんですけどね」

禁書「…………ええっ!?」

佐天(泥)「ご存じですか?ビルを拠点とした周辺の地下は完全に管理下…」

佐天(泥)「迂闊に触られると、20メートルも潜ったところで…」

佐天(泥)「推定、400m×600mの魔楼閣地下一層にブツカリマス」

上条「魔楼閣でけえ!?」

禁書「でかすぎるんだよ!?」

佐天(泥)「…逸脱しているからこそ異形が蔓延るんですよ、難儀ですね」

佐天(泥)「残念ながら…そういうものだと納得するしかありません」

佐天(泥)「機械での構造分析、干渉も原因不明の理由でシャットアウト」

禁書「うわあ」

佐天(泥)「この訓練の場は狭すぎますが…ぎりぎり譲歩の空間、です」 グッ

佐天(泥)「これより広い場所を所望なら…実際に地下一層に飛び込むしかありません」

~大部屋~

佐天(泥)「マイクテスト、マイクテスト…皆さん、聞こえますか?」

佐天(泥)「最初の相手は絡繰り『ヒヌコ』です」

佐天(泥)「垣根さん、習ったヒヌコの特徴を言えるだけ言ってみてください」

垣根「…んと、火属性の異形でHP50、攻撃力が20から30、移動1」

垣根「移動1ってのは、時速33キロで動きまくるってことでいーんだよな?」

佐天(泥)「はい。…あとひとつ、忘れてませんか?」

垣根「…ああ、追跡特性があるんだったか」

佐天(泥)「ふふ、満点です。上条さんとは違いますねえ」

垣根「あんな奴と比べるなよ…で、追跡特性っての、解りかねるんだがよ?」

佐天(泥)「そのまんまなんですけどね」

垣根「そのまんま、ねえ。追跡特性だとそんなに困るのか?」

佐天(泥)「そりゃあ、まあ」 ウーン

佐天(泥)「追跡特性の異形は、階層突入と同時にこちらを察知索敵してきます」

佐天(泥)「強烈な殺気を放ってくるので、こちらも一瞬で索敵まで可能ですが」

佐天(泥)「ヒヌコは追跡特性の異形の中では最弱、雑魚中の雑魚なので…」

佐天(泥)「追跡特性の対処法を学ぶのにはうってつけです」

垣根「それでも1発貰うとお陀仏の危険性があるんだぞ、おい」 タラリ

佐天(泥)「あ、この絡繰りは完全コピー性能じゃないですから」

佐天(泥)「HPを『10』、攻撃力を『5~10』に弱体化させてます、安心しました?」

佐天(泥)「属性は関与しないので、1発攻撃を当てれば倒せます」

垣根「なんだよ、それを早く言えってんだ、とっとと始めようぜ」 ニタッ

佐天(泥)「…………わかりました。他の皆さんもよろしいですか…」





★(指令室)「じゃあ電気消すぞー」  カチッ  フッ

垣根「……ファッ!!?」

真っ暗。 かなり、真っ暗。  ――凄まじく、真っ暗闇。

御坂「え、え、え?ちょっと、何で消灯するの!?」 アタフタ

食蜂「きゃああああああっ!?」  

佐天(泥)「いいですか皆さん、驚いていらっしゃるようですが…」

佐天(泥)「魔楼閣に『明かりは基本的に持って入れません』よ?」

一同「!?」

佐天(泥)「光源は魔楼閣の魔力に猛烈に嫌われますので」

佐天(泥)「暗視スコープの類も機能を何故か失いますし無駄」

佐天(泥)「祭壇の光のほかは、一寸先は闇、状態…」

佐天(泥)「幸い、一度歩いたところは鬼火が出現してくれるおかげで」

佐天(泥)「不気味ながらも少しはマシな明るさになりますよー」

佐天(泥)「目を凝らして凝らして――進んでくださいね!」

佐天(泥)「以上、インパクトの為に教鞭を故意に省いた泥佐天でした」

上条「…………ひでえ、鬼だ、悪魔だ、アックアだ」 ヒキ

佐天(泥)「この場は暗視カメラが使えていますけどね」

佐天(泥)「さて、絡繰りが何処かから放たれているはずですが」

上条「…ん、あ、あれか。御坂たちには確認できないんだよな」

御坂「え、もう放たれてるの!?何処よ、全く!」 ビクッ

佐天(泥)「いきなり放り込まれた暗黒空間。何処に居るのか未知の敵」

佐天(泥)「ここで問題、人は本能的にどんな動きをとるでしょうか?」

上条「…一塊になって動かず、動くとしてもゆっくりゆっくり動く…?」

佐天(泥)「正解です。今の彼らがまさにそんな状態ですね」

上条「ああ、他に表現しようがないってくらい一致だ」

御坂「う、うっさいわよ!自分は高みの見物だからって!」

佐天(泥)「一塊うんぬんは本体は単独潜入だったので今はおいておくとして…」

佐天(泥)「実は、ゆっくり動くのは魔楼閣では却って危険なんですねえ」

佐天(泥)「あの部屋は正確には150m四方ほどありますが…」

佐天(泥)「これ、対角線上に位置しても、時速33キロで近づかれると」

佐天(泥)「単純計算で20秒ちょっとしか掛かりません」

麦野「……げっ」 アワテテ シュウイカクニン

禁書「そ、そうだよね」

禁書「…あれ、追跡特性ってことは、もう向かってきてる!?」

佐天(泥)「多少は移動も劣化していますが…30秒もあれば」

佐天(泥)「なので、相手が遠くにいるうちに1秒も無駄にせず周辺を探索して」

佐天(泥)「少しでも情報を集めておいた方が後の処理がずっと楽なんです」

佐天(泥)「壁…今でいうと柱の位置の確認とか…ね?」 クスッ

上条(そういや、部屋の柱配置がおかしいぞ!?あえて出鱈目に置いてやがる!?)

佐天(泥)「明るくしておく効果もありますしね、闇に突入するのが怖いのは分かりますが」

御坂「…わかったわよ、無理押して進んで…みる」 ザッ・・・

御坂「……」 テク、 テク

御坂「……うっ!?なに、これ?」  ギョッ

佐天(泥)「…御坂さん、今何か、感じたでしょ?」

佐天(泥)「移動早々気付いた殺気…本来なら開始早々気付くべき殺気ですが」

佐天(泥)「御坂さん、貴方には『空間把握 距離3』の能力があるようですね」

佐天(泥)「距離1とは、50メートル。距離3で150メートル」

佐天(泥)「既に御坂さんだけは、本体と同じ――」

佐天(泥)「『距離4以上と3以下の区別がつく』ことになっています」

上条「まさに対角線方向だけであり得る距離か…………あり?」

上条「ちょ、ちょい待った。この暗闇の中を、150メートル先の敵を察知?」

上条「そんなこと、御坂以外にできるのか?いや、できなきゃならねえの!?」

佐天(泥)「最低でも距離2は察知して貰わないと…話にもなりません」 ズイッ

御坂「うう、近づいて来てるじゃないの…!(でも、能力が凄まじく有難いわ!)」 カマエ


※温情により、原作の部屋幅 : 察知距離とは少しずれています

佐天(泥)「この業界…といいますか佐天涙子の頭の中では」

佐天(泥)「50メートルの距離は『隣接』と表現しますからね、ご警戒を」

上条「おい、聞こえてるか!御坂に同調して察知を頑張ってくれっ!と指示!」

垣根「んなこと、お前に言われなくても」 サッ

一方「やってるンですよォ!」 ササッ

一方(チッ、演算能力が明らかに落ちて、やがるじゃ、ねェかァ) ヒヤアセ

一方(…話聞く分には、完全に止まらなかっただけェ、マシって奴ですかァ?)

垣根(追跡特性の異形からして察知しずれえ…!隠形はお手の物ってか)

麦野(…本当に、察知が簡単な異形、なのかしら…!絡繰りだけど)

麦野(あー、とりあえずだ。現状は距離1を察知できるかどうかだと仮定して…) ブツブツ

御坂「…………臨戦、態勢っと」 ビリビリビリビリッ!

削板「じっとしてるのは性に合わない!とーつげきぃ!!」  ダダダッ

御坂「やめい。…そこの女の子と足して半分にしたいわね」  グイッ

食蜂(ガタブルガタブルガタブルガタブル)

上条「…結局、あまり動けずにかち合いそうだな」

御坂「それにしても…察知から索敵が一苦労って、こういうことだったのね」

上条「…ん?どういうことだ?」

御坂「普通、察知って言ったら位置特定と同義じゃない?」

御坂「ところがどっこい、今の感覚って…朧げだわ」

御坂「存在確率の高まりが肌に刺さるというか、なんというか…」

御坂「距離が分かるのに、いる方向が、分からない…っ!」

佐天(泥)「さあ、距離が分かれど方向知れず。方策は?」

御坂「――自分が動いての、あるいは相手の動きを逆利用しての…三辺測量っ!」 ダッ

佐天(泥)「ご名答っ!!時間は迫っていますが少しでも頑張ってください!」

上条「さんぺんそくりょう?」

禁書「2点からの距離、および2点間の距離が既知なら位置が分かるでしょ?」

禁書「フツーは2点間の距離と角度から位置を割り出す三角測量が用いられるんだけど…」

禁書「この特殊状況だと三辺測量は頼りになるかも」

上条「さんかくそくりょう??」

禁書「ああ、もういいや、うん。えらいえらい」

佐天(泥)「ひとつここで。この絡繰り、追跡対象が複数の場合密度が高い方に動きます」

御坂「……!」

御坂(ってことは、私以外がほぼ静止していることを考えて…)

御坂(私の動きに影響受けず接近。頭の中でリアルタイム図学製図…っ!)

御坂(……3秒後の位置は…あの、辺りっ――!!)



御坂美琴が取り出したるや。束になった札のうちの1枚。

佐天涙子及び彼女の分身体以外に、式札を用いた攻撃は不可。

…が、借り受けた非染札に、己の能力を幾ばくか注ぎ込み…。

硬化・飛翔性質を持たせて投じ、異形に「刺す」ことだけならば…可能。

渾身の力を以てして、狙った方向に…遮二無二――投げる!

――――ダダッ……――――

御坂「…っ、当たればはっきり実感できるって言われたけど、不発かっ…!」

御坂「この感じ、まずい、あっちにぶつかって…」  サアッ

一方「おい第7位ィ、やっぱりお前、突撃しやがれェ!」  オオゴエ

御坂「……え、いつの間に…ってか、ええっ!?」

一方「ついて来てみただけだろォ…おィ、やりやがれェ!」

削板「お墨付き貰いっ!よっしゃあ、俺にまかせとけーっ!!」  ドンッ!!

削板「うおおおおおっ、にっくき異形とやらめ、すごいパーーーーーーn」



ヒヌコ(偽)「ガ、ガ、ガガガガ」  カタカタカタカタ  キキーッ・・・

ヒヌコ(偽)「…………ガアアアアアアアアアアッ!!」

削板「ごほおおおおおっ!?」  ダメージ!!

削板「っぐ、ど、どこだ!?どこにいる!!?」 ヨロッ

一方「攻撃対象確定で移動範囲が極端に狭まるだろォ、再索敵やってみろォ」

御坂「囮かいっ!!」

気を取り直して、私は…再索敵から、札を投げる。

というより。今回については「熱血野郎の周囲」と分かった途端、

動きが取れなかった他の連中も試し投げを始めた模様。

無駄に突っ立っていても仕方ないし、ね。…私の勇気無駄じゃないの、酷い。

さてさて、誰の投げた札が当たったのか、暗くてよくわかんないけど。

飛んで行く札の1枚が…何もない空間…しかし、ナニカガアッタ、クウカンニ、当たる。

座標に、間違いようのない禍々しさが、ギュウっと集約されていく。

空想上の、想像上の魑魅魍魎と言ったらいいのか…

嫌悪感を抱かせる、おどろおどろしい生命体、のようなものが、

私の、みんなの、誰の目にもハッキリと――現れた。

――――裏使い成功により、絡繰り『ヒヌコ』、可視化―――



★「ヒヌコ再現の段階で技術的にアップアップなんだがね」 ボソッ

佐天(泥)「えっ、まさか地下七層までの異形しか未だに絡繰り完成してないんですか!?」

★「方向隠蔽+隠形化技術舐めるなってことで振り上げた手を降ろしてくれまいか、うん」

麦野「これがっ――異形、とやら―――!気色悪いわね…」  ササッ

削板「あ、でもなんだかグロテスク有り余ってカッコよくないかっ?」 

食峰「ない、ないわぁ」 ブンブン

一方「これで逃さねェ。もゥ、普通に攻撃して、いいンだよなァ――っ!」 ダダッ

一方(その辺の瓦礫を…よく考えたら瓦礫ィ?わざわざ再現か、ご苦労なこったァ)

一方(相変わらず体が重いがァ、適当な大きさに集約、固めてェ…)  ガガガガガッ!!

一方(奴に向けて――ぶっ飛ばすゥ!)  ドンッ!!

ヒヌコ(偽)「…ガガアッ!」

――ヒヌコは ひらりと身をかわした!

一方「チッ、何気にイイ反射神経、してるじゃねェかァ…!」

御坂「まだまだっ!みんな、どんどん追撃行くわよ!休む暇を与えない!」

佐天(泥)(…距離0.5(25m)で攻撃をかわされる、ですか。まずい…)

佐天(泥)(本体は距離3でもここ200年ほど99%当ててるんですが…)

佐天(泥)(思えば本体や分身体の術は…豪速の矢のごとし)

佐天(泥)(純粋に速い、ぶれないだけでなく発生音域的に――)

佐天(泥)(異形には感知しにくいんでしたっけ、アレちゃん曰く)

佐天(泥)(…しかし。唯でさえ戦闘力不足、せめてこちらの攻撃は必中が鉄則)

佐天(泥)(これは、各人の攻撃方法を徹底的に是正して――)  フフッ

佐天(泥)(細く鋭く、精確にを叩きこむことが急務になりそう。今のままでは甘い甘い)

佐天(泥)(ええ。そうすれば、対象への到達過程でのエネルギー散逸も軽減され)

佐天(泥)(自ずと攻撃威力も上がっていくというものです)  フフフフフ



上条(な、なあ。さっきから泥佐天の笑みが怖いんだけど)  ヒソヒソ

禁書(う、うん。何か悪巧みしてる顔なんだよ)  ヒソヒソ

・・・・・・・・
~地下7層~

佐天「…………ハッ」  ムクッ

佐天「なんだか泥佐天が図に乗っている夢を見ました」

佐天「……まずいですね」

佐天「黒化、バッドエンドを回避して一念発起したのは結構なことですが」

佐天「絶望しなくなって状況を整理してみると……恐ろしく  ひ  ま  だ  」

佐天「神器コンプリートのおかげで異形の出現密度もとんでもなく減ってますし…」

佐天「魔楼閣で呑気に舟を漕ぐなんて緊張感の欠片もない……」 ゴソゴソ

佐天「かと言って、あれだけ皆さんを煽っておいてのこのこ帰るのも非常にばつが悪いです…」

佐天「……あら?式札が2、3枚…なくなってます?そんなはずは…」

佐天「…収納袋に微かに残る瘴気の臭い」  スンスン

佐天「地下7層…………ヌストですかああああああっ!!」  ダダダダッ!!

佐天「素直にダメージ与えてくれたら気付いたのに…!」

佐天「突然ですがヌストについてっ!HP100、風属性、移動2、追跡特性!」  ダダダッ

佐天「攻撃力貧弱傾向の風属性異形の中でも断トツの低火力ですがっ!」

佐天「道具を持っているときは、攻撃そっちのけで何か1つ奪って遁ズラします!」

佐天「追跡特性の癖に、例外的にこちらに即察知させない外道!流石盗人!」

佐天「攻撃されないことを勘定に入れられるのは大きいので…」

佐天「あえて放置し、接近してきたところを叩くべし!今は無意味ですが!」

ヌスト「ケケケケケ……」  タタタッ

佐天「…………察知、完了っ!」  ホウコウテンカン

佐天「当たり前ですが、倒して道具を取り返すかどうかが肝なので」

佐天「こいつを倒すために貴重式札を使ってたら世話ないんですよね!」

佐天「…………索敵、完了っ!!いざ、怒りの『砕石d』」

ヌスト「ケケケケケケケケケ…………」   シュワ・・・・・・・・

佐天(ぴしっ)

佐天(…………逃亡、されました…………うわあ)

佐天(貴重な、式札、があ……まあ、取り返せたとしても1枚なんですが…)  ガックリ

佐天「こんな低層でしてやられるとは…無性に、腹が、立つ――」

佐天「……っ!?」


――――ドンッ


ヒヌコ「グ、ガ、ガ、ガガガ……!」

佐天「…………」 ギロリ

ヒヌコ「……!?」  タジッ

佐天「御免なさいねえ、今、私、八つ当たり気分なんですの」

佐天「…閃いた。ヒヌコぐらいなら純粋に殴り倒せるんじゃなかろうか」

佐天「……いやいや、何を阿呆なことを」

佐天「でもどうせ  暇  だし、成長の目途も経たないですし…」  ニヤリ

佐天「…………駄目元でやってみましょう、伝家の宝刀、『金属抜屠』で」  サッ

佐天「魔術強化のうえで撲殺した科学メカは数知れず――!」



――――ブンッ!!

・・・・・・・・
・・・・・・・・
御坂「ハァ、ハァ、ハァ――」

一方「――――これ、で、どゥ、だァ」 アセダク

ヒヌコ(偽)「本機器ハ――損傷ノタメ機能ヲテイシシマス」

――――シュウウウゥゥゥゥゥ…………

佐天(泥)(……ふっ)

削板「かあああああったぞおおおおおおおおお!!」 コブシ ツキダシ!!

麦野「……チッ、なんてザマだ、目視できてからのフクロで10分掛かるかよ」

垣根「……」

食蜂「まあまあ、勝ったんだからいいんじゃない?」 ニヘラ

食蜂「ね?御坂サン☆」

御坂「…え、そ、そうね……いや、そうじゃないわ」

御坂「……正直、どうなのよ泥佐天?」

上条禁書「「…へ?」」  クルッ

佐天(泥)「……うーん、課題が色々と見えてきました、ね…」

佐天(泥)「一人ずつ行きましょうか、まず麦野さん」

麦野「…何よ」

佐天(泥)「あなたには『攻撃射程補正(直線)』という能力がある」

佐天(泥)「簡単に言うと、『距離3までの攻撃』が既にできる状態です」

佐天(泥)「他の人は攻撃手段が何らかの距離不足だったり、拡散減衰が激しい」

佐天(泥)「御坂さんの空間把握同様、距離についての大きなアドバンテージ」

佐天(泥)「――が、それを活かした戦術を採れていたとは言い難い」

麦野「…………っ」 ギリッ

佐天(泥)「なまじ高威力に慣れているからか…」

佐天(泥)「最悪、下手な鉄砲数撃ちゃ当たる感覚で使う節があります」

麦野「そう…かしら」

佐天(泥)「火力差が歴然としていて、仲間を完全サポート役と見なすならそれでもよし」

佐天(泥)「アイテムのメンバーが…そうだったように。ですが」

佐天(泥)「異形に対しての攻防は、それなりに接近した火力同士が連携することとなる」

佐天(泥)「せっかくの素晴らしい距離特性、前衛後衛に分担して火力を足し合わせたいのに」

佐天(泥)「自分が攻撃している間は手出し無用!の精神では勿体ないと思いません?」

佐天(泥)「さっきも、あなたが前に出るたび他の人たちは傍観気味でした」

佐天(泥)「下手に逆方向などから仕掛けるのも、とにかく巻き添えが怖かったみたいですしね…」

佐天(泥)「精度上げて、前衛に頑張ってもらい、阿吽の呼吸でビーム一貫掻い潜らせて!が理想です」

佐天(泥)「前に出ないと嫌だとかの自尊心は捨ててくださいね」

麦野「いや、そんな拘りなんかないが、とんでもなく難しいだろうがそれ!?」

麦野「読み誤ったら味方の背中貫くぞ!?それも下手すりゃ複数!」

佐天(泥)「会得できるかできないかは聞いてません」

――――トンッ

佐天(泥)「 会 得 し な さ い 」  ニコッ

麦野「…………ハイ」

佐天(泥)「続きまして、食蜂さーん」

食蜂「はいはいっ!」

御坂(うわ……さっきまでとは雲泥の差ね)

佐天(泥)「うんうん、精神操作から絡繰りを縛れたのは大きかったですね」

佐天(泥)「相手は人間じゃなかったですけど、上手くいったじゃないですか!」

佐天(泥)「…あなたの能力がなかったらまだまだ決着がついてなかったとも言う」

佐天(泥)「皆さん、わかってますか?正直、まるで実力で撃退できてないことを」

一同「……」

食蜂「分かってるかしらー!!」

佐天(泥)「すっかり笑顔が戻りましたね、自信が付いたんですねー」

食蜂「それはもちろん!」 フンッ

佐天(泥)「はい、食蜂、アウトー」

食蜂「」

佐天(泥)「調子に乗っちゃ、いけませんって」  デコピン

食蜂「――――イタイ!?」

食蜂「何が問題なのよ、完璧に硬直させてたじゃない!」

佐天(泥)「いやですね、流れからして当たり前だと思うんですが」

佐天(泥)「今ここでは再現しきれていないだけで」

佐天(泥)「そのっ」  ビシッ!!

佐天(泥)「リモコンもどきッ!」  ビシィッ!!

佐天(泥)「魔楼閣に一歩入れば使えませんからっ!!」

佐天(泥)「通常のリモコンとは構造がズレているにせよ」

佐天(泥)「思いっきり科学機器でしょう!!」

佐天(泥)「魔楼閣の魔力が稼働を許しませんよ!」

食蜂「……………………はい?」 



――――ヒュー…カーーン――――



御坂「あ、リモコン落とした」

佐天(泥)「…アレイスターさんが網の目掻い潜って作ったごく少数のメカ除いて」

佐天(泥)「一切科学機器持ち込めないんですって!シツコイヨウデスガ!」

佐天(泥)「…ですから、機器が担っていた精神操作情報拡散波の発生からして」

佐天(泥)「あなたの能力の末端応用なり体中の電気信号伝達のシンクロノイズなりで」

佐天(泥)「自前で調達して現状の効力維持を図れるようにしてください」 シレッ

佐天(泥)「そもそも、毎度毎度リモコン操作だなんて億劫ですよね?」

佐天(泥)「この技能をマスターした暁にはあなたの能力は真に光り輝く」

佐天(泥)「今のまま魔楼閣に飛び込むと簡単にお亡くなりになりますよ(ボソッ)」

佐天(泥)「というわけで、『改竄力』増強計画、おっけーですか?」

食蜂「ちっともおっけーじゃないわよおおおおおおっ!!!」 ハンナキ

佐天(泥)「続きましてェ、垣根さン?」

一方「……真似すンじゃねェよ」

佐天(泥)「あなたは回復能力が際立って高いですね、本体ですら真似できない」

佐天(泥)「戦闘のペース次第では、かなり長期的に戦えるでしょう」

垣根「おうよっ…で、問題点とやらは?とっとと言ってみろよ」

佐天(泥)「その回復力が悪いです」

垣根「ほーかほーか、回復力がわる…………矛盾してるだろーが!」

佐天(泥)「一撃が5や10ならいいですけど、ある程度深層だとですねえ…」

佐天(泥)「今の所、異形の攻撃としては威力70までは確認済みなもので」

垣根「いやいや、もともと目標のHP50想定なら即死だろ、それ!?」

佐天(泥)「極端な例でしたが…皮一枚繋がる限りは速攻でリカバリできるというのは」

佐天(泥)「喉から手が出るほど有難ーいメリットなんですよ」

佐天(泥)「現状では『被弾時、約5分でHP5回復』みたいですが」

垣根(…え?改めて考えりゃ、あの回復力でも数値に直すとそんなショボさ?)

佐天(泥)「とりあえず『約5分でHP15回復』くらいまで持って行ってください」

垣根「効率3倍かよ……ま、厳しいがなんとか…」

佐天(泥)「後、少し問題なのですが…未元物質の扱いについて」

佐天(泥)「未元物質搭載の不用品を拝借して本体にテストしてもらいましたが…」

垣根「…ああ、そういや渡したか。よく意味が分からなかったが、ご苦労なこった」

佐天(泥)「あらゆる物に該当せず、一方であらゆる物に該当しうる」

佐天(泥)「魔楼閣も判断が付きかねるようでして、ロシアンルーレット状態といいますか」

御坂「…ロシアン――ルーレット?」

佐天(泥)「不確定性の揺らぎから『これ、科学の力じゃね?』と認識される刹那の間は」

佐天(泥)「外部圧力が『ほんのり』掛かってエネルギーの爆縮が発生、僅かな放置で構造が破壊されます」

佐天(泥)「持ち込んだ不用品も前兆もなく突然 バアアァーン と跡形もなく吹き飛んだとのことで」 ジェスチャー

佐天(泥)「違和感を感じてコンマ数秒までには物理法則制御で気張って対抗姿勢を整えるように、ね」

垣根「…え?ええ?」  タラリ

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