ダル 「オカリンは正月何して過ごすん?」
岡部 「ん。 いや、特に予定は無いな」
ダル 「そっかそっか。じゃあ――」
僕にも、残念ながら予定はない。
てなわけで、オカリンを誘って、ラボで二人飲み会でもやってやろうじゃん。
そう思っていたわけだが。
岡部 「……あるとすれば、クリスティーナとモンハンをして過ごすくらいか」
どうやらオカリンは牧瀬氏と過ごすらしい。
ダル 「……え? 牧瀬氏って、モンハンやってんの?」
岡部 「ああ。最近始めたのだがな」
紅莉栖「……難しすぎて全然ダメね」
ちょっと意外だ。
牧瀬氏ってゲームやらなそうだし。
“はあ?ゲーム?馬鹿らしい”とか言って一蹴しそうなもんだけど。
……ってか、正月からゲームデートとか羨ましすぎだろ常考。
リア充爆発しろってレベルじゃねーぞ。
岡部 「お前は、ガンガン前に出過ぎるからいけないんじゃないのか?」
紅莉栖「うっさいわね。チマチマしたゲームは苦手なのよ」
岡部 「まあ、そういう事だ」
ダル 「おk。把握した」
この世紀のバカップルを邪魔する訳にはいかんし。
正月は、僕の嫁たちと大人しく過ごそう。
岡部 「そんな事より……」
岡部 「おい、クリスティーナ!もっとそっちに寄れ!狭いではないか!」
さっきからコタツからはみ出していたオカリンが、とうとう文句をいった。
無茶しやがって。
紅莉栖「あ、ちょっ!押さないでよ!」
牧瀬氏も負けじと押し返している。
岡部 「貴様が場所を取りすぎるからだ!」
しかし、やはりオカリン。
弱い者には強いのであって。
紅莉栖「いたっ!やめてって!」
牧瀬氏、涙目になっちゃってんじゃん。
オカリン、おにゃのこ相手でも容赦なさすぎだろ。
紅莉栖「そ、そんな事言うくらいなら……」
岡部 「え?」
紅莉栖「も、もっと……私に寄ればいいんじゃない?」
岡部 「なに!?」
うは。始まった。
岡部 「い、いいのか……?」
紅莉栖「い、いいけど」
岡部 「じゃあ……」
オカリンが牧瀬氏にひっつくや、黙ってうなだれた。
牧瀬氏も一緒になってうなだれている。
これはいい固有結界。
……完全に気まずい。
僕はここらで撤退すべきだろうか。
岡部 「そ、それよりな。クリスティーナ?」
紅莉栖「な、なによ」
岡部 「まゆりとルカ子も来られるらしいぞ。正月は」
紅莉栖「ホント?それは楽しみね」
え。
今なんて?
ダル「ちょっと待った、オカリン。まゆ氏とるか氏が正月に来るって?」
岡部 「ん? ああ。モンハン仲間で集まろうと呼びかけてあった」
ダル 「マジで?」
岡部 「マジだ」
紅莉栖「橋田、なにキョトンとしてんのよ?」
ダル 「……いやいや、おかしいだろそれは。僕は呼ばれてない件」
岡部 「え?」
紅莉栖「え?」
二人が、揃ってポカンとした顔を見せた。
ダル 「……え。じゃなくって。なんでまゆ氏とるか氏が呼ばれたのに――」
ダル 「僕は呼ばれなかったわけ?」
岡部 「いや、だってお前……。なあ?」
紅莉栖「うん。てっきり阿万音さんと過ごすのかと」
ダル 「そんなわけないだろ……」
そう。そんな訳がない。
確かに、阿万音氏と過ごせたら最高だけれども。
僕は僕だ。
オカリンみたいに主人公補正はない。
だから、いきなり知り合ったばっかのおにゃのこと、正月をともに過ごすとか。
大体、阿万音氏は家族と温泉に行くらしいし。
岡部 「そうか……すまなかったな」
紅莉栖「あ。そ、そうだ。橋田も来ればいいんじゃない?ね?」
牧瀬氏がわたわたとし出して、オカリンの肩を叩いている。
岡部 「あ、そうだな!フハッ、フハハハ!」
岡部 「よしダル!貴様も家に招待してやろうではないか!な?」
今度はオカリンが僕の肩をパンパンと叩いてきた。
くそう。
ダル 「い、いやあ? 僕に予定がないといつ錯覚した?」
岡部 「え?」
ダル 「ぼ、僕にだって、正月の予定はあるのだが?」
岡部 「あ、そうか。 お前、やっぱりコスプレ少女と……」
ダル 「いや、だからそれは違うってば」
ニヤけんなし。
オカリンの野郎……。
紅莉栖「へえ。じゃあどんな用事?」
ダル 「す、スーパーハッカーの腕を生かしたバイトとか……」
岡部 「ほう。さすがダルだな!」
紅莉栖「ちょっ。それ大丈夫なの?クラッキングとか、犯罪なんじゃ……」
岡部 「心配するな、クリスティーナよ。ダルはハードウェアよりソフトウェアと豪語する――」
岡部 「正真正銘のスーパーハカーなのだ。こいつに限ってヘマなどありえん。な、ダル?」
ダル 「あ、あたぼうよ」
そんなわけねーだろ。
でも、この状況からモンハンに誘われて、それにノコノコと乗っちゃうのは悔しいし。
ってか、モンハンって四人用だろ。 オカリン、牧瀬氏、まゆ氏、るか氏。
4人じゃん。出来上がってんじゃん、もう。
そうなると、僕はどこに入ればいいわけ? 一人でG級を狩りにいけと?
これが巷で噂のスネ夫プレイってやつか……。
ダル 「ま、そういう訳だから」
岡部 「……すまなかったな」
ダル 「え?」
岡部 「いや、お前を最初に誘わなかった事が、だ……」
ダル 「ちょ。もうやめてって。もう気にしてないし」
紅莉栖「本当にごめん」
ダル 「………」
オカリンどころか、牧瀬氏まで深刻な顔をしている。
僕はたまらず、適当な理由をつけてラボを飛び出した。
うー、さぶっ。死ぬっ。
おかしいだろ、なんでこんなに寒いんだよ。
飛び出して来たのが間違いだった。
メイクイーンに行こうと思ったけど、よく考えたらフェイリスたん、今日は休みじゃん。
こんな寒いなか、どうやって過ごせっつーんだよ。
ケータイを取り出す。
新着メールは……ない。
由季たん、今何やってんだろう……。
ダル 「へくしっ!」
くしゃみが、アキバの路地裏に響き渡った。
うぐぐ……。これはひどい。
……改めて実感した。
僕には、ラボ以外に行くところがない。
僕は寒さを紛らわせるため、ひたすらに歩いた。
これが、歩いてみるとなかなかに暖かい。
だんだん楽しくなってきた。
今日は足が軽いお!
走ってみようか?
いやいや、ないわ。走るとか。
フヒ、フヒヒ。
と、そんな時、急に声をかけられた。
るか 「あれ?橋田さん」
まゆり「あ、ダルくん。トゥットゥルー♪」
ダル 「うは、まゆ氏にるか氏じゃん。何やってんの?」
るか 「ボクは、これからまゆりちゃんの家で、モンハンを教えてもらおうと思いまして」
まゆり「るかくんはあんまり上手じゃないからねぇ」
るか 「ひ、ひどいよまゆりちゃん。ボクだって、練習、してるんだからぁ」
まゆり「えっへへー」
ダル 「あ、そう……」
女子が約二名でキャッキャし出してしまった。
ってか、出たよモンハン。
今その話題については触れたくないわけだが。
まゆり「ダルくんはこれからラボに行くのかな?」
ダル 「え?いや……。ちょっと用事があって」
まゆり「そっかぁ、残念」
ダル 「え?」
まゆり「ダルくんが居れば心強かったんだけどなぁ。るかくんと二人で頑張るしかないね」
るか 「……はい、残念です」
ダル 「う、うん。ごめんお」
ちくしょう!またかよ!
まゆ氏とるか氏が、手をヒラヒラと振りながら行ってしまった。
そんな光景に、ため息しかでない。
もうダメだ。
とうとう、心が折れそうなわけで。
結局僕は、オカリンたちが居ないと、ぼっちでしかない。
ネット上には仲間たちがいるけど、顔を合わせて本音を言い合うような事は出来ない。
改めて、ラボという存在の有り難さに気がついた。
ダル 「はあ……」
阿万音氏からも、メールの返信は無いし。
肩が落ちる。
さっきまで楽しかったウォーキングも、急に虚しくなった。
ダル 「オカリンの誘いに乗っておけばよかったぜ……」
そうやって、しんみりしていると、急にケータイが鳴った。
電話がかかってきたようだ。
ポケットから取り出すと、ディスプレイにはオカリンの番号。
ダル 「……も、もしもし?」
少し戸惑ったものの、僕は、通話ボタンを押した。
だが、男だ
岡部 『ダルか!急いでラボに戻ってこい!』
ダル 「え?」
岡部 『急遽、忘年会を開くことになったのだ』
ダル 「な、なんぞ?忘年会?」
岡部 『そうだ。まゆりやルカ子も呼んである。フェイリスも来るそうだ』
ダル 「ちょ、待てって。なんで急に忘年会とか言い出したん?」
岡部 『“差し入れ”が届いた。来ればわかる』
ダル 「差し入れ? 誰から?意味がわからんのだが……」
岡部 『ええい、話のわからんやつめ!いいから来いと言っている』
岡部 『貴様に拒否権はない!いいな?フゥーハハハ』
紅莉栖『ちょっ、説明不足もいいとこ――』
ダル 「あ……」
話すだけ話して切られたし。
なんつー横暴な。
でも、僕は思わずニヤけてしまった。
僕はケータイをしまうと、ラボに向けて踵を返した。
ゆっくりと歩き出す。
今すぐ来いと言われたところで、この僕が走って帰るわけがないじゃん?
ただ、そうは思うものの、気持ちだけは逸り。
さっきからニヤけるのが止まらない。
道行く人が、ギョッとして二度見、三度見してくる。
ダル 「フヒヒ、サーセン」
なんて、独り言を呟きながら。
ラボへの“帰り道”をひた歩く。
岡部 「遅いぞダル!貴様、何をやっていた!」
ダル 「いやいや、急に来いとか言われたんだから、しょうがねーだろ」
オカリンが、キッチンから土鍋を運びながら文句を言ってきた。
牧瀬氏は、ガスコンロをテーブルに設置している。
紅莉栖「あ、ガスが無いわ。岡部、買ってきて」
岡部 「なに!?」
紅莉栖「ガスが無い。岡部、買ってきて」
岡部 「き、聞こえていた! クリスティーナ、貴様ぁ……!助手の分際で、この俺を使い走りに――」
紅莉栖「………」
岡部 「あ、ちょっと行ってきます」
さすが牧瀬氏。ひと睨みでオカリンを服従させてるし。
オカリンは絶対尻に敷かれると思ってたけど、まさかここまでとは。
オカリンが慌ててラボを飛び出していった。
牧瀬氏が、それを見て笑ってる。
ところで―――。
ダル 「さっきから気になってたんだけどさ」
紅莉栖「え?」
小さな声で牧瀬氏に耳打ちする。
ラボには明らかに違和感があった。
最初見たとき、由季たんが来てるのかと思った。
でも、違う。
ダル 「あのおにゃのこは誰ぞ?」
見知らぬおさげ萌えな少女が、コタツに向かってちょこんと正座していた。
紅莉栖「ああ、彼女は――」
鈴羽 「あ、どもー」
鈴羽 「田村です」
紅莉栖「岡部の知り合いらしい」
ダル 「ほ、ほお~」
鈴羽 「えっと。 よ、よろしくね。橋田至」
ダル 「え?」
鈴羽 「えっ?」
鈴羽 「あ……」
いきなり僕をフルネームで呼んだ後で、自分がおかしな事を言った事に気付いたのか、
田村氏は目に見えて動揺しはじめた。
必死に両手をぶんぶんと振っている。
鈴羽 「いやー。あの、キミの名前はさ――」
鈴羽 「オカリンおじ……岡部倫太郎から聞いてたんだよねぇ」
ダル 「……ふーん」
紅莉栖「彼女が差し入れを持ってきてくれたの」
ダル 「マジで?」
なんとなく怪しい少女が、照れくさそうにはにかんでいた。
ダル 「うは、なんぞこれ!すごくね?」
差し入れの箱を覗いてみて驚いた。
カニとしらこが山盛りになってる。
ダル 「これ、田村氏が用意してくれたん?」
鈴羽 「え?違うよ。 それはとうさ……あ、知り合いがちょっとね。あはは……」
ダル 「……そうなん?」
鈴羽 「そ、そうそう」
それにしても、すげー知り合いだ。
こんな高価なものを惜しげもなく差し入れる。
そこに痺れる憧れる。
……オカリン、僕らの知らないとこで一体何やってんだよ。
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>>76
これなんのaaだっけ
>>79
まっちょしい誕生の瞬間
ふう。参った参った。
この俺がガスを買うために、こんな寒い中走らされる羽目になるとは。
クリスティーナめ、今に見ているがいい。
まあ、仕返しは今度にするとして――。
早速お目当ての商品を見つけた俺は、レジを済ませてそそくさと店を出た。
外には、しんしんと雪が降り始めていて。
乾いた、冷たい空気が肌を刺してくる。
ふと、遠くから手を振ってくる少女の姿が視界の端をかすめた。
まゆり「おーい!オカリーン」
岡部 「おお、まゆり!それにルカ子も」
るか 「凶真さん、ラボに居たんじゃないんですか?」
まゆり「あ、もしかして買い出しかなぁ?何買ったの?」
まゆりが微笑みながら、レジ袋をのぞき込んでくる。
岡部 「ガスだ」
るか 「そ、そんな。お使いならボクに言ってくれれば……」
岡部 「おっ、お使いなどではない!」
冗談じゃない。狂気のマッドサイエンティストがお使いなど。
. -‐… …‐- 、、
,厂/ ./ .′.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. } .:〉ミ、、
ー‐=≦{ ...′.i{ .:{...:/.:.:.:.:.:.:.:.:.: ノ.:.:::リバ:\
/ 人{ ..:::八:..v′.:.:.ー=≦ .....イ.::::::}::::.. ,
_/ ..:.:.:.:.:.:.\V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ:::::ノ::::::. ′
〈{ .:| .:.:.:.:.:.:.:.:/ .:/ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.i|:::::::}:::}::::::
{\ . .:.:|.i.:|i.:.:{.:..′/.:./i.:.:.:.:.:.}:リ:::::ノ:イ::::::: i
ハ. . ...:.:乂八.:{乂ィ笊^刈.i__...宅匕升リ.::::::!
}. ..:.:.笊刈\ 廴勿 リハ::::::::./.:::ハ/.:::::::::;
八 . : : } ソ イ.::::::i::.′/.::}i:::::::::i:゜
/ ィ个ァ‐{ ` __ノノ::::八乂{.:::八::::::八
| .:八∧ 、_、 i|::/{::::::::::: イ:/}:/
人{ .:/,小. ` 八{:..V:::::::ノリ /
_rf^「 ,ノリ 尨彡ハ __ . イ rfV..:/.イ
_rf^「 ,ノリ 尨彡'  ̄]斗rノリ ... イ  ̄〕
rf^「 ,ノリ 尨彡'′ 〔〈〉rf尨_彡'  ̄´}
rノリ 尨彡′ / __ ノ.:f仆- イ.:::....__{_
r仆尨'′ ___ / { /. . :.:.:::__rf尨_彡'.::::... -‐=弓、__
尨′} ´ '⌒ヽ人 .′. . .:f^「 リ- . イ.::::::::::::::.:.:.. .  ̄ ̄\
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厂:. \ >‐- --ョ[尨___彡'...:::.:.:.:.:.:.:.:... . .′..:.:.:.:.:.:.:.::..ヾ,
′ :. .. ≧=ー/-‐―ァ元ケ^´.::.:.:.:...//...::::.:.:.:.:.:.:........{..{..........:.:.:.:.:.:.::::::..′
ハ{::::::::/::::::::::::::::::辷,_:ヽ:::\:::::::::::::::::::::::::::}/:::::::::::::::人ノ丿
∧/⌒ヽ─-::::::::ユ /^ー-ニ:;_:::::::::::::::::::ノヘ:::::::::::彡::/
/ :∨ ハ ':::::::::爻 { /⌒^'ー--‐¬}弌-ァ<⌒ヽ
/ /ハ l }:::::彡 { { ,リ } {:{::l ヽ ',
. / / ∨ }::リ __ { / / 从:{ ハ} :}
', / ', }::l ⌒^弌、 ヽ / ハ::::}/ }
∨ ,rヘ //∧:l l朷トミ≧ュ_ _,x≦ /ノ乂 /
/ V /////ハ `¨ - 'j `-‐´ /f拆テァ ああ、俺だ
ノ「 / ////'  ̄ ̄) / ^¨ ′ '
/ |: / /./ / ̄'.'. ,′ / この世界線に到達するのが遅れた
_.. -‐'^ / |: l {/ ≠::::; -‐- 、 , : /│
. -‐''^ ││ ./ ∧:/ . - \ ヽ ノ / }| 機関の妨害が入っている!気をつけろ!!
l | ./ // /:::::::ヘ ┘rー- .._ . リ
∧〈 { ' /_,. -─ヘ. `二ニ´ / / 取り合えず、
/ ヽ', '´ ,.‐ァ寸 ; ; / | }/
\ / } / / `ー++チ' │ / このまま観測するとだけ伝えておこう………
\ { { //| | /
\ { }_ _彡 | l } ………エル・ブサイ・コングルゥ………!!
岡部 「このガスは……我がラボの理念達成に欠かせない鍵といっても過言ではない」
岡部 「そのような重要なもの、この俺自らが出向かずになんとする」
るか 「そ、そうだったんですか」
るか 「出過ぎた事を言ってしまって、すみません」
ルカ子がうなだれてしまった。
素直すぎる。
こいつは、ちょっと人を疑う事を覚えた方がいい。
でないとそのうち、連れ去られてしまったりするんじゃないだろうか。
っていうか、自分からホイホイついて行ってしまうのでは……。
まゆり「もう、るかくんも、いちいち落ち込まなくてもいいよぉ」
るか 「え?でも……」
まゆり「それも、オカリンの設定だもんね?えっへへ」
岡部 「ぐぬっ……」
なんだか最近、まゆりにまで頭が上がらなくなってきた。
まゆり「それにしてもねぇ、嬉しいなぁ♪えっへへ」
岡部 「え?」
まゆりが俺の後ろを歩きながら呟いた。
まゆり「ラボメンのみんなで忘年会が出来るなんてね、まゆしぃ、とっても幸せだなぁって思って」
るか 「うん。そうだね、まゆりちゃん。ボクも嬉しいよ」
まゆり「ねー」
二人揃って脳天気に笑っている。
岡部 「思わぬ差し入れがあったからな。今日の忘年会は、言わばそいつのおかげだ」
誰か朝まで保守頼む
モウ・ネムイ・カラネルゥ
>>92
エル・プサイ・コンガリィ
お腹空いた
ラボまで、あと二、三分あれば着くだろうか。
バイト戦士のやつ、うっかり口を滑らせていなければいいが。
まゆり「あ、そういえば、誰からの差し入れだったのかな?」
岡部 「え?」
岡部 「あ……いや、知り合いだ」
こっちもこっちで、発言には気をつけないと。
まゆり「知り合い?」
岡部 「ああ。結構親しいやつでな……。いろいろと世話になってるよ」
そう言うと、まゆりが目を見開いた。
まゆり「へぇー。オカリンにそんなお友達がいたなんて、知らなかったなぁ」
るか 「ま、まゆりちゃん。その言い方はマズいよぅ」
岡部 「………」
まゆり「あっ……ごめんね、オカリン」
謝るなよ。余計に惨めになるだろ。
鈴羽 「あ、おかえり。オカリンおじ……岡部倫太郎」
岡部 「……」
鈴羽 「あはは…」
ラボに戻った俺たちを、まず鈴羽が出迎えた。
早速口を滑らせかけて、頭を掻いている。
ダル 「……なあ、田村氏って、オカリンの姪とかなん?」
すかさず、研究室から出てきたダルが割って入ってきた。
鈴羽 「へっ?」
ダル 「さっきからオカリンの事、おじさんおじさんって言ってるじゃん」
なに!?
鈴羽 「あ、いやー?何だろうね?知らないなぁ……」
こういう時だけめざといダルに、鈴羽は苦笑いしながら、
俺に向けてゴメンのジェスチャーを飛ばしてきた。
こいつ……。
岡部 「……姪ではない」
ダル 「そうなんだ」
キッチンでは紅莉栖が、不機嫌そうに野菜を切って……切り刻んでいる。
包丁使いが危なっかしい。
どうしたというのだ。
岡部 「どうしたんだ?クリスティーナ?」
紅莉栖「……え?」
岡部 「うおっ!」
紅莉栖から、振り返りながら包丁を向けられてしまった。
加えてその表情の迫力に、思わず飛びずさってしまう。
紅莉栖「あ……ごめん。 あのさ、岡部……」
包丁を置いた紅莉栖が、力なく声を発した。
ただ事ではない。まさか鈴羽の正体がバレたとでも―――。
紅莉栖「私って、そんなに老けて見えるのかな?」
岡部 「……え?」
えっ?
紅莉栖「田村さんに、おばさんって言われた……」
紅莉栖「年も一個しか違わないのに……」
岡部 「………」
鈴羽 「………」
また、ごめんのジェスチャー。
いやいやこんなの、取り返しがつかないだろう。
ドジな未来人は、この際放っておく。
岡部 「多分聞き間違えだろう」
紅莉栖「え?」
岡部 「お、お前が老けて見えるはずがないではないか……」
岡部 「お前は……あの、その」
紅莉栖「ちょっ、えっ?」
ダル 「うは、ちょっと待ってて!今テレコ用意するから」
, ・ ´  ̄ ̄` ヽ
/: : : : : : : : : : : : : \
/,::'/i : : : : : : : : : : 、: :ヽ
i : {_{从: : : i }人 i| l: :|: :i| 年齢の話・・・・・・
|::小● \,リ'● 从: :|、i|
|::|l⊃ ⊂⊃: :|ノ:i|
.|::|ヘ r‐-、 j :: |i:! :i|
|:: /⌒l.,`ニ イァ: ::|::|:::i|
. .|:/ /.v只v´ {/ ヽ:::i|
.(:三:) j j 「 ̄ ヒミノ::::i|
岡部 「やめろバカダル!」
ダル 「ほれ、続けて続けて」
紅莉栖「橋田ぁ……」
紅莉栖がギリリと歯噛みしている。
気付くと、他の連中もこちらに視線を送っていた。
……危なかった。思わず、また黒歴史を刻むところだったではないか。
大きな声に加えて、腕を振り回して連中の視線を追い払う。
まったく、鈴羽が来てからというもの、調子が狂いっぱなしだ。
……世話の焼ける親子め。
実際、鈴羽がラボに飛び込んできた時点でかなり焦った。
時間跳躍を行うほどの理由を持ってきた。
また面倒事に巻き込まれる。
そう思った。
だが、真実は実にくだらない……いや、やっぱりくだらないものだったのだ。
鈴羽 「父さんがさ、あの時どうしてもモンハン?の会に参加したかったんだ、って言ってて」
鈴羽 「“そういうわけだから鈴たん。手ぶらじゃアレだから差し入れ持って行ってきて”ってな感じで」
岡部 「このバカ!」
鈴羽 「あはは……」
ってな感じで。
ダル 「ちぇっ、なんだよ言わないのかよ。金かえせ!」
岡部 「うるさい!」
ダル 「いってぇ!」
頭をはたかれた。
っていうか、今のは結構力が入っていた件について。
死ぬかと思ったず。
オカリンは、肩を怒らせながら、ガスコンロのセットに行ってしまった。
ダル 「なあ、牧瀬氏。今のはいかんのでない?結構キツかったぜ、今の」
紅莉栖「うるさい!」
ダル 「お、おおう……」
二人ともこええ。
まあ、面白いけどな。
罵られたとしても、なんでか笑える。
心地いいのだぜ。すごく。
忘年会の準備が着々と進み、いよいよ鍋にカニが投入された。
,:' く r_> ゙:,
l r;. 。 、 l」] , ;´ l
| 。.;_) ゚ =-‐‐‐‐- |
l( | , : ´; ,;゜ ___ _ `ヽ._| _ _ノ)__
__」 ヽ、 _ _し' x<,,,,__ __,,,,>x |: : :_:_:<
フ:´:_: :_: :_| G| | 'ー‐一'゙ | | ゙'ー‐一'゙ | |∂|_: :_:_:ノ あぁ…あぁ…ありがてぇ…!!
> : :_:_:ゝ,_.|.| u. | | u / |.|_,ノ_:_:ノrく_ うぅ…うぅ…涙が出るぅ…!!
フ:´:_: :_: :_:_ぐ|| .!j ヽ!_レ ./ リノ):_: :_: :_:_:ノ かぁっ…!犯罪的だぁー!!
> : :_:_:ノ八 ヽ ー‐--------一 / ゙: :_:_:ノrく_ う、旨すぎる!!労働の火照りと
_フ:´:_: :_: :_:_ぐ ヽ. ≡≡ ./ ):ノ):_: :_: :_:_:ノ 部屋の熱気で息苦しい体に
`ーぇ: :_:_ノV(:_:> ヽ. u / 〉: : : : : : く 1か月ぶりのダイエットコーラ!!
厶: : : : : :\ \ / 厶ィ:ノ)ノV⌒ 染み込んできやがるっ…体にぃ!!
ノV(ヽ(\:_> \ / /´ \_
_/ ` . ____ _ . ´ /⌒>: ._
_/⌒>‐- ... ___________ __ _ _ _ ... ´ / ⌒>: ._
. :<⌒>‐- .... _______________ __ _ _ _ .... ´ ゚;。, ⌒>: ._
. :<⌒r;, .;_) ,; , :'⌒\
ダル 「ひょおーっ!カニが一段と赤くなって行くお!」
ダル 「オカリンと居るときの牧瀬氏みたいで萌えるわー」
紅莉栖「はあ?なにそれ!死ね!このHENTAI!」
まゆり「あ、クリスちゃん、カニみたいだよー」
紅莉栖「ひゃっ、やめてよ、まゆりまで!」
まゆ氏の脳天気発言も萌えるし。
るか 「ふふっ……あ、す、すみません!」
るか氏のわたわたっぷりも超萌える。
岡部 「まったく、お前たち。カニくらいではしゃぎすぎではないのか?」
ダル 「いやいや、オカリンが一番嬉しそうな顔してるんだが?」
岡部 「なっ!そんなわけが無いだろう!この俺が――」
オカリンには、まあ、萌えはしないけど面白いし。
岡部 「こほん。それではこれより、ラボメンの忘年会を執り行う!」
オカリンが立ち上がって、大きな声をあげた。
ダル 「いよっ、待ってました!」
まゆり「すごいねぇ、るかくん。カニ食べ放題だよぉ♪」
るか 「こんなにたくさんのカニ、ボク、初めてです」
まゆ氏とるか氏が、身を乗り出して鍋をのぞき込んでいる。
オカリンがそこに割って入って、メインのカニを箸でよけた。
岡部 「カニだけでなく白子も入っているのだ!フゥーハハハ!」
えらいはしゃぎようだ。
紅莉栖「こら岡部!危ないからはしゃぐな!」
牧瀬氏に叱られてるし。
そういやオカリン、しらこが大好物だとか言ってたっけ。
確か、見た目的に、実にマッドサイエンティストらしい食べ物だとかなんとか。
ちなみに、フェイリスたんと桐生氏は仕事の関係で一時間ほど遅れるらしい。
残念すぐるお。
岡部 「それではお前たち……」
紅莉栖「もう食べれるんじゃない?」
岡部 「あ、おう」
紅莉栖「みんな、もういいわよ」
岡部 「……」
牧瀬氏が声をかけると、みんながワイワイと鍋をつつき出した。
すごく楽しそうに、みんな笑っている。
そして僕も、この愉快な仲間の一員としてここに居られる。
うは、僕ってなんというリア充。
幸せものだお。
岡部 「あー、ダル?」
鍋から上がる湯気の向こうから、オカリンがしらこを食いながら話しかけてきた。
ダル 「なんぞ?」
岡部 「正月の事なんだが……」
ダル 「え?」
岡部 「やっぱりお前、家に来い」
ダル 「は? え? で、でも僕には用事が……」
岡部 「き、貴様の用事など知った事か!」
ダル 「うは。どこのガキ大将だよ」
岡部 「うるさい。いいからモンハンを持って来いと言っている」
ダル 「………」
僕は、ニヤけそうになるのを必死でこらえた。
ダル 「ま、オカリンがそこまで言うならしょうがないお」
よかった。本当はスゲー行きたかったんだ。
岡部 「ぐぬぬ……」
ダル 「……サンキュ、オカリン」
岡部 「え?」
ダル 「あいや? なんぞ?また幻聴でも聞こえたん?」
岡部 「貴様……とことん俺をコケにしたいようだな!」
紅莉栖「うるさい岡部。ハサミぶっ刺すぞ」
岡部 「あ、すみません……」
牧瀬氏に脅されたオカリン、が黙ってカニを食い始めた。
情けなぁ。
先が思いやられるお。
……でも、本当にありがとな、オカリン。
憎まれ口ばかりだけど、これでも心から感謝してるのだぜ?
まあ、言わないけどな。
おわり。
皆さん、本当にすみませんでした<(_ _)>
乙
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