火憐「ステマってどういう意味?」月火「歯ブラシのことじゃない?」(638)

火「デンターシステマ!」

月火「それにしてもさっきからずーっと歯ブラシ握りしめてるけど、磨かないの?」

火憐「んにゃ」

月火「ま、今朝もやってたし。あんまりやりすぎると痛んじゃうよ」

火憐「うん……

火憐(ついさっきのこと)

火憐「おい、兄ちゃん! どこ行くんだこら!」

暦「ああ、火憐ちゃん。僕、ちょっと出るから」

火憐「ああ?」

暦「夕方には戻るからよろしくー」

火憐「ちょっと待てよ! 今日が何の日かわからねえのかよ!」

暦「日曜日?」

火憐「母の日!」

暦「そうだな、確かに」

火憐「だから今日は家にいなきゃだろうが。家族揃ってママを労らなきゃだろうが」

暦「そのママはご苦労なことに今日は仕事だろうが」

火憐「だ、だから! 帰ってくるまで待つの!」

暦「いや、パパだって仕事だし、昼間家にいる必要は……」

火憐「いいから外出禁止禁じ手チョークスリーパー!」

暦「禁じ手って、今っ、言ったくせにっ、ぐっ!?」

暦「はぁ……お前の通う道場には後でちゃんと挨拶に行くとしてだな」

暦「お前はなんだか頑なに言うけど、僕だって用事があるんだよ」

火憐「用事? 家族より大事な行事があるのか?」

火憐「いや、ない特に友達のいない兄ちゃんは」

暦「いるわ! 今日だってこれからその僕の友達、いやさ大親友がらみなのだ」

火憐「ああ、駿河さんに貸してもらった乙女ゲー」

暦「借りるか!」

火憐「ゲームじゃあなかったら、何なんだよ」

暦「今日、母の日は僕の友達の……誕生日、なんだ」

火憐「誕生日、ねえ」

暦「突っ込みがうるさいやつでな。相手してやらないと後で仕返しをくうかもしれない


火憐「戦場ヶ原さん? それとも翼さん?」

暦「いや、違う」

火憐「じゃあ、やっぱり嘘じゃねえか」

暦「お前達、本当に僕に友達がいないと思っていやがるんだな……」

火憐「兄ちゃん、その友達は兄ちゃんの錯覚、幻なんだよ。でなかったら幽霊だ」

暦「なんとでもいえ。とにかく、僕は出かけるからな」

火憐「待てっての! いい加減にしないとあたしも怒るぞ!」

暦「しつこいなあ。怒りたいのは僕だよ。こんなことでいちいちいらいらさせんな」

火憐「……忘れたのかよ」

暦「ん?」

火憐「去年、次はちゃんと家族で母の日を過ごすって約束したの……」

暦「覚えてるさ。お前との約束を僕が忘れたことがあったか?」

火憐「兄ちゃんには何回も約束破られてる」

暦「ふっ、だから覚えてるけど約束を破っていたのさ!」

火憐「ひでえ!」

暦「まあ、冗談はともかく」

火憐「冗談でも今のはきたぞ……」

暦「僕もちょっと意固地になってるんだな、悪かった、火憐ちゃん」

火憐「…………」

暦「でも、その友達は僕にとっては唯一無二なんだ」

火憐「家族より上なのかよ」

暦「上とか下じゃあない。どっちが大事という話でもない」

暦「お前や月火ちゃんはいつだって誇りに思っている。パパとママも密かに尊敬している」

暦「その友達は誰にも代えられない。だから」

暦「今からそいつと遊んでくる。夕方には帰って母の日を一緒に過ごす」

暦「夜になればママも帰ってくるだろうしな」

暦「夕飯の支度は月火ちゃんが済ませてくれたし、これで大丈夫だ」

火憐「……兄ちゃんは」

暦「ん?」

火憐「いや……、じゃあ、夜には帰るんだな?」

暦「おう」

火憐「これは絶対だよ」

暦「破られねえって」

火憐「今の話はよくわかんないし、まだ納得もしてないけれど、まあ、わかった」

暦「いい子だ」

火憐「な、なんだよ、頭撫でたりして、子供扱いすん」

暦「ちゅ」

火憐「ん」

暦「っと。じゃあなー、火憐ちゃん」

火憐「…………」



月火「どしたの火憐ちゃん。玄関に突っ立って」

火憐「へ?」

月火「まるで彼氏と初めてキスした中学生みたいな顔してるよ」

火憐「ひえっ!? し、しし、してねーし!」

月火「まあそうだね、火憐ちゃん、もう中学生じゃなくって高校生だし」

火憐「む、むう……、つ、月火ちゃんは何してんの?」

月火「お通じー」

月火「それにしてもお兄ちゃんには困ったね。私達との約束あっさりばっさりやっぱり破ったし」

火憐「そ、そうだな」

月火「あーあ。嫌だ嫌だ。ああいう男とだけは付き合いたくないね」

火憐「……まあ、あれくらいは別にいいんじゃない?」

月火「何? 火憐ちゃん、お兄ちゃんの味方する気?」

月火「それとも高校生の余裕ってやつを中学生の私に見せつけているの?」

火憐「そんなんじゃないよー……ん? 月火ちゃん」

月火「はい?」

月火「え、ちょっと、何? なんで胸ぐら掴むの?」

火憐「あ、悪ィ、癖で」

月火「うん。で、何?」

火憐「ここの首のところ、虫刺されあるよ」

月火「虫……、え、あ、嘘、やだ!」

火憐「蚊かなー。蜂とかじゃあねーだろうな」

月火「いやいやいやいや! 大丈夫、大丈夫だから!」

火憐「そうか?」

月火「と、とりあえず離してくれるかな!? これ隠してきちゃうから!」

火憐「うん。でも、何だろうなー」

月火「か、蚊だよ、蚊ー」

火憐(そういえば)

火憐「月火ちゃんは兄ちゃんが出かけるの知ってたんだなー」

月火「え、うん。さっき聞いたからー」

火憐「じゃあきっとヒスったんだろ?」

月火「え?」

火憐「月火ちゃんが。兄ちゃんは本当、約束破りの嘘つきだよなー」

月火「そうだねー、困るよねー」

火憐「なんか拍子抜けだぜ。昨夜までは今日のことでいっぱいだったのに」

月火「うん」

火憐「ご飯も昨日から仕込んでよー」

月火「私が全部やったけどね」

火憐「掃除もやったし、テーブルクロスも新しくしたし」

月火「お兄ちゃんは遊んでたよね」

火憐「あー、あとカーネーションか。買ってこなきゃ。今、何時だ?」

月火「十時はーん」

火憐「そうか。まだ早いな」

火憐(本当はこうなるはずじゃなかったんだ)

火憐(本来ならパパとママも休みで、兄ちゃんもいて、今日は家族で難なく団欒を過ごすはずだった)

火憐(それが、七割くらいおじゃんだおしゃかだ)

火憐(月火ちゃんなんかルービックキューブやってるし……)

火憐(月火ちゃん、うまいんだぜえ。超速いの。どんな形でも五分かかんねーの)

火憐(まあ、どうでもいいんだけどよ)

火憐(ヒマを生き抜く強さを持てって偉い人が言ってたが)

火憐(不甲斐ないことにこのままじゃ間が持たねーし、ヒマをもて余す)

火憐(だから月火ちゃんを描写することにするぜえ。聞け、聴け)

火憐(まず、髪型。しょっちゅうヘアスタイルを変える妹だが、)

火憐(今はセミロングでパーマかけてる。ウェーブってる)

火憐(最近じゃあ栂の木二中のレディー・ガガなんて呼ばれているらしいが)

火憐(むしろ、目の前の月火ちゃんはキュアマリン)

火憐(月火ちゃんの茶道部も実質、ファッション部みたいなもんだしな)

火憐(すぐキレるけどよ)

火憐(心が海より広いなんてことはない、むしろ火の海って感じ)

火憐(顔だけ見れば相変わらずふにゃふにゃさんで、着物ちゃんだけどよ)

月火「ん、何?」

火憐(ルービックキューブに飽きたらしい。今度はスマートフォンをいじりだした)

火憐(家で使ってんのは月火ちゃんだけ)

火憐(アプリだかポプリだか知らねーが、まあ便利なんだそうだ)

火憐(あたしは普通の携帯で十分だ)

火憐(一方で妹は始終こいつを弄ってる。そして情報を集めたり、連絡を取ったりしている)

火憐(忙しないっつーか、何かしていないと嫌みたいだな、なんか)

月火「あ、お兄ちゃん目撃情報」

火憐「なに?」

月火「友達がお兄ちゃん見たって呟いてる」

火憐「呟いてるって何だそりゃ」

月火「ツイッター。ほら」

火憐「あー、なになに」

『阿良々木先輩見ちゃった! 何か独り言かな? アンドロイドユーザーなんだなー』『」


火憐「どういうこと?」

月火「よくわからないけれど、お兄ちゃんが恥ずかしい人だってのはバレずにすんだみたい……」

月火「あー、頭痛くなっちゃうな。やめやめ」

火憐(スマホをソファーにポイ捨て、今度はエロ本を読み始める)

月火「エロ本じゃないよ」

火憐「独白を読むなよ!」

月火「いやだな、人を怪人か化物みたいに」

火憐(とか言いつつ、アンアンなるエロ本を開く月火ちゃん)

火憐(処女のくせにまあ、ませちゃってよー)

火憐(確かに? 最近月火ちゃんは妙に色っぽいけどね?)

火憐(すっげーいい匂いするし)

火憐(でもまだまだガキだよ。処女処女)

月火「ん、火憐ちゃんもこういうの興味あるの?」

火憐「ぜ、ぜーんぜん!」

月火「…………」

火憐「な、なんだよー」

月火「火憐ちゃんにはこういうの必要ないと思うな」

火憐「んにゃっ!?」

月火「ファッション誌すらよまないけどさ、火憐ちゃんならそのうちヴォーグとかエルとかに載れるわ」

火憐「ぼ、防具? 鰓?」

月火「結局、天然素材には敵わないってことなのかなー」

火憐(なんだか落ち込んでいる。よし!)

火憐「そう浮かない顔するんじゃあねえぜ、月火ちゃん。楽しくなる話をしてやろう」

月火「うん?」

火憐「ふふん、今回のアニメ、驚愕のEDが用意されているんだぜ」

月火「ED? インポテンツ? お兄ちゃんの? それは吃驚だなあ」

火憐(吃驚はこっちだ。鼻水出ちゃったじゃねーか。ティッシュ、ティッシュ)

火憐「エンディングな。ほらー、前回はあれだけ振りがあって結局踊らなかっただろー」

月火「前情報に私達が踊らされていたよね」

火憐「けどな、今度はガチだぜ。ガチンコだぜ」

月火「ガチでチンコなの?」

火憐(どうしてそういうところを拾うんだろう。そういえばあたしの妹は中学生だったな)

火憐(思春期真っ盛りなのだ)

火憐「なんと! 3D作画でダンスなんだぜえ!」

月火「3D!?」

火憐「しかも振り付け師指導付き! 動きも超リアル!」

月火「す、すごいっ!」

火憐(動きも超リアルって変な話だけれど)

月火「じゃあさ、じゃあさ!」

月火「3Dで飛び出すお兄ちゃんのチンコとか見られるのかな!?」

火憐「…………」

月火「3Dで飛び出すお兄ちゃんのチンコとか見られるのかな!?」

火憐「どうして二回言ったんだよ、どれだけ食いついてるんだよ、兄ちゃんの飛び出すチンコって何だよ」

火憐(あたしにこんな突っ込ませるんじゃねえよ。キャラじゃないんだから)

月火「こう、股間のところが浮き出て、常にテント状態というか」

火憐「ずっとおっ立ててんのかよ」

火憐(いくらあたしでも嫌だよ、そんな兄貴)

火憐(ただの盛ってる兄じゃねえか)

月火「基本的に女子としか話さないお兄ちゃんだから、絵的にとんでもないことになるよね」

火憐「いや、いいんだよ兄ちゃんのチンコはもう」

月火「え、もういいの?」

火憐「うん。ほら、母の日の話しようぜ」

月火「やだー、もっとチンコの話続けたーい」

火憐(床に転がり、海老の脱皮を始める月火ちゃん)

火憐(吉六会も吃驚なキレだった)

火憐(おい、これ別のキレキャラじゃねーか、本当にあたしの妹か)

火憐(そうなんだろうなあ、月火ちゃんこういうことしちゃうんだよなあ)

火憐(ピーキー過ぎてあたしには乗りこなせないが)

火憐(ここであたしのガラケーが鳴った)

火憐(助かった。お前のおかげだ愛機よ、絶対にスマホに変えないぞ)

月火「ちんっこ、ちんっこ」

火憐「……もしもし」

駿河「ああ、よかった、出てくれたか火憐ちゃん」

火憐「あ、駿河さん。ういっす、ういっすー」

駿河「うん。休日に突然すまないな」

火憐「うんにゃうんにゃ、ぜーんぜん」

駿河「ところで、今日、時間あるかな?」

火憐「ふむ?」

駿河「こないだ言った遊びの約束なんだが、もしよければ我が家に来ないか」

火憐「今日は……」

月火「こーっちんこーっちんこちんこちんこ!」

火憐「……ちょっと待ってて、駿河さん」

月火「カラオケ行きたい!」

火憐「月火ちゃん」

月火「うん、何? 出かけるんでしょ?」

火憐「い、いや、でも」

月火「ママもまだ仕事だし、お兄ちゃんもいないし。私も実はこのあとで用事があるしね」

火憐「そうなの?」

月火「ご飯とか諸々の支度は万端だし、万難を排しているし。気にせず行ってきなよ」

火憐「……もしもし」

火憐(そういうわけで、どういうわけなんだか、駿河さん家に行くことにした)

火憐(誘いがなかったら、たぶんずっと家にいただろう)

火憐(なんか月火ちゃんのテンションに押されて圧された感じだ)

火憐(とりあえずオサレな、もといお洒落なジャージに着替えてむかっている)

火憐(あたしもけっこうゲンナマ……えっと、現金だな)

火憐(兄ちゃんには家から出るな出るなって言ったのに)

火憐(その兄貴と同じ友達が理由で外出か)

火憐「あたしって、けっこう流されやすいのかも」

火憐(昔、兄ちゃんに聞いたんだけれど、辻、交差点っていうのは事故がおこりやすいらしい)

火憐(それは交通事故に限らず、たとえば辻斬り、喧嘩、盗難、再会、とまあ人がいるだけ何かが起こりやすいという)

火憐(あたしもちょうど十字路を右に行こうとすると)

ひたぎ「あらあら、偶然ね。火憐さん。また背伸びた?」

火憐(事故った)

ひたぎ「いつもとは雰囲気がちがうような。ひょっとしてこれから例の彼氏とデートなのかしら」

火憐「違うよ、戦場ヶ原さん。じゃ、急いでるんで」

火憐(あたしは初めて会ったときからこの人が好きじゃない)

火憐(兄ちゃんの彼女だっていうけど、妙に突っかかってくるし)

火憐(翼さんだったら最高なのにな)

火憐(とにかく、早く駿河さん家行こ)

ひたぎ「ねえねえ、どこにいくのよ、無視しなくたっていいじゃない、ていうかぶっちゃけヒマ?」

火憐「な、なんだよ!? ついてくるなよ!」

ひたぎ「サテンでガールズトークでもしましょうよ。女子会しましょうよ」

火憐「むー!」

ひたぎ「あ、逃げた」

火憐(自慢だが足には自信がある)

火憐(これだけ走れば)

ひたぎ「火憐さん、けっこう速いのね。ひょっとして陸上部?」

火憐「ひい!?」

ひたぎ「そう、何を隠そう私も陸上部で」

火憐(逃げた)

火憐(形振り構わず、民家の屋根伝いに忍者の如く逃げ出した)

火憐(公園まで来た。まさか、な)

ひたぎ「遅かったじゃない」

火憐「すいません! 勘弁してください!」

ひたぎ「え、何。その土下座はひょっとしてそういう遊び? 高尚すぎて私には至難の技だわ」

火憐「お願いですから、もうついてこないでください。あんたは、心臓に悪いです」

ひたぎ「いやね、人を富士急ハイランドみたいに」

火憐「つーか、なんで、先回り?」

ひたぎ「いえ、この辺りは土地勘があるのよ。それで足を休めそうな場所に見当をつけただけ」

火憐「あなたはきっとジョギングをしているだろうから、水のみ場がある所で休むと思って」

火憐「…………」

火憐「何なんだよ、あんた、それにしたって、時の世界にでも入門してんの? 吸血鬼?」

ひたぎ「吸血鬼ではないけれど、強いていうならあなたのファンよ」

火憐「兄ちゃんの彼女じゃねえの!?」

ひたぎ「あの男はきっかけにすぎない……私が欲しいのは」

火憐「う」

ひたぎ「あ・な・た」

火憐「…………」

ひたぎ「やだ、真面目にとらないでよ。ジョークよ、ヶ原ジョーク」

火憐「息が詰まりそうだ……」

ひたぎ「必殺・ヶ原チョークよ」

火憐「知らねーよ!」

ひたぎ「ところで、火憐さんどこか行く途中だったの?」

火憐(もうやだ……こいつ)

火憐「ああ、そうだよ。これから駿河さん家に行くんだよ」

ひたぎ「駿河? 神原駿河? あなたたちそれほどの交流があったのね」

火憐「あったらなんだよ。あーあ、遠回りになっちまったじゃねーか」

ひたぎ「神原の家ならこっちから行くといいわ。私も何度か通ったことがあるから」

火憐「え、そうなの? うわ、ありがとー戦場ヶ原さん。まじ助かるー」

ひたぎ「いえいえ。じゃ、行きましょうか。ひたぎおねーさんが案内するわ」

















顔洗ってから

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

駿河「やあ、いらっしゃい。よく来てくれたな」

火憐「こんにちはー」

ひたぎ「こんにちはー」

駿河「あれ、戦場ヶ原先輩も来てくれたのか」

ひたぎ「ええ。この子がここまでの道程で迷子になっていたようだから」

火憐「いや、別に迷子に」

駿河「少し吃驚したが、こちらのほうが賑やかで楽しいだろう。さ、入ってくれ」

火憐「駿河さん、髪切ったんだなー。前のに戻したんだ」

駿河「ああ。そういえば切ってからは初めてだったな」

火憐「去年の今頃もそれくらいだったよね。なんかあったの?」

駿河「確かに私事諸々あったが」

駿河「こうしたほうがアニメからのファンは入っていきやすいだろう?」

火憐「はあ」

駿河「どうやら髪を伸ばすと私だと認識できないという意見が一部で囁かれているようなのだ」

駿河「まったく、私なんかがちょっとイメチェンしてしまったばかりに、多くの方に混乱を招いてしまったとは、いくら頭を下げても足りないばかりだ」

駿河「自分の浅はかさ、無自覚さにはうんざりさせられる」

火憐「そうなんだ。ふーん」

駿河「しかし、火憐ちゃんを紹介してもらったのは私が髪を伸ばしてからだったと思うが」

駿河「私が以前もショートカットだったとよく知っているな」

火憐「そりゃあ、メルマガでギャラリーがいっぱいに」

駿河「めるまが?」

火憐「おっと」

駿河「さて、私の部屋だ。ちょっと散らかっているが、どうぞ入ってくれ」

ひたぎ「あら。片付いているわね」

駿河「それでもまだこれからゴミに出す雑誌があるんだけれど」

ひたぎ「それにしたって、きれいすぎるわ。神原、何かあったの?」

駿河「ん、まあ、自分を省みる機会があったというか」

ひたぎ「阿良々木くんに処女でも奪われたの?」

駿河「ふむ、それはそれで楽しそうだが、そうじゃないよ、戦場ヶ原先輩。安心してくれ」

ひたぎ「じゃあ、後ろを」

駿河「いや、だから違うって。お二人は何かあったのか?」

ひたぎ「片付いているならちょうどいいわ。ほら、中学の頃に私が貸してあげた本、返してもらおうかしら」

駿河「あー。寝盗られものの」

ひたぎ「それもだけれど、ほら、あれよあれ」

駿河「あ、あっちか」

ひたぎ「そうよ」

駿河「いやー、長々と借りてすまなかった。ちょっと待って。確かここに……」

ひたぎ「危うく、借りパクされるところだったわ」

ひたぎ「どうしたの?」

駿河「あのう、たいへんに言いづらいのだが……」

ひたぎ「ん?」

駿河「仕舞っておいた場所にない……どうやら捨ててしまったようだ」

ひたぎ「…………」

駿河「私は何年もあれを開いていないから、ここから移動しているはずはないし」

ひたぎ「あなたふざけてるの、神原? 人から借りたものをなくすなんて」

駿河「い、いや、私自身は何年もあれを開いていないから、ここから移動していないはずはないし」

駿河「もしかしたら、どれくらい前になるかわからないが、掃除したときに阿良々木先輩が捨ててしまったのかも……」

ひたぎ「あの男……」

駿河「念のためもう少し探してみるが」

ひたぎ「いえ、もういいわ。これだけきれいさっぱりした部屋に探すところが他にあるとも思えないし」

火憐「何がないんだ?」

駿河「えーと」

ひたぎ「グリエドよ」

火憐「ぐり?」

ひたぎ「ハガレンのアンソロよ。あれは私のお宝本の一つだというのに」

駿河「それにしては今まで話題になったことがなかったが」

ひたぎ「うるさいわね、借りパク女。今度こそ後ろから入れるわよ」

駿河「わ、悪かった、です……」

火憐(よくわかんねーが、以前があったんだな)

ひたぎ「仕方ない。あれは私の黒歴史ということにしておいてあげるわ」

駿河「すまない……」

ひたぎ「今思い返すと、あれって中学生が買っていい本だったのかしら」

火憐「なんだ、エロ本の話かよ」

ひたぎ「エロ本などと俗な言い方をしないで。あれはこの世で最も高尚なものの一つよ」

火憐「だって、つまりBLだろー? あたしと月火ちゃんも持ってるけど」

ひたぎ「ふむ、火憐さん、それに月火さんも? これはかなり意外だわ」

火憐「まあ、兄ちゃんは理解がねーんだけど」

駿河「もったいない!」

ひたぎ「人としての底が知れるというものね」

火憐「まあ最近じゃあ兄ちゃんのコレクションに侵食されてあたし達のブツは追いやられてるんだけど」

ひたぎ「阿良々木くんの?」

火憐「えーと、最近は童女くらいの子の死体っつーか、それの写真集みたいの集めてる。どこで買ってくるんだかさっぱりわかんねーけどよ」

駿河「どういうことだ……」

ひたぎ「あまり耳にしたくなかったわね」

火憐「あ、あと最近ブームが再燃してるのかツインテールの」

駿河「いや、もういいよ、火憐ちゃん。それくらいにしてくれ」

ひたぎ「でも、火憐さんがこちら側の人間だとすれば話が早いわ」

火憐「ん?」

ひたぎ「ところで、私はこっちだけじゃなくて」

火憐(手をグーにして、人差し指と中指の間から親指を出す戦場ヶ原さん)

ひたぎ「こっちも守備範囲なのよ。あなたはどうなのかしら」

火憐(今度は両手をチョキにして、それを噛み合うように重ねる。なんかホッチキスみたいな手だな)

駿河「戦場ヶ原先輩、まだこの子には早いんじゃ……」

ひたぎ「何を言うのよ。昔を思えば私達は当時、火憐さんより年下だったのよ」

火憐「あ?」

ひたぎ「ふむ。きれいな肌ね」

火憐「変なさわり方すんなよ」

ひたぎ「恥ずかしがらないでいいのよ」

火憐「恥ずかしくねー、煩わしいんだ」

ひたぎ「あ、上着、お預かりするわね。暖かくなってきたし」

火憐「え、う、うん」

ひたぎ「ふうん、こうして見ると、思ったよりおっぱい、あるんだ」

火憐「いや、何?」

ひたぎ「タンクトップなんて花がないわよ、ねえ」

ひたぎ「これ、とっちゃうわね」

火憐「あ、ちょ、や!」

ひたぎ「おっと、ノーブラ~。ちゃんと着けないと形崩れるわよ」

ひたぎ「まだ成長中だし」

駿河「おお……」

火憐(駿河さん、助けてくれねー!)

ひたぎ「いいわ」

火憐「突っつくな!」

ひたぎ「え、何が?」

火憐「ひあ、……、つ、摘ままないで……」

ひたぎ「それにしてもこれは素晴らしい。神原、あなたに負けず劣らずってところよ」

駿河「う、うん、人の裸を見るのは久しぶりだが。な、なんかすごいドキドキしてきた」

火憐「なんだよぉ……なんなんだよぉ、あんた達」

ひたぎ「じゃあ、次は下ね」

駿河「ご、ごくり」

ひたぎ「ほっほー、パンツは意外に大人っぽいわね」

火憐「…………」

ひたぎ「何か言いたげね」

火憐「い、いや」

ひたぎ「このパンツには後ろ暗いところがあったり? さ、おねーさんに教えて」

火憐「か……た」

ひたぎ「ん? どこで買ったって?」

火憐「こ、これは、あたしのじゃなくて、つ、月火ちゃんの……」

ひたぎ「…………」

駿河「それにしてはエロすぎるな! すけすけのドスケベパンツだ!」

ひたぎ「喜びすぎよ、神原。あまり大きな声を出さないで、おばあさまもいるんだし」

駿河「う、うん」

ひたぎ「どうして友達の家に遊びに行くのに、勝負パンツなのかしら。何か期待することがあったとか」

火憐「ち、ちがっ!」

ひたぎ「大丈夫、安心して。ここにはあなたと同類しかいないから」

ひたぎ「たとえあなたが穿いているのがすけすけドスケベパンツだろうと何だろうと、ね」

火憐「こ、これはそういうのじゃあない」

ひたぎ「へー、じゃあ、どういうの?」

火憐「こ、これは……」

そういえばかんばるは口だけだったか

かんばる「ちょ、ちょっとまってくれ……わたしにも心の準備というモノが必要なんだ」

かんばる「ほ、本番はちょっと怖いな……すまない……く、口だけなら、何とかなるかもしれない」

ほう……

火憐(家を出る前に……)

月火「またジャージかあ」

火憐「ん、何だよ」

月火「ヴォーグだのエルだの言ったけれど、それも当分先だね」

火憐「だから防具とエロってなんだよ。新しいかけ算?」

月火「なのにルックスばっかりどんどんよくなっちゃって」

月火「なにやら『火憐スール』なるファンクラブが存在するらしいし……」

火憐「あ? カレースープ? ご飯の話?」

月火「一応調べてみたら『月火スール』はないみたいでプラチナむかつくし……」

月火「とにかく、さっきみたいにアンアンをちらちら見るくらいなら女子力アップさせることだよ!」

火憐「で、借りた」

ひたぎ「そこで『で、』に繋がるのがわからないけれど……」

駿河「貸してくれる月火ちゃんも化物級のセンスだな」

火憐「いや、言うと怒るから、黙って借りた」

駿河「怒るのか……」

ひたぎ「いや、私だってあなたが勝手にパンツを借りていったらキレるわよ」

駿河「え、駄目なのか?」

ひたぎ「駄目よ。応相談よ」

駿河「あ、けっこう柔軟なのだな」

ひたぎ「それにしても、月火さんの発言は面白いわね。カレースープというのは訳がわからないけれど」

駿河「よっぽどお腹が空いていたのかな」

火憐「いや、今日は母の日だろ?」

火憐「夕飯にカレースープを用意しているんだ」

ひたぎ「母の日」

駿河「あ、もしかして今日は家族で過ごすつもりだったのか? なら悪いことをした」

火憐「いやいや、夜まで家に誰もいねーし。いいんだよ、駿河さん」

ひたぎ「でも、あなたの家は母の日をお祝いするのは毎年の決まりなのよね」

火憐「まあな。よくわかるな」

ひたぎ「このガハラアイはすべてお見通し、すべてがステレス千里眼よ」

駿河「ステレスじゃ、見えないのではないか?」

火憐「そろそろ服返してくれねーかな。さすがに人の家でパンツ一枚の姿っていうのはきまりがわるいぞ」

ひたぎ「このジャージは返せないわね」

火憐「ああ? そろそろ火憐ちゃんと怒髪天を突き、拳がお前を突くぜ」

ひたぎ「神原」

駿河「うん」

ひたぎ「書くもの、貸して」

駿河「ああ。しかし、一体……」

ひたぎ「ここに書いてあるものを今すぐに買ってきなさい」

ひたぎ「足の速いあなたなら一時間くらいで済むでしょう」

はかせおなかがすいたんだけど!

駿河「ただいま戻った。お待たせしたな」

ひたぎ「で、買ってきた?」

駿河「ああ。とりあえず書いてあった通りのものを。しかし、これは何なのだ?」

ひたぎ「重畳重畳。さて、火憐さん」

火憐「な、なんだよ」

ひたぎ「パンツも、脱ぎましょうか」

火憐「ひっ……」

ひたぎ「これからあなたを目眩く女の世界へ連れていってあげる」

火憐「いい! やだ! 女の世界知りたくない!」

ひたぎ「こんなにかわいい顔して、それは我が儘というものよ」

火憐「う、うわあ!」

ひたぎ「神原」

駿河「許せ、火憐ちゃん!」

火憐「なっ!? は、離せよ!」

駿河「だ、大丈夫だ。きっと戦場ヶ原先輩には考えがあって」

火憐「いやだよう……助けてよ、駿河さん」

駿河「……わ、私はいつ脱げば、いや、いつ参加すればいいのかな戦場ヶ原先輩」

ひたぎ「落ち着きなさい。あなたは脱がなくていいの」

駿河「攻めは着衣なのか!? む、無理矢理っぽくて気が進まないが!」

ひたぎ「そうは見えないけど……」

シャフト ステマ

【アフィ連合の理想】
ステマ業者「ステマステマステマ!!!」
( ^ν^)「チッうっせーな、何でもかんでもステマなわけねーだろ」
ステマ業者「計画通り」
【現実】
ステマ業者「ステマステマステマ!!!」
( ^ν^)「ステマステマステマ!!!」
民放・新聞「ネット上でステマが問題となっており」
ステマ業者「・・・」

ひたぎ「あとは」

駿河「徐に懐からハサミを取り出したが、まさかあれをやる気か、戦場ヶ原先輩!?」

火憐「え、な、なんだよ、へへ、い、痛いのは平気だぜ」

ひたぎ「あ、これじゃない。しまった、手持ちがないわ。悪いけど、あなたの借りるわよ

駿河「もちろん貸すのはやぶさかではないが、ものは何だ!? 棒か、棒にするか!?」

ひたぎ「いや、こっち」

駿河「ま、まさか……それ? い、いったいどんないやらしい使い方を!?」

火憐「は、離せ、兄ちゃあああああああああああんっ!」

ひたぎ「手元が狂わないよう、動かないで頂戴。じゃ、スタート」







月火「うわっ、また#koyomiだ!」








後 間 時 壱

火憐「…………」

ひたぎ「いかがかしら」

駿河「いや、すごかった。すごい」

ひたぎ「これが天然のダイヤモンドね、私もかなり熱くなってしまったわ」

駿河「阿良々木先輩がああなるわけだ」

ひたぎ「そうね。私もようやく得心がいった。けれど、彼はまだこの子の本当を知らない…それ?」

駿河「我々だけが知る、ということか」

ひたぎ「あの男も直に理解するでしょう。自分がどんな化物、『本物』と一緒にいるのか」

火憐「…………」

ひたぎ「おっと、誤字だわ。私もやはりかなり昂っているようね」

火憐「あんた達は……」

ひたぎ「ふふ、あなたもよかったわね。これで女になれたじゃない」

火憐「身体中触られたり弄られたり引っ張られたり叩かれたりして、女になったってどういう意味だ……」

駿河「いやー、でもこれで月火ちゃんのパンツを借りずに済むぞ」

ひたぎ「むしろ彼女がパンツを脱ぐことになるかもね」

火憐「月火ちゃん……」

火憐(今、何時だろう……)

駿河「あ、すまない。家電が鳴っている。ちょっと失礼」

火憐「…………」

ひたぎ「家電、変えたのね」

火憐(変な呼び出し音……)

ひたぎ「……なにやら騒がしいわね」

火憐「あ?」



駿河「いや、だから困るって!」

駿河「今は友達が来ていて……いや、それはそうだが」

駿河「母の日? そんなの私に何の……、とにかく今は来ないでくれ!」

駿河「……それこそ私のためという気がする。じゃ」



ひたぎ「こっちまで聞こえていたわよ」

駿河「ああ、すまない。なんというか、親戚からだったのだが」

ひたぎ「親戚」

駿河「突然家に来ると言ってきて。断ったけれど、聞いてくれたかどうか……」

ひたぎ「苦手のようね、その親戚が」

駿河「……好きじゃあない」

火憐「母の日がどうとか言ってたけど」

駿河「あ、ああ。まあ、母がいない私に今日は付き添ってくれるという話だったんだ」

火憐「あ……」

駿河「ん? どうしたんだ」

火憐「ごめんなさい。さっき、あたしも母の日の話とか……」

駿河「いやいや、気にしないでくれ。そして気に病まないでくれよ、火憐ちゃん」

火憐「うん……」

ひたぎ「お兄ちゃんにそっくりね、そういうところ」

火憐「似てねえよ」

駿河「誘っておいて申し訳ないが、その親戚のおじさんが来たら気まずいだろうから、とりあえず今日はお開きにしてもらえないか」

ひたぎ「なんだか、私達と会わせたくないみたいね」

駿河「そういうわけじゃないが、私としてもあまり友達に親類を会わせるのはあまりな」

ひたぎ「まあ、いいわ。私達はこれで失礼するわね」

火憐「それじゃあ、お邪魔しました」

駿河「うん、また来てくれ」

火憐「親戚、ね」

ひたぎ「ほら、はやく行きましょう」

火憐(この人とこのあとも一緒にいる流れなのか?)

ひたぎ「私としては後輩、義妹と遊べたし腹八分目って感じ」

火憐「義妹とはあたしのことか」

ひたぎ「せっかくだから、このブロマイドにサインしてくれない?」

火憐「どうしてあたしの写真なんか持ってるんだ!?」

ひたぎ「昨日、火憐コミュで手に入れたの」

火憐「みくしー!?」

火憐(いや、サインくらいならするけどよ……)

火憐(なんか恐い世の中だな、正義が忘れられつつある)

ひたぎ「汚い字」

火憐「どうやらぶっ飛ばされたいようだな」

ひたぎ「私に『ぶっ飛ばす』と言った人間は過去に二人いたわ」

ひたぎ「全員、ぶっ飛ばし返したけれどね」

火憐(なんだこいつ……そんなの絶対嘘だろうけどなんだかスゴミを感じる。スタンド使いか)

ひたぎ「さて、私はこれから浮かれて遊びに行くけど、あなたは?」

火憐「遊びに? 兄ちゃんとか?」

火憐(でも、兄ちゃんは……)

ひたぎ「いえ、大学の友達に合コンに呼ばれているの」

火憐「合コン……」

ひたぎ「ふふ、真の姿になったあなたも、行ってみる?」

火憐「行かねえし。だいたいいいのかよ、あんた」

ひたぎ「何が」

火憐「兄ちゃん、いるだろ」

ひたぎ「私は春から毎日毎晩合コン三昧よ、ぱーりーぱーりー」

火憐(えええええええっ!?)

ひたぎ「ジョークよ」

火憐「邪悪って感じだぞ……」

ひたぎ「邪悪? 失礼ね、私はその逆、反悪よ」

火憐「アンチか」

ひたぎ「あなたが悪に染まった時は覚悟なさい。精一杯全力でネガキャンするわ」

火憐「やることは小さい……」

ひたぎ「そうね、じゃああなたはとりあえず帰って月火さんに会ってくればいいんじゃないかしら」

火憐(あの女に従うのは気に入らねえけど、帰ることにした)

火憐(あ、やべ、脱がされたパンツ、駿河さん家に置いてきちゃった……)

火憐「やべえな……」

火憐「もう着いちまったし……」

火憐「まあいいか、殺されはしねーだろ」

火憐「ただいまー」

月火「おかえりー、早かったね」

火憐「うん、月火ちゃんもまだいたのか。それとももう出掛けて帰ってきたのか?」

火憐(靴を脱ぐ。あ、これあたしのじゃねーじゃん。まずいな、駿河さんのかな。あとで返さないと)

月火「…………」

火憐「ん? どうした、固まっちまって。ザ・ワールド?」

火憐「そして、時は動き出す、なーんてね!」

月火「うわああああああああああああああ!」

火憐(叫ぶのと同時に、月火ちゃんは腰を抜かし、痛そうに尻餅をついた)

火憐(本人はその事を意に介さないかのように、悲鳴をあげる。泣き叫ぶ)

月火「う、あ、あう、う、うわああ!」

火憐「ど、どうした!?」

火憐(後ろに何かが!? いや、何もないな)

火憐「なあ、月火ちゃ」

月火「わあああ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

火憐「ん……」

月火「すいません許してもうしません反省してます」

火憐「な、なんだよ。人を化物みたいに……」

月火「ひいいいいいいいいいいい!」

火憐(近づくと頭を抱えこむ月火ちゃん)

火憐(あれか、沙耶の唄とか、そういう展開か)

月火「私が悪かったです、私が邪悪だったのです! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

火憐「はあ?」

月火「わかった風なこと言ってすいませんでした私は偽者ですまがい物です」

月火「本物には敵わないんです。でも女の子はみんな作ってるんです装ってるんです」

月火「あれ、女の子はみんな偽者?」

月火「いにゃあああああああああ!」

火憐「…………」

月火「う、ううー、ううう!」

火憐「なあ、月火ちゃん。よくわからないけど、気にすんな」

月火「うう?」

火憐「月火ちゃんは何も悪くないんだ。だから自分をそう悪く言うんじゃねえ」

月火「わ、私にはもったいのうお言葉やー!」

火憐(意味わからん……)

火憐「よしよし」

火憐(とりあえず、泣き止むまで抱いてやる。けっこう繊細なんだよ、妹は)

で!


火憐「落ち着いたか」

月火「うん」

火憐「あんまり考えすぎるなよ、月火ちゃん」

月火「う、うん。恥ずかしい……」

火憐「あー、もう三時半か」

月火「な、なんか火憐ちゃん」

火憐「はにゃ?」

月火「すごい、いい匂いするね」

火憐「…………」

月火「女っぽいというか、雌? そんな感じ」

火憐「あー、なんだっけ、女子力?」

月火「うわっ、スカウターが!? いったいどれ程のパワーを秘めているというのだ……」

火憐「なんだそれ……」

月火「か、勝てない…っ!」

火憐「月火ちゃんよー」

月火「わあー! 頭! 頭を掻いたりしないで!」

火憐「しないでって」

月火「や、やっぱり掻いて! 掻きまくって! フケ! フケを煎じて飲ませてえ!」

火憐「気持ち悪い……」

月火「気持ち悪い!? そ、そりゃあそうだよ! 私なんかノミシラミのノの字だよ!」

火憐「…………」

火憐(もうスルーしよう)

火憐「そろそろ兄ちゃん帰ってくるかな」

月火「ん。あー、ちょっと遠くにいるみたいね」

火憐「え、連絡あったの?」

月火「友達が神社の近くで目撃したって。これが今のところ最後の情報だね」

火憐「神社?」

月火「ほら、山のほうにあるじゃ……あるじゃないですか」

火憐「うん……」

月火「友達と参詣でもしているのかもしれないですね」

火憐「そうか……」

火憐「ちょっと迎えに行ってくるわ」

火憐(正直、この月火ちゃんのそばにいたくない)

月火「はい。わかりました、よろしくお願いいたします。不肖妹はここで番をしてお待ちしております」

火憐「た、頼むぜ」

月火「はあ! 御姉様に、御姉様に頼まれてしまった!」

月火「これは命に代えても家を守らねば!」

火憐「あー、まあ死なないように頑張って」

月火「お任せください! 妹は弁慶の如く門に立ち、敵からの」

火憐「あ、うん、うん、もういい、もうわかったから。じゃ、いってきます」

火憐(月ちゃんは、うん、まあ、そういうときもあるだろう!)

火憐(深く考えない! 頭痛くなってくるしな!)

火憐(さて、神社。神社か。こないだ再建されたやつだな)

火憐(確か、なんとか蛇神社だったな)

火憐(町内会で神社を中心に盛り上げようとしてるってママが言ってたけど、)

火憐(最近、この町もちょっとだけ都会っぽくなったしなー)

火憐(ジャスコできたし。MOVIXも入ってるし)

火憐(なんでも弁天様の神社らしいし、翼さんによれば商売繁盛の神様だからな)

火憐(ご利益あったんだな!)

火憐(ついでに翼さん情報だが、弁天様って蛇の神様でもあるんだってな)

火憐(弁天っていうと、あたしはうる星やつらしか思い浮かばないな)

火憐(夏ごろには縁日もやるみたいだし。楽しみだなあ)

火憐(そういや、さらに翼さんの話をすると)

火憐(今、あの人は海外旅行してる。こないだ初めてエアメールが来たのだ)

火憐(手書きなのがあの人らしい)

火憐(元気にやってるってことと、虎とじゃれてる写真が同封してあった)

火憐(ムツゴロウみたいだった)

火憐(手紙のほうは、別人が書いたみたいに字がきたなかったり、言葉がおかしかったりしてたけど)

火憐(文末に『にゃ』、とか)

火憐(やっぱり大変なんだろうぜえ)

火憐(さて、着いたぞ、と)

火憐「あ、兄ちゃんだ」

火憐(一人じゃねえな。あれが友達か?)

火憐「おーい、兄ちゃん」

暦「ん? 火憐ちゃんか」

火憐「遅くならないように、迎えに来たぞ」

火憐(月火ちゃんと同じパターンになったりしないだろうな……)

暦「……火憐ちゃん?」

火憐「あ、おい、泣き出したりるんじゃあないぜ。もうああいうのは沢山」

暦「泣く? それはどういう意味だ」

火憐「何でもねーよ」

暦「ふむ……」

火憐「な、なんだよ、じろじろ見るなよ」

暦「あ、いや……」

火憐(何、この空気……、知らない人もいるし、兄に視姦されたくない)

火憐「だ、誰だよ、そっちの人」

火憐(そっちの二人組)

暦「ああ、この人は」

暦「えーと、バイトの先輩? みたいな人で」

火憐「バイト?」

暦「ちょっと違うか。うーん、どう説明したら」

影縫「えーんやないの。バイト先の店長で」

影縫「かかっ、まっ、一応『バイト先の店長』として挨拶させてもらおか」

影縫「はじめまして。べっぴんさんの妹ちゃん。お兄ちゃんの店長やっとる」

火憐「店長?」

影縫「せや、店長や」

火憐「…………」

火憐(名乗らないんだな)

火憐「何の店長?」

影縫「あー、新京極にあるマックの店長?」

火憐「どこだよ」

影縫「お兄ちゃんはな、やり手やで。先輩にも頼りにされとるで」

暦「利用されてるって感じだけど……」

影縫「それはこの仕事じゃ、みーんな感じてるわ」

火憐「…………」

影縫「あ、こっちは初めてやったっけ? この子、余接」

余接「いえー。ピースピース」

火憐(うぜえ……)

余接「スリーピース!」

火憐「あたしは阿良々木火憐といいます」

影縫「知っとるー」

火憐(兄ちゃんが話したのかな)

影縫「あまり頭は良くなさそうな子やな、お兄ちゃん」

暦「いや、この場では助かりましたよ」

火憐「聞こえてんだよ」

影縫「あ、堪忍な」

火憐「いいや、兄ちゃんを馬鹿にするとは! 許さん!」

影縫「あ、馬鹿や、この子」

余接「馬鹿だね」

火憐「むうう!」

暦「おい、何構えてんだよ、火憐ちゃん。影縫さ……店長も挑発しないでください」

影縫「何も言うてへんやないの。なあ、火憐ちゃん」

火憐「ぐぬぬ」

影縫「お迎えにきてくれはったんやっけ? ごくろーさん。ちょうどお仕事終わったとこやし、お兄ちゃん連れてってかまへんで」

暦「じゃあ、あとはよろしくお願いします」

影縫「まかせときー。どうせ余接が後処理全部やるんや」

余接「え……」

影縫「本当、うちは幸せやなー、こんな妹おるさかい、お姉ちゃん助かるわー」

余接「い、いえー……」

火憐「兄ちゃん、帰ろうぜ」

暦「ああ」

影縫「なあなあ、お兄ちゃん」

暦「うわ、な、なんですか」

影縫「今日は助かったわ。いつも手伝ってもろてるさかい、感謝してるで」

暦「はあ、どうも」

影縫「今度、お礼に何かするさかい、待っててや」

暦「いや、いいですよ。なんか恐いし」

影縫「ん? 何、お姉ちゃんとエロいことしたい? 大胆やなー」

火憐「…………」

暦「言ってねーし!」

影縫「いややわー、鬼畜なことされたらどないしよー」

暦「するか!」

影縫「そう恥ずかしがらんでもええやん。彼女にはこよみんって呼ばれてるんやろ?」

暦「あ! どうしてそれを!? あの人か! ばらしたのか!」

影縫「よみ、って読んでもええかな?」

暦「人をあずまんが大王みたいに呼ぶな!」

余接「コヨーテ、って読んでもいいかな、お兄ちゃん」

暦「遠いよ! 近いようで遠いよ!」

影縫「うちとよみの関係に似とるね」

暦「関係なんかねーよ! 無関係だよ!」

影縫「せやからこれから関係を築こうと。うちの気持ち、知っとるくせに」

暦「築きたくないし、気づきたくない」

余接「僕は遊びだったのかい?」

影縫「余接は今黙っとき」

余接「……ちぇ」

影縫「なあ、ええやん。大人の女、興味あるやろ」

暦「どこ触ってんだ」

火憐「兄ちゃんから離れろくそ女ああああ!」

影縫「うお」

火憐(ぶっ飛ばしてやるぶっ飛ばしてやるぶっ飛ばしてやるぶっ飛ばしてやるぶっ飛ばしてやる)

暦「お、おい!」

火憐「さっきから聞いてりゃ気持ち悪いんだよ! 店長だかなんだか知らねーが、兄ちゃんに触ってんじゃあねえ!」

影縫「ええやないの、これはうちとよみの関係や。妹ちゃんは無関係や」

火憐「ふぅーっ! ふぅーっ!」

暦「止まれ、火憐ちゃん! ほら、もう帰ろう、な!」


火憐(右ストレートでぶっ飛ばすまっすぐいってぶっ飛ばす右ストレートでぶっ飛ばすまっすぐいってぶっ飛ばす)

暦「全然聞こえてない……」

影縫「オーケーオーケー。うちはバトル歓迎や」

暦「ちょっと待ってくださいよ!」

影縫「ようやくノってくれたんや、お兄ちゃんは下がっとれ。おら、こいやブラコン」

まららぎさんはいつも発情してますね

デンチガキレソウ

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   /|:: ┌──────┐ ::|
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  \_|    ┌────┐   .|     ∧∧
      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄     (  _)    俺がステマということで
             / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄旦 ̄(_,   )
            /             \  `
           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|、_)

             ̄| ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄| ̄

     |           .( ( | |\
     | )           ) ) | | .|
     |________(__| .\|        俺の代わりにだれか一人、稼ぐことができる

    /―   ∧ ∧  ――-\≒
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  (  ・ω・)
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                            俺はそういうことに幸せを感じるんだ
  <⌒/ヽ-、___
/<_/____/

あるニートは賭けにでた。

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  ||:. \____________/  ||
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  ||:   |               ;;''"゙''"゙.、;;:~''"'||
  ||:   |         ('A`)  .;;  ,,..、;;:~''"゙'||
  ||:. / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ノ( ヘヘ ..,,.、;;:,,...、;;:~''''||
  ||/              [___]'     \||

一酸化炭素が部屋に充満する前に
見知らぬ愛らしい女の子が「ステマ♪」って
玄関からお邪魔してくることに、生死を賭したのだ

             ,. - ─── - 、

             /    ,       `ヽ.
            /〃//,. ,ィl/|l ト、 !、 、  ヽ
          ー'´| | l |1 | !l. l| ! | l.|ヽ ! !、 ',
             YレV!ヒエ「! |l.「_ト!Ll」| l l  l
           ! lハイJ |  ´|_jヽ. リ,! ! l. l |  おじちゃんたちどうしてステマって言うの?

             |l |l.} ー ,   L _,ハl.lトl l. | l
             |l ilト、   n  ''  ,1l|ィ| |l l |
           _ 二,ニ^tュ--ェ_t1」l.|l !リ|_lノ
       r7´   f r┐| 〔/ミヽ>,-、 ̄´
       Y       ー个‐'t  ハ-、_'ゝ、
        ヽ ._・ rく ̄ヽト-'丿  ヽ l
        / (・__,)ゝi┬'´ハ`     '`|
          |ヽ, イ   ノ┴くヽヽ、    /
        `´ ゝ┬ヘ`ヽ   |  `ー‐1
           ゝノ-‐^ー'一''丶  ヽ ヽ
           ト、_       `ーァ'¨不ヽ
            | | 「 ̄「 ̄l ̄ト、,イトヒi′
             l l. l   l  !  !└' l |
             └ L 」_,|__l_l.__L.l′
             |   |  |   |
              l   l   !   !
                l   l.   l   l
            ト--┤   !--‐1
              f‐t央j.   ト央ァヘ
              |  甘l、  / 甘  |
             l  ,.-‐ヽ レ'⌒ヽ/
            `く.__ ノ ゝ--‐′


     l⌒Yl  lY⌒l   \ステマステマ!/
    { ´┴`} { ´┴`}        (^ν^)
    ( | ̄ ̄|   )       /( )\
     | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|       | |

   ステマステマ言うな

     l⌒Yl  lY⌒l
    { ´┴`} { ´┴`}        (^ν^) ・・・
    ( | ̄ ̄|   )       /( )\
     | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|       | |


     l⌒Yl  lY⌒l   \ホットペッパーを見た!!/
    { ´┴`} { ´┴`}        (^ν^)
    ( | ̄ ̄|   )       /( )\
     | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|       | |

 ___
/ || ̄ ̄||
|.....||__|| (ν^ )  <店員がアスペ マーケティングはステマ。
| ̄ ̄\三⊂/ ̄ ̄ ̄/
|    | ( ./     /

火憐(右ストレートでぶっ飛ばす! まっすぐいってぶっ飛ばす!)

影縫「むっ」

火憐(当たった……っ!?)

火憐「ぶふっ!」

火憐(く、クロスカウンター!)

影縫「いったー……」

火憐「が、げほっ! げほっ!」

影縫「あー、久々に顔いったわ」

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!

火憐(ぬ、抜かしやがる! こっちは鼻血ブーで歯もいっちまったのに、全然ピンピンしてるじゃねえか)

影縫「でも、実力がどれくらいかはわかったわ。ほな、そろそろいこか」

火憐「げふっ、へへ、余裕こいてんじゃねー、てめーは直ぐ様あわてふためくことになるんだぜ」

影縫「そら楽しみや。じゃ、うち手加減するさかい、死なんようにな」

火憐(右フック……)

影縫「お、止めたか」

火憐「いっ!?」

火憐(いてええええ! なんだよこれ! コンクリートで殴られたみたいな!?)

火憐(折れちゃあいねえだろうが……)

火憐(殴られた腕がジンジンしやがる。くそ、しばらく動かねーぞ)

影縫「よっ」

火憐(顔面狙いの左……)

火憐(これ避けてから)

火憐(右で返す!)

影縫「あかんあかん。そないな戦法じゃ警官にすら勝てんで」

火憐「手のひらで止め……!」

影縫「たいがあ!」

火憐「ぐはっ!」

火憐(あ、あっぱーかっと……)

影縫「おーい、もうダウンかいな、火憐ちゃん」

火憐「ぶっ、え、げほっ」

暦「止めろよ! うちの妹を殺す気か!?」

影縫「お兄ちゃんはフリーズや、こっち来たらこの子殺すで」

暦「ああ!?」

影縫「大丈夫やって。死なんようにやるから」

影縫「この子まだ頭に血ィ昇っとるんや。吐かせたほうがええ」

暦「そんなことが聞けるかよ」

影縫「お兄ちゃん、言うとくけど、おどれを殺すのなんて、まあ、昼飯前? くらいなんやで」

影縫「そこから飛んできてもな、返り討ちや」

暦「だからって黙ってられるかよ」

影縫「せやな。まあ、おどれも少し妹に厳しくなれや。うちみたいにな」

余接「厳しいどころじゃない、険しいだよ、お姉ちゃん」

影縫「ほうか。で、話戻すで」

余接「…………」

影縫「確か、この子、正義の味方やっとったな」

影縫「若いなー、うちもこれっくらいの頃は毎日町の警備とかしとった」

余接「もしかして、それはお姉ちゃんの黒歴史なのかい?」

影縫「せやけど、実力が伴わないうちは無謀っていうんや」

影縫「ここで一回痛い目見たほうがええ」

余接「それってでもこの子をリンチる理由になっていないよね」

影縫「いずれ強大な悪と遭遇したときのためにもな」

余接「お姉ちゃんの言うこともだいぶ無茶苦茶……ぐはっ!」

影縫「お兄ちゃん、おどれはこの子何回泣かせた? 百回か?」

余接「あう! 痛い、痛いってば! やめて! ぎゃ!」

影縫「お迎えにきたんやったなー。ええ話やな。美しい兄妹愛や。涙がとまらん」

影縫「実際、妹は兄に、姉に甘える」

影縫「しかし、甘やかせばつけあがる」

余接「痛っ!」

影縫「ええか、甘えは死に直結する」

影縫「なぜなら、甘えは依存になるからや」

影縫「おどれの妹も、色々な場面で兄貴に頼ってるんやないの」

暦「それは」

影縫「まあ、まさか歯磨きやってもろうてるなんて、そないな極端なことはないやろうけど」

影縫「意思を捨てていないか、意志をなくしていないか、決定権を放棄していないか、思考を停止していないか」

影縫「そこを導いてやるのが、上に立つ者の勤めや」

余接「お兄ちゃん、いいこと言っている風に聞こえるけれど、お姉ちゃんはただ喧嘩したいだけなんだ、気にせず……げほおおお!」

影縫「もうええやろ、火憐ちゃーん。そろそろ目ェ覚めたやろ」

火憐「…………」

暦「おい、火憐ちゃん、お前……」

火憐「どけ、兄ちゃん」

影縫「少しはましな顔になったやないか。あとはそのべべを脱いだらええわ」

火憐「ふん、馬鹿め。あたしはこれを着ることによって真の力を封印しているのだ」

火憐「死にたくなかったら、あたしにこのジャケットを脱がさないことだな」

影縫「アドバイスおおきに。じゃ、第二ラウンド、や」

影縫「レッスンワンの復習や。ここ、狙ってみ」

火憐「ひひ。後悔するがいいぜ。その頬っぺたに風穴開けてやんで」

影縫「それ京都弁ちゃうわ」

火憐「必殺・後悔必至のバーンナックルぅぅ!」

影縫「ガード」

火憐「よく止めたな! でもここからだぜ!」

火憐(とにかく、こいつは一撃が重い)

火憐(だったら、要は攻撃させなきゃいいんだろうが)

火憐「アリアリってなあ!」

影縫「まあ考えとしてはシンプルでええわ。せやけど、うちとおどれの体力、スタミナの差を忘れとる」

影縫「ラッシュのギネス記録でも出す気かい」

火憐「誰がパンチだけやると言った」

影縫「! しゃがんで……」

影縫「んな足払いくらうかい」

火憐「ふふ、その足払いを避けるために浮いたな?」

影縫「あ」

火憐「たいがあ!」

暦「おお、さっきのタイガーアッパーカットを返したぞ!」

火憐「浮かせてしよーりゅー。これ、基本ね」

余接「お姉ちゃんが飛ばされるところなんて初めて見た……ダウンも……」

暦「斧乃木ちゃんでも? ちょっと待て。僕なんかダウンはおろか……」

余接「あれはお兄ちゃんが弱すぎたんだよ」

火憐「ふはははは! こんな基本のきで倒れるとは、他愛ないわ!」

暦「くそ、なんかくやしいからもう一回やられろ火憐ちゃん!」

余接「少なくとも今のお姉ちゃんは素人相手にだいぶ手加減していたからね」

余接「ほら、タイガーをくらって、気が変わったみたいだよ?」

影縫「ふむ……よし、火憐ちゃん、頭も冷静になったみたいやな」

影縫「回転もよくなったことやし、次は頑張ってサバイバルしいや」

余接「あ……」

火憐「寝言は寝てから言えー。手加減してましたっつーやつは負けるのがセオリーなんよ」

影縫「せやなー。わかったわー、じゃ、殺すわ」

火憐「ああ? だからそういう台詞は」

暦「避けろ馬鹿!」

火憐「……って」

影縫「あー、はずしたかー。お兄ちゃん、黙っときー」

火憐(あたし、神社の作りとか詳しくないけどよ)

火憐(ここは、たぶん石畳だよな)

火憐(なんか、隕石が落ちたみたいな穴が空いてるんだけど)

影縫「すきありー」

火憐「ぬがっ!」

火憐(避けたが……頬が『かまいたち』みてえに裂けてやがるっ!)

火憐(それに……さっき近づいたときも一瞬だったっ!)

余接「そういえばお姉ちゃんは格ゲーでノーダメクリアじゃないと怒るタイプなのだった」

暦「はあ!?」

余接「僕も何度となく殴られていたのだった」

暦「斧乃木ちゃん、そういうのは早めに言って!」

余接「もう手遅れなのだった」

暦「くそ、僕はここで斧乃木ちゃんの胸を揉むことしかできないのか!?」

余接「楽しいけど、もっと他にできることがあるんじゃ」

火憐「外野うるせえ! 死んじまうだろうが!」

影縫「ようかわすなー、天才的な視神経と運動神経やな。元は頭がえーのか」

火憐「人を馬鹿みたいに言うな!」

影縫「なんや、そのきれいなべべもぼろぼろに綻びてるやないかい。高いのとちゃうの」

火憐「知るか!」

火憐(なんか戦場ヶ原さんに言われて駿河さんがかってきたが)

火憐(無理矢理着せられたけど、これもしかして返さなきゃいけないのか?)

火憐(もうなんか、袖は残ってるが世紀末の服装みたいだ)

影縫「あ、すまん、これ当たるわ」

火憐「は……って!?」

火憐(足……折られた)

暦「火憐ちゃああああああああん!」

余接「僕にあれだけ好き勝手してなお、妹への気遣いを形だけは忘れない。素敵すぎるよお兄ちゃん」

火憐(くっそ、立てねーでやんの……)

影縫「貴様は将棋やチェスでいうチェックメイトにはまったのだ、てな」

影縫「さーて、どないしましょ」

火憐「な、なんだよ、殺すとかいったわりに、余裕じゃねえか」

影縫「せやから詰みやっちゅーの。おどれ、死ぬか死なないかの瀬戸際やで」

火憐「死ぬかよ。知らないのか? 正義は死なないのだ」

影縫「ええこと教えたる。正義の味方は死ぬんや」

火憐「じゃあ、あたしは死ぬのか」

影縫「せやなー」

暦「って、おいまさか本気じゃあないだろうな」

影縫「余接ィ」

余接「『例外のほうが多い規則』ホールド版」

暦「お、斧乃木ちゃん!」

余接「何のつもりもないよ。僕はお姉ちゃんの相棒だし。悪いね、お兄ちゃん」

暦「ふざけんな! もう遊んでやらねーからな!」

余接「非常に残念だよ、お兄ちゃん」

火憐「そうか、死ぬのか、あたし……」

火憐「じゃあ、せめて、あたしを殺すやつの顔をよく見たい」

影縫「剣呑剣呑。なんか企んでるやないの?」

火憐「いや、もう足が立たねーし、この姿勢じゃ拳を振っても意味がねーよ」

影縫「ふむ、ほんだら陰陽師の情けや。眼開いて、よっく見とけや」

火憐「おう。あんた、けっこう女っぽい顔してるな。夢中になってて気づかなかったが」

影縫「これでもサークルじゃあ袖にした数は知れず、や」

火憐「よくわかんねーな、難しいことは」

影縫「ふむ、鼻血ブーやけど、なかなかの顔やな。うちの若い頃とタメ張るわ」

火憐「そいつは重畳」

影縫「そろそろ見納めやで」

火憐「ああ、最後にこんな強いやつとやれて良かったぜ」

影縫「そうか」

暦「おい、やめろ、嘘だよな、おい、影縫さん」

影縫「ほんたら、ここで長いお別れや」

火憐「兄ちゃん、いい人生だったぜ、マジでな」

暦「か、火憐ちゃん」

火憐「マジで……」

火憐「そして、これからもなあああ!」

影縫「!?」

火憐「ふんがしっ!」

影縫「こいつっ……ジャケットをロープみたいに!」

火憐「ひひひ! このままチョーキングだぜ」

火憐「なにせ立てねーからよー。こっちに引き寄せる方法をあれこれ考えていたんだぜえ」


火憐『息が詰まりそうだ……』

ひたぎ『必殺・ヶ原チョークよ』


火憐「名付けて、必殺・火憐チョークってなあ」

影縫「ぐっ」

暦「やった! さすが火憐ちゃん! 僕達に出来ないことを平然とやってのける!」

余接「そこに痺れる、憧れるぅ!」

影縫「…………」

余接「今のはジョークだよ、余接ジョーク」

火憐「元ネタはぶっちゃけるろ剣だけどよー、あれをコピれないかと密かに考えてたんだ」

影縫「…………」

火憐「さあおい、どうする。このまま気持ちよくいっちまうか」

影縫「……そろそろか」

火憐「あ、なんだって?」

暦「あっ!」

火憐「ジャケットが……!」

火憐(裂けた! 何かされた、いや、そんな余裕はなかったはず)

影縫「はぁ、はぁ……、さすがに、しんどいわ」

暦「なんでジャケットが……」

余接「どうやらお姉ちゃんの真の力が解放されたらしいね、巻き込まれたくなかったら逃げることをおすすめするよ」

影縫「余接ィ、ちょ、来い、来い」

余接「はい……、義ゃあああああああああああああ!」

影縫「理屈は簡単や」

影縫「あれだけどつかれて、既にぼろぼろやったさかい」

影縫「あれだけ力を入れて絞めれば、すぐに裂けるわ」

余接「というわけだよ。まあひとえにお姉ちゃんの人外めいた生命力があったからこそだけれど」

暦「わざわざ解説役にまわらなくていいよ、涙目じゃねえか」

影縫「初めは焦ったけどな」

影縫「うちはただ待ってればよかったのや」

火憐「へへ、そうかよ。万事休すだな」

影縫「おどれ、本気で絞めたやろ。殺すつもりやったな」

火憐「殺すっていわれちゃあな」

影縫「せやな。普通の反応や。普通のな。おい、お兄ちゃん」

暦「え」

影縫「なんや、ぼーっとしとるな。ほれ、火憐ちゃん助けろや」

暦「あ、ああ」

影縫「ばれんように、治してやるんやな」

暦「結局、気が変わったとかそういうオチですか」

影縫「いいや、むしろ強くなったな。ありゃ、お目付け役が必要やわ」

影縫「ええよ、別に、兄貴のためにキレて殺す妹とか。漫画でありそうで、素敵やん」

暦「あんまり嬉しくない……」

影縫「やろ。せやからうまく矯正すろことやな」

影縫「兄妹の絆、家族こそ至宝っちゅーのもたいした正義やけど」

影縫「重すぎる業はしんどいやろ」

影縫「せやから、あの子がうっかり誰か殺さんよう、よく見とけや」

影縫「妹を背負って立つのも、余計な重りはつけるな」

暦「……ありがとうございます。殺されないでくれて」

影縫「あんなんで死ぬかい、阿呆」

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暦「やっぱり、殺すつもりはなかったんですよね」

影縫「ガキなんぞ殺すか」

余接「タイガー喰らったときは本気だったろうけどね。痛っ!」

暦「信じてますよ……」

余接「まあお姉ちゃんは結局シスコンというか妹萌えだからね。殺すことはできながはっ!」

影縫「ほなな。次のバイトで」

暦「はい」

影縫「また会いましょう」


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火憐「いいのかよ。あれ、絶対人殺してるぜ」

暦「ねーよ。それより、お前の将来が心配だ」

火憐「なんで、バトル展開になったんだっけな」

暦「そういうところが心配だっていってんだよ……」

火憐「それにしても、あの女どこかで会ったような」

暦「気のせいだろ」

火憐「いや、あの嫌な感じは絶対に……あ、わかった! 修学旅行で寄った八ツ橋屋の店員!」

暦「気のせいだろ……たぶん」

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暦「そろそろママも帰ってくるだろ」

火憐「そうだな。しかし、足折っちゃったし、怒られるかな」

暦「足?」

火憐「ここの弁慶の泣き所が……、あれ!? 治ってる!?」

暦「一人で立てんだろ。ほら、帰ろうぜ」

火憐「鼻も……??」

暦「このへんは知られたら怒られるかな」

火憐「兄ちゃん、今まであったこと、夢じゃないよな」

暦「何が」

火憐「バトルとか……、ああいうのが親友なのか? もう少しかんがえたほうがいいぜ

暦「そうだな……」


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暦「ところで、その格好はなんだ?」

火憐「あ、そういやジャケット……」

暦「火憐ちゃんのセンスじゃないし、月火ちゃんのサイズでもないし」

火憐「じろじろ見るなって、なんかはずいから」

暦「似合うな」

火憐「…………」

暦「こう締まったラインがよく浮き出るよう計算された、なんというか露出はないのにそこはかとなくセクシーさを演出している見事なコーディネートだ」

火憐「えと、えと」

                  ./  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
                 /   ステマ速報は無事に /
                 /  終了いたしました    /
                / ありがとうございました ./

                /                /
               /                 /
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        /⌒ヽ  /                / /⌒ヽ
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暦「ああ、ちなみに今のは初見の感想な」

暦「既に服は半壊というか、もう半裸だけれど全然下品になっていない」

暦「むしろ、野生! ワイルドだよ! 天然生物だ!」

暦「頼む、火憐ちゃん、こう、あの夕日に向かってさながら孤独な戦いの帰路の如く振る舞ってくれ」

火憐「こ、こうか」

暦「うわ、かっこいい! たまんねえ!」

暦「やっぱうちの妹って最高ー!」

火憐「……!」


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月火「おかえりなさいませ、御兄様、御姉様!」

暦「どうなっているんだ……」

火憐「そんなことどうでもいいじゃねえか。他の人の話聞きたくなーい」

月火「はあ! お、御兄様と御姉様が腕を組んで!?」

暦「いや、荒ぶらなくていいぞ、月火ちゃん」

月火「御兄様、私です、月火です、あなたのもう一人の妹です」

月火「本物たる御姉様の足元にも及びませぬ妹です」

月火「しかし、いやしかし手と手を取り合ってのお帰りとはどういうこと」

月火「御兄様、お忘れですか、あなたと永劫に生きる契りをたてました月火です」

月火「どうか、半分、四半分でいいから、その腕を私に、私に」

月火「御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様御兄様」

暦「なんだこれは。ここは精神病院か」

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 \移民ワッショイ/ \移民ワッショイ/
.  +   /■\  /■\  /■\  +
     ( ´∀`∩(´∀`∩) ( ´ー`)
+  (( (つ   ノ(つ  丿 (つ  つ ))  +

      ヽ  ( ノ ( ヽノ   ) ) )
      (_)し'  し(_)  (_)_)


火憐(親が帰ってきた)

火憐(この格好について、まあ新手のスタンド使いだと説明した)

火憐(そしたら絶命しかけた)

火憐(ママに殴られるのは中学以来だ)

火憐(容赦がないだけに、ダメージも半端じゃない)

火憐(今年は散々な母の日だぜ)

火憐(おまけにカーネーションも忘れた。だから言ってやった)

火憐「いつもありがとうママ! 大好きだよ!」

火憐(2パックみたいにディア・ママってな)

火憐(母の日の話はこれでおしまいなんだぜ)

今日俺が得るべき教訓は酒を飲みながらものを考えるな、ということだな

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   /  _ノ  ヽ、_  \
  / o゚((●)) ((●))゚o \  ほんとはVIPでやりたいんだお…
  |     (__人__)    |  http://anago.2ch.net/heaven4vip/
  \     ` ⌒´     /


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   /  _ノ  ヽ、_  \
  /  o゚⌒   ⌒゚o  \  でもVIPはステマアフィの餌場だお…
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  \     ` ⌒´     /


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  /::::::⌒(__人__)⌒::::: \   だから天国でやるお!
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