キムタク「ちょっと、待てよ」 (134)
地の分あり
独自設定
シュタゲのパロディーです
また、筆者はジャニーズに詳しくありません。というか無知です。
今朝のツイッターのキムタクタイムリープ説を見て思い立ちました
亀更新になりますがよろしくお願いします。
とりあえず書き溜めぶんだけ投下していこうと思います
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1453194249
SMAPでいたいから、ジャニーズを抜けたが本当にそれでよかったのだろうか。俺は苦悩していた。事の発端は飯島さん達とジュリーさんの対立だ。だが、俺は飯島さんの事を心から信頼しているし、他のメンバーも飯島さんについてくらしい。だから、SMAPの皆と飯島さんについていくことにした。だが、本当にこれでよかったのだろうか?
中居「木村くん、どうしたの? 暗い顔して」
キムタク「ああ、中居か。いや、本当にこれでよかったのかなって思ってさ」
俺と中居は、真実を報道するという精神の元動くマスコミから逃げるために、飯島さんの指示で、一時的に都内の某ホテルに避難していた。因みに他のメンバーは、ここから少し離れたホテルに俺と同じように、ペアで泊まっている。
中居「いいんじゃない?」
キムタク「適当だな。おい」
相変わらずの適当な態度に、少し腹が立ったがそれが彼の良いところでもある。だから、少しだけ気が楽になった。
キムタク「ありがとう。中居」
中居「ちょっと、どうしたのよ。きむちゃ~ん」
こういう状況なのに思わず笑みがこぼれた。俺は彼のこういう皆のムードメーカー的存在になれることに少しだけ好意を抱いていたし、憧れてもいた。
キムタク「……」
中居「……」
お互いを沈黙が包み込む。そんな沈黙がしばらく続いた後、中居はその沈黙を破るように口を開いた。
中居「ねえ、木村くん。もしも過去をやり直せるとしたらどうする?」
キムタク「は?」
質問の意図が理解できず。俺は思わず聞き返してしまった。どうしてそんなことを今聞くのかと思ったが、彼のいつもとは違う雰囲気に、聞くに聞けなかった。
キムタク「そうだなあ。もっと、練習して最高のライブをしたいな」
俺がそう言うと中居は、満足げに笑みを浮かべて木村君らしいねと言って、窓の外の景色を眺めていた。
キムタク「なあ」
中居「ん?」
キムタク「中居はどうするんだ? 過去に戻れたら」
過去に戻れたら、どうするか? と聞くという事は中居君には変えたい過去があるという事だ。つまり、今回の件で何か後悔があるという事だ。
中居「そうだねえ。飯島さんとジェリーさんが対立しないようにしたいな。ジャニーズ皆で仲良くしたい」
彼らしい回答だ。だけど、それが嘘であることがすぐに分かった。中居は嘘をつく時に必ずと言っていいほどに出る癖がある。だけど、俺はあえて聞かなかった。彼がはなしたくないのなら無理に聞くことは無粋だと思ったからだ。
キムタク「そっか……」
中居「ねえ、木村君。もう一つ聞いてもいい?」
キムタク「ああ」
中居は俺に向きなおって、少しだけ憂いを帯びた表情でこっちをみていた。
中居「俺達はずっとSMAPだよな? これからも」
キムタク「当たり前だろ! 何があっても俺達はずっと仲間だ。絶対にな」
そう言うと中居は安心したのか、いつもの明るい表情を浮かべた。きっと、こんなことになって彼も不安になっていたのだろう。
中居「ちょっと俺、喉渇いたから。ジュース買ってくるよ。木村君、なんか飲みたいものある?」
キムタク「グリーンスムージーで」
中居「木村く~ん、自販機にグリーンスムージーなんてあるわけないでしょ~↑」
キムタク「ごめん、ごめんwwww じゃあ、コーヒーで微糖のやつ」
中居「おっけー。じゃあ、いってくるよ」
キムタク「いってらっしゃい」
中居は、踵を返して部屋の外へと出て行った。俺は、その間の暇を潰そうと思ってテレビを点けた。
キャスター「つづいてのニュースです。タレントのベッキーさんが昨夜未明、自宅の玄関にてナイフで殺害されているのが発見されました。犯人は音楽グループゲスの極みメンバー川谷絵音(本名川谷健太)の妻、川谷明子容疑者です。動機は、川谷絵音とベッキーさんの不倫だそうです」
キムタク「まじかよ……」
テレビでは、川谷の妻が警察に搬送されていく様子が映し出されていた。その後、川谷とベッキーのどこから手に入れたのか分からないがLINEでのトークの画面が画面に写されていた。キャスターによると、不倫は昨年の10月くらいから行われていたらしい。
スマフォ「ティロン♪」
LINEの通知だ。開いてみると五郎からだった。メッセージはニュース見た? と来ていたのでベッキーさんのことか? と返信すると、そうだよ。と返信が来たので、それがどうかしたのか? と聞くと既読だけついて返信は来なかった。
書き溜めもうないんで、溜まったらまた明日浮上します
キムタク「ったく五郎の奴、何が言いたかったんだよ」
あれから、数分経ったが相変わらず、既読のままで返信は来なかった。もしかして、ベッキーが死んだということを伝えたかっただけなのだろうか? 彼の事だ。そうかもしれない。
キャスター「つづいて、本日の東京の天気を――」
そういえば、中居がジュースに買いに行ってから、十数分経過していた。さすがに時間がかかり過ぎなのではないだろうか? もしかすると、ここはもうマスコミに嗅ぎつけられていて、中居は今マスコミの質問攻めにあっているのかもしれない。そう思った俺は、椅子に掛けてあったジャケットを羽織り部屋の外に出た。
キムタク「何だ?」
部屋に出た瞬間、ここ周辺の異様な静けさに俺は少し変な感覚を感じていた。いくらこの階を貸切状態にしているとはいえ、ここはあの某ホテルだ。それにしては、何の音もない。聞こえるのは俺の足音と、電灯の虫の羽音のような音だけだ。その音だけがここを支配していた。
キムタク「確か自販機はここだったよな」
自販機の所に辿りつくが、そこに中居の姿はなかった。だが、一つ手がかりがあった。自販機の飲料全に売り切れを知らせるランプが点灯していた。つまり、中居は別の階の自販機に飲み物を買いに行ったという事だ。これで、納得がいった。今の状況下では買いに行くのは難しいだろうから。だったら連絡の一つや二つよこして欲しいものだ。俺は、文句を言うために、スマートフォンを取り出して、中居に早く買ってくるようにとメッセージを送信した。
言い忘れてました。今から本日分の書き溜めを投稿します
スマフォ「ピコピコン♪」
非常階段の方から、スマフォの通知音が聞こえてきた。俺は中居を出迎えるために非常階段のほうへと向かった。
キムタク「中居! わざわ――」
非常階段の扉を開けた先には、血を流してうつぶせで倒れている中居がそこにいた。流れ出ている血の多さから、中居はもうすでに死んでいると分かった分かってしまった。
キムタク「おい、ちょっと待てよ……。嘘だよなぁ!? 性質の悪いドッキリか何かなんだろう? 早くネタ晴らししてくれよ……」
俺は辺りを見回して、カメラがないかを探した。非常灯の中や近くのカメラが隠せそうな場所。ありとあらゆる場所を隅々まで探したが、カメラの類はどこにもなかった。
キムタク「くそっ……。一体誰が……」
中居の身体に触れる。まだ少しだけ熱が残っていた。でもその熱も雪が解けて行くようにスッと消えた。
キムタク「夢だよな……。これは悪い夢なんだよな?」
頬を思いきりつねる。痛い。思い切り叩いてみる。痛い。現実だ。これは紛れもない現実だ。妄想でも夢でも見間違いでもない。最悪の現実。
キムタク「何だよ。何なんだよ、これぇ! お前言ったじゃないか。俺達はずっとSMAPだって! 何死んでんだよ。ふざけんなよ!」
湧き上がる怒りとともに、涙が零れ落ちる。そうだ、早く警察に電話しないと……。
スマフォ「セーカイーニヒートツダーケノハーナー♪」
メールだ。俺はこんな時に誰だろうと思い、スマフォを開くと差出人不明の宛先からメールが届いてた。内容は、中居を殺した犯人を知りたければ、このホテルの屋上に来い。その一言だけだった。罠かもしれない。そう思ったが俺にはもう余裕がなかった。俺は一矢報いてやろうと思って、中居の死体に刺さっているナイフを一本抜くと屋上へと向かった。
キムタク「あああああああああああっ」
俺は屋上の鉄扉を、勢いよく開けるとナイフを両手で持って、貯水タンクの前に立っている犯人の元へ一気に接近した。
??「たあっ」
しかし、俺の渾身の力を込めた死の一撃はあっさりと躱され、瞬く間に俺はコンクリートの床に叩きつけられ、ナイフもあっさり取り上げられてしまった。
??「も~、レディーに対していきなり乱暴はヒドイな~」
押さえつけられているせいで、相手の顔は見えないが相手が女だという事は分かった。しかも相当若い。恐らくは十代後半くらいと言ったところだろうか?
??「勘違いしているみたいだから、先に言っておく、私が殺したわけじゃない。犯人は別の人間だよ」
キムタク「じゃあ、他に誰がやったって言うんだ!?」
??「そんなの、私が知るわけないじゃん!」
キムタク「………」
??「私は中居正広を助けるために来たんだ」
キムタク「何を言ってるんだ! 中居はもう死んだんだぞ!」
??「そうだね。だから助けに行くんだよ」
??「もう! 大人しくしてよ!」
女によって、俺は縄のようなもので拘束された。
??「ちょっと借りるよ」
女はポケットに入れておいたスマフォを奪い取って、女は俺のスマフォでどこかに電話をかけた。
??「もしもし、父さん? こっちは準備できてるよ」
電話口から、この年代の父親にしては若すぎる声が聞こえた。俺のスマフォをどういう用途に使うつもりなのだろうか? 女は電話を切った後しばらく沈黙していた。
??「木村拓哉。私の話を聞いてほしい」
女は拘束を解除して、俺のスマフォを手渡してきた。
キムタク「話だと?」
??「まずはスマフォを見て」
女の言われたとおり、スマフォのホーム画面を表示すると、アプリが一つ追加されていた。その名前は「ND VER1.00」タップして起動すると、何かの数値とボタンがそこに表示された。
キムタク「何だこれは……」
??「このアプリを使えば、過去に戻ることができるんだ」
何を馬鹿なことを言ってるんだ。こいつは? と思った。だけど、これを使えば中居を助けられるかもしれないそう思うと、俺の指は勝手に動いていた。嘘でも試してみる価値があるからだ。
??「ちょっと、待って! 話はまだ――」
アプリに指示されたとおりに、電話をかけるみたいにスマフォを頭に近づけると、世界が揺らぎ始めた。
キムタク「ぐっ! 頭が……」
頭が割れるように痛む。こんなに痛いものだとは知らなかった。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。その言葉だけが頭を埋め尽くしていく。もしかして、もう駄目なのかもしれない。そう思うと同時に、激しく揺れていた世界は、徐々にその実像を取り戻していく。
2016/1/20 AM 9:30 α
キムタク「っはぁ……! はぁ……」
中居「木村君? 具合悪いの?」
キムタク「っ!……」
勢いよく後ろを振り返ると、そこには中居がそこにいた。中居が生きている。ちゃんとここにいる! ようやく、ここで俺は自分がちゃんと過去に戻ることができたことを確信した。スマフォを開くとさっきの現象が本当であったことを示すように、アプリはきちんとそこに存在していた。
キムタク「ちょっと二日酔いかもしれない」
中居「そっか、二日酔いに効く薬あるんだけどいる?」
キムタク「ああ、頼む」
中居は鞄から、頭痛薬を取り出して、箱ごと俺に手渡した。本当は二日酔いではないのだが、ここは素直に受け取ったほうがいい気がした。
キムタク「ありがと、中居」
中居「いいよ! だって俺達仲間じゃん?」
キムタク「そうだな」
互いに笑い合う。だが、こうしている場合ではない。こうしている間にも中居に魔の手が差し迫っているのだから。
中居「あ、そうだ。俺水買ってくるよ。薬飲むのに必要でしょ? ついでに、俺も喉渇いたしさ」
そうだ! 中居は自販機に飲み物を買いに行ったところを殺害されたんだった。
キムタク「いや、いい。自分で買うよ。だから一緒に行こうぜ」
中居「ああ、いいけど? どうしたの木村君? なんか木村君らしくない気がするけど、何かあった?」
中居は下を向いて俯いた。中居は俺達SMAPが他の事務所に移籍したことで気に病んでいると思っているらしい。俺としては、SMAPとして活動できるならどこでもよかった。俺達で歌えるなら、事務所何てどうでもいい。事務所よりも俺はSMAPの仲間のほうが大事だ。
キムタク「まあ、こんなことになれば誰でもな」
中居「それもそうだね……。悩みがあったら何でも相談してくれよ!」
中居は笑顔を俺に向けた。相談できるものならとっくにそうしている。今から中居が殺されるなんてとてもじゃないが言えない。
キムタク「ありがとな」
中居「どういたしまして」
そうやって話しているうちに俺達は自販機に辿りついた。だが、俺が前に見た自販機と全く違っていた。
キムタク「どういう事だ……」
前見たときは、全ての商品が売り切れになっていたのに今回は、どの商品も売り切れになっていなかった。
中居「どうしたの?」
キムタク「いや、何でもない」
分からない。時間を考えると、中居が前ここに買いに来た時と今ではせいぜい5分くらいしか違わない筈だ。たった五分で自販機の全ての商品を買っていくのはどう考えても不可能だ。部屋に戻ってしばらく考え込んでいた俺は一つの仮説に辿りついた。
「自販機は最初から売り切れになっておらず、中居自らの意志で非常階段のほうへ向かった」
そもそも、自販機の商品を全て売り切れにするということ自体考えてみればおかしい。非常階段に誘導したいのなら、俺が頼んだコーヒーの微糖か、中居の飲みたそうな飲み物だけを無くせばいいのにそれをしなかった。つまり、中居が買いに行った時点では飲み物はまだあったと考えるのが妥当だ。さすがに十数分もあれば飲み物を買い占めることができたのも納得がいく。だけど、何故そうする必要があったのかは分からない。犯人はどうして飲み物がないから中居が別の階に飲み物を買いに行ったと思わせたかったのだろうか? 警察が調査すれば販売時間履歴と死亡推定時刻と差異が生まれて、すぐにばれることくらい分かる筈だ。
スマフォ「ティロン♪」
スマフォの通知音が俺の思考を一度止めた。そういえば前もこのくらいの時間に五郎からベッキーが死んだことを知っているかという内容のラインがきたんだったけ。
キムタク「嘘だろ……」
俺が前に見た内容と変わっている。メッセージの送信者は慎吾からで、内容は剛が死んだというものだった。俺は慎吾に電話をかけると、何回かコールが鳴った後に、慎吾が電話に出た。
キムタク「おい、慎吾! さっきのは本当か!?」
香取「うん……」
キムタク「剛はどういう風に死んだんだ? 状況を教えてくれ!」
そう慎吾に訊ねると、慎吾は剛が飲み物を買いに行くと言って戻って来なかったから探しに行くと、非常階段で背中を沢山のナイフで刺されて死んでいたのを見つけたと、慎吾は言った。中居の時と全く同じだ。
キムタク「なあ、自販機の飲み物が全部売り切れになったりしていないか?」
香取「え? どうして知ってるの?」
俺はそこまで聞いて、電話を強引に切った。どうなっている? 俺達のホテルと慎吾、剛、五郎がいるホテルは車でも30分かかる距離にある筈だ。犯人はこのホテルにいるんじゃなかったのか……!?
キムタク「くそっ! 何でだ……!」
中居「木村君! 慎吾からのメッセージ見た!?」
木村「ああ」
スマフォ「アレカラーボクタチハー」
慎吾からだ。俺は電話に出るか出ないかで迷っているところで、あることを思い出した。タイムリープだ。タイムリープすれば、何とかなるかもしれない。俺は、慎吾の着信を拒否して例のアプリを起動した。世界が揺らぎ再び激しい頭痛が俺を襲う。
2016/1/20 AM 9:30 α
キムタク「はぁ……、はぁ……」
戻ってこれたみたいだ。だが時間がない。ここで俺はあることに気づいてしまった。今からタクシーを使って、慎吾たちのいるホテルに向かっても死亡推定時刻に間に合わないということに……。そうだ、もう一度アプリを使えば……!
キムタク「あれ……?」
アプリの起動ボタンをタップするが何の反応もない。どうなってる……!?
キムタク「クソっ!」
スマフォを布団に叩きつけた。これではどうしようもないじゃないか!
中居「木村君? どうしたの?」
キムタク「ああ、皆で集まって話したいことがあってさ。でも、こういう状況だからな」
中居「話くらいならできるべ」
中居はそう言うと、スマフォを操作してスカイプと言うアプリを起動した。なんでもこれを使えば20人同時まで通話ができるらしい。とにかくこれがあれば、全員と顔を合わせて話すことができる。この時ばかりは、この時代の進歩というものに感謝せざるを得ないし、これで、全員の目がある犯人も迂闊に手出しできない筈だ。殺そうとすれば、俺達に顔を見られるかもしれないからだ。俺は、スカイプを使って全員で一度話し合おうと全員にLINEでメッセージを送った。
スマフォ「テッテテテッテテー♪」
スカイプの着信音だ。俺は通話ボタンをタップして通話に参加した。
中居「木村君。話ってやっぱり移籍の事?」
木村「そうだ」
とりあえず、今は適当に話を合わせることにしよう。
木村「皆に言っておきたいことがあるんだ」
軽く深呼吸して息を整える。
木村「俺達はずっとSMAPだ。これからもずっと。何があっても絶対に離れたりしたくない。移籍については俺は、正直どうでもいいと思ってる。俺はSMAPでいることこれが一番なんだ」
中居「言いたいことってそれだけ?」
木村「そうだ」
草薙「木村君。急にどうしたのよ~」
木村「ちょっとどうしても皆に伝えたかったんだ」
他のメンバーは、大笑いしていた。そんなにおかしいことなんだろうか?
木村「そんなに笑う事ねーだろ!」
中居「だって、そんなもん当たり前だろ! なあ、皆?」
香取「そうだよー。だって俺達は」
草薙 香取 中居 稲垣 「5人でSMAPだから!」
木村「ふふwwww」
その後も俺達はしばらく、世間話と言うかお互いの近況を報告しあった。
稲垣「おい、皆テレビ見てくれ!」
この時間になったという事はベッキーが死んだというニュースが報道されたという事だ。
中居「嘘でしょ! ベッキーさんが殺されるなんて……。まだ若いのに……」
稲垣「驚――よな。実は俺――んだ。――が」
ここで急に五郎の音声が乱れて、スカイプが切れてしまった。
草薙「ここ結構電波悪いんだよね」
電波化悪いだけだと、そう必死に自分に言い聞かせている時だった。火薬の破裂する音が何回も何回もスピーカーから響いた。もしかしたら銃声かもしれない。他の三人もそう思っているみたいで俺達の中に、変な緊張感と沈黙が生まれた。
香取「五郎の部屋の方からだ……」
やめてくれ。
香取「つよぽん。ちょっと五郎ちゃんの部屋一緒に見に行こう?」
草薙「うん」
二人はスマフォを一旦部屋に置いて五郎の部屋のほうへ向かって行った。ここで、五郎のスカイプが繋がった。だが、そこに五郎の姿はなかった。
香取「五郎ちゃん? 何かあったの?」
慎吾と剛が五郎の部屋の中に入って来た様子がカメラに映し出されていた。
草薙「あれ、スカイプがついてる」
慎吾と剛が五郎のスマフォに顔を近づけてこちらに慎吾が笑顔で手を振った。
香取「五郎ちゃ~ん?」
草薙「もしかして、トイレじゃない?」
トイレの流れる音がスピーカー越しに響く。慎吾と剛がトイレのほうに近づいていく。
香取「もう五郎ちゃん! トイレに行くなら何かいってからにしてよ~。それとさっきの音は何なっ」
慎吾が喋るのを遮るように、火薬の破裂音が鳴った後、慎吾が倒れる様子が画面奥に写しだされた。
草薙「ひっ!」
剛はそんな光景を目の当たりにして後ろに後ずさりした。顔が恐怖で引きつっているのが分かった。画面奥から腕がにゅっと伸びて銃口が剛の方を向いた。
キムタク「やめろ……」
草薙「助けて……」
キムタク「剛! 相手は誰なんだ!」
剛に向かって呼びかけるが剛は全く聞こえていないらしい。
草薙「嫌だ! 死にたくない! 俺はまだ死にたっ! 」
無慈悲にも銃弾は射出され、剛の額に命中した。その後、ドアを閉めて犯人はどこかに出て行った。
キムタク「嘘だろ……」
本日分の書き溜めは終りです
また明日投稿します
それでは書き溜めが溜まったので投下していきます
俺が目撃したのは、慎吾と剛だけだが、恐らく五郎も殺されたとみて間違いないだろう。今度は三人死んだ。俺がどんな対策をとっても、必ず誰か死んでしまう? いや、そんなことは考えるな……。でも、こういう事が三度続けば、そう思わざるを得ない。どうすればいい? 一体どうすれば、誰も死なないようにできる……?
スマフォ「セーカーイニヒトートツダーケノハーナ」
メールだ。内容はあの時とほとんど同じだ。仲間を救いたければ屋上に来いと言っていた。もしかしたら、彼女なら何かヒントを握っているかもしれない。そう思った俺は屋上へと向かった。
キムタク「待たせたな」
??「来たね。木村拓哉」
キムタク「早く教えてくれ。仲間を助ける方法を」
??「話が早くて助かるよ。こっちに携帯を渡してくれないかな」
キムタク「その必要はない」
俺は、スマフォのホーム画面を女に見せつけた。女は訝しげな顔を浮かべてスマフォの画面を覗き込んで、一瞬驚いて全てを悟ったのか、元の顔に戻った。
??「なるほど。君はすでにこのアプリでタイムリープをしていたんだね」
キムタク「そうだ」
??「分かったよ。ちょっと待ってね。父さんとおじさんに電話するから」
女は携帯電話を取り出して、電話をかけた。
??「うん。木村拓哉はすでにタイムリープをしているみたいだ」
??「オーキードーキー! 木村拓哉を連れてそっちに行くよ」
女は電話を切って俺の方に向き直った。
??「そう言えば、自己紹介がまだだったね。私の名前は橋田鈴羽。よろしく」
キムタク「よろしく」
鈴羽と名乗る握手を交わす。女にしては妙にガッチリしているが、女らしい柔らかい手だった。
鈴羽「さて、木村拓哉。今から私と一緒に来て欲しいところがあるんだ」
キムタク「行くってどこに?」
鈴羽「秋葉原。そこに私たちのラボがある」
キムタク「秋葉原!? ここは新宿だぞ? それにマスコミに見つかったらどうするんだ?」
鈴羽「大丈夫だよ! これがあるから!」
鈴羽は後ろにある何かのキャラをモチーフにしたであろう貯水タンクを指差した。
キムタク「それがか? どう見ても貯水タンクにしか見えないぞ」
鈴羽「まあ、見ててよ」
鈴羽は貯水タンクに近づいて、スマフォで何か操作した。
スマフォ「合言葉は?」
鈴羽「萌え萌えキュン」
それが言い終わると、貯水タンクと思われたその物体のハッチのようなものが開かれ、中にはたくさんの計器が並んでいた。
キムタク「すげえ……」
鈴羽「まあね。これ父さんが作ったんだ。まあ、あのふざけた合言葉もだけど……」
鈴羽は恥かしそうに頬を赤らめた。
鈴羽「乗って!」
キムタク「おう」
鈴羽に手を引かれて、マシンの中に入る。昔からこういうのに憧れていたこともあって、少しテンションが上がっていた。
キムタク「なあ、このマシンはいったいなんなんだ?」
鈴羽「これはタイムマシンだよ。その名もFG097 VR3.14」
キムタク「タイムマシン!?」
俺はあんまり驚かなかった。タイムリープと言う現象をすでにこの身で体験しているからだ。タイムマシンができていたって不思議じゃない。
鈴羽「と言ってもまだまだ試作品なんだけどね。このマシンは未来にも過去にも飛べないんだ」
キムタク「?」
鈴羽「このタイムマシンは、言うなれば現在に飛ぶタイムマシンなんだ。分かり易く言うとワープマシンってところだね」
キムタク「……」
鈴羽「ごめん! 私もあんまり詳しくないからよく分かんないんだ……」
小首を傾げて、鈴羽は後ろ頭をかいた。
鈴羽「詳しくは、父さんか牧瀬紅莉栖に聞いて」
キムタク「おう……」
話が難しすぎて、全然理解できなかった。
鈴羽「それじゃ行くよ! かなりGがきついけど頑張ってね」
鈴羽はコンソールに数値を入力して、ボタンを押した。タイムリープをした時のように世界が揺らいでいる。世界が揺らぎ、自身も揺らいでいるかのような感覚に陥る。
キムタク「ぐっ……」
全身をくまなく押される。痛みはないが気分が悪くなりそうだ。
鈴羽「ついたよ」
ハッチが開かれ、外の新鮮な空気と太陽の光が差し込んでくる。
キムタク「気持ち悪い……」
まだ世界が揺れているような感じがする。
鈴羽「さ、降りて! 行くよ!」
鈴羽に無理矢理手を引かれて、俺はマシンから外に出た。秋葉原特有の街並みが俺の目の前に広がった。
キムタク「ホントに秋葉原に来ているとはな……」
鈴羽に連れられて、俺は秋葉原のあまり栄えていない所に連れ出された。
キムタク「ここは?」
鈴羽「ここの二階に私たちのラボがあるんだ」
キムタク「へ~」
一回は今のご時世にはかなり珍しいブラウン管テレビを取り扱っている「ブラウン管工房」と言う名前の店らしい。
??「あ~、キムタクさんだ~!」
店番をしていたのか、店の中から高校生くらいの少女が姿を現した。
??「私、天王寺綯って言います! よろしかったらサインお願いします!」
キムタク「いいよ」
俺は、サインペンを取り出して綯という少女にサインを書いてあげた。
綯「やったー! 一生大切にしますね!」
鈴羽「綯姉さん。そういえば今日学校はどうしたの?」
綯「今日は創立記念日だったんだ~。創立記念日でよかったよ~」
姉さん……? どう見ても鈴羽のほうが年上に見えるのだが、もしかすると実は鈴羽のほうが年下なのかもしれない。
キムタク「お前いくつなんだ? あっちの方が年下のように見えたけど……」
ラボと呼ばれる場所に続く階段を上りながら、俺は鈴羽に訊ねた。
鈴羽「そのことについては中で説明するよ」
キムタク「あぁ……」
鈴羽「さてと、木村拓哉はちょっとここで待ってて」
キムタク「分かった」
鈴羽がラボの中に入っていった。
鈴羽「いいよ。入って」
鈴羽に招かれて俺はラボの中に入ると、目の前に白衣を着た男がそこに立っていた。
??「未来ガジェット研究所へようこそ。木村拓哉よ……。我が名は鳳凰院凶真。この世の混沌を願うものだ……」
??「岡部……。25にもなってそれはどうかと思うわ……」
同じく白衣を身に纏った赤い髪の女が、頭を抱えて呟いた。
??「うるさいぞ、クリスティーナ! それに俺は岡部ではない。鳳凰院凶真だ」
25歳……? あんなんで社会でやっていけているのだろうか?
??「ティーナを余計よ!」
??「リア充爆発しろ!!」
??「ダル、お前もリア充だろうが……」
??「まあね」
いつまで、この不毛な会話が続くんだろうか……。そう思うとそろそろ限界がきそうだった。
鈴羽「皆、静かにしてよ! そんなくだらい言い争いは後にしてくれる? 未来がかかってるんだよ」
??「すまない……」
鈴羽「はい! じゃあ、皆自己紹介して! まずはおじさんから」
??「岡部倫太郎です。実家は八百屋です」
よほどこの鈴羽が苦手なのか、岡部と言う男は縮こまっていた。確かに、あれは凄い一撃だった。最初に鈴羽に遭遇したときのことを思い出した。
??「牧瀬紅莉栖です。専攻は主に脳科学です」
牧瀬……。どこかで聞いたことがある気がする……。
キムタク「あ! もしかして天才少女で昔話題になってた子?」
牧瀬「へ、はい。そうです! ご存じだったなんて……」
牧瀬は頬を赤く染めた。隣の岡部は少し悔しそうにこちらを見ていた。
鈴羽「実は、牧瀬紅莉栖と岡部倫太郎は交際関係にあるんだ」
鈴羽が耳元でこっそり教えてくれた。なるほどつまりは嫉妬と言うわけだ。
??「橋田至。こう見えてもスーパーハッカーなのだぜ。キリッ」
前に電話で聞いたのは、こいつの声だったのか……。声も若いと思ったが、年齢もかなり若く見える。どうみても、鈴羽の父親に見えないし、かなり失礼だが、結構できそうにも見えなかった。
鈴羽「これで一応自己紹介は終りだよ。と言う事で本題に入るよ」
キムタク「やっとか……」
ここに入ってから、すでに20分くらい経過していた。
鈴羽「木村拓哉、驚かずに聞いてほしい」
キムタク「ああ」
鈴羽は、他のメンバーに軽く目合わせをしてから、口を開いた。
鈴羽「私は2036年からタイムスリップしてきたんだ」
キムタク「まじかよ……」
だが、それを聞いてすべてに合点がいった。確かに未来人なら、あの年代の男に娘がいても不思議ではない。
鈴羽「今からこれから起こることについて説明するね。SMAPのメンバーが死んだことによって、ジュリーさんが疑われるんだ。それを聞きつけたファンが暴徒化して、ジャニーズ事務所はしばらく営業停止。いや、実質解散状態に追い込まれてしまうんだ。それにベッキーの件があって、音楽業界自体が敬遠されるようになるんだ。それによって、沢山の音楽ファンの人たちが暴れたり、中には自殺したりする人まで現れるんだ」
キムタク「んな、馬鹿な……」
とても現実には思えないが、あれだけの非科学的な現象を見せつけられている以上、今更疑う気にはなれなかった。
牧瀬「木村さんは、タイムリープしたのよね?」
キムタク「ああ」
牧瀬「その時の状況を説明して詳しく欲しいのだけれどいいでしょうか?」
俺は、牧瀬に言われたとおりタイムリープすることになった要因と、タイムリープしたことで起こった結果をこと細かく話した。
牧瀬「やっぱりそうなるか……」
キムタク「やっぱり?」
牧瀬「ええ、恐らくだけどタイムリープを何度繰り返しても、必ずSMAPのメンバーを助けられない」
キムタク「そんな……」
牧瀬「この世界は、かならず過程は違っても、行きつく先は同じ結果になるようにできているの」
そう言われて納得がいった。いきなり銃を持った人間が襲ってくるなんてあまりに非現実的すぎたからだ。
キムタク「そんなのどうしようもねえじゃねえか……」
岡部「そんなことはない! 何故なら俺も同じ経験をしたからだ」
岡部はかつて自分が経験したことを話し始めた。何度繰り返しても幼馴染が死んでしまう事。この世界の不条理さを。
岡部「今回はそこまで深刻ではないと、俺は思っている。恐らく、SMAPがこうなってしまう原因を特定し排除すれば、SMAPは誰も死なない筈だ」
キムタク「もしかして移籍か?」
岡部「その可能性は高いだろうな」
キムタク「でも、そうなったらSMAPがどうなるか分からない……」
橋田「そもそも、移籍する原因になったのって、SAMAPのチーフマネージャー飯塚とジェリーが対立したのが原因なっんしょ?」
キムタク「そうだ。あ……」
飯塚さんとジェリーさんが対立しないようにすれば、SMAPの移籍は防げるかもしれないという事だ。
牧瀬「それは無理そうね。対立したのが一か月以内と言うのなら話は別だけど、今の技術的に一か月以上タイムリープすることはできないもの。これ以上飛べば、脳がどうなるか分からない。最悪、木村拓哉という人格が崩壊しかけないもの」
キムタク「そうか……」
どうしたらいいのか、全く思いつかなかった。たった一か月で何ができる? そもそも一か月前自分が何をしていたのかですら思い出せない。
キムタク「そうだ、このタイムリープアプリについて説明が欲しいんだけど」
牧瀬が一か月までの時間跳躍が可能だと言っていたことを聞いて、自分が使った時は一時間くらい前までしか飛べなかったということを思い出した。
牧瀬「このアプリはスマフォのブルートゥースと呼ばれる機能を使って、記憶信号パルスから記憶データを読み取って、このマシンに記憶データを送信。そのあとLHCを使って記憶を圧縮して、過去のスマフォにデータを転送、圧縮されたデータを解凍して、記憶信号パルスから記憶データを流し込む。以上よ」
話の半分は理解できなかったが、分かり易く図で示してくれたので、おおよそは理解することができた。
キムタク「あと、今日の9時ごろ、アプリが使えなかったんだが」
岡部「それは、タイムリープマシンは下のブラウン管工房がまだ開店していなかったことが原因だろう。タイムリープマシン行うには42型ブラウン管がついている必要があるんだ」
これで今朝使えなかった理由は分かった。飛ぶ時間については、デフォルトでは一時間になっているらしく、右にフリックすることでメニューを呼び出して、設定ができるようになるらしい。最新の機器はどうも苦手だ。
岡部「ちなみに、アプリのNDと言うのはノスタルジアドライブの略称だ」
キムタク「それはどういう意味なんだ?」
そう聞くと岡部は、ニヤリと笑みを浮かべた。
岡部「特に意味はない」
何だそれは……。
牧瀬「ごめんなさい。こいつ昔からこうなんです」
キムタク「いやいいよ」
鈴羽「おじさんのせいで話が脱線しているじゃないか!」
岡部「はい……。 すいませんでした」
キムタク「それよりどうするか考えようぜ」
橋田「そういえば、稲垣さんが気になることを話してたって言ってたじゃん?」
キムタク「ああ、ノイズでうまく聞き取れなかったんだ」
慎吾と剛が倒れる光景が頭に浮かぶ。
キムタク「何か、あいつベッキーさんの不倫について何か知っているみたいだった」
牧瀬「気になるわね……」
もしかしたら何かの手がかりになるかもしれない。
岡部「まずは、稲垣五郎からベッキーの不倫について知っていることを聞きだすことからだな」
岡部は言った。一気に解決することはできないと、様々な組み合わせが今回の事を引き起こしているのだと、一つ一つ解決していくことが、全ての解決につながると教えてくれた。
岡部「問題はいつに飛ぶかだな」
キムタク「1月18日だ。その日はSMAPでそろって生放送の収録があったんだ」
橋田「確か、移籍することを発表する放送だったよね」
キムタク「ああ、収録が終わった後、五郎を呼び出して直接聞く」
岡部「それではただいまより、オペレーション復活の偶像(アイドル)作戦を開始する!」
岡部は白衣をなびかせてポーズをとった。ちょっといいかもしれない。
岡部「それでは、オペレーション開始だ!」
カキタレ亡くなったんで、溜まったらまた明日浮上します
書き溜め溜まったので更新していきます
アプリを起動して、先ほど説明を受けたとおりに1/18日20時頃に時間を設定した。
キムタク「それじゃ、行ってくる」
世界が揺らぎ、電子レンジから火花が散る。
キムタク「待ってろ。俺が皆を守って見せるから……」
世界の景色が闇に包まれる。
2016/1/20 PM 8:00 α
キムタク「ふう……」
成功だ。まずは、五郎を探さないと。
キムタク「五郎はどこにいるか知らない?」
剛に訊ねる。
草薙「さっきトイレに行くって言ってたでしょ。木村く~ん」
キムタク「そうだったけ?」
中居「木村しっかりしろよな~」
キムタク「ついに俺もボケが始まったのかもなww」
俺はそう誤魔化して、五郎がいるというトイレへと向かった。
稲垣「あれ? 木村もトイレ?」
トイレにつくと五郎は用を足した後みたいだった・
キムタク「ちょっと、二人きりで話したいことがあるんだけどいいかな?」
幸い、本番まで時間がまだまだある。
稲垣「うん、いいよ」
俺は稲垣を連れて、使われていない控室へと向かった。
稲垣「話って言うのは何?」
キムタク「ベッキーさんとゲスの極み乙女の川谷についてだ」
俺がその名前を出した瞬間、五郎は明らかに何か知っているようなそぶりを見せた。
稲垣「そっか、木村も知ってしまったんだね」
キムタク「ああ。それについて知っていることを教えて欲しい」
稲垣「いいよ。実は、あの件の二人。ジャニーズ事務所の誰かに脅されているらしいんだ。ばらされたくなければ、お金を払えって」
キムタク「誰って言うのは?」
稲垣「そこまでは分からない。この話はジャニーズ事務所のスタッフの人が噂していたのをたまたま聞いたんだけだし」
キムタク「そうか……」
稲垣「そう言えば、僕がそのこと知っているのよく分かったね」
キムタク「何となく。お前なら知ってそうな気がしたんだ」
稲垣「本当に何となくなの?」
キムタク「……何となくだ」
稲垣「ふ~ん。まあ今はそういう事にしておくよ。でも、いずれちゃんと話せよな。お前は一人じゃないんだからさ」
キムタク「ああ、ありがとな」
稲垣「じゃあ、そろそろ控室に戻ろうぜ」
キムタク「俺はちょっと用事を思い出したら、先に行っておいてくれ。すぐに戻る」
稲垣「分かったよ」
稲垣は部屋を後にした。
キムタク「一人じゃない……か」
そう言われて、俺は嬉しかった。昔、そんなことを言ってくれる人間なんて一人もいなかった。
キムタク「そろそろ行くか」
次に行く時間は決まっている。大晦日――。紅白歌合戦の日。そこで川谷のスマフォを盗み、脅しのメールを見る。もしかしたら文面やアドレスで誰か分かるかもしれない。
キムタク「準備完了っと」
アプリのボタンをタップする。一瞬、もしかしたらブラウン管工房が閉まっているかもしれないと思ったが、どうやらこの時間でもブラウン管工房とやらは開いているらしく、ちゃんと世界は揺らいでいた。いつも以上の激しい頭痛が俺を襲う。どうも、長く遡ろうとすればするほど、頭痛が激しくなるみたいだ。
キムタク「早く飛べっ……!」
世界が激しい揺らぎに包まれ、やがて静寂が訪れる。
2015/12/31 PM 8:00 α
キムタク「ぐっ……」
頭が激しく痛む。立っていられないほどその頭痛は激しかった。衣装を見る限りでは時間跳躍には成功したみたいだ。
香取「木村君! 大丈夫!?」
キムタク「平気平気……」
頭を抑えながら、俺はゆっくりと立ち上がる。
中居「平気な人間はそんな顔しないでしょ」
キムタク「ただの立ちくらみだ。それに今日は休むわけにはいかないだろう?」
草薙「そうだけど……。でも、無茶は良くないよ」
稲垣「ちょっと横になって休んだ方がいいんじゃないか?」
キムタク「そうするよ……」
今は素直に従ったほうがいいだろう。幸い、ゲスの極み乙女の出番はまだみたいだし、それまでは迂闊に動くべきではないだろう。それに、頭痛のせいでまともに動けそうにない。
綾瀬「では、続いて島津亜矢さんです。どうぞ!」
歓声とともに、島津亜矢が現れる。確かこの次がゲスの極み乙女のステージだったはずだ。
中居「木村、どこに行くの?」
キムタク「トイレ」
俺は他のメンバーに怪しまれないようにそそくさと控室から出ると、ゲスの極み乙女の控室へと向かった。
キムタク「ここだな」
俺は周りに人がいないことを確認して、控室に入って 一つ一つ鞄を探って財布を確認していく。あった……。川谷の免許証だ!
キムタク「はっ?」
スマフォを開こうとすると、パスワードの入力を要求された。これでは見れないではないか……。俺は、思いつく数字を入力していく。
キムタク「誕生日とかか?」
川谷の免許を見ながら、入力する。どうも当たっていたらしい。見事にホーム画面に入ることに成功した。
キムタク「くそ……。時間が……」
ゲスの極み乙女の演奏が終わったらしい。急がないと……! 俺は、急いでメールを確認していく。
キムタク「見つけた……」
最期に届いたのは、二日前。送り主のアドレスは俺がよく知っている人物のものだった。そんな……。
キムタク「何でだよ……」
俺はここに来る前の時間にアプリをセットして、過去へと飛んだ。
2015/1/1 AM 1:00 α
紅白歌合戦が終わって、俺達はSMAPが結成したときから行っている小さな神社に初もうでに向かっていた。
??「どうしたの? 二人で話がしたいって?」
暗がりから、俺が呼び出していた男が姿を現した。
キムタク「剛。正直に話して欲しいんだ。ベッキーと川谷。もう分かるよな?」
剛の顔は明らかに青ざめていた。
草薙「そっか……。知ってしまったんだね」
それから、剛はゆっくりと口を開いて、事の顛末を話し始めた。
草薙「僕が、昔公園で脱いでしまったの覚えてる?」
キムタク「ああ。覚えてるよ」
あの件でSMAPは大変なことになったが、そのおかげで俺達はより深い絆が結ばれたのだ。あの事件があったから、俺達はここまで仲良くできたんだって思う。
草薙「僕は、その件でずっと、飯島さんに責められてて」
キムタク「飯島さんが!?」
信じたくなかった。でも、草薙がそう言うんだったら、それは真実なのだろう。それじゃ、まさか……。SMAPが死んだのは飯島のせいなのか……?
草薙「それで、飯島さんに言われたんだ。川谷を脅せって。脅さないとSMAPをやめさせるって言われて、SMAPのメンバーはお前を恨んでいるって言われて! 悪いことだっていうのは分かってた……。分かっていたよ……。でも、どうしようもなかったんだ!」
キムタク「もういいんだ剛……。俺は全然気にしてないし、恨んでもいない。他のメンバーだってそうさ。お前を恨んでいる奴なんていない」
剛の肩を掴んで俺はまっすぐ、剛の目を見た。
キムタク「いいか。よく聞け。俺達はかけがえのない仲間だ! 辛いことがあるなら一緒に背負ってやる! だから、もっと俺達を頼れよ。遠慮なんてしなくていいから。な?」
諭すように話しかける。剛は少し涙目になって、ありがとうと呟いた。
草薙「ねえ、一つ聞かせてくれない?」
キムタク「何だ?」
草薙「俺が、川谷さん達を脅しているっていう情報はどこで掴んだの? 事務所内では精々噂程度にしかなっていなかったはずだから。飯塚さんが漏らすとも考えられない」
キムタク「俺は未来から来たんだ」
草薙「何を馬鹿なこと……。いや、木村君がそういうんだったらそうなんだろうね。それに、それなら色々と辻褄があうしね」
キムタク「信じるのか?」
草薙「嘘なの?」
キムタク「いや、でも……」
草薙「だったら信じるよ」
キムタク「剛……」
草薙「過去に戻って来たってことは、未来で僕たちに何かあったってことでしょ?」
キムタク「……そうだ」
草薙「ねえ、僕にできることがあったらいつでも言ってくれよ! 僕はどんな時でも木村君の助けになるから」
キムタク「ありがとう」
草薙「当然だよ。さっき木村君も言ってただろ。辛いことは一緒に背負ってやるからってさ。だから、辛くなったら僕にも背負わせてくれよな。約束、だからな」
キムタク「ああ、約束だ」
草薙「おしっ、皆の所に戻ろうか」
キムタク「そうだな」
2016/1/1 AM 8:00 α
朝から特番の収録がある俺は、少し早めに現場に来ていた。話をするためにだ。
キムタク「飯塚さん。ちょっと話いいですか? できれば、誰もいない所で」
飯塚「今忙しいのが分からないの? できれば後にしてくれない?」
キムタク「ベッキー、川谷、草薙、脅し」
飯塚だけに聞こえるように、俺は飯塚の近くで呟いた。
飯塚「チッ。分かったわよ。こっちに来なさい」
飯塚は露骨に顔色を変えて、俺の前を歩いて行った。
飯塚「草薙が喋ったってことね。あ~、ほんっと使えないわ。あいつ」
まだ誰も入っていないSMAPの控室に入ると同時に飯塚はそう言った。
キムタク「説明してください。どうしてですか!? どうして貴方が……」
飯塚「いい? 拓哉、この世界はそんなに甘くないの。こうやって誰かを蹴落とせるチャンスがあったら有効活用しないといけないの。貴方だって分かるでしょう。綺麗事だけじゃこの芸能界は生きていけない事くらい」
キムタク「そういうことを言えって言っているんじゃない……。何故貴方が直接手を下さないんですか?」
飯塚「ああ、そっち。だって私の手を汚したくないんだもの。最悪なんらかの場合でばれても私は知らんぷりできるからね」
キムタク「ふざけるなよ……。あんたのせいでアイツがどれだけ思いつめていたのか分かっているか! 俺は貴方を許しませんし、貴方についていくつもりはありません」
飯塚「ふ~ん。あっそ。じゃあ、貴方には死んでもらうわ」
飯塚は、腰辺りから黒い何かを取り出して俺に向けた。それは非日常の塊だ。最初は見間違いかと思った。でも、本物だ。本能がそう警鐘を鳴らしている。
飯塚「私に従わないやつは、必要ないもの」
動けない。俺の足はまるで棒になってしまったかのように動かない。本能が逃げろと告げている。でも、動けない。全く動けないのだ。
飯塚「じゃあね。拓哉」
くそ駄目だ。俺は死ぬ。ここで死ぬ……。そう覚悟したときだった。ドアを強く開ける音がした。
草薙「木村君!」
剛が、俺の前に立ちはだかった。
キムタク「剛……」
草薙「今の内に逃げて!」
飯塚「草薙、どけ。撃つぞ」
草薙「嫌です」
飯塚「そう……。なら遠慮なく撃たせてもらうわ。どうせ、[ピーーー]つもりだったしね」
キムタク「やめろ!」
飯塚は容赦なく、剛の頭を狙って発砲した。
キムタク「あぁ……、あぁぁぁぁぁぁぁああああああ」
飯塚「折角の、犠牲も無駄になったわね。でも感謝しなさい。貴方も一緒の所に送ってあげる♪」
飯塚は、へたり込んだ俺に銃口をこめかみにあてた。
キムタク「許さない……」
飯塚「何? ぼそぼそ言っているから聞こえないわ」
キムタク「許さないって言ったんだよ。このクソババア!」
飯塚「だから? それでこの状況をどうや――」
飯塚が喋り終わるよりも早く、トリガーを引くよりも早く俺は動いた。
飯塚「チッ」
飯塚は俺に向けて銃を放つ。だが、致命傷じゃない。俺は握り拳を作り、それを飯塚の顔面に叩きこんだ。
キムタク「はぁ……。はぁ……」
俺は飯塚の手を思い切り踏みつけて銃を奪って、飯塚に向けた。
キムタク「動くな」
飯塚「貴方に撃てるのか――」
俺は容赦なく、飯塚の肩に向けて銃を発射した。
飯塚「ぐうううううう。痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
キムタク「動くなって言ったのが聞こえなかったのか?」
飯塚「分かった。動かない。動かないから撃たないでぇ!」
飯塚は必死に俺に懇願する。
キムタク「無様だな」
俺は飯塚を近くのドライヤのコードで体を縛りつけた。
飯塚「お願い……! 撃たないでぇ……」
飯塚は、顔を液体でぐちゃぐちゃにしながら俺に、語りかける。[ピーーー]つもりなんてない。かといって何もしないわけじゃない。俺は、アプリを起動して時間を100年以上前に設定した。
キムタク「俺はお前を許さない。死んで楽になる事すらな」
アプリを起動して、飯塚の頭に当てた。
キムタク「精々苦しめ」
飯塚「ああああああ頭が、痛い痛いよオオ」
飯塚は叫び声を上げる。
飯塚「痛い……。痛い。いた……」
そしてやがて何も喋らなくなった。瞳孔は大きく開き、時折ケタケタ笑う。壊れた人形のように手足はグニャグニャと曲がって、ただただ虚空を見つめるだけの存在と化した。存在しない時空へ記憶を飛ばされたのだ。だから、この女にはもう何も残っていない。
キムタク「剛……」
剛はすでに冷たくなっていた。
キムタク「必ず助けるからな」
アプリを、ジャニーズ移籍騒動が発覚するよりも少し前12月20日にアプリを設定した。
キムタク「これで最後にしよう」
世界が揺らぎ始める。
キムタク「行け!」
2015/12/20 AM 8:20 α
キムタク「行くか……」
俺は、一番高いスーツを着てある場所へと向かっていた。
キムタク「失礼します」
ドアをノックして、部屋の中へと入る。
ジュリー「何? SMAPが今更何の用なの?」
キムタク「僕をジャニーズ事務所に戻させてください」
俺は、頭を床にこすり付けて土下座をした。
ジュリー「どういう風の吹き回しかしら?」
キムタク「俺、やっぱりじゃニーさんやメリーさんを裏切れません」
ジュリー「いいの? このままでは貴方は裏切り者よ?」
キムタク「覚悟はできています」
ジェリー「なら、許可しましょう。貴方がここまでするって言う子とは、何かわけありってことなんでしょう?」
キムタク「はい……!」
ジェリー「そして、多分飯塚が原因。違う?」
キムタク「そうです。俺達は飯塚さんに騙されてました。ずっと、ジェリーさんが悪い人だと思い込んでいました。でも実際は、飯塚さんのほうがずっと……。極悪人だった……」
ジェリー「そうね。私はアイツのやってきたこと全て知っているわ」
ジェリー「無駄よ。世間は私や他の社員がやっていると思い込まされているもの。そうすれば、火に油を注ぐようなモノよ。あいつはそれが分かっているのよ。それにアイツには金がある。最悪ばれてももみ消しにできるくらいのね」
まるで、どこかの社会ドラマを見ているかのように、ジェリーの話はあまりにも突飛で、でもそれは紛れもない真実だった。
ジェリー「どっかの組織か知んないけど、あいつに資金を提供しているやつがいる。ずっと前からね。貴方達がアイツに担当されたことで急に人気になれたのもそれが理由よ。まあ、飯塚がいなくても貴方達なら今の場所に辿りつけたでしょうけどね」
キムタク「ありがとうございます」
ジェリー「もう一度だけ聞くわ。本当にジャニーズに戻ってくるの? 恐らく世間は貴方を叩くわよ。最悪の場合メンバーから嫌われるかもしれない。それでも戻る?」
キムタク「戻ります」
ジェリー「そう愚問だったわね。分かったわ、認めましょう」
キムタク「ありがとうございます」
俺は、ジェリーに深くお辞儀をして、ジャニーズ事務所を後にした。次はベッキーと川谷の件だ。恐らく、飯塚の不倫がばれたのは剛の脅しのメールが川谷の妻に見られたことが原因だ。川谷とベッキーのメッセージのやり取りは恐らく、川谷は何らかの偽装工作を働いていおり、川谷の妻は万が一見たとしてもそれが浮気の証拠とは思わないようにしている。だから、さきに世間に広まればベッキーが殺されることも、剛が脅す必要性もなくなるということだ。だが、問題はどうやって世間に公表するかと言うことだ。
キムタク「ここで手詰まりか……」
俺が直接リークするという手もあるが、下手をすればあの時のように俺が消されかけない。そのうえ、証拠もない。何とか、川谷とベッキーのメッセージ内容を盗み出せれば……。
キムタク「あ!」
そこで、俺はある人を思い出した。橋田至。確かスーパーハッカーと名乗っていた筈だ。彼なら、できるかもしれない。だが、この時間の彼らと俺は一切面識がない。でも、止まっている場合じゃない。
キムタク「行こう。未来ガジェット研究所へ」
とりあえず、本日分の書き溜めは終りです。
恐らく今週中に完結すると思います。
因みに私は学生です
書き溜め溜まったので投稿していきたいと思います
因みにコテハンと私の実際の年齢は違います
帽子にメガネとサングラスをして、秋葉原にあるラボへと向かう。
キムタク「確かこの辺だったはず」
ブラウン管工房が目に入り、俺は未来ガジェット研究所のある二階へと進んだ。
キムタク「開いてる……」
ドアノブを回すと扉が開いたので、中に入ることにした。
キムタク「失礼します」
岡部「だ、誰だ貴様は?」
キムタク「俺は木村拓哉。橋田至の力を貸してほしい」
俺は、変装用のメガネとマスクを外して、顔を見せた。
岡部「何故ダルの力が必要なのだ?」
キムタク「お前ならこれを見れば分かる筈だ」
俺はスマフォの例のアプリを岡部に見せた。
岡部「ND……。お前未来から来たのか?」
キムタク「そうだ」
岡部「分かった。すぐにダルを呼ぼう」
岡部はスマフォを取り出して橋田に電話をかけた。
岡部「おい、ダル。至急ラボに来い。説明は後だ」
ほとんど一方的に、話すだけ話して岡部は電話を切った。
岡部「あと10分もすれば来るだろう」
キムタク「そうか」
どちらも何も喋ることもなく、若干気まずい雰囲気のまま十数分が経過した。
橋田「も~、オカリン緊急の用って、何……さ。ってえええええええええ! 木村拓哉じゃん! どうしてここにいるんだっつーの」
岡部「ダル。木村拓哉は未来から来たんだ。俺達が作ったアプリを使ってな」
橋田「それマジ?」
岡部「マジだ」
橋田「すっげー」
木村「橋田さん。頼みがある。LINEのトーク内容を盗み出すことはできるのか?」
橋田「そんなん、楽勝っしょ」
木村「本当か!」
橋田「SERNに比べれば、個人のスマフォなんてざるですしおすし」
木村「じゃあ、ベッキーと川谷のLINEのトーク内容を盗み出して、それを週刊文春に送ってくれないか?」
橋田「おーきどーきー。できれば、ベッキーのLINEの連絡先とかあればすぐに終わるのだけれど」
木村「大丈夫。前に交換してる」
俺はスマフォを橋田に手渡した。
橋田「うっひょー! これさえあれば五分もかかりませんぜ」
橋田は、パソコンに向かって座ると、キーボードをすごい速さで打ち込み始めた。
岡部「あと10分もすれば来るだろう」
キムタク「そうか」
どちらも何も喋ることもなく、若干気まずい雰囲気のまま十数分が経過した。
橋田「も~、オカリン緊急の用って、何……さ。ってえええええええええ! 木村拓哉じゃん! どうしてここにいるんだっつーの」
岡部「ダル。木村拓哉は未来から来たんだ。俺達が作ったアプリを使ってな」
橋田「それマジ?」
岡部「マジだ」
橋田「すっげー」
木村「橋田さん。頼みがある。LINEのトーク内容を盗み出すことはできるのか?」
橋田「そんなん、楽勝っしょ」
木村「本当か!」
橋田「SERNに比べれば、個人のスマフォなんてざるですしおすし」
木村「じゃあ、ベッキーと川谷のLINEのトーク内容を盗み出して、それを週刊文春に送ってくれないか?」
橋田「おーきどーきー。できれば、ベッキーのLINEの連絡先とかあればすぐに終わるのだけれど」
木村「大丈夫。前に交換してる」
俺はスマフォを橋田に手渡した。
橋田「うっひょー! これさえあれば五分もかかりませんぜ」
橋田は、パソコンに向かって座ると、キーボードをすごい速さで打ち込み始めた。
ダル「ミッションコンプリート! LINEのトーク内容盗み出したお。でもこれ何なん? 卒論がどうのこうのって意味分からないお」
俺の読み通り、川谷は何らかの隠語を使っているらしい。おそらくここでの卒論の意味は離婚と言う意味で間違いないだろう。
キムタク「川谷とベッキーは不倫しているんだ。因みに川谷には妻がいる」
岡部「何だと!? 大スキャンダルではないか!」
キムタク「ああ。これを流せば、俺の仲間とベッキーを救うことができる」
岡部「どういう事だ?」
キムタク「あの二人は、脅されているんだ。脅しているのは俺の仲間だ。といってもそいつは無理矢理命令されてるだけで、悪意はないんだ」
橋田「その命令してる奴。誰なん?」
キムタク「飯塚さんだ」
岡部「えっと、確かSMAPのチーフマネージャーだったか?」
キムタク「そうだ」
橋田「そいつの情報洗い出そうか?」
キムタク「いや、飯塚さんは何らかの組織とつながりがあるらしいんだ。だから、やめたほうがいい」
橋田「何らかの組織って、まるでドラマとか小説みたいじゃん」
岡部「面白いではないか! 機関との幾多にもわたる戦いを繰り広げてきた俺に不可能はぬわぁい! ダルよ。すぐにハッキングをかけろ」
橋田「おっけー。報酬はあとで飯を奢ってもらうっつーことで」
キムタク「おい、お前ら最悪組織に狙われることになるんだぞ……」
橋田「痕跡残すようなアホハッカーじゃないのだから安心して欲しいのだぜ。どっちみちもっとやばいところに手を出してるからね」
キーボードをたたきながら、橋田は得意げに語る。
岡部「今はダルに任せてくれないか?」
キムタク「あ、ああ」
橋田「う~ん。こりゃちょっと時間かかるな~」
岡部「どのくらいかかるんだ?」
橋田「多分、一日はかかる希ガス」
岡部「そうか……」
キムタク「とりあえず、今日は家に戻るよ」
岡部「ああ、何か分かったら、こっちから連絡する」
キムタク「ありがとう」
俺は変装して、ラボを後にした。
2015/12/21 PM 11:20 β
収録を終えて帰ると、岡部からハッキングが完了したという旨のメールが届いていた。
キムタク「橋田さんすげー……」
俺は、メールのURLに貼られたリンクからDLするように書かれていたので、その通りDLした。そこそこの容量があるらしく時間がかかりそうだ。
キムタク「その間に飯でも食べるか……」
俺はキッチンに赴いて、適当に料理を作ることにした。とりあえずパスタ辺りでいいだろう。
キムタク「ごちそうさまっと」
ご飯を食べ終えて、スマフォを確認すると少し前にDLが終わっていたらしい。俺は早速そのデータを開いた。
『歌による洗脳実験について』
歌とは、最良のコミュニケーションツールである。歌を聴く事で人は高翌揚し、共感し、時に涙を流す。歌とは、人の心に呼びかけるものである。
また、実験により人はある種の周波数を聞くことで、強い興奮状態になることが判明した。歌手のCDにその周波数を収録することで、人々の思想を過激になるように誘導することが目的である。そこで、本実験の最終目標は、過激思想を植え付けることで日本国憲法第9条を廃止にすることが目的である。
キムタク「何だよこれ……」
これを見て、日本は世界に戦争を仕掛けようとしている。ということが分かった。予想を上回る規模の闇の深さに俺は恐怖を感じていた。
スマフォ「prrrrrrr」
キムタク「っ……!」
飯塚からだ。俺は震える指で通話ボタンをタップした。
飯塚「ジャニーズ事務所に残るってどういう事?」
俺がジャニーズ事務所に残るということを、飯塚は知ってしまったらしい。声色からかなり怒っているという事が分かる。
キムタク「それは……」
飯塚「今からでも遅くないわ。断りなさい」
キムタク「それはできません……」
飯塚「どうして?」
キムタク「ジャニーさんに感謝しているからです。今の俺達があるのはジャニーズ事務所があったからです」
飯塚「売れなかった貴方たちをここまで、育て上げた私には何も思っていないってことでいいのかしら?」
キムタク「そういうわけではありません。ただ……」
飯塚「ただ? 何?」
キムタク「貴方みたいなやり方は気に食わないんですよ。他の事務所の人間を蹴落としてまで人気になるようなことをしていたなんて思わなかった」
飯塚「貴方、ジュリーさんに騙されているのよ。私はそんなことしないわ」
キムタク「嘘ですね。知ってますか、貴方嘘をつく時、髪をいじっていること」
飯塚「嘘っ!」
キムタク「電話をしているのに、分かるわけないじゃないですか」
飯塚「この糞野郎……」
キムタク「とにかく、俺は貴方に何と言われてもジャニーズに残ります」
飯塚「でも、世間は貴方を裏切り者扱いするわよ。もしかしたら、メンバーに酷いことを言われるかもしれないわ。それでもいいのね?」
キムタク「そんなことも分からないほど、俺は子供じゃないですよ」
飯塚「分かったわ。好きにしなさい」
飯塚「クソッ」
飯塚が電話を切る瞬間そう叫んだのが聞こえた。
キムタク「疲れた……」
これで飯塚の策略は、全て失敗に終わる筈だ。俺達の移籍先の事務所に入る条件がSAMP全員で入る事。これで、うまくいけば飯塚だけをジャニーズから追い出せる。それに、飯塚は俺を殺せない。何故なら殺せば自分が疑われる可能性が高いからだ。
キムタク「これで、うまくいったんだ……よな?」
でも、大きな問題が残っていた。例のファイルだ。どうも、俺達の移籍先の事務所が、件の周波数の流布を行っている場所の一つだったらしい。俺が未来を変える前の世界鈴羽から、第9条が変わったことは聞いていない。恐らく、音楽業界きっての大スキャンダルが起こったことで計画そのものがなくなってしまった可能性が高い。だが、このまま進めばどうだろう。計画はこのまま進んでしまうかもしれない。そうなれば、前の世界以上の犠牲者が出るかもしれない。誰かに話そうにも、こんな話を誰が信じるというのだろうか。
キムタク「どうすりゃいいんだ……」
ベッドに転がり込んで、考え込んだ。駄目だ、全く思い浮かばない。とりあえず、岡部に電話をかけてみよう。
キムタク「もしもし。木村だけど」
岡部「俺だ。例のファイルについて、だな?」
キムタク「ああ」
岡部「それの対策は、もうすでに行っている」
キムタク「何!?」
岡部「ダルに頼んで、その例の周波数自体を書換え中だ」
キムタク「どうしてそこまでしてくれるんだ?」
岡部「ああ、驚かないで聞いてくれるか?」
キムタク「お、おう」
岡部「ダルの嫁がな……」
キムタク「橋田さんの嫁が?」
岡部「お前の大ファンだそうだ」
キムタク「そうなのか。こんどサインでも書いて送るよ。で、続きは?」
岡部「それだけだ」
キムタク「え?」
岡部「ダルはそういうやつなんだ」
キムタク「橋田さんって、なんかこう色々すげーな」
岡部「同感だ」
キムタク「なあ、今度橋田さんの家に直接お礼に行きたいんだけどいいかな?」
岡部「待て、ちょっとダルに聞いてくる」
岡部は電話口から離れて行った。
岡部「おk。だとさ。でも、嫁に手を出したら許さない。絶対にだ。だとさ」
キムタク「そっか。気を付けるよ」
岡部「なあ、一ついいか?」
キムタク「何だ?」
岡部「何故、ダルだけさんづけなのだ!」
キムタク「だって、橋田さんすげーんだもん」
岡部「俺の方が、ダルより優れているぞ!」
キムタク「具体的にどこが何だ?」
岡部「えーと……。そう! 運動神経だ」
キムタク「それは勝ってて当然じゃないのか? 橋田さんはあの身体だし」
岡部「うぐっ……。じゃあ、俺はあれだ。きわめて優秀な頭脳を持っている。IQは170だ」
キムタク「へー」
岡部「何だ、その棒読みは! 全然信じていないではないか!」
キムタク「信じてる。信じてる」
岡部「全く貴様と言うやつは……」
キムタク「おい、貴様って何だ。俺は43だぞ?」
少し強めの語調でそう言った。
岡部「ひゃい! すいませんでした」
キムタク「冗談だよ。普通に話してくれても構わないよ」
岡部「全く。変な汗をかいたぞ」
キムタク「悪かったって。でも、お前今何歳だっけ?」
岡部「24です」
キムタク「そんなんで社会やっていけているのか?」
岡部「余計なお世話だ」
キムタク「牧瀬さんに、迷惑かけてるんじゃないだろうな?」
岡部「ど、どうしてそこでクリスティーナの名前が出てくるのだ!」
キムタク「付き合ってるんだろう? 岡部と牧瀬さん」
岡部「どうして、それを……! もしかして貴様、機関のエイジェン――」
キムタク「鈴羽に聞いた」
岡部「鈴羽のやつ、余計なことを……。というか、人の話を遮るな!」
キムタク「で、違うのか?」
岡部「は、はい。お付き合いさせてもらっています」
キムタク「ふ~ん」
岡部「くっ、それが、リア充の余裕か……!」
キムタク「牧瀬さんのこと大事にしろよな」
岡部「無論だ! 彼女が生きる世界のために俺は沢山の想いを犠牲にしてまでたどり着いたんだ。絶対に大事にして見せる」
キムタク「そういえば、俺が世界を変えて良かったのか? お前がやっとの思いで変えた世界が変わるかもしれないのに」
岡部「問題ないさ。その時は両方とも救う世界線に辿りつついてみせるさ」
キムタク「それがあるなんて保証はどこにもないだろう?」
岡部「あるさ。絶対に」
キムタク「ありがとな。ここまでしてもらえるなんて思わなかったからさ」
岡部「当たり前だ。貴様はすでにラボメンなのだからな」
キムタク「俺が入ってもいいのか?」
岡部「無論。貴様はラボメンナンバー011だ」
キムタク「ラボメンって結構いるんだな」
岡部「まあな。というわけでだ。この作戦が成功したら、貴様の歓迎パーティを行う」
キムタク「それは嬉しいな」
岡部「だから、精々楽しみにしておくことだな」
キムタク「ああ、楽しみにしてるよ」
岡部「じゃあ、また」
キムタク「ああ、またな」
電話を切る。
キムタク「いい奴らだな」
俺は初めて一般人に、好感を抱いた気がする。俺を有名人の木村拓哉としてではなく、ただの木村拓哉として接してくれる岡部達に心から感謝した。
キムタク「これで、全て終わるんだな」
俺は事件のあった日以来、まともに寝れていなかったが、今日は安眠できそうだ。
2016/1/14 AM 9:20 β
世間にSMAP解散とでかでかと書かれた記事と、俺がSMAPを裏切ったという記事が新聞に掲載された。ネットでは、俺を批判するコメントが荒海のように流れていき。世間では飯島が被害者であるかのように扱われていた。
キムタク「お前はもう終わりだ。飯島」
テレビのSMAP解散に関する報道を見ながら、俺はそう呟いた。これで、SMAPの残りのメンバーは戻ってこらざるを得ない状況になる筈だ。
キャスター「つづいてのニュースです。ゲスの極み乙女のメンバー川谷さんとタレントのベッキーさんが不倫関係にあったことが、分かりました」
後ろのモニターに、俺が流出させるように仕向けた、川谷とベッキーのLINEの画像が表示される。川谷は今頃、悔しがっているに違いないと思うと清々しい気持ちになった。
キムタク「俺は勝ったんだ……」
勝利の余韻に浸る。成功した。これで、SMAPは解散しない。誰も死なない。
俺はやり遂げたんだ……
~NOMALEND~
一応ここで終りです。すっきりしたまま終わりたい人はここで読むのをここでストップすることをお勧めします。ここから先は超蛇足になります。
2016/1/18 PM 11:30 β
謝罪会見の後、俺は皆に話があると言い皆を控室に集めた。
キムタク「よし、集まったな。お前たちには話さなきゃいけないことがあるんだ」
香取「話さなきゃいけないことだって?」
キムタク「ああ、俺がお前らを裏切ることになった理由だ」
草薙「自分の保身のためなんだろ?」
キムタク「違うんだ。剛。お前はベッキーと川谷が不倫していることを知っていた。そして、その二人を脅していた。飯塚さんの指示でな」
稲垣「それは、本当なのか?」
草薙「どうして、それを知ってるんだ……」
キムタク「そして、今回ベッキーと川谷と不倫を世間にばらしたのは俺だ」
香取「木村君が!?」
キムタク「そうだ。俺は草薙が、飯塚さんに昔公園で脱いだことで責められていることを知っている」
草薙「まさか……、僕のために……」
キムタク「そして、今回俺が裏切ったのはSMAPそのものを守るためだ。これは飯塚さんのやろうとしていたことだ」
俺は、例のファイルを印刷したものを全員に見せた。
稲垣「何だよこれ……。やばいだろ……」
香取「どうして、お前がこんなものを持ってるんだよ……」
キムタク「俺にはスーパーハカーの友達がいるからな」
草薙「ハカー? ハッカーの間違いでしょ?」
キムタク「そうとも言うな」
草薙「そうとしか言わないでしょ……」
キムタク「そして、その実験実施場所に俺達の移籍するはずだった事務所も入ってるんだ」
稲垣「本当だ……」
キムタク「そこの事務所の移籍条件覚えてるか?」
香取「SMAP全員が入る事だったよね?」
キムタク「そうだ。だから、俺はあえてジャニーズ事務所に残ることにしたんだ」
草薙「僕、木村君の事を誤解してたよ。ごめんね」
稲垣「俺もごめんな。いっぱい悪い言葉かけちまったし」
香取「僕も、ごめんね」
中居「木村、ありがとな。俺達のためにそこまでしてくれたなんて知らなかった」
キムタク「いいんだよ。俺はお前たちとこうしていられることが一番なんだからさ」
そうこれでいいんだ。これで。
香取「でも、世間は君を悪者扱いしてる。それでもいいのかい?」
キムタク「いいんだよ。最初からそうなることは分かってたんだから」
稲垣「でもよお……。折角、俺達の事助けてくれたのに、そう言うなんて許せないよな」
キムタク「どうせ、すぐに消えるさ。人の噂は45日っていうしな」
草薙「すごい楽観的だね」
キムタク「まあな。世間の声なんていちいち気にしてられないって。今は俺達の事に集中しようぜ」
香取「そうだね」
稲垣「久しぶりにあれやろうぜ。円陣」
草薙「いいね~」
香取「やろうやろう!」
俺達は集まって、円陣を組んで手を重ねた。
中居「木村、この後二人きりで話さないか?」
中居が俺にだけ聞こえるように小さく囁いた。
キムタク「分かった」
中居「場所は後で、LINEする」
キムタク「了解」
キムタク「中居! 掛け声よろしく」
中居「おう! それじゃいくぞ! SMAP! ファイッ」
SMAP「おーーーーっ!」
草薙「いや~、決まったね」
キムタク「そうだな」
稲垣「やっぱり、円陣っていいね。何かこう、絆がより深まったって感じがするしな」
香取「今日は皆で飲みに行かない?」
中居「ごめん、俺明日早朝から仕事なんだよ~……」
中居が俺に目配せを送った。
キムタク「ごめん俺もだわ」
香取「そっか~、じゃあまた今度行こっか」
草薙「そうだね」
中居「じゃあ、俺先に帰るわ」
稲垣「おう、じゃあな」
中居「ああ、じゃあな~」
中居は控室から出て行ってからすぐに、駐車場の車の中で待っているとLINEが届いた。
キムタク「じゃあ、俺もそろそろ行くわ」
稲垣「は~い。じゃあな」
キムタク「ああ、またな」
控室を後にして、俺は駐車場へと向かった。
キムタク「待たせたな」
中居の車の助手席に乗り込んだ。
中居「単刀直入に聞く、お前タイムリープしてるだろ」
キムタク「っ……! どうしてそう思ったんだ?」
中居「何故かって、木村はあの情報を手に入れられるはずがないからだ」
キムタク「どういうことだ?」
中居「木村が情報を掴めないようにするために俺が色々と妨害したからだ。でも、木村は知っていた。つまり、お前はタイムリープしてきた以外に、情報を手にれる術がないということになる」
キムタク「タイムリープってお前……。そんな馬鹿な話があるかっての」
中居「俺はタイムリープしてきたんだよ。ある目的のためにな」
キムタク「何を言ってるんだ……」
中居「これが証拠だ」
中居は俺にスマフォの画面を見せた。
キムタク「ND VER5.22……」
俺の持っているアプリよりもはるかに新しいバージョンのアプリを中居は持っていた。
中居「ノスタルジアドライブって読むんだなこれ。知らなかったよ」
キムタク「お前は一体いつから来たんだ?」
中居「2036年だ」
キムタク「10年後……」
中居「今から、半年後お前は飯塚に殺される。そして世間はそれをさも当然の報いかのように、言いやがった。俺にはそれが許せなかった。だから、木村。お前を助けるために世界を変えに来た。木村が、SMAPから移籍する世界に変えるために」
キムタク「嘘だろ……」
中居「嘘じゃないさ。それがなきゃ俺が過去に戻ってくる理由なんてないんだからな。お前のやったことはあまりにも完璧すぎたんだ。そのせいで飯塚は委員会から追放されて、いずれ始末されるはずだったんだ。でも、その前に飯塚は事の発端であるお前を殺害した。どうして、俺がここまで知ってる分かるか?」
キムタク「未来ではそれが明らかになったか、お前が突き止めたからなのか?」
中居「どっちも外れだ。正解は俺が飯塚に資金提供していたからだ。例のファイルの計画を作ったのも俺だ」
キムタク「どうして、そんなことを……。それのせいで沢山の人が死ぬんだぞ? 中居も慎吾も五郎も剛も死ぬんだぞ!」
中居「お前には被害者になってもらう必要があった。裏切り者ではなく、被害者として世間に認識させたかった」
キムタク「それだけのために。[ピーーー]のか……? 自分の仲間もあまつさえ自分すら……」
中居「いや、飯塚が草薙たちを[ピーーー]はずがない。何故なら俺が[ピーーー]つもりだったからな。飯塚は調子に乗りすぎた。自分が神様にでもなったつもりでいたからな。傲った人間に罰を与えるために」
キムタク「じゃあ、なんであいつらは殺されたんだよ……」
中居「推測だけど、木村が過去に飛んだことが原因だ。それによって世界線が微妙に変わった。俺が未来から来ていない世界についた。だから、剛は殺された。つまりは木村。お前のせいってことだ」
キムタク「俺のせいだっていうのか……」
中居「それに、俺は最初の世界では死んでいない筈だ。飯塚の死体を俺に偽装するつもりだったからな」
キムタク「じゃあ、自販機のジュースが全部なくなっていたのは……」
中居「お前を第一発見者に仕立て上げるためだ。後から、教えられるより最初に見た方が衝撃は大きいからな。その分世間もお前を慰めてくれるだろうからな」
キムタク「そんなのいらない! 俺はお前らと歌えればそれでいいんだよ……。それ以上は何も望んでない……!」
中居「俺はな、木村さえいればどうでもいいんだよ。木村は俺と違って歌もダンスも上手い。まさに俺の理想のアイドルだったんだ。だから、お前にはずっとアイドルでいて欲しかった。悲劇に見舞われながらも懸命に歌い続けるアイドル。世間はそうやって木村を持ち上げるだろう」
木村「ふざけんな……。そんなの俺が許さない」
中居「残念だけど、俺はこの世界を変えるよ。この世界になったのは、お前がアプリを手にいれたことが原因だ。だったらその過去をなかったことにすればいい」
中居は、車から降りてスマフォのアプリを設定し始めた。
キムタク「やめろ!」
どうやら、ドアロックが掛けられているらしく開けることができなかった。
中居「じゃあな、木村」
キムタク「やめろ!」
窓を必死に叩くが、ひびすら入らない。中居はスマフォを耳にあてて過去へと飛んだ。
キムタク「やめろおおおおおおおおお!」
世界が大きく揺らぐ、タイムリープをした時以上の激しい頭痛が俺を襲う。
キムタク「ああああああああっ!」
異物感が、食道を駆け上って俺は、吐いてしまった。世界が解けたセーターのように消えていく。
2016/1/19 AM 0:20 δ
キムタク「っはぁ……! はぁ……。何だここは……」
立ち上る黒煙と、ゴムが焦げたような匂い。パラパラと鳴り響く音。そして、倒壊したビル。ここは戦場と化していた。
キムタク「ここは日本……なのか?」
看板が日本語であることと、ここが何となく見覚えのある土地だったことから、俺はここが日本であると結論付けた。
キムタク「おい、ちょっと待てよ……」
他のメンバーはどうなっている……。俺はスマフォを開く。がしかし圏外だった。それどころか、タイムリープアプリも消えていた。あったとしても、圏外じゃ使えないだろう。
キムタク「こんなのどうしようもねえじゃねえか……」
街を見渡して俺はあることに気づいた。こんな崩壊した街に沢山のポスターが貼られていたのだ。どこを見ても街中至る所に貼られているポスターは、全て俺の写真だった。
キムタク「何だよこれ……」
気がおかしくなりそうだった。これが中居の作りたかった世界なのか……?
キムタク「探さなきゃ……」
俺は歩き始めた。中居を探すために。
書き溜め分終了です。
残り4分の1って所でしょうか
ラストが全然思いついていませんが、何とか完成さるつもりです
便所の落書きを最後までお楽しみくださいませ
プロットぐらい作っておくべきだった……
兵士1「おい、お前そこで何をしている!」
街を彷徨いながら歩いていると、銃を持った男数人に俺は囲まれた。
兵士2「大人しく、我々についてきて貰おうか」
男たちは、俺に銃をつきつける。
??「フーハッハッハッハ」
兵士1「何だ!?」
空から声が聞き覚えのある高らかな笑い声が響き渡る。
兵士3「ワルキューレの奴等だ!」
兵士たちは、上に向かって銃を乱射するも、上をとっているワルキューレと呼ばれる存在のほうが有利なのか、近くの兵士たちは全員死んだ。
??「大丈夫か……?」
キムタク「お、お前は……!?」
俺の前に現れたのは、白衣を着た男。岡部倫太郎だ。
岡部「木村拓哉だな。我々について来て貰うぞ」
キムタク「おいこの世界はどうなってるんだ?」
岡部「お前がこの世界にしたんだろう!」
キムタク「俺が……?」
岡部「そうだ。お前は敵の最高幹部。俺達の交渉材料になってもらう」
ワルキューレの部隊の人間たちに銃をつきつけられ、俺は装甲車に乗せられた。
??「合言葉は?」
確か、小恥ずかしい言葉だったのを記憶している。
キムタク「萌え萌えキュンだっけ?」
岡部「どうして貴様がそれを知っている? まさか、俺達の中にスパイが……」
キムタク「違う! そもそも俺はどうしてここにいるかも分からないんだ……」
岡部「嘘をつくとは白々しいな!」
??「凶真、その人は嘘をついていないみたいだニャ」
言い忘れてました。更新再開します。
今回分で完結です
岡部「それは、本当なのか? フェイリス」
フェイリス「この魔眼とネコ耳に誓うニャ」
岡部「まさかお前……」
岡部はそこで口を止めた。
岡部「こいつは俺が尋問する。フェイリス一緒に来てくれ」
フェイリス「分かったニャ!」
俺は、岡部に引っ張られて奥の部屋へと強引に連れ行かれた。
岡部「お前、別の世界から来たな?」
キムタク「多分、そうだろうな」
フェイリス「本当みたいだニャ」
岡部「どうしたこうなったのか分かるか?」
俺は、ここに来るまでの経緯を説明した。中居が2036年からタイムリープしてきていたこと。全ての元凶が中居であること。この世界ができたのが中居が過去にタイムリープしたことを全部事細やかに説明した。
岡部「なるほど……。それはかなり不味い状況だな」
キムタク「過去に戻ってやり直せば……」
岡部「それは無理だ」
岡部はきっぱりと言った。
岡部「まず、タイムリープできる装置がここにはない。それに万が一タイムリープして過去を変えたとしよう。そしたらまた中居が過去を変えてしまう。それをずっと繰り返すことになる。だからできない」
キムタク「そんな馬鹿な……」
岡部「これが現実だ。恐らくタイムリープしたところで、未来を変えることはできない。変えればよりひどい未来へ行きつくかもしれない。お前に与えられた選択は二つだ。一つ目は諦めることだ」
キムタク「そんなことできるわけないだろ!」
岡部「人の話は最後まで聞け。もう一つは諦めずに何度も何度も世界を変えることだ。誰も死なない世界に辿りつくまで」
キムタク「そんな世界あるのか?」
岡部「ないと決めつけるから見つからないのだ。だから、必ずある。だが、それは険しい道のりだ。砂漠の中からたった一つの砂粒を見つけるよりも」
キムタク「やってやる……」
岡部「その意気だ」
キムタク「そうだ、この世界について教えてくれないか?」
岡部「いいだろう。この世界では今第三次世界大戦が起こっている」
キムタク「それで、外はあんな風になっていたってことか」
岡部「そして、そのすべての始まりが木村拓哉。お前だったんだ」
キムタク「俺が……!?」
岡部「事の発端は3年前、この世界のお前は偶像霊会という宗教を作り上げ、自らを神の名乗り始めたんだ」
キムタク「何だよそれ……」
岡部「最初は誰も気にも留めなかった。だが、偶像霊会のメンバーが全国各地で猟奇的事件を起こし始めるんだ。でも、誰も気にせずまるで事件が起こることを待ち望むようになっていった。ここで俺達は、気づいたんだ。人々が洗脳されていると」
例のファイルが頭の中に浮かんだ。もしかするとこの世界の俺も洗脳されていたのかもしれない。
キムタク「だから、俺を目の敵にしていたんだな」
岡部「そういうことだ。偶像霊会は今や、世界中に沢山の信者を抱える巨大宗教となっている。そして、お前は世界に戦争を仕掛けたんだ。国と国の争いなんかよりも、規模が大きい宗教と宗教の争いを引き起こしたんだ」
キムタク「そんな……」
岡部「この世界を変える鍵はお前にある。だから、俺達はお前に全力で力を貸す」
キムタク「ありがとう……」
岡部「そうだこれを渡しておこう」
岡部は金属製のバッチを俺に手渡した。
岡部「ラボメンバッチだ。貴様のナンバーは011だ!」
キムタク「ああ、ありがとな」
岡部「そ、それでは俺は皆に説明してくる。そこでおとなしくお茶でも飲んで待っているがいい!」
岡部はそそくさとドアを閉めて外に出て行った。
フェイリス「初めましてニャ。我が名はフェイリスニャンニャン、フェイリスは五大精霊の一角シルフの魂の継承者ニャ」
キムタク「初めまして、俺は木村拓哉だ」
フェイリス「まさか、タクニャンが魔眼リーディングシュタイナーの持ち主だったとはニャ」
キムタク「それは設定っていうやつなのか?」
フェイリス「ち、違うニャ! 設定じゃないニャ! リーディングシュタイナーは、世界の観測者となるものだけが持つことができる魔眼のことニャ」
キムタク「つまり、俺がここに来たのは、……そのリーディングシュタイナーってやつのせいってことか」
フェイリス「そうにゃね。因みに凶真もリーディングシュタイナーの持ち主だけどニャー」
キムタク「岡部も?」
フェイリス「と言っても、その能力はもうなくなってしまったんだけどニャ」
キムタク「どういう事だ?」
フェイリス「クーニャンが、リーディングシュタイナーの根本的原因を排除したからだニャ」
キムタク「どうして? 別の世界を記憶できるのはいい事なんじゃないのか?」
フェイリス「それは違うニャ。例えば、SMAPのメンバーと会話して、その後タイムリープしてSAMPと会話しない選択をしたらどうなると思う?」
キムタク「その会話はなかったことになるんだっけ?」
フェイリス「正解ニャ♪ それはつまり、タクニャンがその会話を覚えていてもSMAPのメンバーにはその記憶はないことになるのニャ」
キムタク「そういう事か……」
フェイリス「自分だけが知っている。自分だけが知らにゃい。それはとても寂しいことなのニャ」
フェイリスは目尻に少しだけ涙を浮かべていた。
フェイリス「だから、クーニャンが凶真にそんな思いをさせたくがないためにリーディングシュタイナーの能力を消したってわけニャ」
キムタク「なるほどな……。ところでリーディングシュタイナーってどういう原理で他世界線の記憶を受け継ぐんだ?」
フェイリス「う~。その辺はフェイリスにもよく分からないのニャ~」
??「話は岡部から聞いたわよ。木村さん」
ドアを開けて、牧瀬が中に入って来た。
ドアを開けて、牧瀬と橋田が中に入って来た。
フェイリス「クーニャン!」
フェイリスは、飛び上がって牧瀬に抱き着いた。
橋田「百合展開ktkr!」
牧瀬「黙れHENTAI!」
橋田「僕はHENTAIじゃないお。変態紳士だお」
牧瀬「ああもう! 橋田がいると話が全然進まないじゃない!」
橋田「フヒヒサーセンww」
牧瀬「木村さんも、岡部と同じでリーディングシュタイナーを持っているのよね?」
キムタク「どうも、そうらしい」
牧瀬「そう……。リーディングシュタイナーが木村さんに宿ったのは、タイムリープしたことで脳に多大な負荷がかかったことが原因だと思う。あくまで推論のなかの話だけど」
キムタク「リーディングシュタイナーって何なんだ?」
牧瀬「それは今から説明するわ。リーディングシュタイナーをもつ人間の脳にはある特徴があるの」
キムタク「特徴……?」
牧瀬「そう。右脳の大脳皮質には時間と空間を認識する部分があるの。そしてリーディングシュタイナーの能力がある人間は、そこに何らかの不具合が生じている」
キムタク「それがリーディングシュタイナーとどうつながるんだ?」
牧瀬「この世界はいってみればグラフのようなもので構成されているの」
キムタク「グラフ……?」
牧瀬「そうよ。この世界今いる世界をXとしましょう。そして今いる世界がX+1.この世界と言う概念はX軸が選択の違いでY軸が時間の流れと言うわけ。つまり、今の世界と一秒後の世界は全く別の世界と言う事なの」
牧瀬「通常私たちが普通に時間の流れを感じ取れるのは、脳が空間と時間をきちんと認識できるからなの。だから仮に誰かが過去を変えても別世界の記憶は引き継がれないから違和感はおきない。でもリーディングシュタイナーは、それが分からない。脳がX軸のブレを認識できない。それがリーディングシュタイナーの原因よ」
キムタク「全然分からないんだが……」
牧瀬「これはあくまでも、推論でしかないの。もしかしたら正しいかもしれないし間違っているかもしれない。だから、あてにしなくてもいい」
キムタク「じゃあ、どうやってリーディングシュタイナーは治療されたんだ?」
牧瀬「それは、根本的な原因の右脳の大脳皮質の異常を治すだけだから。そこまで難しいことじゃないから」
キムタク「へ、へえ……」
牧瀬「質問はもういい?」
キムタク「お、おう」
牧瀬「さて、次の問題はこの世界をどうやって変えるか、ということね」
キムタク「そうだな。この世界の俺がおかしくなり始めたのって何時からなんだ?」
牧瀬「確か、4年前ね。木村さん以外のSMAPメンバーが全員死んだ頃からおかしくなったって、@ちゃんで……はっ!」
キムタク「多分だけど中居は生きてる……と思う。前の世界ではそういう計画にする予定だった言っていたから」
牧瀬「ちょっとそれ詳しく教えてくれる?」
キムタク「――というわけだ」
牧瀬「なるほどね。つまり、中居さんがすべての元凶ってわけね」
キムタク「……そうだな」
橋田「でも、そりゃまずいっしょ。いくらリープしても向こうがまた変えてしまうかもしれないっつー事じゃん?」
キムタク「だからって諦められない。ある筈なんだ。中居も俺もタイムリープしなくていい世界が……」
牧瀬「そうね。そのためには三つ条件があるわ。まず、私たちがタイムリープできるようにすること。二つ目が木村拓哉が死なないこと。そして最後が諦めないことよ」
橋田「珍しいね牧瀬氏。牧瀬氏がそんな非科学的な根性論を述べるなんて」
牧瀬「確かにそうね。でも最後の条件は科学者にとって一番大切なことよ。何十回何百回失敗しても諦めずに挑戦すること。それが成功への一歩だと私は思うから」
岡部「木村拓哉よ。ちょっと来てくれ」
ドアを開けて岡部が俺に手招きした。
キムタク「おっけ」
岡部「皆聞いてくれ!」
ワルキューレのメンバーが集まっている広場に俺は連れて行かれた。俺を見る目が明らかに憎悪や怒りに満ちているものばかりで俺は心苦しかった。
岡部「俺達はこの世界を変えるために戦ってきた。だが、それももうすぐ終わる。何故ならそのための鍵が手に入ったからだ」
ワルキューレのメンバーは歓声を上げた。
岡部「その鍵は木村拓哉だ。俺達の目標は木村拓哉を元の世界に送ることにある。そうすれば、この世界は救われる。だから皆……! 協力してくれ……! この通りだ」
岡部は地面に頭をこすり付けてお願いした。周囲に動揺が走る。
フェイリス「凶真……」
??「俺達はやりますよ。岡部さん!」
人ごみの奥の方から声が聞こえてきた。
キムタク「お前ら……。何故ここに……」
長瀬「久しぶりっす。ね木村さん。TOKIOの長瀬っす」
よく見るとその隣にはTOKIOの面々がそこに勢ぞろいしていた。
橋田「TOKIOの人たちには、僕と一緒にタイムリープマシンを一緒に作ってるんだお」
キムタク「タイムリープマシンを!?」
農作業から色んなものに手を出していたTOKIOだが、まさかタイムマシンにまで手を出しているだなんて思いもしなかった。
城嶋「ま、全然できてないんやけどね」
キムタク「すげえな」
岡部「TOKIOの皆さんのおかげで俺達は、こうして食事にありつけるからな」
城嶋「ははっ、やめて下さいよ~。俺達は自分にできそうなことやってるだけですから」
岡部「そんな謙遜しなくてもいいですって」
キムタク「今どのくらいできてるんだ? タイムリープマシンは?」
城嶋「そうやね~。 もうタイムリープすること自体はできてるんやけど。まだ、狙った世界に行くことができないんよねぇ」
岡部「もうそこまで完成してるのか!?」
長瀬「まあ、理論と製法さえ分かれば、簡単ですから! それに橋田さんもいるし」
橋田「TOKIOの人は飲みこみが早くてすごい助かるお」
岡部「完成はどのくらいかかりそうなんだ?」
橋田「う~ん。一か月はかかると思われ」
岡部「一か月か……。その間は何としてもここを守り抜かねばな……」
山口「じゃあ、俺達はタイムリープマシン制作に戻りますね」
岡部「ああ、頼んだぞ」
そうして、結局タイムリープマシンが完成するまでに2か月かかった。
岡部「皆、よくぞここまで戦ってくれた……。これまで犠牲となったもの達に感謝を。俺達はこの世界を変える。俺達はこのラグナロクに勝利したのだ! これより最終オペレーション因果の解放(ドグマ)を開始する……!」
大きな歓声と、戦いの終りを喜ぶ声が部屋中に響き渡る。
長瀬「すいません。完成に2か月もかけてしまって」
岡部「問題ない。完成させてくれてありがとう……」
長瀬「どういたしまして」
キムタク「俺からも感謝します」
長瀬「いいんだよ。それよりも絶対世界を変えてくれよな」
キムタク「絶対変えてみせます」
城嶋「中居のこと頼んだで。お前らはずっとなかいー世界線に辿りついてな」
松岡「リーダー……」
キムタク「ははっ」
国分「それじゃ、いきましょうか」
山口「こっちはいつでも準備できてますよ~」
俺はTOKIOたちが、総力を挙げて作り上げたタイムリープマシン「宙船」に乗り込んだ。
橋田「このマシンは乗った対象の記憶データから、世界線を辿ることができる優れものだお。ただ、リーディングシュタイナーを持っていることと別の世界線を観測していなと、別の世界線に移動できないんだけどね」
岡部「それで、十分だ」
橋田「くっそー。これが完璧だったら俺がリア充ハーレムになれる世界線に行こうと思ったんだけどなー」
岡部「嫁に言いつけるぞ」
橋田「冗談だってー」
キムタク「もう宙船起動していいっすか?」
岡部「すまない。無駄話がすぎたな」
キムタク「それじゃ、起動しますね」
事前に何回も教えられたとおりに俺は、宙船を起動した。重低音が唸りを上げ、周囲を揺らす。
城嶋「解析開始。世界線を特定するで」
モニターに、沢山の数字の羅列が表示されていく。
山口「解析完了。目標の世界線を発見。コードは19130116です」
岡部「これもまた必然なのかもな……。いや、シュタインズゲートの選択だな」
長瀬「どういう事すか?」
岡部「ヒントはアルファベットだ」
長瀬「ああなるほど」
キムタク「それじゃ、行ってきます」
岡部「頼んだぞ」
キムタク「ああ、絶対に成功させてみせる」
世界が揺らぎ始める。世界が再構成されていく。
これで終りにしよう――
2016/1/19 AM 0:10 β
ついた。あの世界線だ。俺はまずスマフォを確認した。ある。タイムリープアプリはそこにあった。
キムタク「待たせたな」
前回同様、俺は車の中に乗り込んだ。
中居「単刀直入に聞く。お前タイムリープしてるだろ?」
キムタク「そうだ」
中居「やっぱりか。そうでないとおかしいもんな。お前がこの世界では知りえない情報を握っていたんだから」
キムタク「お前を助けたかったからな」
中居「でも、それではお前が死ぬんだ……」
キムタク「俺は死なない」
中居「俺は、未来でお前が死ぬのを何度も見た。何回も何回も止めようとしたさ。でも無理だった。どう頑張ってもお前は死ぬんだ」
キムタク「そのために過去に来たのか?」
中居「そうだ。俺は木村拓哉と言うアイドルに憧れていた。お前はずっと歌って欲しい。アイドルでいて欲しい……! だから、そのためなら……」
キムタク「そのために誰が犠牲になってもいいっていうのか?」
中居「そうだ。お前こそが俺のすべてなんだ」
キムタク「俺もな、お前にずっと憧れてたんだ。中居正弘というアイドルに」
中居「何故!? 俺はお前と違って歌もダンスもできないんだぞ!?」
キムタク「確かに踊りや歌で人を魅了することは大切だ。でもな、お前は根本的なことをはき違えている」
中居「違う! 歌と踊りこれがあって、初めてアイドルなんだ!」
キムタク「違う! アイドルはそんなんじゃない! 俺の目指したいアイドルはそんなんじゃねえ! 俺の目指したいアイドルは人に笑顔と勇気を与える存在だ。俺はお前がこの世で一番アイドルらしい存在だと思ってる」
中居「木村……」
キムタク「だからもういいんだ。やり直すのはもうやめよう。俺達に必要だったのは前に進む勇気だったんだ。どんな逆境にもくじけず立ち向かう。それがアイドルってやつじゃないかと俺は思う」
https://www.youtube.com/watch?v=MdfPGiwJCDY
中居「でも、このままいけばお前は……!」
キムタク「大丈夫だ。何とかする。何とかして見せるさ。それがアイドルだからな」
中居「何だそれ……」
中居は笑顔を見せた。
キムタク「俺達はSMAPだ。これからもずっと。ずっとな」
中居「そうか……。俺もっと早くお前に相談しておけばよかった……」
キムタク「そうだな。そうすればすれ違う事もなかったかもしれないな。でも、俺はこれでよかったと思ってる。こうならなきゃお前の心の内は知れなかっただろうから」
中居「そうかもしれないね」
キムタク「中居。約束してくれ。例え誰に何があっても過去に戻ったりせず。ただ前を向いて生きていくと」
中居「ああ約束だ。お前もそうしてくれよな」
キムタク「約束するよ」
俺達は指切りした。その瞬間、世界が青白い光に包まれ始めた。
2016/1/19 AM 0:10 TRUE
??「木村、おい木村!」
霞んで見える世界の中で声が俺を呼ぶ聞こえた。
キムタク「何だよ……。ふあぁ」
中居「何寝てんだよ。お前がSMAPで飲みに行こうって言い出したんだろうが!」
キムタク「そうだっけ?」
中居「何寝ぼけてんだよ。全く……。もう皆行っちまったぞ」
キムタク「なあ、中居」
中居「何だよ?」
キムタク「もしも、過去に戻れるとしたらどうする?」
中居「何だその質問?」
キムタク「いいから答えてくれ」
中居「何もしねえ。だって俺は前を向いて生きていくって約束したからな……。あれ?」
キムタク「そうか、お前らしいな」
中居「俺、誰と約束したんだっけ? 思い出せねえ……。凄い大事なことなはずなんだけどなぁ」
キムタク「歳じゃねえか?」
中居「ちょ、それはひどくない!? 俺まだ40代だぜ?」
キムタク「ま、いいじゃねえか。誰でもさ……」
中居「よくねえよ! ん~、全然思い出ねえ……」
キムタク「どうせ、そのうちひょっこり思い出すだろ」
中居「それもそうだな」
キムタク「そうだよ」
これで未来は変わったはずだ。中居が過去へ戻って来ない。それはつまり飯塚への資金提供もなかったことに繋がり、草薙が脅すこともなくなったはずだ。となると、俺が死なない世界に来れたかのもしれないし、そうじゃないかもしれない。でも、それでいいと思う。何故なら、本来過去とは変えられないものであり、未来に何があるか分からないからである。
中居「木村~! 俺先に行くぞー!」
キムタク「おい、ちょっと待てよ!!」
~TRUEEND~
これで完結です。吾郎の名前が間違っていたことをここに謝罪します。最後まで全然気づきませんでした。すいませんでした!
今回初めてこういうのを書きましたが、向いてないって言うのが分かりました。
最後まで付き合っていただきありがとうございました!
次書く時は、百合ものでも書こうかなと思います。それではまたいつかお会いしましょう
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